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資料19
我が国の教育経験について


[ 健康教育(学校保健・学校給食) ]


資料19.1

我が国における学校保健の変遷と仕組み


1 学校保健の変遷

戦前の学校衛生
(1) 明治前期の学校衛生
 わが図の学校保健の歴史は,明治5年の学制発布と同時に始まった。近代学校教育制度の創始に伴い,最初に取り上げられた学校衛生施策は,伝染病の予防であった。当時、日本は、痘瘡・コレラ等の伝染病の大流行にさらされており、学校は、その最も危険な媒介所になる恐れがあることから、学制の第211章で「小学校ニ入ル男女ハ種痘或ハ天然痘ヲ為シタルモノニ非レバ之ヲ許サズ」と規定された。
 さらに、明治12年の教育令では,これを拡大して伝染病全般に広げ、罹患者の出席停止の規定を入れたものが作られている。
 
 第2は,学校環境衛生の問題である。明治23年小学校例が公布されたがその中で、初めて設備準則の規定が掲げられる。その内容として「校地ハ日当り好ク且成ルへク開豁乾爽ナルヲ要ス。校地ハ喧閙ニシテ授業二妙アル場所,危険ナル場所,道徳上嫌忠スへキ場所 停滑セル池水其他凡テ悪臭アリ若クハ衛生上二害アル蒸発気ヲ生スル場所二接近スへカラス。校地ヲ樺フニ方り衛生上ノ利害明ナラサルトキハ医師ノ意見ヲ開タコトヲ要ス」「各教室ノ大サハ其内二人ルへキ机並坐席ノ数,大サ及排置方二応シテ之ヲ定メ生徒四人二付凡一坪ヨリ小ナルへカラス」「便所ハ校合外二放テ男女ヲ区別シテ備フルヲ要ス」「生徒用ノ机及腰掛ノ構造ハ生徒ノ衛生上二盤ナカラシメ及生徒ノ監視上等二便利ナランムルヲ要ス」等の10数力条を掲げている。
 
 第3は、健康管理の問題である。現在、行われている健康診断の始まりは、活力検査の名称で、明治11年東京の神田一ツ橋に体操伝習所において実施されたものである。医学・生理学に基礎をおき全身の均斉な発育と健康保持を目的とした体操の実施後の効果判定の目的から体格・体力の測定を繰り返し行った。これを活力検査と呼び,項目は体長・体重・臀囲・胸囲・指極・力量・握力・肺量であった。

 保健教育の分野については、初めて学制で下等小学の教科に養生法の口授があげられたが、直ぐに削除され、以来昭和16年国民学校令の制定により体練科中に衛生が復活するまで義務教育段階では保健に関する知識の教授は取り上げられないままに終わっていた。

   
(2) 明治後期から昭和初期までの学校衛生
 学校医の制度は明治31年勅令として公布されたが,全国の公立小学校1名ずつの学校医を置くことを国の制度として定めた。職務の内容は学校の環境衛生的監視と身体検査の実施に主体がおかれており、治療に関することは全く除かれていた。
 
 明治31年の学枚医制度の実施によって,学校衛生の基礎が成立したものである。従来の活力検査は全面的に改められ,学生生徒身体検査規程(明治30年直轄学校、明治33年公立学校に適用)として健康診断中心に改変される。すなわち身長・体重・胸囲など発育に関係あるものを残し体力検査的な項目はいっさいこれを削除し,代わって脊柱・体格・視力・眼疾・聴力・耳疾・歯牙・其他疾病の項目が加えられる。疾病としては,特に腺病・栄養不良・貧血・脚気・肺結核・頭痛・神経衰弱・其の他慢性疾患が注意される。
 
 環境衛生に関しても,明治32年,小学校設備準則及び師範学校中学校及高等女学校建築準則が新たに定められ,その中に数多くの衛生的基準が挿入されている。この基準には、校地の選択、運動場・校舎・教室・廊下等の構造や規模,採光・暖房・水道・便所・校具の数や構造など詳細な基準が示されている。

 大正期にまず最初に取り上げられた疾病はトラホームである。学校内に治療室が設けられ洗眼、点眼が行われた。その他、回虫等の腸内寄生虫、湿疹,膿痴疹,頭虱等皮膚病対策が強力に進められた。文部省も積極的に学校診療の普及を奨励していた。

