基幹ロケット開発に係る有識者検討会(第4回) 議事録

1.日時

令和7年6月27日(金曜日) 13時00分~15時00分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 前回までの議論等について
  2. これまでの検討の整理等(一部非公開)
  3. その他

4.出席者

委員

   (構成員)
    三菱重工株式会社 防衛・宇宙セグメント 宇宙事業部事業部長 五十嵐 巖
    一般社団法人 SPACETIDE 代表理事 兼 CEO 石田 真康
    国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 理事 宇宙輸送技術部門 部門長 岡田 匡史
    東海国立大学機構名古屋大学未来材料・システム研究所 教授 笠原 次郎
    日本文理大学工学部航空宇宙工学科 教授 丹生 謙一
    株式会社 IHI エアロスペース 取締役 兼 宇宙輸送事業推進部 部長 矢木 一博
    東京海上日動火災保険株式会社 航空宇宙・旅行産業部 宇宙保険専門部長 吉井 信雄
    アクシオム・スペース宇宙飛行士 兼 アジア太平洋地域担当最高技術責任者 若田 光一

文部科学省

    研究開発局長 堀内 義規
    研究開発局宇宙開発利用課 課長 梅原 弘史
    研究開発局宇宙開発利用課 宇宙科学技術推進企画官 阿部 陽一
    研究開発局宇宙開発利用課 課長補佐 木元 健一

   (説明者)
    国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
    宇宙輸送技術部門 H3プロジェクトチーム ファンクションマネージャ 寺島 啓太

5.議事録

【阿部企画官(事務局)】
少し遅れてYouTube配信いたしました。配信をご覧の皆様にはお待たせいたしまして申し訳ございませんでした。「基幹ロケット開発に係る有識者検討会」を開催いたします。事務局で本日の検討会の進行を務めます、文部科学省宇宙開発利用課の阿部です。本日は、中須賀構成員は御欠席です。本日の資料ですが、議事次第のとおりです。本日は、前半は公開での検討、後半は「基幹ロケット開発に係る有識者検討会の開催について」3. 構成及び運営(2)に則り、機微情報等が含まれるため非公開での検討となります。オンライン状況について、音声がつながらない等の問題がございましたら、事務局へメール、電話等でご連絡ください。

それでは本題に入ります。
前回の検討会では、文部科学省から第二回までの議論のおさらいをした後、JAXAからH3ロケットの高度化・高頻度化の検討状況について、また、次世代の宇宙輸送システムに向けた基盤技術研究について御説明いただき、意見交換を行っていただきました。前回を含むこれまでの議論を整理したものについて、私から説明いたします。
それでは、資料1-1をご覧ください。
1.スピード感を持った開発について、フロントローディングで検討を詰め過ぎて時間を要してしまい、本格開発時に時間が不足することにより、短期間に高い作業負荷が必要となるようなことは避けるべきであり、課題毎に短いサイクルでフロントローディングを進めることが重要というコメントをいただいています。
また、2.フロントローディングの作業が多くなり一つ一つの検証が不足がちにならないか注意が必要。限界点を見極めながら、重点化含め効果的に進めることが大切ということ。
3.フロントローディングにおいて、スピード感を持った開発アプローチとして「フロントローディングの充実化」と「効率化した1サイクルでの確実な開発」を行うことは相反する面があるため、時間・マンパワー・コスト等含めバランスの良い開発を進めることが必要である。
4.将来を見据えた基盤技術研究に関しては、H3ロケットの飛行機会を活用した実験も進めていくことが重要ではないか。
5.競争力の観点からも、事業の安定性は重要な点であり、その基盤となるインフラ維持は長期的視点で極めて重要。多くのリソースを投入できる方策を準備していくことが必要とのコメントをいただいています。
 6.JAXAの角田宇宙センターのほうで整備を進めております官民共創推進系開発センターにつきましては、民間ニーズを踏まえた整備が進められているところでございますけれども、今後、仕様等について一定の情報を開示していくことが必要ではないかというコメントもありました。
 7.民間との共創につきまして、JAXAが既に行っているJ-SPARCやCRD2などの経験も踏まえて、輸送プログラムにも生かしていくことが大切というコメントをいただいています。
 2ページ目になります、8.高頻度化につきまして、大きなリソースの投入に対し、理想的な結果の姿と具体的な必要金額を明確にしていくことが必要である。その際、ユーザーの利便性や価値を高めていくことを示すことが重要ではないか。どのような魅力的な輸送システムをつくっていくのかというところが肝ではないか。そういったところのコメントの中で、また一方で予算面では物価上昇が大きな課題であるというコメントがございました。
 9.打上げ機数の増加に対する市場からの価値について、少しでも機数が増えればその効果はあり、魅力は大きいのではないかと。
 10.高頻度化を踏まえて余裕を持った運用ができる環境、こういったものを整備していくことが大切ではないか。
 11.打上げ機数の増加について、H3を取り巻くさまざまな条件、制約等を踏まえると限界があるのではないか。そういった中で、VAB/MLを追加整備、次世代のロケットを考慮し改修ならびに増設をした中で2ライン化することによって、運用面を含めさまざまな工夫によって安定的な打ち上げ機数の増加を図っていくことが必要ではないか。
 また、この2ライン化することというのは、つまり2機同時期にロケットを整備できるようにする、こういったことが効果的ではないかと。
 13.打上げの高頻度化に向け、射場整備以外にもシングルポイントとなるボトルネックがないか、衛星側も含めよく分析しながら対応することが重要といったコメントをいただいています。
 3ページ目になります。
 14.H3高度化における高エネルギー軌道への対応について、新たな需要への対応として大きな強みにもなり得るが、意義やビジネス成立性も確認しつつ進めることが必要ではないか。
 15.従前から詳細・厳密な評価が可能になったといった中から、より打上げに向けた検討事項が増えていると、そういう中で、高頻度化を進めるためにも、ミッション解析の短縮なども重要な技術課題ではないか。
 16.フライト実証の実施に関して、高度化による機能を顧客の衛星を搭載した本番で初めて使うという点には留意が必要であり、基幹ロケットのミッションを行いながら事前の実証に取り組むことが重要ではないか。
 17.当初、想定してもいなかったところに大きな成果が出ることもあるという中で、技術に磨きをかけて、強みを強化していくことも大切ではないか。
 18.海外の競合ロケットの比較においては、技術的な観点のみならず、H3ロケットが基幹ロケットであるということから事業モデルの相違性等についても考慮して行うことが大切ではないか。
 19.次期基幹ロケットについて、システムをどのように定めていくのか、今後のニーズや研究開発などの動向を見定めながら検討することが必要という中で、ミッションプルで進める点と、要素研究を進める。その中でシステム検討のネタをつくっていくということを密にコミュニケーションを取りながら進めて、どこかのタイミングでシステム概念をつくる時に合流させていくと、そういった取り組みが必要になるのではないかというコメントをいただいています。
 最後、4ページ目になります。
20.再使用技術について世界的にはJAXAが世界を牽引してきたという歴史があって、期待しているというコメントをいただいた一方で、JAXAが今取り組んでおりますRV-Xについてはスピード感が足りないのではないかというコメントとともに、RV-Xは日本独自のものであって、テストベッドとしての活用を含めて今後の推進方策について検討していくことが必要ではないかというコメントがあったかと思います。
 それから、22.有人宇宙輸送システムについては、ISSや地球低軌道拠点等との連携が重要ではないか。
 また、有人宇宙輸送システムの各種実証については、どこでどのような形態で実施するのか、今後の課題ではないかと。
 さらには、有人宇宙輸送システムについて、遠くない将来に日本人宇宙飛行士2名が月に行くということになっている中で、今後、日本として有人宇宙輸送をどうするのかという議論になるかもしれないという中で、宇宙戦略基金での民間主導の取り組みが既に始まっている中で、将来に向けて技術を磨いていくこと、一定のレベルに技術を引き上げていくことが重要ではないかと、そういったコメントをいただいております。

