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掛金率はそれぞれの制度の事情に応じた設定がいいのではないか。いたずらに引上げを前倒すことはやらないほうが良いと思う。民間会社のように業績が上がれば給与に反映されるが、私学はそういう要素には大きく左右されないので、給与水準の変動が少ない分、掛金率の引上げはなるべくなだらかな方法を取るほうが将来的にも良いのではないかと思う。
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資料では厚生年金相当部分と職域部分を合わせた形で保険料を設定しているが、この形で引上げの前倒しや有限均衡方式を取るというのは無理があるのではないかと思う。
また、引上げの前倒しの議論が出てきた背景は、恐らく厚生年金との均衡の問題であるので、それを無視するわけにはいかないのではないか。少なくとも厚生年金並みの給付を賄うところまでは同じペースで上げていくということを考えたほうが良いのではないかと思う。これとは相対的に、職域部分の保険料は高くなってもいいと思う。その上で全体的な掛金の上限が低くなる、つまり厚生年金並みに引き上げつつ、最終保険料率が19%くらいで収まるのが望ましいのではないかと思う。
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以前、JR共済が厚生年金と統合された時に私学共済で拠出金を負担したという話を聞いたが、これについて説明してほしい。
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JR、JT、NTTの各共済が厚生年金に統合した際、JRとJTは統合前期間の給付財源を自らで確保することができなかったため、不足財源を他の制度が援助するという制度があった。その考え方は、基本的に不足分の半分は標準報酬総額に見合って各制度が按分して拠出し、残りの半分は負担の平準化を加味、つまり、成熟度が低いところほど多額を拠出するという形であった。この制度は平成9年度から始まり、平成18年度まで実施が決まっているが、平成14年度から平成18年度までは私学共済は毎年51億円、厚生年金は毎年1,066億円を拠出することとなっている。
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今の金額は総額だと思うが、一人当たりに直すといくらぐらいになるのか。
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厚生年金の場合は、14年3月時点の加入者数3,158万人で割り戻すと一人当たり約3,400円から3,500円ぐらいとなる。私学共済の場合、加入者数は41万人なので、一人当たり1万2,000円を超える額となり、厚生年金に比べ3.5倍程度の額を拠出していることになる。
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一人当たりにして非常に高い金額を拠出しているということを伺ったわけだが、このような情勢を踏まえると、今後も通常の引上げで行くのは難しいのではないかと思う。そうすると、通常の引上げと厚生年金並みの引上げの中間あたりが妥当な線なのではないかと思う。
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実際の経済状況や加入者動向はシミュレーションとは乖離するので、5年間経ったら引上げ幅を見直すというような方法はないのか。
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一元化の閣議決定において、保険料率の引上げの前倒しは次期財政再計算時までに検討して必要な措置を講じなければならないということになっている。途中で見直すことができないのかということだが、一元化の趣旨、保険料率の共通部分の平準化や財政単位の拡大というような流れからすれば、同じ引上げ幅で最終保険料率まで行くことになるのではなかろうかと思う。
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100年間もつような制度設計をするというのは、とても難しいことだと思うが、あまり急激な引上げは私学にとって好ましくないと思う。現在の私学共済の掛金率が非常に低率なのは、それだけ私学が努力をしてきた証である。この点を理解されないまま財政事情が不利なところに合わせるとか、掛金率を高くすれば財政的に余裕が生まれる分、他制度への拠出金という話がまた出てくるのではないかという恐れを感じている。厚生年金の掛金率まで上げるという話もあるが、あまり負担が大きくならないような方法が望ましく、私学全体のことを考えると中間的なところでお願いできればと思う。
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私学共済には職域部分があるが、掛金の引上げの考え方は職域部分を区別して考えた方がいいと思う。将来、国共済、地共済そして私学共済が厚生年金と一元化した場合には職域部分はどうなるのかという話題が出ると思うが、一元化になれば報酬比例部分の積立金は全制度分が一緒になるので、報酬比例部分と職域部分の積立金は区別した方がいいのではないか。職域部分は言わば企業年金と同じなので、有限均衡方式ではなく完全な積み立て方式であるとして企業年金並みまで積み立てるというように組み立て直す方がすっきりすると思うし、一元化の話が進展してきた場合には対応しやすいと思うが、いかがか。
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国共済、地共済の動向を見極めた上で検討していく話かと思う。
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加入者数の見通しを非常に厳しく立てているが、ここまで加入者数が落ち込んでも私学共済の運営は大丈夫だということが示されれば安心できると思う。学齢人口比例の推計は従前の学校教育のスタイルでの推計であるが、社会情勢が変わり、生涯教育も含めて就学人口の幅がものすごく広くなっていることから、私立学校、学校法人の変化を推計に加味すれば、これほどまでには加入者数は落ち込まないと思う。示された推計では18歳の学齢人口だけを取っているためにこれほどまでに落ち込んでいるのだと思うが。
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過去の私学の努力がそのまま統計数字に表れており、その数値を将来に向かって引き伸ばす方法のため、実は私どもが予想していたよりは減ってこなかった。御指摘の件も含め、研究してみたいと思っている。 |