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実務実習を受け入れる病院・薬局をグループ化し、個々の機関における実習の質のアンバランスをなくすことは重要。日本中どの地域でも同じ質が確保できるようにしないとカリキュラムとしての実務実習とはいえない。また、当該実習の指導は大学が責任をもって行うべき。この点は、早急に組織を作り、実習のコア作成とその方略を考える必要がある。
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病院は受け皿だが、薬科大学の学生を受け入れる義務はない。これまでは本人の努力で病院に入ってやってもらっていたが、この苦労を後世に残すことはしたくない、という思い、また、同じ薬学という中にいる仲間である、という思いから、日本病院薬剤師会は全面的に協力する、と申し上げている。
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先日、300床程度の病院を見学してきた。病院関係者からは、現場において即戦力となる人材に就職してきて欲しい、という意見があった。しかしながら、そのような人材を養成するための実習を病院で引き受けることが可能かと問うたところ、今の病院の人数では難しい、との回答になる。実習の意義は否定せず、実習を経験した良い学生が欲しいが、そのレベルの学生を養成するために自分たちが負担を抱え込むとなるとそれは困難だ、という自己矛盾がおきている。このような状況で、この協力者会議で理想論だけを出していくと現場が困ることになろう。実現可能な方策を作っていくために、早急に方向性を決める必要がある。
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病院の薬剤部長クラスにこの協力者会議での議論が十分に伝わっていない。現場の人たちを巻き込んで議論をしていかないと、トップダウンで落としても上手くいかない。今のうちから現場の人たちが何ができるのか一緒に考えていく努力も必要。
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理想と現実のギャップを埋める作業を責任を持って進めていくことが必要であり、その方策を検討するメンバーを早急に決める必要がある。
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医療に携わる専門職種は数多くあり、それぞれが規則に基づき病院等での実習を行うことになっている。医学部・歯学部以外は附属病院が必置でないため、教育提供者が大変な苦労をして病院担当者と議論をしながら実習を進めているのが現状。例えば、看護については長期間に渡る実習があるが、現場の看護師は義務ではないのにも関わらず、後輩を育てるために頑張っている。そして教育機関も全面的に協力している。薬学教育においても、大学側から申し込んでいけば、病院実習は可能ではないか。教育提供者としては、病院実習を含めた教育を考えるべき。
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実習に関し大学側があまり内容を考えておらず、病院薬剤師会や薬剤師会が検討を行っている。今後、大学側が実習カリキュラムを考えることが必要。国公立大学薬学部長会議において、制度改革にあわせ、恒常的な実務実習について内容を詰めていくワーキンググループを作ろう、という話が出ているので、その場を活用すれば実習内容を詰めていけるだろう。
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紹介のあった事例は1ヶ月の実習であったが、これは1ヶ月の実習であっても十分成果が上げられる、という趣旨か。また、実習を受けることができる学生は先進県である神奈川県であってもごく少数にとどまっている、ということなのか。
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十分ではない。また、学生数についてはごく一部であることは事実。 |
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6ヶ月間の実習をまとめて行うのではなく、1ヶ月実習を期間をあけて先に実施し、その後長期実習を積み重ねていくことは効果的と考える。自分の進路を決定する早い時期、4年生もしくは5年生の適切な時期に講義を受けながら、1ヵ月程度の実習をすることに意義があると考える。
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事例のように、実習後8割方目標が達成された、ということは看護学生の場合には考えられない。看護学生はかなり長期に渡って臨床実習を行うが、その上で国家資格を取得した看護師が病院に入ってきても、看護職として機能するまで3ヶ月以上を要する。
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看護学は実学だが、今までの薬学は実学ではなく、臨床教育がなされていなかった、ということ。事例の研修を経た者が薬剤師として通用する、ということが必要である。 |
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実習はやらなければならないことであり、国公立の方ではワーキンググループ設置の案が示されたが、私立の方での検討体制如何。
