令和7年3月11日(火曜日) 10時00分~12時00分
Web会議
(構成員)(50音順)
秋山 文野
大貫 美鈴
小笠原 宏
笠原 次郎
金井 宣茂
木村 真一
久保田 孝
神武 直彦
高橋 忠幸
田中 明子
鶴岡 路人
山崎 直子
山室 真澄
吉井 信雄
吉成 雄一郎
【阿部企画官(事務局)】
少し遅れてYouTube配信となりました。配信を御覧の皆様におかれましては、お待たせして申し訳ございませんでした。
それでは、宇宙戦略基金の推進に関する検討会を開催いたします。事務局で本日の検討会の進行を務めます、文部科学省宇宙開発利用課の阿部と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、はじめに本検討会について簡単に御紹介いたします。参考資料1の設置紙を御覧ください。簡単に御紹介しますけれども、政府の方では宇宙戦略基金が造成されて、第1期が既に順次公募採択された上で研究開発が開始されておりますけれども、第2期につきまして、現在テーマ等の検討を進めている状況でございます。今後の宇宙戦略基金の取組について、内閣府・宇宙戦略委員会におけるJAXAの提言なども踏まえつつ、文部科学省における宇宙戦略基金の今後の推進、具体的には技術開発テーマ等に関して、有識者による検討を行うということで、本検討会を設けているというところでございます。その他、資料を御参照いただければと思います。構成員のメンバーにつきましては、2枚目のところに一覧がございますので御参照ください。本日は、16名の構成員のうち、15名の先生に御参加、御出席いただいております。本日の資料ですが、議事次第の通りとなりますので御確認ください。 オンライン状況につきまして、音声がつながらない等の問題がございましたら、事務局へメール、電話等で御連絡いただければと思います。 本日は、当検討会の最初の会合となりますので、会議に先立ちまして、大臣官房審議官の橋爪より一言御挨拶をさせていただきます。
【橋爪審議官】
文部科学省大臣官房審議官の橋爪でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 本日はお忙しい中、宇宙戦略基金の推進に関する検討会に御出席いただきまして、ありがとうございます。本日の会合の開催にあたりまして御挨拶申し上げます。 先生方には改めて申し上げるまでもございませんけれども、米中をはじめ、国際的な宇宙開発の競争が大変激化しておりまして、我が国としてもJAXAを結節点とした、産学官による宇宙活動を加速するということが急務となってございます。宇宙開発利用分野におきましては、宇宙空間という特殊性に加えて、宇宙での実証など、最先端の技術開発などにおけるリスクや、必要な予算規模が大変大きくなることなどを踏まえまして、中長期的に研究開発を支える仕組みというものが非常に重要になってまいります。そのような状況を踏まえまして、昨年度、民間企業、大学などが複数年度にわたって、予見可能性を持って技術開発に取り組めるよう、宇宙戦略基金が創設された状況でございます。この基金は、内閣府、総務省、経済産業省、文部科学省の4府省連携のもと推進してございまして、第1期につきましては、全体22テーマに対し、130件247社の応募があるなど、非常に期待の高いものとなってございます。こうした動きを受けまして、民間企業や大学などが宇宙分野への活動をさらに拡大する動きも加速してございまして、昨年12月に措置された第2期分につきましては、宇宙分野への関与や、その拡大が特に期待できる新たな取組への支援を考えているところでございます。 特に文部科学省におきましては、宇宙開発利用分野における先端的、基盤的な技術開発などを中核として、技術実証までを見据えた中長期的な取組を重視してまいりたいと考えてございます。皆様には、第2期の技術開発テーマに関しまして、国内外の技術開発動向や産業界などのニーズを見据えつつ、民間企業、大学などの強みを活かせる分野、事業化に向けた方策などについて忌憚のない御意見をいただけますと大変ありがたく存じます。本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。
【阿部企画官(事務局)】
橋爪審議官、どうもありがとうございました。それでは、本題に入りたいと思います。令和6年度補正予算で措置されました、宇宙戦略基金のいわゆる第2期につきまして、その実施方針策定の方向性について、2月に開催されました、第94回宇宙開発利用部会で御紹介しまして、様々な御意見を頂戴しておりました。そうした御意見や、また、構成員の皆様と事前に個別に議論させていただいた内容を踏まえまして、事務局にて、実施方針(素案)としてまとめさせていただいております。本日はそれについて御議論いただくわけですけれども、それに先立ちまして、基金テーマの三つの柱、輸送、衛星等、探査等の各分野につきまして、それぞれ有識者の皆様から、内外の市場、技術の動向、そこから見えてくる重要技術などについて御紹介をいただこうと考えております。それぞれ10分程度で簡単に御説明いただきまして、質疑は最後にまとめてという形にしたいと思います。それでは、まず輸送分野につきまして、SLA宇宙旅客輸送推進協議会理事でもいらっしゃる、東京理科大学の小笠原先生、御発表をよろしくお願いいたします。
【小笠原構成員】
おはようございます。小笠原でございます。SLAの理事と東京理科大学の創域理工学部におります小笠原でございます。大学へ来る前に、某重工メーカーで30年輸送をやってまいりました。H1ロケットからH3まで関わり、途中で往還機もやりましたということで、純粋な輸送屋でございます。今日は、宇宙輸送系の本質的課題と重点技術ということで、論点の整理のようなことをやってみました。1番、2番、3番、4番ということで紹介します。次の頁へ行ってください。宇宙輸送の特性ですが、大きくは本質的な課題が三つあります。輸送ですから、宇宙に行くための加速、打上げですね。それから、還ってくるという意味で、宇宙から還る際は、帰還で耐熱の問題が起きます。それから、輸送系は今でもまだ使い切りとか使い捨てという言葉があるように、まだシステムとしての成熟度が十分ではないということが残念ながら実態です。といったこの三つの切り口が本質的な課題かと思っています。それを若干説明しているのもが、この下の枠の中にありまして、左の下へ行きますと、まず打上げでございます。加速(打上)のところですが、式が書いてあって恐縮ですが、式の意味ですが、加速量というものがどのくらい加速するかという意味です。地球の周りを回るためには、8km毎秒の加速が必要で、それはどう成り立っているかというと、エンジンから出る燃焼ガスの速さに、打上げ時の全備のW0、それが燃料が空になった質量、Wi+Wペイロード、すなわち、空になった機体と衛星の質量、その割り算で決まっていますよ、ということを言っています。したがって、この式から明らかなように、燃焼ガスがいかに速いか、要は、いかに良い燃料を使うか、いかに強いエンジン、効率の良いエンジンを使うか。それから、機体としてはWi、空になった重量をいかに軽くするか、それがすごく重要になります。次に質量比というキーワードが下に書いてありますが、この質量比の意味は、打上げ時の質量W0でペイロード、運ぶ衛星の重量を割っています。それが高いほど効率がいいわけですが、これを高くしようとすると、右側のイコールの空虚重量比と書いてあるところがございます。この空虚重量比を極力小さくするということが大事です。したがって、Wi、これもまた空になった質量をいかに軽くするか、それが重要だということになります。結局、キーの技術は空虚重量をいかに軽量化するか、燃焼ガスをいかに向上させるか、燃料とかエンジンの性能ですね、それからペイロードの効率の向上にはスケールが大きい方が有利だということも分かります。なぜかというと、空虚の質量と、打上げ時の初期の質量の比率は、ほぼほぼスケールの逆数なので、なるべくスケールが大きい方が得なのですね。なので、大きなロケットの方が効率がよくなるよと、そういうことです。次、真ん中が還ってくるところですが、耐熱の関係です。この右側の上のところにHOPE、日本版のスペースシャトルが還ってくる絵を描きましたが、ノーズのところが淀み温度といいまして、最大温度になります。これはマッハ数の2乗になります。大体帰還機、往還機が還ってくるときはマッハ20から25くらいで戻ってきますので、淀み温度は2万℃から3万℃を超えます。これに比べて航空機の淀み温度は、たかだか10℃くらいなので、いかに熱の壁が厳しいかということが分かるかと思います。それから、熱の壁を緩やかにするためには、なるべくひらひら降りてくる方がいい、軽い方がいいわけで、このパラメータが真ん中にあります、W/S、重量と面積の比率です。ですので、WとS、このパラメータの値が大きい、カプセルは熱的には厳しくて、ひらひら下りてくる有翼の方が得だというか、効率がいいと、そういう意味です。ここでもキーの技術は、重量の軽量化と、それから高温材料、耐熱材の性能向上。あとは形ですね。ひらひら型はいけるのか、弾道でカプセルを狙うのか、この辺りを狙うといったところが課題になります。あとシステムの成熟度は、もちろん安全性ですね。地上安全、今ロケットを打つときには地上の安全を担保しています。これから人が乗るようになれば、乗員や乗客の安全の問題もあります。当然です。それから、コスト・プライス。製品ですのでこれも必ず問題になります。サービスの提供コスト、この場合はロケットだけではなくて、地上系とか、いろいろなサービスを含めた全体のコストです。あと競争力、コストを踏まえてどんな価格が設定できるか。それから、使ってもらうという意味で、どのくらいの頻度、どんな柔軟性で使えるか。よくあるのは、タイムリーに打ってくれと。それから、いろいろな制限をかけるのをやめてくれとか、この時期を変えてほしいとか、持って行く軌道を変えてくれとか、いろいろな要求が出ます。それにタイムリーに対応するということが大事になります。これが宇宙輸送の特性です。次の頁をお願いします。世界動向ですが、いちいち読み上げません。参考1、2、3、4、5というところは後ろにシートがついてございますので御覧いただければいいと思います。②のところを見ますと、いろいろニーズが新しいものが立ち上がっていて、SLAのスタディで2040年に宇宙輸送の民間利用は14兆円規模と、770万人が使うだろうと、かなり前のめりですが、そんな推定もできております。それから一方で3番ですが、宇宙輸送価格の低減が激しく進んでいます。つまり、1キロ当たりの価格、重量単価がどんどん下がっています。背景は、SpaceXが超大型をロケットやって超低価格で出しているということになっています。そうすると、価格以外で何かを考えないといけなくなっているような実態です。一方、小型ロケットの開発も世界中で進んでいまして、今でも200くらいはベンチャーがやっていると思いますが、ただ玉成できている数は非常に限られていて、中止が莫大にあります。成功しているのはほぼ一握りです。片手くらいだと思います。そんなところがありまして、そういう参入障壁、大型に関しては開発投資も大きくなるということで参入障壁になります、ということを認識しておいた方がいいかなと思います。基本計画第1期テーマ、この辺りは先ほど紹介がありましたので飛ばします。次の頁をお願いします。こちらで全体のマップを書いてみました。輸送系の本質的課題、最初に紹介しました、加速、打上げですね、それから帰還、耐熱ですね、それから成熟度をいかに上げるかと言った、この3点に関して、ここでは3種類の技術テーマの整理がされています。青字で書いてあるのが、技術戦略です。宇宙政策委員会がまとめている技術戦略資料の中の輸送系の技術テーマを拾い上げて書いてみたものがこの青い字でして、あとSLAが民間事業者6社といろいろディスカッションした結果、この辺りが重点テーマであろうと決めたものがピンクの中に書いたものです。それから、菱形で書いてある数字が書いてあるものが、第1期の戦略基金のテーマです。あと、マップの場所ですが、縦軸は大きくは機体系と、あと打上げ、輸送を支える地上系というふうに分けて書いています。下側が地上系。地上系の下側は、さらに要素。地上系の上の方は、地上系でもシステム型ということで整理しました。上側が機体で同じように書いています。そういう目で見ていきますと、例えば、加速のところを見てもらうと、ロケットの、ないしは輸送系の基本的な性能である軽量構造を狙うというところで、ピンクの複合材タンクとか、3Dプリンティング、再使用タンク、この辺りがいろいろ、全3社からですかね、技術戦略からも、SLAからも言われていて、基金の第1期目のテーマとして、この辺りをやられることになったというような整理にしてあります。そういう形で見ていきますと、例えば、この絵でいいます、右の上の辺り、システムの成熟度の辺りの上の方、機体系の辺りは、まだ全く基金の中の対象にはなっていない。それから、耐熱の真ん中の辺り、帰還のところもまだ基金のテーマにはなっていないというところくらいが分かるかなと思います。後ほど使っていただければいいと思います。では、次の頁をお願いします。これで終わります。最後、論点の提示をして終わります。技術戦略の評価軸が既に整理されておりまして、ここでは技術的な優位性と自律性と多様なニーズ対応ということで、右に書いたようなキーワードが書かれております。私の方から盛り込みたい視点として、三つこの黄枠の中に書きました。一つ目は、技術的優位性のところにあります、国際市場でどう勝ち残るのか?それを目指す上ではどうするか?というところですが、申し上げたいことは重量単価で競争するということは現実的か?というところです。右側の絵を見てください。右側の絵はどういう絵かというと、大きく全部で6種類のロケットの絵が書いてあります。小さなものから大きなものまでです。大きさは下の絵で分かるとおり、それから重量が書いてあるとおりで、グラフの下に書いたものが重量です。打上げ時13tの機体から4500tの機体まであります。ここに棒グラフになっています橙色のものは、開発費として公表されている値が書かれています。13tの機体はElectronといって、小型で唯一成功している機体です。非常に小さな投資です。ですので、ベンチャーが投資して何とか玉成できている。一方、一番右の4500tの機体を見てもらうと、これは既に5ビリオンドル使っているようなStarship、もっと使うというふうに言われていますが、莫大に大きな機体です。それを比較してみたときに、青丸が書いてありますが、青丸は何かというと、右側の軸で見ます。打上げの重量単価です。13tの機体と4500tの機体を見てもらうと、いかに重量単価が全然違うか分かります。我々のH3ロケットは左から三つ目で、重量単価はそのくらいのところ、やはりFalcon Heavy、Starshipに比べて、これでも高いというところで、なかなか、世界市場で頑張るのですが、それほど簡単ではない。こういったところを考えながら、これからやる、新しく入ってくるプレイヤーはどの辺りを狙うのか、ということも考えつつ、技術テーマ選定というものに配慮しないといけないのではないかということを申し上げたいのが①の特化するポイントの議論になります。二つ目です。技術や施設の共用/相互活用という話ですが、よくいろいろな話の中に共用とか相互活用が出ます。技術テーマは、どうしてもビジネス構想と関連しますので、ビジネスのシークレットの中でどうしてもやりたがってしまいます。IPの議論にどうしてもなります。どこまで公開して、どこまで誰でも使えるようにするか、といった辺りが、なかなか難しいところなので、この辺りの枠組みも少し考えながら議論しないといけないかなと。それから、射場とか地上設備の共用化の話もいろいろ出ています。種子島で長々とロケットを打ってきましたが、いろいろなロケットを一つの射場から打つのはかなり難しいと思います。一方、安全保障にも使われることを考えたときに、民間射場を考える上では、民間射場に安全保障のスペックを課さないといけないのではないかと、そんなことも考えたら、何を技術テーマとして入れるか、その辺りも論点になるかなと。それから最後ですが、民間事業の持続性です。民間は長期投資には慎重で、儲からなければ直ちに撤退します。そんなことを考えたときに、せっかく戦略基金でいろいろやっていただいたにも関わらず、持続しなければ意味がないので、持続性を高めるには、やはり予見性担保ですね。アンカーテナンシーという言葉が柔らかくて丸いのですが、より生々しく、調達計画、具体的に何年にどのくらいの規模の調達があるのか、数字をきちんと提示していくといった辺りも、民間企業に予見性を担保させるには重要ではないかなと思っています。そんなような論点、三つを私の方から提案したいと思います。以上です。
