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資料1
 
国際教育協力懇談会(第2回)議事録(案)
平成13年11月7日(水)15:00〜17:00
霞が関東京會舘シルバースタールーム

開会
     中根座長の開会の挨拶の後、事務局より、資料1の第1回国際教育協力懇談会議事録確認およびその他配付資料の確認を行った。また11月3日に座長の中根教授が文化勲章を受章され、参加者よりお祝いの意が述べられた。
 
議事
(1)国際教育協力におけるNGOとの連携について
 (説明者:ワールド・ビジョン・ジャパン片山信彦事務局長)
     非常に重要なこのような懇談会の席にNGOからの意見を聞くということで、時間を設けていただき本当に感謝している。中根委員長をはじめ、委員の方々、文部科学省の事務方の方々にも御礼を申し上げたい。私は、一NGOの事務局の責任者を持っている者である。お配りした事前の資料に従いまして、発表したい思う。私どもワールド・ビジョンは国際的なNGOであり、現在約90カ国にオフィスを持って活動している。一番の中心は、チャイルドスポンサーシップと言い、子供の支援を中心とした教育、あるいは保健衛生を含めた総合的な地域開発が主な事業である。自立を目指していく中で、一つの大きな要素として教育という問題が入ってくる。またそれ以外にも、緊急援助の活動もしており、昨今問題になっているアフガンの難民のためにも、私どものスタッフがパキスタンに行っている。そういう活動をしていく中で、教育に関する働きは非常に重要という認識もあるので、教育協力NGOネットワークというものを立ち上げ、約60ぐらいの教育に関係するNGOがこのネットワークに加わって、相互交流あるいは研修の機会を作っている。ここに提出した資料は、私の個人的な発表の材料であるが、この教育協力NGOネットワークの何人かにコメントを求めているものである。
   個人的な発表であるが、NGOのある程度のフィードバックを得ているものである。限られた時間であるので、手短に要点だけご報告するが、主に3つのことについてお話したいと思っている。
   第1は、NGOとの連携を考える場合、基本的姿勢が大切であること。第2に、政府ODA関係とNGOとの定期的な協議の場が必要であること。そして第3に、実施レベルでの連携の可能性について記載した。ご存じのとおり、従来NGOというのは、あまり政府の事業、ODAの仕事を共同してすることはなかった。特に日本のNGOの場合、その独自性ということがNGOの側から言われ、ODAの側は、ODAそれぞれの目的があり、またNGOがしている事業はおおむね小さいこともあって、ODAの視点からすると、あまり効果性がどうであるかという意見があったかと思われる。NGO、政府間相互にきつい言葉で言うと、不信感みたいなものが従来あったかと思うが、近年急速にNGO等との連携がいろんな分野で言われるようになった。NGOが持っている草の根の発想とか地域住民に非常に近い接点、あるいはその活動の柔軟性、適応能力等のNGOの特色と、あるいは各NGOが持っているミッションを踏まえつつ、ODAの場合においては国益が中心となるものとは思われるが、両者の相違点を明確にしながら、しかし相互の特色を理解し認めあうことが出発点として重要と考えている。開発途上国の人々の生活向上が共通の目的であろうと思われるので、それぞれのビジョンを共有しながら、相互に持っている比較優位な部分を拡大できる形で、連携・協力を進めていくことが非常に重要ではないかと思う。NGOはNGOらしさを持ちながら、他方ODAはその持っている特色を保持しながら、連携できるところは連携していく。例えば教育に関係すると、人々の生活の向上のためは、EFAというのは共通理念であるので、その実現に関しては相互に連携できると考える。まず基本姿勢を確認することが第1点として挙げられる。
   第2点は、定期的な協議の場が必要であることを記載した。すでに様々な場で定期協議がもたれており、幾つかは私自身の関係しているものもある。現在、外務省および国際協力事業団とNGOの中には定期的な協議がある。さらに最近JBICとの協議が始まった。これらの中で、NGOとの連携のためにはどのようなことができるかについて協議が始まっている。また、今週IMF東京事務所から電話があり、IMFも12月にNGOと協議したいという話があった。近年国際機関、特に世銀はNGOと協議をたくさん開催している。ADBも12月に日本でNGOと協議をしたいと準備をしている。現在そのような国際機関も含めて、定期的な協議の場を持ってNGOと相互理解を深める活動をしている。しかし、残念ながら教育に関しては、文部科学省、またはそれに関係する機関とNGOとの定期的な話し合いの場がないようなので、そのような場があれば良いということが、発表2の意図である。その場合、例えば文部科学省とNGOとの場というだけではなくて、さらに地方の教育委員会、国際機関ユネスコがこのような分野では多くの働きをしているが、そういった機関を含めた協議の場があればより良いものになると思われる。さらに踏み込んで協議の場での具体的な話の内容であるが、まず第1にはやはり教育政策に関する協議である。そして実際のプロジェクトの実施レベルの話し合いが第2に出てくると思われる。国際理解教育あるいは開発教育と言われる、国内で広く国民の理解を得られるようにする働きに関しても、NGOの場合には日本の一般の方々からの支援で活動していることもあり、そのような国内での活動についても、また教育に関する国際会議でもNGOでは様々な意見・提言ができるので、そのような内容についても定期的な協議の場で話ができるのではないかと思っている。
