令和7年4月18日(金曜日) 10時30分~12時00分
文部科学省3F1特別会議室またはオンライン
構成員 石井 由梨佳
構成員 榎本 麗美
構成員 金子 新
構成員 佐藤 智典
構成員 関 華奈子
構成員 高鳥 登志郎
構成員 高橋 忠幸
構成員 竹森 祐樹
構成員 永井 雄一郎
構成員 中須賀 真一
構成員 永山 悦子
構成員 御手洗 容子
構成員 若田 光一
研究開発局長 堀内 義規
研究開発局審議官 古田 裕志
研究開発戦略官 原田 大地
研究開発戦略官付 課長補佐 川端 正憲
(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA))
理事 松浦 真弓
理事補佐 川崎 一義
有人宇宙技術部門事業推進部 部長 小川 志保
有人宇宙技術部門宇宙環境利用推進センター センター長 白川 正輝
有人宇宙技術部門有人宇宙技術センター センター長 永井 直樹
国際宇宙探査センター センター長 山中 浩二
国際宇宙探査センター事業推進室 室長 伊達木 香子
有人宇宙技術部門事業推進部 参与 松本 邦裕
有人宇宙技術部門事業推進部 計画マネージャ 落合 美佳
有人宇宙技術部門事業推進部 計画マネージャ 宮崎 和宏
【川端補佐】 定刻になりましたので、ただ今より我が国の地球低軌道活動と国際宇宙探査の取組に関する検討会を開催いたします。 本日は、定足数13名のうち会場のご出席は10名、オンラインでのご出席は3名の13名全員ご出席となっております。 本日の会議は12時までの1時間半を予定しておりますところを、よろしくお願いいたします。本日は、また全議題公開での実施で、YouTube配信をしております。続きまして、事務局の人事異動がありましたのでご紹介いたします。4月1日付で研究開発局審議官が変更となり、新たに古田が着任しております。古田審議官から一言ごあいさつを申し上げます。
【古田審議官】 4月から担当審議官になりました古田です。どうぞよろしくお願いします。
【川端補佐】 ありがとうございます。また、初の検討会の開催となりますので、研究開発局長の堀内より、一言ごあいさつさせていただければと思います。お願いいたします。
【堀内局長】 研究開発局長をしております堀内です。よろしくお願いいたします。座ってごあいさつさせていただきたいと思います。今、この宇宙分野で今日のテーマとしています地球低軌道活動という言い方については、少し疑問ということで、お伺いしたいと思っております。また、国際宇宙探査の取り組みを、以前と比べてより一層重要なものだと考えられていると思っていただければと思います。なぜかと言いますと、ISSにつきましては、長く日本人宇宙飛行士も何人も活動し、成果を上げてきているところですけれども、大きな節目を迎えつつあります。2030年には今あるISSが退役をして、新しく民間事業者が所有管理する宇宙ステーションに移行します。われわれはポストISSと呼んでおりますけれども、それに向かって日本としてどのように関わっていけばよいか、どのようにより多くの成果を世界の関係各国と共に上げていけばよいかということをちょうど考えていく段階にあるということでありまして、非常に重要なテーマだと思っているところです。これまでもそういった変革があるということで、文部科学省の国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会でいろいろご議論をいただいているところでありますけれども、その流れも踏まえて、今日もご議論をいただければと思っております。科学研究やイノベーション創出機能を強化するということで、地球低軌道活動はこれまで宇宙ということで期待はされていたということでありますけれども、これからそれをしっかり国の力だけではなくて、民間の力も使って国民の期待に応える成果を確実に上げていく、実現していくことに向けて色々な取り組みをしていかなければいけないということで、より具体的な活動の課題を考えていかなければいけないと思っております。現在、ISSには大西宇宙飛行士が滞在しておりまして、そこでもミトコンドリアを使って細胞がどのように重力を感知するのかといった実験であるとか、微小重力環境の中でシリコンゲルマニウム結晶がどのように育成するかであるとか、またステーションの中で燃焼がどう進むかというような、重力をテーマとしてどのようにサイエンスとして考えたらいいかというところ、低重力の環境の中で行える基礎実験などを試みているとこです。そういったものをしっかり踏まえながら、この宇宙空間でのいろいろな活動という価値を見極めていくということが大事なのかなと思っております。これからご議論を賜り、しかるべきところに考え方をまとめて打ち出していければと思っておりますので、今日もよろしくお願いしたいと思います。以上です。どうもありがとうございました。
【川端補佐】 堀内局長、どうもありがとうございました。では、まず議題(1)としまして、本検討会について、研究開発戦略官の原田よりご説明いたします。
<原田戦略官より資料01-1-1に基づき説明>
【川端補佐】 ありがとうございます。次に、事務局から、本日ご出席の13名の構成員をあいうえお順にご所属、お名前をご紹介いたします。
まず、上智大学法学部教授 石井由梨佳さまでございます。
【石井構成員】 石井です。どうぞよろしくお願いします。
【川端補佐】 続きまして、宇宙キャスター日本宇宙少年団東京日本橋分団分団長 榎本麗美さまでございます。
【榎本構成員】 榎本麗美と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
【川端補佐】 続きまして、京都大学iPS細胞研究所教授、筑波大学医学医療系臨床医学域教授 金子新さまでございます。
【金子構成員】 金子新と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
【川端補佐】 続きまして、一般社団法人日本経済団体連合会宇宙開発利用推進委員会企画部会長 佐藤智典さまでございます。
【佐藤構成員】 佐藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【川端補佐】 続きまして、東京大学先端科学技術研究センター教授 関華奈子さまでございます。
