平成9年3月28日
はじめに 1.これまで,我が国においては,昭和58年の「21世紀への留学生政策に関する提言」及び昭和59年の「21世紀への留学生政策の展開について」の報告書において提言された,いわゆる「留学生受入れ10万人計画」に基づいて外国人留学生受入れ体制の整備を図ることとし,さらに,平成4年の「21世紀を展望した留学生交流の総合的推進について」の報告書の提言を受け,その質的充実にも重点を置きつつ,留学生関係に関する各般の施策を総合的に推進してきたところである。 2.この結果,我が国の高等教育機関における外国人留学生数は順調な伸びを示し,5万人を超えるに至ったが,この伸びは近年次第に鈍化し,平成8年には初めて前年に比べ減少するに至った。その内容をみると,大学院レベルの外国人留学生数は依然として順調に増加しているものの,学部レベルにおいては伸びが鈍化しており,専修学校の外国人留学生数は大幅に減少している。 3.このように増加から減少に転じた原因としては,長引く不景気による日本経済のイメージダウン,近隣諸国における高等教育機関の整備に伴う留学ニーズの変化などの諸要因が複合的に関連していると考えられる。 4.他方,これまで留学生受入れを推進する上で障害となってきた構造的な問題として,日本に留学するためのコストが高くつくこと,日本語習得の困難さ,さらに入学,入国・在留,宿舎の確保から学位取得に至るまで,留学,特に私費留学生に関する一連の受入れ体制が十分に整備されていないことが従来から指摘されている。 5.これらのうち,入学選考は留学生の受入れの最初の段階であり,多くの優秀な留学生を確保する上でその在り方は極めて重要であるが,我が国の大学等の入学選考の仕組みは他国に比べて分かりにくく,多数の志願者を惹き付けるものとはなっていないという指摘がしばしば行われている。 6.このような状況を踏まえ,本協力者会議は,文部省学術国際局長の要請を受け,留学生の入学選考の現状を調査し,その改善方策を研究することを目的として,平成8年11月12日に第1回会議を開いて以来,検討を重ねてきた。 7.留学生の入学選考の問題は,その影響が広範にわたり,また,各大学等の主体的な取り組みにまつところが大きいので,その改善を実現するためには,各方面の意見を聞きつつ慎重に取り進める必要がある。そこで,本協力者会議においては,我が国の大学等の入学選考手続の複雑さ,わかりにくさを解消し,他の先進諸国と同様のわかりやすい簡明な制度としていく観点から,留学生の入学選考の改善方策についての基本的考え方をとりまとめたものである。 8.国立大学協会,私立大学関係団体をはじめ,国公私立大学関係者におかれては,この協力者会議の趣旨を理解していただき,本提言について積極的に検討していただくよう願うものである。 また,本協力者会議は,主として大学の学部レベル及び大学院レベルにおける私費留学生に関する手続の改善について議論を行ったため,必ずしも他の高等教育機関や国費留学生にはあてはまらない部分もあるとは思われるが,これらについても,入学選考手続が本提言の趣旨に沿った,より明瞭かつ簡素なものとなるように,関係者において検討がなされるよう,期待するものである。 9.さらに,本提言の中には入学選考手続の問題のみにとどまらないものもあり,中長期的な課題や,なお詳細な検討を要する事項も含まれている。これらについては,本年1月に文部大臣の要請によって開始された「留学生政策懇談会」が,今後我が国がとるべき留学生政策の全般にわたって検討を行うこととしていることから,本提言及びこれに対する各方面の意見を参考にしていただき,同懇談会において今後さらに検討を進められるようお願いしたい。 1 留学生に関する入学選考の現状及び問題点 (1)現状 i) 近年,多くの大学の学部においては,外国人留学生特別選考を行っており,日本人志願者とは別の選考制度を設けることが通例となっている。また,私立大学の中には,ごく一部ではあるが,海外から応募し,書面選考によって学生を選抜し,渡日しなくても済むようにするなど,留学生の入学選考システムを改善しようと取り組んでいるところもある。 