核融合の挑戦的な研究の支援の在り方に関する検討会(第1回)議事録

1.日時

令和5年6月28日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 検討会の検討事項について
  2. フュージョンエネルギー・イノベーション戦略について
  3. 核融合の未来の可能性を拓くイノベーションへの挑戦的な研究について
  4. 核融合の未来の可能性を拓くイノベーションへの挑戦的な研究の支援方策について
  5. その他

4.出席者

委員

足立正之主査、吉田善章主査代理、宇藤裕康委員、加藤之貴委員、近藤寛子委員、武田秀太郎委員、竹永秀信委員、飛田健次委員、豊田祐介委員、村木風海委員

文部科学省

千原由幸研究開発局長、林孝浩大臣官房審議官(研究開発局担当)、稲田剛毅研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)、髙橋佑也課長補佐

5.議事録

【髙橋補佐】  おはようございます。私、文部科学省研究開発戦略官付の補佐の髙橋でございます。本日はお忙しいところ、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 この度、今年4月に決定されました、フュージョンエネルギー・イノベーション戦略を踏まえまして、核融合の未来の可能性を開く、イノベーションへの挑戦的な研究の支援の在り方に関する検討会を開催することといたしました。
 本日は委員10名にご出席いただいております。ありがとうございます。本検討会については、オンライン会議を原則として行います。尚、会議は原則公開とし、傍聴者にも入っていただいております。
 資料や議事概要などについては、文部科学省のWebページにて公表いたします。本日、最初の会合となりますので、文部科学省研究開発局長の千原からご挨拶させていただきます。よろしくお願いいたします。
 
【千原研究開発局長】  おはようございます。研究開発局長の千原でございます。
 核融合の挑戦的な研究の支援の在り方に関する検討会の開催ということで、一言ご挨拶をさせていただきます。はじめに先生方におかれましては、大変ご多忙の中、本検討会の委員にご就任をいただきまして誠にありがとうございます。
 フュージョンエネルギーにつきましては、エネルギー問題と地球環境問題を同時に解決する世界の次世代のエネルギーということで期待されるとともに、技術の獲得によるエネルギー安全保障の確保が重要な課題となっております。
 近年、諸外国における民間投資が増加する中、欧米では国家戦略の策定による自国への技術の囲い込みを開始しており、産業界の競争が激化しております。
 このような状況を踏まえ、我が国におきましても、今年4月に統合イノベーション戦略推進会議において、フュージョンエネルギー・イノベーション戦略が決定されたところでございます。
 本戦略においては、具体策としてゲームチェンジャーとなりうる、独創的な新興技術の支援策を強化することが掲げられておりまして、未来の可能性を開く、イノベーションへの挑戦的な研究の支援の在り方を検討するために、このたび、本検討会を設置いたしました。
 独創的な新興技術の支援策を検討するにあたりましては、現在建設中の実験炉のITERから原型炉そして商業炉と、段階的に研究開発を推進する、これまでのアプローチとは異なる発想で検討する必要があると考えております。具体的には、フュージョンエネルギーが実現した未来社会についてご議論をいただいて、そこからのバックキャストで取り組むべき研究テーマ等を検討していただければと考えております。
 このため、委員の先生方におかれましては、大学、研究機関、産業界など、様々なバックグラウンドをお持ちの方々で構成していただいております。
 まずは、フュージョンエネルギーが実現した未来社会について、ぜひ様々な視点からビジョンを語っていただきまして、多くの人々を魅了するような、斬新かつ挑戦的な研究と、その支援策についてご助言を賜りたいという風に考えております。
 核融合の更なる進展に向けまして、委員の先生方の積極的なご参画をお願い申し上げまして、私からのご挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【髙橋補佐】  ありがとうございました。
 ここで、本検討会の目的などにつきまして、研究開発戦略官の稲田よりご説明いたします。
 
【稲田戦略官】  戦略官の稲田でございます。
 ただいま、局長の千原からご説明いたしましたように、本検討会は、内閣府で政府の方針として定めましたフュージョンエネルギー・イノベーション戦略に基づいて、原型炉に向けて、国は研究開発をしっかりやっていくのと並行して、フュージョンエネルギーが世の中に入るときに、この技術によって世の中がどう変わり、どこに、社会導入するのかというところに関し広い視野で検討した上で、その上で足りない部分、あるいは将来リスクヘッジを図るため、独創的なゲームチェンジングを可能とする技術を開発することが極めて重要だ、という指摘を踏まえ、この具体方策を検討するために設置されました。したがいまして、技術を単に検討するというよりも、ビジョンを持って、そのビジョンの達成のために、どのようなことを考えていくべきか、こういう議論をすることを期待します。
 したがいまして、もちろん技術のバックグラウンドを持っていらっしゃる専門家の皆様もいらっしゃるのですが、経営とか社会に対するコミュニケーションとか、様々な専門家を集めまして、この検討会を開催しているところです。
 特に、多様性に富んだ本研究会を取りまとめていただく主査に関しても持続可能な社会の実現に向けて大きな視野から未来へ社会のビジョンを抱いて、世界の第一線で活躍されている、こういうバックグラウンドを持ち、且つ、ご自身も技術者であって、技術に明るい一方、経営者でもある、堀場製作所の足立委員に主査をお願いしているところです。
 