 昭和12年には、学校身体規定が改正され、新たに座高・栄養・胸郭・鼻咽頭・皮膚等の検査項目が加わり、特に視力(屈折異常)歯牙その他疾病異常の検査が精密となる。特に事後措置として「授業免除,就学猶予,休学又ハ治療保護,矯正等」の適切な処置のほかに「健康相談、予防処置、其ノ他適当ナル保健養護ノ施設」を講ずるよう指示されている。
 
 昭和16年太平洋戦争勃発の前後から学校衛生の重点は結核対策におかれるようになり、児童に対しても,昭和16年まず中学校及び国民学校修了就職予定者を対象に,国庫補助によってツベルクリン反応・エックス線・赤血球沈降速度・細菌検査を含む特別身体検査が実施され、ツベルクリン反応陰性者に対しては翌17年からBCGの接種が強力に実施されることとなった。
 昭和19年には教職員と学童の両者を含めた学校身体検査規定が公布されて,全月に年1回以上の結核検査を義務づけるようになった。

   
(3) 学校医の職務等
 正式に学校医制度が設けられた明治31年には、学校医の職務としては、以下のように規定されていた。

学校医は毎月少なくとも1回授業時間内に出校して,次のような衛生事項を視察すること。
1 換気の良否
2 採光の適否
3 机腰掛の適否
4 前列及最後列の机と黒板の距離
5 暖炉の有無及暖炉の最近生徒との距離
6 室内の温度
7 図書掛図黒板の衛生上の適否
8 学校清潔法実行の状況
9 飲料水の良否
19 その他衛生上必要なる事項
 また,学校視察中疾病罹患生徒を発見したときは欠課,休学,療治等の勧告を学校長に行うこと,定期の身体検査を実施すること。伝染病発生時に予防処置を実施し、学校閉鎖の勧告を行うこと等があげられていた。

 明治31年の勅令公布の翌年の学校医の設置率は僅か20%で、10年後に50%、20年後(大正7年)やっと80%に達している。

 学校医制度の成立後、その任務は急激に増した。大正9年の「学校医ノ資格二関スル規定」では,従来の環境衛生と身体検査に関する職務のほかに,特に,「病者 虚弱者 精神薄弱老等ノ監督養護二閑スル事項」があげられ,これら疾病欠陥児の就学上の助言、校内における取り扱いの指導に従事することを求めている。同じ年改正された学生生徒児童身体検査規定でも「身心ノ健康状態不良ニシテ学校衛生上特二継続的二観察ヲ要スルト認ムル者」を要観察者として選び出し,これに対し特別に注意と必要な処置をとることを規定している。

 ここに、学校内にあって学校医の助手として働き、監督養護の実務にあたる専任の職員が必要となり、学校看護婦が学校におかれることとなった。一方、疾病像の複雑化多様化により、眼科、耳鼻科、歯科等の専門医の設置が広がってきたのである。

   
(4) 学校看護婦から養護訓導へ
 学校看護婦は、明治33年に、学校衛生の先住者として初めて公立学校に採用され、岐阜県の小学校に配置されたことが始まりである。当時は、全国的なトラホームの大流行があり、洗眼などの衛生処置に対応したと考えられる。

 その後、大正11年に学校看護婦の設置を奨励を行ったこともあり、大正15年には、全国で900余名の配置となっている。

 昭和4年には、文部省訓令で「学校看護婦ニ関スル件」を公布し、学校看護婦の職務内容を定めた。職務内容としては、「疾病予防・診療介補消毒、救急処置及診療設備ノ整整並ニ監察ヲ要スル児童ノ保護ニ関スルコト」、「身体検査、学校食事ノ補助ニ関スルコト」、「身体、衣服、ノ清潔其ノ他ノ衛生訓練ニ関スルコト」などがあげられている。昭和4年には、学校看護婦は、すでに1,438名であった。
 
 昭和16年には、職務の内容を治療補充側面より教育指導面に重点を置き、学校職員とするため、学校看護婦を国民学校令による養護訓導と規定し、昭和18年には、国民学校令を改正して、原則として、学校に必置となった。

   
   
