令和7年5月15日(木曜日) 11時00分~13時00分
Web会議
(構成員)
三菱重工株式会社 防衛・宇宙セグメント 宇宙事業部 事業部長 五十嵐 巖
一般社団法人SPACETIDE 代表理事 兼 CEO 石田 真康
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 理事 宇宙輸送技術部門 部門長 岡田 匡史
東海国立大学機構名古屋大学 未来材料・システム研究所 教授 笠原 次郎
日本文理大学 工学部航空宇宙工学科 教授 丹生 謙一
株式会社IHIエアロスペース 宇宙輸送事業推進部 部長 矢木 一博
東京海上日動火災保険株式会社 航空宇宙・旅行産業部 宇宙保険専門部長 吉井 信雄
【阿部企画官(事務局)】
基幹ロケット開発に係る有識者検討会を開始いたします。
事務局で本日の検討会の進行を務めます文部科学省宇宙開発利用課の阿部と申します.
どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、構成員のうち若田さまが欠席となってございます。
本日の資料ですが、議事次第のとおりとなっております。
本日は、前半は公開での検討、後半は運用規定にのっとり、機微情報等含まれるというところがございますので、非公開での検討とさせていただきます。
オンライン状況につきまして、音声がつながらない等ございましたら、事務局へメール、電話等、ご連絡いただければと思います。
それでは、本題に入ります。
前回の検討会におきましては、文部科学省から基幹ロケットについてこれまでの政策的な流れについての説明を、続いてJAXAからH3ロケットの開発状況およびH3高度化に向けた現状の課題意識についてのご説明をいただきまして意見交換を行っていただきました。
その際いただいた主なご意見等について事務局の責任においてまとめさせていただきましたので、まずそちらを振り返りとしてご説明させていただきたいと思います。
資料1-1をご覧ください。
今、画面に映っているところでございますけれども、前回の第1回ということもありましたので、本検討会において検討いただきたい事項というところで大きく2つ挙げさせていただきました。
H3を高度化していくことにつきまして、高度化を目指すべきところであり、またアップグレードの具体的な内容、2030年度も見据えて開発を進める必要がある事項は何かといったところ。
また、(2)として、H3の高頻度化、高頻度打上げについてということで、種子島から打上げ高頻度化に向けた課題と取り得る方策、また50号機で退役する予定になっておりますH-ⅡAロケットの専用射点、ここの戦略的な取り扱い、こういったことが検討事項としてあるだろうということで最初に示させていただいていたところです。
続いて、そういったことも踏まえまして、検討会第1回でどういったご意見があったかという簡単に振り返りをさせていただきますが、まず事業性のところについて、今後は事業として成立していくこと、あと成長していくこと、そういったことが必要だというご指摘がありました。
また、打上げはリスクの高い事業であって、チャレンジしていくことをしっかりと説明していく必要があるのではないかという点。
さらには、事業として短期的・中期的に大事な点として、顧客にとって何が大事か、そのニーズをプロジェクトの中に盛り込んでいくこと、また長期的には企業として事業を成立させていくために事業を維持、成長していくことが重要であるという点。
(4)になりますけれども、事業展開を踏まえた開発が必要であって、ブロックアップグレードと密にリンクさせて充実した開発を進めることが重要であると。
(5)ニーズと課題に対して、ブロックアップグレードにより短いサイクルでさまざまな武器を身に付けていく方法で前進していくことは大変大事なアプローチではないかという点。
(6)として、オリジナリティーのある部分や得意な部分に特化しながら、小回りを利かせながら、他がキャッチアップできないようなところで勝負するということも大切ではないかと。
(7)本当に勝つための手段、勝機を得るための方策、こういったものを見いだしていくことが重要ではないかと。
(8)基盤的なところに力点を置くことは重要であると。フロントローディングを進めながら、技術を着実に立ち上げていく考え方は非常に重要ではないかというご指摘もいただいております。
次のページになります。
(9)基幹ロケットだけの研究開発ではなくて、将来に向けた基盤技術としての研究開発も併せて重要ではないか。
(10)信頼性の向上として、長期的な展望で有人もスコープに入れて進める、こういったことが合理的なアプローチではないかという点。
(11)国際競争力は重要な視点であって、コストや頻度も含め考えることが必要ではないか。
(12)打上げの高頻度化について積み上げて考えることと、将来の目標、理想の姿から逆算して考えること、これを両者擦り合わせていくことが必要ではないかということ。
(13)アンカーテナンシーは、方向性を検討する上でも、国際競争力の観点からも重要であるという点。
(14)人材育成は時間のかかる長期的な課題であって、例えば観測ロケット等で実際に経験する機会も有効ではないかという点。
(15)政策として基幹ロケットの意義・必要性をしっかりと説明していくことも必要だという点。
(16)非常に強い輸送システムを日本として持つことは、自立性の観点、産業競争力の観点で極めて重要だという点。
最後、(17)基幹ロケットとしては、イプシロンSロケットの将来についても議論が必要ではないかといった、こういったご意見を、会議後に頂いたご意見も含めてになりますけれども、まとめさせていただいております。
その上で、次のページになります。検討を深めていただきたい事項というのを簡単に箇条書きさせていただきました。
まず1つ目ですが、H3ロケットの目指すべき姿は何かと、求める成果は何なのかという点。
2つ目が、開発手法、アプローチ、そういったものが適当かどうか。
3つ目として、ブロックアップグレードにおける各ブロックの考え方が適当かどうか、適切かどうか。
4つ目として、世界動向等を踏まえた際、スケジュール感、そういったものは適当かどうか。
最後、⑤としまして、将来像を見据えた際、官民の役割分担、こういった観点は適切かどうか。
こういったところを頭に置きながら、本日の議論が進められればありがたいかなと考えております。
まず、これらにつきまして何かご意見等ございましたらお願いいたします。
よろしかったでしょうか。
後ほど意見交換の時間を設けておりますので、その中でも併せてご意見等いただければと思っておりますので、次、進めさせていただきたいと思います。
それでは、議題2になります。H3ロケットの高度化、高頻度化についてということで、検討状況につきまして、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構H3プロジェクトチーム寺島ファンクションマネージャ、よろしくお願いいたします。
【寺島ファンクションマネージャ(JAXA)】
JAXAの寺島と申します。よろしくお願いいたします。
それでは、資料2-1に沿ってご説明していきたいと思います。
タイトルとしては「H3ロケット高度化の検討状況」ということで、2ページ目、目次です。
「基幹ロケット事業のあり方」というところからスタートしまして、先ほどご紹介ありました今回の目的である高度化の意義・必要性ですとか高度化の成果目標、それから開発計画案というところが議論できるようにまとめてまいりました。
次のページお願いいたします。
3ページ目、「はじめに」です。
第1回の検討会、3月に行われました。その状況は、先ほどご説明があったとおりでございます。
並行してJAXAでも中で、このH3ロケットの高度化を立ち上げていくに当たっての計画の確認会等を開催してまいりました。
そのような状況を踏まえまして、この資料ではH3ロケット高度化の意義・必要性、それからプログラム全体の成果目標、それから各Block、ブロックアップグレードということを後ほどご説明しますが、その各Blockの成果目標、開発計画案というところに関して検討状況を報告するという資料になっております。
次のページお願いいたします。
第1回の資料でお示しした課題認識、もう一度ひも解きますと、下のほうに第1回の資料を引用しておりますが、3つ大きな課題のカテゴリーとして示しております。
1つは、官需衛星の着実な打上げに関する課題認識、それから国際競争力強化に関する課題認識、それから技術・人材・産業基盤維持向上という観点での課題認識です。