【髙橋補佐】  ありがとうございます。
 それでは、主査の足立委員から、ご挨拶いただきたいと思います。足立主査、お願いいたします。
 
【足立主査】  皆さん、おはようございます。堀場製作所の社長の足立でございます。この度は縁がありまして、この検討会の主査というお役目を拝命いたしましたので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 先程、ちょっと勿体ないようなご紹介をいただきましたけども、私自身は核融合については素人でございます。だから皆様のような専門家から見たら、こいつ一体誰やと、思われることではないかなという風に思いますが、とは言っても、実はそもそも物理屋でございまして、大学で光物性をやっていて、それで堀場製作所に入ったのですけども、入社直後にやった仕事が、偶然か知りませんけど、大阪大学のレーザー施設の核融合レーザーの窓を作るという風なこともやっていたこと、1985年くらいの話ですけども、思い出します。
 また最近では、ムル先生との連携で、チャープパルス増幅のレーザー、これを大型ブレーキングをうちがやっているのですけども、それをさらに大きいグレーティングを作ろうということで、私がフランスの責任者をやっている時に、その決断をしまして、また新しい工場を拡張をしているというようなこともあります。そのくらいしか、実は核融合と関係がなくて、核融合自体の閉じ込めであるとか、そういったところは、技術についても、ビジネスについても素人だという風に、まずはご理解いただければという風に思います。
 一方では、2021年、22年ですけども、ムーンショット目標の8番目と9番目を設定するという作業をJSTの方から、依頼がありまして、ビジョナリーリーダーとして、この二つの作成というものに関わった経験があります。
 先程ご紹介にもありましたように、私自身は技術屋ですし、カリフォルニア大学でも研究したこともありますし、米国あるいはフランスでの社長歴などもありまして、そういうところに興味持っていただいたのかなと思います。
 そんなこともありまして、この度こういうお役目を仰せつかることになりました。とんちんかんな質問とか、とんちんかんなことばかり言うかもしれませんけれども、事務局の方から、それが目的です、という風にも言っていただいていますので、何らかのお役に立てればと思いますので、よろしくお願いします。
 
【髙橋補佐】  足立主査、ありがとうございました。これから、どうぞよろしくお願いいたします。
 
【足立主査】  お願いします。
 
【髙橋補佐】  続きまして、主査代理を、我が国の核融合技術に関する主要な研究機関の一つであります、核融合科学研究所所長の吉田委員にお願いしたいと思います。吉田所長、ご挨拶をよろしくお願いいたします。
 
【吉田主査代理】  ご紹介いただきました、核融合研所長の吉田でございます。
 この委員会には、核融合分野の学術研究の代表の1人という形で参加させていただいているということで、大変重い責任を負っていると考えております。
 主査代理ということで、大変微力ではありますけれども、できる限り努めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 
【髙橋補佐】  吉田主査代理、ありがとうございました。
 それでは、委員にご就任いただいた方々をご紹介させていただきます。資料1-2に名簿がございますので、記載順にお1人ずつご紹介いたします。お1人1分程度で簡潔にご挨拶をよろしくお願いいたします。
 それでは、足立主査は先程ご挨拶いただきましたので、飛ばさせていただきまして、次、出雲充、株式会社ユーグレナ代表取締役社長、本日はご欠席となっておりますので、次回以降にご挨拶をいただきたいと思います。
 続きまして、宇藤裕康、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構量子エネルギー部門六ヶ所研究所核融合炉システム研究グループ主幹研究員、どうぞよろしくお願いいたします。
 
