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国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議

2001/01/05 議事録

国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議
「目標評価委員会(第6回)」議事要旨

国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議
「目標評価委員会(第6回)」議事要旨

1  日時

  平成13年1月5日(金)14:00〜16:00

2  場所

  虎ノ門パストラル「桃の間」

3  出席者

(委員)

猪口邦子、内田博文、奥野信宏、小野田武、加藤祐三、小出忠孝(副主査)、椎貝博美、瀬戸純一、舘  昭、田中弘允、廣重  力、堀田凱樹(副主査)、松尾  稔(主査)、丸山正樹、山本眞一 の各委員

(関係者)

川嶋宗継、相良祐輔、生和秀敏、内藤俊彦 の各関係者

(文部省)

清水高等教育局審議官、木谷企画課長、合田大学課長、杉野大学改革推進室長  他

4  議事

(1)開会

(2)主査より、第5回議事要旨(案)の取扱いについて説明があり、1月11日(木)までに意見があれば事務局まで連絡の上、修正し、文部省のホームページで公開することとされた。
  また、主査より、前回了承された作業委員について、内田委員、奥野委員、小野田委員にお願いしたいとの提案があり了承された。

(3)事務局から、資料について説明があり、以下のような意見交換が行われた。

【委員及び関係者】

  国立大学の評価を行う場合には、中期目標にしたがって評価することになるだろうから、中期目標に何を書くかということが一番大事になってくる。一つの考え方としては、中期目標にはルーチン的なものを書かないで、5年間でどういった点を改善していくかということを中心に書くということがあると思う。そうすると大学によって改善しようとする事項が、研究発表を増やすとか学位授与率を上げるとか社会貢献をもっと行うとか、それぞれ違ってくると思うが、その改善についての達成度を評価していくことが大事である。ルーチン的な授業をどのくらいきちんと行ったかといったことは学校の自己点検・評価を尊重してもらうことでよいのではないかと考える。
  会計の監査と評価の関係も考える必要があるのではないか。会計検査院は予算の執行やその改善に関する事項の勧告等を行うし、文部省独自の会計監査も行なわれている。政府の取り組みとしては重複してくるのではないかと思う。

【委員及び関係者】

  仮に大学が法人格を取得することになると、会計のやり方も変わるのではないか。それに関連して中期計画の中身等も考えなければならない。今の指摘はそのことが評価の在り方とも密接に関係してくるという重要な問題だと思う。

【委員及び関係者】

  海外の大学で管理職を行った経験から言えば、中期目標というのはどうしても財務と絡んでくる。例えば、ある大学が今後4年間に熱帯雨林の研究を非常にしっかりと行いたいとすると具体的な計画をたてなければならない。大学全体の収入の中で、どこから削って4年間でどれだけの投入を行うかということを決め、さらに財務担当副学長があちらこちら走りまわってとにかく100万ドルなら100万ドルを集めるということも行い、そうして具体的な計画に入る。結果としては、研究成果については強く求められずに、例えばその期間にPh-Dを10人に授与するということが最も重視される。海外の大学ではPh-Dの審査に必ず外部審査員が入るので、Ph-Dを授与するということはそれだけの世界的なレベルが保証されるということになる。そういうことに対する監査は、大体3ヶ月ごとに行うことになる。寄附金を今後3ヶ月間にいくら集めてくるかとか、いくら使うかなど非常に具体的なことがらをチェックすることによって、学長や副学長にもう少ししっかりするように言うこともできる。そういうようにやっていけばいいのであり、必ずしもノーベル賞を取ろうというようなことがあるわけではない。
  また、中期目標には廃止ということも当然含まれる。例えばあの分野は3年かけて廃止するとか、こちらの方に振りかえるとか、かなり具体的な話が含まれてくる。
  中期目標・計画というのは、3年ないし5年というのことであるが、その間の監視体制をどのように行っていくかという問題が残っているように思う。外部評価委員などをお願するのか、あるいは運営諮問会議のようなところでしっかりと行っていくこととするのか検討する必要がある。そういった監視を何もせず、5年目になってうまくいかなかったでは仕方がないし、そういった監視がスムーズに行えるためにも、目標は抽象的ではなく必ず具体的な数字を出すことが必要ではないか。あまり自己点検・評価とか外部評価システムとの関係とかは気にせずに、こういった評価を3ヶ月ごとに行うのが適当だと思う。