戦後の学校保健
(1) 戦後の疾病対策
 戦後直後,学童の間における結核の蔓延はすきまじいものがあった。昭和21年9月、10歳以上の児童生徒に対し、優先的にツベルクリン反応とB・C・G接種が実施され,以後毎年継続された。昭和24年の学校身体検査規定の改訂も臨時身体検査の項目の中に特に結核の精密検査があげられたが,更に昭和26年の結核予防法の公布によって全額公費負担による精密検査と予防接種が実施されるようになった。これによって早期発見と早期治療がすすみ,罹患率も昭和26年の小学校の1.0%、中学校の0.9%を頂点に徐々に減少していった。
 
 戦後蔓延の著しかった回虫等腸内寄生虫も虫卵検査の採用と駆虫の徹底により,昭和24年の小学校63.9%、中学校58.5%を頂点に急激に減少している。その他戦後一時甚だしかった疥癬・頭虱・トラコーマ等も数年ならずして皆無となった。
   
(2) 学校保健法の制定
 昭和33年学校保健法が制定された。これは今までの学校保健関係の諸法規、すなわち身体検査規定,学校伝染病予防規程,学校清潔方法,学校医令,学校歯科医令等を集中包括した学校保健管理の総合法ともいえるものであって,内容として学校保健計画 学校環境衛生 健康診断,健康相談,伝染病の予防,学校保健技師,学校医,学校歯科医,学校薬剤師,保健室,保健所への連絡,学校病等に対する財政補助等について規定している。
   
(3) 保健教育の推進
 昭和22年4月に、GHQから米国教育視察団報告書が発表され、「初等学校では保健教育がおそろしく欠けているようである。生理学も衛生学も実際には教えられていない。(中略)学校における保健教育が生徒個人にもその家庭にもすぐれた保健法を実行するように教えると共に、細菌学、生理学、一般保健法の基本と実践の教育を含むべきことは大部分の権威者の認むるところである。たとえば栄養の問題に偶然にまかさるべきではなくて、生徒には明確な指針と実施指導が与えられねばならぬ。」と指摘されたことが契機となって、保健教育の本格的な取り組みが始まった。この報告により、学校保健は、それまでの管理的、治療的なものから、大きく教育的な方法に転換した。
 まず、保健計画実施要領が刊行され、この実施要領を基本として学校保健を推進され、学習指導要領が制定されるに及んでは、体育あるいは保健体育科の保健の内容となって示された。昭和33年小学校学習指導要領が全面的に改正され、「保健に関する事項の指導は、各教科・道徳・特別教育活動、及び学校行事等の教育活動全体を通じて行うものとすること。」となり、保健教育は一層強化されてきた。

学校保険の仕組み


資料19.2
学校給食について

目次


(1) 学校給食の歴史
(2) 学校給食法の成立
(3) 学校給食の意義
(4) 学校給食の実施主体
(5) 学校給食の運営に要する経費の負担
(6) 学校給食調理場の設置と管理・運営
(7) 学校給食用物資の供給
(8) 学校給食の栄養所要量
(9) 学校給食における衛生管理
(10) 学校給食の実施状況
(11) 学校給食費調査
(12) 最近の子どもの食生活を取り巻く状況
 
資料
  学校給食法


(1) 学校給食の歴史
  学校給食の起源は、明治22年山形県の鶴岡町(現鶴岡市)の私立忠愛小学校で貧困家庭の児童を対象に昼食を無償で提供したものであるといわれている。
  戦時中一時中断となったが、戦後、困難な食糧事情のもとで、経済的困窮と食糧不足から児童生徒を救済するという実質的な要請から、アメリカ等からの脱脂粉乳等の援助物資を受けて、再びスタートしたが、昭和21年に出された通達では、「学童の体位向上と栄養教育の見地から、ひろく学校において適切な栄養給食を行うことは、まことに望ましいことである。」とし、貧困児童、虚弱児童等だけではなく、全児童を対象とし、その健全な育成を図るという目的を掲げている。
  学校給食は当時の世論の絶大な支持を得るとともに広く実施することが要望され、その実施率は、昭和22年3月には23%であったものが昭和25年には69%に達するなど急速に普及した。
  ところが、昭和26年サンフランシスコ講和条約の調印にともない、給食用物資の財源であったガリオア資金(アメリカの占領地域救済政府資金)によるアメリカからの贈与小麦粉が打ち切られ、財源を失い、これに伴う学校給食費の値上がりにつれて、学校給食を中止する学校が次第に増加した。また、給食実施校では給食費未納者の増加となってあらわれ、学校給食は中止の危機にさらされた。そのため、国庫補助による学校給食の継続を要望する運動が全国的に展開され、法制化が叫ばれるようになった。
<参  考>  当時の学校給食実施上の代表的支援措置
1 ララ物資…… LARA(アジア救済公認団体:米国の宗教団体・労働団体の連合体)からの援助物資により,戦後の学校給食は再開された。この日を記念して学校給食週間(1月24日から30日まで)が設けられている。(昭和21年)
2 ユニセフ給食…… ユニセフ寄贈の脱脂粉乳(昭和24年)
3 ガリオア資金…… 米国の占領地域救済政府資金  米国からの小麦粉の寄贈などの資金源
   