【宇藤委員】  QST六ヶ所研の宇藤でございます。ご紹介ありがとうございます。
 私のまず自己紹介といたしましては、2009年に東北大の方で博士号を取得後、現在の所属であります、核融合システム研究グループにおいて、現在まで、主に原型炉のシステム設計の方に従事してまいりました。現在は、引き続き本グループに所属して、核融合原型炉の概念設計を進めるとともに、現在発足しております、全日本体制の原型炉設計合同特別チームにおいて、システム設計グループの方のグループリーダーも務めさせていただいております。私の専門といたしましては、システムの設計と、その中でも特に超伝導コイル、炉構造、遠隔保守の設計に、これまで従事していまいりました。核融合は私の子供の頃からの夢で、ずっとこういった研究開発に携われてきておりましたので、今回のように、まさに実現するような、こういったところの議論に参加させていただくのは、非常に光栄に思っております。微力ですけれども、ぜひ関わっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。以上です。
 
【髙橋補佐】  ありがとうございました。続きまして、奥本素子、北海道大学大学院推進機構オープンエデュケーションセンター科学技術コミュニケーション教育研究部門准教授も本日欠席となっておりますので、次回以降にご挨拶をいただきたいと思います。続きまして、加藤之貴、東京工業大学科学技術創成研究院ゼロカーボンエネルギー研究所所長教授、どうぞよろしくお願いいたします。
 
【加藤委員】  皆さん、おはようございます。加藤でございます。
 私は今、ゼロカーボンエネルギー研究所の所長をしております。私は化学工学を背景にし、エネルギーシステム研究を長らくしています。ゼロカーボンエネルギー研究所は、元々は原子力工学研究所として原子力にかかわっており、核融合も重要な研究テーマとして、今も継続して研究を続けています。大学院として原子核工学コースを有して、学生に核融合、核分裂を教えています。核融合についてはJT-60の頃から交流させていただいております。また、MITに客員教授で滞在したことが縁で、MITのPlasma Science and Fusion Center、PSFCと交流があります。今年PSFCを中心として立ち上げられたCommonwealth Fusion Systems、CFSを見学に行ってきました。2000億円のベンチャー投資を受けております。日本はJT-60をベースにして、世界レベルで核融合技術を持っているので、その力を生かして、世界をリードする研究テーマ設定ができると良いと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【髙橋補佐】  どうもありがとうございました。続きまして、近藤寛子、合同会社マトリクスK代表、よろしくお願いいたします。
 
【近藤委員】  おはようございます。マトリクスKの近藤寛子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は、エネルギー分野の制度や産業のコンサルティングに関わってまいりました。特に、技術戦略の策定から実装、実現といった、長いスパンで関わることを専門にしております。
 原子力に関して、原子力安全規制の検査制度に関わるワーキンググループを原子力学会の原子力安全部会において運営させていただいています。
 核融合につきましては、昨年度のイノベーション政策強化推進のための有識者会議である、核融合戦略に関わらせていただきました。また社会という観点では、未来に向けたインクルーシブな子育て支援のNPOも運営しております。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【髙橋補佐】  どうもありがとうございました。続きまして、武田秀太郎、九州大学都市研究センター准教授、どうぞよろしくお願いいたします。
 
【武田委員】  ご紹介ありがとうございます。九州大学の武田でございます。
 私は、元々の専攻は核融合工学でございまして、特に核融合の発電システム工学、電力系統工学で博士号を京都大学でとりまして、そのまま大学教員をやっておったのですが、この業界にいる中で、この核融合というものをエネルギーとして捉えた上で、社会変革、さらに言えば、産業の観点から論じる機会、人材層の欠如に危機感を抱きまして、ハーバード大学でサスティナビリティ学を修めた後に、IAEAのウィーン本部において核融合の准担当官を務めておりました。
 並びに、2019年に日本で最初の核融合スタートアップである、京都フュージョニアリング社を共同創業いたしまして、現在では、アメリカとイギリスに支社がございまして、100名近い従業員まで育てることができました。
 その上で現在は、九州大学の准教授とともに文科省の原型炉開発総合戦略タスクフォースの主査代理を務めておりますが、自分の手で核融合というものを実現した上で、社会というものの変革をしたいという思いのもとでやってきておりますので、今回の委員会においても、色々とご発言させていただくことになるかと思いますが、どうぞご容赦いただければと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 
【髙橋補佐】  ありがとうございました。続きまして、竹永秀信、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構量子エネルギー部門六ヶ所研究所所長、どうぞよろしくお願いいたします。
 
【竹永委員】  皆さん、おはようございます。六ヶ所研の所長をやっております、竹永です。よろしくお願いします。
 私は、元々JT-60で実験をやっていたプラズマ物理の専門家でして、JT-60の実験が終わった2009年以降は、主にマネジメントの仕事をずっとやってきているといったところです。
 その中で、3年間はQSTの経営企画部長として、核融合だけじゃなくて、QSTの事業全体を見てきたという経験もありますので、他分野の動向も少し見てきた経験があると自分としては思っています。その辺を活かして今回の議論に反映できればと思っております。専門家としての意見と、少し外を見てきた経験から意見が言えればいいかなと思っていますので、よろしくお願いします。
 