 ここまでが第3回、前回の整理をさせていただいたもので、5ページ目は今回、今日この場で検討を深めていただきたい事項ということを2点挙げていますが、これからご説明する内容につきまして、各項目の検討の整理について、強調すべきポイントはどこなのかという点であり、また今後の課題について、過不足を含めてご意見いただければと考えている次第でございます。
 それから、次のページ以降は細かいご説明は省略しますが、第1回、第2回、第3回のコメントの整理を再掲しているものでございますが、1点、9ページ目、第2回の意見の整理の中で、11.のところで、コンティンジェンシープランの言葉の使い方について前回コメントをいただきましたので、下線部ですけれども、修正をさせていただいておりますのでご承知おきいただければと思います。
 ここまでのところでコメント等ございましたら、いただけますと幸いですがいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
また議論の中で戻っていただくことも当然可能ですので、その際でもまたいただければと思いますが、よろしいようであれば、いったん次に進めます。

 それでは続きまして、資料2-1になります。これまでの検討の整理案で資料を作ってまいりました。
めくっていただきまして1ページ目ですけれども、1ページ目はこの検討会の設置紙と、あと構成員の皆さまのお名前出ておりますが、もし、肩書き、ご所属等変わっていらっしゃる先生いらっしゃいましたら、この会議後、事務局へご連絡いただけますと幸いでございます。
 それから、2ページ目をご覧ください。検討会の中間まとめ案ということで、これまでの議論を整理した上で、検討会中間まとめとしてのメッセージ的な観点でまとめたものになります。
 宇宙政策は世界がしのぎを削る国家戦略であり、宇宙活動の自立性の確保は日本の宇宙政策の基本。基幹ロケットは我が国の自立的な宇宙活動の根幹をなすものであり、激変する国際的な宇宙輸送を巡る環境の中、持続的な高度化と打ち上げの高頻度化は喫緊の課題。
 環境変化およびニーズの多様化に対応できる、輸送能力・利便性の向上、価値の最大化をブロックアップグレードによる高度化で進めるとともに、年間6機~8機以上、最短2週間での打ち上げ高頻度化を目指す。
 H3ロケットは、自立性の確保の観点から持続性と成長性を確保しつつ、強みを生かして国際競争力を保持しながら高度化することが重要。特に、喫緊のニーズに対応するライドシェア開発(ブロック1)、打ち上げサービスを向上する高頻度化に必須のH3ロケット2機同時期整備等の環境構築(ブロック2)、新型2段エンジンの開発等による打ち上げ能力向上(ブロック3)、これらはスピード感を持って取り組むことが必要。
 ブロックアップグレードによる高度化は、これまでにない新たなチャレンジであり、2030代に向けて、わが国の基幹ロケットの今後を左右する極めて重要な取り組み。
 また、自立性と持続性を支えるため老朽化した射場設備・試験設備を刷新・拡充するなど信頼性・安全性の向上を推進するとともに、次期基幹ロケットに向け、再使用技術など先端・基盤技術の着実な推進が必要。
 文部科学省およびJAXAにおいては、検討会での議論を踏まえ、その実現に向けて必要となるJAXAの技術基盤や人的資源を強化しつつ、具体的な取り組みを強力に推進することを期待という形で事務局の案としてまとめさせていただいております。
 続きまして3ページ目をご覧ください。3ページ目につきましては、これまで頂きましたJAXAからの説明でありましたが、また先生方から頂いたご意見等をまとめたというものでございます。
 一番上の趣旨につきましては、先ほどとかぶりますので省略しますけれども、左下の四角枠の中でございます、現状と課題等というところですけれども、自立性の確保は日本の宇宙政策の基本というところで、宇宙輸送システムは不可欠であると、2030年代前半までに官民合わせて打ち上げ能力を年間30機程度確保するというのが、今現状の国の方針となっているとこでございますが、現状の課題として外部動向の変化に開発が追いつかないこと、需要動向に応じたタイムリーな市場投入ができてないということというのがJAXAから説明があったかと認識しております。
 激変する環境の中、国際競争力を再認識しつつ、高度化と高頻度化にスピード感を持って取り組むことが必要であると。信頼性等の強みを生かし、需要動向、柔軟かつ迅速に対応できる打ち上げ能力が必要であり、また、勝ち筋を見通した市場戦略、さらには挑戦的な技術開発が重要であるというところです。
 また、HⅡロケットについては、これまでの実績として年間5機というのが最高だったわけですけれども、事業の持続性・成長性の確保、運用環境の整備が必要であると。
 2030年代の次期基幹ロケットに向けて再使用技術など、先端・基盤技術の推進が必要と。こういったことを取り組むに当たってはリソースの確保が極めて重要であり、JAXAの技術基盤、人材資源の強化、これが喫緊の課題となっているというところでございます。
 その上で、右のところになりますが、ブロックアップグレードの推進ということで、打上げニーズの変化を踏まえた持続的かつ断続的な開発プロセス、ブロックアップグレード、これによって外部動向やニーズへタイムリーに対応するために開発を短サイクル化して、フロントローディングで見極めながらミッション要求とシステム定義を更新し、スピード感を持って柔軟なシステム開発を進め、段階的な市場投入を目指すと。総合システムの開発、これを進めることによって技術継承・人材育成・産業基盤の維持、これを同時に図るというところかと思います。
 続いて、ブロック1、2、3につきましては、次ページからまとめ直しておりますので、そちらをご覧ください。
 まず、4ページ目になります。ブロック1、打ち上げ対応ミッションの拡大というところでございます。
 国内外でニーズの変化があるという中、こういったものに対応するために、ライドシェアミッションを短期間で実現するとともに、多様な衛星打ち上げニーズに対応すると。併せてH3ロケットを運用しながら、並行して高度化を図るブロックアップグレードを、このスキームをちゃんと確立していく。市場拡大・喫緊のニーズ動向に対し、サブシステムレベルを短期間で開発することで、2027年以降に増大していく宇宙戦略基金等の衛星開発事業者に国内打ち上げ手段を提供していくというところがポイントかと思います。
 続いて、5ページ目をご覧ください。ブロック2、打ち上げサービスの高度化になります。
 ここはちょっと打ち上げサービスの高度化という観点でまとめているところになりますけれども、打ち上げ運用課題を継続的に改善し適宜反映することで、国際競争力を維持しながら、魅力あるロケットとして安定した打ち上げを実現すると。そのためには、オンタイム打ち上げ率や打ち上げ自由度の向上など顧客にとって利便性の高い打ち上げ運用と事業性を確保していくことが大切であり、運用改善と環境整備等によって年間6機~8機以上の打ち上げとともに、最短2週間での連続打ち上げを実現し、柔軟性のある高頻度打ち上げ運用を確立するとともに、量産課題への対応など長期運用性の獲得を目指す。
 また、顧客サービスを向上するとともに自立性と持続性を支えるため、老朽化した射場設備・試験設備を刷新・拡充するなど信頼性・安全性の向上を推進する。
 これらによって、ロケット・地上施設設備・打ち上げ安全監理、こういった総合システムとして進化させて、政府ミッションを確実に打ち上げつつ、商業ミッションの受注機会を拡大するという形でまとめております。
 続いて6ページ目、ブロック3になります。打ち上げ能力の向上という観点でございますが、国際競争力・市場競争力の強化に必要な打ち上げ能力向上を実現するため、2段機体を増強するとともに信頼性・品質の強化を図る。
 海外競合ロケットに伍する打ち上げ能力の向上に向けて、システム開発では十分なフロントローディングにより見極め、短期間での市場投入を目指す。
 市場競争力を有する能力の獲得により、輸送能力向上でミッションの裾野を広げ、新たなニーズにつなげることで、商業打ち上げ市場の受注機数を増大するということでポイントをまとめさせていただいております。