   第3番目として、具体的にどのような連携が可能であるかということで、5つほど挙げた。まず第1番目は、NGOとODAの持っている特色を生かせる可能性である。今NGOが実際に行っている教育協力は、ハード面では設備を作るなどと、ソフト面では教材を作るなどの活動を行っているが、実はソフト面の一つである教育行政、教育の在り方についてはNGOではなかなか手が届いていない。NGOが行っている実際の草の根の活動では、その地域の中で学校教育、識字教育、女性の職業訓練等を行っているが、それをその国全体のシステムの中で位置付けをしていかないと、その地域の中だけで留まってしまうという反省がNGOの中から出てきている。草の根で活動する以上は一生懸命努力しているが、さらに中央政府・地方政府レベルで教育政策と密接に関係しているなら、その国全体の事業がスムーズにいくのではないかと感じている。その点を考えると、ODAレベルの活動は教育政策・教育行政の点で中央政府・地方政府と非常に関わりが深いのではないかと考える。上からの行政的な働きをすると同時に、NGOが行っている草の根的な下からの働き、その両方が総合的に連携していくならば、かなりその国全体の教育に影響を与えることができると思われる。そのため中央政府・地方政府へのODAレベルの働きと、NGOが草の根レベルの働きの連携ができると思っている。
   それから第2番目に、すでにこの懇談会でも議論が出ているが、援助・支援をする場合に相手国のニーズの把握あるいはその国の文化・伝統を尊重することが重要であるが、NGOが草の根の活動をしている関係で、その状況の理解、特に少数民族を含めたその国の多様な理解という面においては、NGOの経験が活用できるのではないかと考える。そのような経験の中から、プロジェクト形成のための事前調査あるいは実施レベル、そして事後評価等をNGOと連携していくならば、きめの細かい支援体制が組めるのではないかということがこの論点である。
   3番目であるが、これは非常に具体的であり、すでに外務省とNGOとの定期協議の内容で出ていることではあるが、大使館で扱っているものに草の根の無償支援というものがある。現在外務省はそのような部署に非常にローカルなスタッフを雇ったり、または経験者を雇うことを進めているが、その中にNGOの出身者あるいはNGOで現地で働いている人たちを一時雇用するという形、またはコンサルタントとしてのNGOの起用ということが、連携を進めていく上では可能ではという内容である。
   そして4番目に、これは日本のNGOは国際比較した場合、比較的経験が浅かく事業規模が小さいものが多いので、日本のNGOの育成が課題となっている。私たちNGO側も何とか国際的な水準で活動できるように成長しなくてはならないと考えており、ここ数年キャパスティビルディングに取り組んでいるが、そういった中で、例えばユネスコに寄託している識字振興基金のようなものを拡充して、その事業の立案・実施に日本のNGOが参加する、もちろんその基金全体は政府が管理する必要があるが、具体的な事業の中で、良い意味で日本のNGOを使っていくことが可能ではないかと考えられる。
   そして最後に日本国内のことになるが、広く国民の理解を得るということがこの支援の非常に重要なポイントであろうと思われる。国際理解教育・開発教育ということに関してNGOがもっと参加していくならば、日本国内でのODAあるいは海外支援に対する理解が深まって、ODAの透明性、アカウントビリティーが増すのではないかと考えられる。総合学習の時間の中で、NGOが担当して子供たちに現地の様子を話す、あるいはそこで開発教育的なゲームをして体験的な学習をする、スライド等のビジュア的な教材を提供して理解を深めさせるなどは、NGOが得意とする分野だと思われる。地方自治体ではこのような国際教育の理解が非常に重要だと思われ、また教育委員会においても重要な分野と思われるので、社会教育の一環として地方自治体、教育委員会とNGOが共催して、イベント・講演会をNGOが協力して、ODA等と同時に草の根の経験を広く一般の方々に伝えることができるのではと思われる。
   最近、私どもは経団連と関係を持っている。経団連は社会貢献としてNGOとの連携も少しずつ始まっており、社会教育あるいは企業の社会貢献という中で、NGOを使っていこうという動きが出てきている。様々な角度から日本の一般の人々の理解が増すために、NGOと共に働くということが連携の一つの可能性としてあるのではないかと考えられている。
   まとめとして私が考えていることは、政府は政府、NGOはNGOとして認めあっていく中で、一番目に挙げた教育行政・教育政策のレベルで、ODAはNGOと連携して働いてくことで、総合的な支援ができるということを是非検討していただきたいと思う。
   
