令和7年6月3日(火曜日) 16時00分~18時00分
オンライン会議にて開催
【阿部企画官(事務局)】
基幹ロケット開発に係る有識者検討会を開催いたします。
事務局で本日の検討会の進行を務めます文部科学省宇宙開発利用課の阿部です。
本日は、途中参加の構成員の方を含め、全ての構成員の方が出席となってございます。
本日の資料ですが、議事次第のとおりです。
本日は、前半は公開での検討、後半は、基幹ロケット開発に係る有識者検討会の開催についての中で、機微情報等が含まれるため非公開という扱いになっておりますので、非公開での検討となります。
オンライン状況につきまして、音声がつながらない等、問題がございましたら、事務局へメール、電話等でご連絡いただければと思います。
それでは、議題、本題に入ります。
議題1になります。
前回の検討会では、文部科学省から第1回議論のおさらいをした後に、JAXAからH3ロケットの開発状況およびH3高度化に向けた現状の課題意識についてのご説明をいただき、意見交換を行っていただきました。その際にいただきましたご意見等について、事務局のほうで整理させていただきましたので、おさらいというところで、改めてこちらのほうから説明させていただきます。
画面にも出ておりますけど、資料1-1をご覧ください。
表紙をめくっていただきまして、1ページ目からになります。高頻度打ち上げ・連続打ち上げについて、どのくらいの回数を想定とするかにより影響度が異なるということで、中長期的観点含め、総合的に検討していくことが必要だという点。
2.JAXAとプライムコントラクターや保険業界のアンダーライター等のステークホルダーとの連携等についても、周囲を巻き込みながら高度化していくことが必要である点。
3.として、システムレベルでのフライト実証が大変重要であるということで、高度化で技術を獲得し、運用段階に持っていく際には、実証が問われるというところで、H3の運用を活用しながら運用と開発を連携させて、高度化の技術・機能の実証ができるのではないか。
4.ロケットの定常運用と並行して、技術の改善・高度化により技術能力を維持向上させることが必要であり、必要な時期にシステム開発レベルでの大きなチェンジも必要ではないかという点。
5.グローバルコマーシャルマーケットでは、保険が必要であるということで、大きな高度化になると、飛行実証がなく保険が付かない可能性もあるということで、その際、アンカーテナントが非常に重要であるという点のご指摘もいただきました。
6.国の衛星だけでは打ち上げ機数が少ないということで、国際的に売り込んでいく際、どのような形でどのような強みを生かして世界で存在感を出すのか、戦略が必要。
7.基幹ロケットとしての国際競争力の考え方について、強みや独自性、狙っていく市場等も踏まえ整理が必要。勝ち筋が見通せるのか確認しながら進めることが必要。
8.高度化によりできることの幅を広げ、国際競争力を効果的に強化していくこと、需要動向に対して迅速に柔軟な対応ができることも重要。ページめくっていただきまして、8.独自性や勝ち筋など日本のロケットの強みをつくる必要があり、また、分かりやすくアピールすることが必要。
9.完璧にしてから打ち上げるのではなく、ある程度の実験も見込んだチャレンジを何度も繰り返すことで、全体として開発スピードも早まり、コストも低減できるといった、宇宙開発の取り組み方が最近変わりつつあるという中で、開発のスピードアップが必要であり、技術実証とフィードバックを繰り返し、頻繁にできる環境をつくっていくことが必要ではないか。
10.一定の失敗や実験が許されるような打ち上げというのも必要ではないか。
11.基幹ロケットの性格上、本番の打ち上げでの失敗というものは許されないが、世界では、非常に難しいロケット開発について、スピード感を持って挑戦的な技術開発を進める開発手法が進んでおり、初号機から成功した新規ロケットベンチャーはない。そのため、ある程度の実験的要素をプログラムの中に考慮して、コンティンジェンシープランを持ちながらリスク対応を図る観点も重要である。
12.絶対に失敗しないということは非常に難しいことだと。マーケットの観点からも、高度化のプロセスの中で実験に失敗が起きても、コンティンジェンシープランを持ち、ミッションアシュアランスを明確にして対応していける体制づくりが必要ではないか。
13.開発においては、失敗のリカバーが重要であり、実験情報をしっかり取り、スピード感を持って次に生かしていける仕組みが大切であると。一方で、過剰な冗長化等によりコンセプトがずれる危険性を伴うことも考えながら対応することが必要。また、試験用としてチャレンジできる余裕(リソース)を持った開発も必要ではないかという点です。
ページめくりまして、15.からになります。フロントローディングにおいて、どこまで技術成熟度を上げていけるかが鍵であると。H3開発経験を振り返って、実機サイズの最終確認へどうつなげていくのか整理が大切と。
16.H3を活用してステップアップしながら着実に開発を進めることと、フロントローディングを併せて実施していくことが非常に重要であると。画期的な日本の新規性をアピールするようなプログラムも重要であると。
17.基盤整備も含め、人、資金もパワーも必要であると。アンカーテナンシーの活用を含め、着実に進めることが重要であると。どのようにリソース、そういったものを確保していくのかは、大きな課題であるとご指摘をいただいています。
18.高頻度打ち上げに向けては、大型ロケット組立棟、また移動発射台、これを同時に整備していくことが必要ではないかと。現在の需要予測に間に合わせるためには、早期に対応を進めることが必要ではないかと。
19.高頻度化により燃焼試験も増えるため、射場設備・燃焼設備についても拡充が重要ではないか。
20.スピード感を持って進めていくためには、早めに目標(旗印)を決めて、予見性を持ってサプライチェーンの維持向上、生産基盤の整備等も進めることが必要であると。
21.固体ロケットの長期的な戦略も併せて考えていくことが必要では。こういったご意見をいただいたところを整理させていただいております。
次、4ページ目になりますけれども、こういったこれまでの議論を踏まえまして、今回、第3回において検討を深めていただきたい事項というのを少し箇条書きにしております。
まず、1つ目が基幹ロケット、H3の高度化としての国際競争力の考え方の整理、これは、前回も議論があったかと認識しております。
それから、2つ目、H3の高頻度打ち上げや高度化、これをどう進めていくのかというところの深掘り。
それから、3つ目として、将来も見据えた基盤技術研究について、どうしていくのかという点。
それから、最後に4つ目として、今後の課題等についてもどう考えていくか、どういった課題があるのかという整理が必要かなと認識しているところです。
以降のページは、前回までの議論の整理した紙が付いておりますので、ご参照いただければと思います。
私からの説明は以上になりますが、これらにつきまして、ご意見等ありますでしょうか。
ご発言ある際は、前回同様、挙手機能を使っていただけますと、こちらでご指名させていただきますので、よろしくお願いいたします。岡田構成員、お願いいたします。
【岡田構成員】
すいません。コンティンジェンシーという意味の確認だけ皆さんと共有したいので、先ほどの8番ですが、この11番と12番のコンティンジェンシープランという意味は、言葉は同じですけれども、これは違う意味と捉えたほうがよろしいかどうか、このご議論を中心にされた方に確認をさせていただきたいのですが。あるいは、文科省のご理解でも結構です。
【阿部企画官(事務局)】
文科省阿部です。いただいた意見をそのままではなく、少し多様な意見を丸めて書いたところもあるので、もしかしたら発言していただいた先生の意図と少しずれた意味になってしまっている可能性もありますので、趣旨や意味合いが違うというような観点ありましたら、ご指摘いただけるとありがたいですが、いかがなものでしょうか。お手が挙がらないようでしたら。
【矢木構成員】
よろしいですか。
【阿部企画官(事務局)】
すいません。矢木さま、お願いいたします。
【矢木構成員】
IAの矢木ですけれども、11番の前半は、私、発言した覚えがあります。ただ、その後ろの下線のところ、ここは、実験的要素をプログラムの中に考慮してコンティンジェンシープランをもちながらというのは、ちょっと私の発言と違っており、いろんな人のご発言をまとめて記載いただいたところがあるのかなと思っております。
私が言った意図は、この12番のほうで書いてある、失敗が起きた時のコンティンジェンシープランっていうようなことで発言したので、11番の下線は、確かにコンティンジェンシーっていう言葉の使い方としては、ちょっと違ってうるかもしれないなと思います。
伏線的なプランを持つとかそういう意味ですかね、11番というのは。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。今ご指摘いただいたような趣旨で少し書いていたところがあるので、ちょっと分かりにくくなっているところがあるので、ご指摘を踏まえて修正したいと思いますけれども。
