大学における学生生活の充実に関する調査研究協力者会議(第4回) 議事要旨


1.日  時      平成11年11月26日(金)10:00〜13:00

2.場  所      文部省5B会議室


3.出席者
(協力者)廣中平祐座長,内田伸子,大谷毅,加藤雅治,喜多信雄,小谷部育子,佐々木大輔,西野哲朗,保坂亨,森茜,茂里一紘の各協力者
(文部省)高塩学生課長,関就職指導専門官  他



4.議  事


(1)前回議事要旨(案)について,修正意見等があれば,1週間以内に事務局に連絡いただき,座長の責任において確定することとされた。


(2)事務局から,資料に基づいて大学等卒業予定者の就職内定状況等について説明があった。


(3)喜多信雄近畿大学就職部長より「就職指導のあり方について」の発表が資料に即して行われた。喜多氏の発表内容は概ね次のとおりである。

・  大学の入り口(入試)のみならず出口(就職)の状態が大学を評価する大きな要素になりつつある。一つは学生を採用する企業からの評価である。もう一つは高校や予備校からの評価で,大学の就職先にも着目して進路指導が行われ始めている。また,マスメディアにおける様々な調査結果や,就職先による大学ランキングが発表されている。

・  大学教育の成果が学生を通じて社会に還元されるという意味で,大学にとって就職は重要な位置を占めており,このことを教員を含めて大学全体として認識することが重要である。また,就職担当部局は,学生にとって就職とは何かという考えをしっかり持って,学生支援していく必要がある。

・  学生の就職状況は,経済状況によって大きく影響を受ける。平成11年度経済白書では企業内の過剰雇用は228万人と推計されているし,民間調査機関の分析では450万人から560万人とされている。人事行政研究所などでも従業員の過剰感を持つ企業が7割を越し,雇用調整を必要としている。その中で多くの企業でリストラが実施され大きな問題になっている。
    本年10月の総務庁の発表によると,学卒未就職者は15万人にのぼる。年齢階級別では,15〜24歳の完全失業者は75万人に達し,失業率は9.7%と他の年齢階級に比べて最高の水準にある。

・  労働省調査の推計によれば,大学卒業後3年以内の離職率は32.0%に達している。理由としては,1)やり甲斐がない,2)企業の将来性がない,3)社風に合わない,4)待遇が悪い,の4点に集約される。就職前にこうした点についての理解があれば,問題を少しは解決できると考えられ,それを就職指導に結びつけていく必要がある。

・  今年の求人状況は1倍を切っている。景気の動向が1年遅く新卒者の求人倍率に反映されるので,最悪の数字となっている。
    近畿大学の学生の就職状況を見ると,学生はなるべく資本金の多い,安定した企業に就職したがるが,一方では,全国で資本金10億円以上の法人は6,908社しかなく,しかも本社を東京に置く企業が半数を占め,大阪に本社がある企業は11.9%しかない。こういった実態を知らないと無理をして大手の企業にばかり手を伸ばすことになる。

・  大卒等就職内定状況は大変厳しく,日経新聞社の調査によると特に一般職で採用人数は前年比−27.9%になっている。一般職の採用が抑制されているということは女子の就職が厳しいということである。
    また,今年の就職活動の特徴は,1)早期化,2)情報化,3)二極化,などがあげられる。特に早期化について,企業側の「倫理憲章」,大学側の「申合せ」が有名無実化していることは,大きな問題であるが,この流れは来年も進むと考えられる。現在の3年生は今の時点で,既に,「リクルートナビ」などにより会社説明会の予約が可能である。二極化については,男女雇用機会均等法が改正されたが,女子に対しての雇用改善が見られない。

・  就職協定廃止後の問題点としては次のようなことがあげられる。
    第一は,学生の「青田売り」による教育システムの形骸化である。3年生時から就職活動をすることによって,授業がおろそかになり,卒業研究などに力が入らない。
    第二は,単位履修の前倒しが一段と進み,1〜3年生で過度の履修をすることになる。昨年10月の大学審議会答申に従い,大学が履修単位に上限を設定しても,4年生における評価を考えずに企業が採用を決定することは教育の無視であり,大学改革に逆行しているのではないか。また,大学が就職予備校化するおそれがある。
  