(2)途上国のニーズを踏まえた我が国の教育経験の適用可能性について
 (説明者:国際協力事業団   萱島信子研修室長)
     今日は、国際協力事業団(JICA)が開発途上国の基碇教育のニーズをどのようにとらえ、それと前回の国際協力懇談会に提出された日本の教育経験がどのような関係にあるかを説明した上で、途上国の開発ニーズに基づいた日本の教育経験の適応可能性について考慮すべきと思われる点を申し上げたい。
   JICAは1990年頃から基礎教育分野を重視し始め、JICAのさまぎまな協力方針においても基礎教育重視が謳われ、基礎教育分野の事業も拡大した。こうした蓄積を踏まえ、現在、JICAでは基礎教育開発に取り組むための援助指針や案件を形成し実施するための手引き書を検討準備している。まだ未定稿の段階であるが、これらの資料をもとに今日は発表したい。
   資料3−1の「開発途上国の基礎教育開発ニーズと日本の教育経験」の表を参照願う。 まずJICAの援助方針を定めるには、開発途上国の基礎教育開発ニーズを正確に把握することが第一歩であるので、表の一番左の列(開発戦略目標)には国際的に取り組みが求められている基礎教育開発のアジェンタを5つ掲げてある。これは2000年の世界教育フォーラムでとりまとめられたタカール行動計画の6つの開発目標をペースに、私たちが使いやすい形に設定しなおしたものである。第1のアジェンタは、当然のことながら初中等教育の拡充である。ここでは初等教育の就学率・修了率を100%にまで引き上げる、すなわちすべての子供が小学校に行き、すべての子供が小学校の課程を修了することが求められている。また、これと併せて教育の質も伴わなくてはならない。質の伴わない量的な拡大は意味が無く、質が伴わなければ量的な拡大そのものも達成が困難であるので、質と量は車の両輪にように不可分のものであり、質と量の両面から初中等教育は拡充される必要がある。これが第1のアジェンタである。
   2つ目のアジェンタは、教育格差の是正である。ここでは男女格差、都市と農村の格差を縮めるとともに、民族的・経済的マイノリテイ、不定住児、孤児、難民、障害児といった通常の教育システムからはずれていってしまう「特別な配慮を要する児童」をどのように教育の中に取り込んでいくかが課題である。開発途上国の様々な社会的・文化的・経済的格差のゆえに、教育格差が生じ、こうした子供たちは教育を受けられないわけであるが、教育を受けられないことにより、またさらに社会的・文化的・経済的格差を再生産するという機能を教育は持っている。こうした格差の再生産をくい止めるために、何とかしてこぼれていく子供たちを教育システムの中に取り込んで教育格差を是正すること、これが、基確教育開発の2つ目のアジェンダである。
   3つ目のアジェンタは青年・成人の基礎学習ニーズの充足である。基礎教育の主たるターゲットはもちろん子供であるが、必要な基礎教育の学習ニーズが満たされていない青年・成人も多く存在する。非識字者、生活に必要な技能を持たない者、市民生活に参加する技能を持たない者、健康に生きていくための知識を持たない者、特に最近はHIV/エイズに関する知識、環境に関する知識の必要性が強く言われているが、そういった基礎学習ニーズを子供以外の対象者にも充足させることが、3つ日の基礎教育開発のアジェンダである。
   4つ目の課題は、乳幼児ケアと就学前教育の充実である。実はこの課題は比較的新しく、1990年にタイのジョムテイエンで開催された万人のための教育世界会議ではそれほど大きく取り上げられていなかったが、1990年代後半からユニセフ等が中心となってその重要性を強く訴え、2000年のダカール会議では、乳幼児ケアと就学前教育は主要なテーマの1つになった。このように乳幼児ケアと就学前教育が重視されるようになった背景には、初等教育普及が困難な原因の一つとして、学校教育に入るまでに子供の側の準備が不足している、例えば、健康な体ができていない、ちゃんと席について授業を受ける訓練がなされていないということが指摘されるようになったことがある。さらに、人間の健全な成長のためには学校が始まる前から教育やケアが必要であって、特に生まれてからの3年間の精神的・肉体的成長がその後の人生を大きく左右し、また、何らかの問題を持つ子供への対処には小学校へ入るまでのケアが入ってからのケアよりも効果的で少ないコストで済むといった実証的な研究から得られた知見も背景にある。乳幼児ケアと就学前教育は現在ブームのように様々な援助機関が取り上げている。