【阿部企画官(事務局)】
小笠原先生、ありがとうございました。続きまして、衛星等の分野について、東京理科大学の木村先生、よろしくお願いいたします。
【木村構成員】
ありがとうございます。御説明させていただきます。それでは、衛星分野、特に今回、軌道上サービスという新しい分野が議論されているということで、前回委員会のときに、ぜひこの分野は広げていくべきだというコメントをしたという事情もございますし、私自身、ここの分野をぜひ広げていくべき、この機会に大きく発展させる必要があるだろうというふうに意識しておりまして、ほかの分野もいずれも重要ですけれども、特に新しい分野ということで、軌道上サービス関連について、私自身この分野に携わって、いくつか反省事項もあるので、その反省を踏まえて、どう進めていったらいいのか、ということをお話させていただきたいと思います。
まず、軌道上サービス技術とは何か、ということです。これは技術戦略の方の説明資料からいただいてきたのですけれども、軌道上でロボットを使ったり、ほかの衛星にアクションする、あるいは軌道を変換するというような、衛星自体がほかのオブジェクトに対して組立てを行ったり、修理を行ったり、あるいは除去を行ったりという、こういうような技術の総称でございます。アプリケーションとしては様々なものがありまして、このようにいくつか例示がされているというところです。実は、この分野は非常に日本にはヘリテージといいましょうか、実力がございまして、1997年に技術試験衛星Ⅶ型、「おりひめ・ひこぼし」という、世界初の宇宙ロボット衛星、自律ランデブ・ドッキング衛星を世界で初めて打上げました。これは重要なことなので、私は講演のときに2回言うことにしております。何かといいますと、世界で初めて宇宙ロボット衛星を打上げたのは、アメリカでもヨーロッパでもロシアでも中国でもなく、日本です。このとき、実はアメリカのレインジャーというミッションがありまして、それと競り合っていました。我々は競り勝ったのですけれども、そうしましたら、そのレインジャーがキャンセルされてしまって、アメリカは類似のミッションを実現したのが、10年後のOrbital Expressで、リバイバルすることになります。この間、日本は重要なインフラ技術で世界トップに立っていたということです。この事実をお話ししたあと、実は私達、ここで獲得した技術をどう展開するか。これは実は、HTV「こうのとり」、それから宇宙ステーションなどのロボットアーム、こういうところでもちろん活用されています。ただ、これは重要な宇宙におけるインフラ技術の一つで、かつ、ほかになかなか代替手段をとれないというところです。私自身、当時、総務省の研究所におりましたけれども、これをもっと大きな、いわゆる産業的な展開につなげたいというふうに考えて様々な活動をしてきました。特に宇宙ゴミ、スペースデブリの問題が出始めの頃だったので、こういった軌道上サービスの文脈で産業とすることはできないか、ということをいろいろと検討してきたのですけども、残念ながら、これが産業的な大きな展開につなげられなかったという私自身の非常に大きな反省がございます。ここでの教訓ですけど、このあと具体的なお話をしていきますけれども、具体的なアプリケーション、これは産業的な規模も含めて、あるいはその枠組みも含めて、アプリケーションや事業化のシナリオ、これが当時なかなか実現できなかったというところが一つ大きな反省点です。もう一つ、これは国民的な共感の醸成という項目も挙げさせていただいているのですけれども、この点について、あとでまた議論したいと思います。ところが、今まさに世界が大きく動いています。ここ数年で、軌道上サービス分野のビジネスが世界中で顕在化してきているということが実情としてございます。一つは、大きいのはスペースデブリ対策、この話題が非常に近年意識されるようになることによって、軌道上サービスは一つ大きな重要なインフラ技術として認識されるようになってきました。運用終了後の除去であるとか、あるいはデブリを除去していくというようなサービス、あるいはもっと一歩踏み込んで、燃料を補給したり、あるいは軌道変換を行ったりしていくという、こういうようなアプリケーションとして、これがデブリ対策もそうですけれども、衛星が多様化して、打上げ手段、あるいは軌道変換のニーズが高まってくることによって、こうした技術の重要度が今増してきているという、ビジネス的な重要度が増してきているというところが一つ大きな変化でございます。その市場規模について、これはいろいろなところで検討されているのですけども、4年間で約6倍に拡大するのではないか、というふうに言われておりまして、大きな展開を見せております。実はこうしたビジネスを実現していく上で、技術だけにとどまらず、様々な枠組みや、マーケティングも含めてですけど、そういう仕組みを作っていくことが必要ですが、日本は世界に先駆けて、軌道上サービス関連のガイドラインを制定すると、これは内閣府を中心に進めていただいている話ですけれども、こういったものを既に整備しておりまして、世界に先駆けた取組を進めているというふうに言うことができます。日本企業はこの中で非常に頑張っているというか、世界を先導しているところがありまして、先日、ADRAS-Jが軌道上で、こうしたデブリに接近した映像を世界に発信しまして、これが大きなインパクトを与えたところで、まさに今、日本がこういうプレイヤーとして認識されてきているという、そういう状態になります。このことを受けて、CRD2とか、日本の政府の方でも、いろいろと取組を動かしていただいているところだとは思うのですが、実は海外勢もいろいろな活動を今展開していまして、代表的なものはSpace Logistics社の衛星の延命をドッキングで実現するという、これは実はもう実証をしています。ただこれはコンセプト的には技術試験衛星Ⅶ型の頃に既に提案としてはあった、Cone Expressというプロジェクトがあって、それはキャンセルされたのですが、そのリバイバルという感じでございます。そういう意味で、世界的な今動きの中で、軌道以上での衛星の製造であったり、修理であったり、あるいは燃料補給であったり、あるいは軌道変換だったり、ここのところに市場は動いてきているというタイミング、かつ、我々日本はそこに対して非常に大きな地力を持っていて、産業的に先駆的な取組を持っているというところから、今こそ軌道上サービスを事業化に向けた取組が重要であるというふうに私の方は認識しております。そういった思いから、先ほどの教訓めいたところをいくつかお話していきたいと思うのですけども、一つはアプリケーションの具体的な事業戦略、これがやはり何においても重要です。具体的な利用者、あるいは需要、技術だけが先行しても、結果的に、この技術がサスティナブルに発展していくことができないので、これを明快にしていくということが非常に重要です。これあとで、おそらく今回の宇宙戦略基金のご説明の中で、テーマとして例示いただいている項目だと思うのですけれども、効率的な物流、これは軌道変換のことを指しますけれども、こういうような観点でビジネスにつなげていく。あるいは衛星を再使用したり、衛星寿命を延長したりすることによって、サービスにつなげていく燃料補給の技術が特に期待されると思います。あるいはもっと踏み込んで、宇宙空間で衛星そのものを製造したり、管理したりといったアプリケーションであったり、除去するということについては、スタートのところで非常に良いスタートを切っていますけれども、除去する対象衛星としては様々なものがございますので、そういった多様な物に対して、確たる除去手段をビジネスにつなげていく。軌道上物流やスペースデブリ対策、さらには、衛星に対する多様なオペレーションについて、明快な市場を作っていくというところ、この取組に非常は重要かなと思っております。それだけではなくて、先ほどの例、レーンジャーが、我々のETS-Ⅶでキャンセルされたという話から、お気づきだと思いますけども、この技術は、地上ではなかなか検証ができないというところで、宇宙実証の役割が非常に重要になります。なので、必然的に、これは中長期的な計画が絶対に重要でして、上でやってみせるところまでプロジェクト化していくという取組が非常に重要になってくるということになります。もう一つ、ここでデファクトスタンダードみたいな話が、これは実は将来に向けてのビジネスにとって、とても大事な要素だと私自身は思っています。例えば、キャプチャーするためのインターフェースであるとか、こういったところを事実上、日本の仕組みで獲得し、席捲していくことによって、継続的な事業、これを成立させていくという、そういうような取組が、この検討の中では、ぜひ検討されるとよいのではないかというふうに思っております。もう一つ、実は国民的共感の醸成というものが私の大きな反省から来ているところがございまして、先ほどお話したとおり、日本が、ロボット衛星の分野で、世界のトップを10年間続けていたということを御存知の方が意外と少ないと思います。今、お聞きになっている方々は意外と知らないのではないかなと思っています。当時、技術試験衛星Ⅶ型が打上がって成功している時期は、正直申し上げると、日本の衛星開発は失敗が続いていた冬の時代です。我々も技術設計者がうまく世の中にアピールするのがなかなかうまくなかったというところがあって、世界最先端のところにいる技術があまり意識されなかったなという、それが非常に悔やまれております。一方で、御存知でしょうか。宇宙ステーションとか、スペースシャトルで使われているロボットアーム、これはカナダ製であることは御存知ですよね。彼らは誇らしげにカナダアームと呼ぶのですけれども、なんとこれが最初にスペースシャトルで動いたときに、カナダ国民は、こぞってテレビにかじりついたというようなお話を聞いて、さらに5ドル紙幣、こちらにありますけれども、その裏側には、これは新札の方ですけれども、カナダアームと、SPDM「デクスター」と言いますけれども、国際宇宙ステーションで活躍しているロボットアームのイラストが描かれているわけです。こういう意識みたいなものは非常に重要だなと思っておりまして、特に軌道上サービス分野は動きが派手ということもありますし、先ほどの映像とか、そういうところは非常に意味を持つと思っていて、こういった取組が非常に重要かなと。日本は「はやぶさ」であるとか、「はやぶさ2」、SLIMも非常に大きな共感を生んでいて、これから先、有人与圧ローバが、また大きな共感を生むのではないかと私も期待しているのですけれども、軌道上サービスはこういった共感を醸成できる可能性があるなと思っています。ちなみに、この「はやぶさ2」の映像ですね、今動画で流れているのですけれども、このカメラの開発に我々東京理科大学が協力させていただいたということを、つい宣伝してしまう自分が、大変さもしく恥ずかしいのですけれども、ただ、そのカメラは、実は元々は軌道上サービスにおいて、衛星の接近航法であるとか、状況監視のために開発していたカメラです。その意味で、この技術は実は軌道上サービスに関連して開発してきたもので、関係しているのですけれども、このことが表すように、軌道上サービスというものは非常に多くの技術を内包しています。なので、ここが進むことによって、様々なほかのミッションに対して、共通的な部分で展開していくといいますか、進めていくことが可能ではないかなというふうに思っております。以上、まとめさせていただきますと、軌道上サービス技術というものは今まさに取り組むべきだということがシンプルな主張でございますけれども、そのときに非常に重要なことが、アプリケーションの具体的な事業戦略で、それのためには具体的な利用者、需要の分析に基づいて市場を開拓していくという取組、それから、これは実証までを含めた中長期的な取組をその中に必ず入れていくということ。さらには、標準化や、こういった技術をサスティナブルに進めていくための構造を、法律も含めてになってきますけれども、そういう仕組みが重要であるというふうに思っていること、こういった点を説明させていただきました。また、この技術は、国民的な共感を醸成する意味で非常に重要とも思いますので、そういった観点で展開していくのがよいのではないかというふうに私の方で思っております。ありがとうございます。私からの説明は以上になります。
【阿部企画官(事務局)】
木村先生、ありがとうございました。最後に探査などの分野について、東京大学の中須賀先生、よろしくお願いいたします。
【中須賀教授(東京大学)】
中須賀です。よろしくお願いします。私も木村先生と一緒にいろいろな衛星づくりなどをやってきましたけれども、衛星屋という立場、それから文科省のISS国際宇宙探査小委員会の委員長もやっておりますので、今日は衛星といっても、特に地球低軌道活動、宇宙探査分野に関係するもの、あるいはそれ以外の分野も含めて、この分野における重要技術について考察をさせていただきました。資料をお願いできますでしょうか。それでは、次の頁をお願いします。まず、皆さんも御存知だと思いますけれども、国際宇宙ステーションISSは、ここで大きな節目を迎えます。2030年にはNASAはISSを運用しないということで、それ以降は民間がつくる新しい宇宙ステーションをお金を出して借りるという、こういう時代になっていくのですね。 それに向けて、今、アメリカでは、この5社が、5チームと言っていいのかな、この5チームが企画競争していって、その中で1~2社が選ばれて、2025から26年にかけて、実際の開発をスタートしていくだろうと、こういう状況になっています。2030年には、こういったものが宇宙ステーションの中心になっていくわけですけれども、それに日本がどういう形でコラボレーションしていくのかということは、今日本における大きな政策課題だと思っていますけれども、このJAXA基金、宇宙戦略基金の中でも、第1期で、こういったモジュールに取り付ける日本型の、日本のモジュール、自律飛行型と言いますけれども、くっついているのが離れて、しばらくフリーで動いて、またくっつくことができるような、こういうモジュールと、それから、こういうステーションに物資を補給するシステム、それからドッキングに関するシステム、さらには、その中で行われる実験を汎用的に、かつ低コスト、かつ非常に迅速に実験できるような、そういう柔軟な実験システムというものが、この第1期でお金がつきまして、開発が開始されたと、こういう世界の状況、あるいは日本の国内の状況がございます。次、お願いします。一方、月探査、これも今、世界中ですごい勢いで進んでおりまして、御存知のアメリカを中心としたアルテミス計画の中では、やがて月への着陸を目指して、Gatewayという月周りの宇宙ステーションの開発が進んでいます。日本もいくつかの日本の得意技術でこれに貢献すると。さらには、日本が持っている「こうのとり」、これの後継機を使って物資を輸送するという技術、こういう形で貢献していくと。