このような3つの課題認識に沿ってH3高度化の意義等ひも解いてまいりますが、これらの課題の根底に共通的にございますのは、基幹ロケット事業の継続に対してH3の開発着手時点からの状況変化に起因したリスクであるというふうに分析しております。
そこで、この資料では、まず基幹ロケット事業の在り方というのを2項で示した上で、それ以降、課題認識を出発点とした高度化の意義・狙い、検討状況というところを述べてまいります。
次のページお願いいたします。
2項、「基幹ロケット事業のあり方」というところです。
元々H3ロケットの開発を立ち上げた当時、2014年にさかのぼりますけれども、政策文書として以下の内容をお示ししております。
この基幹ロケット、H3ロケットがよって立つ政策としては、1つは自立性の確保が必要であると。2つ目は、国際競争力のあるロケットおよびそれを使った打上げサービスというものが必要であると。
この2つの大きな基幹ロケットとして獲得すべき柱をベースに、官民役割分担というのもこの政策文書の中で示されております。
その中では、官需をベースロードにしつつ、民需の獲得によって打上げ機数の確保を行っていくということを必要と言及しながら、それに向けた開発段階、運用段階、それぞれにおける官民の役割分担というものを定めております。
詳細は割愛していきますが、開発段階、運用段階、JAXA、民間事業者、このような形で協力し合って基幹ロケットの自立性と国際競争力を確保していくというものが基幹ロケットの事業でございます。
次のページお願いします。
この官民役割分担に関しては、基本協定というものに落とし込まれて現在も有効な考え方となっております。
それに対しまして、現在のH3ロケット運用段階に至った状況を真ん中辺に示しております。
左側に書いていますのは、このH3ロケットを運用していくに当たって量産体制を維持していくためには一定の打上げ機数の確保が必要という状況。それに対して、現状、宇宙利用が民需を中心に大きな広がりを見せている中で、民需を中心にカバーしていかなければならないと。そういう可能性が出てきてまいりまして、運用段階の打上げサービスの継続というものが非常に重要になってきている状況と考えております。
また、右側のほうにもう一つの切り口として掲げているのは、宇宙輸送を巡る環境の激変でございます。宇宙基本計画のほうでも、基幹ロケットの継続的な運用と強化を行う方針が必要ということで改訂がなされております。
それを踏まえて、総合システムの継続的な強化が必要というふうに認識しております。
この総合システムと申しますのは、H3ロケットというのが単にロケットの機体、システムだけではなく、それの整備や打ち上げ、運用するための地上施設・設備等のシステム、それから地上での整備時、それから打ち上げ飛行中の安全を確保するような打上げ安全監理システム、そういうふうな総合的なトータルシステムとして構成されているものでございます。それを総合的に強化していくということが必要というふうに認識しております。
これを踏まえた基幹ロケット事業の在り方として、下にまとめておりますとおり、先ほど申しました政策的に必要な自立性、国際競争力、それを維持していくためにロケット総合システムの開発・維持、それから打上げ機数を確保するための打上げサービス、これを両輪として事業として推し進めるというのが、今後も継続していくべき事業の在り方であるというふうにまとめております。
これを踏まえまして、次のページお願いいたします。
次のページは、先ほど述べました政策文書や宇宙基本計画の該当するページを参考に抜粋して示したものですので割愛いたします。
次のページ、8ページ目、お願いいたします。
ここからは、以上述べたような基幹ロケットの事業の在り方に対して、第1回で示した各課題認識、3つの課題認識を示しております。
それをベースに、高度化していく意義・必要性、それで獲得できる価値というものをまとめたものです。数ページにわたってご説明してまいります。
まず8ページ目は、1つ目の課題認識、官需衛星の着実な打上げという中で、特に自立性に関わりますような例えば安全保障ミッション等の政府の重要な衛星を必要な時に確実に打ち上げるために必要なことでございます。
現状の課題としては左側にまとめておりまして、それに対して高度化をやっていくことによって獲得しようとする価値を右側に整理するという形で示しております。
キーワードを抜粋してお話ししていきますと、現状の課題に関しては、例えば今後の需要動向への変化というのを踏まえて自立性を確保するために打上げ能力を確保していくことが必要。
また、2つ目に示していますのは、需要のみならずスペースデブリの低減ですとか、そういうような社会的な要請に対応するために必要な打上げ能力の余裕も確保していかなければならない。
それから、3つ目の課題認識、天候起因によって打上げ延期というのが昨今相次ぐ状況というのも踏まえまして、よりロバストに打ち上げられるような方向が必要。
それから、4つ目に示しておりますのは、社会的に打上げ高頻度化、よりたくさんのロケットを上げてほしいという要請が高まっていく中、打上げの間隔が短くなることによる影響と。
こういうような課題の認識、具体化に対して高度化としては、まず1つ目、打上げ能力の向上を行っていくことが必須であるというふうに認識しております。
これによって動向変化への対応ですとかデブリ低減等の社会的な要請にきちんと応えていきつつ、重要なミッションを確実に打ち上げていくということを達成いたします。
それから、2つ目に書いておりますのは、天候制約の緩和ですとか打上げ運用の高度化、設備の追加整備というようなところを行いまして、特に打上げ事業者にとっても顧客にとっても重要な打上げ機会をしっかり逃さず確保し、拡大していくということを考えております。
次のページお願いいたします。
9ページ目では、官需衛星の着実な打ち上げのもう一つの切り口として、探査というものへの対応になります。
高度化の意義・必要性のところに書いておりますのは、わが国の宇宙活動のさらなる広がりを見せている中、その自立性の確保に必要な将来の宇宙輸送を提供していくという中で、現状の課題のところに示しておりますように、世界的には月等への大型の貨物輸送に対応したような輸送システムが開発されて、わが国の宇宙活動のさらなる広がりが今後想定されております。
そういうふうな中、将来的に国際協力体制等の下、従来にない大型輸送のミッションが必要となると、それに対してどのように基幹ロケットとして対応していくかという方針を検討することが必要となっているという認識です。
これに関して右側の高度化の価値のところでございますが、まず先ほど述べましたように打上げ能力を向上した高度化の機体を使って、このような将来のミッションへの確実な対応計画を持っていくということで、日本としての将来のミッション動向に備えることができること。
それから、そういうふうな大型輸送を行っていく際には、複数の打上げを短い間隔で行って、それを軌道上で結合してさらに軌道を上げていくというようなことが必要となってまいります。
そういうようなことに対応することで、単に探査ミッションへの対応のみならず、連続した打上げが必要なコンステレーションなど広いユーザーの要望によりフレキシブルに対応可能となっていくことで、このような価値を高度化では目指していきたいというものです。
次のページ、10ページお願いいたします。
10ページは、2つ目の課題の観点、国際競争力強化というものです。
意義・必要性としては、商業打上げ市場の変化に対応して、事業維持に必要な打上げ機数を安定して獲得していくというものです。
かつてロケット事業っていうのは非常にフロンティアであって、チャレンジングなことを達成するということに重きが置かれておりまして、そのようなチャレンジングなことをやっているということには変わりはないものの、さらには昨今、事業としてしっかり成立してそれを成長させていくと、そういうふうなところが必要になってまいります。
そういうようなところの必要性を踏まえて現状の課題のところ、3つ、左側にまとめています。
1つは、競合ロンチャーの動向ですとか商業市場の変化、その変化に対してより能力を向上して打上げの受注機会を拡大していくことが必要になっていくということ。
それから、従来よりも短期間に複数回連続で打ち上げたいと、そういう需要がかなり一般的に増えております。
そういうふうなものへの対応が必要となっていること。
さらには、3つ目として、国内外で小型衛星の打上げの需要が増大している傾向にあります。
