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資料3−3

 

基礎教育   開発課題体系全体図

開発戦略目標 中間目標 中間目標のサブ目標 プロジェクト活動の例
1.  初中等教育の拡充
1-1  初等教育への就学促進
教育サービスの(量的)拡大
  適正な建設計画に基づく教育インフラ・ストラクチャーの整備
  需要予測に基づいた教員の養成・確保
  適正かつ迅速な教員の配置
  児童やコミュニティの現状に即した教科書および教材教具の配付整備
  ICTを活用した遠隔教育の実施
子供を取り巻く教育環境の改善
  コミュニティや家庭の教育への理解促進のための啓蒙活動
  初等教育の無償化
  子どもの教育にかかる家計負担と児童労働の軽減を目的とする奨学金の供与
子どものレディネス(学習準備)の向上
  就学前教育の実施
  保健・衛生・栄養面に配慮した乳幼児のケア
  児童の健康改善に資する学校保健活動や給食の導入、定着、改善
  近隣の病院や保健施設との連携強化による学校での定期健康診断、予防接種、カウンセリング等の実施
教育システムの弾力化
  児童やコミュニティの現状やニーズに即したカリキュラムの改善
  児童の生活パターンやコミュニティの年間行事などに配慮した学校カレンダー(年間/月間授業計画)や時間割の見直し
  自動進級制度の導入も視野に入れた進級制度の見直し
  中退児童や長期欠席児童のための復学制度の導入
1-2  初中等教育の質の向上
教員の増員とその意識・知識・技能の向上
  教員養成課程および教員養成システムの改善
  教員の資格基準の見直し
  教員採用基準の見直しと選考方法の改善
  教員採用人数増に伴う(特別)財源の確保
  初任者研修の導入と継続的な現職教員研修の実施
  教員用マニュアルの開発と普及
  教員の待遇改善とモラルや士気の向上
  教員の監督・評価・支援システムの構築
カリキュラムの改善
  カリキュラム開発のための教育研究の推進
  地方分権化と地域社会参加の促進によるレリバンス(地域の現状との関連性)の向上
教育方法(教授法)の改善と普及
  効果的・効率的な教育方法の研究開発
  教員向教材の開発と普及
  児童・生徒の母語による教育と公用語による教育とのベスト・ミックスの実現
  児童・生徒の学習評価手法とフィードバック・システムの確立
教科書/教材教具の改善と普及
  教科書/教材教具の内容の改善(カリキュラムとの整合性の確保)
  教科書/教材教具の普及と維持管理の適正化
  教科書/教材教具と教員研修内容とのリンケージ(関連)強化
教育施設の改善
  スクール・マッピングを基にした適切な学校配置計画の策定と学校建設の実施
  地域的特性、教育方法、ジェンダー、建設コスト等に配慮した基本設計・標準仕様の策定
  シフト制(2部制、3部制)導入等による施設運用面での改善(過密クラスの解消)
  管理マニュアルの整備や住民参加促進による施設維持管理能力の向上
  備品の整備と維持管理の適正化
適切な学校モニタリング゛・評価の実施
  適正な評価指標や評価手法の確立
  評価の制度化と定期的な評価の実施
  評価結果のフィードバック・システムの構築
  評価者(教員や視学官)の訓練
児童・生徒のレディネス(学習準備)の向上
  3〜6歳児への配慮は必要としながらも、基本的な活動は3-2. 「就学前教育の拡充」に同じ。
2.  教育格差の是正
2-1  男女格差の是正
ジェンダー・センシティブな学校教育の実現
  地域社会および学校内でのジェンダー格差に関する調査に基づく問題点の把握
  カリキュラム、教科書、教材教具等の教育内容に関するジェンダー・バイアスの除去
  教員研修等を通じてのジェンダー意識の改革とモラルの向上
  ジェンダー・バランスに配慮し、女子の積極的な授業への参加を促すような教育方法の普及
  現地ニーズに即した生活向上関連科目や実習科目の学校教育への導入
  女性の教員の増員
  女児に配慮した施設整備(男女別トイレ、衛生的な水場、宿舎等)と安全な教育環境の確保
  女児に配慮した学校カレンダー(年間/月間授業計画)や時間割の見直し
  集団登下校の推進による登下校時の危険の回避
  妊娠や出産により小学校中退を余儀なくされた女子の復学の推進
  遠隔地におけるコミュニティー・スクールの設立
  女子校の設立(場合により一般校での女子学級の編成も検討)
地域社会や家庭を対象とした女子教育についての啓蒙
  女子の教育の重要性に特化した啓蒙・啓発・広報活動
  授業参観や学校行事等を通じての学校教育への理解の促進
  家庭訪問や定期会合等を通じての教員と保護者のコミュニケーションの強化
  セミナーやワーク・ショップによる地域住民の学校教育への積極的関与
  視学官や女子教育プロモーター等による学校およびコミュニティへの巡回指導の実施
女子教育推進のためのモデルの創造
  女子への奨学金の供与
  女性の教員の増員
  女性のロール・モデル(成功者モデル)の認知と普及
