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学士を対象とする医学教育の在り方に関する調査研究協力者会議

1999/10/25 議事録
学士を対象とする医学・歯学教育の在り方に関する調査研究協力者会議(第2回)議事要旨

 学士を対象とする医学教育の在り方に関する調査研究協力者会議(第2回)議事要旨


日時     平成11年10月25日(月)10:00〜12:00
場所     文部省5B会議室
出席者  協力者:鈴木主査、池田、遠藤、越智、加藤、加我、久保、栗山、黒川、小宮山、櫻井、猿田、鈴木(守)、高折、谷口、久道の各協力者
            文部省:布村医学教育課長、浅野課長補佐、松浦専門官、ほか関係官

議事等
1  開会
(1)主査から前回欠席の協力者について紹介があった。
(2)前回議事要旨(案)について、意見等があれば1週間以内に事務局に連絡することとなった。
(3)事務局から配付資料の説明があった。

2  東京大学における医学部への編入学状況について説明の後、質疑応答。
(協力者:○、東大:△)
○  保健学科4年を卒業後、医学科3年次に入って、カリキュラム上の問題はないか。
△  カリキュラム上の問題はない。
△  理IIIには他大学を卒業してから入る者も多いが、新入生との特別な差はない。また、帰国子女も含め、適応できない人が一部に存在する。
△  基礎系の教授の中には、臨床実習を強化すると基礎に進む人が減るのではないかと懸念する先生が多いが、ハーバードでは15%も基礎に行っており、臨床の強化とは両立するのではないか。
○  研究システムの確立も同時並行的にやらなければならない。少なくとも今までの日本の医学教育制度は、医者を育てることと研究者を育てることとが曖昧になっていた。ほとんどの人は医学部に医者になろう思って入る。途中から研究をやりたいと思っても制度として何もないから諦めるのが現状。やりたいと思ったときに研究システムに入れるような制度を作ることが必要。
○  今はどこの医学部でも似たような教育をしているが、もっと個性を出せばよい。
○  アメリカでは医師免許を取っても、5年ごとに更新しなければならない。日本では基礎の先生でも免許を持ったままでいられるが、社会的に見て問題はないのか。厚生省の問題になるが。また、生物を学んでいなくても医者になれるというのは、変えなければならない。
○  高校教育をきちんとしなくてはならない。トータルなバイオロジーに重要なことだが、日本の実状を考えると、医学系が生命科学をきちんとやらなければならない。
○  アメリカのカレッジから医学部に入るのに、生物、化学、物理は必修。今のセンター試験制度では理科2科目だが、全体主義でなければ生物を課すことは可能ではないか。

3  学士編入学における入学者選抜の状況について、大阪大学、島根医科大学、群馬大学、東海大学から説明の後、自由討論。
○  群馬大学の合宿試験の経費については、受験生が各自の宿泊、食事代(4食分)9.000円を負担する。
○  合格者のオーバーラップについては、試験日が1日だけでも他大学と重なるようにすれば解消できるのではないか。
○  編入学まで、試験日を同じにするのは問題ではないか。
○  今のところはそこまでしなくても良いが、今後この制度が広がり、オーバーラップが増えると心配。
○  これまで医学部では育てた人材をそのまま大学に隷属させることが多かったので良い学生を採りたがるが、今後は卒後いかに優れた人を社会に出すかを考えるべき。
○  卒後研修が必修化されたら、阪大のMD-PhDコースの人も臨床研修を受けるのか。
○  阪大でも卒後研修の必修化については、危惧している。
○  必修化されれば、受入れのために各大学をマッチングせざるを得なくなり、その時いかに良い学生を出すかということで、各大学も教育に力を入れるはず。また、卒後研修の後半は無医村に行かせるようにすれば、無医村問題も解消できるのではないか。プライマリーケアやお年寄りの問題も経験できる。
○  メディカル・スクール構想があるが、卒後研修が必修化されたら年月がかかりすぎることになり、入る人がいなくなるのではないか。クラークシップの充実等により1年は学内の研修で済ませられるようカリキュラムを変更する等、卒後研修を1年で済ませられるようにするとか、費用問題を解消すれば良いかもしれないが。
○  メディカル・スクール構想は別として、卒後研修の必修化により、医者になるまでの期間がいたずらに長くなるのは問題。学部教育をしっかりやることを考えるべきではないか。
○  大学のプロダクトのアウトプットを世間が問うには、国家試験の結果によるだけでは限界がある。卒業後、いろんな大学をマッチングさせることにより、大学でのプロダクトも外に出せることになれば、世間も評価しやすいのではないか。
○  学士入学が話題になり、学士入学でなければ良い医者が作れないようなイメージを受ける。阪大の研究者養成コースは目的がはっきりしていて良いが、良い医者を作るためならば、本来の入学者についても、良い医者を作るための教育をすべき。従来の入試そのものにエネルギーを注ぐのが本筋ではないか。
○  学士編入学と通常の入学は別のカテゴリーなのだから、一緒に論ずることはできない。
○  医学部6年生はその1年を国家試験のために費やしているのが現状であり、一方で医学はどんどん進んでいるのに、限られた時間で教えきれるのか。アメリカでは、6年制大学が減り、高校卒業後7〜8年かかるシステムも増えてきている。カレッジ4年、メディカル・スクール4年でやることを6年でやろうとするのは難しい。
○  高校卒業時に、学士編入学募集のスローガンに掲げていることを求めるのは難しいので、通常の入学者には医学部卒業時にそうできるよう、医学倫理をしっかり教育すべき。学士として入る者については、既に医学倫理を持った人を求める。
○  これからの医者は自ら勉強できる人でなければならない。アメリカは社会のニーズを踏まえて、学士入学を取り入れている。
○  工学部等では学生時代の成果を会社に売り込めるから学生も一生懸命やるが、医学部の学生にはその熱意が足りない。
○  医学部で哲学や倫理を履修する学生は少ないが、履修についても考える必要があるのではないか。

○  次回の開催については、事務局で調整する。 

(高等教育局医学教育課)

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