それに対して、国内からの打上げ機会をしっかり提供するということが必要ではないかというものです。
それに対して高度化の獲得する価値を右側に示しておりますが、1つは打上げ能力の向上と連続打上げ等の柔軟な対応ということで、こちらは打上げ機数をしっかり確保していくための国際競争力を付けていくという価値でございます。
それから、2つ目の四角に書いておりますのが、ライドシェアという増大している小型衛星の打上げを相乗りで上げていくというような仕組みを新たに構築することによって、より多様な衛星の打上げニーズに対応していく。
それによって、能力のみならずサービスでも国際競争力を強化いたしますし、宇宙戦略基金等の新たな国内民間事業者の参入に対しても、打上げ機会を広く提供していくというような価値が提供できるというふうに考えております。次のページお願いいたします。
11ページです。こちらは、3つ目の課題のカテゴリー、技術・人材・産業基盤維持向上というところに関する説明です。
意義・必要性としましては、技術・人材の維持・強化のために開発および安定した打上げ運用を続けるということで、現状の課題のところに3つ示しております。
1つ目、特にこのH3開発を長い期間かけてやってまいりまして、非常に多くの苦難を乗り越えて、JAXA、それからメーカーの技術・人材を再び培うことができました。
それを一過性のものではなく、しっかり維持・強化して伝承していくということが必要だというふうに考えております。
また、安定した打上げ運用という観点では、今、H3は年間6機の打上げ運用が可能ですけれども、今後、経済情勢の変動等を考えますと年間打上げ機数を増やしていくということが望まれるという課題。
それから、3つ目は、先ほどもお話ししましたような宇宙戦略基金ですとか新たな宇宙産業全体の基盤拡大を背景にして、より高頻度の打上げ機会提供っていうのが社会的に非常に強い要請となっていると。
それを踏まえまして、高度化で獲得する価値として右側にまとめています。
1つは、技術の伝承等の観点で段階的な開発をシームレスに行っていくということ。
それによって技術・人材の基盤を維持してまいります。
それから2つ目は、H3の打上げ運用構想を進化させて、高頻度な打上げ計画を実現するということで、ユーザーにとって価値の高いロケットシステムにしていくこと。
さらに、それを一過性のものではなく、長期間にわたって安定して運用していけるような長期運用性というものを獲得していくと。
それから4つ目は、そのように打上げの頻度が上がっていく中、より打上げの自由度を向上していくというところが価値になってまいりますので、特にJAXA内での技術的な運用スキームというものをしっかり構築しまして、頻度が上がっていった状態での打上げ自由度の向上というところに貢献していくと、そういうことを価値として考えております。
※1として上のほうに示しております技術・人材基盤の育成というところ、第1回の会合でも議論になりましたので、12ページに少し考え方を詳細に書いております。
上のほうの四角の中に書いておりますのが基本的な考え方でして、特に技術と人材の維持向上というのは継続的にやっていく必要がございます。
将来的にさらにニーズが多様化することで非常に幅広い宇宙システムが必要になっていく中、さまざまな技術を持つ人材をいろんな機会を活用して育成していく必要がございます。
そのうちの一つとして基幹ロケットの役割としては、冒頭述べましたような総合システムの開発の機会になります。
これは、H3高度化等を含めた継続的な開発機会を確保しまして、マネジャー、若手、両方開発に従事することを通じて技術を継承して人材を育成していく。
特に、このような大型システム、System of Systemsというものでして、これをブロックアップグレードしていくという取り組みで、システムズエンジニアリングというような分野での人材育成の観点でも効果的な取り組みと考えております。
それだけではなくて、さらにはこの基幹ロケットの基盤技術を踏まえたわが国全体としての底上げというものが必要になってまいると考えております。
これに関しては、以前、昨年度の宇宙開発利用部会等でも報告しておりますが、各種研究開発プログラムを用いて官民連携の取り組みを行っております。
そのような中、基幹ロケットのみならず、わが国の輸送系全体としての基盤の底上げを図っていくという取り組みもございます。
それから、さらには将来のミッションの企画・立案というものも必要になってまいります。よりイノベーティブな将来のミッションを達成していくためには、こういう研究開発をただやるだけではなく、その出口となる次期基幹ロケット等のシステム検討の取り組みを行うことで、そのような大規模な将来システムを構想できる人材を長期的な観点で育成していくということを考えております。
このような中で、大規模システムの開発経験のみでは得られないようなシステム全体を理解、経験して、実際に手を動かして体験していくような短期的・効果的な取り組み、こちら第1回の検討会でも議論ございましたけれども、若手職員による観測ロケットを使用した宇宙実証装置の研究等、そういうような取り組みを例にして今後引き続き推進していくというふうに考えてございます。
次のページお願いいたします。
13ページ、これらの課題を踏まえまして、かつH3ロケットの強み・弱みというところを踏まえて、H3高度化の戦略、方向性というところをこのページでサマリーしております。
点線の四角の中に書いております1つ目は、H-ⅡAの経験から培われてH3の強みとなっております信頼性と付加価値の高い打上げ運用を継承していくということで、H3をベースにしたブロックアップグレードの方式を採用してまいります。
2つ目として、より海外のロケットが対応してない、あるいは不得意なミッションに対してH3の強みを生かして取り込んでいくということで、こちら後述のBlock3、4というところで打上げ能力を向上していくというところにつなげてまいります。
3つ目としては、H3が現状では対応していないミッションに打上げ需要への対応拡大をしていくということで、新たな打上げ機会ですとか顧客を広げていくと。
それによって宇宙利用のさらなる拡大に貢献していくというものです。
こちらはBlock1におけるライドシェアですとかBlock4における大型輸送の対応っていうところで実現していく方向性としております。
それから最後、打上げ計画ですとか運用の柔軟性における課題を解決して、より顧客にとって価値の高い打上げサービスに進化させていくとともに、打上げ機会を拡大していくということで、こちらはBlock2として高頻度な打上げ運用の実現と長期運用性の獲得というところを考慮しました。
このような柱で高度化をまとめていくということを考えております。次のページお願いいたします。
ここからは4章としまして、今申し上げたような意義価値を出していくための成果目標としていくことをまとめております。
4.1項では、高度化が目指す姿ということで、今のH3ロケットのコンセプトに対してH3開発を経験した上での課題、それから現状のH3ユーザーの声というものを踏まえまして、この高度化が目指す方向性、コンセプトとしては、1つは変化する市場への対応力を強化していくこと。
それからもう一つは、よりユーザーの利便性が高い高頻度な打上げ運用性を確立していくと、この2つに収斂されるというふうに考えております。次のページお願いします。
15ページ、それを踏まえまして、H3ロケット高度化の目的と全体で達成すべき成果目標というものを整理いたしました。
目的としては、H3の潜在能力を引き出す、H3を磨いていくということになりますが、それによって変化する市場への対応力の強化、それからより高いレベルでの打上げ運用構想を進化させていくということで、最終的にはこれらを踏まえて顧客にとっての価値を最大化していくということをキャッチフレーズに成果を導出していきたいというふうに考えております。
次のページをお願いいたします。
今述べた2つの成果目標というところをもう少しロケットとして、総合システムとして獲得していくべき成果目標にブレークダウンしたものがこのページでございます。
ロケットに付加する機能等を考えながらブレークダウンした結果としまして、右側に示している4つの成果目標、こちらが高度化で創出していくべき成果目標になるというふうに考えております。
1つ目は打上げ能力の向上、それから2つ目は対応可能なミッションの拡大、3つ目は高頻度打上げ運用構想の実現、4つ目は長期運用性の獲得と、この4つの成果目標を最終的に得るというためにH3ロケット高度化を進めていくべきではないかというふうに考えております。