【委員及び関係者】

  評価というものの目的と、方法と、主体の3点ぐらいは主な観点として捉えながらこの委員会の審議をまとめて行かなければいけないと思っている。

【委員及び関係者】

  主務省に置かれる評価委員会の責任は大変重いと思う。大学評価というものは、数値化するかどうかという問題もあるし、分野によっても違うし、難しい問題を含んでいる。
  主務省に置かれる評価委員会の外部有識者とは、何にとっての外部なのか。つまり、大変な力を持つことになるので、どういう顔ぶれになるのかが気になる。
  また、独立行政法人制度の評価には、反論システムは入っているか。大学を評価した場合、評価結果に対して、実態と違うと大学が考える場合、反論できるシステムがないと一方的な評価になってしまうのではないかと危惧する。

【事務局】

  外部有識者と言った場合には、一般的には、例えば企業会計的な手法を取るということが独立行政法人制度の中で共通しているので、そういう意味で公認会計士や企業経営に当たられている方など企業会計に詳しい方や、例えばマスコミ関係の方など、社会を代表するといったような立場の方が入ってくることが考えられる。また、実際問題として評価の対象となる法人の業務の内容についてよくご存じの方も当然必要になってくるだろうから、例えば、文部科学省の評価委員会でいえば、青少年分科会、文化分科会、社会教育分科会、科学技術分科会、学校教育分科会の5つの分科会のその分野で特に見識をお持ちの方も含まれるものと考える。
  また、評価を受ける独立行政法人側からの反論システムというのは特に設けてられてはいない。ただし、そもそも国費を使って運営されるので、行政の責任で評価を行うということも考え方としてはありうるのだけれども、主務大臣が直接評価を行うということは、恣意的な行政判断に基づく評価ということにもなりかねないので、第三者的かつ専門性を持つ方々によって客観的な評価が行われることを目指して評価委員会が作られているものである。その上で、総務省に置かれる評価委員会が各省の評価委員会を通じてその評価そのものをチェックするという形で客観性を担保するという仕組みを作っている。反論のシステムはないが、こういったシステムを作ることによって、客観性を出来るだけ担保する工夫を行っていると考えている。

【委員及び関係者】

  今までのご説明で、主務省に置かれる評価委員会の具体像はある程度分かったが、もし国立大学が独立行政法人化された場合、99国立大学に対して、この評価委員会がどのような形でどのような評価をなさるのかイメージがわかない。

【委員及び関係者】

  国立大学協会の第8常置委員会でも、国立大学が法人格を持った場合のことを議論するとき、主務省に置かれる評価委員会というものがどういう評価を行うのか皆目見当がつかないという話が出ている。法人化の問題とは関係のないことであるが、大学評価・学位授与機構の行う評価は、国立大学のアカデミックな面での評価に限定して集中的に評価していくこととしており、機構そのものの性格や目的は非常にはっきりとしている。一方、主務省に置かれる評価委員会では、もし国立大学が法人格を得たとすれば、アカデミックな部分については、大学評価・学位授与機構の評価結果、或いは何種類もの評価結果を参考にしながら評価するのかも知れないがどのような評価を行うのかわからない。どのようなものになるのかイメージを教えていただきたい。

【事務局】

  本年の4月から独立行政法人になるものが生まれることになるが、この法人が初めて中期目標期間を終了するのが早くて3年後であり、そのときに初めて一般的な独立行政法人制度における評価というものが行われることになる。資料3に書いてあること以外にさらに細部にわたってどういうことが行われるかということについては、今後、各省庁が資料3を踏まえた上で考えていくものだと思う。したがって、国立大学を仮に独立行政法人化する場合の評価のシステムをどうするかということについても、この委員会において検討してもらいたい。文部科学省としても今のところ明確なものはないが、まさにこの委員会で評価の基準ともいえる中期目標をどういったものにすべきか、さらに、それを踏まえてどういう評価システムにするのかということをご検討いただきたい。

【委員及び関係者】

  中央省庁としてもはっきりとしたものは持っていないということである。おそらくアカデミックな面については、他のアカデミックな評価機関からのものを参考にするのだろうが、管理運営などについては、この主務省に置かれる評価委員会が評価して、競争的資源配分などとの関係が出て来るのではないかという感じは皆さんも持っているのではないか。

【委員及び関係者】

  評価の客観性を担保する意味から外部有識者というのはいいと思うが、大学を評価するのだから、全員外部有識者というわけではなく、少数でも国立大学の関係者を入れた方が良いのではないか。