【関構成員】 関華奈子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
【川端補佐】 続きまして、日本製薬工業協会研究開発委員会専門副委員長創薬研究部会長 高鳥登志郎さまでございます。
【高鳥構成員】 高鳥です。よろしくお願いします。
【川端補佐】 続きまして、東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構特任教授 高橋忠幸さまでございます。本日はオンラインでご出席いただいております。
【高橋構成員】 高橋です。よろしくお願いいたします。
【川端補佐】 続きまして、日本政策投資銀行イノベーション投資部長 竹森祐樹さまでございます。
【竹森構成員】 竹森でございます。よろしくお願いいたします。
【川端補佐】 続きまして、日本大学国際関係学部准教授 永井雄一郎さまでございます。
【永井構成員】 永井雄一郎と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
【川端補佐】 続きまして、東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻教授 中須賀真一さまでございます。なお、中須賀さまには、本検討会の座長を務めていただきたいと思います。中須賀先生、どうぞよろしくお願いいたします。
【中須賀構成員】 はい。中須賀です。どうぞよろしくお願いいたします。
【川端補佐】 続きまして、毎日新聞論説副委員長 永山悦子さまでございます。
【永山構成員】 永山です。どうぞよろしくお願いいたします。
【川端補佐】 続きまして、東京大学大学院新領域創成科学研究科基盤研究系物質系専攻教授 御手洗容子さまでございます。本日はオンラインでご出席いただいております。
【御手洗構成員】 御手洗と申します。よろしくお願いいたします。
【川端補佐】 最後に、民間宇宙飛行士 若田光一さまでございます。本日はオンラインでご出席いただいております。
【若田構成員】 若田でございます。よろしくお願いいたします。
【川端補佐】 以上、構成員の皆さま、ありがとうございました。
それでは、これより中須賀座長に進行をお願いしたいと思います。中須賀座長、よろしくお願いいたします。
【中須賀座長】 それでは、座長を務めさせていただきます。皆さん、ぜひ積極的にご意見いただければと思います。よろしくお願いいたします。
最初の議題(2)ですけれども、国際宇宙探査及びISSを含む地球低軌道を巡る最近の動向について、事務局よりまず説明をよろしくお願いいたします。
<原田戦略官より資料01-2-1に基づき説明>
【中須賀座長】 はい、ありがとうございました。それでは、ただ今の事務局の説明に関しまして、ご質問、ご意見がございましたら、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。じゃあ、永山構成員、どうぞ。
【永山構成員】 ご説明ありがとうございました。アメリカの動向についてなんですけれども、トランプさんがいきなり火星とか言い出して、どうなることやらと思っていたんですけれども、その中で、まだ報道ベースの情報でしかないと思うんですけれども、NASAの人員ですとか予算の削減という、いわゆるいろいろな効率化の一環なんだと思いますけれども、そういった動きが報じられているんですが、その中で例えば日本にとって懸念事項ですとか、何か関係してくるようなことが今後考え得るのか、その辺りの何か情報を把握していらっしゃったら教えていただければと思います。
【原田戦略官】 ありがとうございます。アメリカのNASAとの関係については、当然JAXAが密接にさまざまなコミュニケーションをさせていただいております。
JAXAのみならず、アメリカ政府全体とも日本政府との関係ではさまざまなチャンネルで意見交換をさせていただいているところです。現時点でNASAの予算に関していろいろ報道されているところではありますが、アメリカの予算編成などの過程は、ご承知のとおり、大統領予算教書の発表のみならず、アメリカ議会のほうで実質的な予算審議も行われると承知しておりますので、現時点では確定したものではないという認識でございます。
ところで、いろんなチャンネルを通じて意思疎通を図りたいと思っておりますが、われわれとしては当然、日米宇宙協力が相互に大事だと思っておりますので、その意思をあらゆるチャンネルを通じて発信し続けるとともに、引き続き、現在の米国政権下での宇宙協力を着実に進めたいと考えているとこです。
【中須賀座長】 よろしいでしょうか。ほか、いかがでしょうか。関構成員。
【関構成員】 ご説明ありがとうございます。
宇宙戦略基金に関してなのですけれど、12ページ目と13ページ目のところで、赤枠で探査等のところだけ囲われています。技術的には軌道上サービスの、例えば空間自在移動の実現に向けた技術のOTVなども実際に探査を進めていく上で非常に重要な技術だと思うので、この辺りはメインではないかもしれないですが、ぜひ注視してシナジーを考えられるといいのかなと思いました。
コメントです。以上です。
【中須賀座長】 何か、よろしいですか。
【原田戦略官】 ありがとうございます。宇宙戦略基金、これは、ご承知のとおり、国が戦略的な日本として大事な技術を育てるといった意味でございますので、日本としてもOTV技術が戦略的に活用できるようになれば、さまざまな面で、地球低軌道のみならず、あるいは月探査のみならず、さらにそれ以遠といいますか、深宇宙探査などにおいてそういった技術が活用できる形でわれわれとしてもやっていきたいと考えております。ありがとうございます。
【関構成員】 ありがとうございます。宇宙戦略基金は民間を効果的に巻き込む取り組みだと思うので、そこから出てきた技術のシーズとかをうまく使えるとよいと思いました。ありがとうございました。
【中須賀座長】 ありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。はい。金子構成員、お願いします。
【金子構成員】 ライフサイエンスの世界では、国際協調というと本当にワールドワイドな感じなんですけども、このアイザックマンさんのご発言を拝見してますと、月面でのプレゼンスとか、中国よりも先に月に行くことをコミットしたいということで、日米欧を中心とした枠組みとまた別の枠組みで宇宙開発というのがなされているのかなという印象を受けたんですけど。その中国を中心とした取り組みの概要みたいなのは、もう本当に簡単でいいんですけど、どんな感じになっているんでしょうか。