【髙橋補佐】  どうもありがとうございました。続きまして、飛田健次、東北大学大学院工学研究科量子エネルギー工学専攻教授、どうぞよろしくお願いいたします。
 
【飛田委員】  東北大学の飛田でございます。核融合の専門家として委員にご指名いただきました。
 私自身は、核融合炉のコンセプトの研究を専門にしておりまして、近いところでは、原型炉の日欧協力でやっている、幅広いアプローチ活動の、原型炉設計の立ち上げとか、国内活動である原型炉設計特別チームの立ち上げとかに携わってまいりました。
 ただ、私自身のキャリアの多くは、原型炉というよりは、魅力的な核融合炉のコンセプトの研究であります。そういう意味で、この検討会にお役に立てればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 
【髙橋補佐】  どうもありがとうございました。続きまして、豊田祐介 、デジタルグリッド株式会社代表取締役、どうぞよろしくお願いいたします。
 
【豊田委員】  皆さん、おはようございます。デジタルグリッドの豊田と申します。
 私はちょっと皆様と違って、少し門外漢かもしれませんけれども、かなりビジネスに寄っておりまして、東京大学で電力の、電気に色をつけて、自由に売買できるようになったら、どんな世界になるのだろうかというような、こんな研究をさせていただいて、それを実現した会社を創業して、運営しており、今50人くらいの会社です。我々の会社のミッションが、エネルギーを無尽蔵に使える、まさにこの核融合のような技術で使えるようになった時に、産業界はどうなっていくのだろうかというところで、今、走りでは、太陽光とか、風力といった再生可能エネルギーをやっているのですが、どうしてもそれだけではエネルギーミックス的には足りないので、こういった核融合が入ってきた時に、産業界の電気の使われ方がどう変わってくるのかですとか、どういったイノベーションが起きるのかというところを電気の使い手と、かなり今、近くお仕事をさせていただいているので、そういった観点から、皆様の少しでもお役に立てたらなと思っております。よろしくお願いいたします。
 
【髙橋補佐】 どうもありがとうございました。続きまして、村木風海、一般社団法人炭素回収技術研究機構(CRRA)代表理事・機構長、どうぞよろしくお願いいたします。
 
【村木委員】  ご紹介いただきまして、ありがとうございます。CRRAの村木風海と申します。
 私達CRRAは独立系の研究機関として、主に二酸化炭素に特化した研究を行っていて、地球温暖化を止めていくためのダイレクトエアキャプチャーの研究や、二酸化炭素からの燃料合成に係るC1化学の研究、そして地球上だけでなく、火星大気中からの二酸化炭素回収と燃料転換の研究を行っている研究機関です。
 現在は研究員が20名ほどの研究機関で、私自身のバックグラウンドとしては、元々東京大学で有機化学を専攻していました。大体ダイレクトエアキャプチャーとかC1化学の研究を13年ほど行ってきて、とにかく二酸化炭素の魅力にとりつかれて今まで研究を行ってきたので、核融合に関しては全くの素人ですけれども、温暖化を止めていくためにも、核融合の技術は、全二酸化炭素とかの排出量の半分を占める発電を置き換えていかなければならないという現状においても、すごく重要な取り組みだと考えているので、このお話をいただいた時に、ぜひ委員として参画させていただきたいということで拝命いたしました。
 先生方には、色々教わることがたくさんあると思うのですけれども、まだ弱冠22歳の若輩者なのですが、ぜひご指導賜りますと幸いです。よろしくお願いいたします。
 
【髙橋補佐】  どうもありがとうございました。最後に、主査代理を務めていただきます、吉田善章、大学共同利用機関法人自然科学研究機構核融合科学研究所長を合わせまして、全体で12名となります。吉田主査代理には、先程ご挨拶いただきましたので割愛させていただきます。
 本日は申し上げました通り、出雲委員、奥本委員が欠席となっておりまして、全員で10名となっております。
 続いて、文部科学省側のご紹介をさせていただきます。本日は大臣官房審議官の林も参加しておりまして、事務局としましては、私、髙橋、犬塚、江刺家がおりますので、何かありましたらご連絡いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、本日の配付資料でございます。議事次第の配付資料一覧に示しております資料1-1から4となっております。会議中は画面共有システムを使って、資料を表示させていただきます。
 また、各委員におかれましては、ご発言いただく際には、ミュートを解除の上、画面の下にあります手を挙げるボタンを押して発言いただきますよう、お願いいたします。何か不都合がございましたら、ご発言いただければ対応いたします。
 それでは、以降の進行につきましては足立主査にお願いできればと思います。
 
