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私学共済年金制度の在り方等に関する調査研究協力者会議

2003年7月24日 議事録
私学共済年金研究会(私学共済年金制度の在り方等に関する調査研究協力者会議)(第2回)議事要旨

私学共済年金研究会(私学共済年金制度の在り方等に関する調査研究協力者会議)(第2回)議事要旨



1 日   時     :平成15年7月24日(木)14:00〜16:00

2 場   所   :東京ガーデンパレス   3F「扇」
3 出席者  
委          員 :青木、雨宮、上野、神田、北村、真田、黒田、白石、角田、田村、長木、吉田の各委員
事   務   局 :加茂川私学部長、久保私学行政課長、山本私学共済室長   ほか関係者
私学事業団 :小池常務理事   ほか関係者

4  議事概要
(1)    委員の出欠状況報告、委員紹介
   事務局より委員の出欠状況の報告及び初参加の委員の紹介がなされた。

(2)    議題に関する資料説明及び質疑・意見交換
[議題1   年金改革の動向等について]
   事務局より「資料1の1   平成15年度予算編成の基本的考え方」、「資料1の2 今後の社会保障改革の方向性に関する意見」及び「資料1の3   経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」により、政府の諮問会議等の年金改革に関する提言等について説明があった。
   説明後、次の質疑等が行われた。(●委員、○事務局等)
   社会保障審議会の意見書中の「各制度間の給付や負担の整合性」とはどういう意味合いのことか。この研究会で検討していることとの関連がわからない。
   年金、医療、介護等、種々の社会保障制度間における給付や負担についての整合性のことだと思う。
   介護保険の給付を受けている方でも食費や老人ホームの費用等は年金で賄うものと思うが、実態ではこれらについても介護保険の給付から支出しているケースが多い。このような方々の年金を減額していいのかという議論があることから、福祉給付と年金給付を整合した上で給付上限を決定しようという意味合いではないだろうか。
   ご説明いただいた提言等の中で、この委員会で検討して行くべきポイントはどこになろうか。
   閣議決定されている「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」で示された課題を念頭に置くことになろう。この場合、私学共済の年金制度は基本的な仕組みを厚生年金や他の共済に揃えていることから、厚生年金等が方針を変更するとなれば、これに倣って検討する必要があると思う。
   「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」に年金制度の改革の基本方針として掲げられている、積立金の抑制や運用等について、具体的にはどのようなことなのか。
   「第三者機関で効率的に行う」という記述は、制度横断的に積立金をまとめて運用することによるスケールメリットを想定しているようにも受け取れるがどうなのだろうか。
   公的な制度が大きなファンドを持つことが国民経済的にみて効率的なことなのかという議論は、かねてから我が国だけでなく外国でもあった。現在は株式運用で赤字が出ている状況にあるため、これを念頭に書かれているのではないだろうか。
   社会保障審議会年金部会の審議はどのような状況か。
   制度改革に関する各論の議論をひとまず終えて、総括的な議論に入るという状況だと聞いている。その審議を踏まえ、この秋に意見書がまとめられるとともに、厚生労働省から改革案が示されるものと承知している。

       事務局より「資料2   平成13年度財政状況」により、私学共済制度の年金事業の財政状況について説明後、引き続き、次の質疑等が行われた。
   資料にある20年以上勤務者の平均的な年金額については、加入者向けに配布されている「レター」という広報誌にも具体的な例示として掲載されていたかと思うが、例えば20年、30年といった区切りでの数字は掲載されているだろうか。
   「レター」には、いわゆる「退職年金相当」で加入期間が20年以上者の基礎年金を含まない形での実績を掲載しているが、加入期間が20年丁度というような形での掲載はしていない。
   教職員にとって専門的に書かれたことは理解しにくいので、例えば60歳定年の場合として、年金受給権の有無や具体的な受給額などがわかりやすく示されるような工夫を強くお願いしたい。
   私学共済年金の収支状況は、現在はマイナスのようだが、いつ頃からプラスになるのか。
   今後5年間程度はプラス指向で進んでいくとの展望を持っている。さらにそこから5年後の姿については、いろいろな推計方法があるため、現時点では掌握していない。
       なお、運用利回りの目標は2.1%に置いている。今年は2.6%だったが、今後も目標を達成できるように、例えばポートフォリオの見直しを行うなど、長期的に見て安定した運用が出来るシステムの構築を目指している。