   5つ目の開発アジェンダは、教育マネージメントの改善である。これは基礎教育開発全般にまたがる課題であるが、地方分権化、ガバナンスの向上、住民参加、受益者のオーナーシップの向上、様々なステイクホルダーの参画などを含んでいる。
   この5つの基礎教育開発のアジェンダを具体的なプロジェクトに落とし込んでいくために、資料の表にある中間目標、中間目標のサブ甘標、さらには8ページ以降の表にある具体的なプロジェクト活動の例にまで、アジェンタの内答を分析し細分化している。このうちのJICAの協力重点分野については、5つのアジェンダの開発プライオリティ、日本政府のODA政策、JICAの教育協力の実績や実現可能性等の観点から検討し、「1−1初等教育への就学促進」、「1−2初中等教育の質の向上」、「2−1男女格差の是正」、「3−1青年・成人の識字の獲得」「3−2青年・成人の生活に必要な技能の習得」がメインになると思われる。この点については、現在JICA内のタスクで議論を進めているところであり、まだ決定しているものではない。
   以上の基礎教育開発ニーズと、第1回懇談会で配布された資料「日本の教育経験」のリストとを比較して、どこに該当するかを記したのが資料3−1の表の右側に矢印で示されている内容である。ご覧の通り、日本の基礎教育の経験はほとんどこの表のどこかに合致するので、条件次第では途上国の基礎教育開発ニーズのいずれかに対応していると思われる。合致しないのは、資料の2枚目にその他として記した生活指導、青少年教育、地域スポーツ、科学館である。生活指導以外はいわゆる社会教育であるが、途上国では、子供を地域で教育する以前にまず学枚に通わせることが至上命題であり、子供を対象とした社会教育は5つのアジェンダには入っていない。
   途上国の基礎教育の現場には様々な条件があり、個々の日本の経験の適応可能性についてはより詳細な検討が必要であると思われる。例えば、学杖給食の協力事業は1970から80年代に途上国で盛んに行われたが、その内容は昼に給食を行うのではなく、朝の授業の開始前や朝10時頃に宋養補強剤のようなものを子供たちにあたえる事業であった。ここでの学校給食の目的は、子供の空腹を満たし健康を改善しそれにより教育の質を向上させ、就学率を上げることである。日本の経験の適応可能性を検討するにあたっては、日本と途上国の間の教育開発課題と教育現場を取り巻く状況についての違いを把捉した上で、日本の教育活動のどこが活用できるのかよく研究する必要がある。ただ単に形が似ているからだけではなく、それが何のために行う事業であるのか、どういうインパクトを生むために行う事業であるのかを検討した上で、日本のやり方と途上国のニーズが一致する部分で協力することがまず重要であると思われる。
   また、あわせて重要なのが、日本側の協力プライオリティをどこにおくのか、相手国側の開発プライオリティがどこにおかれているのかを明確にし、すりあわせることである。例えば、障害者への教育は重要な項目であり、初等教育の完全普及を達成するには取り組まなければならない項目であるが、様々な格差があるなかでどの格差にプライオリティを置くかは検討される必要がある。教育開発の現場ではたくさんのドナーが活動しており、日本がすべての課題に取り組むわけではないので、日本は日本の得意な分野について援助し、他ドナーと住み分けや協調を行ってゆけばよいと思う。ただその際には、相手国の教育開発全体のプライオリティがどのようになっているのか、誰がどの分野で活動し,どのように住み分けを行い、日本はどういう理由でこの領域に援助をするのかが明確にされる必要がある。
   さらに、経済的な条件や、教育は文化的な条件に大きく左右されるので、文化的な条件も路まえた上で、日本の知恵がどこに使えるかは検討することが重要である。
   最後に、日本の教育経験として理数科教育がよく取り上げられ、JICAもいくつかの理数科教育改善プロジェクトを実施している。これは、理数科教育が社金的・経済的・文化的条件に比較的左右されにくく、世界的にも割に均一なものであるので、協力対象としやすいためである。このような理数科教育の特徴は、日本の教育経験の途上囲への適応を考える際の参考となるかもしれない
   以上、日本の教育経験の途上国への適心可能性は、非常に難しいテーマであり、十分な議論が必要であると思われるが、本日はJICA内で検討している材料をもとに説明した。
   