【足立主査】  はい、分かりました。それでは、もう早速ですけれども、今日の議題1ということで、「検討会の検討事項について」ということで、まず資料1に基づいて、事務局よりご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 
【髙橋補佐】  それでは、資料1-1を今画面に共有しております。
 本検討会の開催についてということで、1ポツで趣旨を述べております。ちょっと重複しますので、手短にいきたいと思います。ウクライナ情勢によって、我が国の資源エネルギーの安定的確保や供給源の多様化などが喫緊の課題となる一方で、脱炭素の取組の加速が世界各国で求められております。
 こうした中、国内外においてエネルギーの破壊的イノベーションに繋がりうる革新的な技術への関心が急速に高まっておりまして、我が国としては、新たな国家戦略として、「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」を策定したところでございます。
 当該戦略におきまして、「ゲームチェンジャーになりうる」また、「未来の可能性を拓く挑戦的な研究」の必要性が謳われていることから、今回の検討会を開始することになりました。
 2ポツ、検討事項になりますが、まさにそういったイノベーションへの挑戦的な研究の支援の在り方に関する検討になります。
 その他のポイントとしまして、5ポツですが、文部科学省においては、有識者会議というものを持っていまして、今回の検討結果につきましても、核融合科学技術委員会から意見をいただくこととしております。
 資料1-2は、先程順々にご挨拶いただきました名簿となっていまして、総勢12名となっております。以上で、簡単にはなりますが、資料1-1、1-2の説明になります。
 
【足立主査】  ありがとうございました。皆さん、よろしゅうございますか。では、引き続きまして、議題2であります、「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略について」に入りたいと思います。
 本年4月14日に、フュージョンエネルギー・イノベーション戦略が策定されました。まず本戦略の概要について、事務局からのご説明をお願いいたします。
 
【稲田戦略官】  それでは、説明させていただきます。
 資料の1と2をご覧ください。2が本体ですが、その要約というのが、資料1のポンチ絵に記載してございます。
 最初の四角が、この戦略に何が書いてあるかという内容です。1番目のポツですけれども、フュージョンエネルギーというものを単なる研究開発というものではなく、産業として捉えるということ。それから、それができてから、産業の社会に、というのではなくて、その途中段階も含めて、ビジネスのチャンスを見た上で、我が国も世界的な競争に参入するということが1点目です。
 2点目は、それを実現するために、これまでの研究開発の活動に加えて、新たな研究開発活動、これが今回議論する話でありますし、それと産業化等々の多様なアプローチによって実用化を加速しましょう、これが2番目の柱です。
 3番目の柱は、それを実現するための手段が書いてあるところでございます。
 これを、その問題意識が書いてあるのが次の緑の2つでありますが、これは後ほど、竹永委員の方から説明が詳細にあると思いますけれども、単純に言うと、エネルギーの安定供給やエネルギー安全保障が非常に重要視されていて、フュージョンエネルギーは大変安全であるということが書いています。
 次のところの産業としてのフュージョンエネルギーでありますけれども、その技術というのは、長々と夢の技術と言われていたのですが、最近、いよいよ実現可能であるということが見えてきていますので、民間の投資が非常に大きくなっていて、競争が開始されており、我が国というのは、今まで非常に地道に研究開発していたのだけど、競争に取り残されるおそれがある反面、変化のときは、ここはチャンスでもありますよと、こういうことを書いています。
 これを実現するために、戦略では3本の柱を立てまして、それが四角の、その下に緑の四角で囲ってある3つです。
 1つ目が産業の育成戦略です。1つは核融合の技術の「見える」化です。核融合技術は巨大なプラントを作るので、巨大装置科学であるという反面、実はその技術というのは、例えばメッキ技術のような、下町の工場が持っているような技術をいかに組み合わせるかという話です。したがって、その技術を持っている者は、自分の技術が役に立つかどうかは実は分からなくて、潜在的なプレーヤーたる者が、自分の技術に気づいていないという状況であります。
 こういうところを、いかに巻き込むかというところで、1番目、見える化。要は先程言ったような、どんな技術が、いつの段階で、どういう風に必要であって、これは、要は逆に言うと、シーズがどれだけできているかというところを見せるのですが、ターゲットを明確化する。そのサポート手段として、原型炉を早期実現するという話をやるというのが1番の見える化です。
 次の「繋がる」というのは、個別の技術は、小さな企業が持っていたりするのですね。これは1個1個だと簡単に潰れてしまうということもあるので、サプライチェーンとして育てていくというための仕組みを作りましょうというものです。
 3番目は、「育てる」ということでありまして、様々な産業育成政策をとるとともに、実はビジネスとして考えた時に、安全規制とか、標準化が結構重要なんです。このような点を作りながら考えるのではなくて、あらかじめ考えておくということを謳っているのが産業育成政策の柱です。
 右側にいっていただきまして、開発戦略でありますが、下4つというのは、今までの研究開発について戦略性を持ってしっかり続けてください、と書いてあります。
 1番上の、これが一番重要だと思っているということですが、民間の技術開発が大きく、投資が進んだことで、実は王道と言われる、国のやっている研究以外のところでも、ゲームチェンジャーとなりうるような、技術が色々あるのではないかという状況が言及されています。
 これに対して、どういう風に対応するかというところが、この戦略の中においては一つの柱となっている。これがポイントでございます。
 1番下のところが、これを推進するための体制でありまして、司令塔を内閣府に設けることであるとか、あるいは、その中核として研究機関であるQSTに力を結集するであるとか、あるいは、中長期的な課題でありますので、人材育成であるとか、あるいは、実現するために国民の理解は非常に重要でありますので、アウトリーチ活動も併せてしっかりやっていくこと、これらを通して、真ん中の目標であるフュージョンエネルギーの産業化につながっていく、このような戦略を4月に立てて、6月には総理からもしっかりやるようにという指示をいただいたところでございます。以上です。
 
