![]() |
|
(国際開発協力を取り巻く国際的な潮流) | |||||||||||||||||||
国際社会においては、2000年に国連総会において採択された「国連ミレニアム宣言」を契機に、それまでに国際社会で合意された国際目標も踏まえつつ策定されたMDGs(Millennium Development Goals:ミレニアム開発目標。極度の貧困・飢餓の撲滅や初等教育の完全普及など2015年までに達成すべき8つの目標を定めたもの。)の達成が困難であるとの見通しが、昨年国連のとりまとめた中間報告等において示された。また、2004年末に発生したスマトラ沖地震をはじめとする災害や地域紛争終結後の復興問題、HIV/AIDSや鳥インフルエンザ等の感染症問題、環境問題、エネルギー問題など地球的規模の課題が山積しており、先進各国には課題解決のための資金面での貢献のみならず、リーダーシップの発揮と知的貢献が求められている。 また、教育開発に目を向けると、2015年までの初等教育の完全普及等を目指すEFA目標達成に向けた取組を進める中で、開発途上国政府の脆弱な教育行財政・制度等に起因する開発進捗の遅れや、児童労働等による教育へのアクセス不平等や質の低さ等に起因する中途退学者の増加といった状況が、サブ・サハラ・アフリカや南アジア等を中心に伝えられており、教育の質的向上、持続的発展が大きな課題となっている。一方、初等中等教育就学率が向上した国においては、次の課題としての高等教育・職業教育開発の需要が高まっており、我が国に対する期待も増大している。 さらに、持続的成長に向けた開発途上国自身の能力形成を進める観点から、政策・制度等の整備や人材育成に関する協力要請も多く寄せられている。 |
|||||||||||||||||||
(我が国の状況) | |||||||||||||||||||
平成15(2003)年8月に閣議決定された政府開発援助大綱は、我が国の援助方針を明確に指し示している。大綱においては、個々の人間に着目した「人間の安全保障」の視点とともに、「貧困削減」や「持続的成長」、「地球的規模の問題への取組」、「平和の構築」という4つの重点課題を示し、ODA(Official Development Assistance:政府開発援助)を通じて、開発途上国国民の生活レベルにおける質的向上・持続的成長の達成を開発ターゲットとしている。さらに、協力に当たり国内のNGOや大学等との連携により、我が国が有する技術や経験・知見を積極的に活用するという基本方針を示している。これらの方針に沿って策定した国別援助計画においては、「選択と集中」による協力内容の明確化が進んでいる。 また、本年4月の海外経済協力会議新設に象徴されるように、戦略性の重視、量から質への転換といった、効果的・効率的なODA実施が各方面から求められている。 翻って我が国の国際教育協力の成果を振り返ると、例えば、初等中等教育分野においては校舎建設等のハード面のみならず、理数科教育や教員研修への協力を中心に、JICA(ジャイカ)(独立行政法人国際協力機構)が教育関係者の参画を得て、開発途上国に対するきめの細かいサポートを行い、開発途上国の教育の質的向上・持続的発展に貢献してきたことが大きな特徴といえる。また、高等教育・職業教育分野においても、国費留学生制度やJBIC(ジェイビック)(国際協力銀行)の円借款等による留学生・研修生受入れ、大学教員等による長期に亘る人的協力・交流など、人間関係の構築を重視した協力を通じて多くの成果を挙げてきた。 このように、各協力分野における我が国の知見・経験や専門人材を有効に活用しつつ、開発途上国の状況に応じた柔軟な対応により根本的な課題解決を支援する姿勢が我が国の特徴であり、教育協力のみならず多くの協力分野において国際的な比較優位を有している。 |
|||||||||||||||||||
(大学をはじめとする教育関係者の状況と役割) | |||||||||||||||||||
ここで、我が国の教育関係者が置かれている状況に目を転じると、近年のグローバル化の中で大きな変化を見て取ることができる。 特に、高等教育については、近年、欧米諸国の多くの大学がアジア地域に海外分校の設置や留学プログラムの整備といった取組を積極的に展開しており、この結果、アジア地域から域外への留学生が増加の途を辿っている。我が国においてもアジア地域との連携・交流を重視する大学は増加してきているが、成長著しいアジア地域の高等教育需要に応えていくことが求められている。 また、平成16(2004)年4月の国立大学法人化などを契機として、国公私立大学を通じ、個性化・活性化の観点から国際展開を大学の特色として掲げる大学が増えており、中には、国際開発協力に積極的に参画し、教育研究機能の活用及びその向上に取り組む大学も見られる。 初等中等教育においても、平成12(2000)年に開始されたOECDのPISA(Programme for International Student Assessment:生徒の学力到達度調査)等の国際的な教育評価の取組に参加しているところである。また、平成14(2002)年度から本格実施している「総合的な学習の時間」において国際理解に関する教育の取組などが見られる。教員が国際開発協力に参画することで、教員の問題対処能力の向上や、国際理解教育・各教科教育における指導力の向上などが期待できることから、積極的に取り組む教育委員会も増えている。 このように、教育界におけるグローバル化というタイミングを活かし、NGO等の教育協力の関係者を含めた我が国の教育関係者が有する知見・経験を国際開発協力に活用するとともに、協力現場への教育関係者の一層の参画促進を図るという視点が援助関係者・教育関係者双方にとって重要である。 |
|||||||||||||||||||
(基本的な方向性) | |||||||||||||||||||
以上のような状況を整理してみると、概ね以下のとおりである。 | |||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||
これらを踏まえ、我が国の国際開発協力における大学等の教育関係者が果たす役割を中心に審議を重ねた結果、以下に基本的な方向性を示すとともに、第![]() ![]() |
|||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||
なお、審議過程において、本懇談会の検討範囲を超えてはいるが今後の国際開発協力を検討する上で極めて重要と考えられる意見が多くの委員から示された。代表的な2例のみを以下に付記するが、今後、適切な場において検討が進められることを期待する。
|
前のページへ | 次のページへ |
ページの先頭へ | 文部科学省ホームページのトップへ |
Copyright (C) Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology