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国際交流
留学生支援施策については、これまで「留学生受入れ10万人計画」に基づき、国費・私費留学生等の受入れを推進するための各般の取組が行われてきたところであり、平成14年5月現在の我が国の外国人留学生受入れ数は約9万6千人となり、「留学生受入れ10万人計画」は近々達成の見込みとなっている。今後は、優れた留学生を引き付けるために、量的拡大に対応した質的充実が求められている。
また、留学生と日本人学生等との学生交流や日本人学生、留学生の相互受入れ、派遣等による大学等間の国際交流を推進することにより、我が国と諸外国の相互理解の深化を図るとともに、大学等の国際化や日本人学生の国際理解を推進し国際協調の精神の醸成を図ることが必要である。
昨今の国際社会のグローバル化の進展を踏まえると、海外における情報収集、国内外の機関間の連携、世界への情報発信の強化等の高等教育の国際競争力の強化への対応が重要になってきており、今後、これらも含めた新たな留学生政策の在り方について検討していく必要がある。
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大学等間交流
スポーツや文化等に係る学生交流は、学生の自主的活動を通じて人間的成長を促すことから、国内においても留学生も含めた学生交流を充実させることが必要である。現在各地域ごとに複数大学等間で行っている学生交流については、各支部が拠点となって継続的に多様なプログラムを提供するなどの工夫により、その充実が図られるものと考えられる。また、これらのうち適切なものについては、更に発展させて全国的にも展開することにより多面的な交流が可能となり、学生の人格形成の観点から一層の効果が期待される。このため、新機関では、大学等間交流の拠点となる各地域の支部を本部を中心としてネットワーク化することにより、各大学等への全国的な情報の収集・提供や相談・助言等の充実を図り、より広い範囲での大学等間交流の推進や、学生の自主的活動機会の一層の拡充に努めることが必要である。
新機関がこれらの業務を行うことにより、各大学等は、個性的な取組を進める中で互いに情報を交換し交流することが可能となり、一層多様で充実した学生への支援を行うことが期待される。今後、新機関はこのような大学等を結ぶ中核としての役割を果たし、活発な交流を促していくことが求められる。
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留学情報の収集・提供
留学希望者がまず取り組むことの一つが留学に必要な情報の収集である。様々な国や地域の多様な情報の収集が円滑にできるようにしていくことは、留学生支援の一層の推進のために不可欠である。
日本への留学希望者や日本人学生の海外留学希望者に対して、自らの留学目的に合った留学を達成できるように支援するため、我が国の事情や海外を含む各大学等の教育・研究活動に関する適切な留学情報の提供は重要であり、新機関において幅広い情報を集約し必要な情報を国内外に的確に提供する業務を実施することが必要である。
業務の実施に際しては、大学等や関係機関との連携を密にし、質的にも量的にも充実した情報の蓄積を図り、例えばインターネットを通じて国内外において容易に留学情報の提供を受けられるようにすることが求められる。
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日本留学試験
これまで、我が国の多くの大学等における留学生の入学選考は、欧米諸国に比べて必ずしも分かりやすいものではなく、留学希望者にとって事前に渡日しなければならないなど負担が大きく、日本への留学を躊躇する要因の一つになっていた。このため、我が国に留学を希望する者に渡日前入学を可能とするなどの特色を有している日本留学試験が開発され、今年度から実施されている。この日本留学試験は、国内外において一斉に実施される公的試験という性格上、高い公平性や信頼性が強く求められることから、新機関において実施することが必要である。
今後も、各大学等において日本留学試験の利用が一層進むよう努めるとともに、海外実施都市数の拡充など、日本への留学希望者にとって利用しやすい試験となるよう更なる見直しを図ることが求められる。
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留学生宿舎
留学生数の増加に伴い留学生宿舎の確保は留学生施策上の重要な課題となっている。主として国費外国人留学生を対象とした宿舎については、新機関において整備保有することが必要である。このほか、新機関では、留学生宿舎を安定的に確保するために、適切な民間宿舎の開拓を行うこと等が必要である。
留学生宿舎については従来宿舎機能が中心であったが、今後、新機関においては、国際理解の推進や国際協調の精神の醸成の観点から、学生のための国際交流を一層充実させるために、留学生宿舎に「国際学生交流拠点」機能を持たせ、留学生と日本人学生との交流事業をはじめとして、留学生と地域住民、留学生と小中学生など多彩な交流事業を各拠点で体系的、継続的に実施することが望ましい。また、各留学生宿舎に居住する日本人学生がチューターとして留学生に対して指導助言を行う事業を新機関で実施することが必要である。
留学生宿舎の管理運営については、新機関をスリム化する観点から、外部に業務委託することが必要と考えられる。委託先については、単なる施設設備の保守管理等にとどまらず、留学生に対する各種のサポート等にも十分対応できることを勘案することが重要となる。
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帰国外国人留学生に対するフォローアップ
帰国外国人留学生は我が国と母国との友好の架け橋になることが大いに期待されるとともに、帰国外国人留学生の母国等での活躍が日本留学希望者の増加する誘因ともなっている。
このようなことから、帰国外国人留学生に対するフォローアップ事業は大変有意義であり、フォローアップ効果ができるだけ生かされるよう多彩なメニューを有した事業を留学生支援事業の一環として新機関において実施することが望まれる。
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その他
国費外国人留学生を中心とした日本語予備教育、留学生全体を対象に医療費負担を軽減する医療費補助などは、留学生の修学を支援する業務として新機関において実施することが必要である。
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