 これ以降のページにつきましては、ご意見をいただいたものを各項目に整理をし直したものでございますが、こちらはちょっとあんまり時間をかけずに簡単にご説明にとどめたいと思いますが、まず7ページ目、基幹ロケットの基本的な考え方というところでございます。
 自立性の確保は日本の宇宙政策の基本というところですけれども、環境が変化している中においても、この基本的な考え方は変わるものではないと。
 2.ですが、基幹ロケットは将来にわたって宇宙へのアクセスを確保し拡大する宇宙利用に対応していくために宇宙輸送システムを担う事業者が事業の継続性と成長性を確保することが必須であり、国内外の政府・商業需要を取り込み、打ち上げ数を拡大することが求められる。
 こういったことが宇宙基本計画でも記載されているところでございますけれども、引き続き、日本として強い宇宙輸送システムを保持することは、自立性の観点からも産業競争力の観点からも極めて重要であり、事業の成立性を維持すること、基幹ロケットの意義・必要性を継続して説明していくことが重要です。
 また、人材の育成には時間がかかるものでありまして、技術や知見の継承を含めて、予見性を持って事業を継続性と成長性を確保できる環境を構築していくこと、また観測ロケット等で実際に経験する機会をつくっていくことなどが重要です。
 5.ロケット打上げはいまだリスクの高い事業であり、官民ともにチャレンジしているものだというところでございますけれども、基幹ロケットの継続的な高度化や打上げの高頻度化、さらには次期基幹ロケットも見据えた検討等を着実に進めることが必要だというところでまとめております。
 8ページ目、9ページ目、10ページ目がこれに関連したJAXAから説明いただいた資料等々を参考資料として挟んでおります。ここは少し省略させていただきまして、11ページ目をご覧ください。
 H3ロケットの国際競争力の考え方についてというところでございます。
 スピード感を持って、宇宙輸送システムの国際競争力を向上し続けなければならないというところでございますけれども、ニーズを踏まえた高い信頼性および競争力のある打ち上げ価格を実現し、柔軟な顧客対応等を可能となすような国際競争力のあるシステムとするとともに、打ち上げスケジュールの柔軟性および確実性の向上にも取り組む必要があると。こういったことが宇宙基本計画にも記載されているところでございます。
 その上で、3.でございますけれども、打上げ能力やコスト、打ち上げ頻度も重要な観点となる一方で、海外競合ロケットとの比較においては、技術的な観点のみならず、基幹ロケットであることから事業モデルの相違等についても考慮が必要であるという点。
 その上で、4.技術的な観点からは、信頼性や独自性などの強みをつくり、運用面を含め、できることの幅を広げるなど需要動向に柔軟かつ迅速に対応できる打ち上げ能力の獲得に向けて、ロケットの高度化・高頻度化を進めることが重要であるということ。
 一方で、事業モデルの観点からは、基幹ロケットの年間打ち上げ機数の当面の目標を踏まえつつ、海外を含めた民需獲得に向け、強みや独自性を生かして勝ち筋を見通し、世界で存在感を持って狙っていく市場等を戦略的に検討してくことが必要であると思います。
 さらに、6.ですが、打上げはリスクの高い事業であり、世界の商業市場においての保険は重要な要素となるため、飛行実証を進める際にはアンカーテナントも重要というコメントをまとめさせていただいております。
 これに関連する資料をその後ろ12ページ、13ページ、参考資料を挟んでおります。
 その上で14ページ目、基幹ロケット高度化についての意見の整理でございますが、1.のところは基本計画で書かれていることのおさらいにはなりますが、宇宙輸送システムの高度化等によって、総合基盤を強化することが必要というところで、基幹ロケットを優先的に使用するとともに、打ち上げの高頻度化、安全保障上必要となる宇宙システムの打上げや国際市場に対応する打上げ能力の獲得を目指した高度化にスピード感を持って取り組むことが必要だということが既に基本計画で言われているところでございますが、2.からになります。高度化においては、勝機を得る方策を考え、事業展開を踏まえた充実した開発が必要であり、顧客のニーズをプロジェクトに盛り込みつつ、事業として成立するよう維持・成長していくことが重要であります。
 一方、世界でも初号機からの打上げに成功した新規のロケットベンチャーはなく、ロケット開発は非常に難しいものであり、こうした中、ロケット開発では、実験やチャレンジを何度も繰り返すことで開発スピードを速め、コストを低減させるといったスピード感を持って挑戦的な技術開発を進めるこういった開発手法が進んできていると。
 そのため、ブロックアップグレードにおいては、ニーズや課題に対し、短いサイクルで小回りを利かせながら、さまざまな機能・能力を獲得していく方策が有効であり、技術に磨きをかけて、オリジナリティや強みを強化していくことが重要。
 また、当初想定しなかったところに、大きな成果が出ることもあるのではないかということ。
 5.世界的な競争環境の中で、開発のスピードアップは必須であり、技術実証とフィードバックを繰り返すことができる環境をつくること、ある程度の実験的要素をプログラムの中に考慮して複数の対策等を持ちながらリスク対応を図ることが重要であります。
 また、高度化で技術を獲得して運用段階に持っていく際にはシステムレベルでの実証、これが大変重要となるため、H3の運用機会を活用して、高度化の技術・機能を事前実証・改善を図っていくことが重要であると。
 さらに、高度化のプロセスの中で実験に失敗が起きたとしても、コンティンジェンシープランを持ち、ミッションアシュアランスの観点からリスク評価を行う独立した組織を持つ等の体制面についてもしっかりとした取り組みが必要。
 開発においては、失敗のリカバーが重要であり、実験情報をしっかり取り、スピード感を持って次に生かしていける仕組み、これが大切だと。
 一方で、過剰な冗長化によってコンセプトがずれる危険性、こういったことについては考慮も必要ではないかということかと思います。
 14.より詳細・厳密な評価が可能となり、従前より打ち上げに向けた検討事項が増えているという中で、ミッション解析の短縮なども重要な技術課題であるというところかと思います。
 次の15ページ以降はまた参考資料を挟んでおります。ここは振り返りになりますので説明は省略させていただきますが、ご参照いただければと思います。
 その次、23ページ目になります。打ち上げの高頻度化になります。
 ロケット打上げ需要が拡大しているという中で、基幹ロケットについては打上げの高頻度化と高度化についてスピード感を持って取り組むことが必要、また、基幹ロケット・射場・試験設備の適切な維持・管理に向けて、老朽化対策等の必要な施策を実施するとともに、高頻度打ち上げ対応に向けた射場の在り方について検討と取り組みを継続的・計画的に進めることが必要だということがまず基本計画に記載されているという状況でございますが、その上で高頻度化においては、ユーザーの利便性や価値を高めることなど、サービスの高度化と信頼性・安全性の向上が重要であるという点と、ロケットの打ち上げ機数が1機でも2機でも増えればその効果は大きいのではないか。
他方、H3ロケットを取り巻くさまざまな条件を踏まえると、それにも限界があるのではないかと、そういったところから環境を整備していくことが大切だというところでございまして、4.現状の需要予測に間に合わせるためには、できるだけ早期にVAB/ML、この改修・増設をして2機同時にロケットを整備できるようにすることや、運用面を含め、さまざまな工夫により、連続打ち上げを含めて、安定的に打ち上げ機数の増加をしていく、こういったことをやっていくことが必要ではないかと。
 5.スピード感を持って進めていくためには、早めに目標を定め、予見性を持って、サプライチェーンの維持向上、生産基盤の整備等を進めることが必要であると。プライムコントラクタ―や保険業界のアンダーライター等のステークホルダーとの連携についても、より高度化していくことが必要ではないかと。
 6.燃焼試験も増えていくということになりますので、射場設備や燃焼設備等についても拡充が重要ではないか。またこういった射場関係以外についてもシングルポイント・ボトルネックがないか、衛星側も含めてよく分析して対応していくことが必要であるということ。