しかし,一般には,大学の外国人留学生特別選考においては面接を重視しており,大学や学部により,他に小論文,英語・数学・日本語・理科・社会などの筆記試験,芸術や体育の実技を組み合わせて課している。 また,多くの大学では,最終学校における成績,健康診断書のほか,日本語能力試験(1級)及び私費外国人留学生統一試験の結果(財団法人日本国際教育協会から志望大学に得点が直接通知される。)を求めている。 ii) 大学院の場合も,留学生のための特別選考が多くの大学で行われているが,正規生と研究生とで違いがある。 研究生については,指導教官の事前承認,書類審査,面接などによる比較的簡易な入学手続を定めている大学が多い。海外から出願し,書類選考のみで入学が許可されるところもある。 一方,正規生としての入学選考については,専門科目,外国語,日本語などの試験,小論文,面接などが課されるのが一般的である。したがって,海外から出願できても,渡日前に入学許可を得られることは極めてまれである。正規生としての直接の入学は認めず,まず研究生として在籍することを条件とする大学も多い。 iii) 私費外国人留学生統一試験は,私費留学生として日本の大学(学部レベル)に入学を希望する者に対し,大学入学能力を判定するための学力試験であり,各大学における正規生としての入学選考の利用に供するために毎年1回,12月に行われているもので,昭和45年(1970年)から財団法人日本国際教育協会が主催して実施しており,現在,国内3都市に加え,平成7年(平成8年度入学)から海外2か国(タイ及びマレイシア)でも行われている。 試験の構成は,我が国の学習指導要領に沿った学力試験となっており,理科系は数学(配点150点),理科(物理,化学,生物から2科目選択,配点150点),外国語(英語,配点100点)の3教科4科目,文科系は数学(配点100点),社会科(世界史,配点150点),外国語(英語,配点150点)の3教科3科目となっている。 受験者数は漸増を続け,平成5年(平成6年度入学)には約4千名に達したが,最近は減少中で,国外の受験者もごく少数にとどまっている。4年制大学における利用状況(平成8年)をみると,国立で97%,公立で73%,私立では31%となっている。 iv) 日本語能力試験は,日本語学習者の増加に対応するため,昭和58年(1983年)に私費外国人留学生統一試験とは別に,1〜4級の級別試験として財団法人日本国際教育協会により毎年1回,12月に実施されており,国外実施については国際交流基金が担当している。平成8年には国内8都市,国外70都市(31の国・地域)で実施された。 国内受験者数は平成5年をピークに最近は漸減しているが,国外受験者数は増加の一途をたどっており,平成8年(1996年)には国内外の総受験者数は10万人に近づいている。 4年制大学の留学生選考における利用状況(平成8年)をみると,国立で96%,公立で80%,私立では57%となっており,そのほとんどが1級を利用している。 (2)主な問題点 i) 渡日前に入学許可を得ることの困難さ 米国への留学の場合には,TOEFL などの統一試験の成績と書類選考により,渡米前に入学許可を得られることが多いのに対し,日本の大学の場合には渡日前に入学許可を得るのは極めて困難であり,また,そのための統一的な手続も整備されていない。 また,日本の大学等に正規入学するには,通常,日本語能力試験1級の受験など,高度の日本語能力が要求されるが,海外における日本語学習が能率的でないこともあり,事前に日本でおおむね一,二年の日本語教育を受けることが通例となっている。 したがって,現状ではほとんどの私費留学生はどの高等教育機関に進学できるのかが決められないまま,日本語学校への「就学生」として就学ビザで渡日したり,既に日本語を十分に習得した留学希望者が母国に住んでいる場合であっても,入学選考の面接等のためにいったん来日せざるを得ないため,これが日本留学に対する心理的な障壁となっている。 ii) 大学院における研究生制度の運用の問題 研究生制度は,本来,大学院において学位取得を目的とせず研究することを希望する者を対象とするものであり,留学生の場合もこのような者を研究生として受け入れることには問題はない。