月の上では、この間SLIMの着陸があるという、高精度のピンポイントの着陸技術を持っており、やがて南極域で水を探索するLUPEXというプログラム、これはインドと共同ですけれども、これが行く予定であると。さらに将来には、これも皆さん御存知だと思いますけれども、JAXA・トヨタが、与圧ローバ、宇宙服を着ないでも乗れるようなローバを作る、これはまさに宇宙基地ですね、宇宙基地が月の上を動き回るということで、日本としては初めての有人システム全体を統括するという、非常に大きなチャレンジに向けた開発がスタートしたというところです。それから、小委員会の中でもいろいろ議論しましたけど、やはり宇宙科学というものはすごく大事で、月面の三つの科学、これは月面の裏側にある電波天文台、それから月のサンプルリターン、それから月震計ですよね、この三つの科学を中心とした宇宙科学もやっていこうということで、このアルテミス+月面3科学をはじめとした開発を日本としてもやっていきましょう、これが日本としての現在の方針でございます。この中では、宇宙戦略基金の第1期では、測位、あるいは通信インフラ、地球と月の間の通信インフラ、それからエネルギー分野における研究開発にお金がついて、いろいろ開発がスタートしている。これが月周りの現状の全体像でございます。次、お願いします。そういった現在の状況、それから今後のビジョンを踏まえた上で、どういった分野が大事になってくるだろうかということを少しまとめております。非常に項目しか書いておりませんので、詳細は口頭で補足していきたいと思いますけれども、まず、月にしても、それから宇宙ステーション周りにしても、大事なことは利用を開拓していくことです。どんどん利用が広がることで、そういったことをやろうとする事業者が出てきて、ちゃんとビジネスとして展開することによって、政府の手から離れても、どんどんそこで開発が進んでいくと。こういう世界にしていかないと、政府がいつまでもお金を出し続けるということは、なかなか厳しい。もちろん政府も一部お金を出しますけれども、それだけで動くのではなくて、民間投資を進めるためにも、やはり利用をもっともっと拡大していく必要があるだろうということで、この地球低軌道活動、つまり宇宙ステーション周りと、それから月、両方において、やはり利用が拡大するようなインフラ技術が必要だろうということで、例えば、宇宙ステーション周りでいうと、軌道上実験施設内外での宇宙利用環境の高度化・効率化であり、実験サンプルを回収する利便性、例えば地球に持って帰ってくるということも、半導体であるとか、あるいは材料であるとか、それからバイオ関係の実験の成果を地上で解析をするということも大事なので、そういったものを回収するための利便性を向上する技術であるとか。それから三つ目は、宇宙ステーション周りに計算処理能力が高いシステムを作っていくという、宇宙データセンターなんて言い方をしているところもありますけれども、これが非常に大事になるだろうと。これは、宇宙で例えば地球観測衛星がたくさん写真を撮ったり、合成開口レーダーのデータを集めたりしても、なかなか地上に送る通信回線がボトルネックとなって、全て送れないから、だったら、宇宙ステーション内のデータセンターにデータを集めて、そこで解析をしてはどうかと。解析をして、データ量が少なくなった状態で地上に降ろすと、こういう世界も考えられるだろう。あるいは、宇宙ステーション内で解析をした結果、あの部分の写真を今撮らなくてはいけない、例えば、災害地がここだとかですね。そうすると、そこの写真を撮りなさいという命令を、宇宙ステーション経由で別の衛星に命令を送って、タスキングと言いますけれども、それが撮るような、こんな世界も出てくるのではないかと。あるいは、宇宙ステーションの中でいろいろな実験をするときには、たくさん、いわゆる必要な画像とかが出てくるのですよね、これを地上に降ろすのではなくて、まずは軌道上で1次処理をして、データを少なくして地上に降ろすとか、こういったニーズもあるだろうということで、この宇宙データセンターというものもこれから大事になってくるだろうと思います。それから、月面においては、高度な月着陸技術、これは言ってみれば月面輸送インフラと大括りすることができると思いますけれども、そういった技術とか、既に今も開発がスタートしている測位・通信・エネルギーを含めた探査インフラ技術。月において私がとても大事だと思うことは、月にあるものを使って、いかに次につながるような機能品を作っていくかですね。例えば、水が見つかれば、水を酸素・水素に分解すれば燃料になる、あるいはもちろん人間の必要なものにもなるというところで、水というものはとても大事だし、あるいは月のレゴリスをうまく使うことによって、何か構造部材を作るとか。地球から全ての物資を運ぶということは大きなロケットが必要になりますので限界がある、といった先々で、そこから先に行くのに必要な機能品をそこで作っていくという、in-situと言いますけれども、その場で作っていくという、これが大事で、月というものはまさにそういった事を試していく一つの場であるというふうに思っています。ということで、そういったインフラの技術が大事だろうと。 もっと広い範囲で言うと、宇宙開発基盤インフラとなる重要技術ということで、光通信は大事ですね。それから、地球から全ての物を運ぶのではなくて、例えば、宇宙空間に滞在している orbital transfer vehicle:OTVと言いますけれども、軌道間輸送機が燃料を補給しながら荷物を運んで、また次の荷物輸送のミッションに備えると、こういったネットワークの技術も必要だろうということで、これもこれから検討していく必要があると思います。それから、これは地球周りで特に発生していますけれども、さっき言った、ある地点を見て、これをずっと追いかけていかなければいけないといったときに、別の衛星に向かってタスキングをして、ここの写真を撮りなさい、あるいはこの物体の写真を撮りなさい、こういうことをTip&Queといいますけれども、そういった技術も大事になるだろうと思います。さらに、宇宙空間に打上げないと実証ができないというものではなくて、地上で、打上げたらこのシステムはこうなるよ、こういうビヘイビアをするよ、こういうふうに壊れるよ、ということが地上で実験できるような、検証できるようなコンピュータシミュレーションですね、非常に高精度なコンピュータシミュレーションを作って、これはデジタルツインという言い方もできると思いますけれども、その中で、打上げなくてもどんどん実証を進めていくと、こういったことも地上の大事なインフラとして必要だろうというふうに思います。それ以外にも、あと二つ、高頻度な軌道上の実証基盤であるとか、低軌道月面の科学研究・事業ユースケース開発基盤につながるような技術、こういったものも大事な技術だと思っています。時間の関係で全部詳しくは説明しませんけれども、いずれにしても大事なことは、政府が長期にわたってしっかりと支援していくということです。宇宙開発の技術というものは、そんな短期に培われるものではなくて、短期にできるものは、それこそ企業とかがやればいい話だけれども、やはり国が支援すべきものは、難しいからこそ意義があって、それを開発実証するのに長期にかかるもの、これをしっかり国が維持することによって、国際的な競争力を身につけていくということで、長期に渡ってやるということの大事さはありますので、特にISS回り、それから月回りだと、そういったことがより一層明確にはなるということで、国における国からの長期にわたる支援を大変期待しているところでございます。以上でございます。
【阿部企画官(事務局)】
中須賀先生、ありがとうございました。それでは、ここで質疑応答の時間をとりたいと思います。只今の三つの御説明に対して、御意見、御質問のある方ございましたら、挙手機能を使って御意思を表示していただければと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。特にございませんようでしたら、またお気づきのときにでも結構でございますので、意思表示いただければと思います。よろしくお願いいたします。それでは、ここから実施方針素案の議論に移りたいと思います。文部科学省における宇宙戦略基金実施方針の素案につきまして御説明したいと思います。それでは池田補佐、資料の説明をお願いいたします。
【池田補佐(事務局)】
文科省の池田です。よろしくお願いいたします。本日、こちらの資料の1-5を使っていきまして、宇宙戦略基金の第2期に係る実施方針、いわゆる技術開発テーマについて、素案ということでお示しさせていただきます。冒頭、阿部の方から説明ありましたとおり、2月5日の宇宙開発利用部会以降、本日御出席の構成員の方々ですとか、宇宙開発利用部会の委員の先生方に対しては事前に御説明させていただきまして、いくつかコメントいただいております。それらについては、資料の1-6の方に記載をしているところでございますが、まずは全体ということで、私の方から御説明させていただきます。頁をめくっていただければと思います。まず、全体の概観からです。令和6年度補正予算にてJAXAに造成された宇宙戦略基金、文科省については1,550億円分ございまして、これをいわゆる第2期と呼んでおります。これにつきましては、宇宙分野の関与・裾野拡大が特に期待できる技術開発の内容といったところを第2期のテーマとして設定しておりまして、現在、全13テーマということで想定をしております。具体的には、輸送分野におきまして二つ、計185億円程度。衛星の中で、衛星開発ないしはデータ利用に係るところが2テーマで、計140億円程度。また、軌道上サービスにつきましては、2テーマで465億円程度。探査等の分野の中で、地球低軌道利用に係るテーマとして三つ、計225億円程度。月面開発につきましては、2テーマで計280億円程度。また分野共通的な取組として2テーマで計210億円程度。このほか本基金事業に係る管理費を計上しておりまして、これらを合計しますと1,550億円になります。具体的なところにつきましては、このあと御説明しますので、その次の頁は割愛させていただきまして、5頁目から説明いたします。 まず、輸送のテーマから簡単に解説いたします。スマート射場の実現に向けた基盤システム技術ということで、こちらは85億円としております。スペースポートの構想といったものが国内外でたくさん立ち上がっていまして、当然民間ロケットも含めた、ある意味ロケットの誘致合戦が起きている状況と承知しております。 しかしながら、ロケット打上げに係る地上系の民間事業を実現していく上では、そもそもペイするのか、といったところで、十分なサービス提供の機会創出に加えて、射場の維持管理コストを極力抑えて、しっかりと経済的合理性のあるシステムとして立ち上げていく必要があると考えております。そうしますと、必ずしもこれまでロケットの打上げをやってこなかった事業者とか、新規参入事業者を含む方々を巻き込みながら、共通打上げといったところも含めた、高いユースケース、ユーザビリティですとか、あるいは高コスト構造となりがちな運用の省人化といった低コスト化を追求したシステムの構築が極めて重要でございますので、今回こちらのテーマでは、民間による射場運営の持続性を抜本的に引き上げるとともに、ユーザーにとっての使いやすさや相互発展性、ここに多分セキュリティというところも先ほど御指摘がございましたけれども、事業者と射場の運営事業者の両者が、共に共創しながら発展していくような取組ということで、世界的にも例を見ない革新的なスマート射場といったところ、こちらにベースを書かせていただいておりますけれども、スマート射場の実現を目指して、必要になる技術開発を支援していくということを考えております。目標としましては、2030年度までを目途に、TRL5相当を完了して、その経済合理性及び機能的優位性を示していくということでございます。技術開発内容としましては、例えばですが、オペレーションの省人化ですとか、先ほど中須賀先生からデジタルツインといった話もございましたが、そうした技術も取り入れて、いかに効率的に打上げといったものを回していけるか、といったところについての技術開発について広く提案を募るというところでございます。次の頁をお願いします。少しこちらの資料はビジーでございますので、適宜割愛させていただきますけれども、支援のスキームとして総額85億円で1~2件程度を採択するということで、支援期間を5年としております。2~3年程度でステージゲートを設けまして、まず基盤技術の開発を行いながら、右にございますような評価の観点、例えば地方自治体との連携を含んだ持続的な事業構想を有しているのか、といったところを審査しながら、ステージゲートではそれに向けて資金調達ができているのか、設定できているのか、といった点ですとか、関係機関との協力を得ているのかですとか、自社投資や民間投資の調達が可能であるとか、そういったところも見ていきながら、後ろの技術実証に向けた支援についても可否の判断を行って、必要であれば支援を行っていくといったスキームとなっております。次の頁をお願いいたします。次は、有人宇宙輸送システムにおける安全確保の基盤技術ということで、100億円程度を設定しております。本日も小笠原先生の方から御発表いただきましたけれども、SLAの方から情報提供ございましたとおり、将来の宇宙輸送につきましては、有人ですとか、いわゆるP2Pの輸送といった、新しい宇宙輸送のシステムが想定されているところでございまして、文科省の既存の取組であるSBIR等では、こうした事業構想についてスコープに入っていないといった状況にございます。こうしたものについて、いわゆる再突入の技術ですとか、安全管理の技術といったものがコア技術として同定されてきたところでございますが、今回はその中でも、安全確保に係るところを特に支援をするということで想定をしております。こうした高速二地点間飛行、宇宙旅行というものは2040年代にそれぞれ5.2兆円、8800億円の市場規模にまで成長すると試算がある中で、依然として技術課題がたくさん存在しておりまして、この技術については足りないものが極めて高いと。特に、こちらの技術開発内容に記載されているとおり、生命維持や環境制御を含むロケット搭載用の与圧キャビンですとか、異常検知・緊急退避システム、ロケットの異常を検知して、人を乗せていますので、その乗せている人たちを離脱させるといった機能は日本としてはまだ有していない技術でございまして、海外から持ってくるにも相当に機微な技術になりますので、これらを日本として早期に確保することが自律性の観点からも重要と考えて、今回優先的に支援することにしております。次の頁をお願いいたします。支援のスキームでございますけれども、1件あたりAとBと分けておりまして、Aがいわゆる与圧キャビンの技術、Bがいわゆるアボート関係の技術ということで、60億円、40億円程度と設定をしまして、それぞれ1~2件程度を支援する予定でございます。支援期間は共通で3年程度としております。また、少し補足になりますけども、支援の枠組みで、CとかBと書かれていますのは、これはいわゆる技術成熟度に対応しておりまして、CがいわゆるTRL4くらいまでのもの、BがいわゆるTRL7くらいのもの、また、ここには書いていませんがAというものがございまして、それは事業化実証ということでTRL10といったところでございますので、C及びBは、低いところのTRLからBのTRLまで上がってくるようなことを想定しているということでございます。技術開発推進体制につきまして、こちらAとBの取組につきましては、将来のユーザーからのフィードバックを踏まえつつ、対話の機会ですとか、技術の提供に向けた体制ができているというところについても確認をしていくものでございます。スケジュールにつきましては、3年程度の支援の中で、2年程度のところにステージゲートを置きまして、技術開発の継続の可否を判断するといったところでございます。輸送は以上の2テーマでございます。