・  採用活動の秩序について企業側の問題点を挙げると,企業側の「倫理憲章」が機能していないということがある。企業には「倫理憲章」を守ろうとするモラルがないのではないかと思う。日本のように,3年生や4年生の前期で企業が学生の採用を決定するということは,世界的に見ても珍しい現象である。英国は卒業してから就職活動を行うし,米国では4年生の後期にならないと就職活動が開始されない。それでは単位が取れないからである。就職活動を優先させる日本の学生には甘えがあるのかもしれず,企業側は教育を軽視しているかもしれない。

・  日経連の調査によると,社会が求める人材は即戦力とされている。しかし,大学側から見るとこれはあり得ない。学部では基礎を培い,修士課程で専門的な力を付けることになっている。これにより学生が惑わされないか心配である。

・  実際に,絶対条件として学生が就職活動で求められるのは語学力と情報処理能力である。エントリーシートなどでも,TOEICの点数を記入させる企業が多い。学生の就職活動に必要なスキルとしては,1)コミュニケーションスキル,2)プレゼンテーションスキル,3)ヒューマンスキル,4)テクニカルスキル,5)コンセプチュアルスキル,6)コンピュータスキルの6つがあげられるが,こうしたことを就職指導の担当者も十分認識しておくことが必要である。

・  就職指導の要点の第一は,求人票の充実である。近畿大学では,求人票を国立大学や他の私立大学の求人票と比べて様々に工夫をしている。就職指導担当部局の役割は情報提供であるため,細かな企業情報を提供している。上場区分等の会社概要や,企業業績では,法人所得ランキング,業種内ランキングをTSRや帝国データバンクからデータを購入し大学側で記入している。インターネットの情報は,いわば企業の広告であり,大学側が客観的な基準を提供することが重要である。連結決算も記入もしてもらっている。日本の企業は1社あたり連結決算会社が48.8社ある。親会社のみの数字では業績はわからないし,社名のみでは会社の姿がわからないため,売り上げ構成の記入欄も設けている。また,秋採用,既卒採用,外国人留学生採用,女子の採用の有無を見るために採用実績数を記入してもらい,応募方法,試験内容も明らかにしてもらっている。その他,インターンシップの有無の記入も重要である。インターンシップは,企業に対する大学の広報にもなるからである。さらに賃金についても細かく記入してもらっている。
    第二は,キャリアガイダンスや就職支援講座の実施である。就職支援講座は正課外の教育で行う方がよいのではないかと思う。正課内の教育の内容を変えることはなかなか難しいので,正課教育プラスアルファの部分で実施した方が自由にできる。障害者の就職指導については,労働省の学生職業センターとの連携や,インターネットのイフ(web   Sana)にリンクすることにより支援している。

・  就職指導の重点はカウンセリングに置いている。プレイスメント・カウンセリング(就職相談),ボケイショナル・カウンセリング(職業相談),キャリア・カウンセリング(進路指導)の3つを専門として行っている。

・  企業開拓の方法は,基本的には教員と事務職員の同伴で実施している。教員と事務職員では企業を見る観点が異なるし,教員は企業に対してそれなりのつながりがあり,教員が出向くと企業の対応が異なることもある。


(4)次に,大谷毅宮城大学事業構想学部長から「大学の就職についての問題点」の発表が資料に即して行われた。大谷氏の発表の概要は次のとおりである。

・  以前,勤務していた地方の国立大学の22年間に,東京並の就職を目指して,学生を意図的に,東証第1部上場会社に就職させる努力を行った。上場会社を対象にした理由は,企業を評価するための情報がたやすく入手できるためである。結果としては,およそ400名強が300社に入社した。

・  会社についての情報源は「会社情報」か「会社四季報」である。ただ,出版・マスコミ・広告業界は別の方法が必要である。東京の企業は基本的に自由応募であり,セールスマンと同じで,(訪問の質)×(訪問回数)2で内定は決まる。就職は成績や偏差値のみで決まるものではない。