しかし,(1) ![]() iii) 日本留学のための統一的な試験制度の整備の問題 現行の日本留学のための私費外国人留学生統一試験及び日本語能力試験が,留学希望者及び各大学等にとって,十分に利用しやすいものとなっていない。 私費外国人留学生統一試験については,次のような問題点が指摘されている。 ア ほとんどの国立大学及びかなりの公立大学において利用されているが,私立大学の利用率は未だ高くないこと。 イ 同試験を利用している大学においても,さらに大学独自の筆記試験や小論文,面接,実技等を課すのが通例であり,同試験の結果だけでは入学許可につながらないこと。 ウ 試験内容が日本の高等学校学習指導要領に準拠しているため,外国の高校で学んだ留学生には,特別の受験勉強が必要となること。特に,文科系の社会科が「世界史」のみとされているが,世界史は特にその学習内容が国によって様々であるため,受験者の負担が重いこと。 エ 受験会場が日本国内のほか2か所のみで,海外で受験しづらいこと。 オ 実施回数が年1回12月であるため,4月以外の時期に入学するには不向きであること。 カ 大学学部入試相当レベルのみの実施であり,近年留学希望の多い大学院レベルの入学選考に活用できないこと。 また,日本語能力試験については,次のような問題点が指摘されている。 ア もともと一般的な日本語能力を測定,証明するための試験として創設されたものであって,試験問題に出てくる語彙と大学の講義で使用される教科書の語彙との相関性がかなり低いことが指摘されるなど,大学で必要となる学術的な用語や,会話や作文による表現力等を測るものではないこと。 イ 多くの大学では日本語能力試験1級の受験を課しているが,大学での教育指導を受けるためには,必ずしも1級レベルの能力は必要とされず,むしろ同試験では測れない表現力が重要であると指摘する関係者が多いこと。 ウ 日本語学校の授業においては日本語能力試験1級の受験対策に追われ,留学生活において真に必要なコミュニケーション能力等の養成が十分にできずに終わってしまう場合があること。 エ 実施回数が年1回であり,4月以外の時期に入学するには不向きである上,TOEFL のように,複数回受験して最高の結果を使用することができないこと。 iv) 入学選考に関する情報のわかりにくさ 各大学における留学生特別選考については,各学部・研究科毎にまちまちで大学として統一性がとれていないこともあり,留学志望者にとって,各大学のこうした入試情報を収集することは容易ではない。 このため,外国人留学生向けに日本語又は英語で,各大学あるいは大学院について一定の情報を掲載した出版物が出されているが,海外の大学等ではこうした出版物や各大学の外国人留学生用の募集要項は入手が困難であり,結局,海外の留学志望者にとって大変わかりにくく,日本に来ない限り留学の具体的なプロセスがわからない状況となっている。 2 改善の基本的な方向 i) 各大学等における入学選考の改善 我が国の大学は,一般に入学の段階での選考は厳しく,いったん入学を許可した後はできるだけ卒業又は修了できるようにする傾向があるといわれている。留学生の場合も同様に,入学許可に慎重な姿勢が見られる。もちろん優秀な留学生を確保することは重要であるが,入学許可の段階で他の国への留学に比べ重い負担を課すことは,海外の学生に日本への留学を躊躇させ,結果的に優秀な留学生にも来にくい状況をもたらしている。むしろ門戸を広く開いた上で,入学後の進級等についての成績評価を適正に行うという,基本的な姿勢の転換を図ることが望ましい。 このような観点から,各大学等においては,海外の留学希望者に分かりやすい入学選考手続を整備し,特に統一試験の結果や書類選考の活用により渡日前の入学許可の普及を図ること,大学院については当初からの正規生としての受入れを促進することが期待される。 ii) 日本留学のための統一試験の改善 入学選考は,基本的には各大学等が主体的に取り組むべきものであるが,特に国際的な観点から留学希望者に分かりやすいものとするためには,入学選考の過程についての一定の統一的な枠組みがあるべきである。この意味で日本留学のための統一試験を整備することは有益と考えられる。ところで,現在この統一試験としての役割を果たしている私費外国人留学生統一試験及び日本語能力試験については,前述のように様々な課題が指摘されている。 このため,日本留学のための統一試験について,留学適性をより適切に評価する内容に改善するとともに,より広く実施することにより,留学希望者及び各大学等に利用しやすいものとしていく必要がある。 iii) 各大学等の入学選考に関する情報提供の充実 各大学等においては,留学生の入学選考手続等に関する情報を全学的に十分整理した上,海外の留学希望者に対しても積極的に提供していくことが望まれる。また,関係機関においても,これを支援する体制を充実する必要がある。 3 各大学等における入学選考の改善に関する具体的提言 (1)各大学等における入学選考の改善 各大学等における留学生の入学選考については,国立大学協会,私立大学団体等の関係団体において連絡協議を行いながら,特に次の点について,各大学が主体的に改善に取り組んでいくことが期待される。 i) 渡日前の入学許可の普及 各大学等において,留学生の母国の教育機関の成績や教官の推薦,母国の統一試験の成績等の書類選考により,渡日前に入学を許可するシステムを開発・普及していくことが求められる。 文部省及び関係機関においては,書類選考の基礎となる情報(諸外国の中等・高等教育制度,中等教育終了又は大学入学資格に関する統一試験制度,米国等の主な留学生受入れ国の大学における留学生の書類選考の方法など)を収集し,各大学等における取り組みを支援することが望まれる。 また,次の(2)に述べるように,日本留学のための統一試験の改善が進み,海外でも広く実施されるようになれば,各大学等において,その結果を活用することにより,渡日前の入学許可が一層促進されることが期待される。 なお,将来的には,留学生の入学選考のための全学的ないわゆるアドミッション・オフィスのような機能を果たすことができるような組織体制を整備していくことも考えるべきである。 ii) 大学院における研究生制度運用の見直し 各大学等においては,学位取得を目指し正規課程への入学を希望し,その入学資格を備えている留学希望者を,とりあえず研究生として受け入れる取扱いについては,1(2) ![]() なお,入学時期,修学年数等の関係から,正規入学希望者を当初から正規生として受け入れることができない場合には,それまでの間の学修が将来正規課程修了に必要な単位として認定されることも可能となるよう,科目等履修生制度の活用などの工夫をすることも考えられる。 iii) その他 以上のほかにも,各大学等においては,様々な教育制度を背景とし,多様なニーズを持つ留学生の特性に配慮して,留学生の受入れを適切かつ弾力的に行うことができるよう,その入学選考の方法を改善していくことが望まれる。 例えば,学年の始期・終期が国により多様であることなどを考慮して,留学生のための特別選考や入学の時期を年複数回とすることが考えられる。 また,外国の大学等高等教育機関で必要な課程を修了した者がそれまでの高等教育機関での学修の成果を生かしつつ,短期間で効率的な留学ができるよう,外国の大学で取得した単位を受入れ大学でも入学前の既修得単位として認定したり,転入学・編入学制度の活用により中途年次に受け入れたりすることも積極的に取り組むことが望まれる。 さらに,留学生については,外国語の単位に代えて,外国語としての日本語の単位を認定する大学も多いが,こうした措置が一層促進されることも期待される。 (2)日本留学のための統一試験の改善 日本留学のための統一試験については,現在指摘されている課題にかんがみると,かなり大幅な見直しが必要になっていると考えられる。一方,新たな試験の開発には時間を要し,特に各大学等にできるだけ利用されるようにするためには,関係者間であらかじめ十分な意見交換が行われる必要がある。そこで,以下には,将来的な方向と当面の措置に分けて述べることとする。 i) 将来的な方向 日本留学のための統一試験を,留学希望者及び大学等の双方に利用しやすいものとするためには,次の点に留意して,新たな試験の開発・実施に取り組むことが適当と考えられる。 ア 従来のように私費外国人留学生統一試験と日本語能力試験の2種類の試験を受けるのではなく,統一的な新たな試験を受ければ足りるものとする。 