ブラジル人学校等の教育に関するワーキング・グループ(第1回) 議事要旨

1.日時

平成21年2月5日(木曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省ビル11階 省議室

3.議題

  1. ブラジル人学校等における教育の現状と課題について
  2. その他

4.出席者

委員

アンジェロ委員、池上委員、川瀬委員、坂井委員、佐藤委員、三幣委員、柴崎委員、新田委員、松本(一)委員、松本(雅)委員、村木委員、結城委員、吉村委員

文部科学省

木曽国際統括官、芝田大臣官房国際課長、里見大臣官房国際課専門官、その他関係官

5.議事要旨

【事務局】

 昨今の景気後退が社会に対して非常に大きな影響を及ぼしている中で、とりわけ、日系ブラジル人等定住外国人の雇用の不安定化に伴い、ブラジル人学校等に通学している子どもが授業料を払えない等の問題が出始めている。そのため、ブラジル人学校等の現状と課題を整理し、この問題に対する対応策を議論していただきたい。

 

<委員二名からのブラジル人学校等の現状報告についての主な論点>

【委員】 

・失業したブラジル人等の方の再就職にはどうしても日本語が必要となってくるが、中途半端な日本語の能力では再就職できない。今、親が失業手当をもらっているのでブラジル人学校等に通えている子どももいるが、今後、失業手当が切れると学校に通えなくなる子どもが増えるのではないか。

・外国人学校の問題点としては、学費が高いということ。十分な数の教師が雇えず、教師の給与も十分ではないために、いい先生が来てくれないこと。また、校舎を借りるのに高額な賃貸料がかかるために経営が安定しないということがある。

・就学機会を保証するための基本情報が十分に明らかになっていない。また、実態を把握しないと正しい施策を行えないのではないか。

 

【委員】

・文部科学省の「外国人教育に関する調査研究」の委託を受けてブラジル人学校・ペルー人学校の南米系学校の全国調査を行っている。

・ブラジル人学校の形態として、(1)ブラジル政府の認可のみ、(2)ブラジル政府の認可と各種学校・学校法人化・準学校法人化、(3)公立学校に対する補習校(学童)、に分類される。特に(2)に関しては、各種学校や学校法人化、準学校法人化に関心のある学校は非常に多い。しかしながら、申請に言語・制度・施設設備等の壁があり、そこが解決できない、あるいは、全く情報が入っていないという学校もある。

・ブラジル政府認可校であれば優れている学校と評価されているが、必ずしもそうではないという厳しい声もある。それから、ブラジル人学校等関係者から各種学校・学校法人化・準学校法人化への申請を推進するためのコーディネーターを配置してほしいという声も聞いている。また、巡回指導の充実として、ブラジル人学校等の関係者ではなく、第三者機関による教育相談・教育指導の導入、特別なニーズを持つ子どもの対応も視野にアドバイスをしてくれる場の提供についての要望も聞いている。

・本年度は平成20年12月1日現在で調査をしており、ブラジル人学校とペルー人学校の所在地、各都道府県における各種学校等の認可の有無、ブラジル政府等による認可の有無、在籍生徒数(学年(年齢)別)、在籍教員数及び職員数と、本年度新たに、児童生徒に対する健康管理の状況、公立学校等他の学校への移動状況等についても調査している。

・これまで各々のブラジル人学校等が一生懸命努力してきたことが評価という形で今後出てくるのではないかと強く感じている。ブラジル人学校等の子どもの数について4割、5割減っているといった報道がされているが、減少を留めている学校もかなりある。その部分にはなかなか光が当たっていない。

 

<自由討議> 

【委員】

 外国人学校の位置づけや、外国人の子どもの教育について方針が定まっていないことが大きな問題である。また、ブラジル人学校等にどう対応するかということも、この場で検討いただきたい。

【委員】

 まずは緊急対応が必要であるが、外国人学校の法的位置づけをどのようにするかを議論する必要がある。

【委員】

 現在、公立学校は、来るものを拒まず、去るものは追わずということで、日本に永住しない方も受け入れている。その結果、ブラジルに帰って日本語しか話せない子どもができてしまう。公立学校に入学を希望してきた親に、「ブラジルに帰るか、日本に残るか」という確認を取って、「日本に残る」という方はもちろん公立学校で教育をしていただければいいと思う。「いつかわからないけれども、帰る」という方に関しては、ブラジル人学校に行かせる方がいいのではないか。

【委員】

 ブラジル人等の親の就職活動に取り組んでいる。ブラジル人学校等に通う子どもの授業料を免除しても、原因を抜本的に解決しないと親の収入がなければ難しいと考える。

【委員】

 子どもたちへの対応がまず第1に重要である。保護者が仕事を持って自分の子どもに最もよい教育を受けさせることが必要である。ブラジル人学校が日本において、保護者の教育の選択肢を提供し、子どもの教育を保障するうえで、社会的に重要な役割を果たして来たと認識している。
 保護者の解雇が相次ぐなか、学校を退学した子どもたちがどれほどいるのか、当協会加盟校39校の協力を得て調査したが、2008年6月と10月の状況を比較すると、およそ半分の子どもたちが退学している。その内、半分はすでにブラジルへ帰国、1割が日本の学校へ編入、残りの4割は家にいるような状況と考えられる。大変深刻な現状であり、対策が必要だ。

【委員】

 関係のあるブラジル人学校30校を訪問し調査をした結果、各校とも生徒数が激減しておりこのままでは閉校せざるを得ない学校も出てくる恐れがあり、緊急対応が必要。また、受け皿となる公立学校の体制の整備、年少者日本語教育の確立も急務である。

【委員】

 ブラジル人コミュニティが大きな転換期を迎えていると強く実感する。ブラジル人学校に対して、様々なニーズにこたえ、きめ細かな対応が必要と考える。

【委員】

 愛知県が日本語学習支援基金事業を立ち上げた。ブラジル人学校を対象に日本語指導者を派遣して日本語教育の支援事業を立ち上げている。

【委員】

 こういう緊急事態の中で、国として何ができるか議論すべきではないか。外国人学校の制度上の位置づけをあいまいにしてきたという大きな問題があると思う。このワーキング・グループで中長期的な視点から外国人学校の位置づけをどうするかについて議論していければと思う。

【委員】

 長期的な問題、制度的な問題をしっかり考える必要がある。それとは別に、緊急に何ができるのか、何をしなければいけないのかについても議論していければと思う。

──了──

 

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