平成23年6月 大臣官房国際課
<初等中等教育分野>
○ 中東にて、日本式教育(日本語教育、反復訓練による基礎学力の向上、朝礼・掃除等の習慣による礼儀作法の習得、体育等の情操教育)への関心が高まっていることを受け、アブダビ(UAE)の日本人学校において、現地児童の受入れを開始(平成18年度より)。(カタールの日本人学校においても現地児童受入れを決定。)
○ 現地児童が日本人学校において円滑に日本式教育に適応できる支援を実施するために、平成20年度補正予算において「国際初中教育支援事業」(1億7000万円)を文科省にて立ち上げる(平成24年12月に期限が終了する予定)。アラビア語もできる国際教育協力専門員(コーディネーター)をアブダビに1名派遣中。実施は、JICE(財団法人日本国際協力センター)が担当。
○ アブダビの日本人学校に教員9名を派遣中(文科省)
○ 経済産業省予算(石油特別会計)にて幼稚園教員をアブダビ日本人学校に派遣
<高等教育分野>
○ 中東産油国からの日本への留学生数が増加。更なる拡大が中東側からは期待されている。
○ 一部中東側の資金を本邦大学が活用する事例も出てきている。→現在、東大の准教授がサウジアラビア王立科学技術大学(KAUST)から年間100万ドル×5年間の研究助成を受領。毎年3週間程度KAUSTに滞在し、現地で研究教育活動を実施。
○ ASEAN諸国からの日本への留学生数が増加。
○ ASEAN諸国への企業の進出が増加。既に日本からの民間による直接投資額が日本からのODA額を上回る国も多数。
○ 進出する日本企業にとっては信頼できる現地人材及び日本のグローバル人材の確保が重要な課題。それら人材育成のニーズは大。
○ SEED-Net事業により、本邦大学教員の指導を受けた多くの高位学位取得者が生み出されるとともに、ASEAN各国の工科系トップ大学と本邦支援大学間におけるネットワークが構築されている。ただし、現在の協力フェーズは2013年3月に終了予定であるため、次フェーズ以降の当事業の展開につき、有識者委員会にて検討中。
○ 日本への留学を促進したいという中東産油諸国からの希望にも拘(かか)わらず、本邦大学への受入れは進んでいない。大きな要因の一つは、中東諸国の学生の理数科能力の不足である。これは留学のみならず、本邦企業が現地人材を採用する上でも障害となっている。
○ アブダビ日本人学校では日本側の複数の組織が支援しているが、連携が不十分。
「国際初中教育支援事業」は平成24年12月に終了予定であり、アブダビ日本人学校の現地児童受入れを続けるためには、継続的な日本側の事業予算措置か、もしくはこれに代わる新しい協力の枠組みが構築される必要がある。
○ 潤沢な資金を活用した中東産油諸国の国際的な高等教育・研究機関に対し、本邦の大学・学生の進出は現状では限定的。
○ ODA非対象国に対しては、先方政府からの要請を受け日本側で対応する枠組みが現状存在せず、個々の取組はあるものの個別かつ小規模なものに留まっている。
○ 日本のODA事業は事業目的を達成した時点で終了することが通例である。協力の終了とともに関係が切れてしまい、過去、日本の長年の協力により強化・確立された組織等でありながら、日本側によって活用されないばかりか、他国との関係が強化され、日本の協力の成果が見えにくくなっているものが多い。
○ 先発ASEAN諸国については、ODAによる協力を縮小せざるを得ない段階になってきており、過去の協力の成果をオールJapanで活用する枠組みを現段階から検討していく必要がある。
○ 現状、SEED-Net等の優れたODA事業があり、現在数多くASEAN地域に展開する民間企業には良質な現地人材の採用ニーズがあるものの、両者間の連携や文部科学省スキームとの連携は十分に進んではいない。
○ 韓国や中国、欧米諸国もASEAN各国との関係を重視してきており、日本の当該地域におけるプレゼンスの相対的な低下が懸念されている。
○ 高等教育関連のODA事業において、教員の交流を通じた現地大学の強化は進められているものの、学生の交流は必ずしも十分に展開していない。
大臣官房国際課国際協力政策室