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私学共済年金研究会(私学共済年金制度の在り方等に関する調査研究協力者会議)(第17回(平成16年度第1回))議事録


 日時  平成16年4月12日(月曜日)13時〜14時30分

 場所  東京ガーデンパレス 3階「扇」

 出席者
委員  青木、雨宮、上野、神田、北村、黒田、田村、長木、西村、吉田の各委員
事務局  久保私学行政課長、山本私学共済室長、佐野高等教育局視学官 ほか関係者
私学事業団  小池理事、佐藤理事 ほか関係者

 議事概要
(1) 委員の出欠状況報告
事務局より委員の出欠状況の報告がなされた。

(2) 議題に関する資料説明及び質疑・意見交換
  [議題1 私立学校教職員共済法等の一部を改正する法律案について]
   「資料1−1 私立学校教職員共済法等の一部を改正する法律案(概要)」等に基づいて説明。
説明後、次の質疑等が行われた。(●委員、○事務局)

委員  今回の年金制度改正の大きなポイントは、保険料の上限を決めて、その収入の範囲内で給付水準を調整するという点だが、各制度とも並んだ改正を行うことになる。
 しかしながら、保険料率の設定については厚生年金と共済年金では設定の考え方が異なることから、それぞれの制度に応じた制度改正が必要になってくると思う。つまり、厚生年金がここまで上げるから私学共済もここまで上げようということにはならないのではないか。私学共済には私学共済なりの引き上げ方があるという考え方をもって議論しなければならないと思う。

委員  厚生年金の保険料を施設や業務費に流用しているという話が新聞等で話題になっているが、私学共済はどのような運営をされているのか。

事務局  私学事業団では、加入者あるいはその家族の福祉の向上と健康の増進を目的として、宿泊施設22施設と病院1施設を運営している。運営経費については、加入者が学校法人が拠出する福祉事業のための掛金と施設収入を財源としている。
 また、長期給付と短期給付事業の事務に要する業務経費についても、このための掛金を徴収しており、経理上も明確に区分され、年金資産を流用するような仕組みにはなっていない。

委員  この問題は私学に携わっている人たちにとって非常に不安を持つ事柄である。厚生年金のことであれだけ報道されると、私学にも同じような施設があるじゃないか、私学の施設は本当に流用してないのか、という気持ちを持たれる方が多いと思う。この点を私学事業団として加入者に説明していく必要があるのではないだろうか。

委員  「70歳以上の教職員等に係る年金の支給調整措置の導入」について、準用する国家公務員共済組合法の改正事項との関係を教えて欲しい。また、「賃金と年金の合計額」を所得として支給調整を行うとのことだが、賃金の具体的な内容はどういうことなのか。

事務局  国家公務員の場合は60歳定年で、その後在職することがない。一方、私学の場合は65歳や70歳まで在職しているという状況がある。このため、この事項については国共済に倣ったものではなく、民間、つまり厚生年金に倣って導入するものであり、国共済の改正事項との関係はない。
 具体的には、国家公務員の場合は60歳定年ということもあって60歳代前半の支給調整がそのままずっと続く形になっているが、厚生年金については、60歳代前半、60歳代後半、70歳のみなし退職と3段階となっている。今回は厚生年金に倣った形で70歳のみなし退職を廃止して支給調整を導入したということである。
 また、所得の内訳として掲げているのは、あくまでも賃金・給与が対象である。他にいろいろな所得があってもそれは関係ない。ボーナスの12分の1の額も含め、賃金としている。

委員  「70歳以上の教職員等に係る年金の支給調整措置の導入」について、職域部分は支給調整の対象外か。

事務局  対象外である。そもそも、在職していれば職域部分は支給停止である。

委員  「繰下げ支給」と在職停止との関係がよくわからない。

事務局  本来であれば65歳から退職共済年金が支給されるものを、支給開始年齢を繰り下げて年金を受給したい場合、在職中はそもそも一部支給停止であり、その一部支給停止部分については70歳以降も在職していれば引き続き支給停止なので上乗せ支給はできないということになっている。制度の趣旨は、支給停止額を除いた、本来もらうことが可能であった部分について、繰下げ後の支給開始年齢から増額分として上乗せ支給するというものである。

委員  「育児休業者等への配慮措置の拡充」については、少子化対策として出生率を高める方策の一つだと思うが、掛金収入は少なくなり将来給付は増えることになる。これについて、年金財政上、掛金は徴収せずとも将来の給付を賄うことができるという根拠・試算はあるのか。

事務局  ご指摘の通り、掛金収入は少なくなる。また、育休を取得した期間については休業前の標準給与の水準を保証して年金額を算定する制度であるが、これは他の加入者が支えていくことになろうかと思う。しかし、長いスパンで年金財政を見通した場合、将来の支え手を増やすということが喫緊の課題であることから、このような制度を設けたということである。

  [議題2 公的年金制度の一元化の推進に係る対応について]
   「資料2−1 掛金率設定の考え方と前倒しについて」等に基づいて説明。
説明後、次の質疑等が行われた。(●委員、○事務局、□私学事業団)

