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第1回国際教育協力懇談会議事録(案) | ||||||
平成13年10月4日(木)15:30〜17:30 | ||||||
霞が関東京會舘シルバースタールーム | ||||||
1 | 開催宣言(事務局) | |||||
2 | 池坊政務官ごあいさつ | |||||
池坊保子文部科学大臣政務官でございます。委員の皆様方には、お忙しい中この懇談会の委員をお引き受けくださり、本当に有り難うございます。今、大臣は予算委員会に出席しておりまして、終わりましたらすぐにお出ましだと思います。大臣に替わりまして皆様方にお礼申し上げます。 実は,この国際教育協力懇談会をすると聞きました時に、私は時間が許す限り最優先で会に出席したいと申し出たのでございます。数年前に、EUの会議に出席しました時イギリスの議員から,日本は東南アジアのリーダーなのだから、東南アジアの貧困の人々にあるいは教育が受けられない人々にもっと一生懸命援助をする、支援をする行動を起こしていただきたいというお話がでました。私は、その時それはもっともだと思いましたのと共に、今大学レベルでいろいろと交流がなされたりしておりますけれども、私は早い時分に子ども達の交流ができたらなと節に希望いたしました。 先日のテロを見ますと、20世紀は文明の衝突の時代でしたが、21世紀は文化の衝突の時代ではないかと思います。私は、小さい時から民族・宗教・国境あらゆるものが違っていること、違っているからこそ人間はその存在がおもしろいのであって、また尊重し合わなければならないということを、頭だけではなく肌で感じ取るといくことは、やはり小さい時の日々の日常生活・交流ではないかと思います。21世紀の世界の平和・対話を望むならば、それは教育の交流しかないないかと深く深く思っている次第です。 顔の見える援助ということでございますが、私はずいぶん昔からインドの子ども達に手助けをいたしております。一年間に一回ぐらい手紙が来たりいたしますと、私は自分の二人の娘だけでなく、世界のどこかで私を必要としている人間がいるのかなという幸せと充実感をこの時実感することができます。皆様方のご英知を頂きながら、21世紀に相応しい、そして東南アジアのリーダーとしての日本のあるべき援助・協力というのは一体どういうことなのか、そういうご審議を頂きながら、それを行政に反映したいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。本日は有り難うございます。 |
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3 | 委員紹介 | |||||
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4 | 座長互選 | |||||
昨年開催された前回の国際教育協力懇談会でも座長を務められた中根委員が選出された。 | ||||||
5 | 配布資料確認(事務局) | |||||
6 | 議 事 | |||||
事務局からの資料説明の後、自由討論に移った。 | ||||||
中根座長) | ||||||
今までの教育関係の協力は、ODAの中ではマイナーなものであり,これからいろいろお考えいただいてしっかりした基本方針を立てて行きたい。 | ||||||
篠沢委員) | ||||||
資料についてまたは資料から見える本懇談会の在り方についてであるが、資料3を見ると、我が国においては教育分野でこれだけの協力可能であるとなっているが、留学生の問題が入っていないがなぜか。 | ||||||
事務局) | ||||||
留学生は、分野というよりは協力の方法であり、この資料については我が国の経験と分野についてまとめてある資料であり、含まれていない。 | ||||||
篠沢委員) | ||||||
留学生の問題は、別のところで議論しようということか。 | ||||||
事務局) | ||||||
そういうつもりではない。 | ||||||
佐藤委員) | ||||||
手段として、留学生または技術協力の派遣・受入、無償・有償供与またはローン・寄付などそういう見地で見た場合の資料はあるか。 | ||||||
事務局) | ||||||
資料2の5ページに形態別シェアが分かるものが載っている。これは我が国政府の2国間ODA協力についての表である。他には民間または国際機関を通じて行うものもある。本懇談会は、「顔の見える」という意味でも我が国の2国間または民間と協力して行う協力について焦点を当てている。 | ||||||
