医師の卒後臨床研修に関する協議会 (第9回)議事要旨 |
医師の卒後臨床研修に関する協議会(第9回)議事要旨 日 時 平成11年8月4日(木)14:00〜16:00 場 所 東京ガーデンパレス「羽衣の間」 出席者 協力者:磯野座長、開原副座長、阿曽、石井、入交、坂上、猿田、高橋、塚原(勇)、塚原(重)、細田、本田、前川、真栄城、矢崎 文部省:布村医学教育課長、厚生省:松谷医事課長ほか関係官 議事等 1 事務局より協力者の出欠状況の報告があった。 2 前回の議事要旨(案)について、御意見があれば数日中に事務局に連絡することとし、特段なければこの議事要旨(案)を文部省のホームページで公表することとされた。 3 事務局より配付資料の説明があった。 4 厚生省より医療審議会が取りまとめた「医療提供体制の改革について(中間報告)」について説明があった。 5 意見交換 ○ 大きな問題として議論していただきたいのは、1つは医師免許の問題。2番目が費用負担の問題。3番目が所属機関の問題。 ○ 2年間の卒後研修は、一人前の医師という資格の下に保険の問題も踏まえて、卒後臨床研修を受けることが我々の議論の中心になってきたかと思うが、卒前教育のみで一人前の免許を与えることについてはいかがか。 ○ 医師の免許をもらっても、実際には臨床研修が終わらないと、一人前の医師とは言えない。国家試験の合格と同時に一人前の医師免許を与えられるのであれば、アルバイトの問題はどう考えるか。これは単にアルバイトの問題として考えるのか、あるいは卒業してすぐ一人前の医師として指導医がいないところでも患者を診察することができると考えるのか。 △ 審議会の取りまとめでは、研修は医師としての実際の業務を通じて、一層の資質の向上を目指す研鑽の期間であることから、医師の免許は今までと同じように国家試験合格後に与えられることになる。2年間研修して修了認定がなされた場合には、さらに「臨床研修を終了した」旨が医籍に登録されることとなる。臨床研修を修了した者が、医療法での病院・診療所の管理者になることができる。こういう構成になっている。 ○ 研修医の診療行為あるいは保険診療の制限を非常に少なくすることによって、給料を費用負担の引き上げの方から払ってくれというのが難しくなるのではないか。 ○ 臨床研修中の医行為の内容・種類については制限しない、ということは保険診療ができるということになる。保険診療は研修機関において行うべきとは書かれていない が、その辺はいかがか。 ○ 研修医のアルバイトの問題はいかがか。 △ 基本的にアルバイトは認めないというのが、ここでの議論の大方。今回の審議会でも大勢の意見は同様。従って、プログラムの中でアルバイトを禁止するというのが望ましい。ただ、法律上書けるかというと、憲法上の問題もあり、難しい。 ○ 保険診療をする機関の整理というのは法的にやっているのか。 △ 法律上は難しい。研修病院の指定の段階で、アルバイトを前提とするような病院は指定しない、ないしはそういうことを放置するような病院は指定しないなど、入口できちんとすべき。 ○ 研修指定病院で医療訴訟が起こった場合は、研修指導医の指示があると考えられるからよいが、研修指導医がいないところでアルバイトをした場合は、個人だけの責任になるのか。 △ 場所がどこであれ、事柄の実態に則して指導医の監督責任と研修医の行為責任の範囲をどの程度と判断するかではないか。 ○ 審議会でも同じような議論があったが、研修病院の中では、研修医に対して指導医が十分カバーするように書いてある。それとほとんど同じだと思うが、アルバイトの場合だとどうなるか。 ○ 医療過誤とかアルバイトの問題に入る前に、卒後臨床研修の性格が安心して良質な医療を提供できる医師を作ること。ぜひ、費用負担の問題をなんとか開いて、研修の体制を整えた上でアルバイトを禁止する。それでアルバイトをした場合は、研修機関には罰則を作ってもよいのではないか。 ○ 研修というものは、実際には研修医それ自体が研修指定病院であっても一人前の医師という認識をもってきちんとした臨床をできることを目指している。アルバイトの問題はこれからの教育方針によって、診療報酬の問題であるとか研修指導医の問題であるとか、かなりの問題をかかえている。 費用負担の問題については、一人前の医師という形の中で、医療保険の中から研修医に対する報酬、一般会計の問題等財源の問題について、私立大学から医療保険と補助の現状を聞きたい。 ○ 歳入は歳出に連結するものではないという前提の下でだが、研修医、指導医に対する給与は病院の収入から出ていると考えてよいか。 ○ 私立大学は国からの補助、研修諸経費が少ない。今後、必修化をした場合に、免許証と同じような資格となるだろうが、今のままでよいのか。 ○ おそらく、大学にいる研修医の数は研修医のほとんど。その場合、大学病院、大学と関連病院あるいは研修指定病院との関係が薄いのが問題。もっと、まわりの病院に研修医をとってもらい、そこから先生のところに来れるような制度にしなければならない。病院群という考え方を新しい制度では是非考えてもらいたい。 ○ 研修医の費用負担の現状はこうであるが、必修化した場合にどうなるか。 ○ 15,000人が2年研修しての額。アルバイトに行ったりした人件費等も考慮しなければならない。 ○ 我々が試算するときには、研修医に対する給料、指導医の分、設備の分を考えるが、解釈の仕方によって額が違ってくるのでは困る。 ○ 我々は金の問題とは別の問題で、一つの研修の制度として検討してきた。財源の問題はどうしても出てくるが、そこはどう考えるか。 ○ 医療負担の現状を踏まえてというが、スキームを出さないとだめ。それが将来の費用負担の基礎となる。いい研修医を育てるためのカリキュラムを作るとすると、医療保険でではなく医療費で。これを財源の支払い側を納得させてお金を出す仕組みを作る方法をどう考えるか。 ○ このスキームは米国の卒後研修の仕組みと似ている。メディケアは医療費の30%くらいを負担すると聞いているが、卒後研修費の60%以上を負担しているという話も聞いた。メディケアの卒後研修に対する援助は、直接援助、間接援助があり、直接援助は指導医に対する給与、間接援助は本来ならば3人患者が診られるのに、教育のためには2人しか診られないという場合に、そのマイナスになる1人の患者分の収入を補填するものと聞いた。 今は、診療報酬がそのまま病院の裁量で回ってくるようだが、これは最初からひも付きで研修医に対する費用。メディケアのような間接補助のスキームが取り入れられれば良いと思う。 なお、イギリスの場合は、イギリス政府が給与を払うことになり、それぞれにひもがついてくる。 また、大学病院は教授や助手、講師が指導医であり、それぞれに対する給与をどう考えるか。 △ メディケアについては、直接費用とは研修医による医療行為が支払いの対象ではな いことから、別途医療機関に対して支払われているものであり、間接費用は、研修医の教育的目的から追加的に行われる検査等に係る費用を補填するという趣旨のものと理解している。 診療報酬については、抜本改革の流れも含めて考えていきたい。 ○ 日本の医療費が30兆円。その医療費の中から財源を出すのも可能ではないか。 ○ 財源の問題、費用負担の問題が出たが、手当の問題は言葉だけでなくきちんとした形の中で議論いただき、方向付けまで出せるよう議論を続けていただきたい。 ○ 次回は9月末か10月に開催したい。 |