委員  掛金率はそれぞれの制度の事情に応じた設定がいいのではないか。いたずらに引上げを前倒すことはやらないほうが良いと思う。民間会社のように業績が上がれば給与に反映されるが、私学はそういう要素には大きく左右されないので、給与水準の変動が少ない分、掛金率の引上げはなるべくなだらかな方法を取るほうが将来的にも良いのではないかと思う。

委員  資料では厚生年金相当部分と職域部分を合わせた形で保険料を設定しているが、この形で引上げの前倒しや有限均衡方式を取るというのは無理があるのではないかと思う。
 また、引上げの前倒しの議論が出てきた背景は、恐らく厚生年金との均衡の問題であるので、それを無視するわけにはいかないのではないか。少なくとも厚生年金並みの給付を賄うところまでは同じペースで上げていくということを考えたほうが良いのではないかと思う。これとは相対的に、職域部分の保険料は高くなってもいいと思う。その上で全体的な掛金の上限が低くなる、つまり厚生年金並みに引き上げつつ、最終保険料率が19%くらいで収まるのが望ましいのではないかと思う。

委員  以前、JR共済が厚生年金と統合された時に私学共済で拠出金を負担したという話を聞いたが、これについて説明してほしい。

事務局  JR、JT、NTTの各共済が厚生年金に統合した際、JRとJTは統合前期間の給付財源を自らで確保することができなかったため、不足財源を他の制度が援助するという制度があった。その考え方は、基本的に不足分の半分は標準報酬総額に見合って各制度が按分して拠出し、残りの半分は負担の平準化を加味、つまり、成熟度が低いところほど多額を拠出するという形であった。この制度は平成9年度から始まり、平成18年度まで実施が決まっているが、平成14年度から平成18年度までは私学共済は毎年51億円、厚生年金は毎年1,066億円を拠出することとなっている。

委員  今の金額は総額だと思うが、一人当たりに直すといくらぐらいになるのか。

事務局  厚生年金の場合は、14年3月時点の加入者数3,158万人で割り戻すと一人当たり約3,400円から3,500円ぐらいとなる。私学共済の場合、加入者数は41万人なので、一人当たり1万2,000円を超える額となり、厚生年金に比べ3.5倍程度の額を拠出していることになる。

委員  一人当たりにして非常に高い金額を拠出しているということを伺ったわけだが、このような情勢を踏まえると、今後も通常の引上げで行くのは難しいのではないかと思う。そうすると、通常の引上げと厚生年金並みの引上げの中間あたりが妥当な線なのではないかと思う。

委員  実際の経済状況や加入者動向はシミュレーションとは乖離するので、5年間経ったら引上げ幅を見直すというような方法はないのか。

事務局  一元化の閣議決定において、保険料率の引上げの前倒しは次期財政再計算時までに検討して必要な措置を講じなければならないということになっている。途中で見直すことができないのかということだが、一元化の趣旨、保険料率の共通部分の平準化や財政単位の拡大というような流れからすれば、同じ引上げ幅で最終保険料率まで行くことになるのではなかろうかと思う。

委員  100年間もつような制度設計をするというのは、とても難しいことだと思うが、あまり急激な引上げは私学にとって好ましくないと思う。現在の私学共済の掛金率が非常に低率なのは、それだけ私学が努力をしてきた証である。この点を理解されないまま財政事情が不利なところに合わせるとか、掛金率を高くすれば財政的に余裕が生まれる分、他制度への拠出金という話がまた出てくるのではないかという恐れを感じている。厚生年金の掛金率まで上げるという話もあるが、あまり負担が大きくならないような方法が望ましく、私学全体のことを考えると中間的なところでお願いできればと思う。

委員  私学共済には職域部分があるが、掛金の引上げの考え方は職域部分を区別して考えた方がいいと思う。将来、国共済、地共済そして私学共済が厚生年金と一元化した場合には職域部分はどうなるのかという話題が出ると思うが、一元化になれば報酬比例部分の積立金は全制度分が一緒になるので、報酬比例部分と職域部分の積立金は区別した方がいいのではないか。職域部分は言わば企業年金と同じなので、有限均衡方式ではなく完全な積み立て方式であるとして企業年金並みまで積み立てるというように組み立て直す方がすっきりすると思うし、一元化の話が進展してきた場合には対応しやすいと思うが、いかがか。

事務局  国共済、地共済の動向を見極めた上で検討していく話かと思う。

委員  加入者数の見通しを非常に厳しく立てているが、ここまで加入者数が落ち込んでも私学共済の運営は大丈夫だということが示されれば安心できると思う。学齢人口比例の推計は従前の学校教育のスタイルでの推計であるが、社会情勢が変わり、生涯教育も含めて就学人口の幅がものすごく広くなっていることから、私立学校、学校法人の変化を推計に加味すれば、これほどまでには加入者数は落ち込まないと思う。示された推計では18歳の学齢人口だけを取っているためにこれほどまでに落ち込んでいるのだと思うが。

私学事業団  過去の私学の努力がそのまま統計数字に表れており、その数値を将来に向かって引き伸ばす方法のため、実は私どもが予想していたよりは減ってこなかった。御指摘の件も含め、研究してみたいと思っている。

(3) 次回の日程について
私学共済法の改正案の国会審議の動向を踏まえ、連絡することとされた。
(了)



(高等教育局私学行政課私学共済室)

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