【委員及び関係者】

  たしかに、全員外部有識者というのはいかがなものかと思う。また、外部有識者について重要なことは、その方の分野で世界的な水準にあるかどうかということだと思う。国立大学を評価するにあたり、一つの目標として"国際競争力"ということは大学審議会でも言われていることである。分野によって違いがあると思うが、まずは国際的な競争力や水準を高めることが大きな目標と考える。そういうものを評価する方は、その方の分野において、国内的な水準ではなくて、国際的な評価を受けている方であることが重要である。例えば企業の方という場合に、単に会計のことに詳しければいいというものではないと思う。その分野での国際的な水準を何らかの形で証明できた方、国際的な競争力を誇ったような企業の中の財務担当副社長であるといった感じであれば納得できると思うが、ただ単にあることに詳しいという方が、全体を評価することは、評価される側が少しつらいかなという感じがする。
  また、評価委員会のなすべき本当の仕事というのは目標がよいかどうかを判断することだと思う。大きな時代の流れに照らして、この目標では的はずれであるとか、あまりにも野心的でなさ過ぎるとか、方向違いであるとかいう意見を述べるべきだと思う。一方で、達成度の判断はあまり主観の入る余地はなく、明らかだと思うので事務的に行った方がよいと考える。
  アカデミックな機関についての改廃も含めた最終的な勧告というものが、アカデミックなことを所管することとは無縁のところからくるということについては、構造的に少々注意が必要であると思う。もちろん前段階で評価委員会に意見を述べたり、評価委員会もそちらの意見を伺うというイントラクションはあるので、単に組織論的な観点からのみの最終的な勧告や評価がなされるのではないとは思うが、その当たりの仕切りがどうなるのか心配である。新しい省庁体制においても分担管理の原則は変わってないし、お互いに平等に独立した機関として機能していることなので、主務大臣が関与するのはいいと思う。それをオーバーライズする大きな力があるとすれば、それは内閣そのものであると思う。総務省の関わり方というものは、非常に形式的なものかも知れないが、その当たりの関係が最終的にどういうものになるのか少々心配なところである。国立大学はアカデミックかつエデュケーショナルな機関なので、その機関を所管する省が、最終的には本当に大きな責任を持って改革の方向性などを決定していくべきであり、それが総務省からの力によって左右されるようなことは好ましくないと感じている。
  また、中期目標を立てるにあたっては、改善するべきところにポイントを置くことが重要であると思う。これからの10年間か15年間は改善期と考えて積極的に改善するところを中期目標に入れ、達成度を見るという方法がまず必要である。それともう一つ、水準の維持ということも重要である。改善ばかりに力点を置くと、今まで達成できていたことが、どんどん空洞化してしまい、そこに予算がつかなかったり、全く人数も割り当ててもらえなくなるということがあるかもしれないことが懸念される。日本の国立大学は、すでに高い水準を達成しているのだから、それをどう維持するのか、ということが重要。水準の維持と改善という2面にわたって目標を立てる必要があると考える。また、評価に当たっても、水準が落ちたらマイナス評価とすべき。

【委員及び関係者】

  事務局としては、アカデミックな分野を所掌していない総務省が勧告というような大きな力で最終的な発言力を持つことについて、どのように考えているのか。

【事務局】

  総務省というのは、現在の総務庁と郵政省と自治省が一緒になってできる組織である。現在の総務庁は国の行政機関について具体的に組織の細部にわたってその組織を作るか作らないか廃止するかどうかについて審査を行う権限を現に持っている。なおかつ、総務庁の長官は、特に事柄を限定せずに担当大臣に対して行政監察を行い勧告を行う権限を持っている。つまり、現在でも総務庁は国立大学に対して、組織の細部に渡って審査する権限を持っており、かつ文部大臣に対して、国立大学も含めて、国の行政機関について、その組織の改廃も含めて様々な点について勧告する権限を持っているというのが今の仕組みである。
  改廃についての勧告という権限だけを見れば非常に際立って見えるが、そういった現在の状況と比較すると、独立行政法人化すれば、組織の細部に渡る総務省の審査の対象からは外れることになるので、現在総務庁が持っている権限が縮小されて、その権限は総務庁長官という行政府そのものではなくて、そこに置かれる外部有識者の権限になると考えている。

【委員及び関係者】

  そのように了解されていて安心した。総務庁は、今まで非常に重要な役割を果たしてきたが、今後は総務省であるのでそういう意味で懸念を表明した次第である。アカデミックなものの評価について、大学関係者と総務省、主務省、主務大臣のそれぞれが自立的に行うことの合意というのは非常に重要である。