【矢木構成員】
よろしくお願いします。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。方向性、趣旨は、よろしかったでしょうか、岡田さま。
【岡田構成員】
結構です。ありがとうございます。
【阿部企画官(事務局)】
すいません。ありがとうございます。
【岡田構成員】
12番は、どちらかというと、事業者の方、カスタマー目線に近くて、何かあったとしても、カスタマー目線でって言うのですが、打ち上げ計画全体が大きくダメージを受けないような策を併せて考えるというのが12番の趣旨かなと思ったところです。
【矢木構成員】
矢木のほうもそう思っております。12番のほうは、岡田さんがおっしゃるとおりだと思います。
【岡田構成員】
分かりました。ありがとうございます。結構です。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございました。今のご趣旨踏まえまして、修正等をさせていただければと思います。
他、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、またもし何かありましたら、途中でも構いませんのでご発言いただければと思いますが、いったん次に進めさせていただきます。
議題2のところになります。
続きまして、議題2、H3ロケットの高度化・高頻度化の検討状況につきまして、JAXAH3プロジェクトチーム寺島ファンクションマネージャ、よろしくお願いいたします。
【寺島ファンクションマネージャ(JAXA)】
JAXAH3プロジェクトの寺島です。よろしくお願いいたします。
では、資料2-1のほうについてご説明してまいります。
こちらは、第2回検討会での討議事項を踏まえた論点として、3つフォーカスしてまとめております。
目次のほうを省略しまして、3ページ目、お願いします。
第2回でいろいろな議論がございましたが、その中で抽出された重要な論点として3点、この1.から3.で挙げております。
1つは、H3ロケットが目指す国際競争力とは何か、それを確保するための方策をどう考えるべきか。
2.については、Block2の高頻度打ち上げ運用構想が目指す成果と意義に関してもう少し議論が必要というところと、
3つ目の論点としては、高度化開発において考慮すべき開発アプローチはどういうものかというところです。この3点に関して検討状況を報告いたします。
4ページ目、お願いいたします。
1つ目の国際競争力についてというところで、具体的なところとしては、この中ほどに挙げておりますような国際競争力、基幹ロケットにおいてそもそもどういう定義をするのか。それをこのH3の高度化はどういう形で、どういう強みを生かして世界の中で存在感を出していくのか。それから、H3の独自性ですとか、他の国から見て日本のロケットに乗りたいと思える旗は何か、そういうところの論点に関して整理したものです。
5ページ目をお願いいたします。
このページでは、まず、そもそものH3ロケットの国際競争力の定義というものを、いま一度、おさらいいたします。
前回、第2回の中でも一部お答えしましたが、基幹ロケットの国際競争力としては、官需をベースロードとしつつ、必要な打ち上げ機数を確保するために民需を獲得できると、それが国際競争力であると定義しています。これによって効果的に産業基盤の維持向上を目指すというものです。このH3を立ち上げた際には、ベースロードとなる官需が安定的に年間3機程度という前提で、商業衛星を年間3機程度以上受注できるということを国際競争力の目標としております。それによって、一定の生産規模を維持できることによって、基幹ロケットの製造メーカーですとかサプライヤーの製造基盤や品質を維持することもできます。
また、一定の打ち上げ機数を打っていくための製造・打ち上げができるインフラの維持も必要になります。このようなことをもって、国際競争力が自立性かつ持続可能な基幹ロケットの事業基盤につながるという考え方でございます。
6ページ目をお願いいたします。
これに対して、現状のH3ロケットの立ち位置と外部環境というものを改めて分析しております。
まず、立ち位置のほうですけれども、今、市場におけるH3ロケットの強みというものを、顧客ヒアリング等に基づいて分析しております。
やはり大きいのは、官民連携した国の基幹ロケットであるということによる打ち上げ事業体制の安定性、それから、高い信頼性とオンタイム打ち上げ、これは、あらかじめ計画した時間に打ち上げるというものでございます。
それから、高エネルギー軌道への対応力、この辺りが顧客の皆さんから良い評価を受けています。
一方、競合と分析した時に、将来にわたって国際競争力を維持するための課題というところも認識しております。
それは、1つ、打ち上げ能力でしたり衛星搭載形態の多様化に対応していくところ、あるいは年間の打ち上げ機数、打ち上げ間隔、それから、契約から打ち上げまでの期間という運用の面です。
この辺りが、今後、課題になっていくだろうという分析をしております。
それから、一方、外部環境に関しては、第1回、第2回でも議論ありましたように、宇宙輸送をめぐる環境っていうのが、昨今、非常に激しく変化しております。それによって得られる機会としては、コンステレーション衛星の需要の拡大でしたり、あるいは、特定ロケットの市場独占っていうようなことに対して衛星事業者が懸念を示しており、政府の産業支援施策、宇宙戦略基金ですとかSBIR、Kプロ、そういうようなものによって、多く国内外の衛星事業者の構想が新たに発生している、利用の拡大があるというところ。
それから、国際的な協力体制の下での月や火星探査へ指向が行っていると、この辺りが新たな機会として出てきております。
一方で、脅威としては、国内官需衛星の年間機数の増減に係る将来の見通しに関してリスクとなり得るものがあると。
それから、世界の競合ロケットの開発完了、競争激化、この辺りが脅威として捉えられる可能性のあるところです。
これを踏まえて、7ページ目、論点1.の結論になりますが、H3高度化が国際競争力を確保する方向性としましては、競合に真正面からぶつかるというよりは、打ち上げ市場でのH3独自のポジションを確立していくというのが方向性であるというふうにまとめております。
先ほどご紹介しましたような必要な機数を確保するために、H3の強みを生かした付加価値を求める顧客をターゲットとして、定期的に安定した商業打ち上げ機数を確保していくというような方向性で、今後、進めていきたいという意図です。
具体的な数字としては、やはり検討中で、暫定的に今日ここでお話ししますと、まず、H3の強みである投入軌道への指向性が高い顧客ということで、こちら年間1機から2機程度の海外の商業静止衛星等が見込まれるというものです。
それから、2つ目としては、H3の信頼性と事業安定性、こちらも強みでもございます。こちらで1社独占ではなく2社以上の打ち上げ事業者を指向するような衛星顧客、こちらを獲得していくと。この方向性で、年間2機から3機程度の例えば海外通信コンステレーション衛星が取れるのではないかという方針です。
それから、3つ目が、国内外の小型衛星事業者の打ち上げ需要への対応ということで、こちらまとめて効率的に打てるというライドシェアをやっていくことで、年間1機程度のライドシェアの打ち上げが見込まれるのではないか。
それから、この高度化で行う4.の能力増強、連続打ち上げ対応、そのようなことでこのコンステレーション衛星を取るのに貢献します。
それから、安定した打ち上げ運用を継続することによって政府ミッション等にも着実に対応していくということで、こちら少なくとも年間2機程度の官需衛星。これを合計すると、年間6機~8機程度以上の安定した打ち上げ機会の獲得を可能と、そのような国際競争力を目指すことができるのではないかというのがここでの結論になります。
それでは、次のページをお願いします。
論点2.高頻度打ち上げ運用構想についてです。
第2回の検討会の中で、お客さんにとってのフレキシビリティー、利便性拡大というところで、高頻度打ち上げ運用構想と長期運用性の獲得というところを申し上げました。
それに関して、この高頻度打ち上げですとか連続打ち上げについて、具体的にどのような目標値を持っていくべきか、あるいは、それに関連しては、サプライチェーンや設備投資など基盤的な準備が必要なので、なるべく早期に目標値を示すべきではないかというような論点がございました。これに関して、ここでまとめております。
9ページ目をお願いします。
われわれがここで示しておりますのは、この高頻度打ち上げ運用構想というのも、論点1.で示しました基幹ロケットの自立性を維持するための国際競争力、これを保有していくための一つの在り方であるというふうに考えておりまして、それは一定の打ち上げ機数、先ほどご紹介しました年間6機から8機程度以上というのを確保するというところにつながっていくものでございます。これを国際商業市場で獲得して事業として成長していくためには、単にロケットとしての機能・性能の強化だけではなく、ユーザー利便性を高めるための運用の強化が必要になってくるというのが、この高頻度打ち上げ運用構想の趣旨です。