【原田戦略官】 中国の宇宙の取組というご指摘ですか。
【金子構成員】 そうです、はい。先に行くことにコミットしたいとか、幾つかそういう発言もある中で。
【原田戦略官】 中国が、今何を、どんな感じかについて、すいませんが、今日は資料をご用意できていないのですが、中国は、嫦娥(じょうが)計画という月探査計画をやっておりまして、具体的な時期はうろ覚えですが、確か昨年に嫦娥6号が月の裏側からサンプルリターンを行い、言葉は難しいんですが、相当進んでおります。嫦娥5号は月の表面において月のサンプルを取ってきて、それを地球に帰してきている状況です。大阪・関西万博でも中国館ではそういった嫦娥のサンプルを展示すると聞いておりますが、嫦娥5号、6号が行われています。
また、月面に国際的な基地を造るという構想を持っており、確か国際月面研究ステーション、ILRSだったと思いますが、こういった月面に国際的な研究のための基地を造るといった構想も持っており、具体的には今は十数カ国の参加国があるなど、かなり月面に関して開発を進めているといった状況になっています。
【金子構成員】 ありがとうございます。すいません。追加で、センシティブな話になっちゃうかもしれないんですけど。その交流というのはどの程度あるもんなんでしょうか。
【原田戦略官】 何と言いますか、オフィシャルな交流といいますか、例えばJAXAと中国の宇宙機関との交流は、これは現時点ではオフィシャルなものはございません。他方で、恐らくさまざまなレベル、といいますのは、政府系の研究機関ではないアカデミアの方が、いわゆる学術研究の一環としての様々な交流は、当然、中国の研究者の方と日本の研究者の方とは何らかのものがあるように、今、具体的に手元に情報はないのですが、あると思います。しかし、JAXAと中国の宇宙機関との間における例えば月面とか低軌道における具体的な協力事業というのは現在ないところです。
【金子構成員】 ありがとうございました。
【中須賀座長】 ほか、いかがでしょうか。はい、お願いします。
【竹森構成員】 ありがとうございます。私も基金の件でコメントをさせてください。関先生がおっしゃっていたことがまさに同意なんですけれども。
基金の表、13・14ページを見て、採択される件数を全部足し込むと全部で60件とか80件とかになろうかと。第一期も絡めると、これに関して100件とか、もう相当な数が多分ご選択されていて、今は各個別に活動されているのかなと。これらの幾つかに関わっているのであれなんですけれども、かなりスタンドアロンで、個別に相当深くやっているんですけど、やっぱりそういうのをいろいろ組み合わせていきながら、連携をしながら、まさにその一番の究極の実証の場がこの探査の場ではないかなというふうに思っています。
なので、どう組み合わせるか、どう連携するかというのはいろいろあると思うんですけれども、こういうのをいろいろ組み合わせる実証の場というか、それを発現する場として、まさにこのISSというか、この先の探査の場があるかなと思うんので、ぜひこの基金のいろんな事業も組み合わせた成果をここで表現するとか、何かそういう発想も欲しいなというふうに思いました。すいません。意見でございます。
【中須賀座長】 何かよろしいですか。
【原田戦略官】 そうですね。そこは当然、関構成員と竹森構成員からもご指摘いただいたとおり、いろんな基金で育った技術をしっかり低軌道とか、月探査、あるいはそれ以遠に関しても活用していきたいというふうに考えております。
第三期以降に関して、どういったやり方があるかというとこも、またいろいろ関係者とも相談していきたいと思います。すいません、第三期があると予断を持って言えるわけではないので、仮にそういった機会があればというふうに考えております。
【中須賀座長】 今のご指摘、すごく大事だと私は個人的にも思っていて。特に今はいろんなところで第一期がスタートしましたけれども、これを横通ししていくと。これを組み合わせることでどんな価値を生むのかと、そこをやっぱりしっかり考えていかなきゃいけないです。それぞれがばらばらにやって、例えば部分的には競合するようなものになってしまっては意味がないと。ちゃんとつなげ合うことによって、大きな宇宙開発利用の世界を展開できていけるような、横通しをしっかりやらなきゃいけない。この横通しのファンクションはやっぱり政府の中でしっかり担っていく必要があるだろうということで、これは文科省だけではなくて、経産省とかほかの内閣府、総務省を含めて、みんなで横通しの委員会にするのか、何か分かりませんけれども、何らかのファンクションを持っていく必要があるとすごく強く思っておりますので、ぜひご検討いただければと思います。
【原田戦略官】 ご指摘いただいたとおり、内閣府とか経産省、総務省ともいろいろコミュニケーションをしていきたいというふうに思います。ありがとうございます。
【中須賀座長】 ほか、いかがでしょうか。永井構成員、どうぞ。
【永井構成員】 ありがとうございます。先ほどアメリカと中国の動向等を教えていただいたところかと思いますが、ヨーロッパについてお伺いできればと思います。Strategy 2040がこのたび発表されたということで、ESA、ヨーロッパとしては地球低軌道と月、火星、それぞれについて独自の能力と役割を拡大していくという方針を出されたということですが、ポストISS時代において、ヨーロッパの地球低軌道、特にステーションとの関わりというのは、このStrategy 2040の中でどういった方針が出されているのか、もし情報等がございましたら教えていただければと思います。
【原田戦略官】 ESAとも、われわれ、あるいはJAXAも含んで、さまざまなコミュニケーションをさせていただいているところです。その具体は申し上げづらいものの、公式的なこの文書に関しては、割と大くくりなものになっているので、具体的な彼らの構想というのがどこまで明らかになっているのかは文書をより精緻に分析する必要があると思います。基本的なラインとしては、割と日本と似たアプローチを取るのだろうと考えております。アメリカのCLDプログラムでは、アメリカの民間の宇宙ステーションが打ち上がるのに対し、日本もそれに対するアプローチという形で地球低軌道を活用し、アメリカとの連携という形でやろうと思っていますが、恐らくヨーロッパも基本的にはそのようなアプローチを考えているのだろうと思っています。他方で、恐らくそれだけでなく、恐らくさまざまなオプションがESAの加盟国の中でもあるのだろうと思っています。