【委員及び関係者】

  主務省の評価委員会についてであるが、この独立行政法人制度そのものが抱えている矛盾がここにもでているなという印象を受けた。先ほどの5つの分科会に国立大学が加わるとして、例えば、青少年教育施設と同じように小委員会のレベルで考えられるのだろうか。主務省の評価委員会と99ある国立大学についても評価するのはとても難しいと思えるので、この評価委員会の中で何か工夫できないかと考える。全く同じレベルの委員会としてやっていけるのかという気がする。このままだと総務省の評価委員会の評価が非常に形式的になってしまわないかという印象を受ける。

【委員及び関係者】

  重要なポイントだと思う。本当に主務省の評価委員会の中だけでできるのかということだろう。

【委員及び関係者】

  現在の独立行政法人に対して、国立大学を法人化する際にどの程度の特例を認めるかということについて、大学というのは通常の独立行政法人と違って、いわゆる企画部門を持っている組織なので、企画部門を持たない一般的な行政法人とはおのずから違った取扱いを受けるということだと思う。今の主務省に置かれる評価委員会の役割は、むしろ若干形式的でも良いのではないかと思う。それは、大学評価・学位授与機構の行う評価を踏まえて評価するということなので、いわゆる主務省に置かれる評価委員会というのは、前提となる専門的な評価が大筋で間違いない方向にあるかどうかを判断すればよいので、ここで1から評価するというのは、一般的な意味での通則法によるような評価の趣旨からいうと望ましくないのではないかと考える。

【委員及び関係者】

  アカデミックな問題に関してはその通りだと思う。しかしながら、例えば組織運営などの評価項目が入ってくれば、大学評価・学位授与機構が行う評価を用いるかどうかなどの問題ではない。

【委員及び関係者】

  大学評価・学位授与機構では、必ずしもアカデミックなことばかりではなくて、いわゆる大学の社会に対するインパクトなどについても評価することになると聞いている。

【委員及び関係者】

  それはこれからの問題である。今の時点で大学評価・学位授与機構が行う評価と国立大学の独立行政法人化について関連づけることは適切でない。

【委員及び関係者】

  評価の実施に際し、改めて組織を作って評価をするという方法と、評価がほぼ自動的にシステムの中に組み込まれているという方法があると思うが、イギリスの外部試験委員は良い仕組みであると思う。何年か前にイギリスにQAAという組織ができて、大学の教育評価を行うといったときに、イギリスのトップ10の大学が拒否したと聞いている。そこに評価してもらわなくても、外部試験委員が学士のレベルからタッチしていて、スタンダードを持った上で、ある意味で評判の高い大学で、どういう人が入って、3年後、4年後にどういう形で出ていったかということを見れば、単純に新聞にこういう人が入ってこう出たという表が出るだけで世間的な評価が決まってくる。だからQAAによる評価は必要ないといって拒絶している。他の委員の発言にあったPh-Dを10人に授与するということが最も重視され、そこには審査に必ず外部審査員が入るので大丈夫であるという話しであるが、日本ではそういうシステムが出来ておらず大問題だと思っている。例えば、文部省関係から学位の授与率を上げろという話がきたときに、単に学位の授与率を上げれば何が起こるかと言えば、長い時間がたって、あそこから出てくる学位はダメだと言う世間的な評判が立てばともかく、当面はクオリティが下がる可能性が非常に高い。
  今までの自己点検評価は自己点検評価ではない。自分たちに都合の良いことばかり並べて、ここは良いと書いているだけである。本当の自己点検評価ができるシステムにするためには、イギリスの外部試験委員のようなものがシステムに入っていなくては出来なくて当たり前である。これから大学評価・学位授与機構の評価もあり、また、膨大な時間を使わねばならない。
  また、我々の大学では、6年前に自己点検評価の報告書を出してから何にもせずにきている。それはなぜかというと理由が2つある。1つ目は評価疲れである。もう1つは本当の意味で厳しい自己点検評価ができるシステムがないことである。したがって、本当にそういうシステムを作らなければいけないと思う。
  研究の評価は、例えば科研費の配分など、現在でも内部的に色々な意味で評価がなされている。アメリカのシステムでは、外部資金を政府から色々なところにばらまいてその資源配分機関がプロジェクトを評価してお金を配っている。その時点ですでに評価が固まってくる。そういう形でのお金を取るために競争できるための努力というのは誰でもする。そのシステムの中に評価のシステムを入れておけば、大々的に何人かの人が必死になって行うような評価というのは、どれだけ意味があるのかということにならないか。