(3)インパクトのある協力方法のあり方について
      事務局より、配付資料を用い説明があった。
   
(4)自由討論
平野委員)   萱島さんに伺うが、資料3はダカール行動枠組みがベースとなっているので、これはグローバルスタンダードと見て良いかと思うが、よろしいか。
   
萱島研修室長)   開発戦略目標は、私たちがグローバルスタンダードを理解するために作っているもので、基本的には今の世界の援助国、途上国、先進国を含めて考えている途上国の基礎教育開発のアジェンダと考えている。
   
平野委員)   資料の中にある具体的な項目は、途上国が必要としている具体的な項目であると考えて良いか。そうすると、それに対して先進国がどのような対応をとるかが具体的なことになるかと思うが、先進国の間で役割分担のようなことは話されているのか。それとも、各国が自分の得意な分野で持って、それぞれがすれば良いということか。
   
萱島研修室長)   基礎教育開発のすべての領域について、ドナーの間での完全な住み分けがなされているわけではない。ただ、傾向としては、ユニセフは乳幼児ケアや就学前教育に力を入れているとか、アジアを主たる援助村象としてきた日本にとって初等教育の就学促進は比較的新しい課題であるといったような、ドナーによって教育協力の特徴の違いはあると思う。
   いっぼう、それぞれの開発途上国のレベルで見るとドナー間の役割分担の議論は盛んに行われている。実際のオペレーションの問題になると、協力事業の住み分けをし連携を取らないと、重複や漏れがおこってしまう。また教育開発の様々な領域は、初等教育が普及すると青年・成人の基礎学習ニーズが減るとか、乳幼児ケアや就学前教育が向上すれば初等教育前半の質が向上するなど、非常に強く相関しているので、国レベルではドナー間の緊密な連携がないと十分な協力効果が上がらない。
   ドナー間のコーディネーションは、開発途上国の国レベルでは非常に活発である。
   
千野委員)   簡単なことですが、片山さんに伺うが、60ぐらいの団体があって、ネットワーク間で研修とか相互交流をしているようだが、どういう特徴を持ったものかもう少し教えてほしい。
   
片山事務局長)   何らかの形で教育に関わっているNGOの数は、はっきりとした統計はないが、100以上のNGOが関わっていると思う。主に日本の場合、初等教育、小さい子供たちに援助をしているものが圧倒的に多い。学校の奨学金であるとか、制服、教材の支給、給食等の助けをするなど、直接的に子供に関わるNGOが多い。もう一つのグループは、地域開発的なものの中に、あるいは保健、職業的支援、また最近はマイクロファイナンスと言われるが、少しのローンを出して、住民たちが経済的に自立できるようにするなどのものと組み合わせる中で、やっているNGOもあるので、メインに教育だけだと言っているところは私の手元にある資料によると70ぐらいである。教育も一部だと言っているのは120ぐらいである。私ども教育ネットに関わっている60ぐらいのNGOの人たちも、いろんな分野の働きをしているNGOが多い。だいたい日本のNGOの場合、直接子供たちに関わるものと、学校建設が比較的多い。学校と言っても、大きな学校ではなく、コミュニティーの中での寺子屋的なものから、その地域の中で子供たちが通えるようにする学校建設、それからカリキュラム、教材をその地域の文化・コミュニティーを尊重した上で作っていくことをしているNGOがその次に多いと思う。そのような団体が私どものネットワークに参加している。実は、このネットワークは今年できたばかりで、今相互の情報交換を中心に研究会をやっている。そういう中から、教育協力をする場合、NGOとして一番重要なメルクマークは何であろうか、どういうことをやったら良い教育なんだろうかとういうことを互いに出し合いながら、それぞれのNGOがやっていることを意見交換しながら、例えば里親的なことをやっているNGOに対しては、子どもだけ援助してて良いのかといった議論をしており、このような情報交換が中心である。今年から来年にかけては、一度開催した世銀東京事務所の所長が来られて、世銀の持っている教育政策・教育事業についてお話を聞いて、NGOとどのように連携できるか検討を行った。JICAの方も来ていただく予定をしており、今後NGO側としても、ODA・国際機関とどのように連携できるか学習しようとしている。
   
團野委員)   良いNGOと悪いNGOがあるが、どんな形で整理して考えれば良いのかNGO側からの考えがあればお教え願う。また、海外ではグローバルになっているNGOが多いが、日本の場合、日本だけでまとまっているところが多いと思われる。どのような状況になっているか片山さんの所だけで結構であるが聞きたい。
   それから、途上国の発展の段階、各国の特有の事情によりまったく異なったニーズがある。そこを絞り込み、対象国を選んで双方的に議論しないといけないと思う。ショッキングな話として中国の方が日本の学校に子どもを入れたら、理数系のレベルがあまりに低いので子どもを連れて奥さんを中国に帰したという話がある。さらに、まったく日本のものさしでは計れない国もある。全体として、対話をして、こちらがやれることと向こうが要請することを組み合わせて、この国にはこういうことをやろうということをしていかないと効果が上がらないと、技術協力の経験からそのように考える。教育の分野でも同様だと思うがいかがか。
   
片山事務局長)   良いNGO・悪いNGOは、NGOの中でも大きなテーマである。お互いのNGOを良い意味で批判することは、特に日本ではあまりない。それぞれNGOの特色を生かして国、事業内容、やり方などにおいてカラーが違うので、お互いのことは触れずにいた。一部、行動の面で過激であったり、政策提言を主にやっているNGOもある。しかし、概して日本のNGOはそういうことはないと思っている。行動で判断する方法もあるが、アカウンタビリティーが重要とNGO間で言われている。自分たちの説明責任をはっきりさせ、オープンにしていくなかで、外からのいろんなご批判を謙虚に受け止めていく姿勢が大事ではないかと考える。判断できる材料をオープンにしていていることが、良いか悪いかの判断基準になるかと思う。私たちの仲間でもスタンダードが必要ではないかと言われている。あまり助成金とか補助金を多くすべきではないとか、一つの基準を明確にするべきではないかとも言われている。
   日本のNGOと国際的なNGOの話ですが、私どもワールド・ビジョンは各国が独立して運営しているが、共通した一つのミッションと一つのストラテジーを持っている。日本の場合は、個別の地域に2国間のような形で援助しているNGOがたくさんある。そういうNGOの場合には、相手国の地域・文化・生活様式の把握は非常に優れているものがある。しかし日本の多くのNGOの場合、スケールが小さい場合が多く、これからの課題である。ボランティア的な小さいNGOはその特色を出して、透明性を確立していく。大きな国際的なNGOは、世界的な流れを日本のNGOと共有し、情報交換をしながら、それぞれふさわしい分野で活躍をしていくという流れが必要であると考える。
   
