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第18回(平成16年度第2回) 私学共済年金研究会(私学共済年金制度の在り方等に関する調査研究協力者会議)議事要旨


 日時  平成16年11月12日(月曜日)15時〜17時

 場所  東京ガーデンパレス 3階「華」

 出席者
委員  雨宮、上野、神田、北村、黒田、田野倉、田村、西村、吉田の各委員
事務局  金森私学部長、大槻私学行政課長、伊藤私学共済室長 ほか関係者
私学事業団  小池常務理事 ほか関係者

 議事概要
(1) 委員の出欠状況報告
事務局より委員の出欠状況の報告がなされた。

(2) 議題に関する資料説明及び質疑・意見交換
  [議題1 私学共済年金に係る保険料引上げの前倒しについて]
   「資料1 私学共済年金に係る保険料引上げの前倒しについて(論点整理)」、「資料2 財政再計算に基づく将来見通し及び保険料引上げの前倒し(案)資料」等に基づいて説明。
 説明後、次の質疑等が行われた。(●委員、○事務局、□私学事業団)

委員  「費用負担の平準化」ということで、厚生年金をベースに検討するということだが、財政状況が良い私学共済制度は厚生年金に合わせるとさらに財政が良くなることになる。
 保険料率の引上げについて、前回の会議では厚生年金の引上げ幅との中間辺りという意見が出ていたが、年金一元化の議論の高まりや国共済と地共済との財政調整の実施といった状況変化もあり、その中で私学共済制度を独立した制度として維持していくためには厚生年金並みの引上げという選択肢も意識していかなければならないだろう。

委員  保険料率の引上げを検討する上で基本的な問題となるのは加入者数の見込み方だと思う。資料にあるように他共済等と比較しても減少幅は少ないだろうという印象を持っているが、人口推計自体が信頼のおけるものなのか心配な面もあるため、中位推計だけでなく低位推計も用いて計算することも念頭に置いておいた方が良いだろう。
 また、引上げ幅や最終保険料率を検討するに当たっては、財政的な問題の他に公的年金制度全体を通じた平準化という問題も考えなければならないと思う。公的年金制度の一角として存在している私学共済制度だけが突出して引上げ幅を低くするということは難しく、また、将来世代の負担の軽減ということも加味すると、年0.354パーセントの引上げにせざるを得ないと思う。

委員  今の話は理解できるが、年金制度の将来像が見通しにくいことを考えれば、敢えて厚生年金並みの引上げにこだわらなくてもいいのではないかと思う。負担増は直接経営に関わってくるので、少しでも負担が軽くなるのであれば通常ベースの引上げ幅と厚生年金の引上げ幅との中間にした方が良いと思う。

委員  国として年金制度全体をどのように考えているか、また、その中の私学共済制度の立場というものはどのような感じなのか。

事務局  一元化の議論は進んでいるが、具体的にどのような形になるのかは依然不明瞭な状況である。だが、国共済と地共済が厚生年金並みの引上げを行った中で、それほど成熟度が進んでいないからといって私学共済制度だけが低い掛金率で良いのかという意見がある。一元化は年金制度全体の財政の安定化という観点で言われているところもあるので、その点も踏まえつつ議論をしていただくことも必要と考えている。

委員  今後は少子化の影響を受け教員が少なくなっていくと予想されるので、前倒しをしておく方が将来の負担も少なくなると思うが、将来の不確かな厚生年金によりすぎていいのかという疑問がある。

委員  これまで厚生年金の制度改正の方針等は厚生労働省が決定し、私学共済制度もその内容等を踏まえて措置されてきたが、先に設置された「社会保障の在り方に関する懇談会」は内閣官房長官の私的懇談会として置かれている。となれば、我々がここで議論してまとめたとしてもそのとおりにならないかもしれないという懸念がある。

事務局  「社会保障の在り方に関する懇談会」は、年金のみならず医療保険、介護保険といった社会保障全般、さらには税制の問題等について内閣全体で取り組んでいくという考えから、内閣官房長官のもとで検討されるということになっている。

委員  私学事業団においても、保険料の引上げの前倒しについて私学関係者から意見を聴いているようだが、その状況についてご説明いただきたい。

私学事業団  主な意見としては、国民的な議論を踏まえて決定された厚生年金の最終掛金率である18.30パーセント、つまり毎年0.354パーセントの引上げを念頭に置く必要があるのではないか、これまで先人の努力によって制度が維持されてきたことを踏まえつつ、今後、さらに財政が健全となるような配慮が必要ではないか、他方、私学を取り巻く環境の厳しい変化を考慮した措置を願いたい等の意見があった。
 また、私学の厳しい経営環境等を鑑みて厚生年金の引上げ幅を下回る形でお願いしたいとする希望表明もあったが、公的年金制度の一環として私学共済年金の位置付けや制度維持を考慮すると他制度並みの引上げならばやむを得ないのではないかというのが全体の雰囲気であると理解している。