・  就職活動のやり方としては,まず1)脱地域意識の高揚であり,自分のいる地域に染まってはいけないということである。そして,2)自分の出身地に依存する意識からも脱却しなくてはならない。Uターン希望はよくない。理由は,企業は東京に集中しており,地方には少ないからである。就職するのであれば東京の方が易しい。3)東京の「大手町丸の内文化」という,その地域で培われた文化が良くも悪くも日本の中心である。地方の学生はこれに違和感を感じるだろうが,同化しなくてはならない。この同化作業が就職活動だと思う。その後,会社へのエントリーになるが,まずは,4)業界を選び,その業界の企業のデータを調べ,会社を知ることである。「会社情報」や「会社四季報」等の書籍を利用し,求人票のデータを自分で調べる。その後は,ひたすら会社訪問することである。これにより,5)その企業の事業内容に詳しくなる。そこで初めて,6)営業,経理など,自分がその企業で何がしたいかを考える。その後は7)「大手町丸の内」風の知的好奇心と帰属要請へ対処する。会社に合わせるとともに,専門性を持っていることが必要である。これを示すのが面接になる。最後に必要なのは,8)心構えである。自分の出身大学からその上場会社に入社する初めての者が自分であれば,慣れるしかない。また,それなりの自己啓発として実用英語(会話ができる),実用経営学(日経ビジネスが読める)などがある。更に,精神修養と思って帰属意識を高める。これらが,先ほどの喜多先生の発表における企業が求める即戦力の内容だと考える。

・  こうした取り組みを振り返ってみて,学生が果たして幸せだったのかというと,考えるところもある。現在は,上場企業でも倒産する時代である。また,企業競争等により,これまでの「大手町丸の内文化」が変化する可能性があり,今後もこのやり方が通用するとは限らない。今後,採用担当者やこれから就職しようとする学生,また,学部カリキュラムがこれに適応しなくなる可能性がある。
    これから重要になってくるのは,大企業に入社して7年目あたりから実施される1次選抜,2次選抜に合格できなかった大多数の者にどう対処していくかということであり,これを学部教育でどう教えていくかということではないかと思う。卒業してから働く,アルバイトで過ごす,ビジネススクールに通う等多様な人生のコースを提案するのがこれからの就職相談であり,かつての親や先輩に代わり,学生への人生相談的機能を果たすのが就職担当部局の役割になるだろう。これは,ある種コミュニティの代理として機能する。

・  これまで紹介した取り組みの他に,学生のありうるケースとしては,「勝ち組」「負け組」がある。「勝ち組」は,放っておいても自分の意思で,自分の思う方向に就職していく。いわゆる偏差値の高い大学の学生に多い。「負け組」は,大学の超大衆化とも関係した犠牲者である。彼らへの対応は,今後大きな問題になると思われる。彼らはもともと「大手町丸の内文化」になじまない層である。なじませる必要はないが,何ができそうかは考える必要がある。仮に,他人が起業した会社との関わりを持つのであれば難しい問題である。ベンチャー企業は倒産のリスクが高いため,倒産した場合のケアが必要になる。他人が起業した会社との関わりを持たないのであれば,自己責任としての意味・方法・リスクを徹底させる必要がある。結局,実社会で勝てばいいが,そのノウハウをどう教えていくのか。「なじまない層」の学生に合わせて学部のカリキュラムを作るのも一つの方法である。いつまでも日本全体が「大手町丸の内文化」を基準に行動する必要はない。それが学部教育の差別化のポイントにもなる。


(5)喜多氏及び大谷氏の発表に対する質疑応答及び自由討論が行われた。その概要は次のとおりである。

○  最近は,就職について自由応募の学生が増えてはいるが,理系では主流はまだ学校推薦である。企業での面接が最近では5月下旬頃に早まっている。5月では卒業研究が全く進んでおらず,学生は自分の言葉で学問観について全く話すことができない。面接の場で元気のいい学生のみが採用されるように感じる。企業の採用に当たって,専門性,技術力が評価されていない。女子や博士課程の学生が採用されないのは象徴的である。近年,企業の技術力不足が指摘されているが,この辺も原因ではないか。

○  企業の論理では専門性を持つことがマイナスに働く場合もあるようだ。専門にこだわりすぎると困るという話を聞く。

○  最近は,大学院生も就職を優先したいと考える学生が多い。就職活動の時期は修士論文も進まない。今日の発表は主に学部学生についのものと思うが,大学院生にも当てはまる。