【足立主査】  ありがとうございました。
 ただいまの説明に対しまして、ご質問、ご意見ございますでしょうか。
 まずは、このフュージョンインダストリーの育成戦略というところで、産業を育てるというようなことをちらっと仰っていましたけど、これ聞くと、今、弊社が実はフランスの方で原子力発電と水素の組み合わせということで、すごいビジネスが、ガッと盛り上がってきているのを感じているのですね。こういう構造を見ていると、国と民間が非常に上手く連携して、民間というのも、かなりターゲットを絞って、ある意味、ばら撒きじゃなく、ターゲットを絞って資金を注入して、国を挙げて成功させるというような力が働いている気がするのですけども、何かそんな風なところを日本でも目指されるというところですかね。
 
【稲田戦略官】  ご指摘の通りだと思います。
 したがいまして、「繋がる」のところの産業協議会、要は、今まで国がこんなことやってるんだけど皆ついてきて、というのが、こういうパターンだったのですけど、そうではなくて、ビジネスとして考えた時に何が必要なのかというところを議論し、横を繋ぐという協議会を作るというのが柱になっているのは、まさに座長ご指摘のような問題意識に基づくものでございます。
 
【足立主査】  日本で、一つのちょっとスタートアップにギュッと力が入りすぎると、何か不公平みたいな気持ちが出てきたりするのですけど、そういうところはもう乗り越えていくという考え方はあるのですかね。
 
【稲田戦略官】  核融合は、先程申し上げたように、単なる点で突破する、あるいは線で突破するのではなくて、面でポツポツと、あちこちに勃興するという形になっています。
 したがって、1個のところが育ったからといって、直ちに全部ができるというわけではないので、その意味において、作戦マップがないと、作戦しようがないのですよね。なので、そのターゲットを明確化するところからしっかりやっていくというのが、この戦略の特徴でもあるのです。
 
【足立主査】  ありがとうございます。他にご意見ございますでしょうか。
 
【加藤委員】  加藤です。よろしいでしょうか。
 
【足立主査】  どうぞ。
 
【加藤委員】  東工大の加藤です。よろしくお願いします。核融合炉は大量のトリチウムの燃料が必要であり、発生中性子でのトリチウム増殖もおこなわれます。トリチウムの環境漏えいリスクがあります。また、 リアクター、ブランケット、内挿材料が中性子で放射化します。このスライドには核融合炉の環境保全性が示されています。 環境保全性というのは、この分野で常識になっているのでしょうか。炉の安全性、環境性を強調してリスク説明を後回しにすると福島第一原発事故で事故後の反対意見が強くなったように社会の大きな反発がありえることが懸念されます。
 