 そのためには、中長期的観点で高頻度化の将来の理想的な姿と、必要となる金額等を明確にして総合的に検討していくことが必要だという点でまとめております。
 こちらについても、参考資料を2枚ほど入れております。
 26ページ目になります。フロントローディングと基盤技術開発というところでございます。
 プロジェクトリスク軽減のため、プロジェクトに着手する前に技術成熟度を引き上げる技術開発、フロントローディング、これを強化することで、開発段階で大きな技術的課題に直面するリスクを軽減することが重要であるということは既に基本計画でも書かれていますが、いわゆるキー技術やアビオニクスなど、わが国の宇宙活動の信頼性と自立性の確保に欠かせない技術については、JAXAが中心となって技術基盤を保持し、活用することが有効ではないかという点もあるかと思います。
 ブロックアップグレードにおいては、フロントローディングによってどこまで技術成熟度を上げていけるかが鍵であり、技術を着実に立ち上げていく、そういった考え方が重要であります。
 一方で、スピード感を持った開発を進めるという観点の中で、フロントローディングで詰め過ぎてしまって本格開発の時に負荷がかかり過ぎるということは避けるべきであって、限界点を見定めながら、重点化を含め効率的に課題ごとの短いサイクルでフロントローディングを進めることが重要であると。
 また、フロントローディングの充実化と効率化した1サイクルでの確実な開発は反する面もあるという中において、時間・コスト・マンパワー、このバランスの良い開発が必要であると。
 こうした取り組みを進めるためには、将来を見据えて先端・基盤技術を着実に高めていくことが重要であって、JAXAの研究力・技術力の強化、これが不可欠である。また、失敗を恐れずに、タイムリーに先端・基盤技術の実証を行うことが必要であり、H3ロケットの飛行機会を活用した各種実験も重要になる。
 加えて、競争力の観点からも事業の安定性は重要な観点であり、基盤となるインフラ維持は長期的視野を含めて極めて重要な課題という中で、多くのリソースを投入できる方策を準備していくことが必要ではないか。
 また、民間との共創において、JAXAが行っているさまざまな取り組み、基金等をはじめとしたこういった取り組みの経験を踏まえ、H3ロケットの高度化をはじめ輸送プログラムに生かしていくことが大切であり、また、JAXAの角田宇宙センターにある整備を進めております官民共創推進系開発センター、この早期完成および利用促進が期待されるというところでまとめております。
 これの関連する資料を27ページ、28ページに入れております。
 その上で最後の部分になりますけれども、今後の課題等について3ページにわたってまとめさせていただいております。
 まず1つ目としまして、JAXAの基盤強化でございます。
 JAXAの役割が近年大幅に拡大してきている中で、産学官の結節点としての日本の宇宙産業の進展に向けて期待される役割も多様化・増加しているという状況でございます。
 事業規模が増大する一方、JAXAの基盤を支える当初予算というものが減少しておりまして、物価・人件費上昇、こういったものなども含めて基盤的経費、これが危機的な状況かと考えております。
 基幹ロケットの開発・高度化には、設備等の基盤強化に加え、人も資金もパワーも必要でありまして、JAXAの技術基盤および人的資源を強化し、リソースを確実に確保することが不可欠であるという点が課題として大きなところがあるかと認識しております。
 2つ目固体燃料ロケットについて、H3ロケットと併せて、もう一つの基幹ロケットであるイプシロンSロケット、これについても長期的な戦略について適切な時期にしっかりと検討をすることが必要ではないかという点が挙げられていたかと思います。
3つ目、ロケットの大型輸送能力についてです。
 こちら、JAXAからブロック4として紹介されたものでございますが、少し先ということもありましたので、ここについては深い議論をしてなかったところでございまして、今後の課題というところに入れさせていただいております。
 日本においても民間ロケット開発が進み、将来、大型輸送に対応できる民間ロケットが運用される可能性もあるかもしれないという状況になってきていると思います。
 一方で、H3ロケットの高度化、特にブロック4の検討や、また次期基幹ロケットの方向性について、そういった検討をしていくに当たってはさまざまな動向等を参照しつつ、その役割や能力等を検討していくことが必要であろうかと思います。
 現時点におきましては、民間ロケットによる大型輸送はまだ確実になってきているわけではないという中におきまして、官需への迅速・確実な打ち上げの確保、こういった観点からは、当面の官需に対する基幹ロケットの大型輸送能力の確保、こういったものが必要になってくるのではないかというところで課題認識をまとめているというところでございます。
 続いて30ページ目、4.ロケットの再使用技術についてです。
 宇宙基本計画におきましては、「次期基幹ロケットでは、機体の一部を再使用化した上で、打ち上げ頻度や輸送能力を向上させるとともに、打ち上げ価格を低減する。さらに、将来的には、産学官が連携する中で、完全再使用化や有人輸送にも対応できる拡張性を持つことが期待される。」というふうに記載されているところでございます。
 再使用技術におきましては、JAXAが牽引してきたところもございますが、昨今、海外の状況、国内での状況、さまざま変わってきているところがある中で、スピード感が足りないのではとのご指摘もいただいているところでございます。
 技術実証につきまして、RV-XやCALLISTOに続く実験機や基幹ロケットの飛行機会を活用した実証実験など、産学官の取り組みや動向を踏まえ、今後の推進方策についてしっかりと検討していくことが必要というところでまとめさせていただいております。
 5.有人宇宙輸送技術についてです。
 こちらも宇宙基本計画におきましては、将来像として次期基幹ロケットに関し、有人輸送にも対応できる拡張性を持つこと、こういったことも期待が示されておりまして、必要となる要素技術の開発を進めることと、システムの在り方について検討をすること、こういったことが記載されているところでございます。
 これを前提に、将来の有人輸送への技術的な拡張も視野にしつつ、ロケットの信頼性の向上に向けた取り組みを着実に進め、要素技術を磨き、技術レベルを引き上げ、段階的な技術獲得を進めていくことが必要ではないかと。
 特に、将来の有人宇宙輸送システムの実現に向けては、地球低軌道拠点や今後の月面での活動との連携、こういったことも考えられる状況になってきているかと思います。他方、技術実証等をどのような形態で実施するのか、これは今後の課題だというところのコメントをいただいていたかと思います。
 海外や民間企業の動向等も踏まえつつ、宇宙戦略基金での取り組み等も通じ、技術を着実に磨いていくこと、一定のレベルに技術を引き上げていくこと、これが当面必要なことかとこういうところでまとめております。
 最後になります。今後の課題等、6.次期基幹ロケットについてです。
 次期基幹ロケットの開発に向けては、H3ロケットの開発を念頭に示された新型基幹ロケット開発の進め方というものが平成26年に宇宙政策委員会で示されたものがございますが、この基本的考え方は大きく変わるものではないかと思いますけれども、内外の昨今のこの動向等を踏まえれば、検討の進め方などについては改めての整理を行うということが必要ではないかと。
 次期基幹ロケットのシステムは、ニーズや研究開発などの動向を見定めながら検討することが必要であり、ミッション主導を基本に、要素研究を進めながらシステムレベルの検討と密に連携させながら、システム概念をつくっていくことを必要ではないか。
 こうした取り組みの中で、ロケットの再使用化技術や有人宇宙輸送技術などを取り入れられるのか否か検討していくことが適当であり、フロントローディングが重要な取り組みとなってくるだろうと思います。
 また、将来、ロケットの大型化や再使用化を進めるためにも射場の在り方などについても、併せて検討していくことが必要ではないかということで、その課題認識を書かせていただいたというところでございます。
 以降のページに、また参考資料を少し入れさせていただいておりますが、こちらも説明は割愛させていただきます。