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実務実習に関し、私立大学は国立大学よりも深刻に受け止めている。国立大学は全て医学部が併置されているため、実務実習を附属病院で行うことが可能。私立大学にとっては、十分な設備をもつ附属病院がある大学を除き、実務実習をどのようにして実施するかという問題がある。薬学教育協議会には国立大学も含めて全国実習調整機構が置かれており、そこで実務実習のレベルを統一していこうとしている。昨年、病院実習には8000人程度を受け入れ、実施した。これからは内容面でのレベルの統一が課題。 |
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国立大学においても、実務実習はこれまで大学附属病院薬剤部の先生に丸投げになってしまっていた。また、学部のスタッフは非協力的だった。これからは、薬学部においても、教育の責任としてとらえ、教授会等でも周知徹底し、大学としての責任をもって取り組むことが必要。国公立大学薬学部長会議において、実務実習の成功のためには学部スタッフも努力しなければならないということを積極的に発言していきたい。具体的な方策については、今後議論していくという決意を表明したい。
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薬剤師が、それを養成する国・公・私立大学で異なるということはありえない。大学関係者が実習のカリキュラムを作りあげる際、それをある程度サポートするために必要な体制づくりを文部科学省が主体となって行う必要があるのではないか。
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理想像と現時点とのギャップは明確。1ヶ月の実習は平成8年の報告で提言されていたものだが、7年を経過して今ここまでたどり着いた、ということ。今行うべきことは、1ヶ月やったらこれだけよくなる、という仕組みを一つずつ作っていくこと。
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これまでも実習の充実、期間・内容の充実についてはそれぞれできる限りの支援を行ってきた。今後、まず関係者の間で十分に体制を考えていただき、それを積極的にバックアップさせていただく、ということで検討したい。 |
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薬学教育における修業年限を2年延長することによって、どのような薬剤師が生まれるのか、何が今までと違ってくるのか、ということを端的にこの会議で説明する作業が重要。
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薬の適正使用とリスクマネジメントが薬剤師の役割。
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現行のカリキュラムの問題点は過密であること。国試の問題に対応するために知識教育が中心となってしまい、同時にほとんどが必修となっているため、窮屈なものとなっている。
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現在は昔よりも薬の切れ味がよいが、切れ味のよい薬には同時に重大な副作用がある可能性もある。医療現場において薬物の専門家がこれまで以上にコミットして活躍すること、すなわち他の医療人の中に入っていくことは、薬物療法の効率をあげるとともに安全性を高めるために必要。そのために、薬学教育においても病院実習をさらに長期化することが必要。創薬の場で活躍している薬学者についても、患者が求めている薬品を現場の経験を通じて知っていくことが必要。したがって、臨床の現場、患者がどう苦しんでいるのか、を知っている薬剤師が製薬会社に入り、薬を創っていくことが必要。
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「社会が求める」というところにコンセンサスがないのではないか。何らかの努力が必要である。薬学教育の修業年限を変える際に、単に年数の水増しであると誤解を与えないような取組が必要。そのためにも、社会に対して広く「理想の薬剤師」というものを示していく必要がある。赤ひげ的な調剤薬局の薬剤師に光を当ててはいかがか。
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生涯学習の機会をしっかりと提供していく、ということも必要な論点。5年に1度ライセンスを更新する、という位の努力が必要。
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世の中に対して説明することは大事。製薬企業も薬剤師とは全く無縁ではない。営業・生産・研究・開発・市販後という各部門に共通して、薬の適正使用のための情報づくりが製薬企業の仕事。同時に、どこに行けば適正使用の情報があるか、ということも知っておく必要がある。また、ユーザー側の視点も知らなければならない。
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医療現場において何が大切なのかということ、患者、疾患のことを、知識としてではなく経験として身につけている人材が企業に入ってくることを強く望んでいる。薬の適正使用は、的確な診断から始まり、処方を決定するとともに、副作用も含めて評価し、次のサイクルにフィードバックしていくことになるため、大変責任が重い。その意味で、製薬企業も非常に責任が重く、従って6年間の教育は結果的に必要であると考える。