委員  国共済と地共済の引上げ率は厚生年金と同様の形で決定されたが、私学共済制度の設立趣旨からすれば国共済よりも低い引上げ幅とするのは理解を得られにくいと思う。

委員  費用負担の平準化自体が一元化の第一歩になっているのではないか。厚生年金並みに引き上げた方が最終的には良いということもわかるが、あまりに他制度と同一であり、一元化そのものとなってしまう気がする。また、現在の負担自体が非常に大きく、将来を考える以前に今を耐えていけるのかが心配である。

委員  私学共済制度の維持という面や、閣議決定で示された課題への対応を示すということを踏まえれば、今回は厚生年金並みの引上げということにしておいた方が良いのではないかと思う。

委員  私学共済制度は年金だけでなく医療保険等も行っており、それらを総合して「共済業務」となっているので、年金部分のみを見て一元化の議論をすることは難しいのではないかと思う。

委員  一元化の話については、長期的には報酬比例部分までは全国民同一の制度に統一しようと考えているように思われるが、職域部分を維持していくためには職域部分の積立金が不足しないような想定をしておく必要があると思う。

委員  厚生年金並みで引き上げていくとすると私学共済の財政はさらに豊かになっていくだろう。負担面を考えれば引上げ幅を小さくしたい気持ちもある。5年後にはまた再計算を実施することになると思うが、その時にどのような状況になっているかということもあるので、それまでは他制度と同様の引上げ率でいけばよいのではないか。

事務局  国共済・地共済ともに今後5年間の引上げのみ確定しており、そこから先は見通しである。私学共済制度においても5年後に再計算をすることとなる。

委員  関係者に結果を周知しなければならないため、何故この案でなければならないのか、納得できるような資料をお示しいただきたい。なお、5年後に再度見直しがあるという話が出たが、その際に今回よりも引上げ幅が高くなれば、負担増によって小規模な学校が破綻していくことも想定される。制度全体の事や将来の事を考えるのは理解できるが、その到達点まで学校を存続させることができるのかという不安が付きまとってしまう。そういった意見もあることを認識いただければと思う。

委員  本来、保険料率というのは給付と負担の関係で決定すべきものであり、私学共済制度の場合は0.354パーセントもの引上げは必要ないと思う。引上げを実施する上での考え方については、厚生年金並みの引上げというのではなく、職域部分を含めた給付水準が同じである他の共済の引上げ幅と同様にするということではないかと思う。また、一元化が進展していく上で、職域部分を残す場合には、その部分の掛金率がいくらなのか計算をしておくことが必要だと思う。

委員  多くの意見が出たが、健全な私学共済制度を今後とも維持していくのが関係者の願いであり、そのためには私学共済制度として相当の努力を示すことが大事であり、さらには、前倒しの程度が大きいほど財政的な安定性もより一層増すことから、総合的に考え、他の共済並みの引き上げ、結果として厚生年金並の引き上げを行う案で決定したいと思う。

  [議題2 被用者年金制度における私学共済制度の位置付けについて]
   事務局より「資料3 被用者年金制度における私立学校教職員共済制度の位置付け(検討の視点)」、「資料4 参考資料」等に基づいて説明。
 説明後、次の質疑等が行われた。(●委員、○事務局)

委員  一元化がどこまで進むのかがまだ見えないが、私学共済制度が一元化された場合にはどのような問題があり、何を解決しなければならないのか、また、一元化できない場合にはその理由を社会に説明し、理解を得るための体制を整えておかなければならないだろう。

委員  一元化の閣議決定では私学共済制度については財政単位の拡大や費用負担の平準化の2つが項目に上がっているが、これが一元化の中身なのかどうかがはっきりしていない。何が議論になっていて、どのようなことを想定しているかをまとめていただきたい。

事務局  一元化の考え方は様々であり、例えば1階部分を含めた全体について考えている人もいれば、一方で、まず被用者年金部分を先に統合するということを考えている人もいる。これに関しては次回までにまとめることとしたい。

委員  先ほど社会の理解を得ることが大事という話があったが、私学共済制度の財政が健全である理由が長い年月の努力の証であるということを広く理解してもらう方策を考えていく必要があると思う。

委員  私学共済制度は将来見通しでも明らかなとおり、今後とも安定した運営が可能と考えられる。従って現段階で他制度と統合するといった選択肢は考えられず、独立した制度として運営していくことが基本であり、その中で何ができるのかということだと思う。


(3) 次回の日程について
本日の議論を整理したのち、連絡することとされた。

(了)


(高等教育局私学行政課私学共済室)

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