続きまして、衛星に入っていきます。次の頁をお願いします。衛星のテーマは二つございますが、そのうちの一つ、まず、次世代地球観測衛星に向けた観測機能の高度化技術ということで、100億円程度の支援総額を想定しております。上の方から近年のロケットの打上げの低コスト化、こちらは先ほど小笠原先生の方からも話がありましたけれども、地球から地球の低軌道に打ち上げていくところは、スケールが上がってコストが下がっている状況でございまして、従来はとにかく小さくして安く上げようといった試みから、だんだん衛星それ自体の機能を高度化して差別化していって、違うサービスを展開していきましょうといった形でトレンドが移ってきているのではないかというふうに考えているところでございます。かつ、そうした中で、現在、気候変動、ESG投資、カーボンクレジットといった、従来なかなか市場としては掘り下げてこられなかったところについても、衛星データ、衛星観測を用いて参入していこうという流れが出てきているといったところで、こうしたところを踏まえまして、我が国として、事業基盤の強化のみならず、技術力向上に向けた研究開発を絶やさず実施して、将来の地球観測衛星によるビジネスの創出につながるような技術力を引き上げていくような中長期的な取組が必要であろうということで、こちらのテーマを設定しているものでございます。こちら、本テーマの目標のところを読んでいきますと、AとBと書いてありますけれども、ターゲットとして全くこれまでなかった新しい市場を取っていくもの、あるいは既存の市場を広げていくようなものというところで、ゴールを少し分けておりまして、支援金額や補助率についても少し差別化しているところでございます。やはりこのテーマにつきましては、いろいろ先生方の御意見も踏まえながら、最終的にはやはり軌道上での実証してが重要ということで、いわゆるTRL7相当の完了までを目指すということにしております。取組の内容としましては、例えば右の方に書いております、これはあくまで例示でございますけれども、例えば、全くこれまで取れてこなかった物理量を取るための新しい観測機能の付加ですとか、新しい市場、あるいは既存の市場を拡大するためのレイテンシーの向上ですとか、あるいは、これまで大型の衛星でしか積めてこなかったようなセンサの小型化による新しい市場の創出、といったところが想定されると考えております。次の頁をお願いいたします。こちらの支援規模等ですけれども、Aの新しい市場を広げていくものにつきましては30億円程度を上限、Bの既存市場の拡大といったところについては50億円程度を上限としておりますが、補助率として、AよりもBの方が低いといったところで想定をしているものでございます。採択予定件数AとBの合計で3件程度、支援期間については記載で6年程度としておりますが、米印を振っておりますとおり、軌道上実証にかかる期間といったところを勘案して、1年程度追加で期間を設けることも可能としているものでございます。次の頁をお願いします。衛星の二つ目のテーマでございます。地球環境衛星データ利用の加速に向けた先端技術ということで、40億円程度としております。第1期では、文部科学省のテーマとしては、衛星データ利用の活用に係るテーマというものは想定・設定しておりませんでしたが、やはりアップストリームからダウンストリームまでしっかりと支援をしていくことが重要であろうということで、この衛星の地球観測データのソリューションの市場を広げていくということで、データ利用の方についてもテーマ化しました。イメージしておりますのは、やはりユースケースの創出拡大が重要であろうということで、中でも気候変動や、それを取り巻く世界情勢の変化により、環境変化といったものの、経済、社会への影響が大きくなっていく、あるいは複雑化していく中、こうしたものの因果関係を推定、推論していくような環境観測、AIデータ、数値モデルの高度な技術、情報技術の融合によって、これらを複合的に解き明かすとことが求められているということでございます。やはり使ってもらわなくては意味がないということですので、とにかくエンドユーザーまで届けきるということを前提に、例えば、実社会のニーズに精通した事業者等と連携をしながら、地球環境衛星データを主軸にしながら、AI・数値モデル・社会経済モデル・大規模言語モデル等を活用して、ニーズに照らして求められる多様なデータを組み合わせた革新的なシステム、これを集合知モデルと呼んでおりますけれども、この研究開発を推進するとともに、ユーザーがそれらをしっかりと使えるようなアクセシビリティ・ユーザビリティの高いUI:ユーザーインターフェースを一体的に開発しながら、早期にPDCAサイクルを回して、どんどんローンチしていくといったところを想定しております。少しイメージがつきづらいかと思いますけれども、要するに、これまで単独のモデルとか、単独のデータというものを一つのソリューションにつなげてきたところを、複数のモデルをつなげてあげて、風が吹けば桶屋が儲かるといったところをしっかり解いていきましょうということで、他国の環境変動による、例えば気候変動、災害がいかに日本のサプライチェーンに影響するかといったところで、全球でのシミュレーションといったところをベースに、複合的に、あるいは集合知的な解を導き出して、それをツールとしてビジネス実装していくような取組といったものを中長期的に支援するといったものでございます。次の頁をお願いいたします。支援のスキームになっております。1件あたり支援総額の上限を20億円程度としておりまして、40億円の予算規模の中で3件程度の採択を想定しております。支援期間は6年程度を想定しております。技術開発推進体制の中に記載されておりますとおり、既存の衛星データ利用ビジネスの延長ではない構想をしっかり持っていること。あるいは、学術界等で研究が進む先端技術をしっかり取り込んでいくこと。あるいは、対象とするユースケースにおける実社会のニーズに精通した専門家との連携体制の基盤を有すること、そうしたところも重要かなと考えているということでございます。また、スケジュールにつきましては、下のとおりでございますけれども、2~3年程度でステージゲートを置きまして、ベータ版でもいいので、とにかくローンチしてみて、PDCAサイクルをくるくる回しながら、実際の実証まで持っていくような取組となっております。以上が衛星の2テーマでございます。次をお願いいたします。次は、軌道上サービスに係るテーマの御紹介です。軌道上サービスのテーマは二つございまして、一つ目は、「空間自在移動の実現に向けた技術」で、総額300億円を想定しているということで、今回13テーマの中で最も大きい額が入っているかなと思っております。年、ロケットの打上げの低コスト化、高頻度化ですとか、これをテコに衛星コンステレーションが構築されていきながら、ビジネスが創出されていくという中にございますが、低軌道よりも遠く、静止軌道、シスルナ空間といった、将来の宇宙経済圏を開いていくためには、やはり依然として高い輸送コストですとか、推進系の開発難易度、それらに起因する技術実証サイクルの停滞が、やはりボトルネックになってくるといったところだと思っております。こうした課題の解決に向けて、宇宙空間での物流のインフラを作っていく必要があろうと思っておりますが、こうしたところについては、静止・シスルナ空間の開拓のみならず、将来の深宇宙探査ですとか、最近では複雑多様化する地球低軌道利用の効率化、デディケイテッドローンチというものが、今後かなり大きなロケットで打上げていくとやりづらくなってきますので、任意の軌道に細かく軌道投入できるようなシステムへの需要が出てくるだろうと考えているところ、相当多様なニーズに応える技術だと考えられるので、我が国のあらゆる宇宙開発を加速度的に飛躍させるドライバーとなり得ると想定しております。そこで本テーマでは、この空間自在移動というコンセプトの傘の下で三つの技術項目を掲げています。一つ目は、いわゆる軌道間輸送機、 Orbital Transfer Vehicle:OTVといわれるものの技術開発。もう一つは、軌道上での燃料補給ということで、これもOTVとの親和性が極めて高いもの。そして、これらを複合的に組み合わせて、どこに何をどういうふうに届けていくかといった、宇宙のロジスティクスに係る基盤的な研究開発。これらを一体的に推進することによって、相互の発展ですとか、インターフェースの共通基盤化、国際標準化といったものを促しつつ、宇宙空間における移動の自在性をもたらす技術を世界に先駆けて獲得するといったところを想定しております。すみません、本テーマの目標は、文章の文字数の関係で記載できておりませんけども、詳細は実施方針の本文を御覧ください。技術開発の実施内容につきましても記載のとおりでございますが、少しだけ金額が大きい軌道間輸送機について補足させていただきます。軌道間輸送機につきましては、実施方針の本文中30頁になりますけれども、ここに記載の通り、投入軌道ごとにある程度目安を設けて、これくらいのスペックを満たしてくださいね、ということで設定をしているものでございまして、LEOのラストマイルデリバリーですとか、静止軌道でのデリバリー、あるいはシスルナ周辺でのOTVの開発ということで、それぞれ搭載可能質量、輸送期間、技術実証時期、留意事項といったものを設定しております。こちら御参考でございます。スライドに戻ってください。ということで、残る軌道上の燃料補給のコア技術開発、そして宇宙ロジスティクスの研究開発と併せて三つを行っていくということでございます。次の頁をお願いいたします。こちらもビジーなスライドになっておりますけれども、支援のスキームとして、1件あたりの支援総額、AのOTVのところが1件あたり250億円程度、Bの燃料補給のコア技術開発については30億円程度、Cのロジスティクスにつきましては、こちらはドライの研究になりますので2億円程度と想定しておりまして、それぞれ1~2件程度の採択を想定しているものでございます。支援期間は6年、4年、3年としておりますが、特に軌道間輸送については、最後に技術実証、軌道上の実証までを課すということを想定しておりますので、6年に加えて、軌道上実証の期間というところについても、ある程度弾力性を持って支援をするということと想定しております。次に、技術開発推進体制のところです。こちらも少し文字数の制限で書けておりませんけれども、重要なことは、AからCのプレイヤーが相互に連携をしながら、ある意味、我が国として標準化を目指していくこととなっておりますので、そうした努力についても求めていくということでございます。開発のスケジュールは少しビジーですので、こちらは割愛させていただきますけども、イメージのとおりで開発として考えているものでございます。次の頁をお願いいたします。軌道上サービスの二つ目のテーマ、空間自在利用の実現に向けた技術ということで、165億円としております。移動と利用で若干韻を踏んでおりますが、言いたいことは先ほどの自在移動といった、空間の移動のメッシュの上に、どんなサービスを乗せていくかというところの、乗せる方のシステムについてまとめたものでございます。背景・目的としましては、持続的な宇宙開発利用の必要性が高まる中、やはり大規模開発と環境保全の調和に向けて、軌道上で物を作って、管理して、除去して、要すればリサイクルするといったような、一連の新陳代謝系を実現するということが重要であろうと考えております。
例えば、大規模なアンテナですとか、大きなステーションみたいなものを作るという、ある意味大きなパラダイムシフトを起こし得る構想というものがいくつか企図されておりますが、結局のところ打上げる前に地上で全部作って打上げるとすると、ロケットのフェアリングとか、輸送能力に相当制約を受けてしまう状況でございます。また、こうした活動に伴って、スペースデブリ、あるいは軌道上の混雑といった問題も出てきており、大型のデブリの除去につきましては、既にCRD2ですとか、SBIRでの支援がありますが、特に急増する小型デブリに対する対応がまだできておりません。それらを捕捉して、あるいは避ける、あるいは除去するような技術についても必要であろうというふうに考えているということでございます。そこで本テーマでは、こうした宇宙空間の一連の新陳代謝系の実現につながる技術として、軌道上の製造・組立の技術開発ですとか、物体除去の技術の開発、あるいは宇宙状況把握の技術開発といったものを推進することにより、これを宇宙空間における利用の自在性につながる技術ということで名づけまして支援をするものでございます。 技術開発実施内容は記載のとおりでございますけれども、特に軌道上製造・組立につきましては、製造技術と組立技術で中身を少し分けておりまして、いわゆる軌道上製造につきましては、金属・樹脂・ 複合材等の3D積層のような技術を軌道上で実現するようなことを想定しております。A-2と書いておりますのは組立技術の方でございまして、建材を宇宙空間に打上げて、それらを溶接、あるいは接合することによって、大きなものを作り上げていく、あるいは提案によっては解体といったものも出てくれば面白いかな、というふうに考えているものでございます。ほか、軌道上の物体除去といったところにつきましては、例えば、小型のデブリ除去に向けて、地上または軌道上からのレーザー照射によるアブレーション方式による除去技術ですとか、構造体を展開して、微小デブリを吸収、あるいは跳ね返していくような技術、あるいはCのところは、いわゆるSSA、宇宙状況把握になってきますけれども、地上または軌道上からのレーダー又は光学観測等による多地点観測に向けた要素技術といったところで想定をしているものでございます。次の頁をお願いします。支援のスキームでございます。1件当たり支援総額として、Aの軌道上製造・組立につきましては50億円程度、Bの物体除去につきましては15億円程度、Cの宇宙状況把握ですね、これについては20億円程度としております。それぞれ記載のとおりとなっておりまして、採択件数は大体4~7件くらいで動いていくかなと考えておりまして、支援期間についても記載のとおりとなっております。また、軌道上製造・組立につきましては、こちらはサブスケールだとしても、軌道上での実証といったところまでを求めるということにしておりまして、打上げ費用等がかかってきますので、少し予算としては大きくなっているといったところでございます。次をお願いいたします。次は地球低軌道ということになっております。軌道上データセンターの構築技術ということで135億円としております。こちらは先ほど中須賀先生からも御説明があったとおり、今後、地球低軌道利用サービスの増大や大規模な地球観測のコンステレーション等の出現によって、軌道上で作られるデータというものが当然大きく増えていくといったところ、これらをわざわざ地上に降ろすのではなくて、軌道上で処理をするといったところがトレンドとして想定されるものでございます。そうした軌道上でのデータの処理といったところは、従来オンボードのコンピューティングによりまして、衛星の中で処理するといったところも開発が進んでおりますが、より高い負荷がかかるデータ処理を、ということで、これを拠点的、あるいは統合的、集中的に行うようなものとして、低軌道上にデータセンターを置いて、安定的・効率的なデータ処理と即時的な利用が行えるような環境を作っていくといったところが、衛星にとっても、あるいは地球の低軌道利用にとっても重要であろうというふうに考えているところでございます。こうした技術を将来的には低軌道利用のみならず、月面、あるいはもう少し遠くについても、拠点的にデータセンターを置くことによって、開発が進むといったところも想定されますので、一定の広がりがあるかなと考えている次第でございます。その際、問題になるのは、やはり排熱と、通信ネットワークといったところなので、開発要素としては、こういった大型のオンボードコンピューティングによる熱を効率的に排熱するものと、ネットワークのシステムになっていきますが、さらに事業化に向けては、やはりセキュリティとかユーザビリティの高いシステムとすることが重要だと考えております。