佐藤委員) | ||||||
教育協力というのは、ODAでの開発途上国への教育協力が中心となっているが、ジェノバサミットなどを見てみると、雇用・環境問題について先進国対象の教育協力もあると思われるが、開発途上国に絞って検討するのか。 | ||||||
事務局) | ||||||
幅広く検討して頂きたく思っている。世界の流れは、教育協力、特に医療の教育協力の強化が話題の中心であり、来年のカナダサミットでも同様と思われる。また世界的に見ると、ユネスコをはじめとするダカール会議のような流れもある。大きな目で見た議論及び個別の議論も合わせた議論を行っていただきたい。 | ||||||
西尾委員) | ||||||
会議の議論すべき範囲を確認願いたい。ODAでも海外への協力教育を中心に話が進めらているが、国内の国際理解教育、例えば日本語が分からない多くの子どもたちが公立小中学校入学してきているという問題があるが、このような問題は国内の問題として本懇談会で議論していただけるようなものか。 | ||||||
川上委員) | ||||||
西尾委員が挙げられた開発教育の問題は、本懇談会でぜひ扱いたい。ただし、ここではあまり焦点を拡げないほうが良いのではないかと思われる。開発途上国への教育協力にある程度的をしぼり、成果を出す方がいいのではないかと思うがいかがか。 | ||||||
事務局) | ||||||
国内における国際理解教育についても、提言の形で出していただきたい。事務局としては、具体的な提言を出したいと考えている。年内は先に大きい議論をしていただき、方向を考えて頂きたい。年が明けて1月以降に具体的な各論について議論に移っていくのが好ましいと思われる。よって先に総論的な議論をしていただきたい。 | ||||||
中根座長) | ||||||
去年の懇談会では教員派遣を取り扱ったが、それは国内の問題であった。まず総論を考えるとしているが、各論も含みながら議論していけないだろうか。 | ||||||
事務局) | ||||||
異論なし。4月以降に国内システム構築等の環境整備ということで、地方自治体との連携など国内の問題に着手する予定である。しかし、このようなことを議論するためにも、やはり柱となるべき考え方となるものを総論として議論していただくことが必要と思う。 | ||||||
荒木委員) | ||||||
私は第2次ODA懇談会のメンバーだが、8月の中間報告で最大の特徴は、戦略的に日本のODAを考えていこうということである。今まではすべての要請において、自信のないことも引き受けていたと思うが、これからは予算等の問題もあり、今後は自信のあるものに絞って行っていくということである。教育問題については、まず国内に持っている資産・情報を十分に検討する必要がある。その上に立って、対外協力のあり方を検討するのである。よって国内の問題を議論することは、避けては通れないと考える。 | ||||||
矢崎委員) | ||||||
議論がずれるかもしれないが、本懇談会から出す提言の取扱はどのようなものになるのか。 | ||||||
事務局) | ||||||
具体的な提言を頂きたい。来年度の概算要求時に、行政的にできるものから着手していく。最終報告については、遅くとも6,7月には頂きたい。外務省のODA改革懇談会に対して、教育分野として何らかの提言を出していきたい。年内にODA改革懇談会は最終報告が予定されているので、それに間に合うようにこの懇談会での考え方を整理しておけたらと考える。 加えて、日本の教育経験を生かしたフラッグシップ・プログラムを4月までに検討し、固まれば国際版の米百俵として来年のサミットに打ち出せればと考えている。 |
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矢崎委員) | ||||||
私どもは、JICAのプロジェクトのもとで医療協力を行っているが、その経験から考えると、今までは開発途上国の拠点整備が中心であった。これからは人材育成が一番求められるキーワードである。そういう意味では、高等教育の部分に属していると思われるが、なかなか点が線になり、面になりという感じに拡がっていかないのが現状である。技術移転という視点だけでは、なかなか人が育たない。開発途上国の従来の文化があって、その古来の伝統と我が国が持っている良いものとがうまく融合して、人材育成のインフラができると高等教育・技術移転のための人材もうまくいくようになるのではないかと考える。初等中等教育の視点で協力していくということは、我々高等教育機関から見ても極めて重要ではないかと考える。どういう風に関わっていくべきかを本懇談会で考えていただきたい。 | ||||||