 事務局からの資料の説明は以上になります。
 ここから質疑応答・意見交換の時間にさせていただければと思います。ただ今説明させていただきました内容、それからこれまで第3回を振り返った中で、ご意見・ご質問・意見交換させていただければと思いますが、よろしくお願いいたします。
 毎回で恐縮でございますが、挙手機能を使っていただければこちらから指名をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
岡田さまお願いいたします。
 
【岡田構成員】
ご説明ありがとうございました。
 大変、さまざまな議論をすごく上手にまとめていただいているという第一印象ですけれども、ちょっと細かな点で1点、解説を加えていただけるとありがたいです。今、ご説明いただいた資料の11ページです。
11ページの6.で保険は重要な要素であることと、アンカーテナントも重要になる、ここのつながりをできましたら、具体な例も含めて解説いただけるとありがたいです。
 
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。
ご指摘のとおり、ちょっとこの文章だけ読むとつながりが確かに悪かったかなという反省ありますけれども、意見交換の中でも保険の観点から見た時に、当初の打上げにおいてはなかなか失敗確率も高い中で、保険のほうが付くのか付かないかという議論があると、端的に言えばなかなか付きにくいというのがロケット業界の中で、ただ一方で事業をするに当たっては、保険がなかなか難しい中においても、ある程度顧客の打ち上げをしていかなきゃいけないという現状があると。
そういった時に、アメリカなどでも進んでおりますけれども、政府の衛星などをアンカーテナンシーという形ですることによって飛行機会を確実にして打ち上げ機数を確保して、技術を磨いていくという取り組みも進んでいるというところがあるので、そのあたりを、ご指摘を踏まえて書かせていただきましたが、確かにちょっとこれだと分かりにくいので少し丁寧な書きぶりに修正したいと思います。
 
【岡田構成員】
どうもありがとうございます。今解説いただいたことで、十分理解は私できました。ありがとうございます。
 
【阿部企画官(事務局)】
吉井さまお願いいたします。
 
【吉井構成員】
ありがとうございます。今のコメントは私が以前に第1回の時にコメントさせていただいた部分ですので捕足をさせていただきますと、国際宇宙保険市場のマーケット環境にもよりますが、基本的には新型ロケットで連続3機から5機成功していないとなかなか、それでも保険料は高いですが、保険がやっとかかるかどうかっていう状況があります。
 従って、ある程度の号機までは何らかの形で政府がアンカーテナンシーを与えると、その政府のアンカーテナンシーの間に成功を重ねることでスムーズにコマーシャル、打ち上げが進むようになるという趣旨で発言をさせていただきました。
 
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。
これは、岡田さまは、再度手を挙げていただいた形でしたでしょうか。
 
【岡田構成員】
はい、ありがとうございます。
 おっしゃられるとおりだと私も思います。やはりこの高度化、ブロックアップグレードの難しさですか、チャレンジというのはそういうミッションと、要するに、飛行実証の程度と、事前の飛行実証と、それからその具体の適用と、その時のミッションの選び方っていうこの三つ巴のようなことをすごく上手にやっていかないといけないということが、チャレンジの一つではないかなと私は思います。
今はプログラムレベルでの概念はありますし、少しずつ具体的な計画にはなりつつありますが、そういったことを総合的に、要するに、考えながらこの計画っていうのは進めていかないといけないというある種の難しさを今、再認識したということでございます。
 