○  技術系の学生は,学校推薦により,文系学生の企業訪問の段階がなく,いきなり面接になるため,会話が成立しにくいのではないか。

○  最近は,研究室ではなく,大学への推薦依頼が増えている。

○  大学への推薦依頼も減少しつつある。

○  それでも企業にとってはどの研究室の学生かという要素は重要のようだ。

○  企業は即戦力になる学生を求めるということだが,博士課程の学生への企業の要求は千差万別で,教員としても企業の要求をつかみきれない部分がある。

○  すでに研究職は国際市場になっている。今後,修士や学部卒業者レベルの就職も国際的になっていくだろう。日本の大学より他国の大学の学部を出た方が評価されることになれば,日本の大学,特に技術系がしだいに地盤沈下する恐れがある。

○  化学メーカー・電機メーカーの採用は,ほとんどが修士課程の学生である。採用の時期,推薦の方法は業界によってかなり異なる。採用に当たり,研究室とのつながりを重視する業界や,コンピュータなど自由応募で行う業界もある。

○  文系理系を問わず,「大手町丸の内文化」になじむかどうかが大事だ。博士課程まで行った学生はそもそもその文化になじめなかったためであることも多い。そのような学生には,別のキャリアプランを作ればいいのではないか。

○  そのような文化は崩れていくのか。

○  一気には崩れないが,崩れつつあると思う。外資系銀行などの採用方法は全く違う。

○  就職指導もさることながら,カリキュラムも考えなくてはならない。専門の基盤となるものを大学院も含めて考える必要がある。米国では大学院で博士課程に行く場合には,専門の中のあらゆる分野の試験をパスすることが求められる。日本の大学院教育は特定の専門性のみに集中しすぎている。

○  米国ではカリキュラムを審査する機関があり,審査に通った学部の学生は,しっかりとした教育を受けた保証となり就職に有利である。日本でもやろうとしているが,カリキュラムをしっかりさせる必要はある。

○  「即戦力」の意味について,求める側(企業)と提供側(大学)で相違がある。即戦力を求めるのであれば,インターンシップを進める必要がある。米国では夏の3ヶ月間,学部学生を雇っている。企業に聞くと,学生は仕事の役には立たないが,長い目で仕事を考える若者がいるといるだけで雰囲気が良くなるらしい。企業の宣伝にもなるし,それで給料を払う価値はあると考えているようだ。

○  近畿大学で,インターンシップなどvocational educationに力点を置く効果は出ているか。

○  効果を計るのはなかなか難しい。今年は学生にアンケートして,その結果により来年度,取り組みを見直したいと考えているが,いろいろ工夫しても,実施は3年生の後期から4年生の短い期間に集中しているので,社会経験を持たないできた学生がどこまで吸収できるかは疑問である。

○  わが大学でも数年前から取り組んでいるが,理論のみで実効性があまりない印象がある。キャンパス内で学生を教室に集めて,職業や企業について説明するよりも,その間にインターンシップや会社訪問をした方が教育的効果が高いのではないか。問題は,それによって正規のカリキュラムが空洞化することである。それならば,期間を区分してインターンシップに専念する期間を正課の中で設ければよいと思う。そうすれば,その期間は他の授業は行われないので空洞化の恐れもない。

○  インターンシップを単位化している大学は多い。単位化するときの位置付けはどうなっているか。

○  少々中途半端である。1,2週間では足りないと思う。

○  ある企業の名誉会長を非常勤講師で招いて,講義で自分の会社のことを話してもらったが,学生も熱心で好評だった。地方の大学にとっては中小企業への就職は重要である。最近は大学側も中小企業への接触を重視している。学内に場所を提供して中小企業の説明コーナーを作ったところ,学生や教員がそれを見て新たな発見があったようで,就職も増えた。地方大学は地方大学なりに工夫が必要である。