中根座長) | ||||||
ある国への技術協力に参画したとき、電気の意味が分からない場合があった。そういう意味では、初等中等教育の基盤を上げる必要がある。開発途上国の中でも初等中等教育が進んでいる国もあるとは思うが。 | ||||||
事務局) | ||||||
世界教育フォーラム(EFA)は、数値目標を設定しており、内容としては2015年までに識字率のアップ、男女の格差をなくす、初等教育レベルのアクセスを100%にするなどが謳われている。また、10月29日〜30日パリにおいてEFAのハイレベル会合があり、その場においても初等中等教育においてどのように取り組んでいくかを世界的に議論される現状である。 | ||||||
西尾委員) | ||||||
初等中等教育について、我が国には色々なノウハウがある。技術移転等で開発途上国に支援していく場合に、従来はハードの支援が多いが、今後ソフトを考えていく場合、特に教員派遣をする場合であるが、相手国の初等中等教育の免許を持っていない者が教壇に立つことができるのか。今までハードだけの協力で残念だと思っていたが、教員を派遣して教育活動が先方でできるのかという問題を慎重に調査しないといけない。 また各国には必然的な環境づくりが存在する。学校の教室に電源もないのに、教育の役に立つとしてビデオなどを送っていたことがある。支援をしていくということは、私たちでは常識になっている近代国家の文明を持って行くことになってしまって果たして良いものなのかということも議論しなくてはいけないと考える。 |
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荒木委員) | ||||||
青年海外協力隊は先方の教員等のアシスタントとなるのが基本的である。加えて、主たる知育教育の分野での協力に留まらず、色々な教育の支援方法がある。昨今、知的教育も重要であるが、エイズ、ファミリープランニングの教育、または成人教育として母親の識字率を高めるなど、教育するにあたり学校内で複合的にまとめ上げていくことが非常に重要であると言われている。日本の持っている経験を持ってしてどこまでそのような総合化を実施できるかである。 | ||||||
篠沢委員) | ||||||
年内の議論は大きな枠で議論して欲しいとの話であるが、教育協力の在り方については全体的なフレームは昨年の懇談会で作文した。これからの問題は中身である。やる気の起こるものを作っていかないと駄目である。何を基本に行うのが良いのであろうか。「読み・書き・そろばん」を考えるのか、それとも「読み・書き・そろばん」をする前に学校に来させないといけないので、学校に来させるための方策としての給食という協力手法もある。保健衛生という観点で考えると、貧しい国では学校に医者がいるとしたならば、学校に行く理由として非常にインセンティブになると思われるし、IT分野の協力としては、学校でコンピューターに触れられるとなれば、これも来る理由となる。学校に来させることが目的であれば、まず学校の施設というものも捨てたものではなく、施設があって、設備があって、それからいろんな給食等の環境の整備と言うところへ移っていく。 そこで教えるのは読み書きそろばんなのか、保健衛生的なものなのか、家庭科か、家族計画的なものなのか、焦点の絞り方を議論した方がいい。 荒木委員に一つ質問があるが、我々の援助が主体的になり、我々にとって自信のある教育分野を選択して相手に提示してあげることには賛同するが、問題は、今までの援助は要請主義の色合いが強く、相手のニーズはそこでわかるが、こちらが主体的に援助する場合には、相手のニーズとどう結びつくのかということ。相手のニーズ自体も定まっていないような国であり、ニーズ自体もこちらから教えてあげるということになるのか。 |
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荒木委員) | ||||||
