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資料1


薬学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議(第8回)議事要旨(案)


1.日  時   平成15年4月23日(水)10:00〜12:30
2.場  所   文部科学省分館   201・202特別会議室
3.出席者  
末松座長、佐藤副座長、野村副座長、秋尾、市川、乾、北澤、桐野、佐村、 全田、舘、寺田、富田、福田、望月、矢内原、吉岡の各協力者
文部科学省:木谷審議官、小松医学教育課長、北山課長補佐ほか関係官

4.議事

   寺田委員から、「ゲノム創薬研究センター」を中心に東京理科大学の研究システムについて説明があった。引き続き、富田委員から、国公私立の薬学卒業生及び大学院修了生の進路状況について説明があった。

(1)    福田委員から、資料4「最近の医学教育改革の動向」によって医歯学の共用試験について説明があり、その後、薬学教育における共用試験の在り方について議論を行った。各委員からの発言の概要は以下のとおり。

   あと2回でこの会議が終わるという話もあるが事実関係如何。
→任期を1年でお願いしており、今年の10月ぐらいまでに最終報告をまとめていただきたいと考えている。夏前に中間まとめを公表し,関係者からの意見を広くもとめて、更に議論していただく予定。法律改正を行うこととなった場合には、最終報告の後、中央教育審議会への諮問等が必要となる。

   医歯学の共用試験は、薬学教育においても、免許を持たない学生が薬を扱い、患者に接するという実習を可能にしていく有力なプロセスであると思われる。こういうものがあって初めてカリキュラムが実習を含めて体系化されると考える。

   共用試験の問題は難しすぎるという指摘があるが、今の学生は学習した内容を蓄積していない。共用試験が問うているのは繰り返し勉強しなければならない基本事項。

   教員が考えているほど、学生のレベルは高くない。学生に考える力を身につけてもらうためには、適切なレベルを設定していくことが重要。

   CBTは客観評価ができるが、他方、臨床の態度や技能について評価を行うOSCEの場合、評価の客観性をどのように担保するのか。CBTとOSCEの配点の割合をどうするのか。
    →OSCEの場合も評価項目は決められており、標準化も行っている(それが果たしていいのかという問題は残るが)。CBTとOSCEをセットにしているが、それぞれの基準を満たしていないといけない。OSCEの方は点数評価になじむのかということが問題になってもいる。しかしながら、学生は、適性の問題が含まれているOSCEの評価結果を深刻に受け止めている。当然、教員側も慎重に対応している。

   CBTは知識量を問うものが多くなる。一方論理的思考能力や表現力をみることも重要と考えるが、そういった点をみる試験はどうするのか。
    →論理性を問う問題については現在試行中。記述式の試験をPCで行うのは困難だが、各大学が個別に実施することが必要。

   英語での出題については検討されているか。
    →本格的に英訳をすることになるとかなりの作業量になる。米国のUSMLは日本でも受験できる。卒業生や学生の中には実費を払って受けている人もいる。英国との情報交換の話も出ており、近いうちに英訳の本格的作業に入っていきたいと考えている。

   将来的に、薬学に関する共用試験を医歯学教育システム研究センターが実施する可能性は考えられるのか。
    →システムを含めて他の分野への応用はできると考える。

   共用試験の実施を契機に医学教育は格段に進歩したのではないかと考えている。共用試験の実施から得られている教訓は大きい。これを薬学に適用すれば、必ず同じことが起こってくるであろう。共用試験をてこにすれば、薬学の様々なことが改善できると思う。

   ほとんどの大学が共用試験トライアルの結果を大学内の評価でも内々使われている模様。OSCEのほうはまだ評価者が十分に教育されておらず、評価基準も統一されていないので各大学で評価の際に用いられているとはいえないが、CBTはかなりの大学が使っている。

   共通の基準で評価を行い、それが客観的な数値となって大学にはね返るということは、教える側の意識改革に大きく寄与すると思う。是非薬学の方でも共用試験を採用してはどうだろうか。一番大切なのは学生のための教育であり、それが国民の皆様の期待に応えるということ。世論の厳しい評価が、共用試験実施のきっかけだったろうと思う。薬学でも実施すべきと考える。

   各大学から薬学教育の中核的人材を結集し、実施時期や試験内容等につき、まとめていくことが必要。

(2)教育制度の在り方について議論を行った。各委員からの発言の概要は以下のとおり。

   4年間の薬学教育で、コアカリキュラムを学んで一旦卒業し、卒後に6ヶ月の実務実習を行い国家試験の受験資格を得るという制度はだめなのか。筆記試験対応が必要な人には予備校的なものをつくり対応すればよい。どうして6年間まとめてやらないといけないのか、という点がわからない。4年で終われば親の学費負担も軽く済む。6年にすれば設備投資や教員の増員も必要になる。薬剤師養成と研究者養成の目的ははっきり分けてもよいのではないかと考える。