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医学教育と比較した場合、薬学教育は実務実習がコア・カリキュラムになっていないのが問題。そこで、実務実習の内容を決め、実習施設の体制をどうするのか、ということを具体化する必要がある。それらをセットで打ち出していかないと訴えるものがない。どういう薬剤師を育てたいのかを明確化し、実務実習をしっかり受け入れる、ということを明確化する必要がある。この点につき、薬学の分野でももう少し努力する必要がある。
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基本的に医学教育と薬学教育の目指すところは少し違う。薬学教育では多様な進路がある、ということを前提にコア・カリキュラムを作成した。日本薬学会のモデル・コア・カリキュラムは分量が多い、細かい、ということもあるが、それは実情をよく知っているからであり、無駄なユニットを入れた、ということはない。
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医学のコア・カリキュラムは、記憶力だけの医師を作るのはもうやめよう、という考え方で作られており、実習がコア・カリキュラムの中に入っていることがポイント。薬学教育において実務実習は現在コア・カリキュラムに入っていないが、実習内容がカリキュラムの中でどうあるべきか、ということを十分に整理し、実習の内容を具体化する必要がある。同時に、実習施設の体制の在り方を具体化する必要がある。さらに、コア・カリキュラムの整理を行いながら、どのような薬剤師を育てたいのか、という論点を明確化する必要がある。
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今まで、薬学は研究が中心であり、実務が非常に不足していた、ということが反省点。 |
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今回、新たに充実させたいのが病院における実務実習であることをはっきりさせる必要がある。
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薬学部が国家試験予備校になっている、という指摘は当たっていると思われる。そうならないためにも、6年という年限が必要である。医薬分業率が50%を超えるなか、患者に安心してもらえるような知識や科学的問題解決能力が薬剤師に求められる。そのためには実務実習、卒業研究の充実が必要。サイエンスとして医療薬学をとらえることは非常に大切なこと。保険薬局の薬剤師は「町の科学者」でなければならない。修業年限については、6年一貫制、4+2年制、どちらでもよい。大学の多様性・個性を発揮し、お互いに良い意味での競争を行うことが、国民の期待に本当に応えることになる。
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この協力者会議の目標は、研究者であろうと薬剤師であろうと、薬の力を安全有効に使える人材の養成を目指している、と表現できる。実務と研究は無関係、という二分論になってはならない。
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実習は教育の一貫であり、文部科学省を中心としたシステムを作っていかなければならない。実際に新制度がスタートするのは10年後だが、それに向けて環境整備を考える必要がある。1万人いる薬学生をカバーし、学生一人一人に大学が責任をもって実習を受けさせるようなシステムを10年後に作り上げることを目指していく必要がある。実習は熱意のみだけでは無理であり、余力を残して十分できうる制度を構築していくべきである。
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教育成果の社会的還元という視点も必要。トランスレーショナル・リサーチとの関連も出てくる。医療の現場において何が必要とされているのか、ということを、教育現場にフィードバックしてもらう必要がある。これを行う際には、学生からの意見を反映させることも必要。
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会議がわかりづらくなってきている。創薬研究と薬剤師養成が会議当初の頃はパラレルだったのが、今では薬剤師養成に傾いてきている。創薬研究と薬剤師養成では、実務実習の対象が異なる。研究は自然現象を相手にするが、薬剤師は人間を相手にする。また、病院のシステムを薬学の実務実習のために変える、ということは困難ではないか。
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薬学関係者の間に、「臨床と研究とではレベルが違う」という発想があるのではないか。医学においても、かつては「実習はつけたしだ」というような感覚が強くあった。同じ医療関係者であり、抱えている問題は似ていると思われるが、この感覚は改める必要がある。
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例えばSARSに関し、日本医師会がSARSの防止のために必要なことをまとめた資料を出している一方で、日本薬剤師会は出していないが、これは問題。日頃から薬剤師のイメージアップを考えていく必要がある。 |