ESAはESAで、いろんな将来の地球低軌道活動における企業に対するアプローチ、いわゆるRFIのような活動もされているようですが、それは国際的には開示されておらず、ESA域内の企業のみに開示されているといった情報があります。基本的にはわれわれと似たようなアプローチを取っていると考えています。
すいません。JAXAのほうでもし補足とかがあればと思います。
【JAXA松浦理事】 Strategy 2040の中に、具体的にどう書いてあるかはきちんと把握してないんですけれども、ESAとしても日本と同様に低軌道を引き続き利用していきたいと、そういう話をしているのは承知しています。
【永井構成員】 ありがとうございます。
【中須賀座長】 はい、ありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。じゃあ、高鳥構成員、どうぞ。
【高鳥構成員】 宇宙探査で、月探査、火星探査、今後進んでいく時に、国際連携というか国際協調というのは重要だとは思うんですけども、中国は月の裏に行ったりしていますし、米国もそれなりにイニシアチブを取ってやっていきたいということだと思うんですけども、その辺りの国際間の探査におけるルール作りというのは進んでいるんでしょうかといったところが質問になります。
【原田戦略官】 ありがとうございます。JAXAからも補足があるかもしれませんけれども、宇宙関係のルールに関しては、多分、石井構成員のほうがお詳しいかもしれませんが、国連のCOPUOSといわれる国連宇宙活動平和委員会といった国際場裏があり、そういったところでさまざまな議論がされていると承知しております。
他方で、月探査のような話は若干新しい分野ですので、まさに今議論が進行中かと思っております。
国連のようなマルチというか、かなり多数による国際的場裏といった場面のみならず、アルテミス合意という米国が主導するアルテミス計画の下で運用され、日本も参加しているもの、これはルールというか国際的な条約ではないのですが、そういった文書に合意してサインをする参加国が今は50カ国以上増えてきています。そういった中で、日本としても例えば月のデブリ問題のようなものをやると宣言をしており、そういった意味での月探査に関わるルール作りといったものは、アルテミス合意国の中での取組で進んでおります。アルテミス合意であった議論はそこだけで閉じるのではなく、そこで作った月のデブリ問題を、恐らく最終的には国連のCOPUOSの場にも持っていった上で、それでグローバルスタンダードのようなルールにしたいというふうに考えているとこというふうに認識しております。
【高鳥構成員】 ありがとうございます。そのルール作りの中には、例えば月の水とか、いろんな資源の所有権というか領有権なんかも含めて話し合われていると形なのか。要するに、早い者勝ちで、そこのとこは全部自分たちが取っちゃうというような、そういったことが起こらないのかどうかというのが、以前から気になってはいたところなんですけど。
【原田戦略官】 ありがとうございます。日本は宇宙資源法という法律がございまして、それに基づき資源採掘権を内閣府が認可するという形で、資源に関して事業者の所有を認めるような法制度を持っております。
似たような制度はルクセンブルグとアメリカ、UAEも持っております。他方で、これに関しては国際的な透明性を確保してやっております。いわゆる宇宙条約においては、各天体上における国家主権のようなものは認められないといった状況になっているのですが、ただ領域を排他的に占有、支配するのではなく、そこにある資源に関してはある程度自由に活用できるのではないかという考え方の下、ルクセンブルグであるとかアメリカであるとか日本も、そういったルールを持って、国際的な透明性を確保しながら、そういった取組もルールとして有しているところです。
【中須賀座長】 はい。よろしいですか。じゃあ、榎本構成員、どうぞ。
【榎本構成員】 お話にありましたトランプ大統領の就任演説で火星に送り込むという話もあったり、あとアイザックマンさんがNASAの長官にと。これは普通に公開されているニュースだと思うんですけれども、やっぱりまだ知らない方がすごく多いなというふうに私自身は感じています。
先日も宇宙ビジネス、宇宙開発の番組を作りたいという相談があったんですが、この辺り調べても分からないというような意見がありました。なので、これからの取り組みに関しても網羅的に、さっきお話にも横通し、つながりが大切というお話ありましたけれども、情報も網羅的につながりを持って伝えなければ届かないなというふうに常々思っておりますので、そのようにアウトリーチしていけばいいのかなというふうに思いましたので、意見させていただきます。
【原田戦略官】 ありがとうございます。まさにこういった検討会とか、例えば審議会など、こういった場というのは、構成員の先生のご意見をいただくとともに、実は国民の皆さま、社会にも知っていただくという場になると思っておりますので、こういった場も通じましてわれわれ政府としても発信して、あるいは当然JAXAもそういった広報・周知も、ともに行っていきたいと考えております。
【中須賀座長】 去年のISSの小委員会の中でもいろいろ議論あった中で、やはり例えば低軌道利用をもっとムーブメントにしていかなければいけない。このムーブメントという言葉が出てきて、こういった形でただ研究者がやるんじゃなくて、国を挙げて何かそこに向かってやると、こういう雰囲気をつくることで利用がさらに広がるという世界をつくっていかなきゃいけないなと、こういう議論をしました。
その観点でいうと、ほんとにマスコミなんかも一緒になってそういったことを広報していくという、この辺もすごく大事なアクティビティーではあるというふうに思いますので、ぜひ考えていきたいなと思います。ありがとうございました。
若田さん、どうぞ。
【若田構成員】 ありがとうございます。このISSを含む地球低軌道を巡る最近の動向という観点からはコメントをさせていただきたいのが、インドの動向に注視する必要があるのかなというふうに思います。