次のページお願いいたします。
今述べたような姿、特に変化に対応していきますというのを実現するためには、H3ロケットの仕様とかコンセプトだけではなく、開発手法自体も従来から変えていくべきではないかという議論をしております。それをこのページから4.2項で少し示していきます。
現状の課題認識を下に書いておりますけれども、2つですね。
1つは、外部動向の変化に開発が追い付いていかないということで、従来、10年程度の期間をかけて全体システムの開発を行っていくというのが主流だったので、その間に昨今の市場ですとか競合環境の変化が激しい中で、それが変わっているというのが課題認識の1つ目です。
それから2つ目は、需要動向に応じたタイムリーな市場投入ということで、これも商業打上げ市場の移り変わりの早さに起因しますが、おおむね2年後くらいに打ち上げたい衛星っていうのがロケットを探していく。
そこから、需要動向のトレンドが見え、それを逃さないためには、2年程度で市場投入できるようなスピードでの開発が必要になっていくというものです。
次のページお願いいたします。
そのような課題認識を解決するために、方針としては3つですね。
開発を短サイクル化すること、こちらブロックアップグレードにつながっていきますが、より変化に対応しやすいように部分的な改良を短サイクルで繰り返していくと、そういうスタイルがよいのではないかというのが1つ目です。
それから2つ目は、ミッション要求とシステム定義をタイムリーに更新していくということ。
これも動向の変化の速さに対応していくためには、下のほうに少しポンチ絵で示しておりますが、従来のように初期にミッション要求とシステム定義を固定して大きな開発をやっていくというよりは、そこをタイムリーに動向の変化を更新しながら必要な部分の開発の立ち上げの時にそれを固めていくと、それまでは更新し続けると、そういうふうな開発のやり方が必要ではないかというのが2つ目。
3つ目は、市場投入のスピード重視ということで、ミッションをひとたび定めた後では、およそ2年程度で市場投入できるようなスピードを重視していくと。
そのために、この「フロントローディング」という言葉を書いておりますけれども、しっかり技術を熟成させた上で開発に移行するということで、手戻りのない着実な短期間での開発と市場投入をやっていくということで、従来のやり方と比較して、最終的な到達までの期間は一緒でも、その間に部分的に開発をしながら逐次市場投入をしていくと、そういう進め方が適切ではないかというものです。
次のページお願いいたします。
これを実現するためのH3ロケット高度化の進め方のまとめを19ページに示しております。
高度化としては、一つの大きな開発プロジェクトではなく、幾つかのBlockを並行して開発を進めるブロックアップグレードという形で進めていく。
それによってフロントローディングの状況ですとか外部動向・ニーズの変化を踏まえながら柔軟に開発移行できる。
そういうふうなプログラムとしての取り組みを行っていくことで、着実かつ短期間での段階的な開発実行を目指してまいります。
プログラム全体での成果目標というものは堅持しつつ、各Block、フロントローディングで十分技術が熟成されたものから、その時点での動向を反映しながら各Blockの開発を立ち上げていく。
こういうふうなアップグレード方式で、最終的にプログラム全体を通して大きな成果を創出していくというものです。
次のページをお願いいたします。
このようなブロックアップグレードでやっていくということが確実と考えておりますので、では先ほど述べました全体での成果目標をどういうふうに各Blockの目標に割り付けていくかというところを20ページに示しております。
おさらいになりますが、成果目標としては打上げ能力の向上、対応可能なミッションの拡大、高頻度打上げ運用構想の実現、長期運用性の獲得という4つの柱を示しました。
これに関しまして、最終的な目指す姿に至るまでの必要な時期と、その実現に要する時間のバランス等を考慮して考えたのがこの割り付けでございます。
Block1では、サブシステムレベルを短期間で開発していくということに重きを置いて、対応可能なミッションの拡大、より顕在化しているニーズの変化を踏まえたライドシェアのミッション対応というところを主眼に取り組んでまいりたいと考えております。
また、Block2では、打上げ運用課題を継続的に改善し、適時反映していくということで、この運用構想を段階的に改善していくという取り組みをBlock2で取り込んでいきたいと思っています。
それから、Block3に関しましては、こちらは十分なフロントローディングを要するシステム開発ということで、こちら国際競争力の強化に必要となる打上げ能力の向上を主眼として、そのために2段の能力を増強していくということをBlock3として取り組みたいと考えております。
それから、Block4、こちらは将来ミッションへの発展を見据えた開発ということで、将来の国際協力ミッションですとか探査等の大型輸送需要への対応を通して、さらにその先、次期基幹ロケットの早期実現等に向けた基盤の引き渡し、橋渡しを担っていくというものをBlock4として取り組みたいと考えております。次のページをお願いいたします。
21ページです。
これらのBlockを実現していくことによって、顧客に対してどういう価値を出していくかということです。
全体の目標のところで述べましたように、顧客にとっての価値向上というのを大きな柱とした時に、各Blockで成果を出していく中で、顧客目線での価値としては、まずBlock1の成果によって今のニーズの変化に合致した打上げ機会が得られます。
さらにBlock2の成果で、それを打ち上げていくようなフレキシビリティーを持った計画を立てやすく、必要な打上げ頻度を獲得できます。
さらには、Block3の成果があることによって、より大型の輸送も含めて構想の視野に入っていき、ミッションの自由度が拡大していく。
さらには、Block4の成果というものを踏まえまして、より将来を見据えたニーズの掘り起こしですとか新たな需要創設によって、さらなる宇宙利用の拡大っていうものが図れるのではないか。
そうすることでさらにニーズが変化してくような、このような価値の好循環というものを高度化では実現したいというふうに考えております。
そのためにこのBlock1からBlock4というのを一体不可分なプログラムとして全体を進めるというような進め方を考えておる次第でございます。
次のページをお願いいたします。
こちらのページは、各Blockで達成する成果をまとめたものです。
Block1ではライドシェアの対応、Block2は運用強化、Block3は打上げ能力の増強、Block4は大型輸送の対応と、それぞれH3にこのような属性を新たに持たせていくことで、それを並行して進めながら将来の打上げ機数とか需要を見据えた時に、全体でプログラム全体の成果目標を出していくことで、ライドシェアによる打上げ機会の確保、それから打上げ能力向上による競争力強化、さらには次世代のミッションと打上げ頻度への対応というところを、トータル出していくというふうに考えてございます。
次のページお願いいたします。
このページでは、ここからは高度化の開発計画(案)ということで、今述べたような成果目標を達成していくための開発項目を大きなWBS項目ベースで整理したものです。
色分けで、Block1、Block2、Block3、Block4と示しております。
Block1では、ライドシェアの対応技術というものとともに、今後アップグレードしていくためのスキームをしっかり確立していきたいという項目を設定しております。
Block2では、高頻度打上げと長期運用性ということに必要な製造能力ですとかミッション対応作業の期間短縮、あるいは天候制約の緩和ですとか運用や保全作業の効率化というところ。
また、長期運用性という観点では、自律飛行安全の適用拡大ですとかデブリ低減、あるいは作りにくさ等の量産対応、そういうふうなところを設定しております。
Block3では、打上げ能力向上のために第2段の能力増強のための機体開発、それに必要な新型の上段エンジン、2段エンジンの開発を行っていくこと。
また、そのようなシステム開発を行っていく中で、システムインテグレーションを高度化していくというような技術。
それから、Block4に関しましては、月探査等の大型探査需要への対応技術と、さらに高度化の意義価値を向上して次期基幹につなげていくようなシステム技術というところを取り込んでいきたいというふうに考えてございます。
