資料1 国際教育交流政策懇談会(第8回)議事要旨(案)

1.日時  

平成21年10月27日火曜日10時から12時

2.場所  

文部科学省3F1特別会議室

3.議事

(1)東アジア共同体構想に向けた教育交流の推進
(2)その他

4.配付資料

資料1 国際教育交流政策懇談会(第7回)議事要旨(案)
資料2 大学間交流に関する最近の国際場裡における動き
資料3 世界の構造転換と日本の進路を考える基本資料(財団法人日本総合研究所寺島会長提出資料)
資料4 東アジア共同体構築とはどういうことか(白石委員提出資料) 

5.出席者

(委員)

金澤座長、田村座長代理、池上委員、池田委員、佐藤委員、白石委員、角南委員、高橋委員、牟田委員

(有識者)

寺島財団法人日本総合研究所会長

(文部科学省)

中川文部科学副大臣、鈴木文部科学副大臣、後藤文部科学大臣政務官、高井文部科学大臣政務官、坂田事務次官、木曽国際統括官、加藤審議官(高等教育局担当)、芝田大臣官房国際課長 他

6.議事概要

•   議事に先立ち、中川副大臣及び鈴木副大臣より挨拶があった。

(1)東アジア共同体構想に向けた教育交流の推進

•   事務局より資料2に基づき、大学間交流に関する最近の国際場裡における動きについて説明があった。続いて、寺島財団法人日本総合研究所会長より世界の構造転換と日本の進路について、また、白石委員より、東アジア共同体構築についてそれぞれ発表があった。その後、自由討議が行われたところ、概要は以下の通り。

【委員】

 ここ20年ほどで、海外の指導者に日本の大学出身者が減った。この間、日本で英語教育も進まなかった。また、EUにおけるドイツとフランスの融和のように、日中韓でも大学生では当然、中高生でも国策として交流を行う必要がある。大都市圏では高校生の海外交流の機会があるが、地方では海外交流の機会が少ない。本懇談会で、この対応についても検討したい。

【鈴木副大臣】

 日中韓サミットで、鳩山総理が大学間交流の問題を提起したことなどを踏まえると、本懇談会の役割はさらに重要になる。我々もこうした問題についてフォローしていくし、委員の方からの支援もお願いしたい。本日の議論の内容を認識しつつ、人材育成や、教育分野で活かしたい。大学の関係では、政府が一から作るのではなく、大学のこれまでの積み上げをエンドースしたり、応援するような形が望ましい。

【委員】

 ASEAN+3の中で、日中韓はASEANへの距離を競い合う関係から、3者協力で東アジアを形成する関係にシフトしているようだが、日中韓で共通理解できているのか。

 また、東京大学、北京大学、ソウル大学校、ベトナム国家大学ハノイ校からなる東アジア四大学フォーラム(BESETOA)や東京学芸大学などによる日中韓教育大学連携など、既に先行して交流が行われている事例もあり、教育分野は日中韓で連携しやすい分野であるが、大学の連携に留まらず、それを国益に結び付けていくにはさらなる議論必要である。                            

 留学生の卒業後の出口戦略については、就職ができず不満で帰るのは問題であり、例えば大学連携を基とした教員の相互採用などができるかが問題になってくる。また、日本人学生が海外に出て行かない現状をどう解決していくかが大きな課題である。

【寺島会長】

 東アジア共同体については、日米同盟やインド、極東ロシアなどの局面も視野に入れながら、枠組みを明確にせず、日中韓の相互信頼を段階的に構築することが重要である。大学連携の次のステップについて、日本人が海外に後ろ向きである問題の解決のためには、経済だけでなく日本の環境、文化、芸術分野の素材を活かし、外国人も日本人も参画したくなるようなコンテンツを持つ共通プロジェクトの構築が必要である。

【委員】

 東アジア共同体の中心はASEANであるので、日中韓の接近について配慮が必要である。学生が海外に出て行かないことについては、アメリカでも同様の議論があった。アメリカでは、半年から1年、言葉を学ぶために留学するプログラムがあったり、ヨーロッパ言語以外の言語を学ぶにあたって国防省のフェローシップが出たりする。ヨーロッパ以外の言語が使えると企業の採用時に有利になれば、日本人学生の海外留学のインセンティブになるのではないか。

