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3.刑事法カリキュラムの全体像

 

刑事法カリキュラムの全体プログラムは、大要、以下のとおりである。

1年次 基礎科目・刑事法I(刑法6単位)
基礎科目・刑事法II(刑事訴訟法4単位)
(基礎科目・裁判法(民事・刑事共通科目   2単位))
2年次 基幹科目・刑事法演習I(刑法4単位)
基幹科目・刑事法演習II(刑事訴訟法4単位)
基幹科目・刑事法演習III(刑事法総合演習:実体法・手続法統合科目   2単位)
3年次 展開科目(選択科目)
刑事実務演習(必修・事実認定、刑事模擬裁判等)

 

   本報告書では、このうち、コアとなる基礎科目及び基幹科目について、それぞれモデルを提示する。
   なお、刑事法に関連する展開科目(選択科目)としては、近時、社会的重要性を増している「経済刑法」、伝統的な刑罰論を中心とした刑事制裁論(狭義)に加えて、従来の法学部教育では科目間の空隙に陥って教育の機会が乏しかったが、実務的には極めて重要な、罪数論、犯罪競合論、量刑論、さらに執行猶予や没収等の解釈論や立法政策論に及ぶ内容を提供する「刑事制裁論(広義・仮称)」、「刑事政策(刑事学)」「少年法」などが考えられる。他の法分野でも、例えば公法系の科目として「国際人権法」が設けられれば、刑事法に密接に関連することになろう。このほか、大学に設置される法科大学院の利点を生かして、他学部の専門家に依頼して「法医学」、「供述心理学」等の科目を展開することも可能であろう。

<付録:基礎科目「裁判法(裁判制度論)」(2単位)>

   1年次基礎科目として置かれる「裁判法(裁判制度論)」は、民事・刑事共通に、将来法律家となる者が、最低限知っておくべき、わが国の司法制度の仕組みと法律家の活動のあり方に関する基礎的事項を教示するとともに、裁判制度や司法一般に対する多面的な視点(例えば法社会学的観点、経済学的観点、歴史的・文化的観点、比較法的観点など)や、制度改革や立法論に及ぶ視点を与え、さらに法曹倫理の基礎的事項にも触れる内容を想定した科目である。
   この科目の授業ユニットとしては、例えば以下のようなものが考えられよう。

[1] 導入
[2] 裁判所制度総論
[3]-[5] 裁判所各論
[6] 法曹制度総論
[7]-[8] 裁判官
[9]-[10] 検察官
[11]-[12] 弁護士
[13]-[14] 弁護士倫理の基礎
[15] 準法曹

   授業の方法や教材には、多様なあり方が考えられる。授業対象に関する多面的な見方を示す文献をあらかじめ読んでくることを前提に、双方向的な討議を行いつつ、司法制度に対する多面的な理解を深める方法も有用であろう。

 

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