基本的にはニーズを分析しなければいけないし、対話をしていかなければならない。その上にたって、討論にはいろいろなレベルがあるが、今まではトップレベルの話で要請してくるケースが多い。もう少しニーズを分析し、日本の方も主体的に分析して、そこは我々の得意分野が、相手にとって大切だということを確認した上で、日本の持っている得意分野と合体させる。そういう作業が重要になってくる。個々にいろんな特徴がある教育の在り方というのがでてくる。面倒だが、たとえばパイロットプロジェクトで一つ一つ実験的にやる必要がある。それがこれからの議論になってくる。 | ||||||
篠沢委員) | ||||||
一部権力者の思いつきでないニーズというのは何なのか。NGOとかいろんな意見を聞くということになるのか。 | ||||||
荒木委員) | ||||||
もちろん。アフリカなどではNGO,青年海外協力隊、グラスルートでやっている人が本当の地元のニーズ、本当の協力の実体というものをわかっている。そういう意見をどんどん採り上げなければいけなかったが、どちらかというと相手国の政府の意見を丸呑みにしていた傾向がある。いろいろ問題が出てきているので反省する必要がある。 | ||||||
篠沢委員) | ||||||
年内の大きな枠組みの議論では、去年の作文のやり直しみたいなことはしたくないのでお願いしたい。 | ||||||
川上委員) | ||||||
海外に長年いて現場を山ほど見てきたが、学校施設建設も高く評価されている面は忘れてはならない。途上国には教室がない、学校に来られないと言う現状があるわけで、教室ができた喜びを全身で表している子供たちが多い。先ほどの円グラフで施設が多いとなっているが、こういうものがアプリシエイトされている点も協調しておきたい。他に、経済協力はクリエイティブであるべきなので新しい分野の協力もやることには賛成。但し、今までやってきたことの重要性をわかってもらった上での新しい議論をしていきたい。 また、観念的な議論をしても仕方ない。教育協力も途上国協力になるべく焦点を絞った方が生産的。 |
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佐藤委員) | ||||||
去年の提言が一応あって進んでいるわけであり、知識協力が大事、技術協力が大事、留学生が大事という答えを書いてもODAの見直し懇談会へはいい作品とはならない。政策的にどこを充実するのかということに関しては、現状に対する評価が必要で難しい作業ではあるが、政策的に重点を置いて議論した方がいい。 もう一つは、これは主にバイの議論だが、ユネスコ等を通じたマルチの仕組みもあるので、ある部分はそちらに任せるというような整理の仕方もできるのではないか。 |
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事務局) | ||||||
資料1を見ていただきたい。当面目標にしたいのは、2の(2),具体的にODA実施の経験の方、日本の教育経験者のタスクフォースで具体的なフラッグシッププログラムを作りたいというのが当面の目標であり、基本方針もそれに向けて懇談会としてこういうものをやったらどうかという示唆をいただくという限りで基本方針を議論して欲しいということで、篠沢委員からもあったように、前回の議論を1からやり直す時間は全くない。 マルチの件については、参考資料「世界教育フォーラムについて」は、全体、マルチで議論が進む。これも委員の意見により議論の方向を進めればと思うが、すべてのものとということになると時間と議論がフォーカスされにくいということもあり、当面フラッグシップを構築するという観点からすれば、議論の中心は2国間としていただき、その関係でマルチをどうするかということになれば、事務局から十分説明させていただきたい。 |
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西尾委員) | ||||||
昨年まとめられた過去の施策について報告があるので、今回はその先に進むという姿勢が最初にあっていいのではないか。その中に基本的な問題があれば自由に議論していうということでよいか。前回報告書を勉強させていただく。 | ||||||
事務局) | ||||||
前回の報告書には、日本にどういう得意分野があるかということはふれられておらず、どういうところに主体性が発揮できるのかという精査はなかったので、そういうところが必要。 | ||||||
中根座長) | ||||||
前回はIT,青年海外協力隊への現職教員参加、大学教員の国際協力への参加、等々の具体的な問題を扱っている。今回の議論はこれにあまり拘泥しない方がいい。 | ||||||