【稲田戦略官】  ご指摘の通りだと思います。
 だからこそ、国民の理解を深めたアウトリーチ活動というところを強調しているところです。今、核融合の国民の関心及び好感度は極めて高いです。これはなぜかというと、知らないからです。先生ご指摘の通り、運転中には人が近寄れないくらい中性子が出るので人の立ち入れはできません。
 あるいは、長寿命の核種は全く廃棄物として出ませんけれども、短期核種というのは結構出たりすると。こういうようなリスクというところもあるのは事実です。ここら辺も含めて、でも、それは技術としてコントロール可能であり、世の中の公衆被ばくに対しては、どのような措置が打てるのか、というところも併せて、正しい情報を開示した上で、それをもとに選んでもらうと、こういうような、広報活動をしていくことが重要だという風に考えております。
 
【加藤委員】  内閣府が環境保全性があると示すことは世論への影響が重く、引き続いての留意が望まれます。
 
【稲田戦略官】  これは、後ほど竹永委員の発表でもあると思うのですが、ここで言っている環境保全性というのは、先程申し上げたように、100年を超えるような長期寿命の核種がないので、現在エネルギーを使っている人間がその世代の内にコントロール可能な形で廃棄物管理を終了できますよということをとらまえて言っているところです。
 後ほど詳しいところは、技術資料の方でも出てきますので、そこでご説明させていただくことになろうかと思います。
 
【加藤委員】  はい、分かりました。ありがとうございました。
 
【足立主査】  村木委員、お願いします。
 
【村木委員】  ありがとうございます。CRRAの村木です。
 フュージョンテクノロジーの開発戦略の欄において、ゲームチェンジャーというお話が出てきたので、少しご質問させていただければと思います。
 今回の検討会の主な目標は、ムーンショット型研究開発制度の目標の策定というところだと思うので、ちょっとムーンショット計画の方とは話がずれてきてしまうかもしれないのですけれども、今後ゲームチェンジャーとなりうるような小型化とか、高度化とか、全く今やっている王道の技術とは違う部分というところで言いますと、例えば、私自身は総務省の異能vationというプロジェクトの出身ですけれども、丁度高校2年生の時に採択をいただいて、関わってきて思ったのが、一般の、とても破壊的な野心的なアイディアと技術力を持っている、でも埋もれてしまっている個人を引き出すような施策というのも、今後フュージョンエネルギーにおいて必要になってくるのではないか、と思っています。
 ムーンショット型研究開発制度以外に、そういう、例えば、内閣府版異能vationじゃないのですけど、核融合版異能vationのような、額としてはムーンショットほど研究費は出ないけれども、アイディア段階の研究をより支援するような、そういった施策というのは、今具体的に考えられたりはしているのでしょうか。
 
【稲田戦略官】  後ほど、資料4の方でご説明させていただくのですが、実は異能vation類似の我が国、文科省の施策とかも結構あるんですね。ここで、様々な支援をしているのですが、仰る通り、いずれにしても線で1個だけやればいいというわけでなくて、ムーンショットというものもツールの一つですが、他のツールなり、なんなりも適切に組み合った上で、各々をどこでやっていくのかというところをよく考えていくことが重要と考えているところでございます。
 
【村木委員】  ありがとうございます。
 私の方は異能vation出身で、そのあと内閣府の方でムーンショットアンバサダーもさせていただいているので、丁度アイディアが最初生まれるところからムーンショットに繋がって、大きくなっていくようなところまで、どちらの方も経験させていただいているので、丁度そこを繋ぐようなところが出てくるといいのではないかと思ってご質問させていただきました。ありがとうございました。
 
【足立主査】  ありがとうございます。他、よろしゅうございますか。
 それでは、少し時間も押し気味になってきたかなと思うのですけども、次に、議事3、「核融合の未来の可能性を拓くイノベーションへの挑戦的な研究について」に入りたいと思います。まず竹永委員より、フュージョンエネルギーの基礎及び技術的に取り組むテーマについてご説明をいただき、その後、武田委員より国内外スタートアップの研究についてご説明いただきます。お二人のご説明の後、併せて質疑応答、意見交換に入りたいと思います。
 それでは、資料3-1に基づきまして、竹永委員ご説明をお願いいたします。
 
