資料19 |
我が国の教育経験について |
[ 健康教育(学校保健・学校給食) ]
資料19.1 |
我が国における学校保健の変遷と仕組み
学校保健の変遷
1 | 戦前の学校衛生
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2 | 戦後の学校保健
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資料19.2 |
目次
(1) | 学校給食の歴史 |
(2) | 学校給食法の成立 |
(3) | 学校給食の意義 |
(4) | 学校給食の実施主体 |
(5) | 学校給食の運営に要する経費の負担 |
(6) | 学校給食調理場の設置と管理・運営 |
(7) | 学校給食用物資の供給 |
(8) | 学校給食の栄養所要量 |
(9) | 学校給食における衛生管理 |
(10) | 学校給食の実施状況 |
(11) | 学校給食費調査 |
(12) | 最近の子どもの食生活を取り巻く状況 |
資料 | |
○ | 学校給食法 |
(1) | 学校給食の歴史
学校給食の起源は、明治22年山形県の鶴岡町(現鶴岡市)の私立忠愛小学校で貧困家庭の児童を対象に昼食を無償で提供したものであるといわれている。 戦時中一時中断となったが、戦後、困難な食糧事情のもとで、経済的困窮と食糧不足から児童生徒を救済するという実質的な要請から、アメリカ等からの脱脂粉乳等の援助物資を受けて、再びスタートしたが、昭和21年に出された通達では、「学童の体位向上と栄養教育の見地から、ひろく学校において適切な栄養給食を行うことは、まことに望ましいことである。」とし、貧困児童、虚弱児童等だけではなく、全児童を対象とし、その健全な育成を図るという目的を掲げている。 学校給食は当時の世論の絶大な支持を得るとともに広く実施することが要望され、その実施率は、昭和22年3月には23%であったものが昭和25年には69%に達するなど急速に普及した。 ところが、昭和26年サンフランシスコ講和条約の調印にともない、給食用物資の財源であったガリオア資金(アメリカの占領地域救済政府資金)によるアメリカからの贈与小麦粉が打ち切られ、財源を失い、これに伴う学校給食費の値上がりにつれて、学校給食を中止する学校が次第に増加した。また、給食実施校では給食費未納者の増加となってあらわれ、学校給食は中止の危機にさらされた。そのため、国庫補助による学校給食の継続を要望する運動が全国的に展開され、法制化が叫ばれるようになった。 <参 考> 当時の学校給食実施上の代表的支援措置
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(2) | 学校給食法の成立(昭和29年6月3日)
このような状況の中で、学校給食の基本的な枠組みを規定した学校給食法が、昭和29年に制定された。この法律では、「学校給食が児童及び生徒の心身の健全な発達に資し、かつ、国民の食生活の改善に寄与するものであること」(第1条)、「義務教育諸学校における教育の目的を実現するため」(第2条)の目標を規定し、学校給食が、学校教育活動の一環であるという基本理念を明らかにしている。 さらに、義務教育諸学校の設置者は学校給食が実施されるように努めなければならない(第4条)、国及び地方公共団体は、その普及と健全な発達を図るように努めなければならない(第5条)とされ、学校給食を開始する際の施設・設備の設置費用や給食費の支払いに困っている児童生徒に対する財政的援助を規定し、今日に至っている。 |
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(3) | 学校給食の意義
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(4) | 学校給食の実施主体(学校給食法第4条) 義務教育諸学校における学校給食の実施主体は設置者 公立小・中学校……………市町村 公立盲・聾・養護学校……都道府県 私立学校……………………学校法人 |
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(5) | 学校給食の運営に要する経費の負担(学校給食法第6条)
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(6) | 学校給食調理場の設置と管理・運営について | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(7) | 学校給食用物資の供給について 日本体育・学校健康センターは、学校給食の基幹的な物資(米、小麦粉、脱脂粉乳、輸入牛肉)及び全国的規模で調達することが合理的であり、かつ有利な物資(砂糖類、油脂類、果実及び野菜類の缶詰類等)を都道府県学校給食会を通じて供給していたが、国内の物資供給体制が整ってきたことにより、センターは順次、物資供給業務を縮小している。 (平成14年度からは、脱脂粉乳及び輸入牛肉のみ) なお、原則として、学校給食用物資は,何をどこから購入するかについては,学校の設置者の判断に委ねられており、市場に流通しているものの中から購入する。 |