荒木委員) | ||||||
基本政策を策定していくという大枠の話になるが、前回の提言は結構具体的であるが、教育協力に関する世界的なダカール宣言等の潮流を受け、なぜ教育と言う問題が出てきたのかという背景についてよく考えて報告をまとめていった方がいいのではないか。これは根本的には貧困を削減する、というところで、貧困の原因というのは、人間の潜在的能力が開発されていなからであり、潜在的な能力というのは、個々の生活の質等人間的な思考のアプローチが不足してるということからである。これは昨年ノーベル経済学賞を取ったアマティア・セン教授が言っていることであり、これはUNDP世銀等国際機関に浸透して、この論理で埋め尽くされつつある。教育が大事というのには2つあり、貧困のもとになる教育の欠如、それから福祉の問題、人間が人間らしく生活できない、子供の時から栄養が不足するために発育が遅れる、そのために人間の劣性化が行われる、という指摘があるので、こういう潮流に乗って教育問題を考えるというのが世界の大宗であるので、それの中で日本のODAもどう取り組むかというのが国際的に注目されている。それに対し文部科学省が方針を出していくということでないといけない。外務省は国別援助計画全体を考えていくが、セクター別の教育、保健というところはそれぞれの省庁と専管の機関と有識者が集まって考えていく、それを国別援助計画と合体させていくということが重要であるという方向にあると理解している。 | ||||||
矢崎委員) | ||||||
拠点の整備と専門家の派遣で協力しているが、それはそれで現地で歓迎されており効果も大きい。先ほど申し上げたように、社会のインフラの整備には、国によって違うが、教育というのが一番大事だと考える。1ページ目のODAに占める教育のシェアが6.6%というのは他のところに目がいって、インフラ整備に重要な教育の部分にいかなかったという反省をしていただき、この部分をまず広げる努力をしていただきたい。人材育成、教育をどうするかということに関しては、やはり外国から人を受け入れて教育すると同時に、免許証の問題があるが、人材を教育するという部分も援助形態別のシェアで増えていってもいいのではないか。 現地に行って思うのは、特に初等中等教育の場合は、その国の伝統、文化等があり、我が国で効果を上げたからといってそのまま出しても効果はない。よくその国の状態を把握し、本当に社会構成、文化、宗教等を包括的に理解した上でプロジェクトを立てないと、すれ違いが起こってくるかもしれない。高等教育では問題ないが、インフラ整備という意味ではそういう点も考えていかないといけない。 要望としては、教育分野のシェアを倍増してもらいたいというのと、留学生の輪を大きくして、他を減らすということではないが、可能であれば各省、国民の理解を得て、教育のための派遣の占める割合をのばしていただきたい。 そのためには我々は何ができるかという視点から議論を進めればいいのではないか。 |
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中根座長) | ||||||
6.6%というのは文部科学省分だけか。 | ||||||
事務局) | ||||||
DAC統計ベースで、我が国全体のもの。 | ||||||
篠沢委員) | ||||||
有償と無償に分けたら違うのではないか。JICA事業の教育分野の割合や、無償資金協力では多いのではないか。有償では、留学生を含めなかなかニーズがでてこないのでそれが足を引っ張っているのではないか。6.6という数字はそのとおりとしても。 | ||||||
事務局) | ||||||
留学生には有償無償全部含めている。 | ||||||
篠沢委員) | ||||||
おおざっぱに分けると国費留学生は無償援助と同じようなもので、そういう理解にたつと、無償援助にあっては教育分野のウェイトは多いのではないか。 | ||||||
荒木委員) | ||||||
学校建設費も入れているか。 | ||||||
篠沢委員) | ||||||
学校施設も入っている。ソフトだけでこれだけあれば立派だけれども。 | ||||||
川上委員) | ||||||