(2) 学校給食法の成立(昭和29年6月3日)
  このような状況の中で、学校給食の基本的な枠組みを規定した学校給食法が、昭和29年に制定された。この法律では、「学校給食が児童及び生徒の心身の健全な発達に資し、かつ、国民の食生活の改善に寄与するものであること」(第1条)、「義務教育諸学校における教育の目的を実現するため」(第2条)の目標を規定し、学校給食が、学校教育活動の一環であるという基本理念を明らかにしている。
  さらに、義務教育諸学校の設置者は学校給食が実施されるように努めなければならない(第4条)、国及び地方公共団体は、その普及と健全な発達を図るように努めなければならない(第5条)とされ、学校給食を開始する際の施設・設備の設置費用や給食費の支払いに困っている児童生徒に対する財政的援助を規定し、今日に至っている。
   
(3) 学校給食の意義
1 児童生徒の健康の増進,体位の向上及び正しい食習慣の形成を図る
2 児童生徒間や教師と児童生徒の心の触れ合いの場をつくる
3 児童生徒に集団生活を体得させ,協同,協調の精神を身につけさせる
   
(4) 学校給食の実施主体(学校給食法第4条)
  義務教育諸学校における学校給食の実施主体は設置者
  公立小・中学校……………市町村
  公立盲・聾・養護学校……都道府県
  私立学校……………………学校法人
   
(5) 学校給食の運営に要する経費の負担(学校給食法第6条)
1 施設設備及び職員等の人件費…学校の設置者の負担
2 その他の経費(食材料費)  …保護者負担
   
(6) 学校給食調理場の設置と管理・運営について
  学校給食調理場の設置と管理・運営について
   
(7) 学校給食用物資の供給について
  日本体育・学校健康センターは、学校給食の基幹的な物資(米、小麦粉、脱脂粉乳、輸入牛肉)及び全国的規模で調達することが合理的であり、かつ有利な物資(砂糖類、油脂類、果実及び野菜類の缶詰類等)を都道府県学校給食会を通じて供給していたが、国内の物資供給体制が整ってきたことにより、センターは順次、物資供給業務を縮小している。
  (平成14年度からは、脱脂粉乳及び輸入牛肉のみ)
  なお、原則として、学校給食用物資は,何をどこから購入するかについては,学校の設置者の判断に委ねられており、市場に流通しているものの中から購入する。
  学校給食用物資の供給について
   
(8) 学校給食の栄養所要量について
  学校給食は、栄養のバランスがとれた食事が摂取できるよう工夫されており、成長期にある児童生徒の健康の保持増進と体位の向上に大きな役割を果たしている。学校給食の献立は、おいしく食べられるようにするとともに、多様な食品の組み合わせや栄養のバランスがとれるよう工夫されている。
  文部科学省は、学校給食の食事内容の適正を期すため、昭和29年の学校給食法の制定とともに、厚生労働省の「日本人の栄養所要量」を基に、学校給食における1人1回当りの平均所要栄養量の基準を定めるとともに、当該栄養所要量をどのような食品構成で摂取すべきかを標準食品構成表という形で示してきた。この栄養所要量の基準は、厚生労働省の「日本人の栄養所要量」の改訂に伴って、随時改訂が行われてきている。
  その内容は、例えば、日常生活では、不足しがちなカルシウムやビタミンの一部について、1日の所要量の55%を摂取できるよう配慮されており、1日の食事の中で学校給食が児童生徒の栄養摂取上に占める割合は大きいものとなっている。
   