○  国立大学では,来年度,広島大学と筑波大学で就職課が設置されると聞いている。担当者は,事務官であっても心理学や企業分析ができるような専門性が要求される。国立大学も就職課の組織の整備を進める必要がある。現在専門員の配置を進めているが,それでは足りないのではないか。企業側も,私立大学に比べて国立大学はサービスが悪いという印象を持っているようである。学生へのサービスについても同じことが言える。現在大学評価の議論の中で,事務官についての自己点検・評価がなされていないようだが,実行すべきではないか。

○  就職活動の早期化により,大学の4年制のカリキュラムが崩れるのはやはり心配である。

○  近畿大学の就職関係のスタッフはどれくらいか。

○  組織的には各学部の就職委員(教員)が42名と各学部の就職委員長がいる。就職部自体には,大阪キャンパスで専門職員が15名,パートタイマーが6名,地方の学部にはそれぞれ課長1名と職員2名を配置している。この体制で約8,000人の学生に対応している。入力作業などは学生アルバイトを使っている。

○  わが大学では,就職担当職員が同一部署に長期間在職し,専門職として配置しているが,これは重要なことだと思う。就職課の職員には,就職の指導のみでなく,半ば人生相談も含めたカウンセリングの知識が必要ではないか。わが大学は小規模なので,就職課の職員が就職希望者全員に面接し,学生の相談にのっている。また,学生にとっては,自分たちの先輩の就職活動を大いに参考としているようなので全員に自分の活動経験を記入させて後輩のために残している。

○  一から就職担当者を養成するのはなかなか難しい。それより,過去の記録をすべて検索できるようデータベース化しておくのがよい。その場合,外部からの情報保護が問題となる。

○  学生指導に携わる国立大学事務官の位置はきちんとしていない。学生指導は大学の運営上教官の仕事で,事務官は教官の補助者となっている。現在,ようやく教官が事務官の存在に気付き始めたところである。就職指導等に事務官の力を活用するためには,事務官の位置を明確にし,「就職専門官」等の肩書きを与えるべきである。企業からの応対も違ってくる。
    私は公務員の採用側にも立ってきたが,年齢の高い人材が必要な場合には,大学の再就職希望者のリストが非常に役立った。3年以内の離職率がこれほど高い現在,離職者の再就職を職業安定所に任せるのではなく,大学にOB,OGの職業紹介・相談部門を作ることで対応ができないか。

○  わが大学では,卒業生の会に人材バンクがあり,就職課とリンクして,求人に対応している。

○  わが大学では,既卒者採用の情報を求人票のデータベースに組み込むようにしている。そうすると卒業生の求職者が検索もできるし,業種や労働条件もわかる。ただ,卒業生が頼るのは就職情報誌で,大学に来ることはあまりない。情報化により就職活動は変わってきている。しかし,困るのは,インターネットのみで就職活動が進んでいるという錯覚を起こす学生が増えていることである。

○  一番困るのは,学生の就職先の把握がどの大学でもきちんとできていないことである。きちんと学生の状況を把握して,学生の意見を聞くのがカウンセリングだと思う。

○  学生も報告に来ない。先に大学への求人を通じて内定をもらっていても,大学に報告するとその後に他の企業を受けたくても止められてしまうからである。企業側も内定を出すと,拘束をかける。企業側にも問題がある。

○  企業が求める「即戦力」というのは何か,企業間で統一したものをはっきり提示してほしい。大学教育が,社会の中でどう意味を持っているかについて,共通認識ができていない。大学,企業ともにもっとオープンに議論して,お互いの理解を深めることが必要だと思う。

○  4年制大学卒女子の勤続年数は,若い短大卒女子の勤続年数より長い。企業側もそれを見ており,4年制大学卒業者の採用にシフトする気持ちはわかる。女子の場合は,結婚,出産で退職した後,再就職する傾向がある。そのために,求人票により再就職のデータを収集することが必要である。

○  大学が関与して特に学生によるベンチャービジネスを作っていかなければ,少々景気が回復しても採用は増加しないのではないか。アメリカでも好景気の割には雇用は増えていない。雇用を創出しているのはベンチャー企業である。ベンチャービジネスも,先端技術に限らず,多様な形態や考え方があることを認識する必要がある。


(6)次回の会議日程について,事務局から,来年1月下旬を予定しており,後日,日程調整の上連絡する旨の説明があった。 

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高等教育局学生課

-- 登録:平成21年以前 --