継続的に高いレベルの打ち上げ機数に対応していくためには、運用性を向上して打ち上げ間隔を短縮、また、顧客の打ち上げ希望時期に柔軟に対応していくというのが、お客さんにとって非常に高価値を示せるというふうに考えてございます。
そのためには、単にロケットのみならず、総合システムとしての運用コンセプトを検討して、この総合システムを構成するロケット、それから地上の施設設備、それから打ち上げ安全管理、こちらには、追跡ですとか飛行安全の管理というところも入ってまいります。
これらをバランスよく進化させるということが重要であって、これが大きな価値をもたらすというものです。そのような考えで、このBlock2の運用強化というもののメニューを第2回の検討会の中でご説明したものでございます。
次のページをお願いいたします。
以上のような考え方をもって、この高頻度打ち上げ運用構想で目指す世界というところを10ページ目にまとめました。政府のミッションを定められた時期に確実に打ち上げつつ、かつ商業ミッションの受注機会を拡大して一定の打ち上げ機数を確保すると、この国際競争力の考え方とも連動して、目標としては2つ、ここで掲げております。
1つは、当初計画した日時に打ち上げを行う、オンタイム打ち上げ率というものをさらに向上していくということで、お客さんにとって予見性のある打ち上げができるようにするということ。
それから、顧客都合によって打ち上げ時期が変更した際にも柔軟に対応すると、それができる環境を整備するということで顧客のサービスを向上していく。この2つを大きな目標として掲げたいと思っております。
これを達成するために、今、2つほど方向性として考えておりますのは、1つは、高頻度打ち上げに向けた技術的運用方法の導入。現状、個別の顧客の計画に応じて打ち上げ日時を設定しております。今後は、例えば、技術的に定期的な打ち上げ機会を準備できるようにする、そういうような技術を用意していくことで、年間一定機数以上のオンタイム打ち上げの実現をさらに目指していくということ。
それから、打ち上げの柔軟性という観点では、H3ロケットの2機、例えば同時期に整備をしておいて、固めて打ちたいようなお客さんに対しても、最短2週間間隔での打ち上げを実現していくというようなところを目標にするのが良いのではないかというふうに考えております。
次のページをお願いいたします。
3つ目の論点、高度化の開発アプローチについてでございます。
第2回の検討会の中では、開発を短いサイクルでブロックアップグレードしていくと、スピード感に関してご説明しました。これに関して、どのような飛行実証を行って、運用からのフィードバックというところも考えるべきではないかというご意見ですとか、挑戦的な技術へのチャレンジ、そういうようなところも議論に上がりました。
これを踏まえて、次のページ、お願いいたします。
12ページに考え方をまとめております。
まず、基幹ロケットの打ち上げ運用と高度化が並行して流れるというところに関する考え方ですけれども、高度化、H3ロケットを運用しながら強化していくということですので、この高度化開発結果を適用する打ち上げにおいても、従来と同様に、基幹ロケットとしての確実な打ち上げ成功を積み重ねていきたいというふうに考えております。
それによって、わが国の宇宙政策における重要なミッションの打ち上げ継続ですとか、商業顧客の信頼の維持というところをしっかり維持していきたいというふうに考えております。
それに当たっては、これまでもTest as you flyという方針で開発試験を重ねてまいりましたので、今後もそのような考え方で打ち上げに臨むとともに、フライトデータによる十分な検証と反映を行って信頼性を熟成させると、こういう開発方針を高度化の中でも取っていきたいと考えております。
一方、スピード感を持った開発を実現するということで、フロントローディングが大事だということを第2回でも議論いただきました。
開発プロセスの中でしっかり試行錯誤ですとかチャレンジを取り入れることができる、それによって技術を熟成させることで、ここに書いておりますようなフロントローディングの中で複数の設計解を検討しますとか、システムとしての成立性を早期に見極めるようなこと、システム検証を取り入れることですとかを実施していきたいと思っています。それによって、開発に移った後、非常にスピード感を持って効率的な、1サイクルでの確実な開発ができるのではないかというふうに考えております。次のページをお願いいたします。
もう一つ、この開発アプローチというのは、試験機や技術実証機に関する方針というのが重要になっていきます。
高度化では、考え方としては、まず、Block1ですとかBlock2に関しては、H3ロケットを運用していく中で開発完了したアイテムを適用して技術実証をしていくという考え方。
それから、Block3に関しては、2段機体のシステム開発というところでございますので、試験機として打ち上げ実証をしていくということで、リスクのレベルに応じてしっかりそこを検討していきたいというのが基本方針です。
一方、それをしっかり生かすという観点で、技術実証を行う運用機では、十分にテレメータ計測を盛り込んで、設計の妥当性を実データで検証できるようにする。
それから、Block3の試験機では、実衛星を搭載しないという機会を一つ機会としまして、将来の技術開発項目ですとか将来輸送系の研究項目、例としては再使用の1段を設計・開発するためのデータ取得ですとか、そういうところに関するデータ取得の機会としても活用していきたい。そうすることで、また、Block3の運用機では、能力を向上したことを生かして、余剰能力の範囲でさらに将来の技術の実証を行っていくなど、チャレンジングな技術を入れていく、その土壌として活用していきたいというものです。
まとめとしましては、これらの取り組みによって、チャレンジングな技術も取り込みながら、高度化での各Blockの開発結果を適用していきますし、さらには、それに将来技術ですとか基盤研究成果の実証も融合して、ロケットの実運用と高度化開発のスピード感、これを両立させていきたいというふうに考えております。
次のページ以降は、それを踏まえた高度化の開発のやり方ということで、第2回の資料を再掲しておるページですので、説明は省略いたします。
こちらの資料の説明は、以上でございます。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございました。それでは、ここで質疑応答にしたいと思います。
ただ今のご説明に対し、ご意見、ご質問等ある方いらっしゃいましたら、挙手機能で手を挙げていただければと思います。よろしくお願いいたします。
五十嵐さま、お願いいたします。
【五十嵐構成員】
三菱重工の五十嵐です。ご説明ありがとうございます。
基本的にH3の勝ち筋と言いますか、どういったところで営業を展開しているのかというようなところのご説明とか、正しく説明いただけているなというのが、実際のH3の営業サイドからも言えますので、このとおりでございます。
それと、論点3.のところで1カ所、スピード感を持った開発アプローチの方針というところがありまして、この高度化のアプローチのところは、なるべく状況を見ながら、早いサイクルでどんどんいろんなチャレンジをしていきたいというところがございます。
その中で、12ページの開発の方針というところで、効率化した1サイクルでの確実な開発をやり切るというところの表現なのかもしれないんですけれども、これは、フロントローディングというところのフェーズでいろいろと検討を詰め過ぎてしまって、最後、じゃあ本格開発しましょうというところで、効率化されているはずの1サイクルで確実にやらなきゃいけないというところに負荷がかかり過ぎてしまって、やり切れないという懸念がありますので、そういう意味ではなくて、短いサイクルのところを繰り返すという意味なんじゃないかなと思うので、その辺を再確認したいかなというふうに思います。いかがでしょうか。
【寺島ファンクションマネージャ(JAXA)】
短いサイクルで開発を、部分的なアップグレードを繰り返してやっていくという考え方ですので、今おっしゃっていただいた考え方で合ってございます。
ここで申し上げているのは、一個一個の短い開発の中で従来のように基本設計をやって、EM試験をやって、PM設計をやって、PMの試験をやって、FMというふうに、かなり、数サイクル設計を回すというよりは、その分をフロントローディングでしっかり充実させておいて、ある程度、確度の高いベースラインを持てていれば、開発の中では、短いサイクルでできるのではないかという意味で、ここで書いているものですので、認識は、私もずれていないのではないと感じました。
【五十嵐構成員】
