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「65歳以降の老齢厚生年金の繰下げ制度の導入」について、厚生年金との並びは考えずに国共済の対応を踏まえて検討するとしているのは、国共済に繰下げに関する別の規定が既にあって、それを踏まえる必要があるということなのか。
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繰下げについては、厚生年金は制度を持っていた時期があるが、一方で共済側は繰下げ制度を持たなかったということも過去にあったので、そのような経緯も踏まえながら検討してみる必要があると考えている。ただ、国共済が厚生年金に準ずる改正を行うということであれば、それを踏まえながら私学共済も考えていくことになろうと思っている。
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今は私学共済制度には繰下げ制度はないのか。
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支給開始年齢の原則を60歳から65歳に引き下げるという改正はあるが、支給開始年齢を自由に選択できるようにするという、今回の繰下げの制度はない。厚生年金についても今は繰下げ制度はない。
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「保険料水準の固定」について、厚生年金との並びの改正は行わないとなっている。これは、給付率については厚生年金の変動と同じようなものを適用する一方、保険料率の固定はしないということを意味しているものと思うが、給付率の変動は職域部分まで適用することになるのか。それとも厚生年金相当部分までなのか。
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私学共済制度の趣旨から職域部分も国共済を準用している関係上、国共済がどのような対応をとるかということを踏まえる必要がある。過去の例としては、前回の制度改正の給付の5%カットについて、職域部分も含めて実施したということはあるが、今回の改正事項への対応については、国共済でもまだ確定されていない。
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「有限均衡方式」と、私学共済制度の課題である保険料率引上げの前倒しとの関係がはっきりしない。厚生労働省の考える有限均衡方式では50%台の給付率を実現するために積立金の一部を取り崩すようだが、私学共済制度としてはその点を倣う必要はないと思うのだが、いかがか。
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積立金の取り崩しを行えば保険料が安くなるということは概ね間違いないとは思うが、一方で閣議決定で示された課題である保険料の引上げの前倒しには対応できないことになってしまう。また、積立金は年金資産として保有しているものであるが、その一部は私学共済制度の他の事業に貸し付けているものもあるため、単純に積立度合いを10から1に取り崩していくことはできないのではないかと思っている。
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制度改正の方向性は厚生労働省の案に私学共済が引きずられ、独自性がないように思える。最近は学校破綻の問題があるが、これに対する救済措置を共済制度として独自に打ち出せるだろうか。
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日本私立学校振興・共済事業団としては、破綻が懸念されている学校法人に対する融資の新しい姿というものが考えられないかを検討している段階である。
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文部科学省としては、共済制度での措置というより、私立学校法の改正をしながら、一方で破綻対策をどうするかということを同時に打ち出そうと考えているところ。まず骨格を作り、その後、具体的に検討して導入可能なものからやっていくことになろう。
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御指摘の救済措置については、直接、共済制度には関係しないかと思う。ただ、仮に学校が破綻したら掛金が入ってこないし、教職員が退職するので加入者が減る。そういう点に関しては共済制度としてどのように対応していくかということはあるだろう。
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積立金の取り崩しについては、私学共済制度の場合、日本私立学校振興・共済事業団の貸付制度へ貸し付けている資金もあるので、簡単に取り崩すわけにはいかない。他制度に同調して取り崩していけば、確かに保険料率は下がるかもしれないが、積立金というものは私学共済制度全体を支えているという側面もあるので、その点も踏まえて検討されるべきかと思う。
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今後、具体的に法改正の作業に取り掛かることとなるが、法改正の最終的な内容については各委員より文部科学省に一任の上、法案を国会に提出していただき、その後、先ほどご説明のあった改正の方向性から大幅に変更があった点については、事後的に報告してもらうこととしたい。
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承知した。次回会議において改正法案のご説明をさせていただくこととしたい。
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