資料2 国際交流政策懇談会 最終報告書(概要)

 「我が国がグローバル化時代をたくましく生き抜くことを目指して」
―国際社会で通用する人材(人財)の育成―

検討の背景

○グローバル化時代において、我が国が持続可能な成長をするためには、「知の国際化」によりイノベーションの源泉となる多様な人材(人財)の育成が最重要課題。

○近年、若者、学生、研究者が海外で研鑽(けんさん)を重ねることをためらう「内向き志向」が社会問題化。

○グローバル化時代に対応できる人材は、1.日本人としての素養、2.外国語による論理的なコミュニケーション能力、3.異文化を理解する寛容な精神、4.新しい価値を生み出せる創造力が必要。

グローバル化に対応する教育の提供

1.10年後に成人する現在の子供たちに対して

●学校の国際化

幼少期から多様な文化・言語に触れる機会を提供するため、異文化コミュニケーションを育むユニークな取組を設けるなど国際性を持った特色ある学校の増加や教員の海外研修の機会の拡大。また、教育の質向上や国際化に努めるため、OECDの調査等の取組への積極的な参画が必要。

●語学力の向上

コミュニケーション能力の強化のため、幼少期からの英語教育の強化が重要。文部科学省の「外国語能力の向上に関する検討会」の検討を踏まえ英語教育の改革を推進。

●国際バカロレア(IB)、インターナショナルスクール

IBの周知、全国の学校への普及を目指す。また、1条校化を希望するインターナショナルスクールへの情報提供等を促進。

2.内向き志向の現在の若者に対して

●若者の内向き志向を解消するための企業、大学への働きかけ

若者が留学をためらう理由は、語学力、留学費用、就職活動の激化・長期化等多岐にわたる。

(企業側)就職活動の開始時期の見直し、採用時に留学経験を積極的に評価すること、日本版ギャップイヤーの導入などの検討を働きかけ。

(大学側)海外の大学とアカデミックカレンダーを合わせることや実践的な語学教育の実施等を視野に入れることが望まれる。また、入試におけるTOEFL等外部の英語能力試験結果の活用も期待。

●大学の国際化

外国人学生や日本人学生の垣根を越えた協働教育、外国大学との単位相互認定の拡大等が重要であり、とりわけ、アジア地域における大学間交流・連携や学生交流を促進するものとして、日中韓3か国の「キャンパス・アジア」構想は、今後も積極的に進める。

●外国人学生の受入れ

外国人学生の積極的な受入れを推進するために、宿舎や日本語予備教育を充実させるとともに、奨学金制度の柔軟な運用が求められる。また、3か月未満の短期間の学生の双方向交流を推進する事業も実施。

●アジア太平洋地域における単位互換の推進

アジア太平洋地域における学生・研究者の流動性を高めるため、「ユネスコ・アジア太平洋地域内における高等教育の学業、卒業証書及び学位の認定に関する地域条約」の改正と我が国の早期加盟の検討が必要。

3.国際的な舞台で活躍できる人材に対して

●ボランティア・インターンの大学教育プログラム化

国際的に活躍する人材の養成のためには、国際協力機関へのインターンシップの派遣や海外ボランティアの派遣を大学教育の中にプログラム化することが有効。これらの取り組みを大学、JICA等と連携して促進する。

●国際機関への日本人職員の派遣

国際機関の幹部として将来活躍できるような行政官を育成するため、外務省等と連携して国際舞台で経験を重ねる行政官のキャリアパスを構築することが重要。

4.若手研究者に対して

●日本人若手研究者の海外派遣の促進

世界規模で頭脳循環が進展する中で、世界に通用する人材を育成・確保するため、研究者が海外で研鑽(けんさん)を積むことができる派遣制度の充実や海外の日本人研究者のネットワーク強化等が重要。

5.教職員に対して

●米国への教員派遣

昨年11月の日米首脳会談において人材・文化等の日米交流の強化が提言されたことを受けて、日本人の英語教員を米国大学へ派遣し、米国への理解を深め英語の指導力向上を図ることを目指す。

●中国、韓国の教職員交流

日中、日韓との教職員交流については、日本から中国、韓国に派遣される教職員の拡充に努める。

●青年海外協力隊

より多くの希望する教員が青年海外協力隊に参加することができるよう、現職教員特別参加制度の応募資格の年齢緩和や私立学校への対象の拡大等を行う。

●大学及び高等専門学校の教職員

国際協力に参画する教職員の経験を研究実績として学内で評価されることが望ましく、また、今後は高等専門学校の教員がより国際協力に参画できるような方策を検討する必要がある。

6.ESD(持続発展教育)による国際社会で活躍する人材の育成

上述のような人材の育成にはESDの推進が極めて重要。教育委員会、大学等の関係機関、民間団体によるESDの支援体制の整備や、ESDの推進拠点であるユネスコスクールのネットワークの強化に取り組む。

2つのワーキング・グループのとりまとめ後の対応について

1.定住外国人の子供の就学支援

●定住外国人の子供の就学支援事業の継続実施

不就学、自宅待機となっているブラジル人等の子供に対して、日本語等の指導を行う「定住外国人の子供の就学支援事業」は平成23年度で終了予定であるが、厳しい経済情勢の中でブラジル人等の子供の就学状況や新たなニーズ等を踏まえ、効果的、効率的な事業として継続することが必要。

2.東アジアにおける国際交流の促進について

●東アジア共同体形成に向けた国際教育協力推進体制の整備

ASEAN工学系高等教育ネットワークの構築や工科系大学を中心とした東アジア各国高等教育機関への支援の経験を踏まえ、政府、経済界、JICA、大学等の幅広い関係者による国際教育協力の推進体制を整備し、戦略的かつ各国のニーズに応じた取り組みを積極的に推進。

お問合せ先

大臣官房国際課国際協力政策室

(大臣官房国際課国際協力政策室)