ありがとうございます。具体的なところは、この表現とは別に、一つ一つの課題ごとに、どういうふうに早期にいろんな確認をしていくのか。それから、実際に使うところに至るには、フライトプルーブンに持っていく必要もありますので、それは、前回の議論でもありましたとおりですので、そういったところを、一つ一つの課題ごとにフロントローディングの中で議論しながら、それを実現させていくというつもりで考えてございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【寺島ファンクションマネージャ(JAXA)】
承知しました。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。丹生さま、お願いいたします。
【丹生構成員】
私もこの12ページの一番下のところは少し気になっていて、スピード感と効率化と1サイクルと確実っていうのは、結構、相反する言葉になりかねないので、ここをどういうふうにうまく組み立てていくかというのは、結構難しい問題かなと思います。最後は、時間なのか効率なのかあたりに妥協が必要な場合もあると思うので、五十嵐さんがおっしゃるように、確実っていうところがあるがために、他が犠牲にならないかというところをちょっと懸念していますので、考えていただければと思います。
もう一つ、この上のほうにある複数の設計解を検討しというのは、H3のLE-9の時には、これが功を奏したのかなというふうには思いますが、フロントローディングで複数をやろうとすると、やる作業がどんどん多くなって、一つ一つの検証が不足がちにならないかっていうのが懸念されます。最初の頃に、しっかり広い作動範囲で限界を見極めながらやっていくというのが、後々、楽な開発につながると思うので、そういったところが犠牲にならないように配慮していただければと思います。以上です。
【寺島ファンクションマネージャ(JAXA)】
ありがとうございます。1点目について、承知いたしました。おっしゃるとおりスピード感、効率化、1サイクルっていうところが、相反するような形であまり良くない開発になってしまわないように、そこはケース・バイ・ケースだと思いますので、バランスの良い開発を組み立てていきたいと思っております。
それから、2点目の複数の設計解というのが、開発ボリュームの拡大ですとかフロントローディングの拡大というところにつながりかねないというところも認識はしております。
どういう形でどの部分を重点化するかというところを、開発のテーマの中できちんと議論しながら進めてまいりたいと思いますが、JAXAの他の皆さんからもし補足の回答等あれば、お願いしたいと思いますが。
【小林(JAXA)】
それでは、小林のほうから若干補足いたします。
例えば、2段のエンジンで言いますと、揚力が足りないといった場合には、インペラを2段化するというやり方がございまして、これを最初から軸系も含めてインペラ1段、2段、両方対応できるように設計しておけば、問題が顕在化した時にスピード感を持って対応できると。例えば、今、一例ではございますが、そういった形で局所の設計解問題として複数の案を用意するという形で考えております。補足でした。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。岡田さま、手が挙がっていらっしゃると思います。お願いします。
【岡田構成員】
すいません。大体似たようなこと、お返事になってしまうのですが、やはりこれ、言うは易しなんですけれども、要するに時間と、マンパワーと、それからコスト、そのリソースを相当意識しながら、それぞれの課題に対してどういうアプローチするかというのは、そう簡単じゃないと思います。ですから、ある意味、計画を立てながらそこを一つ一つ考えていくというのが必要ではないかなと。
われわれH3の経験で、やはり時間とコストをできるだけ最小限にとどめようとして、結果、オーバーランしていったこともありますので、そういった経験に基づいて次は良くしていこうという思いで考えております。以上です。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。今の点を含めまして、他、意見ありましたらお手を挙げていただければと思いますが、いかがでしょうか。笠原先生、お願いいたします。
【笠原構成員】
ご説明ありがとうございます。
今の件にも関係するんですが、私、5ページのところ、競争力の定義というところで、これは、前回よりも強調されているというふうに私は認識しましたが、やはり安定性というか、基盤となるような設備やバックグラウンドの維持というか、インフラ維持は、やはりそういう本当に長期的に、また広く維持するところがしっかりあるということは、改めてとても重要なことだと思っておりますし、それが今回のご発表でも、安定性や顧客の皆さまにもそれを感じていただけるということが、とても説得力を持って聞かせていただきました。
その上で、当然チャレンジするべきところはチャレンジしながら挑むところは挑むべきだと思いますが、改めまして競争力という観点でも、こういう大事な守るものというか、それをまずはしっかり持つべきだと思っておりまして、今、ご議論が岡田理事からもご発言あったかと思いますが、やはりリソースというか、どうやってそういうところに注力、エネルギーを注ぎ込むかということが、改めて非常に重要だなと感じております。
限られたものでやるというよりは、どちらかというと、そういうところにもっとより多くのリソースを投入できるようなそういう方策というか、それを何としても準備することが、まずは必要ではないかなというふうに感じました。
すいません。感想になってしまいましたが、発言させていただきました。以上でございます。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。今の点、JAXAのほうからもしコメントがございましたら、お願いいたします。よろしいでしょうか。
【寺島ファンクションマネージャ(JAXA)】
おっしゃっていただいたことをしっかり認識しております。単に技術の開発だけではなく、インフラ維持ですとか基盤維持って、非常に国際競争力の観点でも重要になってまいりますので、そこをどういうふうにリソース配分してやっていけるかというところを、H3のみならずJAXA輸送全体で考えていきたいというところだと思っています。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。他、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。お手が挙がっていませんので、よろしければ、次に進めさせていただければと思います。ありがとうございます。
それでは、続きまして、議題3、次世代の宇宙輸送システムに向けた基盤技術研究について、JAXA研究開発部門第四研究ユニット南里ユニット長、よろしくお願いいたします。
【南里ユニット長(JAXA)】
南里でございます。ご紹介ありがとうございます。
それでは、次世代の宇宙輸送システムに向けた基盤技術研究についてという題で、研開部門第四ユニットの南里からご説明いたします。
次のページをお願いします。このページは、目次になっています。今日お話しすることは、大きく3つございます。
1つ目は、新たな宇宙輸送システムの構築に向けたJAXAの役割としまして、政策文書に基づきこの研究を行っているということ、さらには、先ほど寺島から説明がありましたが、H3高度化との関係についてもここで述べたいと思います。
次に、次世代の宇宙輸送技術の基盤技術研究ということで、実際に行っている基盤技術研究についてご紹介いたします。
最後に、その研究を進めるに当たりまして、民間等との連携を行っていますので、それについてご紹介するという、大きくは3つの構成になってございます。
次のページをお願いします。
「はじめに」としまして、このページが今日のご説明のアブストラクトになってございます。
上から2つ目のポツになります。JAXAにおいては、政策文書等に基づきまして、2040年代までの輸送ニーズの多様化などを見据えて、わが国の宇宙輸送システムの自立性確保と産業の発展に向けて、青字のところです、次世代の宇宙輸送の競争力獲得を目指した基盤技術研究を推進していると。JAXAとして研究を推進しているというメッセージが1つ。
3つ目のパラグラフになります。連携に関する記載です。この研究を推進するに当たりましては、技術課題の解決を通じて、事業化における市場創出やブレークスルーをもたらす可能性のある、初期段階の技術や事業構想を広く非宇宙産業からも発掘いたしまして、共同研究を結ぶことにより、技術の成熟を促すという活動も行ってございます。
最後に、4つ目ですけども、このような基盤技術研究の取り組みは、H3ロケットの高度化の開発をはじめとしまして、国内の宇宙輸送システムの開発における技術や人材基盤の育成に貢献しているのではないかというふうに考えてございます。
次のページをお願いします。
