第5回国際教育協力懇談会議事要旨 |
第5回国際教育協力懇談会議事要旨 日 時 平成12年9月25日(月)11:00〜13:00 場 所 文部省別館202,203特別会議室 出席者 (委員)小林,斉藤,篠沢,遠山,内藤,中川,中根,星野の各委員 (説明者) 船津小樽商科大学教授,長谷川国際協力銀行開発業務部次長 (文部省) 遠藤学術国際局長,井上大臣官房審議官,木曽国際企画課長,小山内国際企画課教育文化交流室長 (オブザーバー) (文部省) 芝田留学生課長,今里国際企画課企画官,三谷留学生課課長補佐 他関係官 (法務省)入国管理局入国在留課事務官 (外務省) 大場経済協力局政策課課長補佐他 (厚生省)杉江大臣官房国際課国際協力室国際協力専門官 (農林水産省) 経済局国際協力計画課事務官 (郵政省) 高橋大臣官房国際部国際協力課課長補佐 (労働省)松原外国人雇用対策課課長補佐 (経済企画庁)高橋調整局経済協力第二課長 (国際協力事業団) 北村企画・評価部長 他 (国際協力銀行) 鈴木秘書室調査役,澤西開発審査部第一班副参事役,大竹開発業務部業務課副参事役 議 事(座長は◎,委員は○,説明者は□,事務局は△) 1.前回議事要旨(案)の確認 2.(1)事務局から、資料2に基づき外国人留学生等を対象とするインターンシップの推進について説明があり、引き続き、小樽商科大学船津教授から、資料3に基づき小樽商科大学における留学生インターンシップへの取組について説明があった後、質疑応答が行われた。 ○アメリカでは、学生が数ヶ月から半年くらいの期間企業において職場経験をし、職員と同様に職務に携わる制度がある。小樽商科大学では、毎週金曜日の午後に企業に留学生を派遣しているとのことだが、毎週1回4時間程度では業務理解がなかなか進まず、受け入れる企業の負担も大きいであろう。一定期間連日フルタイムで派遣するなど、企業にとってもっとメリットを感じられるような形にする必要があるのではないか。また、小樽商科大学のケースは交換留学生に対してのインターンシップ制度だが、国費留学生等長期に日本に滞在する留学生について、もっと腰を据えて職場に送り込んでいるような実例はあるか。 △現在のところそういった実例については把握していない。なお、夏休みなどの期間を除き、原則として、週28時間を超えて企業で報酬を得て働くためには、在留資格を「留学」から「特定活動」に切り替える必要がある。 □ドイツから来た留学生が、1年間の短期留学の期間中に企業と直接コンタクトをとってインターンシップを行っている事例があった。このように本格的な就業体験を行う場合には、大学の手を離れ、学生本人と企業とで直接取り決めを結ぶこととなる。国費留学生についても本格的な就業体験の希望は多いが、大学としてはあくまで留学の範囲内でしか対応できないというのが実情である。 ○資格外活動の許可を得ることで、在留資格の変更をせずにすむのではないか。 □制度上は一定の範囲内で可能であるが、あくまで大学での勉学に支障のない範囲内であることが求められており、欧米で行われているような本格的な形で実施する場合には留学の一環としてではなく、企業研修として行う方が望ましいのではないか。 △資格外活動としてアルバイトを行う場合、平成9年度までは1日4時間以内に限られていた。その後、週28時間の範囲で自由に時間を設定できるように緩和されたが、授業期間中においては月曜日から金曜日までフルにアルバイトを行うことはできない。 ○小樽商科大学の事例において、留学生のためのインターンシップを始めた背景の1つとして、大学における経済、ビジネス教育の変化ということが挙げられているが、これはどういうことか。 □現在、就職が厳しい状況にあり、また、経済も目まぐるしく変化する中で、世界的な傾向としては、学生が大学教育に対してより実践的なものを求めるようになってきている。このニーズに応えるために、小樽商科大学においては企業経験のある教官を採用するなどして実践的な教育に努めており、その一環としてインターンシップを始めたものである。 ○短期留学プログラムにおける英語による授業は日本人学生も受講することは可能か。 □短期留学プログラムは外国人留学生を対象にしたものであるが、小樽商科大学では、留学生と日本人学生の交流を進める観点から日本人学生も英語による授業を受けるようにしている。 ○ヨーロッパの企業で、在京のいくつかの工学系の大学の日本人学生を約1ヶ月間受け入れ、報酬を出しているところがある。 ○欧米諸国ではインターンシップが社会に根付いているが、日本ではこれまで、学校を卒業して企業に就職した者を対象として実務的な研修を行うことが一般的であった。日本においてもインターンシップをもっと進める必要がある。 ○フランスのルノーが、日本のいくつかの大学の学生をある程度長期間ヨーロッパの大学で勉強させた後、ヨーロッパの代表的な企業に派遣するという制度を間もなくスタートさせると聞いている。 ◎小樽商科大学の留学生を金曜日の午後だけ受け入れることについて、企業側はどのように考えているか。 □企業側は一定期間毎日来てもらった方が望ましいと考えている。一方、大学としては月曜日から木曜日までは授業を行う必要があり、継続的に学生を企業に派遣することには無理がある。 (2)国際協力銀行長谷川開発業務部次長から、資料4に基づき円借款による人材育成支援について説明があった後、事務局から資料5に基づき、開発金融による教育協力について説明があり、引き続き質疑応答が行われた。 ○JBICの円借款による留学生派遣支援事業における学生、累計で約1万人のうち、日本への留学生は約4千2百人ということだが、何か制約があるのか。また、残りの約6千人のうち大部分は国内留学生ということだが、これはどういうことか。 □留学生支援事業は、最初は世界銀行との共同でインドネシアの公的部門を支援する事業から始まった経緯があり、必ずしも長期間の外国留学を推進するためのものではなかった。したがって、当時は国内留学が多く、一部の学生だけが日本へ留学した。最近は、ほぼ100%日本に来るようになっている。 ○4千人の日本への留学生が帰国した後の動向について、追跡調査しているか。 □正確なデータは持っていない。 ○円借款により教育面の支援を行うことは、大変結構なことだと考える。教育への支援のうち、学校建設や教材供与といったハード面だけでなく、ソフト面の支援にも一層力を入れていってほしい。また、受け入れる大学側の問題点があれば教えてほしい。 □途上国の開発を進めるためには、学校建設等のハード面ばかりでなく、教員養成等ソフト面での協力も大変重要であると認識している。また大学側の問題点としては、日本語教育の問題、教育人材の育成の問題点等があるようである。 ○第3回の本懇談会の資料5における国費・私費等別留学生受入数のうち、「外国政府派遣留学生」の中に、JBICの制度による留学生が含まれている。マハティール首相の「東方政策」を受けて野村駐マレーシア大使がJBICの制度を推進したこともあり、マレーシアが大変熱心にこの制度を活用している。しかし、一般的に日本から借金をしてまで留学生を派遣する必要性を途上国が感じているか疑問である。 △国立大学では教官の定員事情が厳しく、留学生の問題に熱心な先生ほど負担が大きいことなどが大学側の問題点として挙げられる。大学の受入体制の整備が今後の課題である。 ○途上国では自国の言葉が文字になっていないところもあり、英語がわからないと教材の内容を理解できないケースがある。自国の言葉で学習出来るよう我が国が支援することができないか。 ◎そのような支援については、ODAの無償援助で取り組んでいただきたい。人材育成支援促進のための特別金利0.75%という率は、JBICの円借款の中では最も低いということだが、人材育成支援として考えた場合には高いのではないか。 ○これ以上金利を下げると無償援助と差がなくなってしまう。 □世界銀行では金利0%の場合であっても、手数料として0.75%課していることから、0.75%の利率は下限の目安であると考えられる。 ○教育案件の評価についてはどのように取り組んでいるか。 □教育案件の評価はこれまでも実施してきているところであるが、教育の投資効果という観点からの評価についてまではJBICでは行っていない。 ○教育について習熟したコンサルタントを今後どう育成していくのか。 △当面、財団法人等に教育関係のコンサルタント業務を行わせることが考えられる。 ○文部省がインターンシップを推進していることは大変結構なことであり、非常に心強い。なお、JICA予算でも、平成11年度から日本の大学等に長期で研修員(留学生)を受け入れている。昨年度は30名受入実施、今年度は100名受入予定である。これら留学生のインターンシップ実施についても今後検討したい。日本人学生については、JICA各機関において既にインターンとして受入を実施している。 ○インターンシップの推進については、外国人だけでなく、日本人学生も含めて考えていくべきである。 ○国際貢献を積極的に行っている企業を国内でも賞賛していく仕組みを作り上げることが必要である。企業側としては学生をインターンシップ等として受け入れていくことについてどう考えているか。 ○国際協力を行うことにより、企業自体や社員の国際化に役立つというメリットがある。実際に、大企業だけでなく数多くの小規模の企業においても国際協力が行われている。このような企業の活動を経済同友会としても一層推進するようにしたい。 ◎文部省として、インターンシップの問題を今後どう進めていくのか。 △今後、官公庁を含めて推進していくよう関係機関にお願いしていきたい。ちなみに中曽根前大臣は、留学生をインターンシップとして企業に派遣することで付加価値を生み出すことができるので、本懇談会で取り扱ってもらいたいと考えておられた。 △次回は、10月16日(月)14時に開催する予定である。 |