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:「学校法人制度の改善方策について」の最終報告と本検討会との関係はどのように考えればよいのか。
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:最終報告は学校法人分科会の下に設置された小委員会によるものである。同報告でも「会計基準の見直し」に言及されているが、検討課題の整理にとどまっており、詳細は「専門的・実務的知識が必要とされるため、本委員会とは別に、新たな組織を設けて検討することが適当」としている。本検討会がその「新たな組織」であり、自由に御議論いただきたい。
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:公認会計士協会の「論点項目」(資料2)で挙げられている項目のうち、特に「5」(基本金)及び関連して「4」(消費収支計算書)は、基本金の概念をどれくらい継承しつつ学校法人の状況に合ったものにしていくかがポイントである。
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:「4」は、消費収支計算書の構造について、使途を特定した寄附や学生納付金等と、経常的な支出に充てられる収入を分けた方がよいのではないか、という問題提起である。関連して「5」では、基本金のとらえ方についての考え方を整理した4つの見直し案を挙げている。(1)は基本金に組み入れたものは永続的に維持するとの前提。(2)は必ずしもそうではない。(3)は「経常的な支出に充てられない収入」を基本金とする考え方で、企業の資本金と剰余金の考え方につながる。(4)は基本金の廃止。但し公益法人に係る会計基準「中間報告」にいう指定正味財産は、拘束の部分は学校法人の基本金と似ており、「中間報告」でも実際には基本金のような概念は残っている。廃止というのは、基本金と繰越収支差額の区別をする必要はないという考え方である。(3)についても、経常的な収入と支出との差額(剰余)のうち基本金として維持することが必要なものは、理事会等の意思決定を経て組み入れるという考え方は残る。
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:目的を報告会計と割り切れば、(3)が最もすっきりしている。但し、学校法人を永続的に維持していくための仕組みを会計基準に取り込む必要があると考えるのであれば、そのための基本金を認める余地があるのかが検討課題となる。
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:基本金を廃止してもそれに当たるような概念は残るので、(3)と(4)はそう違わないのではないか。
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:(4)はあくまでも資産サイドでの現物管理という考え方で、学校法人の教育研究活動にとってどういうものを維持すべきファンドとして持っていなければならないのかということの説明にはなっていない。
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:結果的には(3)と(4)はほぼ似た形になる。
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:(3)の場合、創立時に寄附された財産は基本金になるのか。
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:基本金そのものだと思う。
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:途中で産み出した利益を注ぎ込んで学部・学科を増設した場合は、基本金にならない。
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:(1)の課題は何か。
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:現状では、例えば取替更新する施設設備が必ずしも常に維持していかねばならないものか、という判断がずれてきている面がある。リースによる建物の利用をどう見るかも内部の意思決定で、教育研究活動のファンドとして維持しなければならないものとして必要と整理することもある。これに対し、(3)では、外部からキャッシュとして入ってきた時点で「経常的な支出に充てられない」との拘束性を有するか否かを区別することになる。
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:基本金についてのテクニカルな議論の前に、まず今の基本金の考え方を今後も存続させるか否かという大前提のところを考えるべきである。その上で、それに最も適した会計処理の在り方はどうか、と議論を進めるべきである。例えば基本的には今と同じやり方でよいということであれば、そんなに大きな変更を加える必要はない。
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:今のままでは、大きく変わりつつある学校の現況を十分反映できないのではないかと思っている。また、財産をきちんと保持し、収支バランスの均衡を保つことだけではなく、縮小の方向についても対応できる会計を考える必要があるのではないか。
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:財務会計の機能と管理会計の機能を分けて考える必要がある。世の中が求めているのは、教育機関として真に充実した教育が行われているのかということを明らかにできる仕組みであり、財務会計の中にそれを全部取り込むのは無理がある。また、予算との比較で見るのかという点もある。我々はいわば第三者であるが、学校法人の当事者は自らの活動をどう説明しようと考えているのか。また、これまでの維持構造の考え方を放棄し、場合によっては縮小してよいと考えるのか。会計的にはいかようにも対応できる。
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:今の会計基準について、もう少し分かりやすくすべきとの要請に応えなければならない。これまで大事にしてきた財産維持の考え方を捨てるということではなく、依然として基本的な財産は守りましょうという考え方はある。ただ、場合によってはそれを捨てることもできる、ということを説明しやすいようにしていくべきである。
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:基本金に議論が集中した場合に、損益取引と資本取引を分けるという考え方に踏み込んでいくと、抜本的な話になってくる。例えば損益取引から生じた剰余金を利益処分し基本金組入れを行うということになると、今の私学の構造から、「利益を処分」するという考え方が社会に受け入れられるかという問題が出てくる。報告のため分かりやすくするのはいいが、資本の概念を入れるのは抜本的な変更で、場合によっては基本金の考え方の放棄につながりかねない。ある程度、出口を考えた議論とすべきではないか。
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:基本的な財産を維持するという考え方、収支のバランスをとっていくという考え方など、学校会計として守らねばならない基本的なことを維持しつつ、その上でどういう工夫があるかという範囲の議論であろう。