4ページ目は、政策文書になります。宇宙基本計画からの抜粋でございます。
下のほう、4項、具体的アプローチとしまして青字のところになります。
新たな宇宙輸送システムの構築としまして、大きく2つの文章がございますけども、1つ目の文章は、宇宙開発利用の将来像、青字のところです、にも対応する次期基幹ロケットの開発に向けた取り組みとしまして、JAXAが中心となり、必要な次世代の宇宙輸送技術の研究開発に取り組むとなってございます。
2つ目のその下の文章ですけども、高速二地点間や宇宙旅行のような中長期的な観点につきましては、取り組みを主導する民間事業者における開発・事業化を促進するため、国、JAXAと民間事業者が連携して、必要な要素技術研究を進めるとなってございます。
大きくこの2つの柱に基づき、研究活動および連携活動を行っているというものでございます。
次のページをお願いします。
5ページ目は、最初の第1回目のこの検討会において、JAXAから説明したページでございます。基幹ロケット開発方策との関係になります。指で指しているマークがございます青字のところですが、2030年代には、最小化を軸とし、打ち上げコストの低減と高頻度化を備えた次期基幹ロケットの開発を実現すると書いてございまして、その下に図が示されてございます。
緑になっているところが基盤技術研究になりますけども、この研究開発を進めることによって、右側のほう、次期基幹ロケットの実現に貢献するとともに、それだけではなく、その研究開発の成果を、下のほうにありますH3ロケットの高度化、アップグレードに適用できるものは適用し、貢献していきたいというものでございます。
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6ページ目は、時間軸を少し強調したものです。先ほどの図は、2030年代ごろまでの図になってございましたけども、改めて政策文書上は、2040年代を見据えた基盤技術研究が望まれてございます。図で示してありますけども、真ん中のほうに緑色のところで、研究開発プログラムを2040年代まで継続的にやっていき、その成果については、上の段です、基幹ロケットの高度化並びに次期基幹ロケットの検討に役に立てる。
それだけではなく、下の段です、民間主導の宇宙輸送システムにつきましても、連携等によって貢献していくと、これを中長期的に取り組む、適時、貢献を継続するということが大切だというふうに認識しております。
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7ページ目は、その例を示しでございます。図として、左側のほうに幾つか研究開発の成果の例を示しております。非火工品を使ったPAFですとか3Dプリンターを活用した技術がございますけども、この中のうち、成果を選択して次の基幹ロケットの研究開発に役に立てるという線が、右側のほうに流れる線です。
ただ、それだけではなくて、この研究開発の成果につきましては、下のほう、民間主導の輸送システムにも適用できるものは適用していただきまして、民間事業者における開発・事業化の促進につなげたいと。この将来の基幹ロケットと民間事業者におけるシステムの両面から発展させることによって、将来の宇宙輸送の理想像を実現に貢献していきたいというものでございます。
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8ページ目は、前回、5月にJAXAから説明しましたH3高度化の開発計画の案の図です。赤くマークされているところが、この研究開発の成果を活用できる可能性がある点として、今、2つ例を示してございます。
後でお読み取りいただければと思いますが、このように高度化にも具体的に貢献していくという事例があるというものです。
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9ページ目からは、基盤技術研究について、簡単にご説明していきます。
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改めて、この研究開発の目的を政策文書と併せて示してございます。
1番上は、基本計画の目標と将来像、それを受ける形で、宇宙技術戦略においても将来像が記述されておりまして、青字のところです、従来以上に多様かつ大量なペイロードの輸送ニーズが生まれるという将来像があり、これに応えるために、今この研究開発を行い、その獲得に向けた活動を行っているというものでございます。
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11ページ目は、その活動について、主にミッション、打ち上げに関するシーケンスの観点から図として示したものでございます。
真ん中のほうに図がございますけども、緑色のところ、ここは、ロケットの打ち上げフェーズになります。ロケットを打ち上げて、失礼しました。この図は、仮に1段を最小化する例として、そのシーケンスを図で示しているものでございます。緑色のフェーズでロケットを打ち上げて、その後、分離した1段が赤いところで地上のほうに降りてくると。降りてきた後は、水色のところで点検・再整備を行い、またもう一度打ち上げるという一連の流れで、この緑色、赤色、水色をそれぞれ束ねる形でシステムの技術というのがございます。
このようにシステム技術、高高度からの帰還技術等がございますけども、ここでのメッセージは、黄色く塗られているところの枠になります。
それぞれ要素技術に分けてございますけども、今、例として、1段を最小化するミッションで示してございますが、これは、1段だけ再使用するだけではなくて、使い捨て型ロケットまたは将来の有人ロケットにも活用できる技術です。このように広く有効に、今後、使っていただくということを目指しながら、研究開発活動を行っているというものでございます。
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12ページ目は、少し狭めて最小化に関する基盤技術の例を紹介してございます。
大きくは、3つのボックスで並べてございますが、左から、高高度からの帰還技術、無事に定点に降りてくる技術、さらには、高性能・軽量化・低コスト化など再使用を支えるバックグラウンドとなる技術、また、もう一度繰り返し使っていきますので、再整備、効率化する技術というのが重要であり、それぞれ研究開発に取り組んでいるところでございます。
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次は、将来に向けた有人輸送にも貢献する例を述べているものでございます。真ん中のほうに絵がございますが、有人宇宙輸送に必要な技術開発のイメージとして、大きく5つの課題をこの図で示しております。
右側の上のほうに黄色く四角でありますけども、1つは、ヒューマンファクターエンジニアリング技術、下のほうに行きまして生命維持技術、また、その下に帰還技術、それぞれ三角が付いていますが、宇宙ステーションに関する研究開発ですとか、もしくはカプセルに関する研究開発で、一部については、研究の実績があるというものです。
それ以外の赤字のところですけども、アボートとなるアボート開発に関する研究、その下のほうに、赤字ですけども、市場インフラに関するものも必要になってきますけども、こういうのが考えられるというものです。
改めて、上の文章のほうに移ります。このように、有人宇宙輸送技術につきましては、現在、宇宙ステーションに関する実績など、一部については経験がございますけども、これからさらに幅広く技術獲得に向けた研究開発活動が必要だというふうに認識してございます。ただし、現在、取り組み中の基盤技術研究の一部、この図の右側と左側のほうに黄色い四角、緑の四角、赤い四角で出ていますけども、先ほど紹介しましたこの基盤技術研究の一部につきましては、将来の有人宇宙輸送にも貢献できる有効な技術だというふうに思っていまして、引き続き、民間事業者等との連携の仕方を調整するとともに、このような要素技術研究を着実に進めていきたいというものでございます。
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14ページ目は、要素技術だけではなくて、小型ですけども、システムとしての実験機の活動を示してございます。
左側のほうにRV-Xという小型の実験機、2025年度、今年度の打ち上げを予定、右側のほうにCALLISTO、これは国際協力に基づくプログラムですけども、このような小型の実験機についても、システムレベルとして研究開発を行っているというものでございます。
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ここからは、今の研究フェーズのステータスと次へのステップについて述べてございます。