24ページ、最後のページですけれども、これらの開発項目に関してスケジュール感としましては、2020年代後半に段階的なアップグレードを実現しながら、2030年代の初頭にはプログラム全体としての成果目標を達成していきたいと考えております。
先ほどの開発項目の詳細化と、さらには開発計画の詳細化というところをこの今年度、来年度とフロントローディングの活動、その期間の中でしっかり検討して、各Blockの開発着手時点においてはしっかりベースラインのスケジュールを設定して進めてまいりたいというふうに考えております。
資料の説明、以上で終了いたします。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございました。
それでは、ここで質疑応答の時間にしたいと思います。
ただ今のご説明に対しましてご意見、ご質問ある先生方いらっしゃいましたら、よろしくお願いいたします。
前回同様、挙手機能を使っていただきましたら、こちらから指名をさせていただきますので、ご発言をお願いいたします。
SPACETIDE代表理事兼CEOの石田さま、お願いいたします。
【石田構成員】
どうもご説明ありがとうございました。
いろいろ包括的に検討を進めていただき、全体像がよく分かりました。
2点ご質問でございまして、1点目はご説明の中で「高頻度打上げ」「連続打上げ」という言葉が何度も出てきていて、市場の中でそうしたニーズがあるし、実際、世界的にはそういった打上げをどんどんしている事業者さんもいますので、言葉としてかなり意識をされているというふうに感じました。
ただ、具体的にどれぐらいの回数を想定するかによって、ものづくりの考え方であったり、システムの考え方であったり、あるいはそれこそ運用の仕方とか、射場の考え方とか、結構広範囲に影響することかなと思いまして、高頻度という言葉だけ聞くとかなりの回数にも見えなくもないのですけれども、何か具体的な目標感がありましたら、お教えいただければと思いました。
それが1点目です。
2点目は、ブロックアップグレードの開発手法を入れていくのが今回の一番の肝と理解をする中で、私、エンジニアではないので間違っているところもあるかもしれませんが、従来に比べて定期的にアップデートをかけていく継続的な開発というものが結構肝になってくるのかなあと思った時に、JAXAさまとプライムコントラクターの開発体制の連携の在り方みたいなところも、従来と比べて高度化しなければいけないのではないかなあとか、あと保険のアンダーライターの方々も、アップグレードされたロケットをアンダーライティングしていくに当たって、そういった保険のアンダーライターの方々とのコミュニケーションみたいなものも、従来とは少しやり方が変わっていくのではと思いまして、そうしたそのJAXAさまを中心としたプライムコントラクターとか、あるいは保険の方々のとかのステークホルダーとの連携みたいなところで特に何か重点的に取り組まれることがあれば、お教えていただければと思いました。
以上、2点のご質問でございます。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。
JAXAのほうからお願いできますでしょうか。
【寺島ファンクションマネージャ(JAXA)】
ご質問ありがとうございます。
まず、1点目の高頻度打上げですとか連続打上げというところに関しまして、コメントいただきましたとおり、今後意識していく大きな項目であるというふうに考えております。
具体的な目標としましては、非常に慎重に見極める必要がございまして、今のH3ロケットを支える製造設備ですとか打上げの設備、あるいはそれに打上げのために必要な打上げ安全監理ですとか、そういうところの中で、一つ、事業として何機ぐらいの打上げ機数が必要で、それが事業の成長につながるかというような制約の面と必要性の面とをしっかり議論して進めていく必要がございます。
また、このH3ベースの高度化、ブロックアップグレードという中で達成していくことと、さらにはもう少し先の次期基幹ロケット、将来ものですとか、そういう中で、再使用とかのさらなる進化も含め併せて考えていくべき目標値というところとございますので、現時点、この場で何機が目標であるとか、連続の期間はどこまで短縮が目標であるというところの定量化は差し控えさせていただきますが、それを意識しながら今後しっかり検討していきたい、大きなグランドデザインを作っていきたいというふうに考えています。
それから、2点目のブロックアップグレードへ向けたJAXAとプライムコントラクターの連携の在り方ですとか、あるいは保険のアンダーライターさんも含めたどういう形で運用していくかというところですね。
こちらもまさにBlock2という中で、継続的にブロックアップグレードしていく中でどういう打上げ運用基盤を築いていくかっていうところの大きな一つの観点だと考えております。
ハードの開発ですとか設備の整備だけではなくて、そういったソフト面でこのブロックアップグレードが運用そのものに影響を与えないような、そういうところを考えていく必要があると考えております。
こちらも議論を始めているところでございますので、今後、JAXA、プライムコントラクター、あるいはその周辺のステークホルダーの皆さんとしっかり議論しながら考えていきたいというところでございます。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。
【石田構成員】
どうもご回答ありがとうございました。
1点目については、総合的に検討して具体的な目標がなければいけないというのはそのとおりだと思いますので、ぜひそのようにしていっていただければと思いますし、後者に関してもJAXAさまを中心として、新しい取り組み上に、いろいろ周辺のステークホルダーも含めて、こちらは総合的に周囲をうまく巻き込みながら進めていただければと思いました。
ありがとうございます。
【阿部企画官(事務局)】:
ありがとうございます。
順番が前後するかもしれなくて大変恐縮ですけれども、三菱重工株式会社宇宙事業部事業本部長の五十嵐さま、お願いいたします。
【五十嵐構成員】
五十嵐でございます。
先ほど石田さまからの質問を踏まえまして、開発のアプローチという観点のところで、プライムコントラクターとの連携が大事ということで、そのとおりかなと思います。
それに加えまして、動きとしては世界の競合のやり方とか、そういったところの動きであるとか、保険のアンダーライターの方々に対してどうなのかというようなところでいきますと、より大きなシステムレベルでのフライト実証というのが大変重要かなというふうに思ってございまして、こういった形で高度化のようなところでいろいろな技術を獲得していきますが、それを実際の運用に持っていく段階におきましては、それはそのフライト・プルーブンというようなところがあります。
官民でどういうふうに役割分担していくのかというところで、先ほど寺島さんの整理でもありましたように、まず民としては実際の運用を進めながら、運用からのフィードバックというのをやっていくというようなところはありますが、同時にH3ロケットをやりながら、そのH3ロケットをうまく活用して、その中で高度化によって得られるような技術を実証検証していくというようなところも実際の運用に供する前のアプローチとして大変な……。
【阿部企画官(事務局)】:今、音声が途切れてしまったんですけど、よろしいでしょうか。
【五十嵐構成員】
はい。
【阿部企画官(事務局)】:
五十嵐さま、すいません。今ちょっと音声が切れてしまいまして、フィードバックで同時にという辺りからもう一度お願いできますでしょうか。
【五十嵐構成員】
分かりました。
フィードバックのところはあります。
加えまして、H3の運用に併せて、そのH3をうまく活用して高度化の機能を実証確認するやり方も一つあるかなと思いまして、そういったところで連携できればどうかなというアイデアでございます。
その辺も検討していきたいと思います。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。
今の点でJAXAからこの時点でもし何かありましたら、ご発言お願いできますでしょうか。
【寺島ファンクションマネージャ(JAXA)】
ありがとうございます。おっしゃるとおり、そうですね、運用と開発をしっかり連携しながらやっていく必要があると思いますので、JAXA、プライムコントラクターの連携の仕方、しっかり議論させていただければと思います。
