資料2 第4回国際協力推進会議におけるASEAN・中東への教育協力に関する議論のポイントについて

同じ産油国でもサウジアラビアと中小産油国(アラブ首長国連邦、カタール)では特徴が異なり、協力の在り方を別仕立てで考える必要がある。

中東産油国の留学生の日本への受入れを行う場合、実務家養成と、基礎的な学問分野・応用科学的な分野を区別して履修プログラムを構築する必要がある。既存の大学院・学部での受入れ体制を踏まえてターゲットを絞っていくべきである。

サウジアラビアの留学生の日本の大学院への受入れに関しては、教員側に対するインセンティブを高める必要がある。例えば、学生に対する奨学金だけでなく、研究費もサウジアラビア側に負担してもらうような交渉も必要である。

女子教育のニーズに関しては、日本の女子大学を積極的に活用すべきである。女子大生は起業に関心が高く、アントレプレナーシップ(起業)学科を持っている大学がある。そこへ男性も含む日本の教員を派遣する可能性も追求して、日本の顔を見せていくのも有効なやり方ではないか。

UAEやカタールは、ICT産業とサービス業に特化した産業構造にシフトしているので、そういった分野での人材育成が必要である。

○サウジアラビア等中東産油国の学生については、教育に対する姿勢を本人が正していく方向性が必要で、分野や人数をある程度絞らないと、持続可能なプログラムにはならない。

マレーシアで3年間現地教育をして、残りの2年間日本で受入れるという三角協力は、非常に有効性がある。

北アフリカ諸国に対する人材育成は、中東全体での人の流れとリンクし、産油国や湾岸諸国の外国人出稼ぎ労働者の質の向上につながる。そうした観点で日本も貢献できる分野である。

北アフリカに限らず、ASEAN、中近東、アフリカの他の国も含めて、産業育成政策とセットで教育協力の在り方を考えるべきである。技能者のレベルや業種を詰めて民間の日本の企業の意見も聞き、高等教育あるいはJICAを通じた協力が良いのかを考えれば、民間の資金も必要に応じて導入していくことができるのではないか。日本企業にとっても重要な分野は明確にあるので、そのような視点での政策対話、官民の連携を積極的にやっていくべきである。

○中堅技術者には、どこの国に行っても中堅技術者として生きられる能力を開発するという視点での国際協力が重要である。

○持続可能な協力を行うには、派遣、受入れ、分野、レベルに関する相手国の要請を踏まえた上で、派遣希望者の有無や協力者を見極める調査が必要である。

東南アジア・中東地域への国際協力において非常に重要なのは、教員教育である。工学系においては、指導者の育成は、相手国のインフラ製造業を作る際に効果が出てくる。日本的な教育は非常に競争力があるので、教員養成に注目すると良い。

帰国留学生を相手国の拠点として活用したらどうか。

○大学が案件形成や運営をするのは非常に難しい。相手国政府と関わりながら初めの段階を整理しプロジェクト/プログラム運営をするJICAやJICE等のような組織が、引き続きODA卒業国と関わりをもって、大学と連携しながら派遣・受入れを行う仕組みは可能か。ODA卒業国に対して、オールジャパンで取り組んでいくのであれば、JICAやJICE等が蓄積してきたノウハウを生かす場があってしかるべきである。大学、民間、省庁がそれとどのように連携できるか考えていけないか。

○相手国の人と話した結論では、日本の顔が見える拠点をまず作れということに尽きる。日本の教育の拠点を設置し、日本の教員を派遣して講義を行うことは考えられないか。一方、企業も、現地に法人格の拠点を持っているところがあるので、そこの職員を講師として使い、企業のそれぞれの専門を生かした形で実学を教えていく。企業にしてみれば、現地の若者の一つのコンタクトポイントにもなり、将来現地法人に入ってもらえる可能性もある。現地にそういう施設を持って、日本の教育協力と、その先の産業協力を一体にしたようなシステムを検討する価値はある。

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