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ここでは、表になってございますけども、研究開発を大きく5段階にフェーズとして分けてございます。右側のほうにTRLとの対応を、粗くですが示してございます。
意図していますのは、左から2つ目、技術開発段階です。今までは、フェーズ1としまして、基礎的な基盤的研究、設計、検討、解析、要素技術の研究を主にやってきておりますけども、今、それらの成果を踏まえますと、次のステップ、フェーズ2です、検証目的の基盤技術研究、一部の施策等を伴い、設計とか解析を検証するような状況に来ているというふうに考えてございます。次のページをお願いします。
17ページ目は、それを少し詳しく述べているものでございます。上から2つ目のポツになります。
青字のところからです。次の検証目的の研究に進む段階に来ているというふうに、今、分析してございまして、特に、環境条件が特殊で、既に計画とある小型の実験機RV-XやCALLISTOでは検証できないような領域があります。
それは、高高度からの帰還技術になりますが、これについては、なかなか検証の機会の難易度が高いということもございまして、今後の基幹ロケットの実用化の判断に資することなどを目的として、検証目的の研究開発フェーズに移行する時ではないかというふうに考えてございます。
その下、3つ目のパラグラフですけども、このような高高度からの帰還技術につきましては、なかなか検証が難しいということもありまして、ここで獲得した技術は、民間業者においても、最小化ですとか、帰還を要する有人輸送の開発にも貢献できるところがあるというふうに考えてございます。
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18ページ目は、具体例を1つ述べてございます。下のほうに絵がございまして、ロケットが上から降りてくるのを模式的に示してございます。途中、エンジンを吹いて逆噴射をし、着陸するというフェーズですけども、青いところが高高度からの帰還に関するものでございます。
検討の進め方として、左側のほうにある四角、帰還時の誘導飛行制御に関する技術としまして、機体が有する空力的な特性または空力フィンなどのデバイスを使い、さらには、エンジンの逆噴射等を活用して目標となる場所に、定点に着陸するという制御技術が必要になります。
ただ、それに関しましては、機体のインプットとしてどのような機体特性を有しているのか、空力特性を有しているかという情報が必要でして、それに関しては、右側のほうの図になりますけども、基本は解析を重視していきますが、やはり解析だけだと危ういところがございますので、試作・試験等を行い、検証を行い、より確実なデータを基に、次のステップに進むという取り組みが必要だというふうに理解してございます。
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19ページ目は、それを改めて時間軸で示したものでございます。一番上のほうに、緑色の四角として将来輸送研究開発プログラム、この基盤技術研究のことを述べてございますが、青い字のところ、最小化等に関する基盤技術研究を行っており、それについては、下のほうのシステム実験機による研究とありますとおり、RV-XですとかCALLISTOとの連携を進めながら行っているところです。
ただ、今現時点においては、次のフェーズ、より検証に重視したような黄緑色のフェーズに移行するべきだというふうに今は考えてございます。その先のゴールとしましては、右側の下のほうに赤い点線で書いてございますけども、このような検証なり技術の獲得を踏まえて、最小化を軸とした機体の実用化に移行するかどうかの判断に供するということを目的とした研究につなげていきたいというものでございます。
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ここからは、民間との連携に関する説明になります。次のページをお願いします。
模式的に絵を示してございます。今まで説明してきましたのは、主にJAXAにおける研究開発でして、この絵で言うと、青い色のところになります。JAXAで行った研究開発は、右側のほうに線が伸びていまして、基幹ロケットや次世代の実装となるシステムにつなげていくと。
ただ、この研究開発を通じまして、事業化の見通しが高まり、技術の実用化の見通しが高まってきたものについては、民間に引き継ぐ、もしくは受け渡すことができるのではないかということを狙ってございます。
それにより、民間主導のシステムへの開発にも貢献できているというものです。
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22ページ目は、その連携に関する取り組みとして、大きく3つございます。1.としまして、民間事業者・アカデミアとの対話、コミュニケーションです。2.としまして、共同研究に関する取り組み。3.として、環境整備として、角田宇宙センターに今はロケットエンジンの設備をつくっていますが、このような取り組みを行ってございます。
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23ページ目は、その対話のツールに関して述べてございます。大きく2つございまして、1つは技術ロードマップです。いつ頃までにどのような技術が必要かというロードマップを作成し、その下のほうに書いてございますが、そのロードマップに関するワークショップ、会合を開きまして、相互にコミュニケーションを図り、共通のベクトルをそろえていくということを行ってございます。
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24ページ目は、そのワークショップの実績を示してございます。一番上の文章になりますけども、これまで4回行ってきまして、延べ79機関193名の方にご参加をいただいてございます。
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25ページ目は、これは、民間主導による宇宙輸送システムの技術ロードマップの例を示してございます。横軸が時間軸で、ボックスとしてさまざまな研究開発項目が書いておりますが、このようなロードマップをつくり、民間の技術をディスカッションしているというものでございます。
次のページをお願いします。
26ページ目は、民間主導による有人輸送に関する技術のロードマップです。同じく横軸が時間軸となっていまして、民間と対話を高めながら、いつ、どのような時に技術が必要かということの議論をしているというものでございます。
次のページをお願いします。
27ページ目は、共同研究に関する事項です。2つ目になります。絵がありますが、今までは、この赤くなっている矢印のところの活動を行ってきました。目標とするロケット、いわゆるリファレンスシステムを立てまして、それに関する課題等の抽出を行い、課題に関する研究開発を行ってシステムのフィードバックを受けるという、この赤いリングの活動を行ってきたというものです。
現時点では、それだけではなく技術課題が分かりますと、それをRFI(Request For Information)として、非宇宙産業も含めて広く情報を募り、共同研究を行うことによって、幅広い知見から、目標とする研究開発の成果を出すという取り組みを行ってございます。次のページをお願いします。
28ページ目は、その実績を示しています。表が出ていますけども、上のほうに文章として出ています。これまで3回のRFI、RFPを行ってきまして、48件の共同研究を行ってきました。
また、赤い丸と示して9個ありますけども、国内におけるスタートアップ企業とも共同研究を行っていまして、技術の底上げに貢献していると思っています。
また、3つ目のポツになります。このような活動は、一過性のものではなくて、継続的に行うことが重要だと思っておりまして、今後も継続してブレークスルーをもたらす可能性のある技術アイデア等についての発掘を続けていくという所存であります。
次のページをお願いします。
29ページ目は、その成果の例を示してございます。基幹ロケットだけではなくて、民間にも裨益した例として、左側に製造設備、製造技術に関する研究開発の成果、右側、解析に関する研究開発成果が載せていますけども、それぞれわれわれの今後の基幹ロケットに向けた研究、また、民間における活動においても、両方に利益のある成果となってございます。
次のページをお願いします。
最後に、角田宇宙センターに整備中のロケットエンジンの設備について述べてございます。一番上の文章になります。残念ながらロケットエンジンは、特殊な機材でもありまして、その試験設備は、国内には少なく、なおかつ、その試験作業そのものも、十分な経験が民間にあるとは、難しいと思っています。
