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教員は、学校現場で様々な実践経験を積んでから大学院教育を受けることが効果的であると言われている。現実に他の学部に比べ、社会人(現職教員)の占める割合は格段に高い(平成12年5月1日現在、国公私立の大学の修士課程9.8%、国立の教員養成学部の修士課程29.6%)。
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実践的な教育研究を目的とする教員養成学部の修士課程にとって、具体的な問題意識と高い学習意欲を持った現職教員を受け入れることは、大学の教員や学部を卒業してすぐ入学してきた学生が学校現場の現状に触れるよい機会となり、教員養成学部全体の活性化につながる効果もある。各大学院においては、積極的な取組が求められる。
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現職教員の再教育の必要性やその拡充の方策については、教育職員養成審議会の第2次答申「修士課程を積極的に活用した教員養成の在り方について」(平成10年10月)において詳しく述べられている。本答申自体は、教員養成を行っている一般学部の大学院をも対象とした提言であるが、教員養成学部は教員養成の専門学部として積極的に現職教員を受け入れるための体制を整備していくことが求められる。
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特に、これからは教員が職務に従事しつつ修士課程の教育が受けられるよう、同答申等でも述べられているように、例えば次のような形態の教育指導体制の充実を図っていくことが必要である。
・ 夜間、週末、長期休業期間等を活用した授業の実施
・ 衛星通信、インターネット等を活用した遠隔教育の実施
・ サテライト教室を利用した教育の実施
・ 長期在学コースの設定
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また、教育公務員特例法が改正され、平成13年度から「大学院修学休業制度」が導入された。平成13年度現在、この制度を利用して入学してきた現職教員(公立学校)は155名である。地方公共団体の派遣制度に基づく研修定数の増加を図っていくことが困難な状況であることにかんがみ、今後、この制度に積極的に対応する方策として、各大学において教育の質の確保に留意しつつ、1年制コースの導入も検討されるべきである。
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現職教員は、学校現場での多くの経験の中から具体的な問題意識を持ち、修士課程においてそれらを踏まえた実践的な教育研究を希望しており、学部を卒業してすぐ入学した学生とは違った指導方法が求められる。現職教員の再教育に当たっては受入れ体制の整備とともに、現職教員のニーズに応じたカリキュラムの開発と指導体制の確立が必要である。
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現職教員の再教育の場として修士課程を活用していくためには、地域の教育委員会等との連携協力が不可欠である。教育委員会が大学に対して何を望んでいるか、あるいは大学として何をなし得るかなど、緊密な連携をとって効果的な大学院教育を実施できるような協議の体制を整備していくことが必要である。
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現職教員の指導に当たって重要なことは、修士課程の修了をもって指導が終わるのではなく、その後もいつでも大学教員の指導が受けられるよう、様々な形で関係が保たれることである。このようなことは、現在多くの大学院においてなされているが、今後は教員個人のレベルではなく、組織として対応していくことが求められる。それがまた、教員養成学部と学校現場のつながりを深めていくことにもつながると考えられる。
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