  学校給食における児童又は生徒1人1回当たりの平均所要栄養量の基準
区分 栄養量
児童(6歳〜
7歳)の場合
児童(8歳
〜9歳)の場合
児童(10歳
〜11歳)の場合
生徒(12歳
〜14歳)の場合
エネルギー(Kcal) 590 640 720 820
たんぱく質(g) 22 25 29 32
脂      肪(%) 学校給食による摂取エネルギー全体の25%〜30%
カルシウム(mg) 275 290 370 430
鉄        (mg) 3.0 3.2 3.5 4.0
ビタミンA(IU) 600 675 750 880
ビタミンB1(mg) 0.37 0.40 0.46 0.5
ビタミンB2(mg) 0.51 0.55 0.63 0.7
ビタミンC(mg) 22 22 25 27
    この所要栄養量の基準は、全国的な平均値を示したものであるから、適用に当たっては、性別、年齢、個々の健康及び生活活動等の実態並びに地域の実情等に十分配慮し、弾力的に運用すること。
   
(9) 学校給食における衛生管理について
  平成8年度、腸管出血性大腸菌O157による食中毒事故が多発した。とりわけ、堺市で発生した学校給食を原因とする集団食中毒の場合、学校現場はもとより社会全体に深刻な影響をもたらした。
  ここ5年間は、学校給食においてはO157による食中毒は発生していないが、学校給食以外を原因とする食中毒の発生件数は減少していない状況となっている。
  また、平成13年度においても6件の食中毒が発生しており、学校給食における衛生管理の徹底は引き続き大きな課題となっている。
  文部科学省では、平成9年4月、有識者による協力者会議を設置し、学校給食の衛生管理について、厚生省等の対応を踏まえた新規事項を盛り込んだ「学校給食衛生管理の基準」を作成した。
  なお、食品一般については、厚生労働省所管の食品衛生法などにより規制を受けるところであり、学校給食では、食品衛生上安全とされたものの中から、設置者の判断で購入し、活用されている。
   
(10) 学校給食の実施状況について(平成12年5月1日現在)
  学校給食(完全給食,補食給食及びミルク給食)を受けている国公私立小・中学校の児童生徒数は,全体で約1,083万人であり,実施率は93.1%である。
   
 

学校給食実施率(国公私立:児童・生徒数比)
区分 実施率(実施対象児童生徒数) 完全給食 補食給食 ミルク給食
小学校 99.3%(    732万人) 98.5% 0.3% 0.5%
中学校 81.9%(    336万人) 67.0% 0.5% 14.4%
合計 93.1%(1,068万人) 87.2% 0.4% 5.5%
(注) 完全給食… 給食内容がパン又は米飯,ミルク及びおかずである給食
  補食給食… 完全給食以外の給食で,給食内容がミルク及びおかず等である給食
  ミルク給食… 給食内容がミルクのみである給食

   
(11) 学校給食費調査(平成12年5月1日現在)
 
区分 平成12年度 平成11年度(参考)
給食回数 給食費月額 対前年比上昇率 給食回数 給食費月額
小学校 低学年 188回 3,884円 1.1% 188回 3,840円
中学年 188回 3,904円 1.1% 188回 3,858円
高学年 188回 3,918円 1.1% 188回 3,871円
中学校   184回 4,429円 1.0% 184回 4,386円
調査対象は、完全給食を実施している公立学校である。
中学校には中等教育学校前期課程を含む。
   
(12) 最近の子どもの食生活を取り巻く状況
  昨今の子どもの食生活を取り巻く状況については、朝食欠食率や孤食の増加による食生活の乱れ、カルシウム不足や脂肪の過剰摂取等の偏った栄養摂取等の問題が指摘されており、その結果、肥満傾向が強まるなど、将来の生活習慣病の増大が懸念されている。そのため、児童生徒に対して、食に関する正しい知識とそれを実践する食習慣を身につけさせることが非常に重要な課題となっている。学校給食は、食に関する指導の「生きた教材」として最も重要な位置を占めるものであり、その役割が大いに期待されている。