今回こうしたものの技術開発を支援するにあたって、やはり記載のとおり、ユーザビリティ、セキュリティについても、うまく提案していただきながら、ユーザーのニーズをしっかりとらまえた提案としていただくことを想定しているものでございます。こちらも2031年度までを目途に軌道上実証するということを要求したいと考えております。次の頁をお願いします。支援金額は135億円程度を上限としておりまして、採択予定件数は1件程度としております。支援期間は5年程度としておりますが、従前のとおり、軌道上実証の期間については、ある程度弾力性を持って対応することにしております。スケジュールとしましてはイメージのとおりでございますが、ステージゲートを2026年から2027年の間に置いております。ここには意味があって、いわゆる米国のCLDの調達、このタイミングがこの辺にきますので、そこでの事業者にしっかり刺さっているのか、といったところについても一つ評価軸としてあり得るのかなと考えているものでございます。従いまして、技術開発実施体制につきましては、ポストISSの時代において、しっかりとした事業計画、投資計画を持っている者、あるいは商業宇宙ステーションの関係者への訴求力のある、協力・調整・交渉に対する十分な実施体制、あるいはその整備ができるような者、といったところが注目すべきポイントになってくるかなと思っております。以上のように、こちらの提案としましては、技術的に相当難易度が高く、大規模なネゴシエーションが必要になってきますので、かなり大きな取組となってきますところ、できる者が限られる可能性はございますが、いろいろなアイディアを募り、できればいろいろな方に入っていただきたいなと考えているところでございます。次の頁をお願いいたします。こちらも地球低軌道の利用の拡大に向けた取組でございまして、船外利用の効率化技術ということで65億円程度を考えております。日本の実験棟「きぼう」における船外の実験プラットフォーム、御案内のとおりかと思いますけれども、こうしたものを、今後地球低軌道の利活用の拡大に向けて、民間主体で取り組んでいっていただきましょうということで、民間事業者がJAXAに変わって今後の市場の変化を見据えた新しい船外利用の効率化、あるいは船外利用のユースケースを拡大していくといったところが重要と考えております。そこで今回、標準的なインターフェース、例えば電源供給ができるといった、必要な能力を備えつつ、船外利用実証の利便性向上、低コスト化を図るための技術開発と実証を推進していきます、ということで考えております。いろいろ自由なアイディアが出てくるかと思いますが、例えば、先ほどお伝えした軌道上サービス、OTVとか、そういったところとの親和性であるとか、いろいろなユースケースを想定しながら、実際のマーケットに刺さるようなアイディアとともに提案をいただくことを想定しているものでございます。こちらも2030年までを目途に軌道上実証までを求める予定でございます。次の頁をお願いいたします。こちらも支援金額としまして65億円で、大体1件程度の採択ということを想定しております。支援期間、スケジュール、求められる体制、評価の観点といったところについては、先ほどの軌道上のデータセンターと類似するところとなっております。次の頁をお願いいたします。次は地球低軌道利用の関係でもう一点、高頻度物資回収システムということで25億円程度を想定しております。こちらは、地球低軌道利用サービスの市場規模については、2040年には3兆円とも試算される中で、この市場を取っていくためには、やはり宇宙の実験の高速化、高頻度化といったものが重要になってきます。第1期では、実験システムについての開発をしたところでございますが、結局のところ、それを任意のタイミングで頻度高く地上にサンプルリターンできるようなものがないと、研究開発のサイクルが詰まってしまうということでございますので、こうしたサンプルの高頻度の回収システムを実現するための技術開発についての支援を想定するものでございます。その際、気をつけることがたくさんございまして、特にサンプルへの負荷を軽減しつつ、タイムリーに回収するといったところが一つネックになってくるかなと思っております。次の頁をお願いいたします。支援の金額については25億円ということで、1件程度の採択を想定しておりまして、支援期間は3年程度としております。ほかの二つの低軌道利用関係のテーマに比べて、こちらはなかなか技術開発難易度が高いということでございますので、まずは地上での検証を想定しているものでございますが、出来高に応じて、今後の予算要求についても検討していく必要があるというふうに考えているところでございます。こうした高頻度での物資回収システムにつきましては、いくつか方法があると思っておりますが、いろいろな方法での提案といったものを広く受け付ける予定でございます。その他、ステージゲート、実施体制、あるいは評価の観点といったところについては、これまでの二つのテーマと似たようなところになっておりますので割愛させていただきます。次の頁をお願いいたします。次は月面開発のテーマ二つです。まず、月面インフラ構築に資する要素技術ということで、支援規模80億円程度を想定しております。現在、SLIMから始まって、YAOKIですとか、レジリエンスとか、いろいろな月面での開発活動が活発化して、国民の期待も高いといった状況にある中で、月の市場規模といったものは将来的には27.3兆円にも達するといった試算もあるということで、この市場を見据えて、将来の月面経済圏の創出に伴う、こうした機会を確実に捉えていくためには、何が何でも月面に送っていくといったところではなくて、近い将来、こういった月面で何が行われるかといったところを想定しながら、そのファーストステップとして、絶対に必要になるコアな要素、みんながそれを使うインフラ要素みたいなところを日本として獲得していくことによって、ある意味ロックインしていくような取組というものが必要なってくるかなと考えているところでございます。そうしますと、例えば、月面の活動を想定すると、月面環境に関するデータですとか、そうした月面での重要技術を獲得することによって、例えば物を建てるときに地質調査をしますよね、ローバを走らせるときにどこを走らせるか決めますよね、といったところで、そうしたところを押さえにいくような、そういうことが想定されるものでございます。ここで本テーマでは、今後予見される国内外の月面活動を視野に、産学の主体的な月面インフラ構築に資する要素技術の開発を推進しまして、月面の環境分析、いわゆるアセスメントみたいなものですとか、関連する重要技術の早期実証を進めるといったところで、やはり月面への輸送コストは大きいので、小型で早期に成果が創出できて、今後の月面活動の基盤として活かせる技術開発を対象とするということと、特に今回の2期の切り口でもありますとおり、非宇宙分野からの参入といったところを促進するということを想定しております。こちらは、実際のフライトができるペイロードの開発までを求めるものでございます。次の頁をお願いします。支援金額30億円程度で、3~5件程度を採択する見込みでございます。支援期間は5年程度としておりまして、評価の観点としましては、例えば将来の国内外の月面活動に資する重要技術の早期獲得が見込めるとか、あるいは非宇宙分野の企業や大学等をしっかり巻き込めているか、といった点をしっかり見ていくということでございます。実際、開発したペイロードはどうするのかということですけども、次のテーマでございます、月の着陸技術の方につないでいきながら、同じタイミングで実証するといったところをテーマ間の連携として想定しているものでございます。ということで次に行かせていただきます。次は月極域における高精度着陸技術ということで200億円程度を想定しているものでございます。やはり月の存在、月については、水の存在可能性が示唆されておりまして、月の極域といったところに物をどれだけ効率的に運べるかといったところが今後のキーになってきます。JAXAが開発し、獲得した、SLIMのピンポイント着陸の技術といったものを、ある意味民間にも使っていただきまして、SLIMと同等以上の技術といったところも含めて獲得していくようなものを想定しているものでございます。 こうした着陸難易度が極めて高い月極域に対応したペイロードの輸送着陸技術といったものを我が国として獲得していくものを想定しているものでございます。目標としましては、2029年度までの5年間で、月極域にSLIMと同等以上の高精度な着陸を可能とする技術を搭載した着陸機のシステムを開発する、ということで、こちらは実際に月面まで持っていくことを想定をしているものでございます。次の頁をお願いします。支援金額は200億円ということでございますが、支援採択件数は1件程度と想定しております。支援期間は4年程度としておりますが、御案内のとおり、いわゆる軌道上実証に関しては、一定のバッファを設けたいというふうに考えているものでございます。評価の観点は少しビジーになっておりますので割愛させていただきますが、いずれにしても、最終的には月まで持っていって着陸していただくというところの実証までを支援をするということを想定しておりまして、その際の積荷、お客さんについては、一つ前のテーマである、月面インフラに係るペイロードについても一定程度載せてください、といったところを想定しているものでございます。次をお願いいたします。最後、分野共通ということで、一点目、宇宙転用・新産業シーズ創出拠点ということで、支援規模を110億円としております。こちらはJAXAのみならず、日本の各地にJAXAに並ぶ、あるいはJAXAを超えるような宇宙分野のクラスターを作っていきながら、日本の総力を挙げて技術開発をしていきましょう、といったところになっていきます。類似する取組として、第1期のSX研究開発拠点がございまして、そちらは競争率が10倍を超えるということで、極めて高いニーズが示されたところでございますが、そうしたニーズにも呼応する形で、とはいえ、別の取組として、第2期については、非宇宙分野の参入ですとか、新しい産業創出のところがコンセプトになっておりますので、こうしたところにつながるような宇宙分野の拠点化に向けた研究開発を支援するものでございます。最終的には、我が国における大学等の研究機関の役割を強化し、人材・技術・資金の好循環を形成していくといったところと、宇宙分野の裾野拡大を図りつつ、特色ある技術や分野において、革新的な研究開発成果を創出しながら社会実装していく取組を推進したいと思っております。特に、御案内のとおり、非宇宙分野との連携や、従来とは異なる宇宙産業・利用ビジネスの創出につながる提案といったところを広く求めていきたいというふうに考えているものでございます。次の頁をお願いいたします。こちらは、支援金額につきましては、1件あたり大体22億円程度を上限にしまして、採択件数5件程度を想定しております。支援期間は5年程度としておりますが、当然拠点として想定されるものについては、最後自走化していかなければいけませんので、そういったところを想定するものについては、プラス3年程度の自走化に向けた期間といったところについても設定可能ということで想定しているものでございます。また、採択課題の選定に際しましては、拠点としての地域性ですとか、ある意味、各課題の分野に係るポートフォリオやバランスについても考慮しつつ採択をするということを想定しているものでございます。次をお願いいたします。次は、SX中核領域発展研究ということで、支援規模100億円を想定しております。先ほど拠点化の支援は上限22億円とそれなりに大きな予算でございましたけれども、もう少し小型のものもたくさん支援してほしいといったニーズがございました。
実際、今回のコンセプトである非宇宙分野の参入などを考えていきますと、不確実性の高い基盤的な技術シーズや多様で斬新なアイディアを、まず早くロケットで打上げて、実証して、使えるかどうかを判断するというところが重要になってきますので、こうしたコアになる要素技術の実装に向けた予見性を高めていくことで、多様な将来技術というところを宇宙分野に共通的なブレークスルーの創出や宇宙産業エコシステムの構築につなげていくということが必要だと考えております。やはり非宇宙分野の方々が入ってくる際には、宇宙という特殊環境を想定した技術開発の参入障壁を下げていくということと、このコミュニティを拡大していくことによって、技術創出と裾野の拡大を一体的に加速していくということを想定しております。したがって、今回はかなりTRLが低いところの技術の早期の実証、いわゆるプルーフ・オブ・コンセプト、コンセプト実証を支援していくということと、JAXAのマネジメントのもと、当該領域に係る宇宙分野の技術的知見が蓄積されていくようなネットワークの構築を推進します。ただ、全ての技術について一度に公募してしまうと、事務的に対応が困難になってしまうので、今回は特に、「熱とデバイス」という領域、そして、「運動と制御」という領域、この二つの領域を設定した上で、それらに係る技術開発、要素技術のアイディアを募集したいというふうに考えております。次の頁をお願いいたします。それぞれの領域につきましての意義価値については、実施方針の本文の方を御参照いただければと思いますけれども、支援金額としましては2億円程度と想定しております。ただし、こちらはやはり不確実性が相当高い課題を念頭に置いておりますので、ものによっては5億円程度までを上限とした支援も可能としたいというふうに考えております。採択予定件数は20~40件程度というふうになっておりまして、期間については3年程度、他方で宇宙実証をする場合には1年程度のバッファを設けるということを想定しております。注目すべきは、技術開発推進体制のところの二つ目の矢羽根でございますけれども、各領域を総括するPO補佐としてこの分野に精通するエキスパートの方を置かせていただきまして、そこに早く入ってくる非宇宙分野の方々へのノウハウの提供といったところをやりながら、ネットワーキングをしていくことを想定しています。そうした中で、新しく宇宙に入ってくる方々も増える、今後の宇宙開発のボトルネックになり得る、熱やデバイス、運動と制御といった領域の技術課題が解決されていく、この二つの狙いがあるといったところでございます。少し長くなってしまいましたけれども、技術開発のテーマについては以上でございまして、資料の1-6につきましては、時間の都合上、割愛させていただければと思いますけれども、既にいただいております主な有識者コメントについて、まとめているといったところでございます。私から説明は以上です。よろしくお願いします。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございました。それでは、30分弱になりますけれども、ここから質疑の時間をとりたいと思います。全て一遍にやりますと、少しあちこち飛んでしまう可能性もありますので、輸送、衛星等、探査等、共通分野、四つに分けさせていただければと思います。まず、輸送の関係で御意見等ございましたら、挙手機能を使って表示いただければと思いますがいかがでしょうか。それでは、秋山先生、お願いいたします。
【秋山構成員】
秋山です。輸送の分野で、テーマ案について、一つ質問という形で伺わせていただければと思います。個別テーマへの質問も大丈夫ということですよね。
【阿部企画官(事務局)】
はい、どうぞ。
【秋山構成員】
ありがとうございます。輸送の有人宇宙輸送システムにおける安全確保の基盤技術というテーマですけれども、その中で特に非常に注目されます与圧キャビンの開発のところで、擬似環境での検証というところが8頁の資料にお示しいただいているのですけれども、人がその中で、いる、与圧キャビンの検証ということになりますと、この模擬環境というものはどういったものでしょうか。地上に何か機械的な負荷を与えるような施設を用意するということなのか、それだとしたら、それはもう既にあるものを利用できるのか、何か新設のようなことが必要になるのか。また、軌道上ということで何かISSを利用するような、そういった方向性というものはあるのでしょうか、という点についてお伺いできればと思います。お願いいたします。
【豊田係長(事務局)】
ありがとうございます。文科省の豊田と申します。ここでの模擬環境については、宇宙環境のISSの環境での実証というところまでは、この金額ではなかなか難しいかなというふうに考えているところです。具体的に、地上での検証と、少し空に打上げてみて、例えば、大気圏の空気の薄いところで、その環境のもとでの機能を試してみることや、全てのものを一度に試すことはできずとも、振動であったりとか、加速度であったりということを実験環境で試してみるということを想定しているところです。やり方については、一度にやるやり方と、部分ごとに検証していくやり方があると思っていまして、それについては提案次第かなというふうに考えています。
【秋山構成員】
では、イメージとして、例えばJAXAの中に与圧キャビンを試験するセンターみたいなものがあって、つまり宇宙船の試験をやっているといった、そういうイメージには最初からなるものではないという理解でよろしかったでしょうか。
【豊田係長(事務局)】
はい。提案者によっては、そういったJAXAの施設を利用したいという要望があるかもしれませんが、こちらで定めるものではなく、想定しているものでもないという状態です。
【秋山構成員】
分かりました。御説明ありがとうございました。
【豊田係長(事務局)】
ありがとうございます。
【阿部企画官(事務局)】
続きまして、前後するかもしれませんけれども、笠原先生、お願いいたします。
【笠原構成員】
笠原です。御説明どうもありがとうございます。まず、最初に申し上げたいのは、小笠原先生と、それから池田課長補佐からの御説明、非常にマッチしている印象を持ちました。つまり、ビジネス化に向けて戦略性が、小笠原先生は非常に重要であると、おっしゃっていますね。それに対して、テーマの方もスマート射場は、非常にチャレンジングだと思います。それから有人に向けた非常に重要な安全基盤技術も、非常にフォーカスの効いたテーマだというふうに感じております。質問というか、お聞きしたいことは、木村先生の方からもお話がありましたけど、やはり魅力的に見える必要があるかと思うのですね。SLIMやMMXはどうして皆さんに魅力的に見えるのかなということを考えながら、聞かせていただきました。つまり、こういう輸送系の見せ方、スマート射場や安全確保といったものを、どういうふうに引っ張り上げて皆様に見せていくのかということが、やはり結構重要なのかなと。そのためには、ある程度統合的な、何かプレゼンテーションするリーダー像みたいなものや、あるいは非常に広い国際協力の中で、いろいろなアイディアを一つに統合していくような、何かそういったものが一緒にくっついてくる必要があるのかなと。非常に勝手で雑駁な言い方で恐縮ですが、そういうものとうまく結び付くといいのではないかなと思っているのですが、その辺り何か良い見通しがあるのか、ということをお聞きしたいということです。あとは、小笠原先生がおっしゃった、アンカーテナンシー、つまり、持続性ですね。今回はもちろんスタート第2期ということで、ある有限の期間がついているのですが、その辺りの持続性を高める方策、やはり10年、20年といった、長い期間で実現していく重要な技術と思っていますので、その辺りのバランスというか、見通しというか、その辺りもお聞きしたいと、そういうふうに感じました。輸送系に関しては以上でございます。
【池田補佐(事務局)】
ありがとうございます。輸送担当の方からコメントはありますでしょうか。
【豊田係長(事務局)】
ありがとうございます。まず一点目、魅力的に見せていくことが必要という御指摘ありがとうございます。今後、どういった方策で全体を統合して、業界の皆さんと議論していくかについては、今後検討させていただきたいなと思っています。また、今回の提案テーマについては業界の皆さんからいただいたものでもありますので、各社において、どういう構想を考えているかというものをこちらも勉強していきたいなと思っています。 アンカーテナントについては、今回の有人ということに限らずのお話でよろしいでしょうか。
【笠原構成員】
はい、特にそれに限ってはいないのですが、やはりどちらにしても、多分10年から20年くらいの長期のプロジェクトというか、持続性が求められるテーマだと思っているものですから、その辺り何か、もちろん今は全然決まっていないとは思うのですが、お考えというか、何かそういう他組織との連携は、すみません、いろいろな文科省さんだけに限らないような連携や、いろいろな形で持続性を高められるような御議論も展開されていらっしゃるのかなと思って、すみません、漠然とした質問をしてしまいましたが、そういうことがやはり気になりまして質問させていただきました。そういう質問でよろしいでしょうか。
【阿部企画官(事務局)】
文科省・阿部です。横から失礼いたします。大変重要な御指摘でして、政府全体の中でも様々この点、御指摘をいただいております。といいますのも、民間の方で様々な取組が今進んでおりますので、それをどう市場化していくのか、産業化していくのか、というところの一つのネックになっているという認識でございます。ですので、この宇宙戦略基金の枠組みだけではなくて、文科省で言えばSBIRの事業や、またJAXAの取組、そういった様々な取組と連携して可能性を引き続き検討したいと思っております。できましたら、この宇宙戦略基金の中でも何らかの方策をとればよろしいと思いますけれども、引き続きの検討課題とさせていただければと思います。
【笠原構成員】
どうもありがとうございました。よく理解できました。どうも本当にありがとうございます。失礼いたします。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。引き続きまして、神武先生、お願いいたします。
【神武構成員】
慶応大学の神武です。御説明ありがとうございます。御説明いただいた件、非常に賛同しますし、私も輸送系の今POをやらせていただいているので、さらに貢献しなければと思いました。1点目、小笠原先生からのお話にもありましたけれども、これから技術テーマ選定でどう配慮すべきか、というところで、もう既に技術戦略のところに記載されているところもありますけれども、さらに日本として、他国との競争で勝ち残るために、どういう観点を重視するかということ。逆に言えば、どういう観点を重視しないかという、そのメリハリをもう少しつけるということと、あとはそれをつけた上で、やはりどうしても宇宙事業というものは長期的な視野が必要なので、10年もしくは、それ以上になる可能性もあるというところでの覚悟が必要なのかなと思っておりますので、そういう意味では、あまり短期的に方針を変えないためにも、しっかり議論して決めるというところが大事かなというふうに思います。これはコメントですが。2点目は、それを行うにあたって、やはり宇宙業界の人たちだけが必要だと思って共有しているだけですと、やはりなかなか国民の理解が得られないので、それぞれの取組は非常に夢のある、日本の産業を変える可能性のある取組なので、もう少し宇宙戦略基金自体の取組のアウトリーチというところを、これは大きな、輸送以外にも関わる話ですが、なぜやっているのかということと、それが最終的には国益並びに地球全体にどういうメリットがあるかというアウトリーチの活動をもう少し宇宙戦略基金としてはやる必要があると思うのですが、その辺り、今後どういうふうに考えられるかという点を教えていただきたいなというふうに思います。あと、2点、これはもう皆さん、ステアリング・コミッティでも議論がありますが、目的を達成するためには、場合によっては、直接この基金を提供ということは難しいとは思うのですが、最終的には国益にかなうということで、海外連携というところは、もう少し戦略的に取り入れる必要があると思います。これは、ヨーロッパのHorizonとかでも、当事者としてはヨーロッパですが、あちらのメリットになるようであれば日本をメンバーとして入れていいというようなルールがあったりしますので、その辺りをどう考えるかということと、すみません、あと最後に1点、なかなかこの辺りの公募は、実績があるところではないとなかなか参入できないというところがありまして、そういう意味では、いかに育成するかというところをもう少し考えられるといいかなと思っていまして、SXの中核領域発展研究というものが、おそらくその一つなのかなとは思うのですが、その辺りをどう考えられるか。あとは熱とデバイス、運動と制御というところにフォーカスされるという辺りも、少しここは結構大事な判断で、それ以外のところは手を挙げられないということになりますので、この辺りは何かもう少し議論があってもいいのかなと。私の観点で言うと、まずシステムとして考えられるという人が非常に少ない日本において、やはりシステムエンジニアリングとか、そういう観点での少し物ではない観点での研究もしっかりやらないと、ボトムアップ的に要素は揃ったけれども、システムとしては機能しないので、システムとして結局日本はできないみたいにならないかなということが最後のコメントです。すみません、いくつかコメントありましたが、以上です。
【池田補佐(事務局)】
先生、ありがとうございます。3点か、4点ほど御質問いただいたかと思っております。まず、アウトリーチ活動ですね。これは御指摘のとおりだと思っております。まさに今、キックオフしたところでございまして、事業者が採択されたといった状況でございますので、その進捗にも応じてではございますが、我々としてもしっかりとプレイアップしていくことが重要だと思っています。今日、木村先生の方からも国民の共感を生んでいくということもありましたので、そういったところをJAXAと一緒になって、しっかりとPR活動をやっていくということについては、問題意識として考え方を一緒にしているところでございます。海外連携も、こちらも事前にコメントいただいていたかと思っております。こちらも大変重要な御指摘だと思っておりまして、1月の政策委員会の方でも、JAXAの方からそうした国際連携の枠組み使えないかというところでフィードバックがございました。いわゆるコファンディングといったところでございますが、先生のおっしゃるような、例えば海外の事業者にも予算が使えるかというところについては、少し制度的な議論を深めていく必要があると思っておりますので、フィージビリティも含めて、内閣府事務局等の関係省庁等も含めて、今後検討していく必要あるかなと思っております。また、実績のない方々に入ってきていただいて、その地力を蓄えていただくといったところについては、まさにおっしゃるとおり、先ほどのSXの領域拡大研究ですとか、あるいはもう一つの拠点の方について取り込んでいただくというところが想定されるわけでございますが、おっしゃるとおり、システムとして全体を俯瞰しながら作り上げていく能力というものが大事だろうというところもあると思っております。今回につきましては、あくまで第2期全体の非宇宙分野からの参入ですとか、新産業の創出といったところを踏まえまして、たくさんのプレイヤーが入ってきて、今後の宇宙産業について関心を持ってもらいながら、片足を宇宙に突っ込むためには何が必要か、というときに、まずは宇宙という特殊環境における知識みたいなところの障壁を下げながら、将来の課題を下げていくと、将来のボトルネックを解消して、その両方の課題の突合点を想定したときに、熱ですとか、デバイス、放射線ですとか、あるいは重力の環境が違うといったところ、物理現象の違いというところに一つ着目して、そこを注目して領域を設定したところでございますが、今後、先生のおっしゃるようにシステムエンジニアリング的なところについても、ニーズドリブンの形の領域設計としてあると思っておりますので、我々の方でもいろいろヒアリングをしながら、そのマスとして想定されるプレイヤーがどれくらいいるのか、というところも検討して、今後のテーマ設定等に向けて検討を深めたいというふうに考えております。
【神武構成員】
ありがとうございます。アウトリーチという意味では、日本科学未来館とか、日本橋の拠点とか、やはり物理的に何かコミュニケーションできるようなところをうまく活用するみたいなものもいいのではないかなと。これはジャストアイディアですが、そういうところも何か含めて、いろいろできることはあるよな、というふうに思っているので、これはまた、別途相談させてください。ありがとうございます。
【池田補佐(事務局)】
ありがとうございます。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。続きまして、山崎先生、お願いいたします。
【山崎構成員】
本件の御説明、それから3人の先生方の3分野の御説明ありがとうございました。まず、3点簡単にあるのですけれども、いろいろな、例えば有人宇宙システムの安全性に関しましても、要求設定をどうするかというところが比較的大切なところなのかなと思っております。打上げの期間は、ステーションに到達するまでの期間なのか、何日を見積もるのか、垂直打上げ、水平打上げ、研究対比の方法についてもどういうものか、いろいろな、まさに先ほど神武先生からも御質問があったニーズの部分をいかに汲み取るかというところも大切だと思うのですが、その設定にあたっては、業界の皆さんと意見交換をするだけではなくて、それプラス、やはりJAXAのこれまでの研究とタイアップをしていくことは非常に大切だと思っています。この辺りの要求設定の考え方をぜひお聞かせください。あと2点目がそれに関係してですが、ぜひ関連する、この戦略基金は民間への委託であったり補助であったりするのですけれども、関連するJAXAの研究費もやはりアップしていくことで、相乗効果で実現性が高まると思っていますので、ぜひそうしたJAXAのR&D強化というものも、別の方策かもしれないですけれども、何か策を練っていただければと思います。3点目ですけれども、輸送に限らず、いろいろな分野が技術的にこうしてスキルアップを図っているわけですが、それをきちんと実現していく、やはり神武先生と同じで、システムとしてまとめ上げるという部分が大事だと思いますので、そうしたまとめられるところは効率よくまとめる部分も出てくるでしょうし、横断的に技術を共有しながら進める部分もあるでしょうし、全体横断的に見る、そうした方策もぜひ強化していただければと思います。以上です。
【池田補佐(事務局)】
