学士を対象とする医学教育の在り方に関する調査研究協力者会議 (第4回)議事要旨 |
学士を対象とする医学教育の在り方に関する調査研究協力者会議(第4回)議事要旨 日時 平成12年3月6日(月)10:30〜14:00 場所 国立教育会館501会議室 出席者 協力者:鈴木主査、池田、遠藤、越智、加藤、桐野、栗山、黒川(午後)、小宮山、櫻井、鈴木(正午まで)、高折、谷口の各協力者 文部省:布村医学教育課長、浅野課長補佐、松浦専門官ほか関係官 ヒアリング対象者:東海大学、群馬大学の学生等 議事等 1 開会 (1)前回議事要旨(案)について、意見等があれば1週間以内に事務局に連絡することとなった。 (2)主査から東海大学の学生等に対するあいさつがあった。 (3)協力者、文部省関係者の自己紹介があった。 2 東海大学関係者の自己紹介の後、質疑応答。 (○:協力者、△:学生等(学士入学)、▲:学生(一般入学)) ○ 大学卒業後あるいは会社に勤めた後、また医学部に入る気になった動機は何か。さらに、その動機は入学後、周りの環境や実際の状態を見て、変わらなかったか。 △ 文系の大学を卒業後、5年間メーカーに勤務していたが、昔からの医者になりたいという夢を捨てられずにいたところ、東海大学の学士編入学は英語と小論文のみで入れると知り、受験した。入学した当初は医学部の勉強についていけるか不安だったが、聞きやすい先生がそろっていて、意外に苦労はなく、楽しく勉強できた。 △ 文系科目の偏差値の方が良かったので、文系の大学に進んだが、大学4年時に自分が本当にやりたいことは何かを考え、再度医学部への入学を考えた。東海大学は小論文と英語だけで受験でき、入学後のカリキュラムも柔軟性があるし、臨床医になりたいという自分の目的にあっていたので学士入学の試験を受けた。 ○ 医学部に入ってから、数学、物理、化学、生物などを学んだのか。 △ 物理、化学、数学に関しては授業がないので、実力不足。生物だけは、学士は1年生の授業を一緒に受けなければならなかった。 ○ 生化学など専門の勉強が始まって、一般入試の入学者と比べて基本部分が欠落していると感じたことがあるか。 △ 文系出身なので、例えば、Clと言われてもぱっと分からないなど、感覚的に取っつきにくくなっていると感じたが、1年くらい経てばなんとかなった。 △ 工学部に進み、医療機器の会社に就職した。会社の学費負担で大阪大学医学部に通える制度を利用して、1年半、大阪大学麻酔科に在籍した際、医療機器を介して患者を助けるのも良いが、より直接的に患者を助けたいと思い、医学部を受験した。生物学など1年生のカリキュラムについては、特別に参加できる時間帯に組まれており、学士のことを考えて非常によくできたカリキュラムだと感じた。 ○ 学士入学で医学部に多様な人が入ることが望ましいと考えているが、医者になって、これまでの人生経験、他の分野での知識をどう活かせると思うか。 △ 一般就職をしていた際、会社で身体を壊したり、会社からドロップアウトした人を見て、そういう人たちを治す方にまわりたいと感じ、医者になった。患者の身体だけではなく、その人の背景を見ながら投薬一つも行うべきだと考えることができるという意味では少しは役立っているのではないか。 ○ 理工学部のバックグラウンドがあると、入学後のカリキュラムは易しかったか。 △ 親が胸部外科の医師だったので、医者は大変だという印象を強く持っていた。良い医療機器ができれば、手術時間の短縮や早期の診断が可能になるのではないかと考えて理工学部に進んだ。理工学部で勉強したことは非常に役に立った。逆に、医学部の授業の専門性については基本的な部分で終えられていると感じたが、質問に行くと懇切丁寧に教えていただけたし、医学部に入る前に理工学部で学んだことは良かったと思っている。 △ 国際政経学部で途上国の現状を勉強した際、世界にはまだまだ医者が足りないと知り、医学部に進もうと思った。4年時に予備校に通い始め、数学、理科は一から始めた。東海大学の学士入学を知ったが、一応一般入試にも備えて予備校は続けていた。 △ 歯科医として5年ほど開業していたが、歯科医師会と医師会とがタイアップして行う在宅医療の協力医となった際に医師と歯科医師との乖離を感じた。また、ヨーロッパには、歯科は医学部の専門科目の一つにすぎず、歯学部のない国もあるくらいなので、改めて医学を学びたいという気持ちになり、受験した。 ○ 学士入学者は、小論文と英語での受験、2年次への編入ということについては満足しているのか。 △ 学士編入学するとそれだけ年を取っているし、教養で既に学んだことを学ぶのは無駄だと思うので、1年生を省略できたことは良かった。しかし、文系出身の自分は2年次編入でも大変だったので3年次編入になるときついのではないか。 ○ 学士編入学で受験するとき、上司に推薦状を書いてもらうことは頼みにくいか。 △ 東海大学では推薦状は必要ないが、自分は職場には内緒で受験した。 ○ 学士入学の学生が入って、どう感じるか。また、クラスの雰囲気は変わったか。 ▲ 普通の学生に向学心のある学生とない学生がいるのと同様に、学士にもいると思う。また、学士編入学がこれほど普及すると、正攻法で何年も浪人して入った人は、そういう方法もあったのかと複雑な気持ちになるのではないか。そもそも、医学を学ぶのに、物理、化学、生物などの科目を避けて通っていいのか。医者になりたいと思うのが何歳であってもチャンスを与えるのはすばらしいことだが、学士編入学が増えると一般学生が萎縮するのも事実。一般入学者は若い分、何もできないかもしれないが、情熱のある学生もいる。 ▲ 研究者になりたい自分としては、理工系の大学を出てベースがある学士がうらやましく思えるときもある。一方で、学士はいろいろな経験を積んでいる代わりに柔らかさが失われている部分もあるだろうし、若い人の強さは頭の柔らかさや吸収力があることだろうから、全員が学士になるよりも今のように混ざった状態が良い。 ▲ 学士が近くにいると学校生活を送るに当たって刺激になる。特に、人生の先輩として将来のこと、生き方等について話すときにありがたく感じる。 しかし、学士にはすごい経歴の持ち主が多いので、例えば留学試験等同じ土俵に立つときに一般学生が自信をなくす。これからすばらしい人になる可能性を持った一般学生にもチャンスを与えて欲しい。 ▲ 学士は2年次になり、既にクラスにある程度輪が出来ているところに入るためかもしれないが、学士だけで固まる傾向も否めない。 ▲ 学士同士はクラスの中でも固まるが、上と下との関係でも学士同士の情報ネットワークがあり、一般の学生より詳しい情報がまわってきたりする。が、学年を追ううちにいろいろグループに接することになるので、次第に違和感はなくなってきた。 △ 医師になってからは、日常で自分が学士だったことが話題になることはない。 ○ 学士入学者から見て、自分が以前学んだ教養と比べて医学部の教養科目で抜けているものがあると思うか。また、学士として入っても、必要な教養科目があるか。 3年次編入にするなら、生物など理数系の試験は必須にして、入学前にチェックした方が良いか。 △ 本学では学籍簿上は3年でも、授業は2年生と一緒に受ける。今のカリキュラムでいくと5年で卒業することになり、国試の勉強をする時間がないので、学士の国試合格率が半分を切るのではないかと憂慮されている。現在は、本来5年、6年でやる選択必修科目のうち基礎医学的なクリニカル・クラークシップの部分3週間分を先取りし、春休みと夏休みをつぶしてそこに入れるような形をとっているが、この期間を延長するよう大学側に交渉中。 ○ 医学教育に関して、学士制度が良いのか6年制のままの方が良いのか、ということが問題になっている。学士入学制度があった方が良いというポジティブな意見があったが、その他に一般入学でも良いのではないか、あるいは学士入学制度をこれから定着させるためには入学機会の多様性を増やすだけで済むのかという本質的な問題を通して、特別な意見があるか。 ▲ 日本では15才で高校入学、18歳で大学入学という決まったパターンから外れない人が多いが、みんな同じ考え方を持つ人を育てることになる。いろいろな人生の在り方を認めることが必要であり、患者もそういう医師を求めるのではないか。 ○ 学士編入学制度があったから医学部に入ったのか、あるいは一般入試も受けるつもりだったか。 △ 試験科目に理系科目がなかったから受けた(同意見3人)。 △ 一般入試は受けなかったが、東海大学に落ちていたら翌年受けていたと思う(同意見2人)。 (群馬大学関係者入場) 3 群馬大学関係者の自己紹介の後、両大学の学生等が同席しての自由討議。 (○:協力者、△:学生(学士入学)、▲:学生(一般入学)、□:文部省) ○ 何日間かかけて面接を行うという群馬大学の学士入学の試験方法は他大学の方法と比べてどうか。 △ 自分の考えを言う機会が多く、また、懇親会のような感じで先生方と話ができたので、受験生として、群大医学部がどういうところか先生方はどういう感じかが分かって良かった。 ○ (群馬大学学士入学者に対して)医学部に再度入ろうとした動機は何か。 △ 自分はMDを持たずに基礎医学研究に従事していたので、自分の研究を臨床応用しようとすると、MDの人の手を借りなくてはいけなかった。最終的なところまで自分で関与したいという思いが強まって医学部に入る決心をした。 △ 教会で働いたり海外の援助等を行ったりする中で、人間とは何か、人生とは何かを突き詰めたいと考えていた。宗教の世界では心の痛みという点が非常に強いが、肉体的な痛みについては医者に任されているので、まず医学を学びたいと思った。 △ スタンフォードで生物学の勉強を進めるうちに医学への興味がわいた。また、スタンフォードでは4年普通の勉強をした後メディカル・スクールに進む友人がほとんどだったので、影響を受けた。 ○ 学士入学をした場合、経済的には苦しいか。 △ 自分は10年間勤めていたので、向こう4年間の生活を支えるぐらいの財力はある。学士がみんな一様な条件ではないが、4年制の大学を終えてすぐに学士入学する人は、働いた経験がないので親の援助を受けざるを得ない人も多いのではないか。 ○ 学士で卒業してすぐに医学部に入学するのと、一度就職してから、もしくはマスターを終えてから入ってくるのと、どちらが有利ということがあるか。 △ 医療を受ける立場としては、働いて視野を広げた人が学士入学するのは望ましいと思うが、医学教育を受ける立場としては、若いうちの方が記憶力も良いので、学士は辛い。 ▲ 医学部の学生全体に与える影響、医療の現場でこれから起きることを考えると、バラエティーに富んだ経歴の人が入ることは望ましい。ただし、社会経験があれば良いというわけでもないので、100人のうち数パーセントの学士がいろいろな影響をまわりに与えられる状態であれば良い。 △ 理科系の分野で専門性の高いことを学んだ人でも基礎的な医学の勉強をする上で苦労することもあるなど、勉強面では経験がストレートに直結するわけではないようだが、英語の教科書を使うことが多いので、国際関係の仕事をしていたことは役に立っている。 △ 今のように学士編入が少ない状態では、社会経験を積んだ人を多く採る方が良いかもしれないが、今後学士編入学者の割合が増えるのであれば、大学卒業後すぐに入る人が増えても良いのではないか。偏らず、いろいろな人材を採る方がよい。 △ 東海大学では、大学卒業後すぐに入った人と職歴のある人とでは授業に対するモチベーションに若干の開きがあるような気がするが、群馬大学ではどうか。 △ 10年勤めていた職場を辞めて来た以上、もう戻るところはないという切羽詰まった部分はある。 △ 成績の善し悪しは別として、職歴のある人の方がプロ意識があると感じる。特に、人と接する仕事をしていた人は、病棟に出たときに患者とコミュニケーションをとるのが上手。学士入学を語るとき、社会経験があるかないかはあまり表に出ない印象があるが、どういう企業で働いたかというのもその人の実力の一つだと思う。また、修士を出たのであれば、その論文を面接の時に評価しても良いのではないか。 △ 合宿型式の面接をする前に、何か選抜試験があるのか。また、東海大学の学士入学は40歳という上限があるが、国立大学には年齢制限はないのか。 ○ 書類審査とペーパーテストで定員15名の3倍まで絞ってから面接する。年齢制限はない。 ▲ 勉強する意志は何歳でも同じだが、医師という職業として働くのであれば、80歳で医者になってどうする、という気もする。学士を採る場合、戦力として世の中で活躍する医師を育てるために採るのか、学問の自由として採るのか。 ○ 学問の自由があるので、門戸は誰にでも開かれているが、高齢の方で医者になって間もなく亡くなった例もあり、難しい問題。 ○ 医学部の学生1人を医者に育てあげるのに多額の税金を使っている以上、医者を何のために育てるのか考えなければならない。 ▲ 学士入学者は、医者になった後、研究を続けたいのか、臨床をやりたいのか。 △ 自分はPhDまでいったので、そのバックグラウンドを医学の世界で活かすため、開業するのではなく、大学等で臨床をやりつつ研究を続けたい。 △ 国際医療協力に携わりたいという希望を強く持っているので、将来は海外も視野に入れつつ臨床を目指したい。 △ 日本では、医学部で研究をしている人のほとんどが医学部出身者だが、アメリカでは、メディカル・スクールの中でPhDコースがあり、生物学を専攻した人がメディカル・スクールで研究を進めることができるシステムがある。日本にそういうシステムがないのは、人材を無駄にしていることになるのではないか。研究の成果でもって医学に貢献できれば良いのではないか。 (東海大学関係者退出) ○ 一般選抜入学者から学士入学の学生に対して何か意見があるか。 ▲ 最初は、学士の人は意識もキャリアも違うので取っつきにくい印象があったが、2年の間に次第にバリアが外れてきた感じ。 ▲ 群馬大学では2年次で基礎系のほとんどを学習するが、学士は3年次に編入するので、自分たちが3年生の時に学士は2年生の内容を中心にやっていたのに、4年生になったら学士も4年の内容を一緒に受けることになり、自分たちがやってきた1年間をとばしている感じがしてかなり抵抗があった。カリキュラムで早めに臨床や専門の内容をやるようになればなるほど学士が入った後にカリキュラムを合わせるのが大変だと思うし、学士自身にとっても辛いのではないか。 カリキュラムの差がなくなり一緒に授業を受けることが多くなれば、学士と一般学生との間の隔たりも少なくなるのではないか。 ▲ 一般教養をやっている間に中だるみし、医師になりたいというモチベーションが下がってしまうので、途中で学士が入るのは刺激になって良い。群馬大学では3年後期に臨床基礎科目(いわゆる内科総論)をやっているが、学士はそれを全く受けないで4年になるので、テストで落ちた学生の努力は何なのかという気がする。 ○ 学士入学の人は最初の1年で、一般選抜で入ってきた人の2年と3年の分をやるのか。 △ 2年生でやるべきものとして我々に課された科目があるので、それに加えて3年生の授業を全て受けるのは、時間的に無理。 ○ そういう考え方は甘い。アメリカには6年制、7年制の医学部があるが、そこではカレッジ4年、メディカル・スクール4年でやることを春休み、夏休み返上で6年、7年で全てやっている。 △ 学士入学は、一般学生が2年次と3年次で修める科目を最初の1年でやらなければならないので春休みも夏休みも土曜、日曜もないとあらかじめ書いた上で、そういうカリキュラムを作っていただければ可能だと思う。 なお、学士は6年次に何らかの負荷がかかるということは言われている。例えば微生物学は3年で習うべきものだが、その時間学士は別の授業を受けていたので、その分の単位は保留になっており、6年次の空いている時間に微生物学の教官の部屋に行くなどしてフォローすることになる。 ○大阪大学では、学士や3年次編入生の学習の遅れを取り戻すため、何箇月もの間土曜日の午後も講義をしているし、MD-PhDコースについては、最初の何箇月間かは夜の8時まで講義をやるというプログラムを作っている。 なお、編入の時期に、一般入学の学生に対しては、基礎医学の各研究室に配属し、実際に研究をやらせてみるなどキャッチアップする時間を作っている。 学士入学の制度で別のプロダクトができるかどうかは疑問。学士は18歳で入学した人と比べて、卒後10年経った段階で、研究者として活躍している人より開業している人が多い。今までの経験を持って入学した人が別のプロダクトになっていくのを支えるために、大学としてはどうすれば良いのか。ちなみに、12年度からMD-PhDコースを作ったが、従来型の3年次編とMD-PhDコースの志願者は半々だった。 学士の方には、卒業後も入学時の夢をそのまま追い続けるために、今の制度がどうあって欲しいか教えていただきたい。 △ 学士編入学を導入する上で、一番しっかりして欲しいのはカリキュラム。1、2年次は教養、3年から専門という昔の制度の方が3年次編入は楽に進むので、6年制の教育をどんどん変えることは、ある意味で編入を進める妨げになるのではないか。 アメリカでは4年でこなしていると言われたが、入る段階での必要条件が厳しく全くゼロの状態からの4年ではない。今後、学士制度の導入を進めるのなら、普通の4年制の方を改革し、融通のきく単位の取り方ができるようにすべきではないか。 △ 4年間で卒業できるのは編入した人にとっては魅力だが、カリキュラム自体は大変。理科系出身者にとっては適応できる授業でも文系出身者には大変なので、2年次編入と3年次編入と両方あっても良いのではないか。 ○ アメリカのメディカル・スクールは、入学する段階で大学によって要求する科目が違うし、程度の高いものを要求するので、入ってからは問題がないが、日本の学士入学は文系を出ても入れるので、しっかりしたカリキュラムを作る必要がある。 ○ いろいろなカリキュラムを作っても、授業に出てこなければ意味がない。 ○ 東海大学の学士入学者は文系出身が60%と多いが、彼らには化学、生物、物理など高校1年生レベルで終わっているのだから、それをハンディキャップだと自覚するよう話はしている。 ○ 群馬大学の学士編入学制度がなくても医学部に入ったか。 △ 群馬大学が無理ならば、時間もないし、勉強してまで入りたいとは思わなかった。 △ 学士入学でダメだったら、一般入試も受けようと考えた。(同意見2人) ○ アメリカのメディカル・スクールの学生に比べて、群馬大学の学生はどうか。 △ 日本とアメリカとでは評価のされ方が違うので一概に比較はできない。アメリカの学生の方が勉強はするが、日本の学生でもしっかり目的意識を持っている人もいるし、記憶力もすごいので、これだけのやる気と能力があるのなら、18歳で医学部に入る道があっても良いと思う。全てを4年制にするのではなく、6年制の医学部も残す方が良い。 ○ 医学部を卒業後、研修はマッチングさせるようになってくれば、大学間で競うようになるので、教える側も良いプロダクトを育てるようになる。 ○ 学士入学の学生だけで輪ができていないか。 △ 新しい制度ということで大学全体が意識しているせいもあるだろうが、最初はやはり分かれがちだった。2年経って、ある程度交わってきたと思う。 △ 自分ではあまり意識していなかったが、一般学生側は意識しているようだ。カリキュラムが違うことも一因ではないか。 ▲ 1年目は一般入学者と学士入学者の平均点が張り出されて、嫌だった。 ▲ 学士入学については賛成。学士は経験が豊富で、話を聞いていても刺激になる。 ○ みんな同じ授業でなければダメか。医学部も時間制ではなく、単位制に移行しようとしているが、そうなると、一定の範囲内で単位を取ればよいことになる。しかも、今後、コア・カリキュラムとアドバンスト・カリキュラムという多様性を目指した教育改革が行われると、画一的な教育は行われなくなり、基本的には試験で評価する方式になるだろうから、人によって違う授業を選択することも起こりうる。 ▲ 画一的なカリキュラムが良いと言っているのではない。単位制の制度の中に放り込まれれば、友達と違うものを選択していても仕方ないと思うだろうが、現在はこの学年ではこの科目を取りなさいという形になっている。みんな同じものをやるという意識がある中で分けられると抵抗を感じてしまうので、入学当初から違うカリキュラムだということを示してもらいたい。 ○ 東海大学では2年終わった段階で、ボランティアをやるなど人生経験を増やすために1年休学しても籍は保持しておくような制度を設けようとしているが、国立でも休学はできるのか。 □ 国立でも休学はできる。 ○ これまでの医学部は金太郎飴のようにどこの大学に行っても同じだったが、今後、違うタイプのコースができて、医師になる以外に、自分に合った進路を選べるようになることは、学生にとっては歓迎できることではないのか。 ▲ 学生側にもカリキュラムに対する不満はあるので、単位制にして、偏らないような選択ができる形にしてもらえることは歓迎できる。 □ 学士編入学制度は平成14年4月までに国立大学24大学で155名の枠まで拡大する予定だが、そうなると大学間の競合が起こってくるが、皆さんが群馬大学を選んだ理由はどこにあるのか。 △ 島根医科大学と群馬大学の学士入学の入試要項を取り寄せたが、島根医科大学を受けなかった理由は教育目標に「研究者及び医師」と研究者が先に書いてあったことと、本格的な学科試験も課されることなど。 △ 群馬大学は学科試験がないこと、募集要項の内容に惹かれて受験しようと思った。さらに、合宿試験でいろいろな先生と話をして、この学校に入りたいと思った。 ○ 募集要項の重要さを改めて感じた。今後、学士入学制度を取り入れる学校が増えても、受験時期はバラバラのままで良いのではないか。 △ 医学部の学生は医者の卵ということでエリート意識のようなものを持ち、視野が狭まりがちなので、年に2回くらい全く違う分野の著名人を呼んでレクチャーをしてもらいたい。 ○ 既に、各大学で毎年いろいろな人を呼んで講義してもらっているはずである。 ○ 日本は教える人と教わる人という縦関係の意識が強すぎて良くない。学生も教授も同じパートナーとして良い医者を育て合おうという意識が欠如している。もっと、各人のバックグラウンドを活かしてお互いを育て合おうとすべき。 △ 若い学生は医学部に資格取得専門学校のような意識で入ってくるからか、与えられたものがきちんとしていないとカリキュラムがおかしいなどと文句を言いがちだが、失敗する可能性はあっても、先生方にはいろいろな工夫をしてもらいたい。 ○ 先生の方から一方的に与えられるのを待っているのではなく、学生の方からも提案するようにならなければならない。 4 次回会議の日程等は事務局で調整することとされた。 以上 |