学校給食法

(この法律の目的)
第一条   この法律は、学校給食が児童及び生徒の心身の健全な発達に資し、かつ、国民の食生活の改善に寄与するものであることにかんがみ、学校給食の実施に関し必要な事項を定め、もつて学校給食の普及充実を図ることを目的とする。
 
(学校給食の目標)
第二条   学校給食については、義務教育諸学校における教育の目的を実現するために、次の各号に掲げる目標の達成に努めなければならない。
  日常生活における食事について、正しい理解と望ましい習慣を養うこと。
  学校生活を豊かにし、明るい社交性を養うこと。
  食生活の合理化、栄養の改善及び健康の増進を図ること。
  食糧の生産、配分及び消費について、正しい理解に導くこと。
 
(定義)
第三条   この法律で「学校給食」とは、前条各号に掲げる目標を達成するために、義務教育諸学校において、その児童又は生徒に対し実施される給食をいう。
  この法律で「義務教育諸学校」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に規定する小学校、中学校、中等教育学校の前期課程又は盲学校、聾学校若しくは養護学校の小学部若しくは中学部をいう。
 
(義務教育諸学校の設置者の任務)
第四条   義務教育諸学校の設置者は、当該義務教育諸学校において学校給食が実施されるように努めなければならない。
 
(国及び地方公共団体の任務)
第五条   国及び地方公共団体は、学校給食の普及と健全な発達を図るように努めなければならない。
 
(二以上の義務教育諸学校の学校給食の実施に必要な施設)
第五条の二   義務教育諸学校の設置者は、その設置する義務教育諸学校の学校給食を実施するための施設として、二以上の義務教育諸学校の学校給食の実施に必要な施設(次条において「共同調理場」という。)を設けることができる。
 
(学校栄養職員)
第五条の三   義務教育諸学校又は共同調理場において学校給食の栄養に関する専門的事項をつかさどる職員は、栄養士法(昭和二十二年法律第二百四十五号)第二条第一項の規定による栄養士の免許を有する者で学校給食の実施に必要な知識又は経験を有するものでなければならない。
 
(経費の負担)
第六条   学校給食の実施に必要な施設及び設備に要する経費並びに学校給食の運営に要する経費のうち政令で定めるものは、義務教育諸学校の設置者の負担とする。
  前項に規定する経費以外の学校給食に要する経費(以下「学校給食費」という。)は、学校給食を受ける児童又は生徒の学校教育法第22条第1項に規定する保護者の負担とする。
 
(国の補助)
第七条   国は、公立又は私立の義務教育諸学校の設置者に対し、政令で定めるところにより、予算の範囲内において、学校給食の開設に必要な施設又は設備に要する経費の一部を補助することができる。
  国は、公立の小学校、中学校又は中等教育学校の設置者が、学校給食を受ける児童又は生徒の学校教育法第二十二条第一項に規定する保護者で次の各号のいずれかに該当するものに対して、学校給食費の全部又は一部を補助する場合には、当該設置者に対し、当分の間、政令で定めるところにより、予算の範囲内において、これに要する経費の一部を補助することができる。
  生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第六条第二項に規定する要保護者(その児童又は生徒について、同法第十三条の規定による教育扶助で学校給食費に関するものが行われている場合の学校教育法第二十二条第一項に規定する保護者である者を除く。)
  生活保護法第六条第二項に規定する要保護者に準ずる程度に困窮している者で政令で定めるもの
   

第八条

 削除
 
(補助金の返還等)
第九条   文部科学大臣は、第七条の規定による補助金の交付の決定を受けた者が次の各号のいずれかに該当するときは、補助金の交付をやめ、又は既に交付した補助金を返還させるものとする。
  補助金を補助の目的以外の目的に使用したとき。
  正当な理由がなくて補助金の交付の決定を受けた年度内に補助に係る施設又は設備を設けないこととなつたとき。
  補助に係る施設又は設備を、正当な理由がなくて補助の目的以外の目的に使用し、又は文部科学大臣の許可を受けないで処分したとき。
  補助金の交付の条件に違反したとき。
  虚偽の方法によつて補助金の交付を受け、又は受けようとしたとき。
 
(政令への委任)
第十条   この法律に規定するもののほか、この法律の実施のため必要な手続その他の事項は、政令で定める。


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