萱島研修室長)   協力相手国との対話ですが、おっしゃるとおりだと思う。JICAは現在国別アプローチを推進しており、こうした対話を踏まえて、国ごとにもう少し明確なアプローチなり事業方針なりを持っていこうと努力している。
   先ほど、国レベルではドナ一間調整が非常に盛んだと申し上げたが、その対話には当然先方政府も入っている。また、近年セクターアプローチというものがあちこちで行われるようになり、すべてのドナー、先方政府、NGO、さらには受益者やコミュニティ代表が参加し,その国の教育開発をどうするかを議論し、マスタープランを作って、役割分担を明確にして事業を実施する、もしくはお金を出し合って事業を実施するということが行われるようになった。そこでは、相手国がオーナーシップを持って自分たちの問題として取り組んでいくべきだとの考えが強く、議論の中身は先方政府が中心となる。
   教育開発は先方政府の強いイニシアティプとコミットメントが前提となる。途上国では通常国家予算の13%程度、多い国では20%を超える予算が教育予算であり、教員を主とする教育従事者が国家公務員の1/4を超えることもまれではない。教育セクターは、保健と軍事に並ぶ大きな国家事業であり、それを動かしていくには政府の強力なコミットメントとイニシアティプが必要となる。さらに言えば、教育開発には政府の強力なコミットメントが必要だけれども、受益者は国民であり,子供であり、家庭であり、コミュニティであるので、受益者の能動的な参加がなければ成功しない。国レベルでの水平的な対話とあわせて、NGOや地方政府やコミュニティを含めた垂直的な参加が必要である。日本が教育協力をするにあたっては、こうした様々な対話に積極的に参加することが重要である。しかも,ただ参加するのではなく、知恵を持って参加する、基礎教育開発の考え方や適応可能な日本の教育経験についての明確なヴイジョンをもって参加し,議論に貢献することが大切である。
   
荒木委員)   2国間、多国間協議において、教育協力のための日本の創造的なメニューを作らねばならない。
   外務省では第2次ODA改革懇談会で国別援助計画を立て、プラオリティー付けをするべきだとしており、国別援助計画の下にあるセクター協力の中での教育協力で、プライオリティー付けをする必要がある。その一連の流れが、今、ちょうど始まろうするところである。
   まず、上流計画があって、下流から上流に攻める、NGO草の根レベルは、上流の計画がどうなっているのかを見ながらそれに相応しい動きをすることがより効果的、合理的である。
   文部科学省は、総合的なニーズ調査、ある程度地域を絞るなり、地域から選んでその国をケーススタディー的に、文部科学省が持っているメニューが適応可能かどうか調査することは考えているのか
   
事務局)   現在ではそこまで考えていないが、懇談会を進めていくうえで、必要であれば外務省、JICA、JBIC等と相談のうえ対応させていただきたい。
   
中根座長)   この問題は、本懇談会でも推進していくものではないかと思っている。
   
西尾委員)   片山さんの話の中で、2番目の定期的な協議の場の設定、あるいは3番目の連携という点で、今まで外務省、JICA、JBICのみがODAを行っていたが、その中へ地方教育行政、教育委員会、ユネスコも同じ場で協議してなければならないことに賛成である。
   ODAが外を向いてどんな支援をしていくかが言われる中で、教育の支援の場合には、教員の派遣を例にすると、地方教育行政、教育委員会がどれだけ国際協力に積極的な姿勢をもっているか疑問に思っている。是非、同じ場で協議していただきたい。
   例えば、教員は青年海外協力隊現職教員派遣制度へ積極的に参加していない。これは教員になって安定した生活を送れるのに、あえてボランティアを行うことに興味がなく、むしろ帰国したあとのことが心配である等の理由による。私は、現職の教員に積極的に出ていってもらいたい。自ら教員が異文化体験、国際理解を身につけ帰ってきて、教職の場に戻って、日本の子どもの国際理解教育を行っていただきたい。戻ってきた時に優遇措置がある、あるいは単に青年海外協力隊のボランティアの身分でなく、教育協力を担う現職教員の協力隊のような新しいシステムを作るなどして、現職教員の国際理解精神を培っていく必要がある。
   私は、将来、現職教員参加と退職教員ボランティア参加の2つのグループを立ち上げる案を練っている。戻ってきてからの国内の国際化、異文化理解について、NGOだけでなく、教員全員が国際化を図るようにしないと、NGOは外に向けてだけ支援しているのだと思っている人が多く、何か自分たちに卑近な問題としてとらえていない気がする。
   