切り口をどこで切るかということがある。手段で考えれば、留学生受入、専門家派遣、施設整備等にブレイクダウンされる。その中で、我が国の特色を活かして今後何をするのかと議論するという切り口もある。しかしそれだけ議論したのでは十分でない。前提として、初等教育以前の段階で子供が亡くなるという貧困の問題、人口が多いので学校など行けないというような問題、女性は就学させるべきでないといった文化の問題、といった初等教育に至る前提のところ、人口、保健医療等の問題があるので、それを踏まえた上でやらないと不十分である。例えば、給食支援についてそれ自体に反対ではないが、半日で学校が終わるところが途上国には多いし、そのような現状がどこからくるのか、そういう視点も必要。教育だけ議論すると浮いてしまう面もある。 | ||||||
中根座長) | ||||||
外務省が国別援助計画を策定しているが、前提として国のレベルが分かれるのではないか。 | ||||||
川上委員) | ||||||
先ほどの6%については、数字のマジックの面があることも要注意。教育については受入、派遣等、JICAがやっているような事業は金額的に見ても大きくない。だから仮に今の事業の数字を倍にしたとしても、パーセンテージは6,7,8ぐらい。その数字を増やすためには学校を建てるとか、そうしないと数字は増えない。その辺は前提として踏まえる必要がある。 | ||||||
宮田委員) | ||||||
違う観点を持っている。初中教育というのは最貧国には大事だと思っているが、現状、日本の産業界は空洞化が起こっている。2次産業が弱くなっており、あまり弱くなるとODAの原資自身がなくなってくるので、日本の産業界を強くするためのODAというのがあってもいいのではないか。産業空洞化と言った場合、海外で資本ができて生産ができるようになっているが、どうしてそうなっているかと言えば日本の会社を退職した人が海外でノウハウを教えるようになっている。そうであればむしろ、システマティックに産業技術協力ということで教えてしまったらどうか。そうしないと日本の産業がだめになってしまい、そのときに教えようとしても教える人がいなくなってしまうという現象がおきてしまう。特に大量生産品に関しては、優位性があるうちに産業技術教育を行い、技術者が先生になることによって2次産業のノウハウや技術を日本に残し、実際海外で教えている人を千人単位でこちらに呼ぶことによって、ある町の活性化等にもつながることになり、ODA予算が戻ってくるという観点でできるのではないか。今だったら技術はたくさんある。高分子繊維産業では、昭和30年代は日本のトップの技術者がいた、現在そういう人は退職し、技術的には高度だが、コストの問題がネックとなっている。そういう人たちの再雇用の場にもなり、そういった技術を日本で保持し続けることもできる。物作りのための技術協力をするということは、将来にわたって日本の技術がデファクト・スタンダードになってくるということにもなり、強みが残る。2次産業を教育産業化するということで、日本ではmother industry, 研究開発と大量生産のプロセスをやり、後は教えてあげるということも必要では。それが回って小学校にもつながっていくこともあると思うが、単純に小中保健衛生だけだとリターンがなく、功利的に考えるとそういうことも一部やってもいいのでは。 | ||||||
荒木委員) | ||||||
ODA改革懇談会での大きなテーマのひとつに南々協力があり、その流れを作ろうとしているところで、それは先生の意見と合致するのでは。 | ||||||
宮田委員) | ||||||
日本が技術を持っているうちに日本にきていただくことが必要。南々協力も、UMAPの会議で単位互換の話をしている。数万ドル援助すると生活費になるので、タイにラオスの留学生を呼んで育てようということを実行しようとしている。 | ||||||
西尾委員) | ||||||
日本で労働人口が減っている中で、零細企業にも技術研修生を呼んで、技術を移転していき、自国に戻って幹部になっていくという道も教育の一環として重要視すべき。 | ||||||
宮田委員) | ||||||
ワーカーということではなくて、もう少し上のレベルで、ものづくりが考えられるようなところの方を呼ぶことが必要。3Kのところで呼ぶとかえってまずいことが。 | ||||||
西尾委員) | ||||||
弊害もあるかもしれないが、当該国であまり高度な教育ばかりを考えることはできない。 | ||||||
篠沢委員) | ||||||
そうした問題は経済産業省、厚生労働省、法務省等も加わって、日本の国益をどうするのかと言うことを政治主導でやるべきではないか。教育協力というとそこまでのことを議論する場ではないように思うが。 | ||||||
矢崎委員) | ||||||