まもなく国際宇宙ステーションにもインド人宇宙飛行士が搭乗するということで、やはりこれまでアジアの唯一のISSの参加国である日本に比べて、またインドが有人宇宙活動、特に地球低軌道でのプレゼンスは高くなってくるのかなというふうに思いますので、インド独自のガガンヤーン有人宇宙船、それから将来構想として地球低軌道の宇宙ステーション等を計画が進んでいるというふうに理解しておりますので、やはり各国の動向を見る中で、アジアの中でも特にインドの動向を注視していく必要があるかなというふうに思いましてコメントさせていただきました。以上です。
【原田戦略官】 ありがとうございます。インドも宇宙開発、有人探査、有人飛行あるいは月探査を含めて非常に熱心な国であると認識しています。
外務省のホームページには掲載されておりますが、4月1日に日本政府とインド政府の間で日印宇宙対話を開催しておりまして、その中でもインドの関係者とわれわれの日本政府で、私ども文科省も参加をさせていただきましたが、そこでコミュニケーションをさせていただいております。その中でインドはかなり熱心に、早ければ来年にも有人飛行もやるということで、仮にこれが実現すれば世界で4番目の単独での有人飛行成功国になるということになります。日本やヨーロッパは、アメリカやロシアのロケットを使ってこれまで人が宇宙に行っておりますが、インドが自力で行くといったことは、相当力を入れているということでございます。インドも日本にとって重要なパートナーだと認識しております。
若田構成員の低軌道のご指摘もありましたが、月探査に関しましては、インドとはLUPEXという極域の月探査に関する共同事業も現在進めているところで、JAXAとインドの宇宙機関であるISROの協力案件プロジェクトがありますので、そういったものも通じながら、また、インドは同志国、like-minded partnerですので、引き続きインドともしっかりと協力していきたいと考えております。
【若田構成員】 はい、ありがとうございます。まさにLIPEXでやはり協力関係を築いてきておりますので、地球低軌道に関しても、産業界も含めてインドとはウィンウィンの関係が構築できる可能性があるのかなというふうに思いまして、コメントをさせていただきました。ありがとうございます。
【中須賀座長】 はい、ありがとうございます。じゃあ、どうぞ、お願いします。
【石井構成員】 1点、今日ご説明いただいた中で出てきてないことについてコメントしたいと思いました。先ほどルール形成のお話あったんですけれども、やはり長期的に見た時に大事になってくる要素の一つが持続可能性ということなのかなということです。今はどんどん開発していって、それでその産業をつくっていきましょうということですけれども、それが何十年と続いていった時に、ちゃんともつのかというところも考えつつやっていくというのがこれまでの流れだと思いますし、今、行っている事業についてもその要素が必要になってくるのかなということです。
例えば、月探査、火星探査においても、その探査を行うことがその天体の環境に影響を与えないようにしましょうということで惑星保護基準がつくられていますし、また地球低軌道の活動というのは長期的に見れば地球自体の環境にも影響を与えますので、それが悪影響にならないようにということも必要なのかなということです。
ですので、今日お話しいただいたところは、もちろん積極的に進めていくところだとは思うんですけれども、それが環境に与える影響ということも考えていくなど需要があるのではないかということでコメントさせていただきます。以上です。
【中須賀座長】 はい。よろしいですか、何か。
【原田戦略官】 ありがとうございます。持続可能性の話は、世界的にもいろんな国でテーマになっております。日本でも内閣府などがデブリの対策基準のようなものも策定しておりますが、そういったことも国際的な協調の下でしっかりやっていく必要があると思っております。コメントありがとうございます。
【中須賀座長】 はい。それじゃ、そろそろお時間ですので、この議題は終わりにしたいと思います。ご質問、ご意見、ありがとうございました。
それでは、続きまして議題(3)に入ります。
昨年来、国際宇宙ステーション国際宇宙探査小委員会では、わが国としてのポストISSを見据えた地球低軌道活動の確保のためにJAXA、それから産業界、アカデミアの関係者からのヒアリングなどを通して、小委員会において議論がなされてきました。
本日は、この昨年来やっております小委員会における議論の内容について、本検討会の構成員の皆さまにご紹介して、頭出して、頭に入れていただきたいということでございますので、これを事務局より、まず説明よろしくお願いいたします。
<原田戦略官より資料01-3-1に基づき説明>
【中須賀座長】 はい、ありがとうございました。それでは、ご意見、ご質疑ありましたら、よろしくお願いいたします。はい、どうぞ。
【関構成員】 ご説明ありがとうございました。今回初めてなのでお伺いしたいのですけれど、まず最初に資料の01-3-1の11ページ目のところで、スキームがどういうふうに2030年に変わるのかを図示されている中で、下のユーザー側の内訳が、JAXAとか国の機関が殆どということが従来と変わっていません。これは本来の民間事業者への移行、自律的に産業化していくという観点からは主旨が分かりにくいです。実際には10年後とか20年後の青写真があって、どういうふうにこの割合が変わっていくのを想定しているかというのを、おそらくすでに議論されていると思うのですが、その辺りの将来像をどういうふうに考えていらっしゃるのか、教えてください。
【原田戦略官】 ありがとうございます。同じ資料のスライドの9枚目ですが、ご指摘ありがとうございます。まさに関構成員のご指摘のとおり、11枚目のスライドは、(ポストISSへの)移行直後を想定したものでございます。今、やっているアクティビティーを、なるべく変えないという意味において、分かりやすさも重視して、移行直後の形のスキームを書かせていただいておりますが、9枚目のひとつ目の「目指す姿」では、昨年8月の小委員会の検討でもありましたが、日本企業が参画することで、ひいてはその事業がビジネスとして成立するという究極的な姿を、一応のゴールとして持っているところで、それが大原則というか、大きな目標としてございます。他方で、そこへの移行期、どういった形で移行できるかというのは、例えばアメリカとの連携が進むかとか、あるいは諸外国も恐らく同じような形で民間事業者の方を巻き込みながら、地球低軌道のアクティビティーを進めようとするのか、そういった他国の活動など、NASAなども含めたベンチマークも含めて、なるべくビジネスとして成立していく姿を目指していきたいと考えているところです。