  遠隔教育の導入も含めた中等教育への就学機会の拡大
成人女性への識字教育
  成人女性への配慮は必要としながらも、基本的な活動は4. 「青年および成人の基礎学習ニーズの充足」に同じ。
2-2  都市−農村間の地域格差の是正
農村部における教育サービスの(量的)拡大
  遠隔地や就学人口過疎地域におけるコミュニティ・スクール、移動学校(教員の巡回指導による教育)、短期集中教育、遠隔教育等、現地の事情に即した教育機会の確保
  単級学校、複式学級、隔年入学制度等、就学人口過疎化に伴う教員数の減少に対応可能な学年・学級編成の実施
  現地代用教員の採用および補完研修の実施
  教員への特別手当の導入等による農村部への教員異動の促進
  ノン・フォーマル教育を受けている非就学児童(Out of School Children)の公教育へ移行促進
農村部における教育の質の向上
  クラス規模の増減に迅速な対応が可能な教育方法(個別指導中心のプログラム学習、児童が相互に教えあうグループ・ティーチング等)の開発・導入・定着
  農業実習等の実践的な教科科目の学校教育への導入による教育内容のレリバンスの向上
  近隣の学校に勤務する教員とのコミュニケーションの促進
「特別な配慮を要する児童」に対する教育の重要性についての啓蒙
  センサスや社会調査に基づく「特別な配慮を要する児童」の特定・類型化、現状把握、学習ニーズの特定といった基礎的情報整備
  「特別な配慮を要する児童」に対する教育の法的措置の確認、重点政策化および普及のための啓蒙・啓発・広報活動の実施
「特別な配慮を要する児童」の公教育へのアクセスの確保
  各種調査結果に基づく学校施設・設備の充実(給食室、工作室、児童宿舎、施設のバリア・フリー化等)
  「特別な配慮を要する児童」の学習ニーズに応じた各種補完活動(給食、職業訓練、生活指導、補習、特別授業等)の実施
  校内支援体制の整備(教員の増員、特別教員やアシスタントの配置、学校保健の充実、各種相談受付等)
  外部の関係機関(医療機関、福祉機関、国際機関等)および各種専門家(医者、カウンセラー、保護司、ソーシャルワーカー等)との連携の強化
  家庭やコミュニティとの連携の強化
  教員養成課程や現職教員研修への「特別な配慮を要する児童」関連科目や実習の導入と必要な知識・技能の定着
  「特別な配慮を要する児童」の状況に応じた特別カリキュラム、個別指導計画、学習到達度評価基準の作成と実施
2-3  「特別な配慮を要する児童(children with special needs:民族的・経済的マイノリティ、不定住児、孤児、難民、障害児等)」への教育機会の保証
「特別な配慮を要する児童」への代替的教育機会の提供
  「特別な配慮を要する児童」のニーズに対応した各種教育プログラムの開発と推進
  教育形態の多様化(巡回指導、訪問教育、院内学級、統合教育等)
  代用教員への研修強化による必要な知識・技能の定着
  「特別な配慮を要する児童」の状況に応じた特別カリキュラム、個別指導計画、学習到達度評価基準の作成と実施
  「特別な配慮を要する児童」の現状に配慮した教育環境の整備
  柔軟なカリキュラム運用(時間、内容等)
  各種専門家による適切かつ定期的なフォローアップの実施
  各種教育プログラム修了資格の公式化(政府による「初等教育修了」相当との正式認定)
3.  青年および成人の基礎学習ニーズ(literacy, numeracy & life skills)の充足
3-1  青年および成人の識字の獲得
識字プログラムの推進
  センサスや社会調査に基づく識字教育対象者(≒学習者)および学習疎外要因の特定
  識字教育の重点政策化と普及のための啓蒙・啓発・広報活動の実施
  学習者のニーズや社会的なコンテクストに即した各種識字教育プログラム(機能的識字、識字後教育、新識字等)の開発と効果的・効率的な教育機会(夜間学校、成人学校、母親学級、遠隔教育等)の整備
  効果的な教育方法を基にした識字教員向マニュアルの開発と整備
  学習者の識字レベルやニーズに即した教材教具の開発と整備(書籍・新聞・雑誌を含)
  識字教室の確保と備品の整備
  プログラム対象地域内での識字教員や教育プロモーターの採用と研修
  柔軟なカリキュラム運用(時間、内容等)
  視学官や教育プロモーター等による適切かつ定期的なフォローアップの実施
  識字プログラム修了資格の公式化(政府による「初等教育修了」相当との正式認定)
3-2  青年および成人の生活に必要な技能の習得
ライフ・スキル習得プログラムの推進
  参加者のニーズや社会的なコンテクストに即した各種ライフ・スキル習得プログラム(保健・衛生・栄養等の生活関連、職業訓練等)の開発と効果的・効率的な研修機会の整備
  指導の難易度に配慮したトレーナー向マニュアルの開発と整備
  参加者の知識・技術水準やニーズに即した教材教具の開発と整備
  研修に必要なスペースの確保と備品や道具類の整備
  プログラム対象地域内でのトレーナーの採用と研修
  柔軟なカリキュラム運用(時間、内容等)