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。
 五十嵐さま、お願いいたします。
 
【五十嵐構成員】
ありがとうございます。
 今、飛行実証の関係でアンカーテナンシーということがありまして、まず一般論としまして、政府ミッションのようなところでアンカーテナンシーをしっかりと長めに多めに決めて、その中で実証していくというところが、一般的なアンカーテナンシーかなというふうに思います。
 もう1つの方法ですが、なかなか難しいですが、概念的には、高度化なんかで新しく得られるような技術であるとか、それから、実際にフライトしてみることによってどんなことが起こるのかというところの実験データだとか、そういったところというのは官需ミッションだけではなく、商業ミッションのようなところでアンカーテナンシー的に技術実証を横でやる。
実ミッションと並行して相乗りの形でやる。そういうふうなことをすることによって強みを生かすようなアプローチでの付加価値以外に、価格競争力という面でもそこのところに政府ミッションを相乗りさせるような形で価格競争力をつけるっていう打ち手もあると思います。そういう意味でのアンカーテナンシーもあると思っていまして、そういったところが基幹ロケットならではの形での一つの付加価値になると思います。
 このあたりは今までの議論で出てこなかったですが、そういったところにもう少し突っ込んで考えてみたらどうかと思っております。
 以上です。
 
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。
 打上げ機会をいかに多様な取り組みに生かしていくのかという観点かなと思った次第でありますけれども、今の点、例えば岡田さま、いかがなものですか。
 
【岡田構成員】
そうですね、五十嵐さんのおっしゃられるとおりかなというふうに思っておりますし、またちょっとこれから考えを深めていかないといけない部分だなと思います。
 
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。他の観点でも、他のところでも構いませんけれども、ご発言いただけると助かりますが、いかがなものでございましょうか。
 では、若田さま、お願いいたします。
 
【若田構成員】
ありがとうございます。この11ページのところで2.のところですけれども、国際競争力のあるシステムっていうところで、確認をさせていただきたいのですが、この柔軟な顧客対応等を可能にするというところですが、やはり顧客のニーズに応えられる、具体的な例ですと、例えばHTV-Xに関して、それに限られることはないのですが、衛星ですとか、ペイロードのニーズで、例えばライフサイエンスの実験であればそういったニーズに応えられるような、特殊なペイロードに対応できるようなマウスの飼育設備ですとかそういったものがあると思いますが、そういった国際競争力のあるシステムが射場を含めたパッケージとしてのシステムという、そういうふうな捉え方をする必要があるのかなとは思いますが、そういう理解で正しいでしょうか。
 
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。
 ちょっと即答できないところがあって、大変恐縮ですがも、多分ご指摘は今、解説いただいたとおり、ロケットだけじゃないその周辺の部分のものを載せ、それから周りの設備を含めた全体システムとしての国際競争力ではないかと受け取ったところですけど、そこはまさにご指摘のとおりだなと、まさに基幹ロケットを総合システムとして捉えて開発していく、高度化していくという観点はそこにあるのかなとは思っておりますが。
 個別具体のところについては、即答なかなか難しく。ただ、観点としましては、総合システム、これを全体として高めることがまさに基幹ロケットを強くするという観点かと認識しているというとこでございます。
 
【若田構成員】
 ありがとうございます。おっしゃっていただいたとおりだと思いますので、ただシステムというよりも総合システムという、その中に射場を含めたパッケージというようなニュアンスが入っているとより良いと思いまして、これまで渉外等で技術関係者ですとか海外のVIPも含めて、射場の打ち上げ施設とか射場見学なんかそういったものもさせていただきましたけど、やっぱり顧客のニーズ、そういった打ち上げ視察みたいなものも含めた利便性、要するに射場全体の総合システムとして、世界的に魅力あるようなものにしていくという観点が必要なのかなというふうに思って、総合システムという表現にしていただくのがいいと思います。
 以上です。
 
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。非常に分かりやすいご説明いただきました、ありがとうございます。
 岡田さま、先よろしいでしょうか、お願いいたします。
 
【岡田構成員】
 私が常日頃申し上げたかったことを若田さんが今おっしゃっていただいたと思っています。やはり、ロケットと表現してしまいますが、システムとしては射場も当然含めた総合システムがありますし、それから魅力といった時に、つい技術的なところにいってしまうところは、必ずしも私もそうではないと思っています。
とにかく日本で打ち上げたくて仕方ないというぐらいに魅力的な射場にしたいなと私は考えており、全く、そのとおりだなと思っています。
 ただ、難しいのは、やればどれだけでもできる話、やることはあるわけですけれども、そこのどの程度にするといいかっていうので、いつも少しずつそこを今進めているっていう状態なので、ぜひこれからもご意見いただければなというふうに思っています。
 以上です。
 
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。
 笠原先生お願いいたします。
 
【笠原構成員】
ありがとうございます。まず、非常に丁寧にまとめていただきまして、分かりやすかったですし、とても感銘を受けながら聞かせていただきました。
 全く異論はないというか、基幹ロケット、改めて非常に重要な事柄ですし、幅広くいろんな観点で重要性が再認識させていただきました。
 私がちょっと申し上げたいのは、とはいえ、固体ロケットのところがやはり29ページの中段にちょっとあるのみで、あまりにも寂しいかなという気が私はいたします。
と言いますのも、日本の宇宙開発の歴史をさかのぼりますと、やはり固体ロケットで息を吹き返して今日があるというのは強く感じますし、観測ロケットの実験等も私ども参加させていただいて、人がロケットを造って、一生懸命宇宙に行って、さまざまなミッションされているのだなというのを、大学におりながら実感した次第でございます。
 ですので、観測ロケットや、その先にあるイプシロンSロケットについても、昨今の世界情勢を見ても、固体ロケット技術、これも当然ながら自国でしっかり持っておかないと大変なことになりかねない、侮られることになりかねないとても重要な技術だと再認識しておりますので、もう少しこういう次期基幹ロケットの検討という中では、中心的な位置を占めるような記述が必要なのかなというふうに感じています。
 もちろん、今、大変苦労されているところだというのは十分認識しているつもりですが、だからこそ、ちょっと応援をしっかりしていかないと取り返しのつかないことになるのではないかという、そういう危機感をちょっと感じました。
 非常によくまとまった内容だと思いますが、大変僭越ですが、そういう観点がございます。
 また、再使用のお話はちょっと書かれてございまして、30ページのところも、また、私のほんと拙い知識ですが、実は液体ロケットも、宇宙開発事業団の前にも、つまり能代で試験されていて、そういうさまざまなご苦労があったということを歴史の中では存じ上げております。つまり、結構小規模ながら、いろいろ自ら手を動かして、造り上げようという動きは、欧米の技術の本格的な導入の前から、日本の国内で実施されていたというふうな認識を持っています。
 この再使用技術に関しても、実はそういう欧米の、特に米国のスペースXが行っていますが、それ以前にそういう動きを活発化させて、RV-Xの形までもってきて、もう機体もあるわけです。従って、こういう先駆的に行うシステム実証というのは非常に重要で、そこは基幹ロケットとどう切り分けるかっていう問題はすごくあるとは思いますが、非常に重要だと思います。
ここにちょっとスピード感が足りないって書いてあるのは、これは結果であって、どちらかと言うと、ものすごくスピード感があったわけです。ものすごくスピード感があったのに、結果として今はスピード感が足りないような状況に追い込まれているので、そこは納得できないところがあり、つまりはいつも先駆的に行っているわけです。
先駆的に行っていて、ただ、今から後追いしちゃうと、CALLISTOも素晴らしい技術だと思いますが、どうしても既に飛んだものに引っ張られてしまって、技術も、ほんとに強い技術になっていくのかという不安も正直あるところがあったりします。ですので、このあたりの位置付けって非常に重要だと思い、それが直接、最終的な経済性や次期基幹ロケットにつながる、どうつながっていくのかっていうのは見通せないところも、もちろんあるのかもしれないですが、何か、もう一歩応援するような形で、ここもぜひ検討をしていただきたいなと、強く感じるところでございます。
 すいません、私の個人的な思いが強く入り過ぎていると思いますが、そういうこと、ちょっと、述べさせていただきたかったので、マイクをオンにさせていただきました。
 ありがとうございました。
 