平野委員)   西尾委員に賛成だが、留保する点があり、(1)適格者がいるか、(2)ニーズがあるのかを調査する必要があり、それに併せて国内システムを構築する必要がある。
   
川上委員)   青年海外協力隊現職教員参加制度が作られたことは非常に画期的なことである。ただ、本制度はこれから工夫が必要である。去年は100名を目標としていたが、合格者は67名で2/3にとどまった。これは、(1)JICAの事前の広報的努力がもっと必要であり、文部科学省のさらなるご協力を願う、(2)各都道府県で人数枠があり、今後、枠の緩和など、制度的に柔軟に運用していただければ幸い。
   
中根座長)   県の枠とは何か。
   
事務局)   県の財政当局と教職員定数を決めている。教育委員会が自由に教員を派遣できない状況である。出せば出した分を補填しなくてはならない。技術的には、給与面でJICAからの補填制度があるが、県からの持ち出しもあり、枠が決められている。
   
團野委員)   西尾委員に賛成である。グローバル化する中で、日本人の国際化が重要である。 (1)異文化理解の努力、(2)コミュニケーション能力の涵養、(3)概念化(フィロソフィーとコンセプト)の訓練、の3点で現職教員が参加するすることが非常有益である。
   
篠沢委員)   現実に動かすためには、どうしたら良いのか。いくら日本が良い経験(メニュー)をもっていても、システム的には動きださない。途上国のオーナーシップ、ニーズが実際問題として、その国で動き出すレベルにあるのかどうかわからない。例えば、我が国の大使が、途上国の持つツール(JICA等の国際援助機関)を総合化して働きかけるとかしないと始まらないのではないか。
   システム的にどうやったら動くのか。実際のインプリメンテーションを伺う。
   
矢崎委員)   我が国がどのように貢献できるのか。ニーズ調査で違った方向に行かないように本懇談会の基本的コンセプト作りをもう一度確認したい。
   我が国での蓄積された経験、知識を共有化するシステムが足りないのではないか。将来、NGO、JICA、地方教育委員会等を大同団結して取りまとめるセンターを設置し、しっかりオーガナイズさせ、全体の協力のプロセスの進み方をチェックし、ノウハウを蓄積し共有化できるようになればと思っている。
   
中根座長)   教育協力は非常に難しく、何かモデルを作ったほうが良いと思われる。途上国の背景の違いによって、モデルを作っていったらどうか。
   
千野委員)   各隊員が培った経験をフィードバックすることが難しい点が重要である。失敗も含めて教員の経験を伝えていくことが重要。教員が主役であり、教員が積極的に関わることができるシステムを作ることが重要。
   一国一県について、九州では東南アジア、北陸では北東アジア、北海道ではロシアがイメージされ、漠然たる外国ではなく身近な外国を掘り起こしていったらどうか?
   
佐藤委員)   経験の蓄積をすることは大切で、熱心な人が行っている間はうまくいっているが、人が変わると廃れてしまうという苦い経験があり、どう具体的に仕組みを作っていくのか事務局で考えていただければと思う。
   全体として援助する国のプライオリティについてどう取り組むのか。黙示的に感じ方は共有しているだけであり、どの地域、どの国にはどう対応しようというのかは、ある程度共通の認識としておかなければ、プログラムを国全体で考える意味がないのではと思える。それなしに自分自身で活路を見つけて、バラバラにやっているのはまずいのでは。
   
西尾委員)   事業に対する評価の問題。事前,中間,事後の評価を怠らず、受け入れ側、送り側の双方で厳しく的確に評価を伴って作りあげたい。
   
宮田委員)   基本的には、有限の金なのでナショナルセキュリティーの観点から物を考えるべき。ニーズだけとって、それに合わせれば良いものができるわけではなく、やはり話し合いが必要である。インセンティブをつけないといけない。平和な日本からアフガニスタンを見ていると、これは大変だなということになる。
   「ショー・ザ・フラッグ」と国会でも出ていたが、日本は平和国家を標榜しているが、戦後のアフガニスタンでどう教育協力できるかなどいくつかのモデルの中にもバリエーションを入れて、一つ一つ個々に考えざるを得ない。一概にこのコンセプトで全てをカバーできるものはないと思われ、具体的に日本のセキュリティーをとって、余裕があればまたその先を進むべきであり、抽象論だけでは進まないような気がする。
   