【五十嵐構成員】
ありがとうございます。
【阿部企画官(事務局)】
はい、ありがとうございます。
それでは次、東京大学大学院教授の中須賀先生、お願いできますでしょうか。
【中須賀構成員】
中須賀です。
ご説明ありがとうございました。
非常に大事な計画をしなければいけないということで、われわれもしっかりと議論していきたいなと思っております。
それで、幾つか質問がありますが、まず、基本的には定常的に確実にロケットを打ち上げていくという、政府衛星等を含めて、そのニーズと、それから同じものばかりを造っているとやはり技術向上が得られないので、時々ある種の改革といいますか技術の改善、あるいはアップグレードしていく中で技術力を維持していかなきゃ、技術力が落ちないように維持していかなければいけないと。
このニーズがあって、この両立っていうのはなかなか難しいんですけれども、先ほどのブロックアップの形で進めていく、いわゆるローカルな技術改良を繰り返す中で、今言った必要な技術向上とか技術能力の維持は十分獲得できるのか。
あるいは、時々はある種マイナーチェンジじゃなくてメジャーチェンジをして違ったロケットに挑戦しないと技術の維持ができないのか。
その辺のビジョンっていうのはどうかっていうのは1つお伺いしたいところですね。これが1つ目です。
それから2つ目は、やはり国の衛星を打ち上げるだけだと機数が少なくて、それだとある種の価格が非常に高騰してしまうので、安くするという意味でも年間の打上げ数をある程度確保しなければいけないと。
それがどれぐらいの数必要なのか聞きたかったのですが、先ほどのお話だと、まだ具体的な数値について今は出せないというお話だったので、それはいいとして。
そういうふうに国際的に売り込んでいく時に、例えばスターシップのように大量の大きなロケットを打ち上げて、たくさんの衛星を一気に低軌道に持っていくという非常に価格を徹底的に安くするという仕組みが出てきている中、日本においてこのH3のアップグレード版はどんな形で、どういう強みを生かして世界の中で存在感を出し、受注を獲得するのか。
その戦略もやはり作っていかなければいけないだろうと思うのですが、その辺の戦略はどうでしょうかというのが2つ目です。
3つ目は、今のこれまでの宇宙開発のやり方が今大きく変わりつつあって、完璧にできるまで打ち上げないとか実験しないというわけではなくて、ある程度できた段階でどんどん打ち上げ、その中で得られる現場のフィードバックを設計とかに反映していったほうが、ある種早いこと、トータルで見たらコストも安くなる可能性もあり、スペースXをはじめとして、そういう流れが出てきつつあります。
一方で、国のロケットにおいてはArianeとか、日本のH3もそうですけれども、なかなかそういったたくさん失敗覚悟で打ち上げるということは今できない状況でもある。
この中で将来、こういうスペースXなんかとある種少しでも戦うためには、そういったスピードアップをしていく必要がある中で、この新しいバージョンの開発においては、そういう新しいバージョンを開発する中で、繰り返しが頻繁にできるような世界をどうつくっていくかっていうこと、これは国の予算措置の関係でも大事かと思いますが、そういったとこまで踏み込むことが今後必要になってくるだろうと思うのですが、その辺のビジョンとか計画はあるだろうかと。
この3点についてお願いしたいと思います。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。
この点もJAXAのほうからお願いいたします。
【寺島ファンクションマネージャ(JAXA)】
ご質問ありがとうございます。
まず、1点目ですね。
定常的に運用しながらアップグレードをしていくという中で、時に大きなメジャーチェンジというところも技術維持のためには必要ではないかというところ。
おっしゃるとおりでして、やはりシステム開発というのが一つ大きな技術力の柱ですし、それは維持していきたいと考えております。
このブロックアップグレードの中ではBlock3というところで、2段機体を能力増強していくためにシステム刷新していくというところが一つありまして、全体システムではございませんけれども、そういうステージとしてのシステム開発を行っていくというのが一つメジャーなチェンジになっていくかと。
それから、その先には将来に向けて第1段を含めた全体をどうしていくか、再使用するのかしないのか、そういうふうなもう少し大きなメジャーチェンジの方向性について議論をする必要があると考えておりますので、そこに関しては適切な時期に必要性を見極めながらメジャーチェンジ、大きなステップを入れていくというところは頭に置いて今後検討していきたいと考えております。
それから、2点目ですね。
スターシップ等がある中、安くしていくとか戦っていくためにどういうふうな対抗する戦略を持っているかというところですね。
本日の資料でもさわりのところは少し触れましたが、H3ロケットの強み・弱みというところを分析していったところで、13ページに書いておりますが、海外の大きなロケットが対応していない、あるいは不得意なミッションというところがございます。
それに対してH3の優れたところは、1段とか2段がパワフルに高性能に増速できるところであり、上段の2段ステージに高性能な水素のシステムがあるという中で、例えばより遠くの軌道に、よりエネルギーが必要な軌道に持っていくようなところで勝負をするところに勝機がある可能性がございます。
そういうふうなところをしっかり意識しながら対抗戦略というのは今後考えていきたいと思いますし、いろんなロケットが出てくる中、カスタマーヒアリング等も通じて見極めていきたいと思っております。
それから、3つ目ですね。
完璧じゃなくても、どんどん打ち上げて現場のフィードバックを基にどんどんシステムを転がしていくというようなところの考え方ですね。
こちら、将来的にそういうところを目指していきたいというところで、本日ご説明したような開発手法の革新というところも考えていきたいと思っております。
一方で、基幹ロケットとして実際の運用しながら、そういうアップグレードを仕込んでいくっていう中で、やはり失敗っていうのは非常に大きな日本の宇宙活動に影響を与えていきますので、そこはしっかり信頼度、信頼性を確保して失敗しない基幹ロケットとして着実に運用しながら、かつ短い期間で開発をしていくというところが非常に難しいですが、この18ページに書いておりますような方向性で考えていきたいというものです。
【中須賀構成員】
ありがとうございます。
最後のところは、信頼度を維持して少しアップグレードするというのを繰り返している中では、ある種大きな変化っていうのはなかなか生みにくい、あるいは時間が非常にかかるところ、どこかで何かある種の挑戦といいますか、むちゃをしないといけないフェーズもあると思いますが、これは予算の措置、今おっしゃったように失敗は許されないこともありますが、ある種の実験だということで、失敗が許されるようなロケットの打上げがあってもいいのではと個人的には思うのですが、これは文科省さんとの関係もあると思いますけれども、そういう考え方っていうのはなかなか難しいですかね。
【岡田構成員】
おっしゃられるとおりでして、今ここでは高度化の議論をさせていただきます。
この高度化は基幹ロケットの高度化であって、基幹ロケットを打ち続けながら発展させていく中でそこには限界があると思っています。
従いまして、先生がおっしゃられるようなアプローチは別途、これは予算の規模とかいろいろ相談をさせていただきながらと思いますが、スカイハイな技術を別途行い、これは全く別部隊でやって別の交渉だと、今後、合流もしづらいので、非常に意思疎通を活発にしながらですけれども、ある種別な考え方で研究を進めて、どこかでこれを導入するのかしないのかっていう判断をして、一気に発展のステップを上げていくっていうアプローチが必要だと思っています。
【中須賀構成員】
いいと思います。
私もそんな感じかなと思います。
ありがとうございました。
【岡田構成員】
ありがとうございます。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。
今、文科省へと振られたのでちょっと言及させていただきますが、なかなか今の社会情勢、日本全体を見た時、世の中との関係を含めて、ロケットシステムそのものの失敗を繰り返しながら、基幹ロケットという位置付けの中では現状なかなかきついところがあるのかなあと感じておりますけれども、一方で、今、岡田理事から説明あったとおり、システムレベルや研究開発の段階の中でやれることっていうのは当然あるのではないかと思っておりますので、引き続きよくいろんなところで検討しながら協力しながらやれればと思っておりますので、アドバイス、引き続きいただければと思っております。よろしくお願いいたします。