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。まず、固体燃料ロケットのところにつきましては、ご指摘のとおり他と比べても少し簡素な表現になり過ぎていると改めて思いましたので、今、ご指摘いただいた重要的な観点含めて、少し記載の充実を図りたいと考えております。
 それから、再使用技術につきましてもまさに日本として、この技術が獲得できるのかどうかと非常に重要な時期に今来ており、文科省のほうでは考えているところでして、いかにしっかりとやっていくのかということも含めて前回JAXAのほうからも説明いただいたところですけれども、今いただいたご指摘を踏まえて、ここの記載内容、少し修正、充実図りたいと思いますので、引き続きご指導いただければと思います。
 ありがとうございます。
 
 
【阿部企画官(事務局)】:丹生先生、お願いいたします。
 
【丹生構成員】
資料の整理も非常にしっかりされて、今までの議論もしっかり盛り込まれているかなというふうに思いますが、この資料見てちょっと印象に思ったのは、笠原先生からもご指摘ありましたが、基幹ロケット開発についてほとんどがH3の高度化の内容になっていて、導入のところでもう少し全体の論点、全体がこのような状況であり、こういうところを、こういうふうにやっていくのが適切ではないかというような記述があったほうがいいのかなと感じています。
 その中には固体ロケットはReturn To Flightというか、今後のフライトに向けた活動をやっているので、その上で成熟化をさせていく。H3に関しては、ようやくしっかりしたもの、ビジネス性を持った有力なものができたので、それを今後成熟化させていきながら、さらに競争力を上げていくっていう段階にあるので、その手法としてブロックアップグレードっていうのを使いますよと。
その先に見える、その先に見なきゃいけない次の基幹ロケット、これに関してはH3を高度化させながら、いろんな技術を蓄積してそちらにつなげていくっていう大きな方針みたいなものがあってもいいのかなと感じました。
 それが1つと、もう1つは、笠原先生と同様に、再使用に関してはなかなか民間でも国内でやり始めたところも出てきてしまったので、一体JAXAがやっているものがどういうところにつながるか、何をやるのかというのをもう一度考えなければいけない状況にきてしまったのかなと思います。
 ただそれは、もともとは大型に適用する前の小型での様々な実証ということがあったので、その観点でどういうことをやっていくかというのはJAXAが、国として特有の課題になるのかなと思うので、やっぱりその辺を考えていく必要があると感じています。
 最後、ある意味細かい話ですが、ブロックアップグレードのブロック1のところでライドシェアを行う中でライドシェアの方針、どこまで門戸を広げて、企業形態はどういう形にするか、それからライドシェアする時のルールづくり、それからユーザーを集めるための方策、そういったところもやっぱり非常に大きな課題になりますが、その辺がなく、機体のことだけが考えられていると感じてしまいますが、実際にはそれよりは運用が一番ライドシェアの成立性を握ると思うので、そこについてはやっぱり今、一言言ったほうがいいと思いました。
 以上です。
 
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。
 まず1点目、導入部分の書き方についてご指摘ごもっともだなと改めて思った次第です。もう少し基幹ロケット開発という立て付けの検討会の中で、今回特にH3ロケットの高度化に特化して議論を進めさせていただいたわけですが、そこの入りの部分で全体がこういうふうな考え方、こういう課題認識の中でというところを追記、修正させていただければと思います。
 それから2点目の部分につきましては、まさにそういった問題意識の中で、こういった検討会も進めつつ、いただいたコメント踏まえましてちょっと見直せるところは見直していきたいというふうに思います。
 それから3点目、ライドシェアのところでございますが、ご指摘のとおりでございまして、運用面を実際どうしていくのかというところ、非常に大きな課題でございまして実際の顧客ニーズ、そういったものの中でこれを年間の打ち上げの中でどういうふうに活用、生かしていくのかというところは大きな課題の一つかなと思いますので、しっかりとこの課題認識含めて記載ができればと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 
【丹生構成員】
分かりました。ありがとうございます。
 
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。
 それから手を挙げていただいております、矢木さまお願いいたします。
 
【矢木構成員】
ありがとうございます。
 まず、いろいろな先生方のご意見がきれいにまとめられていて、自分のものも含めてよく整理されていると思って聞かせていただきました。
 あと、先ほどの笠原先生や丹生先生の固体ロケットとか、イプシロンを含めた基幹ロケットの中での全体整理というお話もおっしゃるとおりだと思いますし、そういう意味では、我々IHIエアロスペースは固体ロケットをやっていますので、そのように見ていただいて非常にありがたいと思っております。
 私からもぜひ、今回のテーマはH3高度化開発の位置付けにフォーカスした話であるということを、前段の冒頭に書いていただけると、わかりやすくなると思いましたのでよろしくお願いします。
 もう1つ、もう少し書けるといいかなと思ったのが、3ページとか2ページで少し疑問に思われてしまう可能性があると思ったところです。日本として官民合わせて年間30機を確保するという方針の中で、H3に関しては年6~8機以上を目指すと書いてあると、もう、H3や基幹ロケットはそれ以上打たないで、残り20数機はどうするのだろうと思われてしまうところもあると思います。そこについては、まだ決まってない話だとは思いますが、この先の次期基幹なども考えるとさらに年間30機に向けた次のステップの話もまた出てくることも考えられるのかなと思っています。そういう意味で年間30機という政府の目標に対して今後も貢献していく、というような前向きな発信ができたほうがいいのかなという気がしますが、いかがでしょうか。
 
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。
 ご指摘のとおりかと思います。当面まず、我々がこういった検討を踏まえてやるべき方向性として今回出しているわけですけれども、さらにその次にというところも見据えながらやっていく必要があると思いますので、ご指摘いただいたとおり前向きにしっかりとメッセージが出せるような形で記載を充実したいと思いますので、改めてご指導いただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
【矢木構成員】
ありがとうございます。よろしくお願いします。
 