【関構成員】 ありがとうございます。もちろん理想的には産業化できればいいのですけど、そんなに簡単でもないとは思いますので、何かステップを踏んで5年後、10年後というような青写真が作れるとよいのではと思いました。ありがとうございます。
【中須賀座長】 はい、ありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。はい、どうぞ。
【榎本構成員】 お話ありがとうございます。資料の9ページ目ですけれども、ポストISSのわが国の利用サービスの調達の考え方というところで、目指す姿が書いてあります。
日本企業がポストISSの事業に主体的に参画して、事業がビジネスとして成立しているというのが目指す姿ということなんですが、これまでも、今、産業化というお話あったように、日本では創薬研究、超小型衛星の放出など、ISSの商業化を目指してこられたというふうに思うんですけれども、実際に商業化が成功した事例というのはどういったものなのかという点と、またどの程度産業規模に現在成長しているのかという点を教えていただけたらなと思います。お願いします。
【原田戦略官】 ご質問ありがとうございます。JAXAから恐らく補足はあると思うのですが、この検討会に関連する第12期の小委員会で、今後のポストISSに向けた事業展開ということで幾つかの事業者の方にヒアリングをさせていただいております。例えばですが、そこで具体的にヒアリングをいただいた企業としては、例えば有人宇宙システム(JAMSS)という会社であるとか、あるいはSpaceBDといわれる会社が、構成員もご承知だと思いますけれども、超小型衛星の放出などでビジネスをやっていると承知しています。その規模感に関しては、売上げなどがどこまで公開されているかというのは、私も子細は承知していないのですが、主体的に宇宙ビジネスをやろう、あるいは地球低軌道を使ったビジネスをやろうといった事業者は出てきています。というのが、現時点でのスナップショットとしてはあります。
さらに将来に向けては、アメリカの動向に関して申し上げており、具体的な会社名も掲載していますが、一部の商社さんのようなところがポストISSの姿を目指してある程度規模の大きい投資をしながら何らかのビジネス構想を持ってやってらっしゃると承知しております。その中で具体的にプレゼンいただいたところでは、三井グループ関係の日本低軌道社中という会社、兼松、また三菱商事からプレゼンをいただきましたが、その中では地球低軌道の活動を通じた創薬研究をやりたいとか、あるいは半導体とかも含む材料の研究をやりたいといった形での何らかの事業構想を持っていらっしゃると承知しているところです。
あと、JAXAのほうからもし補足があればというふうに思います。
【JAXA 小川部長】 JAXAのほうでも「きぼう」を使った幾つかの利用技術とそこの需要がある部分、例えば、今、文科省さんから説明がありましたが、超小型衛星、そしてタンパク質結晶生成実験、それと船外の利用です。これらについては、民間に事業を移管をしております。
ただ、ご質問にあったように、ビジネスとして成立しているかというのに対しては、現状の市場の規模もありますので、JAXAが全く関与しなかった場合に本当に成立しているかと言われると、難しい面はありますが、事業者さんと連携しながら、我々も利用をオーダーしながらやっていくなどのサポートをしつつ成り立っているという状況です。ただ、JAXAが全部を抱えて利用開拓をやってきたときよりも、民間の方が事業展開することによって、私たちの手が届かなった国外のユーザーを獲得されるなど、需要が広がっているという効果はございました。
ただ、ビジネスとして本当に成立させるということは簡単ではないので、この委員会でもご議論いただいていますが、2030年までの間に「きぼう」を使い尽くし、ユーザーを増やしていく。それをポストISSにつなげていくということが大事であり、特に、どこの分野に商機があるのかというところを見定めていく、それがこの5年間ぐらいなのかなと思っているところです。
【榎本構成員】 ありがとうございます。具体的な成果を数値化するというのがすごく大事なんじゃないかなと思いまして、それがISSの商業化の取り組みの認知の浸透につながっていくのかなとも思いましたので、コメントをさせていただきます。
あと、ムーブメントもやっぱりここにつながっていくのかな、大事なのかなというふうに感じました。ありがとうございます。
【中須賀座長】 はい、ありがとうございます。はい、どうぞ。
【佐藤構成員】 佐藤です。民間主体の事業運営、ポストISSを移行していくという大きな目的のためには、幾つか課題というか懸念事項がやっぱりあるというふうにも感じております。
基本的には、民間主体の事業運営ということは、やっぱり国際的な競争力を持ち得るということが必要条件になるというふうに思います。海外でもこういったいわゆる宇宙ステーションの利用をするサービス事業者が現れた時に、日本国の企業であったとしても、同じようなサービスを行うところでいうと、国際的に最も経済的に合理的なところにやっぱり仕事を依頼するというふうに基本的に民間主体ではなります。そういった観点でいうと、この単に民間主体に移行するというだけではなくて、やっぱり国際的に競争力があるようなサービス事業になるべく、そういうことを目指していく必要があるのかなというふうに思います。
そこでのポイントは、もちろんコスト競争力というのもあるわけですけれども、さまざまな利用に向けて本当に使いやすいものになっているのか。あるいは、そこの利用に向けて、利用者側が期待するような、例えば実験だったら実験の回収までの期間であるとか、あるいは実験に関わるようなオペレーションがいかに、ある意味ノウハウがないような事業者でもできるようになっているのか。その辺りは利用側のニーズをしっかりと把握をした上で、その上でしっかりと競争力があるようなものにしていくという観点が必要であるというふうに思いますし、またそのために場合によってはそういうとこにこそお金を使っていく。基金なんかもそういうことの観点のためにしっかりと充てていくようなことも効果的ではないかというふうに感じます。