【委員及び関係者】

  評価疲れということは、各国立大学でも問題となっている。国立大学協会の第8常置委員会でも各大学がどういう評価システムを持っているか、現在調査中であるが、ほとんどの大学は持っていない。国立大学協会としては、助言しながらそういうシステムを作っていく必要があると考えている。評価疲れをしないですむ評価の仕方を考えていくことが一つのポイントである。

【委員及び関係者】

  外国では、一人一人の先生が評価に慣れているので、普段からデータをきちんと作る習慣がある。例えば、論文が出ればそれをきちんとファイルしておくので、毎年サイテーションインデックスができ、自分の論文がどれだけサイテーションされたか出してくるだけで済む。しかし日本ではそのような習慣はないので、日本で大学の評価を行う場合、かなり具体的な目標を設定し、外部評価は3年に1回でもよいが、内部ではこまめに評価していかないと危険だと考える。

【委員及び関係者】

  目標こそ評価の最も重要なポイントであるが、その評価の達成度、その評価をきちんと行うシステムが日本にはないので、そういうシステム作りは是非とも必要である。手間がかからずにできるようになればいいと思う。

【委員及び関係者】

  評価の場合、目的達成度が一番大事なことだと思うが、目標の立て方によって、例えばPHDが本当は10人出来るところを7人で出しておこう、そうすれば7名で完全に100%達成できるとするところがある。一方、それを10名としておけば7名で70%達成という事になってしまう。目標・計画がどうあるべきかというところをしっかりチェックしないと、達成度だけを見ると大きな間違いが起きる可能性があるのではないか。目標計画達成の時には主務大臣は評価委員の意見を聞くということになっていたと思うが、単純に事務的にチェックしていくことは問題が出てくると考える。

【委員及び関係者】

  主務省が何のために評価委員会を設定するのかということを考えれば、競争的な資源配分のために必要なのだと思う。我々はこの構造をもっと理解しておく必要があるのではないか。
  学生が来ない大学はつぶし、学生が来る大学に重点的に予算配分をする、これが評価委員会の目標ではないかと考える。我々自身がそれぞれいわゆる評価というものをどうするか考える必要がある。低い基準を立てておいて達成出来た、これがいくら立派だといっても世間は相手にしない。世の中の予算配分はそんなに甘いものではない。外からの基準、あるいは我々の将来の基準として考えるならば、学生を確保できるかどうかではないか。研究に関してはすでに色々な評価基準がある。それによっての予算配分もされている。こういったことをきちんと議論しないと、教官の都合だけの評価基準を作ったところで、社会から見たら何の意味も持たないと考える。

【委員及び関係者】

  教官あるいは学生の場合には個々人で、個別に自己点検・評価を行っている。これが本来の大学における学問の自由、大学の自治だと思う。それをシステム化して、外に見せなくてはならないということになって、混乱が起きているのだろうと考える。そういうことを踏まえておく必要はあると考える。
  我々が今検討している大学評価というのは、ひとつの大きなメカニズムの中にある。中期目標を指示され、それにしたがって中期計画をつくり、業務を達成し、その後で言われた通りきちんと行っているかというチェックの意味で大学評価が行なわれるというのが基本である。先ほど資源配分の話も出たが、こうなると教育研究についての自由というものが全くなくなってしまう。したがって、独立行政法人の枠組みを使う限りにおいては教育研究というのは対象にすべきではないと考える。それをおさえた上で、何を対象として議論していくべきなのか考えて、ディスカッションしていった方が良いのではないか。

【委員及び関係者】

  なぜ、今までの自己点検・評価が大変だったかといえば、目標が立っていなかったからである。目標が先に設定されていないとその達成がなく、評価にならなくて、自分の今の現状がどんなに良いかという作文というか文才の競い合いみたいになってしまうので、このようなことは避けるべきである。目標設定が一番重要なことであり、それをお互いに評価し合わなければならない。達成度の評価は機械的に出すべきであり、そのような仕組みを作るべきである。評価結果は1枚紙くらいで済ませて良いのではないかと思う。

【委員及び関係者】

  これまで国立大学には明確な目標がなかった。これをどのようにしていくか、各大学の多様化によって目標も様々であり達成度も違うと思うが、大学の評価を考えていくにあたっては、評価とは目標と計画に深く関係しているということを踏まえながら、評価の目的、方法、主体ということを念頭に置きつつ、なるべく簡単に評価結果がだせるようなシステムを考えていくということで議論を進めていただければと考えている。

5  次回の日程

  次回は、2月21日(水)に開催することとなった。

以上

(高等教育局大学課)

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