【阿部企画官(事務局)】
よろしくお願いいたします。
 石田さまお願いいたします。
 
【石田構成員】
どうもご説明ありがとうございました。取りまとめいただきありがとうございます。他の委員の皆さまがおっしゃっているとおり、これまでの議論がうまく反映できていると思いました。今、ちょうど矢木さまがおっしゃられたことに結果的に似たことになるかなと思いますが、全体のトーンとして、ある種非常に堅実かつ実直な形で今、プランがまとまっているというふうに感じました。
 ある意味、いろんな制約とか、課題とかも含めた上で背伸びを、変な意味での背伸びをし過ぎず、着実に、きっちり前進をしていくプランに見えるというのが今日伺った第一印象でございます。
 一方でやっぱり宇宙戦略基金も含めて世の中の宇宙産業に対する期待というのが今、非常に高まっていて、今まで宇宙を関わってなかった方々も含めて宇宙活動に対して、今は社会的期待が非常に高い。そういう中でやっぱりこの基幹ロケットっていうのは、宇宙産業を支えるという、そういったところもあり、日本のフラッグシッププロジェクトとして、広く社会に、国民に宇宙の可能性っていうのを見せていくっていうのも私、役割はあるんじゃないのかなと思った時に、何かもう少し書き方のトーンとして、堅実さ、実直さというのは実際のプランがきちんとできておりますので、基幹ロケットの高度化をやった先に、日本の宇宙活動や宇宙産業がどう発展していくと。
 そこに、どれだけやっぱり明るい可能性があるのか、そこに産業競争力につながっていく可能性があるのかっていったところを、見せていくということが、ある種フラッグシッププロジェクトとしての責務でもあるのかなと思いました。プランとしては堅実かつ前進をしていくプランが描けているからこそ、これを実現したあかつきに日本の宇宙産業の競争力そのものがどう上がっていくのかと、そこまで含めて報告書としてはまとめたほうが、より多くの方々の応援あるいはこの開発に関わっている方の、エンジニアの方々のやっぱりモチベーションが高まると思いますので、そこをきっちりセットで見せていくことが、私、大事ではないかというふうに思いました。
 以上です。
 
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。
 もう、ほんとにご指摘のとおりでございまして、この辺りちょっと書き切れてないなという反省もありますけれども、いただいた点含めて、もう一度しっかりと再構築考えて書ければと思いますし、特にメッセージというか、これから先、さらにこれがどう競争力を上げていくのか、そういったところにつながるようなところについて最後、今後の課題のところ、端的に項目ごとにまとめてしまっておりますけども、その先にこういうふうにつなげていくというようなメッセージも含めて、まとめ直すことを少し考えたいと思いますので、ご指導いただければと思います。
 よろしくお願いいたします。
 
【石田構成員】
ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 
【阿部企画官(事務局)】
 他、いかがでございましょうか。個別の項目の話、それから全体のまとめ方含めていろいろご意見いただいているところでございますけれども、まだ出ていない点もあるかもしれませんので、ご発言いただけると大変ありがたく思いますが、いかがなものでしょうか。
 よろしかったでしょうか。それでは現時点においては手が挙がるという状況ではないようでございますので、いったん質疑応答ここまでとさせていただければと思います。どうもありがとうございました。
 記載の充実、しっかりと図っていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 本日、公開での検討はここまでとなります。今回をもってこれまで4回分の議論をまとめていくという段階で議論させていただきましたけれども、ここで、研究開発局長の堀内から一言御挨拶をさせていただければと思います。お願いいたします。
 
【堀内局長(事務局)】
ありがとうございます。ご参画の皆さんに一言お礼を申し上げたいと思っております。非常によくこの分野のことを分かった方々による、内容のしっかりとした議論だったと思っておりまして、ほんとにありがとうございます。
おかげをもちまして、事務的にもここまで考え方をまとめていくことができました。今後の政府内の予算要求なども含めて議論にしっかりと生かせていけるものの土台ができたと思っております。
 幾つかありますが、まず明後日の29日H-2A最終50号機が種子島宇宙センターのほうから打ち上げられます。岡田さん、私もそちらのほうにこの後向かいたいなというふうに思っております。
 
【岡田構成員】
そうですか、お待ちしております。
 
【堀内局長(事務局)】
ロケットが果たしてきた実績というのは非常に大きいかなと思っておりまして、ぜひ現地のほうに行きたいと思っております。
 特にこのロケットH-ⅡA、それからこのH-ⅡBというのが50プラス、あと9機ありまして、全部で59機になるわけでありまして。それの価値というものを思った時には、成功率ですが、やっぱり虎の子の皆さんが大事に造った衛星を、ほとんど失わずにしっかり打上げられたというのは、ほんとに大きいなと思っておりますし、あと、ロケットの都合でいろいろ遅れることが非常に少なく、打上げの枠をどのように使っていくかという、これはどっちかっていうと、政策的な議論も含まれるんですが、非常に調整がしやすかったと思っておりまして、そういった意味でH-ⅡA・Bの実績というのは非常に大きかったかなと、そういった意味で今日ご議論いただきましたけども、H3の役割というのは、これに負けないようなロケットにしなければいけないということでありまして、関係者の力を合わせてやっていきたいと思っております。
 議論の中で、特にブロックアップグレードの2番目でしょうか、総合システムとして価値を高めていく部分のポイントになるかと思っておりまして、そこはいろんな施策を立てる時に、少し工夫がいる部分かと思いますが、しっかりと議論をさせていただき、今後の総合システムとしてのこのロケットの価値を高めていくということにしっかり努力をしたいと思っています。
 そういう意味でこの考え方のこの政策というものについては、ここで終わりということではなく、不断の検討を加えて少しでも価値を上げていくようなことをしていかないといけないと思っております。
 あと2つだけちょっと申し上げたいことありまして、有人輸送についての記述がございますけれども、今後、やはりアルテミス計画の進展などにより、月面での有人活動、期待が高まっていく中で、十分に技術的とか、あと政策的に準備をした上で議論をしてはどうかというふうには思っております。やはり、こういったところについてもいろいろ考えていくということもあるかなと思っておりますし、また、固体ロケット、イプシロンにつきましては、とても大切に思っております。できるだけ、今、燃焼試験がうまくいかなかったということでいろいろ原因調査など行っておるところではございますけれども、イプシロンロケット、できるだけ早い時期に実績を積み重ねられるようになるようにしていきたいと思っておりまして、今日、非常にありがたいというか、固体ロケットについてもというご意見賜りましたので、それを糧にまたイプシロンロケットの開発進めていきたいというふうに思っております。
 本日は、ほんとにいろいろ有意義なご議論、ご意見賜りましてありがとうございました。
 以上で私のお礼とさせていただければと思っております。どうもありがとうございました。
 
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございました。
 事務連絡となります。会議資料と議事録の公開について申し上げます。本日ここまでの会議資料は文部科学省のホームページに既に掲載させていただいております。また、ここまでの議事録につきましても構成員の皆さまにご確認をいただいた後、文部科学省ホームページに掲載をさせていただきます。
 本日の議論はここまでとなります。誠にありがとうございました。
 
 
 
(了)

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研究開発局宇宙開発利用課