【中須賀構成員】
一言で言うと、プロジェクトごとにやるのではなく、プログラム化するっていうことですよね。
1機目に成功するのではなく、何機かで成功する。
最後は成功するから1機目、2機目は実験ですよということをしっかりと明示した上で、財務省と戦うと思いますが、それでも大変だと思いますけれども、ぜひそういうマインドを入れていっていただければというふうに思うところです。
よろしくお願いいたします。
【阿部企画官(事務局)】
プロジェクトのこの高度化の進め方、それからその先も含めてよく検討していきたいと考えております。
東京海上日動火災保険株式会社宇宙保険専門部長の吉井さま、お願いいたします。
【吉井構成員】
ありがとうございます。
吉井でございます。
先ほど少し保険に関するコメントもございましたので、1点コメントをさせていただきます。
まず、グローバルコマーシャルマーケットでロケットを売っていくためには、保険が付かないと当然売れない現状がございますけれども、高度化も、その高度化のレベルにもよるのですが、大きな高度化になるとフライト・プルーブンじゃないということで保険が付かない、もしくは保険料が高くなることが想定されます。
ですので、そうした時に政府のアンカーテナントとしての役割が非常に重要になってくるのかなと思います。
それからもう一点、先ほど何人かの方々から失敗は許されないというコメントもございますが、過去数十年、一応保険市場を見てきた中で、絶対に失敗しないということは統計から見るとかなり難しいですね。
仮に高度化のプロセスの中で失敗をしたとしても、あたかも想定外のことが起きたということではなくて、コンティンジェントなプランを策定しながら、グローバルマーケットの中ではミッションアシュアランスも非常に売っていくためには重要なファクターだというふうに理解しておりますので、仮に何か起こった時でも、きちんと正々と対応していけるような体制づくりっていうのも必要ではないか思います。
以上です。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。
JAXAのほう、今の点よろしかったでしょうか。
もしコメントありましたら。
【寺島ファンクションマネージャ(JAXA)】
おっしゃるとおりだと思います。
保険市場等を含めて、いろいろアドバイスいただきながら進めていければと思います。
ありがとうございます。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。
手の挙がっている先生として、名古屋大学教授の笠原先生、お願いいたします。
【笠原構成員】
どうもご説明ありがとうございます。
また活発な議論を聞かせていただいて、ほとんど主要な点は出尽くしているようなイメージを持っておりますが、何点か言葉にさせていただきたいと思います。
非常に分かりやすいご説明で、内容も非常にリッチでよく理解できたつもりにはなっているのですが、全体の議論の中で、H3を活用してステップアップしていきながら着実な開発をしていくということはとても重要だと思いますし、またさまざまなフロントローディング活動を併せて実施していくということは非常に重要だと思っております。
また、先ほど中須賀先生からもありましたとおり、とはいえ全体としての画期的な日本の新規性をアピールするようなプログラム的な大きな、次期基幹なのかもしれませんが、そういうこともお考えになられながら進められていくというお話もちょっとあって、大変心強い気持ちになっているのですが、総合的に言いたいことは、リソースというか、これだけのことを並行しながらやっていくには、何よりそういうパワーが非常に重要、人もそうですし、お金もそうですし、あるいは基盤の整備を併せて行っていくということなので非常に大変なことだと再度認識しております。
そういう意味では、先ほど、アンカーテナンシーのお話もありましたし、そういうものをしっかり使ってこれだけのことを着実に進めていくというところが本当に重要だなと勉強させていただきました。
質問というか、コメントというか、どうやってそれだけのリソース確保をされるのか。
つまり、H3の発展をさせつつ、その次、非常に魅力的な日本独自のロケットを投入するという動きを活発させていく、そこのさまざまなものの確保の仕方ですね、それがやはりとても重要なのかなと思いまして質問させていただきます。
少し、中須賀先生ともかぶるんですが、独自性や、他の国から見て、日本のロケットに乗りたいなと一瞬で見えるような旗をやはり作ったほうがいいのではないかなとちょっと感じるところがあるのですが、その2点に関してお答え、少しいただければありがたいかなと思っております。
以上でございます。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。JAXA、いかがでしょうか。
【寺島ファンクションマネージャ(JAXA)】
ご質問ありがとうございます。
1点目、まさにおっしゃるとおりでして、こういうことをやりつつ将来の次期基幹ロケットに備えていくために、リソース、マンパワー、予算、基盤と、非常に大きなものが必要になってまいります。
それに関して、従来よりもさらにオールジャパンと申しますか、こういうJAXA内でも研究部門と、このようなプロジェクト、開発部門と一体になって役割分担をしてやってまいりますし、民間のほうでも宇宙戦略基金ですとか、非常に今、産業としての広がりを見せている中で、そういうところともしっかり連携、あるいは技術の相互の活用等をやっていきながらオールジャパンとして底上げをしていくことで、何とか短い期間でしっかり国全体としてのリソース配分を基に実現できたらなというふうに考えておりますところ、文科省とも一緒に、あるいは民間メーカーさんとも一緒に、その辺りを構築していきたいと思っているところでございます。
それから、独自性とか競争、勝ち筋の旗印について、まさにおっしゃるとおりでして、先ほど少し質疑の中で述べましたようなH3としての特長を生かした時にどういう旗印になり、それが本当に勝ち目があるのかというところもしっかり整理していく必要があると考えております。
今後、実際のシステム設計を進めながらではBlock3でやってく2段の仕様等を定めてまいりますし、その先には次期基幹ロケットでどういうことをやっていくのかを定めてまいりますので、その方向性として将来を見据えた日本独自の価値については今後明確にしてまいりたいと思っております。
今日の資料の中ではそこをしっかり明確に述べられていないのと、今考えていることは冒頭で先ほどお答えしたところですけれども、それをより明確にくっきりと映し出していけたらなと思っておりますので、今後もアドバイスいただければと思います。
【笠原構成員】ありがとうございます。
お気持ちが非常に近いというか、同じお気持ちというか全く同じお気持ちですので、応援しておりますので今後ともよろしくお願いします。
以上でございます。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。
リソースの件につきましては、国としても大変重要な課題を持っておりますので、引き続きJAXAともよく協力しながらしっかりと対応していきたいと思っております。
今後、こういった議論をしていく中、これから外向けにもいろいろと説明をしていく中でも、しっかりと分かりやすい、また説明をしていくという観点もあろうかと思いますので、今日の議論、また引き続き次回以降の議論を踏まえながら今後どう対応していくのか、説明していくのか、どういうことをアピールしていくのか、そういった観点もよく考えていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
株式会社IHIエアロスペース取締役兼宇宙輸送事業推進部部長の矢木さま、お願いいたします。
【矢木構成員】
どうもありがとうございます。
いろいろ考えている視点、網羅されるようなご質問等なされておりまして、非常に関心を持って聞いていました。
私からは最初の石田さんがお話しをされていた高頻度打上げに関して1つ、考えられていることがあればお聞かせ願いたいと思います。
