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資料1

薬学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議(第12回)議事要旨(案)

1.日   時 平成15年7月30日(水)14:00〜16:30

2.場   所 文部科学省分館201・202会議室

3.出席者 末松座長、佐藤副座長、野村副座長、秋尾、市川、乾、北澤、桐野、児玉、全田、高柳、舘、寺田、富田、福田、望月、矢内原の各協力者
文部科学省:高塩審議官、小松課長、北山課長補佐、加藤(健)課長補佐ほか関係官

4.議   事

(1)    教育制度の在り方、生涯学習、の論点及び「中間まとめ(案)」について議論が行われた。発言の概要は以下のとおり。

   医療人としての薬剤師、職業人としての薬剤師を養成するということを目標に掲げているこの薬学教育の改革によって、大学は相当コストがかることを覚悟しなければならない。

   私立薬科大学は6年一貫でやらざるを得ない。もし全部大学院とするのであれば、設置基準を緩和していただくことが必要だがそれは不可能。大学院の修士課程は学部と違い、それだけの教員、設備、研究施設等が必要であり、それを考えると4年制学部+2年修士は私立薬科大学にとって非常に難しいものとなる。

   大学院設置基準を改正することもあり得るのか。
→   この会議で4年制学部+2年修士の制度が採用され、アドバンストを展開する2年の修士部分の教育内容についての議論が固まった場合には、それに応じて改正についても検討することとなる。

   6年の学士と4年の学士ができた場合、薬学部としてそれぞれの学士に対して何を目的として作ったのか、どんな違いがあるのか、ということを社会から問われた際の明確な答えが必要である。

   6年制学部と4年制学部+2年修士が考えられるが、6年制学部は実際に患者に接する実務実習を加味した充実した学士と言える。4年制学部+2年修士は、4年で学部を卒業すれば当然学士が得られる。そのまま社会へ出て活躍する人もいる。また、修士課程へ進み、薬剤師の資格を得る者もいる。

   国際的な整合性も考慮し、医師をMDと呼ぶこととしているのと同様に、6年制学士はPharm.D.という称号とし、それを目指した改革であるという説明を行えば、社会に対して薬学教育の制度がいかに変わるかということをアピールできる。Pharm.D.という称号が使えるようなシステムについても触れていくことが大事である。

   多様性をどう保持していくのか、認めるのかということが重要である。4年で卒業し、一度社会人となって2,3年薬学以外の世界を経験し、それから薬剤師になるという選択肢も今後は必要になる。

   現状よりも増えるカリキュラムについてその内容と単位数を表示すると理解が得られやすい。今まで4年であった薬学教育が、なぜ6年必要なのか、現在の薬学教育には何が不足しているのかという点を具体的に示すことが、この会議に求められていている。

   実務実習の受入れ体制及び指導体制の在り方に関し、まず指導体制について触れ、実務実習は大学における教育として行われるものであるということを明記した上で、受入れ体制という順番で記載したほうがわかりやすい。

   日本の薬学は、有機化学の分野に限って世界的な貢献をしたわけではないので、分野を特定する記載は削除すべきである。

   意識的に医薬品の適正使用という文言を入れるべきである。適正使用とは、よく知られているとおりの普通名詞ではなく、非常に大きく深い意味を持った固有名詞的な意味で使うべきである。また、国際通用性の観点において、国際的な調和・融合といったフレーズを書き足すべきである。

   指導体制の在り方において、実務実習指導者の評価についての記載があるが、大学の評価にまでも入ってくるようなニュアンスを得ているため、誤解を受けないような表現にする必要がある。

   次に展開する制度では、新しい視点がどこにあるのか、今までの薬学教育の内容を量的にどの位増やしていかなくてはいけないか、ということを明示する必要性がある。その1つは実務実習であろう。年限の延長は受験生には相当な負担となり、国公私立大学にとっては設備を含めて相当な投資が必要となる。これだけの負担を伴うからには、納得を得られる内容を提示すべきである。

   来年4月の国立大学の法人化を控え、自主的、自立的、そして個性の輝く大学の制度設計が強く求められている中、大学全体で薬学をどうしていくか考えていくべき状況にある。弾力的な制度設計、法的な面で拘束するのではなく、様々な可能性と多様性を残すような形が望ましい。自主的な形、非常に柔軟な形で制度設計・システム作りをする方向で議論を進めるべきである。

   薬剤師の質の向上が必要であることから、教育の年限を延長する。それと並行して現役薬剤師の質も担保をする、そのために免許更新制も導入する、とするのが社会にわかりやすい。質の担保を数字で示すということも必要。大学を卒業し国家試験を通った人が、しばらく薬剤師として仕事をしていなくても、また薬剤師として復職する際の条件を制度化することによって、教育のレベルを上げることとの整合性がとれる。現役薬剤師の質の担保とセットにしていかないと年限延長は国民全体の理解を得るのは困難である。

   学会など、専門職の卒業後のレベルアップがどれだけ行われているかということが社会に知られていないため、クリアに示すことも必要である。

   厚生労働省の薬剤師問題検討委員会において、薬剤師資格を取った後の話について検討中であり、まもなく報告が出てくる。

   日本薬剤師研修センターを中心として新しい薬剤師認証制度を作り上げる委員会が今立ち上がりつつあり、10月にも合意される予定。日本薬剤師会、日本病院薬剤師会、日本薬学会、厚生労働省、国公立薬科大学(薬学部長・科長)会議、私立薬科大学協会、医療薬学会の関係者が集まり、いかに現役薬剤師の質を上げるかということに対して検討を始める。

   共用試験について、大学人が責任をもって薬学教育の最前線を担い、学生の質を保証できるように、単なる実務実習に入るための資格試験に終わるのではなくもっと重みをつけるべきである。

   中間まとめの中では、薬剤師の養成のための薬学教育には6年間の期間が必要であり、制度論として6年制学部を使う方法と4年制学部+2年修士という方法があることまでの記載で十分である。

   長期履修制度についての記述も追加すべき。

   平成8年から現在に至るまでの7年間で医療薬学系大学院がどのくらい設置され、それが現役薬剤師の生涯教育にどの程度具体的に役立っているのか示すべきである。

   中間まとめの段階において、なぜ今改革が必要なのか、ということを社会へ説明すべきである。

(2)    市川委員より、実務実習モデル・コアカリキュラムの作成に関する小委員会及び作業部会における作業について報告があった。

(3)    閉会


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