あと、もう一つの側面は、民間主体の事業になった際には、そうすると日本国がある意味起源、由来のそういった民間主体の事業者であったとしても、最も収益が上がるようなところの仕事を受けるという形になります。もしかしたら、米国の企業のほうがたくさんお金を払ってくれるんであれば、米国のほうの仕事をせっせと受けて、もしかしたら日本国の仕事はなかなか受けてくれないみたいなことも経済原理上はやっぱりあり得るというふうに思います。そういったことに対して、日本国がISS、ポストISSのこういったサービスを利用するということを、日本国としても自主性、自律性を持つということにおいては、どういうふうにそこの利用する権限を長期的に確保していくのかということをやっぱり考える必要があるのかなというふうに思います。
企業からすると、例えば単に経済的なものだけではなくて、長期的な安定した契約がもしあるとするならば、それは企業経営としては非常に重要ないわゆるアンカーテナンシーとしての役割があって、そういった場合に長期的な取引であればしっかりとそこを優先的に取引をするという、そういった可能性もございます。
いずれにしても、この民間主体になった瞬間に、日本国としては意外と利用する機会がむしろ減るみたいなことになるとすると、少し本来の趣旨から離れることがありますんで、引き続き日本国としての自主性・自律性をどう確保するのか。あるいは、それに必要なスキームは何なのかというのも議論をする必要があるのかなと感じております。以上でございます。
【原田戦略官】 ご指摘いただきまして、大変ありがとうございます。いただいたご指摘をしっかりまたわれわれの検討の中にまさに取り込んでいきたいと思っております。
ご指摘いただいた使い勝手の向上のところは、しっかり課題感として認識させていただいておりますし、これまでJAXAもいろいろ取り組んできているとこでございます。ある意味2030年でISSがリプレースされるというのは一つのタイミングというか、より使い勝手のいい敷居を下げるようなやり方というのも目指しながら、もちろん限界もありますが、他方で日本のモジュールを使うと使いやすいよね、というようなやり方を模索していきたいと思っております。ありがとうございます。
あと、まさにおっしゃった長期的な取引の観点で、あるいは安定的に使える、あるいは日本の自律性みたいなところは、ご指摘いただいたとおり、9枚目、10枚目のスライドのほうでも、基本的な考え方、昨年8月にも自律性を持った日本なりの使い方ができるというところが前提かなと思っております。そこは「きぼう」で培った技術の継承、わが国として獲得した技術をしっかり継承していくというのもありますし、そこは佐藤構成員もおっしゃったとおり、ユーザーにとってもやりやすいやり方、そこはコストのみならず、いわゆる非財務的な価値だというふうに思っていますので、日本ならではとか、使いやすさとか、そういったところを含めてコスト競争力だけではないような、あるいは日本人にとっては日本語が使えるというところもあるかもしれませんけれども、そういった非財務的な価値みたいなところを含めてしっかり日本ならではで、使い勝手のいいような地球低軌道活動を引き続き検討していきたいというふうに思っております。コメントありがとうございます。
【中須賀座長】 はい、ありがとうございます。オンラインから、御手洗構成員、お願いいたします。
【御手洗構成員】 ありがとうございます。先ほどのオープンイノベーションハブという「きぼう」でやっている実験に関してですけれども、私、ELFのほうの委員もやってまして、そちらで非常に興味深いデータがたくさん出ているなというふうに思っております。
その時に、いろいろ提案を見ていますと、似たような材料の提案があったりとかもするので、せっかく宇宙実験ってお金かかりますけれども貴重なデータをたくさん出しているので、そういうデータをある程度共有できるような形で利用できるようなことをそのオープンイノベーションハブなどで扱っていただけると、例えば宇宙実験は時間もかかるしちょっと手が出ないなと思っている場合であっても、そういうデータを使ってまたいろいろな材料設計に発展したりとか、そういうことができるのかなというふうに思っています。
また、宇宙は重力がないので均一な材料ができることもありますけど、実際はほんとにそこでつくった材料を地上で使えるかというと、量的なものもあるし、コスト的なもので難しいんですけれども、そこで得られた知見をいかに地球上で扱うその材料設計に使っていくかというところで、すごく今まで理解ができなかったことが理解できるようになるという観点からすごく有用であると思っていて、みんながみんなで宇宙に行って実験するのではなくて、誰かがやったものを皆さんでシェアして、そこで次の新しいものづくりにつなげていくというような活動を、ぜひこのオープンイノベーションハブでやっていただければいいなというふうに思って拝見していました。ありがとうございます。
【原田戦略官】 ご指摘ありがとうございます。オープンイノベーションハブを取組の方向性という形で提示をさせていただきましたが、御手洗構成員もご経験もあるので、そういったご意見も踏まえながらしっかりわれわれのほうで取組をやっていきたいと思っております。
また、ご指摘どおり、連携したらいいところは、しっかりそこを結び付けることと、またここでビジネスになってくると、そこは協調が競争になる可能性、いわゆるコンペティションの領域になることもあるので、そういったところのさじ加減のようなもの、取組を考えていきたいと思っております。ご指摘ありがとうございました。
【中須賀座長】 はい、ありがとうございました。まだまだ議論は尽きないんですけど、お時間の関係で、この議題はこの辺にさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
それでは、最後の議題ですけれども、議題(4)我が国の月面探査に係る検討状況について、事務局より説明よろしくお願いいたします。
<原田戦略官より資料01-4-1に基づき説明>