[議題2   公的年金制度の一元化の推進に係る対応について]
   事務局より「資料3   公的年金制度一元化の推進に係る当面の検討事項への対応」、「資料4の1   保険料引上げの前倒しの目的と検討の視点」、「資料4の2   保険料引上げの前倒しの検討に係る将来見通し」により、一元化の推進に対する私学共済年金としての対応、保険料引上げの前倒しの考え方や論点等について説明があった。
 説明後、次の質疑等が行われた。
   平成13年の閣議決定では財政単位の拡大と費用負担の平準化の二点が掲げられているが、財政単位の拡大について、厚生年金を含めた全ての制度に広げるということになれば、私学共済としても何らかの考えを打ち出さなければならず、この研究会の議論ではその点を踏まえておかなければならないのではと感じている。
       また、費用負担の平準化というのは二通りの意味があると思う。一つは各制度間の平準化、もう一つは時間的な平準化である。今回の課題は前者の方だと思うが、私学共済がこれを実行すれば財政はさらに良くなってしまう。さらに、これは先程の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」に掲げられている積立金の増加という新たな問題も出てくる。
   財政単位の拡大とはどの程度のことを考えているのか。
   制度間の財政調整や財政そのものを統合する等、かなり幅が広いと思う。
   国共済と地共済は財政単位の一元化がなされる一方で、私学共済が単独で将来的に運営を続けていけるのかということを見据えなければいけない。
   保険料引上げの前倒しは閣議決定事項であるため、検討の視点は引上げ幅、引上開始時期等をどのように考えるか、つまり、どのような目標を立てながら前倒ししていくかということになろう。私学共済の位置付けについては財政単位の拡大ということに絡むと思うが、年金制度は長いスパンで見通すものという非常に難しいものなので、保険料前倒しの課題とは結論の出し方や検討の時間が異なるだろう。
   「地方公務員共済年金制度に関する懇談会」という会議ではインターネットで議事要旨を公開しているが、この協力者会議でも加入者の理解を得るための取り組み、努力が必要ではないたろうか。
   財政見通しの前提となる加入者数の推計は、これまでは学齢人口比例で行うのが良いという見方をされてきたが、今後の見通しとしてはどのような推計をとっていけば良いのか。
   学齢人口比例の動向を踏まえるというのは一つの考えかと思うが、この場合は私学の経営努力や進学率の動向といった要素は全く考慮されないため、最も厳しい見方になろう。そうした場合に、どのように財政を設計すれば安定するのかを把握しておくことが肝要と考えている。
   社会構造の変化は就学人口にも影響するが、加入者の動向についての予想が立てにくい時代であり、慎重に推計しなければならない。
   先程の話では運用利回りの目標は2.1%ということであったが、将来見通しの中の計算の前提条件で運用利回りを3.25%としたこととはどういう関係なのか。また、保険料の引上げ幅の根拠は何か。
   運用利回りについては、厚生労働省が昨年の12月に発表した「年金改革の骨格に関する方向性と論点」において使用している数値をそのまま用いたものである。これは、厚生労働省が基礎年金部分を推計する上で3.25%を使用しているのだが、私学共済制度が将来推計を立てる際には、基礎年金部分の数値は厚生労働省から貰っている関係上、報酬比例部分の推計でも整合性の関係からこの数値を用いているものである。引上げ幅については、5年で0.01の上げ幅というような目に見える形で、かつ、最低に近いものを出そうとしたものである。
   私学共済年金は今後も独立してやっていくのか、それとも一元化になっていくのか。結論自体は出ているのか。
   閣議決定の一元化の意味は、組織を統合するという意味合いと財政的な統一という意味合いの二つがあるのだと思う。
   閣議決定では、ご指摘の二つの意味合いに加え、厚生年金等との財政単位の一元化を含めた、さらなる財政単位の拡大と費用負担の平準化について、被用者年金制度が成熟化していく21世紀初頭の間に結論を得られるよう、検討を急ぐとされている。なお、「さらなる財政単位の拡大」とされていることから、まずは制度として残しつつも財政単位をどうするかという課題であると理解しており、制度全体の統合については別の議論になるものと思っている。
   一元化することは決定事項であって、これを推進する上で我々はどう対応していくのかを議論する必要があるのではないのか。
   この会議では、まずは次期財政再計算時までに対応すべき課題である保険料引上げの前倒しと私学共済の位置付けについて検討し、一元化に向かってどう対応すべきかの議論は別途お考えいただきたいと思っている。
   私学共済が今後も単独で歩んでいくことも一つの道ではあるが、一元化の理念は、将来、制度を救済してもらうという趣旨なのか、それとも構造改革の一環として整理されるという趣旨なのか。
   一元化については、組織の統合というイメージを持たれがちであるが、閣議決定で言われているのは財政に対してであり、財政単位をどうするか、あるいは費用負担をどうするのかという課題についてご検討いただきたい。
   閣議決定では曖昧な部分もあろうかと思うが、中身としては組織の完全な一元化に向かうという明確な方向性があるわけではなく、統一的な枠組みの形成に向かう上で幅があるものと認識している。閣議決定に従い、まずは保険料引上げの前倒しの検討と私学共済の位置付け、この二点についてまとめていくことが我々に課せられていることだと思う。それに関して幅広い議論をしていただければと考えている。
   将来推計について、現時点において私学共済にどのようなリスクがあって、今後どのような姿を目指していくのかということがわからない。「こういう姿を目指すというシナリオがあるが、その上でどのようなメリット・デメリットがあるかを検証するために試算した」という流れであれば議論しやすいと思う。
   ゼロから課題を設定して見通しを試算したというのではなく、閣議決定において保険料の前倒しを行うという方向性が出ているので、この前提によりいくつかシミュレーションを行ったという形になっている。
   保険料引上げの前倒しの仕方としては、ある程度の意図を持って行う必要があるだろう。「このようなリスクを回避するためにこの程度の前倒しを行う」というような意味づけが必要だと思う。
   前倒しについては閣議決定なので必須の課題だと思っているが、これに応じる上でどのような方法が加入者負担を抑えつつ、厚生年金で示されている保険料上限の20%に近づけるのか、追いつき方をどのように設定するかというのが課題となってくると思う。ただし、一人あたりの負担が増加すれば各学校法人の負担も当然に増加すると思うが、推計した資料はあるのか。