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(8) | 学校給食の栄養所要量について
学校給食は、栄養のバランスがとれた食事が摂取できるよう工夫されており、成長期にある児童生徒の健康の保持増進と体位の向上に大きな役割を果たしている。学校給食の献立は、おいしく食べられるようにするとともに、多様な食品の組み合わせや栄養のバランスがとれるよう工夫されている。 文部科学省は、学校給食の食事内容の適正を期すため、昭和29年の学校給食法の制定とともに、厚生労働省の「日本人の栄養所要量」を基に、学校給食における1人1回当りの平均所要栄養量の基準を定めるとともに、当該栄養所要量をどのような食品構成で摂取すべきかを標準食品構成表という形で示してきた。この栄養所要量の基準は、厚生労働省の「日本人の栄養所要量」の改訂に伴って、随時改訂が行われてきている。 その内容は、例えば、日常生活では、不足しがちなカルシウムやビタミンの一部について、1日の所要量の55%を摂取できるよう配慮されており、1日の食事の中で学校給食が児童生徒の栄養摂取上に占める割合は大きいものとなっている。 |
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学校給食における児童又は生徒1人1回当たりの平均所要栄養量の基準
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この所要栄養量の基準は、全国的な平均値を示したものであるから、適用に当たっては、性別、年齢、個々の健康及び生活活動等の実態並びに地域の実情等に十分配慮し、弾力的に運用すること。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(9) | 学校給食における衛生管理について
平成8年度、腸管出血性大腸菌O157による食中毒事故が多発した。とりわけ、堺市で発生した学校給食を原因とする集団食中毒の場合、学校現場はもとより社会全体に深刻な影響をもたらした。 ここ5年間は、学校給食においてはO157による食中毒は発生していないが、学校給食以外を原因とする食中毒の発生件数は減少していない状況となっている。 また、平成13年度においても6件の食中毒が発生しており、学校給食における衛生管理の徹底は引き続き大きな課題となっている。 文部科学省では、平成9年4月、有識者による協力者会議を設置し、学校給食の衛生管理について、厚生省等の対応を踏まえた新規事項を盛り込んだ「学校給食衛生管理の基準」を作成した。 なお、食品一般については、厚生労働省所管の食品衛生法などにより規制を受けるところであり、学校給食では、食品衛生上安全とされたものの中から、設置者の判断で購入し、活用されている。 |
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(10) | 学校給食の実施状況について(平成12年5月1日現在)
学校給食(完全給食,補食給食及びミルク給食)を受けている国公私立小・中学校の児童生徒数は,全体で約1,083万人であり,実施率は93.1%である。 |
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学校給食実施率(国公私立:児童・生徒数比)
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(11) | 学校給食費調査(平成12年5月1日現在) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(12) | 最近の子どもの食生活を取り巻く状況
昨今の子どもの食生活を取り巻く状況については、朝食欠食率や孤食の増加による食生活の乱れ、カルシウム不足や脂肪の過剰摂取等の偏った栄養摂取等の問題が指摘されており、その結果、肥満傾向が強まるなど、将来の生活習慣病の増大が懸念されている。そのため、児童生徒に対して、食に関する正しい知識とそれを実践する食習慣を身につけさせることが非常に重要な課題となっている。学校給食は、食に関する指導の「生きた教材」として最も重要な位置を占めるものであり、その役割が大いに期待されている。 |