【中須賀座長】 はい、ありがとうございました。それでは、皆さんから、ご質疑、ご討論ありましたらよろしくお願いいたします。12時には終わりたいので、質問は短めにお願いできればと思います。いかがでしょうか。
じゃあ、出る前に。要するにCLPSでアメリカはいわゆるまずはサイエンスで支援をしていると。ただ、サイエンスだけではなくて将来やっぱり民間でもっと商業活動が起こるようなことも想定しながら、このCLPSプログラムを動かしているのか。あるいは、あくまでサイエンスだけを目指してやっているのか。この辺の肌感覚はいかがでしょうか。
【原田戦略官】 すいません。山中センター長からお願いします。
【JAXA 山中センター長】 結論からいうと、両方です。サイエンスだけではなくて、そこで月面活動に必要となる要素、例えば太陽電池タワーみたいなものとか、そういうものも含めて進めています。
【中須賀座長】 はい、ありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。オンラインの構成員の皆さんも含めていかがでしょうか。はい、お願いします。
【石井構成員】 細かい点で恐縮ですが、7ページの月面活動に関するアーキテクチャ案というところで、協調・競争の仮説というところで幾つか振り分けされているんですけれども、輸送に関して、輸送(軌道・月面間)と輸送(ロケット)というところですけれども、これが競争となっているのはどういう背景があるのか、すいません、クラリフィケーションいただけると幸いです。
【原田戦略官】 ありがとうございます。すいません。これは内閣府さんの作られた資料で、そこの精緻な議論は改めてみる必要があり、また、JAXAのフォロー説明があるかもしれませんが、恐らく、日本でもispaceのランダーや、SLIMの技術もやってきていますが、一方で、中国などが独自に月の輸送技術を獲得しつつある中での、競争領域ということではないかという感覚を持っています。山中センター長から補足があればお願いします。
【JAXA 山中センター長】 全てがということでもないんですけど、輸送ですと世界各国のロケット、日本のロケットを含めて、いろんなものが使われていくでありましょうと。その中で、日本としては、日本の輸送システムが使われる、そういう領域になるだろうと、そういうことで日本の技術としてはしっかり高めていきたいと。それから、ロケットだけじゃなくて、ランダーのようなものも、今、最終ページにあるようにいろんな会社がやっていて、日本としてもやる気のある民間事業者さんがよいランダーをつくられれば、それはいろんな日本のみならず世界中の人がそのランダーに乗って行こうとされるという意味においても競争ということだと理解してます。
【石井構成員】 ご説明いただきありがとうございます。ロケットとか、打上げとかに関しては、もちろん商業化されていて、ほかの国あるいはほかの事業者と競争しなくてはいけない局面というのは当然あると思うんですけれども、しかし基本的にはどんどんやっていって、相互に排他的な競争をしなくてもよい領域なのかなと思っていましたので、その意味で質問させていただきました。ありがとうございます。
【中須賀座長】 はい。ほか、いかがでしょうか。はい、お願いします。
【竹森構成員】 一瞬だけ、すいません。これだけの先生いらっしゃるので、極力インプットを少し落としめにして、ボリュームを少し減らして、できればいろんな先生方の意見を聞いていったほうがいいかなと思うので、次回以降のマネージを、全て入れようとするとこういう感じになると思うんですけど、絞って、いろんな先生の意見を聞くようなマネジメントをお願いしたいなと思います。すいません。意見です。
【中須賀座長】 はい。素晴らしいご意見です。次回、よろしくお願いいたします。オンラインから、若田構成員、お願いします。
【若田構成員】 この7ページのアーキテクチャ案、それからJAXAでまとめてくださってる国際宇宙探査のシナリオですけども、これはこれまでのISECGのような国際協調でのシナリオといったところにフィードバックされているんですか。そういった枠組みがまだ残っているのか。要するに、国際協力がないとなかなかできませんけど、そういった国内の案を、今、どのように国際的に展開していくかという、そういうスキームは、今、どのようになっているんでしょうかという質問です。以上です。
【JAXA 山中センター長】 若田さん、ありがとうございます。探査センター長 山中です。結論から言いますと、ISECG、その他国際の場にこういうものも積極的に出していきます。アーキテクチャというのは、横のつながりとか、その中で基本的にどういうものが重要なのだというような、しかも日本の場合ですとかなり産業寄りの整理をいただきました。NASAなんかは、例えばMoon to Marsというようなものがあるんですけど、あれはあまり産業寄りでない表現になっているので、かなり産業を意識したアーキテクチャ案として、これは内閣府さんが2年間かけてまとめてくださったんですけど、これも一緒になってそういう場にも積極的に展開していきたいというふうに考えています。
【若田構成員】 了解しました。ありがとうございます。
【中須賀座長】 はい。それでは、大体12時なのでよろしいでしょうか。これはまた13期でいろいろ議論していくというところの、今日は頭出しということになったと思いますけれども、原田戦略官、そういう理解でよろしいですよね。
【原田戦略官】 はい。そのような理解で大丈夫です。
【中須賀座長】 はい、ありがとうございます。
ということで、これからまたしっかりと議論をして、この低軌道、低軌道という言い方でいいかどうかってありますけど、低軌道の活動、それから月、しっかり議論していきたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、以上で本日予定していた議題は全部終了で、あとは事務局のほうよろしくお願いいたします。
【川端補佐】 はい。事務局でございます。本日の議事録や資料は、文部科学省のホームページに公開いたしますので、お知らせいたします。以上でございます。
【中須賀座長】 はい。それでは、今日も活発なご意見ありがとうございました。以上をもちまして、本日は閉会といたします。ありがとうございました。
(了)
研究開発局宇宙開発利用課