    事務局より「保険料引上げの前倒しによる学校法人等の負担増加額」の資料を配付・説明の後、引き続き、次の質疑等が行われた。
   保険料の引上げについては、加入者や学校法人に対して過大な負担とならないようにバランスを取ることが大切であり、お配りした資料はこの点を踏まえてシミュレーションしたものである。
   資料を見る限り、学校法人としては負担が多いように見受けられる。負担率があまり増加しない方法での引上げ方が望ましい。
   学校経営にも関わる話であるので、今後、いくつか案を示した上でご検討いただきたい。
   保険料の引上げについては、給付が決定している以上、それに見合う負担をどうするかという話であり、引き上げ方を穏やかにして上限を抑えるということであれば給付を減少させるしかないだろう。もしくは積立金の運用利回りを上げる。この二点しか方法はないと思う。
   現在の共済年金の給付というのは基本的には厚生年金と同じ、ただし職域部分だけは異なるが、この形で将来的にも進んでいくのかどうかという疑問がある。給付の平準化について国共済や地共済でも議論になっているようだが、仮に厚生年金の給付が下がると共済年金の報酬比例部分の給付も下がってしまうことから、それならば職域部分をどうするかという議論に行き着く気がする。これらを含め、給付の在り方を考える必要があるのではないか。
   国共済、地共済との並び、水準の確保という問題になるので、そちらの議論を踏まえていく必要はあると思う。

(3)    次回の日程について
   厚生労働省の年金改正案等の公表がこの秋に予定されていることから、その状況等を見極めた上で、後日、連絡することとされた。

(了)



(高等教育局私学行政課私学共済室)

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