目指す機数とかは、これからいろいろ議論して決めていくと思いますが、私たちもH-ⅡAロケットの一部サプライヤーとして事業者の立場から申し上げますと、機数拡大に向けては、サプライチェーンの維持向上でしたり、あと設備とか、そういったものが必要になりますが、それらはかなり整備に時間を要するものです。
スピード感を持ってブロックアップグレードをしていくことはわれわれも大賛成ですが、一方でスピード感を持って開発をドライブさせていくためには、ある程度早めに目標を決めて、その目標を達成するための基盤ですね、生産基盤やサプライチェーン、つまりわれわれ事業者だけではなくて、われわれと共にやっていただけるメーカーの方たちにもやる気を持って対応していただくっていうことが必要になるので、そういう大きな旗印っていうのを先に打ち出していくっていうのが大事になると思います。
そうしないと、昨今、事業、官民役割分担もあって、民間もある部分負担しないといけないというような話もある中で、やる気を持ってわれわれも含めた事業者が取り組むためには、そこの旗印が非常に大事と思っています。
先ほど少し時間がかかるというお話もありましたが、ある程度見通しを民間事業者側にも示しながらぜひ進めていただきたいと思っていまして、その辺りの時間軸をどう考えておられるのかが一つご質問です。
あともう一つ、中須賀先生とか吉井さんがおっしゃられたこともまさにそのとおり、ロケットの失敗をある程度許容していくことはまさにそのとおりと私も思っています。
基幹ロケットの性格上、失敗は許されないことはもちろん存じていて、そういう文化で私も育ち、基幹ロケット開発行ってきましたので、その精神はもちろん持っていますが、一方で最近のスペースXですとか世の中の動きを見ると、それとは違う開発手法でどんどんスピード感を持って挑戦的な技術開発をし、ある程度の失敗をしながらも市場のシェアをどんどん伸ばしている、そういった事業者も出てきています。
一般的に、ロケットはやはり技術的に難しいところがあると思っています。
ベンチャーの方々、欧米含めていろんな方がロケットに参入されていますが、初号機から成功した新規ロケットは、ベンチャーのものだと世界でも今までひとつもないと思っています。
そういう意味で、非常に技術的に難しいということも考慮した上で、もちろん成功を目指すにしても、ある程度の失敗を開発計画、プログラムの中で考慮して、コンティンジェントなプランを持ちながらと言っていた吉井さんのようなお考えも非常に重要と思っています。
失敗が許されない基幹ロケットであっても、そういったこともある程度見越した計画もリスク対応という観点では重要なのかなと思いましたので、その辺りも何か考えがあればお聞かせ願いたいと思います。
以上です。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。
JAXAのほう、お願いいたします。
【寺島ファンクションマネージャ(JAXA)】
ありがとうございます。
1点目の、おっしゃるとおりサプライチェーンですとか設備の整備っていうのを開発のスピード感に合わせてやっていくためには、予見性を民間さん、メーカーさん持てるようにしっかり旗印を早く示すということが重要だと認識しております。
JAXAとしてものんびり進めるつもりはなくて、まずこの半年程度の期間でしっかりミッションをどうしていくかは議論して、基本的なこの高度化の運用コンセプトは表に出していこうというふうに考えております。
そういう中で、できる限り早い時期に将来に向けた打上げ機数や開発の時期等の、これも広くメーカーさんを含めたサプライチェーンの皆さんを含めたところに共有していけるように考えていきたいと考えております。
【矢木構成員】
ぜひよろしくお願いいたします。
【寺島ファンクションマネージャ(JAXA)】
はい。
それから2点目のところですね。
今日の議論を通じてスピード感を持ってスペースX等に対応していくためには、コンティンジェンシープランを兼ね備えた打上げにより、挑戦的にどんどんやっていくというところが必要だということは認識しつつ、それをどのような形でできるのか。
先ほどJAXAの理事の岡田からも発言ありましたように、この基幹ロケットの枠組みだけを考えるのではなくて、少し総合的に考えた時にどういう技術実証のやり方があるのかについて、今後議論してまいりたいと思います。
【矢木構成員】
どうも分かりました。
ありがとうございました。
どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。
続きまして、日本文理大学教授の丹生さま、お願いいたします。
【丹生構成員】
開発を短期間でサイクルを回していくというブロックアップグレードは非常によいとは思います。
ただ、それに先んじて行うフロントローディングについて、どこまで持ち込めるかといったところが結構大きな鍵になるかなと思います。
H3の時もH-ⅡA・Bの経験をレッスンズラーンドして整備してやるべきことを決めていきましたが、開発の末期に実機サイズで試験をやると、どうしてもつぶし切れなかったものが出てきています。
悪いことばかりではなくて、それをやることでつぶし切れたものも多々あるとは思うのですが、そういう意味でH3開発の経験を振り返り、フロントローディングとして、どういうふうに実機サイズの最終確認につなげていくかといったところの整理が必要ではないかと思いますが、その辺はやられているのか、やろうとされているのかお聞きしたいっていうのと、それ以外にフロントローディングで開発の確度を上げるための何か新たな取り組みを、考えられているかどうかを教えていただきたいと思います。
最終的には、皆さんがおっしゃるように、ある程度未確定なところがあっても打ち上げられるような仕組みが、非常に大きなファクターにはなるとは思いますが、そこに至るまでにもう少し努力というか、改善というか、そういった余地があるのかどうかをどう考えてらっしゃるかを教えてください。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。
JAXA、お願いいたします。
【寺島ファンクションマネージャ(JAXA)】
ご質問ありがとうございます。
フロントローディングでいかに早くしっかり技術の成熟度を上げていくかという観点に関しては、JAXAの中でもまさに今議論しているところです。
出ている意見としては、H3の開発で経験したレッスンズラーンドをしっかり生かすという観点で、1つはおっしゃっていただいたようなシステムレベルの試験を、フロントローディングの中でなるべく早く、例えばBBMモデルでいいので、それを集めてシステムレベルでの検証というのを早期にやっていくことで最終的な実機品、PMですとか、そういう段階になってからの大きなシステムとして、つぶし込みができていなかった部分が出るというのを防いでいくというのが、一つ方向性としてあると考えております。
それからもう一つは、難しい開発ですと、決めた仕様が本当に正しいか、開発を完遂できるのかが保証できない中で、このフロントローディングの中で、例えば複数の設計解を準備しておいて、それを試しながら、その中で最も実現性が高くて確度の高いものを選んでいくというような、一つに決めないで広く当たってつぶして選んでいく、そういうやり方を取るべきかについても議論しております。
大きくはこの2点で、フロントローディングの機会をしっかり生かして確実な開発につなげていきたいという議論しているとこです。
【丹生構成員】
分かりました。
ありがとうございます。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。
他、手の挙がっていらっしゃる方、いらっしゃいますでしょうか。
構成員の皆さまから、一巡回っていただいたのかなと思いますが、他、手の挙がる方がいらっしゃらなければというところですけど、よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、本日の公開での検討はここまでとさせていただきます。
事務連絡としまして、会議資料と議事録の公開について申し上げます。
本日ここまでの会議資料は、文部科学省のホームページに掲載させていただいております。
また、ここまでの議事録につきましても、構成員の皆さまにご確認をいただいた後、文部科学省ホームページに掲載させていただきます。
次回の開催につきましては6月の開催を予定しておりますが、ご連絡申し上げます。
本日はご議論、誠にありがとうございました。youtubeの配信はここまでとさせていただきます。
(了)
研究開発局宇宙開発利用課