【委員】

 科学技術分野では、東アジア共同体と日米同盟は違和感なく両立できる。例えば、欧州研究領域(European Research Area)ができて、ワンストップで研究交流が行いやすくなったと感じるのではないか。東アジア共同体でのアジア・リサーチ・エリアも閉鎖的なものとはならないだろう。その研究交流の環境に高等教育分野も加えていけるのではないか。留学生の卒業後の出口戦略については、資格の話が重要になる。ヨーロッパでは資格の統合の話が付随してくるが、アジアではまずリサーチ・エリアの構築から取り組むのがいいのではないか。

【委員】

 経済人の立場から申し上げると、歴史的に見て欧米市場に対しては経済中心でやってきたことは否めないが、これからのアジア市場に対してはそれのみでは済まないだろう。経済だけではなく、文化、芸術、教育が連携して交流することが重要である。

【委員】

 アジアが日本をどの程度必要とするか。日本がアジアの役にたつ質の良いコンテンツを提供しないと、実際の交流は進まないのではないか。そのかなりの部分は文部科学省の担当分野のものになるのではないか。

【委員】

 高等教育での交流はヨーロッパのボローニャ・プロセスが参考になる。学生交流と研究者交流が中心となるが、日本はその推進のために、学位相互認証では、ユネスコの学位の認定に関するアジア地域条約への加入の検討、単位互換システムでは、UMAPの活用、評価では、日本とアジアの評価機構の連携、情報のクリアリングハウスでは、ユネスコの高等教育ポータルサイトとリンクしたアジアでのシステム構築が必要である。また、OECDによる日本の高等教育のレビューで提言されたように、ボローニャ・プロセスのフォローアップグループ、欧州高等教育圏のオブザーバ参加により欧州とのつながりを持っておくのがよいのではないか。

【委員】

 ユネスコ総会の教育部会では、ボローニャプロセスについて開発途上国を中心に多数の発言があったので、日本が積極的に対応することが重要である。

【中川副大臣】

 海外との高等教育システムの連携では、日本のシステムを世界に説明し、マーケティングする努力が必要である。学位相互認証などの具体的な提案には真剣に取り組みたい。また、海外から日本への理工系分野での期待は大きいが文科系ではそうでもなく、アメリカのように留学生がシステムを持ち帰り、それが自国のシステムのグローバル化につながるということができていないが、どう対応するべきか。また、特にアジアで、円と日本語の戦略的な国際化についてはどう考えるか。

【委員】

 既存の大学間協定による教員、学生交流の活性化は比較的実施可能である。日本から海外への留学生交流の活性化には、大学だけではなく、政策的な取り組みが必要である。その活性化に伴い国際的な質の保証の問題も解決できるのではないか。

【委員】

 社会科学分野では、アメリカにおける研究の理解が国際的には必要なので、英語で仕事ができる人材育成が重要である。また、英語での仕事と日本国内の問題対応と両方できる人材育成が重要だが難しい。留学生受入れの意義は、国際貢献から優秀な留学生を獲得し卒業後に日本で長く生活してもらうことに変わっている。その実現のためには、留学生が日本で生活できる程度の日本語教育が必要である。

【委員】

 社会科学分野が単独で研究交流に取り組むより、例えばインドネシアの防災研究や研究開発費用の政策評価を行うなど、研究交流が活発な理工系分野の幅を広げ、そこに社会科学分野を取り込んでいくと、社会科学分野の研究交流も行いやすくなるのではないか。

【委員】

 以前のアメリカ化がグローバルスタンダードという考え方から、アメリカだけでなく日本やアジアの考え方が世界でも通用するようになってくるのではないか。日本が認められるようになるには、アメリカとは違う価値観や考え方を磨いていくことが重要である。 

【委員】

 ドイツのゲーテ・インスティテュートや、イギリスのブリティッシュ・カウンシルのように、独自の文化を世界に伝搬する仕組みが日本にはない。世界には英語、仏語などを使えないと高度な学問ができない国が多い中で、日本は日本語で高度な学問ができるという点で恵まれているが、外国語ができない人が多い。しかし、国際交流に日本語は使えない。日本語の大切さも次世代に伝えなければならず、難しい。

7.次回以降の日程

•   次回懇談会は12月2日水曜日午後を予定。

お問合せ先

大臣官房国際課