このため、青字のところになりますが、JAXAが試験設備と試験実施のノウハウを提供することによって、民間の開発を効率的に底上げする、後押しするということを、今、取り組んでおります。このための試験設備を、今、角田につくっているというものでございます。ただ、この活動そのものは、民間の支援になるだけではなくて、一連の試験を一緒にすることによって、試験の実績、専門知識、経験等はJAXAにも蓄えられていきますので、これをまた改めて国内の研究開発、または、民間における技術アドバイス等のフィードバックをかけることによる、良い好循環を図ることができるというふうに考えてございます。
次のページをお願いいたします。
31ページ目は、角田宇宙センターに整備中の状況を、写真として、例として示しているものでございます。後でお読み取りください。次のページをお願いします。次のページ以降は、参考資料としまして、33ページ目にRV-X、CALLISTO等の小型実験機を紹介しておりますので、後でご覧になっていただければと思います。説明は以上です。
【阿部企画官(事務局)】
どうもありがとうございました。それでは、ここで質疑応答としたいと思います。ただ今のご説明に対しまして、ご質問、ご意見のある方いらっしゃいましたら、挙手機能で手を挙げていただければと思います。よろしくお願いいたします。
五十嵐さま、お願いいたします。
【五十嵐構成員】
三菱重工、五十嵐です。南里さん、ありがとうございます。
1つ質問というか、うんと思ったのが、いろいろな研究をやってきていて、それをいろいろと、例えば高高度の実験が難しいとかありますよねと。そうすると、H3ロケットを使ってそういった実験をやるっていうようなことも、ここには書かれてないけれども、可能性としてはあるかなと思って伺っていたのですけれども、この辺りはいかがでしょうか。
【南里ユニット長(JAXA)】
五十嵐委員、ご質問ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思っております。
今、基盤技術研究として私のほうからご説明しましたけども、この研究開発活動そのものは、現場の方々ともコミュニケーションを密に行っておりまして、今ご指摘がありましたように、H3ロケットの飛行機会を使ったような実証ということも、一つのアイデアとして挙がっておりますので、引き続き現場の方々とも連携を密にして、そのような研究計画を温めていきたいというふうに思っております。
【五十嵐構成員】
ありがとうございます。いろいろなアイデアについて議論させていただければというふうに思います。ありがとうございました。
【南里ユニット長(JAXA)】
こちらこそありがとうございます。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。他、いかがでしょうか。石田さま、お願いいたします。
【石田構成員】
どうも、石田でございます。ご説明ありがとうございました。
ご質問というよりは、コメント、意見に近いことですけれども、このテーマに関していくと、基幹ロケットの技術開発等を通じて得られた知見を、民間のプログラムにもうまく貢献できるようにしていこうという話があり、JAXAのほうで基盤技術研究されたものを、民間のほうにうまく活用してもらいながらやっていこうという、そういった考え方があると思いますが、この民間との共創、共につくるというのって、当たり前ですけど、言葉で言うほど簡単ではないと申しますか、民間との関わり、JAXAがどこまで深く関わるかみたいなところというのは、やり方によって結構いろいろなことがあるかなと思っています。
JAXAサイドが極論ミッション要求をもう示して、それに向けてつくってもらうみたいな話になれば、かなり強い立場で関わっていくことにもなり、基本的には、JAXAが技術の根源を持っていて、それを民間に移転することが目的のプログラムであれば、やはりかなり深く関わっていくと思います。例えば、今動いている宇宙戦略基金とかにおいては、JAXAのほうで技術開発マネジメントを行っていくという総論は定まっている一方で、戦略基金のプログラムみたいなものは、あくまで主体は民間である。
それを、いかに支援をしていくかというところでもあったりするので、この民間との共創といった時に、JAXAの中でも、J-SPARCの経験とか、CRD2の経験とか、今は、宇宙戦略基金でこれからたくさんの壁にぶつかる時もあると思いますし、うまくいく時もあると思いますし、いろいろなご経験を積まれていくと思うので、ぜひその辺りのものを、うまくこの輸送プログラムにおける民間との連携に何か生かしていけるような、そんなような社内の連携というか、社内プロセスの回し方みたいなものがあるといいのかなというふうに思いました。
NASAとスペースXがコラボレーションしてCRSというのは、今になっていくと、歴史的には、成功したプログラムというふうにはなっていると思いますが、当時関わってきた官側、民間側の人に話を聞くと、相当官民の連携の中で当初のイメージと違うとか、これがこうだとかっていうので、いろいろな意見の乖離とか、衝突とか、そういったものを経てああなったというふうには聞いたこともありますので、ぜひJAXAの中で、いろいろ既に民間連携されていること、これから動いていくプログラムの知見をうまくフィードバックしながら、このプログラムが進んでいくといいのかなと思いました。
以上でございます。
【南里ユニット長(JAXA)】
石田先生、ご質問ありがとうございます。2つ、まずはご回答したいと思います。
1つは、この研究開発の取り組みですけども、おっしゃるとおり、民間との連携というのは、ある意味、難しい点があると思ってございます。
1つは、これは、国のプログラムですので、民間を100%後押しするというものではなく、政策文書にも書かれていますとおり、次期基幹ロケットに向けた取り組みと連携した形で、基本は、われわれの活動と民間の両方に裨益するというところを主眼に置きながら、共同で共創体制ということをつくり上げているというものでございます。
この点には注意して引き続き研究を行っていきたいというのが1つ。
もう一つは、今日の資料にありましたが、説明で漏れてしまい申し訳ございません。基金等の関係につきましては、JAXA社内でも連携等を行っていますし、この基盤研究の開発成果等を踏まえて、一部の技術につきましては、基金のほうにステップアップされたという案件もございますので、社内および社外も含めて、引き続き連携を踏まえながら分担等をクリアにし、より効率的に研究開発を進められるように努めていきたいと思います。
コメントありがとうございました。
【石田構成員】
ありがとうございました。1点目のことに関しては、おっしゃるとおりで、基幹ロケットの開発に関しては、これは、もう国の大きな目標に対してJAXAが主体的にやっていくことだと思いますので、そういったアプローチと、一方で、そこで培ったものをうまく民間のプログラムにも使っていく、あるいは、やっていくっていったところは、おっしゃるとおりで、理想的にはそれが同時にできればいいと思いますが、民間にところでは、多分いろいろな連携の在り方とか考え方が出てくると思うので、ぜひそこのバランスをうまく取っていただければと思います。
以上でございます。ありがとうございました。
【南里ユニット長(JAXA)】
ありがとうございました。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。笠原さま、若田さま、手が挙がっていますが、まず先に、笠原さま、お願いいたします。
【笠原構成員】
ご説明ありがとうございます。1点のみ発言させていただきます。
RV-X、それからCALLISTO、それから、その次の極超音速飛行の実験計画、非常に順調に進んでいたり、あるいは計画が進んでいたり、大変感銘を受けながら聞いております。JAXAで歴史的にもこの分野、世界を牽引してきたという、そういう認識を持っておりまして、スペースXよりも早くこういうプランを立てて、着実にこれまでプログラムを積み上げていった結果が、このような形になっているというふうな認識を持っていますので、非常に大きな期待を持って拝見させていただきました。
1点だけ質問ございまして、リエントリーというか高高度という形ですが、これは、軌道上から再突入してくるものなのか、あるいは、もう少し緩やかな飛行形態からの実験なのか、そういうところは、もう詰められているんでしょうか。すいません。技術的な質問で恐縮なのですが、もしご説明いただけるようであれば、ぜひご紹介いただければありがたいです。以上です。
【南里ユニット長(JAXA)】
笠原先生、ご質問ありがとうございます。ご質問の点についてですけども、まだ確定していないですが、基本、今は、両方をにらみながら研究を行っているというフェーズでございます。1段再使用ということを前提にしますと、高度100キロからでして、結構なスピードで降りてくることになります。それが一つの研究課題であるということと、もう一つは、軌道上から降りてくることも踏まえた研究も進めておりまして、一応、両方ともにらみながら進めているというところでございます。
【笠原構成員】
どうもありがとうございます。引き続き応援しております。以上です。