   研究者養成を否定はしないが、薬学は人を対象とする実学である。講義を受けて実習をし,講義と実習の相互作用により、どういうものなのかを体得するという養成課程が望ましい。知識だけをもって国家試験に臨むことは、薬学の理解度という点で十分ではない。

   実務実習のスタイルや期間についてはこれからの検討課題である。

   これからの薬剤師養成は今のシステムではできない。これまで以上のことがいま要求されている。薬学において学ぶべきことは講義だけでは修得できない。医学・医療の変化に対応できるようにしなければならないのだが、現在の薬学部の教育では必ずしも十分とはいえない。そこで、コアカリキュラムが作られた。医療事故も含めて本質的なところで薬学とは何かということが問われている。

   生徒自身が多様な進路を選んでいるのは承知している。薬剤師養成のための教育制度について、倫理のこと、現場のことを含めて、年限については6年制が必要であるという意見に多くの方が賛同していると理解している。

   薬剤師業務の内容は深まってきており、6年程度の教育年限が必要である。教育現場において、実学的に患者に投薬をするということが必要であると考える。

   6年と4+2年という2つの意見に分かれているが、医療法によって、薬剤師は、人の命に直接関わる業務を担当することから、専門性と医療人としての高い倫理性を備えなければならない、とされている。このことは、医療現場における実務実習を通じて初めて習得されるものである。薬剤師養成は非常に大きな部分が教育に託されており、薬剤師国家試験はその適格性を判断することを目的としている。薬剤師養成のための教育制度は、プロセスが重要であることから、分断された仕組みではなく、一貫した教育課程が優れていると考える。

   社会に納得してもらえるようなものにするには、大学関係者の間での真剣な討議が必要。将来薬学をどうしていくのか、未来に対して責任を持つための討議が必要である。

   薬学教育の多様性、実務実習の重要性、共用試験の必要性を踏まえて議論が進められている。ある程度の枠を設定してその中で議論していくべき。

   大学において、コアカリキュラムや実務実習のほか、5年目、6年目にどのような教育を行うべきかということが議論されていない。

   座学と実務実習を切り離した教育は良くない。実務実習を丸投げしてしまうのであれば、それは卒業後にやればいい、と言われるのは当然。大学はなぜ卒前に実務実習をさせようとしているのか、ということを大学人同士で議論する必要がある。

   実務実習と共用試験は切り離せない。カリキュラムの見直しも必要である。実務実習まで考えた全体の像ができていない。

   実務実習が大きな焦点。教育の中に実務実習も含まれており、薬剤師養成については大学が基本的に責任をもってやっていくというのが、薬学関係者の合意に近い線であると考える。

   6年でやるべきなのか、もしくは4年で切って薬学士として基本的なレベルに到達したあと各々が進路を決めていくのか、残りの2年間についてどうしていくのかという点については結論がでていない。

   医療に関係するところでは事故はあってはならない。過誤を限りなく0に近くするためには、4年の学習の後の2年間が重要になってくると思う。

   どうして4年の後に2年が必要なのかというと、1医療事情の中で薬学は複雑化しており現状の4年間の教育では追いつかない、2薬をつくるという研究者養成も十分できていない、ということがある。

   現実として90%以上の学生が国家試験を受けている。薬学部に入ったら薬剤師資格を取れる、ということは基本にしなければならないと考える。

   5年制も考えられるのではないか。

   4年でコアカリキュラムを学び半年の実務実習を行って、5年間という意見もあるが、薬学教育はコアカリキュラムを中心に決められたことだけやればよいのではなく、課題発見型、問題解決型、研究者的な態度が必要であるため、卒業実習・卒業研究をやるのが一番有効である。コアカリキュラムは6年が前提であり、5年ではおさまらないと考える。

   コアカリキュラムを4年もしくは6年でできるという議論は濃さの問題である。理解度を抜きにすれば形式的にはやろうとすれば4年でもできる。一方でコアの中のまたコアが必要であれば6年程度は必要なのではないか。

   多岐にわたる進路に進む学生を育成するという視点を前提としてカリキュラムを作っている。医療の担い手、医薬品の供給、薬品衛生行政を行うというのが薬剤師の役割の中に入っている。多様性をカリキュラムに生かすということは念頭においてもらいたい。

   資料に出ているとおり、4+2年制の場合は4年段階を卒業した時点で、6年制の場合は6年を卒業した時点で、ともに「学士」という学位を得ることとなる、という点に留意しておくことが必要。


(3)    次回は、今回の議論を整理した上で、第5回の会議で呈示されたカリキュラムの展開イメージ等をもう一度見直して、総括的な議論をすることとなった。

(4) 閉会

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