イ 試験の内容は,大学等での教育指導を受けるのに必要とされる日本語の理解力,表現力,論理的思考力,専門分野の基礎的な学力等の日本留学のための適性を総合的に評価することを主眼とするものとする。 ウ 学部レベルだけではなく,大学院レベルの留学希望者を対象とするものを開発する。 エ 国内だけではなく,広く海外において実施する体制を整える。 オ 年1回だけではなく,複数回実施するようにする。 カ 各大学等において,この試験の結果と書類選考により,入学許可を与えるという利用方法の普及を図る。また,試験の結果は,当該年だけでなく複数年にわたって利用されるようにする。 キ 試験の作成,評価等について,各方面の多数の専門家が協力し,チェックできる体制を充実する。 なお,特に試験の内容をどのようなものにするかについては,なお検討すべき点が多い。例えば,日本語の程度をどのようにするか,専門分野の学力はどの程度まで問うものとするか,これらについて文科系と理科系,学部と大学院などの違いをどのように反映させるか,などである。 このように新たな試験の開発には,広範な事項についての検討が必要であり,それゆえにこそ,早急に関係者間で活発な議論が行われ,具体的な準備が開始されることが期待される。 ii) 当面の改善措置 日本留学のための統一試験については,基本的には,前述の将来的な方向に沿って早急に見直しのための準備が進められることを期待するが,それが実現されるまでの間においても,現在関係者から指摘されている問題点を踏まえ,当面,次の改善措置が講ぜられることが適当である。 ア 私費外国人留学生統一試験の内容の改善 各教科の試験内容については,留学生の多様な教育的背景を考慮すると,学習指導要領に必ずしもとらわれず,留学のために必要とされる基礎的な能力を評価する観点から内容を精選すべきである。 また,文科系の社会科の科目が世界史のみとされていることについては,世界史以外の科目(現代社会,地理など)も選択できるように改める,世界史の出題内容について大幅な精選を図るなどの見直しを行うことが適当である。 イ 日本語能力試験の活用方法の改善 現在,多くの大学等が,留学希望者に日本語能力試験1級の受験を義務付けていることについては,前述のように過度の要求になっているとの指摘がある。また,一般に我が国の大学等では,入学段階で留学生に要求する日本語能力のレベルが高い傾向にあることについて,専門分野や指導形態による違い,入学後の日本語教育による対応の可能性などを考慮し,弾力的に対応すべきであるとの意見もある。 こうした観点から,入学選考における日本語能力試験の利用については,1級に限定せず,各大学等の判断により,2級その他の試験結果も積極的に利用されるようになることが望ましい。 (3)入学選考手続等の情報提供の充実 各大学等の留学生担当部局においては,学内のすべての学部,研究科等にわたる留学生の入学選考手続等を統一的に把握した上,パンフレットやインターネット上のホームページを通じて,国内外に積極的に情報提供を行う体制を整備すべきである。 また,現在,財団法人日本国際教育協会はホームページを設けて日本留学情報の提供を行っているが,各大学等のホームページの充実及びそれらとのリンクを通じて,各大学等の入学選考手続等を含め,留学希望者に真に役立つ情報が入手しやすくなるよう,一層の充実を図ることが期待される。 (4)その他 大学等による渡日前の入学許可を普及させ,また,日本留学のための統一試験を広く海外で実施する場合には,海外の多くの留学希望者にこれらを利用しようという動機付けの措置を併せて講ずることが有益かつ重要である。 このため,学習奨励費などの私費留学生に対する奨学金について,各大学等が渡日前に入学許可を与えた優秀な者や統一試験で優秀な成績を収めた者については,渡日後に奨学金を支給することをあらかじめ予約する制度を設け,普及させることが望まれる。 また,大学等への入学段階で留学生に要求する日本語のレベルを下げれば,入学後の日本語教育の体制を充実させる必要が生じる。留学生センターの整備やその有効活用を一層促進していく必要があるが,学内だけでの対応が困難な大学等においては,日本語学校との連携についても検討することが期待される。 |
-- 登録:平成21年以前 --