【南里ユニット長(JAXA)】
ありがとうございます。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。若田さま、お願いいたします。
【若田構成員】
ありがとうございます。1点コメント、それから、1点質問がございます。
26ページでございますけれども、民間主導での有人宇宙輸送技術というところで、コメントですけれども、やはり米国のCCP、CRSという有人輸送システム、それから輸送システムが成功しているのも、ISSが、拠点があったからでございますので、やはりこの技術課題を解決していく中で、今後の地球定期移動拠点との連携というのは、非常に重要なのかなというとこが1つ、コメントでございます。
そして、13ページで5つの技術課題、抽出していただいて、それがこの26ページにきちんとフローダウンされていると思います。ここ、質問ですけども、実証というのが絵の中央にございますけれども、この実証自体というのは、どこで実施されることになるのでしょうか。この上のほうにございます無人オービタル宇宙輸送とかサブオービタルと、そういったアセットを使ってこの技術課題を、技術項目の実証をするという計画になっているのでしょうか。それが質問でございます。以上です。
【南里ユニット長(JAXA)】
若田委員、ご質問ありがとうございます。ご質問に対してですけども、この図は、民間主導による有人輸送技術に関するロードマップをまとめたものでございまして、この実証と書かれているところは、現時点でJAXAが主体的に行うというよりは、民間がこの頃に実証を行いたいというお話を聞いて、このロードマップに記しているというものでございまして、具体的にどの実証、どういう形態でやるかというところは、残念ながら、今この時点で明確になっているというものではございません。
【若田構成員】
了解いたしました。ありがとうございます。
【南里ユニット長(JAXA)】
ありがとうございます。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。続きまして、丹生先生、お願いいたします。
【丹生構成員】
文理大学の丹生です。質問ですけれども、30ページに角田のエンジン燃焼試験が、設備を民間も含めて開放できるように整えましょうというのは、非常にいいことだと思いますが、ニーズに合った設備仕様でないとなかなか使ってもらえず、使いたいけれどもちょっとオーバースペックだったといったことがあると思います。国内のそういったニーズをどういうふうに収集して、どういう仕様に設定されようとしているのかを教えてください。
【南里ユニット長(JAXA)】
丹生先生、ご質問ありがとうございます。
この角田における試験場を整備するに当たりまして、数年前からですけども、想定となるユーザー、もしくは試験設備を希望されている方も広く集まっていただきまして、そういう民間からの声、こういうふうな試験をやりたい、こういうふうな実験をやりたいという要望・要求をまとめて、それをなるべく実現できるような試験設備を構成してございます。もちろん試験装置の規模、推力のレベルとかいろいろな制約等はありますが、極力、民間も含めたユーザーの意見を聞いて、それを満足するような設備仕様という取り組みを行ってございます。
【丹生構成員】
31ページを見ると、もう工事が始まっているということは、もう仕様は確定されていますか。
【南里ユニット長(JAXA)】
ほぼ確定してございます。
【丹生構成員】
そうすると、それは、一般に公開されている情報なのでしょうか。
【南里構成員】
すいません。現時点で広く公開しているというところまでは至っていませんが、いわゆる想定されるユーザー、お声がけしたユーザーがありまして、参加を希望されている方には、設備の仕様をお話しして、具体的な使用目的、利用時期等についての調整を行っているところでございます。
【丹生構成員】
将来的には、そういった一般公開みたいなことも考えてらっしゃるのですか。
【南里構成員】
おっしゃるとおりです。ただ、技術情報になりますので、どこまで開示できるかっていうことは、注意が必要ですけども、基本、こういう設備、もしくはユーザーが知りたい最低限の情報は、開示するというふうに考えます。
【丹生構成員】
分かりました。ありがとうございます。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。他、いかがでしょうか。矢木さま、お願いいたします。
【矢木構成員】
ちょっとまた毛色の違う質問ですけども、5ページとかに、全体的な研究開発と、あと基幹ロケットの関係性っていうのが整理して図解されていると思いますが、私の質問は、結構、基幹ロケットの高度化開発に関しては、ブロックアップグレードっていう形で、ある程度、明確にステップが見えてきているのかなというふうに思いますが、そこと、その次の次期基幹ロケットっていうところの関係性っていうのが、今は非常にぼやっとしているようなところがあるかなと思っていまして、研究開発を進めていく中で、この次期基幹ロケットシステムというのをどう考え、どういうふうに定めていくのかっていうのと、いろいろ民間とも協力しながら進めていくという研究開発との関係性、あと、その次期基幹ロケットのシステムの定め方っていうのは、どのように進めていかれる考えなのかっていうところを、もう少し理解のために教えていただきたいと思います。
【南里ユニット長(JAXA)】
矢木先生、ご質問ありがとうございます。今この画面に出てきておりますとおり、次期基幹ロケットにつきましては、まだ具体的な仕様や内容については、確定しているというものではございません。
例えば、最小化を軸としてございますけども、現時点において最小化が確実に日本でできるのか、もしくはその効果、コスト低減効果ですとか、高頻度化に至る効果ですとか、ミッションに関する要望ですとか、そういうのを踏まえて、最終的にどのようなシステムにするのかということをつくり上げていかなければならないと思っています。
この研究開発は、途中のページでもございましたけども、基本は広い目的、再使用とか、あるシステムに限らず、使い捨て型であり、最小型であり、有人等にも幅広く使えるような研究開発を行い、今後のシステム検討としてまとめていくに当たっての、ある意味ネタです、こういうふうなものができます、こういうふうなことができますというようなものを挙げていくような活動ではないかというふうに思っています。
この結論を踏まえて、将来の輸送系に関するニーズとか動向等を加味してシステムというのがつくり上げられていくというふうに考えております。お答えになってますでしょうか。
【矢木構成員】
分かりました。そういう意味で、今は、たくさんネタをつくり上げている段階だというところで、そういった研究開発の動向も見定めながら、次の次期基幹ロケットをどうしていくのかというのは、また別途、考えていくというような進め方ということと理解いたしましたけども、よろしいでしょうか。
【南里ユニット長(JAXA)】
はい。ありがとうございます。ただ、他にJAXA側から補足等があれば、ご説明お願いいたします。
【岡田構成員】
岡田ですが、よろしいでしょうか。
【阿部企画官(事務局)】
どうぞ。
【矢木構成員】
よろしくお願いします。
【岡田構成員】
大体、今のお話のとおりですが、別の言い方をしますと、次期基幹ロケットというのは、どちらかというと、システムそのものはミッション・プルだと思っていて、このロケットをどう使うのかっていうところをしっかりと見定める必要があるわけですね。そういうことをやる部隊と、それから要素研究をする部隊、極端に言うと、それらを別仕立てにして、そこを密にコミュニケーションしながら進めていくのだと思います。どこかのタイミングでロケットのシステムの概念をつくる時に、そこを合流させるっていうふうに私自身は考えております。
【矢木構成員】
岡田さん、どうもありがとうございます。非常に明確に理解できました。ありがとうございました。
【岡田構成員】
ありがとうございます。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。他、ご意見いかがでしょうか。お手、挙がりますでしょうか。よろしいでしょうか。では、議題3につきまして、ここまでとさせていただきます。ありがとうございます。
【南里ユニット長(JAXA)】
ありがとうございました。
【阿部企画官(事務局)】
では、本日の公開での検討は、ここまでとなります。
事務連絡として、会議資料と議事録の公開について申し上げます。
本日、ここまでの会議資料は、文部科学省のホームページに既に掲載させていただいております。
また、ここまでの議事録につきましても、構成員の皆さまにご確認いただいた後、文部科学省のホームページに掲載させていただきます。
次回の開催につきましては、6月中の開催を予定しておりますが、別途ご連絡いたします。
本日は、ご議論、誠にありがとうございました。
(了)
研究開発局宇宙開発利用課