ありがとうございます。まず、1点目のところです。要求の設定につきまして、担当からもし補足あればと思いますけども、私から回答させていただきますと、今回ご説明した実施方針(素案)は、役所側で作っている資料ではございますが、この形でもし実施方針が策定された場合には、今後公募要領の策定に向けて、JAXAの方で検討が進んでいくというふうに承知しております。今のところ考えているのは、先ほど先生もおっしゃったとおり、業界団体の方々との対話の機会ですとか、そこにちゃんとJAXAも入っていただいて、JAXAの知見も踏まえながら、実際の公募要領に落とし込んでいく際に、どんな要求水準を設定するかというところについて、より詳細に検討が進んでいくということで今は想定しているとに聞いております。また、JAXAの研究力の強化、こちらはまさに喫緊の課題でございまして、我々としては官民の力双方を巻き上げていきながら、両輪で進めていくことが重要と考えております。他方で、やはりこういった形で民間や大学の研究力が増していって、宇宙産業全体が発展していくと、どうしても彼らだけではできない内容とか、JAXAの協力を得なくてはいけない内容というものも見えてくるということだと思いますので、そうしてくるとやはりアンカーテナンシーといった観点も含めて、やはり翻ってJAXAの役割というものを、強化しなくてはいけない、という議論にどうしてもなってくると思っていますので、この基金の取組の状況等もしっかりとウォッチしながら、それに応える形でJAXAとしてどんな技術開発をすべきなのか、あるいは民間でできないところが何なのか、というところもしっかり見極めながら、相互の発展を促していくような取組を加速していく必要があるかなというふうに考えております。最後、やはりシステムとしてまとめ上げていくところ、こちらもまさに御指摘のとおりでございまして、やはりそれぞれの技術開発をバラバラやっていてもしょうがないので、JAXAのマネジメント、GP、POなど、全体を見ていらっしゃる方がいらっしゃいます。かつ、今回の小笠原先生の発表のように、全体を俯瞰した上で、どこがミッシングピースなのかといった議論が重要だと思っておりますので、我々もJAXAも限られたリソースではございますが、うまいタイミングで戦略的に順番に技術開発テーマを貼っていくような形で、最後それらが融和していきながら、一つのシステムに組み上がっていくような取組というところについても想定しながら進めていければというふうに考えているところでございます。以上です。
【山崎構成員】
ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
【阿部企画官(事務局)】
次に、山室先生、お願いいたします。
【山室構成員】
私はこの分野に詳しくないので、もしかしたら常識的なことを聞くかもしれないのですが、全国で拠点を、といったときに、射場の整備みたいなものは既にあって、その上で民間なり、大学などが、いろいろな様々なパーツの技術開発したものを持ち寄って、全国的にいろいろなところで打上げられるようなイメージで進められているのでしょうか。私が今までニュースで聞いた範囲では、民間の打上げというものは和歌山であったり、北海道であったり、何か個別にやっているなというイメージがあります。一方で例えばアメリカでこの前のSpaceXの打上げで爆発して、民間航空機が遅延したと報道されていました。日本では現在、航空は国交省の管轄だと思うのですけれども、全国的に宇宙をビジネスとして頻繁にロケットが打上がるということを見据えると、射場もやはりいろいろなところに作っていくというイメージのもと、拠点を各地にそれぞれで形成してもらうというご説明だったのか、それとも、航路などに影響が少ない射場を管理してその範囲でやってくださいというイメージでやっていらっしゃるのか、その辺りを教えていただければと思います。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。政府全体としましては、2030年代前半に、年間大体30機くらい国内で打上げをしていこうという目標が掲げられていまして、そうしますと、今JAXAで打上げている種子島、それから和歌山の方で打上げている射場のみだけでは、なかなか難しいのではないかというものが現実的にございます。一方、地方自治体を含めて、日本全国国内、先ほどのお話にありましたような地域を含めて、何ヶ所かで実際に射場やスペースポートという構想をお持ちのところが出てきているところですので、そういったところが具体的に計画をお持ちというところが、こういった提案に手を挙げてくれるのかなと想像しながら今回作っているということになります。個別の技術に関しては、それぞれ大学や企業の方でもあるかもしれませんけども、あくまで射場になってきますと、実際に場所があり、そこでの地方自治体との連携を含めて、そういった構造がないと、なかなか実現することが難しいのかなと思いますので、そのために必要な基盤技術を今回ここで提案をさせていただいているというものが全体のところになります。
【山室構成員】
ありがとうございます。実は今日3.11ですけれども、大船渡ではその上にまた火事があったということで、例えばですけども、あの辺りはもう本当に海が山に迫っていて、山のところが本当に開発はほとんどされていない、平地のところばかりに人が住んでいたから、津波で大勢の方が亡くなったというところですけれども、そういうところになぜか原発が多いというところがあって、なかなかあちらの自治体の方は、例えば、こういう夢のある射場の誘致とか、そういうところまで思いを至っていないところがあるのではないかなと思うのですね。 一方で、例えば和歌山などは、私は大阪出身なので、大阪から和歌山はとても行きにくいのですけど、よくあんなに人が見物に行くな、と思うくらい、やはり打上げというものは人々に夢を与えるものだなというふうなことを実感しておりまして、例えばですけれども、自治体が手を挙げるのを待つのではなくて、JAXAなのか、どうなのか分からないのですけれども、こういう計画があります、どうですか、みたいなことを、直接様々な自治体にアピールする場があると、なかなか立ち上がるきっかけがつかめない自治体が、宇宙に夢を持って参加してくるというようなこともあるといいなというふうに思いまして、そういう意味で、射場というものを文科省だけでなく、日本全体の夢につなげるような働きかけがあってもいいのかなと思いました。単にコメントです。よろしくお願いいたします。
【阿部企画官(事務局)】
大変貴重な御意見ありがとうございます。政府全体としましては、内閣府の宇宙事務局の方で全体を見ておりまして、文部科学省としましては、射場そのものの整備と言うよりは、今回テーマで挙げていますとおり、技術開発が必要な部分、基盤技術のところについての支援を考えているという、今の段階ではそういう整理になってございます。それから、福島の方の話が出ましたけれども、そちらの自治体の方でも、今、宇宙に大変御関心を持たれていて、こういったことも検討されているというような構想も聞いておりますので、これからいろいろなところでそういったところから手が挙がる可能性が出てきているのかなと感じるところです。
【阿部企画官(事務局)】
事務局の不手際で時間を超過してきているところ大変恐縮ですけども、このあと手を挙げていただいております、高橋先生と鶴岡先生、それからお時間の都合で先に御発言を、という先生がいましたら、挙手の方をしておいていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【阿部企画官(事務局)】
輸送以外も含めて、早めに御意見を、という先生がいらっしゃいましたら挙手いただければと思います。では、まず高橋先生、お願いいたします。
【高橋構成員】
まず、今回有識者の方々に非常に貴重な御意見をいただいて、課題もいろいろと残っているようです。こうした課題はこの素案に今後反映されていくと思ってよろしいでしょうか。例えば、中須賀先生が言われたデジタルツインという構想は、実は打上げシミュレーションもそうですし、着陸シミュレーション、衛星シミュレーションも、民のアクティビティを持ち込んでくる上で非常に大切だと思います。ただし、それが今日見せていただいた資料には、どこにも反映されていないような気がします。例えば、今日いただいた有識者ヒアリングの御意見をどうやってここにさらに付け加えていくのかなということを一つお聞きしたかったです。もう一つありまして、資料に書かれた事は全てすごく良いのですけれども、持続性ということに関して、どのようにやっていくのかということを私は非常に興味があります。JAXAも注力するということもよいのですが、やはり日本は大学であるとか、いろいろなところを活性化しないと、10年、20年を考えたときには、なかなかうまくいかないと思うのですが、この辺はどのようにお考えなのか、お聞かせください。
【池田補佐(事務局)】
ありがとうございます。今回いただいた意見は、基本的にはいろいろ我々の中でも検討した上で適切に反映を進めていきたいと思っております。他方で、全ての御意見に対して100%ご回答できるかといいますと、必ずしもそうではないということについては御承知をいただければというふうに思っております。今回いただいた、いろいろな御提案が含まれた先生方のプレゼンの内容で、今回テーマとして入っていないものもあるかと思っております。実はこれは政府全体で進めている取組でございまして、必ずしも文科省のみのテーマではないといったところも踏まえまして、今後のいわゆる第3期、第4期みたいなものが想定されるのだとすれば、そういうところも踏まえて、適切に良いタイミングと良い検討でもって、テーマのところについても検討していきたいというふうに考えております。また、拠点的なところ、持続性の確保はまさにおっしゃるとおりで、例えば大学の拠点を支援するようなものについても、これはあまり言いづらいのですけど、金の切れ目が縁の切れ目になってしまうのではないかという御指摘をよくいただきます。そうしたところはやはり我々としても課題だと思っておりまして、お金を投資して、あとは放ったらかしということは当然あり得ないと思っておりますので、いろいろな拠点の提案をボトムアップで出していただくといったところとともに、そうした動きをしっかり政策的につなげていったところで、ある意味そこから産業ですとか、政府のアンカーテナンシーといったところにもつなげていくようなところのブリッジングみたいなところについても、総合的に戦略化していくところが必要かなと思っております。まだ、よちよち歩きで始めたばかりの取組ではございますけれども、成果の創出状況等に勘案しながら、政府全体のロードマップへの打ち込み等についても我々としても検討していきたいというふうに考えております。以上です。
【阿部企画官(事務局)】
よろしかったでしょうか。続きまして、鶴岡先生、お願いいたします。
【鶴岡構成員】
ありがとうございます。鶴岡です。今の持続性の話と、産業に橋渡しというところに関連して1点お伺いしたいところです。リソースの話でして、今回宇宙戦略基金もそうですし、政府として宇宙が重要だという認識が広まる中で、様々な予算も拡大しているということかと思います。政府の中で言えば、防衛省の宇宙関連予算の拡大ぶりが非常に大きくて、これを日本の中でいろいろなものを回していくにあたっては、当然これは宇宙関連の産業基盤の方の質的なところはもちろんですけれども、量的な部分もしっかり拡大していかなくてはいけないということだと思います。ただ、いろいろな、当然リソースを拡大していくにあたっては、予算の投入の部分は、おそらく実は一番簡単な部分で、実際の産業基盤を拡大していくということは、人も必要になってきますので、なかなかそう簡単にはいかない部分だと思います。そうなると、やはり国内でも、文科省系の基盤技術を基礎にするような部分、あるいはそこから発展して民生用の部分と、防衛省などがやる宇宙絡みの話というものが、場合によってはかなりリソースの奪い合いみたいな構図というものも生じてしまうのだと思います。そのときに、産業基盤を拡大していくということでは、おそらく本格的な産業政策の話になっていくのだと思いますけれども、どうやって、まずそういう国内で起こり得る、あるいは既に起こっている、リソースの奪い合いみたいな状況の中で、文科省関連のものを位置づけていくのか、そのときにどういう戦略を持っているのか、ということと、あとその前提として、リソースの奪い合いということに関しては、どういう現状の認識をされているのかという辺り、可能な範囲でお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【池田補佐(事務局)】
ありがとうございます。その点も大変重要な御指摘だと思っております。予算だけ投入して終わりではないということはまさにおっしゃるとおりでございまして、またいろいろなところから宇宙分野の注目度は高まっておりますので、いろいろな開発をしてくださいというようなニーズに対して、限られたプレイヤーがどう立ち振舞っていくかといった点もしっかりと検討していく必要があると考えております。安全保障、防衛の関係で言いますと、あまり大っぴらにお伝えすることができないところはありますけれども、当然最終的な政府のアンカーテナンシーとか、需要につながっていくことも、ある意味マルチユースな観点では想定がされますので、例えばここで培った基盤的先端的な技術開発が、将来のそういった、宇宙のユーザーに対してどうつながっていくかといったところについては、政府内でもいろいろ議論を交わしているところでございまして、例えばそれが、いわゆる宇宙技術戦略といった形で、民間のみならず、政府側の需要も踏まえた技術が同定されて、それに対して、我々として、どう研究開発の計画を立てていくか、というところについて、しっかりとテーマ化に先立ち、検討を深めていく必要があると考えているところでございます。全体のリソースの奪い合いにつきましても、人といった点につきましては、まさにそのとおりでございまして、2024年のスタートアップの従業員数で一番増えたものが宇宙分野だったと、いろいろ記事も出ておりました。宇宙分野に入ってくる方々は、かなり機運が高まっているものの技術者がどれだけいるかというと、多分結構限られていると思っておりますので、まさに第2期のテーマで、今回、外の分野から宇宙に引っ張ってくるような取組というところを今回一つ切り出したということは、まさにそういった問題意識でございます。今後、10年間で1兆円の支援ですとか、4兆円から8兆円に市場を拡大していく中にあって、予算だけ投入してもプレイヤーがいなくては意味がない、といった問題意識は政府全体で抱えておりますので、まさに今回の宇宙戦略基金の第2期テーマといったものを踏まえまして、しっかりと投資先として活躍していただけるようなプレイヤーの方々をいかに巻き込んで増やしていくかという点が、我々に課せられた課題なのかなというふうに考えている次第でございます。
【鶴岡構成員】
ありがとうございます。
【阿部企画官(事務局)】
続きまして、吉成先生、お願いいたします。
【吉成構成員】
ありがとうございました。いろいろな先生方からお話も既に、御質問等でいっぱい出ておりますので、ポイントを絞って御質問させていただきたいと思います。この中でいきますと、衛星系の話で、地球環境衛星データの利用のところに関しての意見、コメントではございますけども、この領域に関していうと、やはり経済活動との近接性というか、技術開発ではあるのですけども、やはり最終的にはユーザー視点が極めて重要な領域なのかなと。特に先程来、文科省さんの方からも御説明ありましたとおり、非宇宙プレイヤーといった分野の方が入ってきてもらうという意味においての敷居の低さという観点で、この領域というものは非常に有望であると思いますし、ここをうまくどうデザインしていくのか、ということが、この宇宙戦略基金の国民的理解の入口になるような領域なのかなと承知しております。その中で、お話にもありましたけれども、やはり全球的という言葉が非常に重要と思っていまして、過去、衛星データはやはりどうしても災害に対する利用ですとか、日本国内をターゲットにすることが多いのですが、宇宙の可能性という意味において、やはり日本にいながら地球の裏側が見えるというところになるかと思う次第です。特に、日本企業が海外進出している中で、日本国内のデータというものは正直言うと何でもあるという中で、やはり宇宙からしか取れない、ないしは宇宙を使うから理解が深まるみたいなところはありますので、ぜひ日本国内に閉じない形、全球的というところは重要視していただきたいと思いました。それから、出てきたデータそのものも、これはどちらかというとデジタル庁的な、私の領域はAIとかデジタルなので、そういうところに関わるので申し上げると、デジタル庁はオープンデータ戦略ということで、オープンデータ、政府のオープンデータの連携というものは結構力を今入れている領域で、そこに対するアウトレットというか、要は政策横連携みたいな形もしっかりと見据えていただきたい。そうすることによって、いわゆるAPIの開発だとか、データフォーマットの開発ということに二重投資しなくてもよくなりますし、民間利用者側からは、単純にオープンデータのAPIやフォーマットを見ていれば、このデータが使えるとなると、より裾野が広がるだろうというふうに思っております。それから、支援先の選定にあたっては、やはり宇宙領域での実績というものはなるべく問わない方がいいのだろうなと思います。いい意味での素人発想といいましょうか、そういうところがブレークスルーになる可能性もあるので、そういう点もぜひ考慮いただいた方がよいと思っております。その観点で、あとはIPの扱いですね。開発したもの、ないしは一定程度事業者側が持っているものは、当然事業者のものでしょうけども、この支援を使ったものが良い形で、民間で再利用されていくということにおいては、ガチガチのIP保持を文科省側で持つのではなくて、非常に緩い形でライセンスできるだとか、その辺りも含めて、長期的視点で考えていただくことがいいのではないかなと思います。私の方からは以上です。