川上委員)   ニーズの把握という点では、私の経験では、最終的には国別に先方政府と意見交換して、先方がどれくらい予算配分し、どれくらいの覚悟をもって教育にとりくむか、いわゆるオーナーシップがあって、それに基づくパートナーシップという協力の関係ができてくるわけだが、最終的なニーズの把握は、国別にやる以外に手はないことは明白である。
   他方、EFAの流れにそった形でどの国も努力をすることになっている。我々のやっている作業から何かを生み出すという観点からは、ある程度、地域、セクターを類型化し、そのニーズを地域ごとに出していく。そんなに難しくない話で、アセアン、アフリカ中央アジア、中東などだいたいどの辺りにニーズがあるか、我々も長年やっているとどこにニーズがあるか大体把握しているつもりである。それに基づいて、どのへんをターゲットにするか、先程JICAからセクトラルな、教育の中でさらにサブセクトラルな5つの項目の話があったが、私はそれに地域別のニーズを入れ、類型化してみれば良いと思う。アフリカとアセアンはかなりニーズが違うわけで、無論アフリカといってもひとつではなく、いろいろあるが地域の特色は出てくる。この地域についてはこうだと。しかし、最終的には国ごとのポリシーが必要となってくる。我が国として何ができるのかとのサプライサイドの話としては、まず、ディマンドサイドの類型化で少し絞りこんだうえで、日本がどの協力ができるか、先程の現職教員の派遣はどこにでも当てはまるが、いろいろのやり方があって、アプローチできるのではないか。
   
平野委員)   私は懐疑的になってしまい、議論を戻すことになるかもしれないが、ニーズの把握をしていくと、最終的には金だけになってしまわないか。かつて、日本財布論というのが国際社会にあったが、財布は大きければ大きいほどいい、必要な時だけ出してくれればいい、とそれ以上のことは日本に期待しないという極めて日本に失礼な考え方の時代があった。しかし、現実問題として、ニーズのブレークダウンをすると、文部科学省の仕事の外に皆行ってしまうのではないかと思う。途上国は日本の教育協力に何を期待しているのか私には読めてこない。職業教育ならわかる。彼らが日本に対して持っているイメージは、車、テレビ、ミシンであり、そういうものを自分たちも作りたいということなので、職業教育なら要望はたくさんあるだろうが、そうなると厚生労働省の仕事になってしまうのではないか。
   ここで教育とすると、妥当性があるのかということであまり深入りしたくない。総論はわかるが、各論になると皆、他省庁に持って行かれるでは。それでも私はいいと思っている。日本全体として、日本の国益に繋がるということであればそれはそれで良いと思う。各論に踏み込めないことにジレンマを感じている。
   
荒木委員)   ニーズの掌握は、今までは政府対政府でやってきた。政府のトップとは、途上国の場合だいたい先進国の大学を出たエリートであり、求めるものが非常にレベルの高いとなり、初等教育はグラスルーツでまあそこそこにやれということになってしまう。実際はそこが、ボトルネックで、下のところに相当強引に援助する側が目を付けてかなり引き戻して、主体的・戦略的にそこに対応しない限り放っておかれてしまう。その結果、上部に援助してもボトムアップしない。したがって、国全体のエネルギーが集中されず、経済発展が阻害される。
   どうしても21世紀は、そこのボトムをいかにアップするか、初等教育については、我々援助する側が強引に語りかけないとITとかの高度の教育のほうに走ってしまう。それをどうやって防ぐか。これが対話の難しいところである。ニーズと言ってもランクがあって、NGOと一体となってグラスルーツ側のニーズの掌握と政策側の把握を合体させていかなければ、将来を見据えた本当のニーズの掌握にはならない。私の経験上からそう考えている。
   
團野委員)   アジアなどでは具体的に呼びかけても反応が返ってこない。技能ノウハウの類の要望が出てこない。対話を進める場合、まとまったものになるかという懸念はあるが、それを乗り越えてやっていかないと始まらない。乗り越える原動力となる考え方が必要であろう。アジアとの共生により、アジアの国々の生活水準と工業レベルが上がって、市場が大きくなり、その大きくなった市場で日本が一部メリットを享受できる、という展望を持ってやっていかないと対話できないのではないか。
   
篠沢委員)   スポット、スポットでの教育協力の実を上げることはできてきており、これからもできる。全体として、普遍化された形で教育協力ができないか。その国で新たな格差を起こさないようにできればいいんだが、よほどうまくシステム造りをしないとできない。サプライだけでなく、ディマンドサイドをどうするかも少し考えておかないといけない。そうしないと、今までの教育協力とそんなに変わらなくなってしまうのではないかと思う。
   
佐藤委員)   アジアの安定や仲良くしていくためにやっていくのでは、長続きしないのではないか。我が国の教育にどんな意味があるのか、どう裨益するのかという視点がないと。この話はキチンとしていかなくてはいけない。そのために国際理解教育という言葉もあるのだから、もう少しブレークダウンして日本にとってどういうことが大事なのかという視点も組み入れて議論していただければと思う。
   
團野委員)   フェーズ・アプローチによるモデルアプローチ、やりやすい国で、やりやすい項目を第1年目あるいは短期的に行って、フェーズ2では、フェーズ1における評価をフィードバックさせながら少し拡げる。長期的にはこういうところをめざる、という形でのまとめてはいかがか。
   
事務局)   皆様のご議論を反映させた形で検討させていただく。
   
閉会
     次回会合は、11月28日、10時から12時に開催予定。
     

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