事情が国によって違うので包括的に議論する難しさがある。我が国のニーズと相手国のニーズにあったものがあってもいいし、我が国から社会的な人口問題、感染症等の問題を念頭に置いたプロジェクトもあってもいいのでは。そういうときは教育のベースを整備するという意味もある。国によって違うので、難しい。 | ||||||
宮田委員) | ||||||
文部科学省は産業部分をやらないのか。 | ||||||
篠沢委員) | ||||||
そういうことではなく、メンバーに入るべきだとは思うが、違う場でやるべきでは。この会議でやっても実効性が担保できない。 | ||||||
西尾委員) | ||||||
これからは、この話題だからこの省庁というのではなく、横に連携することが重要。最終的なまとめとしては切るとしても、話題としては出てきてもいいのでは。 | ||||||
ここで遠山文部科学大臣が来られ、自由討論は一端中断した。 | ||||||
7 | 大臣ごあいさつ | |||||
今日は、第1回の国際教育協力懇談会が開催されるということで、ただいま予算委員会が終わったところですが、駆けつけました。先生方にはお忙しい中、懇談会の委員をお引き受けいただきありがとうございます。最初から参加したかったのですが、こういう形になり失礼いたしました。 前回の懇談会では私自身も委員をさせていただきましたが、当時の成果は教育協力の国内環境を整えるということでした。報告があったかと思いますが、そのときの議論をもとにして、青年海外協力隊への現職教員特別参加制度が始まりました。 昨今の、同時多発テロの問題等を考えると、そうした問題を根本的に解決するには、ものによる援助も大事ですが、やはり心の面、自分たち自身で自ら助け自ら立つということを自立的に考えてもらうために、教育というのが大事であるとつくづく感じております。 国際的な会議においても教育の重要性というものが取り上げられていると聞いていますが、そのような時代にこの懇談会の役割というのは重要であると考えます。 日本がこれまで築き上げてきた教育の実績というのは、いろいろ問題があることも確かではありますけれど、開発途上の国々がこれから教育について考えるときに、様々な英知をこちらから受け渡していくことができるのではないかと考えています。そのような視点から、是非ともまた内容の深い議論をいただきまして、私どもの施策に反映させていくことができますようご協力をお願いします。 |
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<まとめ> | ||||||
篠沢委員) | ||||||
去年の繰り返しでは意味がない。 | ||||||
川上委員) | ||||||
議論の切り口をrefineした上でやらないとまとまらない。 | ||||||
遠山大臣) | ||||||
自分自身のトルコでの経験から言っても、一緒に相手国のプログラムを作り上げていくことも大切。 | ||||||
佐藤委員) | ||||||
戦略的に取り組む必要。多様な視点が出たので整理していただきたい。マルチも併せて議論したい。 | ||||||
西尾委員) | ||||||
支援する国の自立性があればいいが、それ以前の状況の国に対してはどこまでやればいいか慎重に考えなければ。 | ||||||
荒木委員) | ||||||
学校の建設がODAの中心だった。それはそれで重要な役割を果たしているがそれと学校運営、教員育成とパッケージ化することが必要。中身のソフトは文部科学省の役割。教育協力をこれが今までなかったのでついつい建物を建てていたのがこれまで、これの反省にたって進める必要がある。 | ||||||
矢崎委員) | ||||||
我が国でも自主・自立の気持ちを持ってもらうことが必要というのが社会保障制度の流れになっているが、そういう気持ちを持ってもらうためには教育が基本になってくる。海外の途上国ではまだまだ建物を建ててもその後も日本の援助に頼ってしまうというところがあるので、自分で運営できるインフラを構築するには初中まで踏み込んだプロジェクトをやっていくことが必要。 | ||||||
宮田委員) | ||||||
日本をどういう風に強くするかということを同時に考え、戦略的にやることも必要。単純に差し上げるのではなく経済が活発化する方策も考えるべき。 | ||||||
8 | 事務連絡 | |||||
次回会合は、11月7日15時から17時までとする。 | ||||||
( 了 ) |