(この法律の目的) | |
第一条 | この法律は、学校給食が児童及び生徒の心身の健全な発達に資し、かつ、国民の食生活の改善に寄与するものであることにかんがみ、学校給食の実施に関し必要な事項を定め、もつて学校給食の普及充実を図ることを目的とする。 |
(学校給食の目標) | |
第二条 | 学校給食については、義務教育諸学校における教育の目的を実現するために、次の各号に掲げる目標の達成に努めなければならない。 |
一 | 日常生活における食事について、正しい理解と望ましい習慣を養うこと。 |
二 | 学校生活を豊かにし、明るい社交性を養うこと。 |
三 | 食生活の合理化、栄養の改善及び健康の増進を図ること。 |
四 | 食糧の生産、配分及び消費について、正しい理解に導くこと。 |
(定義) | |
第三条 | この法律で「学校給食」とは、前条各号に掲げる目標を達成するために、義務教育諸学校において、その児童又は生徒に対し実施される給食をいう。 |
2 | この法律で「義務教育諸学校」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に規定する小学校、中学校、中等教育学校の前期課程又は盲学校、聾学校若しくは養護学校の小学部若しくは中学部をいう。 |
(義務教育諸学校の設置者の任務) | |
第四条 | 義務教育諸学校の設置者は、当該義務教育諸学校において学校給食が実施されるように努めなければならない。 |
(国及び地方公共団体の任務) | |
第五条 | 国及び地方公共団体は、学校給食の普及と健全な発達を図るように努めなければならない。 |
(二以上の義務教育諸学校の学校給食の実施に必要な施設) | |
第五条の二 | 義務教育諸学校の設置者は、その設置する義務教育諸学校の学校給食を実施するための施設として、二以上の義務教育諸学校の学校給食の実施に必要な施設(次条において「共同調理場」という。)を設けることができる。 |
(学校栄養職員) | |
第五条の三 | 義務教育諸学校又は共同調理場において学校給食の栄養に関する専門的事項をつかさどる職員は、栄養士法(昭和二十二年法律第二百四十五号)第二条第一項の規定による栄養士の免許を有する者で学校給食の実施に必要な知識又は経験を有するものでなければならない。 |
(経費の負担) | |
第六条 | 学校給食の実施に必要な施設及び設備に要する経費並びに学校給食の運営に要する経費のうち政令で定めるものは、義務教育諸学校の設置者の負担とする。 |
2 | 前項に規定する経費以外の学校給食に要する経費(以下「学校給食費」という。)は、学校給食を受ける児童又は生徒の学校教育法第22条第1項に規定する保護者の負担とする。 |
(国の補助) | |
第七条 | 国は、公立又は私立の義務教育諸学校の設置者に対し、政令で定めるところにより、予算の範囲内において、学校給食の開設に必要な施設又は設備に要する経費の一部を補助することができる。 |
2 | 国は、公立の小学校、中学校又は中等教育学校の設置者が、学校給食を受ける児童又は生徒の学校教育法第二十二条第一項に規定する保護者で次の各号のいずれかに該当するものに対して、学校給食費の全部又は一部を補助する場合には、当該設置者に対し、当分の間、政令で定めるところにより、予算の範囲内において、これに要する経費の一部を補助することができる。 |
一 | 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第六条第二項に規定する要保護者(その児童又は生徒について、同法第十三条の規定による教育扶助で学校給食費に関するものが行われている場合の学校教育法第二十二条第一項に規定する保護者である者を除く。) |
二 | 生活保護法第六条第二項に規定する要保護者に準ずる程度に困窮している者で政令で定めるもの |
第八条 |
削除 |
(補助金の返還等) | |
第九条 | 文部科学大臣は、第七条の規定による補助金の交付の決定を受けた者が次の各号のいずれかに該当するときは、補助金の交付をやめ、又は既に交付した補助金を返還させるものとする。 |
一 | 補助金を補助の目的以外の目的に使用したとき。 |
二 | 正当な理由がなくて補助金の交付の決定を受けた年度内に補助に係る施設又は設備を設けないこととなつたとき。 |
三 | 補助に係る施設又は設備を、正当な理由がなくて補助の目的以外の目的に使用し、又は文部科学大臣の許可を受けないで処分したとき。 |
四 | 補助金の交付の条件に違反したとき。 |
五 | 虚偽の方法によつて補助金の交付を受け、又は受けようとしたとき。 |
(政令への委任) | |
第十条 | この法律に規定するもののほか、この法律の実施のため必要な手続その他の事項は、政令で定める。 |