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看護学教育改革の推進 看護職者に対する社会の要請に応えるためには、個々の大学の教育改革に加え、看護系大学全体の教育の質を向上させる必要がある。学士課程では、どのような専門性を持った人材の育成をめざしているのか、そのためにどのような教育を行っているのかを、各大学の連携の元に明示することで、各大学の教育改革を推進することができる。
→ 学士課程の到達目標の提示とそれに基づいた大学毎の教育改革の推進
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看護実践能力の向上 看護系大学卒業生は、医療現場において良好な評価を得る一方で、新卒時の看護実践能力の不足が指摘されたことから、看護学教育の在り方に関する検討会において検討が行われ、平成14年3月に「大学における看護実践能力の育成の充実に向けて」の報告書が出された。現在各大学では、報告書を参考にして改善が進んでおり、特に臨地実習での学生の体験を充実させるための改善が重要視されている。引き続き、看護実践能力育成を充実させていくために、報告書に示されたコアとなる教育内容(技術学習項目)の到達レベルがより明確になり、大学間で合意が得られるとよいとの意見が、看護系大学教育者より出されている。
→ 看護実践能力の育成における技術学習項目の到達レベルの提示
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社会に対する説明責任の遂行 看護系大学設置の趣旨や、大学数が増加している事実は認知されつつある。しかし、看護系大学が実際にどのような教育を行い社会の要請に応えようとしているのか、専修学校や短大での教育と比較しどんな特徴があるのか、卒業生はどのような特徴を持っているのか等、学士課程における教育の実態はほとんど知られていない。中でも、保健師、助産師、看護師の教育を統合して行うという学士課程独自の教育課程について、そのねらいや内容が十分に説明されていない。
→ 社会に対する看護系大学での教育の提示、社会的評価の活用による教育の見直し
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看護職者に対する継続教育の提供 看護系大学は、看護職者に対する継続教育、リカレント教育を提供する役割を持つ。
編入学制度は、短大・専修学校を卒業した有資格者がより専門性を高めるための教育を受ける制度である。しかし、短大・専修学校卒業者の減少や大学院受験資格の拡大により、編入学制度に対するニーズは変化しつつあり、制度の在り方について再検討が必要である。
また、十分な実務経験を持つ看護職に対して、リーダーシップや指導力を備えた実践家となるための教育が求められている。大学院修士課程で行っている看護学の基盤に基づいた高度な専門性を有する看護職者育成のための教育を、さらに充実、拡充していく必要がある。
さらに、実務についている看護職者が実務を継続しながら教育を受け、高度な専門性を有する看護職者として活躍できるような、実務についている看護職者を受け入れられる大学院入試制度や修学制度の拡充及び充実が求められる。
→ 看護職者を対象とした編入学制度及び大学院教育の拡充
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多様な人材に対する教育の整備・拡充 人間的な成熟が看護職者に求められる資質であることから、種種の社会人経験を積んだ人材や他分野を学んだ人材が看護学教育を受けることのメリットが着目されている。多様な人材が入学し、それまでの経験を生かして看護学を学ぶことができるような体制の整備が求められる。
→ 多様な学生を受け入れるための入学制度の見直し、多様な学生に対応できる柔軟な教育体制の整備
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看護学研究の充実 看護学が実践の科学としての特徴を反映させた研究を蓄積することは、研究成果に基づいた学士課程の教育や現場の看護実践の改善を可能にする。そのためには、看護系大学が看護学研究の中核としての機能を発揮し、大学教員が自らの研究活動を発展させることができる体制の整備、そして大学院における研究指導を充実させていかなければならない。
→ 大学教員の研究活動体制の整備及び大学院教育の充実による看護学研究の発展 |