  視学官や教育プロモーター等による適切かつ定期的なフォローアップの実施
コミュニティ開発プログラムとのリンケージの強化
  社会調査に基づく、住民生活の現況の把握と生活向上に関するニーズの特定
  住民の組織化および自治活動に関する調査と問題点の特定
  住民が抱える問題点に関する解決策の検討
  解決策の識字教育+ライフ・スキル習得プログラムへの取り込み
  コミュニティ開発関連の各種実践を通してのプログラムに関する改善点の把握とその見直し
  託児所、保健室/センター、給食室/センター、工作室/職業訓練センター、公民館、図書館等の関連施設・設備の建設と整備
4.  乳幼児のケアと就学前教育の拡充
4-1  乳幼児のケアの拡充
乳幼児のケアの重要性についての啓蒙
  センサスや社会調査に基づく乳幼児の生活現況の把握と問題点の抽出
  「保健」担当省庁との連携により、乳幼児のケアの重点政策化と事業実施のための啓蒙・啓発・広報活動の実施
家庭における乳幼児ケアの改善
  乳幼児の生活環境および生活実態調査に基づく問題点の把握
  保護者に対する育児指導プログラム(保健、衛生、栄養、早期幼児教育等を含む)の開発
  地域の保健婦や保育士等の専門家による定期的な育児指導プログラムの実施
  専門家によるアドバイスが随時受けられる育児相談窓口の開設と育児指導フォローアップ体制の確立
  住民の組織化や広報紙による育児情報の充実等による保護者同志の情報交換の促進
施設における乳幼児ケア・プログラムの実施
  保護者のニーズに即した保育プログラム(保健、衛生、栄養、早期幼児教育等を含む)の開発とサービスの提供(出生届の普及、母子手帳の導入、母親学級の開設、健康・医療相談、予防接種等)
  国家/地域開発計画に基づく保育施設(保育所、託児所等)の設置と適切な運営管理
  十分な知識と技能を有する保育士の育成・確保と継続的な研修の実施
  効果的な養育方法を基にした保育士向マニュアルの開発と整備
  乳幼児の成長と発達に応じた知育玩具や遊具の開発と整備
  安全な水と食料の持続的な供給
  行政による適切かつ定期的なフォローアップの実施
4-2  就学前教育の拡充
就学前教育の重要性についての啓蒙
  センサスや社会調査に基づく3〜6歳児の生活現況の把握と問題点の抽出
  就学前教育の重点政策化と事業実施のための啓蒙・啓発・広報活動の実施
就学前教育プログラムの実施
  子どもの現状や保護者のニーズ゛に即した就学前教育カリキュラム(教育要領、保育指針等)の開発ないし改善
  教育計画に基づく就学前教育施設(幼稚園、保育所、託児所等)の整備
  管理マニュアルの整備や住民参加の促進による施設維持管理能力向上
  需要予測に基づいた、十分な知識と技能を有する幼稚園教諭の育成・確保と継続的な研修の実施
  「子ども中心」の教育方法を基にした教育指導書と教員向マニュアルの開発と整備
  子どもの成長と発達に応じた知育玩具、遊具、絵本等の教材教具の開発と整備
  就学前教育施設および教員の監督・評価・支援システムの構築
5.  教育マネジメントの改善
5-1  政治的コミットメントの確立
政策フレーム・ワークの構築
  国際的な合意・目標、国家の現状、国家開発計画の内容、国民のニーズ、他セクターの動向等を踏まえた教育セクター・プログラムの策定
  国家の現状、国民のニーズ、上位計画との整合性、従来の教育政策との連続性等を考慮した基礎教育政策の策定
  実施体制の整備状況と教育予算の動向を踏まえた基本戦略(ストラテジー)と実施計画(アクション・プラン)の策定
  援助機関、国内支援団体、NGO等との協力関係の構築
5-2  教育行政システムの強化
教育行政能力の向上
  各教育行政レベルおよび各部局の所管業務の明確化
  教育行政官の適材適所を念頭に置いた採用・異動・昇進等の人事の見直し
  業務遂行に必要な知識・技能の習得と意識・意欲の向上を目的とした教育行政官研修の実施
  教育法規、教育統計等の基本的な情報の整備
教育財政の改善
  国家財政の見直しによる教育予算の拡大
  民間セクターやNGO等との連携促進による民間資金の活用
  会計監査の徹底による予算運用の適正化
教育行政のスリム化
  所管業務の見直しに基づく各部局の統廃合と余剰人員の削減
  一部の所管業務の民間への委譲
地方分権化の推進
  中央から地方への各種権限の委譲
  地方自治体内での意思決定過程の簡素化
  地方教育行政官による教育計画の立案・実施とオーナーシップの醸成
  教育計画策定過程への住民参加によるパートナーシップの強化と地域特有のニーズに対する迅速な対応
  市民オンブズマン制度などによる地方教育行政への監視の強化
学校運営管理能力の向上
  校長研修の導入による学校運営管理能力の向上
  保護者やコミュニティの学校教育への積極的な参加による学校運営管理の適正化
  保護者、コミュニティ、企業等からの寄付金等による学校の自主財源の確保

 

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