【池田補佐(事務局)】
大変貴重な御意見ありがとうございます。まず、全球的な点、御指摘のとおりだと思っておりまして、日本にはいろいろなセンサがあって、わざわざ衛星を使わなくてもいいではないかという話は結構あったりする中において、海外に展開していくこともさることながら、やはり全球的な把握をもって、日本にいかに便益を引き出すかといったところですね。スポット的な解析のみならず、ある意味、風が吹けば桶屋が儲かるという表現をさせていただきましたけれども、すごく遠くの事象が日本にどんな影響をもたらすかというところが開けてくると、これはソリューションとしてかなり有望というふうに考えているところでございます。こうしたところで、どこまでできるのかというところを、ある意味衛星データの価値というところを中核に、社会に対して、こんなところまでできるのですか、というところを、このテーマの中でいかに示していくかというところが、国民理解の醸成ですとか、ある意味、今後の市場の展開につながっていくのかなと思っています。また、API連携等の話ですが、こちらはB-to-Bの世界観で基盤的なプラットフォームを作っていくのか、あるいはガバメントがある程度支えるのかというところの議論があると思いますが、そういった議論は実はなかなか実証が進んでいなかったところでございまして、我々としては、こういった取組が、ある意味で民間がどんな面白いことを考えていて、そこのボトルネックになっていくようなデータ基盤というものが何なのかというところを、ある程度フィードバックが政府側にも関わるような仕組みをこのテーマの中で設けていくことが重要かなと思っています。ですので、こうした動きをとらまえながら、例えば、地球環境データについて、JAXAの衛星のデータの配布の方法をどうするのかとか、そうしたところについても、こういった民間の動向を踏まえながら、しっかり検討も進めていく必要があるかなというふうに思っております。IPの扱いについては、ここはまさにおっしゃるとおりで、いわゆるオープンとクローズ戦略の差を考慮してやっていきますけども、基本的には、民間事業主体で進めていくものなので、補助というか、立て付けもございますので、民間事業者主体でやっていくと思いますが、やはりそこは、ある意味、民間同士の連携ですとか、政府のデータとのシナジーといったところが発生すると思いますので、その中でどれだけの共用化、ライセンス構築できるかというところも、併せて検討が進められていけばというふうに思っております。
【吉成構成員】
ありがとうございました。
【阿部企画官(事務局)】
では続きまして、大貫先生、お願いいたします。
【大貫構成員】
大貫です。よろしくお願いいたします。コメントですけども、まずは、もう既に出ているので、あまり長くは申し上げませんけども、一番お伝えしたいこととしましては、OTVのところで出ていたかと思うのですけども、テーマ間の連携というものは、連携しながら進めるということは非常に重要になってくるのかなというふうに感じておりました。また、OTVで出たのですけども、例えば、最初の輸送系スペースポートと有人の開発ですとか、ほかのテーマにおいてもテーマ間の連携というものが重要かなというところ、この戦略基金の、例えば1期とか、2期だけではなくて、先ほど言及されていましたけども、スターダストですとか、SBIRですとか、ほかとの、というようなことも出ていましたが、連携の上で進められたらよろしいのかなというふうに強く感じました。 それで質問ですけども、特に輸送系も含めて、有人ということが出てくると、非常に長いタームを見据えた、そういった時間軸になってくると思うのですけども、これがR&Dだけではなくて、運用も視野に入れる、打ち上げ試験実施ですとか、あるいは実用も視野に入れてくるとなると、法制的なガイドラインともリンクしながら進められる中で、ラーニングピリオドみたいな、そんな考え方も重要になってくるのかなというふうに思います。
開発ですとか、打ち上げ試験実施ですとか、そういう状況に応じながら、大きな挑戦を進めていくというような、そういう考え方も取り入れるのが運用も視点にしている中で重要になってくるのかなと思うのですけども、その辺の考え方ですとか、もしありましたら教えていただければと思いました。
【池田補佐(事務局)】
ありがとうございます。まず、OTVの件です。今回はあくまでも、燃料補給とか、OTVとか、かなり一般的に分かりやすいのでまとめてしまったということがあって、それ自体には、私は意味があるかなと思ってやっておりますが、おっしゃるとおり、これまでやってきたスターダストですとか、SBIRのテーマというところを基金の外だからといって無下にしない、ということは、まさにおっしゃるとおりだと思っております。ここは、石田PDという、基金のPDをやられている方々も話をしていましたけども、今回の基金がある意味一つの大黒柱的になってきて、いろいろな情報が入ってくるようになってきたというお話は聞いていますので、まさに10年間で1兆円の基金をテコにして、いろいろな技術開発動向とか、これまで散発的にやってきたかもしれないようなテーマについても、ここに集約させていくような取組は我々としても意識したいというふうに考えております。
有人の技術開発につきましては、こちらは事前の委員の方からのコメントもありましたとおり、本当にこれを実装していこうとすると、到底100億円ではもたない、おそらく巨額の投資が必要なってきますという中で、では今、日本がどの立ち位置にいて、ビジネスを考えられている事業者にどれくらいの技術の練度があるのかというところは、よく見極めながらやっていかないと、かなり過剰に投資をしてしまって、結局事業化に進まないとなってしまうということは、かなり危ないと思っています。ですので、10年後、20年後のビジネスシーンを想定したときに、絶対にボトルネックになることが予想される技術というものを今回は同定した上で、そこの障壁をまず取り払うということで、今回はアボートとか、キャビンの技術というものを、まずは掴んでいきましょうと。その技術がつかめていくと、基本的には、そうした一番のコアになる技術をベースに、ロケットの機体の設計に跳ねてきますので、むしろ民間事業者のビジネスに向けた構想といったところについても、より精緻に具体化が進んでいくのかなと思っております。ですので、今現状、何か具体のロードマップが頭の中に引けているかというと、なかなかそうではなくて、ラーニングピリオドのアイデアというものもあると思うのですけれども、まずはこういった技術を開発しながら、我が国として有人宇宙システムを実現するためには、どんな設計で、どんなシステムがあり得るかというところの先鞭をつけるといったところが、今回の一つの肝になってくるかなと思っております。ですので、当然SBIRやほかの技術開発テーマとの連携をしながら、最終的にそれぞれの技術がうまく最後にシナジーで統合されていく形で、どんなシステムが成立し得るかというところについても、JAXAと共に日々検討していきたいというふうに考えております。
【大貫構成員】
ありがとうございました。
【阿部企画官(事務局)】
続きまして、久保田先生、お願いいたします。
【久保田構成員】
全体の議論になっているのかなと思って質問、コメントいたしますが、全体的にテーマにもよりますけれども、地上の検証のみならず、軌道上の実証まで入った計画がいくつかあるというものは非常に良いことかなと思います。一点だけ、月面開発が二つあって、一つはインフラの要素技術のペイロードを作るところまでになっていたのですけれども、先ほどの御説明では、その次のテーマの高精度着陸技術と相乗効果を狙って、ということで、26頁にペイロードを搭載し、というふうに書いてあるので、意思確認が評価点で本当に載せるのかどうかというものは、多分開発状況によるのかもしれませんけど、ぜひ二つのテーマがリンクされるといいかなと思いました。 質問は、ちなみに、この搭載費用というものは、その中に入っていると考えていいのですかね。
【池田補佐(事務局)】
ありがとうございます。適宜担当の方からも補足させていただければと思っておりますが、基本的には搭載費用といいますか、この200億円の支援、補助をしますよ、といったところのある意味トレードオフといいますか、バーターと言ったらいいのか分からないですけども、当然、最後は商用転用、商用化しなくてはいけないので、採択事業者が想定するお客さんといったところの載せるというところは、ある程度想定はしつつも、相手のスロットにおいて、我々として支援をしている、こちらの別の月インフラのペイロードについても、一緒に載せていただけますように、といったところが支援内容になってきますので、例えば、月インフラのテーマの方にランダーに支払うような費用を載せているかと言いますと、それはお金がただ単にロンダリングされるだけになってしまうので、そういったところというよりかは、シンプルに、月インフラの方で支援されるペイロードについて、一定程度載せる枠というものが設けられればいいなということで、そういったところについて搭載意思を持っていらっしゃる方を我々としては支援させていただければなというふうに考えているといったところでございます。
【久保田構成員】
分かりました。ペイロードの重量も気になるところですけど、とにかく二つがうまく相乗効果が出るような形になればいいなと思いますし、全体的に、テーマによりますけども、軌道上実証というものが計画の中に入っているのは非常に良いことかなというふうに思いました。以上です。
【阿部企画官(事務局)】
ありがとうございます。では、全体を通しまして、輸送だけでなく、衛星、探査、共通分野、全体含めまして、コメントございましたら。吉井先生、お願いいたします。
【吉井構成員】
吉井でございます。衛星のところで、センサの開発とか、軌道上サービスなどは素晴らしいプロジェクトだと思うのですけれども、これが衛星バスをゼロから作るような形になると、勿体ないかなというふうに思いました。過去20年以上、国際宇宙保険市場で衛星の故障率を見ると、ヘリテージがないものが圧倒的に故障するのですね。なので、今回、主にはミッションペイロード部分の要素技術の開発ということになりますので、それを軌道上に打上げたときに、ミッションペイロードではないバス部分で失敗してしまうというようなことがあると、非常に残念かなと。そうした観点では、商用宇宙ということで言えば、小型低軌道用の標準的なバスができてくるといいのかなというふうに思います。それから輸送のところでは、これも過去20年ほどマーケットに関わっている立場として、日本の基幹ロケットは、非常に保険業界でも、またそこで保険を買う世界のグローバルの商用事業者にも、非常に評価は高かったのですけれども、その技術以外のところで、射場や契約のフレキシビリティとか、場合によっては金額とか、そうしたところで、なかなか売れない現実があって、アリアン5とかファルコン9の独壇場になってきたということがあります。なので、輸送に限らないことだと思うのですけれども、グローバルマーケットで売れていくものを作るためには、良い技術を作ればいいという観点だけでなく、ロバストなものであるとか、あるいは契約とか、金額にフレキシビリティがあるということも重要だと思いますので、そうした観点を常に持ちながら開発を進めないと、結果として、今KPIで考えている8兆円の規模まで拡大するということは難しいのかなと思います。以上、コメントでございます。
【池田補佐(事務局)】
ありがとうございます。まずバス部分ですね、おっしゃるとおり、今回の次世代地球観測衛星に向けた、というテーマについては、衛星全体というよりかは、一部の機能を高度化して、部分でもいいから実証してくださいといったテーマになりますので、ある意味、衛星バス全体を刷新するような取組というものは規模的にはなかなか難しいかなと思っております。他方で、せっかく開発したものを全然新規のバスに搭載した結果、そもそも打上がって駆動すらしませんでしたとか、悲しくてしょうがない話になってきますので、おっしゃるとおり、標準的なバスというものも必要なってくるかなと思っています。そういったところについては、基金のみならず、JAXAの方のプロジェクト等においても、いわゆるシステムエンジニアリングみたいなところとか、中須賀先生からも御案内があったように、デジタルツイン的な発想もとらまえた、衛星の製造のプロセスの刷新とか、共通化といったところを今研究開発していますので、そうしたところとうまくシナジーが取れるといいのかなというふうに考えている次第でございます。また、グローバルマーケットへの訴求といったところについて、本当に御指摘のとおりで、とにかくこれは研究開発予算で技術開発だから、技術だけ磨いておけばいいのかというと、全くそうではないと思っています。文科省はこれまでずっと技術開発というところばかりやってきましたけれども、宇宙戦略基金が始まってみて、蓋を開けたときに、やはり事業化を相当念頭に置いてやっていかなくてはいけないという中において、しっかり評価の観点ですとか、マネジメントの観点で、経営的センスですとか、あるいはそのルールメイキングでいかに立ち向かっていくかというところについても、しっかり評価するとか、伴走支援、あるいはステージゲートで評価していくことが重要かと思っておりますので、木村先生からも冒頭ございましたとおり、技術だけを開発して、結局それが産業につながらないというところにならないように、我々としてもそこを意識しながら進めていきたいというふうに思っております。ありがとうございます。
【阿部企画官(事務局)】
ほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、時間を大変超過して恐縮ですけれども、意見交換をここまでとさせていただきたいと思います。本日いただきました御意見を踏まえまして、実施方針の確定に向けてブラッシュアップをしていきたいと考えております。また、本日時間も限られておりましたので、追加の御意見、またコメント等ございましたら、事務局に書面でお送りいただければと思います。事務連絡として最後になりますけれども、会議資料と議事録の公開について申し上げます。本日の会議資料については、文部科学省のホームページに既に掲載させていただいております。また、議事録につきましても公開となりますので、構成員の皆様に御確認をいただいた後、文科省のホームページに掲載をさせていただきます。 次回の開催につきましては、別途御連絡をさせていただきます。それでは、本日は長時間御議論いただきまして誠にありがとうございました。これで終了とさせていただきます。
―― 了 ――
研究開発局宇宙開発利用課