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:(3)(4)の考え方は、私学団体としては受け入れることは難しい。維持すべき資産の額は表示する必要があり、今の基本金の会計は崩すべきでない。(2)(減価償却費見合額の取崩し)の問題がクリアできれば今の制度でよいのではないか。学費の説明等の際、基本金組入れと減価償却費の関係について、なかなか理解を得ることが難しい。
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:(3)の問題点は何か。
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:私学の場合、利益が資産になるという考え方はなじまない。
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:利益を設備投資に回すという考え方が一般に受け入れられないのではないか、ということか。
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:理事会でも、収支均衡か赤字か黒字かの説明は要求される。帰属収入から基本金組入れを差し引く際に、その中身が良いか悪いかの説明は難しい。(3)(4)のように理論的に割り切ってしまった場合、その点が心配である。学校法人が企業ともNPO法人とも違うところをどこまで説明できるか、について議論を深める必要がある。
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:剰余であるというのと第2号基本金に組み入れるのはそれほど違わないのではないか。
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:修繕費で賄うべきものは第2号基本金になるものではなく、当該年度の第1号基本金であると思う。また、支出金額どおりであればまだ説明しやすいが、実際には廃棄処分や売却等もあり、金額がリンクしてこない。
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:貸借対照表上で、今の基本金と繰越消費収入超過額をまとめて正味財産と表示することは、資産、負債、資本金を対比しやすいという意味では構わないと思う。維持すべき資産の額を表すという今の基本金の体系は非常に大事である。いかにも当期純利益と対比されるような計算体系は、私学としては如何なものか。
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:正味財産の増減で説明し直すとかえってややこしくなる。
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:剰余の有無、使途は説明すべきである。
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:剰余の有無は貸借対照表で分かる。今の会計基準の構造から基本金をなくすと、差額が利益として出るが、それはおかしい。(3)を敷衍して、資本取引と損益取引を分けた場合、従来の会計構造との比較で、学費についての考え方が変わってくる余地があるのではないか。
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:入口で区分するという考え方は理解できるが、現実的には相当の混乱を来たすだろう。通常、消費収支差額が大体均衡しているということから学費水準を説明している。
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:資産、負債とその差額の正味財産という見方をした場合、正味財産が説明しにくい。そもそも設置基準の緩和等の流れの中で、「維持すべき資産」の概念をどうとらえるか。持つべき資産の指標とするか、現に持っている資産の指標とするか。(3)については、寄贈者の意思で拘束されるものに加え、獲得利益の中から当該法人の意思決定で拘束するとしたものも基本金に含める、ととらえればよいのではないか。
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:(3)は原理的には分かりやすいが、現実には対応できない学校法人が多いのではないか。小規模法人にとっては、30年続いた基本金の制度を大きく崩すより、当面(1)のような形が受け入れやすいのではないか。
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:(3)では基本金制度を継承したことにならないのか。
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:考え方は理解できるが、移行が大変だと思う。
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:本検討会としての方向付けを考える際には、理論的にどうかということだけでなく、実際に受け入れられるかということと、両方を考えなければならない。
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:大学から幼稚園まで同一の会計基準か。
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:基準は基本的な会計の枠組みであり、自ずと違ってくる面はあろう。
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:小規模法人については(3)では混乱する。その場合でも例外規定が必要ではないか。
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:理念は理念として、移行を考えると、利益剰余金から付加して学校が維持しようとするものを例えば「第5号基本金」とすれば説明しやすい。
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:私学事業団の統計を見ると帰属収入で消費支出を賄えない法人がだいぶ出てきている。私学団体の代表としてその利益を代表した言い方はやむを得ないところである。
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:(3)を具体的に示すとどういう姿になるのか、事務局で整理して欲しい。
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:次回は情報公開に関連する部分についても議論を深めたい。
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:私学法改正の準備作業上、次回は、財務情報の公開に関わる部分を中心に論点整理の素案のようなものを用意させていただきたい。
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:事業報告書についてはどう考えているのか。
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:法律では細かいところまでは規定しないが、検討は当然必要である。
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:法律改正はいつ頃になるのか。
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:次期通常国会に法案を提出する方向で準備中である。 |