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1.はじめに

  平成12年9月に「法科大学院(仮称)構想に関する検討会議」が公表した報告書および同11月に司法制度改革審議会が公表した中間報告書において、法曹養成に特化した専門教育を行う機関として、いわゆる法科大学院構想が提示された。しかし、法科大学院におけるカリキュラムに関しては、その基本的考え方と授業科目の大枠が示されたにとどまり、個々の授業科目についての具体的内容や教育手法等は十分に明らかとはなっていない状況にあった。周知のとおり、法科大学院をめぐって種々の議論が行われているが、実りある議論をするためには、法科大学院において実際にどのような教育がどのような方法で行われるかを具体的に明らかにすることが不可欠であると考えられる。
  法科大学院におけるカリキュラムのあり方については、法科大学院の設立を目指す諸大学やその他の関係機関においても検討が進められ、一部にはその成果も発表されているところであるが、民事法および刑事法を専門分野とする本研究会のメンバーは、大学に籍を置く研究者・教育者としての立場から、それぞれ所属する大学の枠を超えて法科大学院のあるべきカリキュラムを検討することが必要であると考え、相互の連携を図りながら、主としてその専門分野にしたがい、民事法カリキュラムおよび刑事法カリキュラムの具体的内容と方法について検討を行ってきた。
  本報告書は、このうち、民事法カリキュラムを対象として(刑事法カリキュラムについても同様の報告書がある)、研究会の検討結果を公表するものであるが、これが、司法制度改革審議会における法曹人口の拡大と法曹養成に関する審議の一助となればと考える次第である。

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