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21世紀医学・医療懇談会

21世紀における医療人育成の考え方  

○全体報告


21世紀における医療人育成の考え方


1.21世紀における医療人育成の考え方

1. 医療人としての能力・適性に留意した人材選考
  単に「受験学力」が高いから医学部等への進学を決めるのではなく,医療人として活躍するに十分な能力を持ちつつ,明確な目的意識を持った者や医療人としての適性を持った者が,医療人になれるような人材選考システムを作ることが必要である。
  子供の時期から医療や福祉の現場に触れる機会の拡大,中・高等学校における進路指導の改善,社会人等を対象とした特別選抜の実施など大学入学者選抜方法の一層の改善,医療関係学部の編入学枠の拡大などを進めるとともに,医療人育成制度そのものの見直しが求められる。

 2. 人間性豊かな医療人
  医療人には,幅広い教養を持った感性豊かな人間性,人間性への深い洞察力,倫理観,生命の尊厳についての深い認識などを持つことが強く求められている。
  医療人育成における人間教育,教養教育の重視を徹底する必要があり,人間的に成熟し幅広い教養教育を修得した後に,医療に関する専門的な教育を行うことも考えられる。

 3. 患者中心,患者本位の立場に立った医療人
  国民が望む人間中心の医学・医療を推進することが重要であり,この観点に立って医療人に求められる態度・技能・知識を修得する必要がある。講座制の枠にとらわれないカリキュラム編成,少人数教育の推進,実習の充実,患者との接し方,インフォームド・コンセントやチーム医療の重視など,教育内容及び方法の改善が強く求められる。

 4. 多様な環境の中で育つ医療人
  現在は,高等学校卒業後ストレートに大学の医療関係学部に進学し,さらに卒業後においては,同質社会の中で職業生活を送ることになりがちである。大学における編入学枠の拡大,大学を含む医療機関間の人材交流の促進などを積極的に進め,多様な学習経験,社会経験を有する者が相互に切磋琢磨する環境を作る中でこそ,資質の高い医療人が育成されるものと考えられる。

 5. 生涯学習する医療人
  医学・医療は日進月歩であり,学部教育や卒業直後の研修で学ぶ内容は,医療の一部と言える。医療人の資質の向上を図り,患者に十分に奉仕できるようになるためには,医療人は生涯にわたり学習することが求められている。学生時代に自己学習力や自己問題解決能力を育成することが重要であると同時に,生涯にわたり医療人が学習を継続できるような環境整備を積極的に進めることが必要である。

 6. 地球人として活動する医療人
  21世紀においては,国際協力を含め,現在以上に地球規模で医療人が活動する機会が増大することを踏まえた医療人の育成が求められる。


 (高等教育局  医学教育課) 




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