【竹永委員】  それでは、専門家として、フュージョンエネルギーの基礎及び技術的に取り組むテーマということで説明させていただきます。
 まず、我々はフュージョンエネルギーの実用化に向けて研究開発を進めているのですが、太陽で起きている核融合反応を地上で実現して、エネルギーとして利用するという研究開発になります。
 我々はよく「地上に太陽を」というような言い方をしますが、地上にミニ太陽、ちっちゃい太陽を作って、それでエネルギーを生み出すということを目的しております。
 カーボンニュートラルに貢献できる、環境にやさしく安全性に優れた将来の大規模エネルギー源として、期待されていると認識しております。これにつきましては、先程質問もありましたので、後ほど少し詳しく説明したいと思います。
 地上で最も起きやすい核融合反応は、そこに書いてあります通り、重水素と三重水素の反応です。三重水素は先程指摘がありましたようにトリチウムですが、これは放射性物質です。これらの原子核同士が融合することによって、ヘリウムと中性子に変わります。この時に莫大なエネルギーが出てきますので、このエネルギーを使って発電をするというのが、我々の考え方になります。
 どういう状態になると、この重水素と三重水素が融合するかといいますと、これらをプラズマ状態にして、それで1億度以上に加熱すると、こういう反応が起きてくるということになります。プラズマ状態といいますのは、下に模式的に書いておりますが、通常気体ですと、原子核の周りに電子がいて、原子核の周りに電子が回っているような状態です。これで温度を上げていきますと、原子核と電子がバラバラに動き始めまして、それがプラズマ状態と言っております。そういうプラズマ状態にして温度上げていくと、重水素と三重水素の原子核同士、これはプラスの電荷を持っていますので反発しあうのですが、その反発に打ち勝って衝突して、核融合反応を起こすということになります。
 フュージョンエネルギーの特徴としましては、まず燃料が豊富ということがあります。重水素は海水中に豊富に含まれておりますので、海水から取ることができます。三重水素、トリチウムですね。これは自然界にはそんなに多くは存在しませんので、これは作らないといけないのですが、反応で出てきた中性子をリチウムにあてることによって、三重水素を作ることができます。核融合炉の中で、こういう反応を起こして、燃料を作りながら反応を起こしていくということを考えております。リチウム自体も、実は海水中に豊富に含まれておりまして、海水から取れれば、燃料としては無尽蔵にあるということになります。
 それから、右側の上ですが、少しの燃料でたくさんのエネルギーが出せるということで、燃料1gで石油8t分のエネルギーを出せるというところも特徴と思います。
 それから左下の、環境にやさしく安全というところが、先程まさにご質問のあったところです。まず燃えかすはヘリウムですので、高レベルの放射性廃棄物は発生しないというのが一つ大きな特徴です。それから、燃料を供給しながら反応を起こしていきますので、燃料の元栓を閉めれば、反応が停止するというのも大きな特徴です。それから、二酸化炭素は出さないと。
 先程ご指摘ありましたように、中性子が反応で出てきますので、その中性子によっては放射化する物質、物体というものが出てきます。それは、低レベルの放射性廃棄物になるのですが、これも50年から100年くらいでリサイクルできるというレベルですし、そういう意味で、廃棄物の処理というのは容易と考えているところです。
 もちろん、トリチウムを扱いますので、これは適切に管理しないといけないということはあります。よく原子炉で止める、冷やす、閉じ込めるという風に言われますが、止めるという意味では、自然に反応は止まりますので、特段の対応は必要ないです。あと冷やすのも自然に冷えますので、こちらの方も対応は容易です。閉じ込めるというところは、そこはやっぱり、きちんとやらないといけませんので、現在どういう事故が起きた時に、例えば、冷却系の配管が破断した時にどうなるかとか、それに伴って、どのくらいのトリチウムが放出されるかとか、そういう安全性の解析もやっておりまして、十分低いレベルに抑えられるような設計をやっているところです。それに関しましては、一般への理解度というのは、まだまだ足りないと思っておりますので、今、安全性に関するパンフレットを作るなど、色々対応しているところでございます。
 それから、右下の先端技術の結晶というところです。フュージョンエネルギーを実現していくためには、最先端の技術を使わないといけないということで、そういう技術は他の分野でも応用が利くため、一つの特徴と挙げているところです。
 それでは実際に、どういう仕組みでプラズマを加熱していくか、というところを説明したいと思います。
 まず、プラズマを加熱するためには、何らかの容器に入れないといけないのですけど、容器にプラズマが当たると、すぐにそこでプラズマが冷えてしまいますので、まず高温にするためには、プラズマを容器から浮かす必要があります。我々は電荷を持つ粒子が、磁力線に巻き付いて動く性質を利用して、磁場の力でプラズマを閉じ込めるということをやります。
 左上にあります1番というところに関しましては、単純に直線的な磁力線ですと、これに巻き付いて粒子が動くのですが、両端がありますので、どうしても両端から逃げていってしまいます。両端を無くせばいいということで、ぐるっと回った、閉じた磁力線というものを作ります。
 ただし、これだけではなかなか上手くプラズマを閉じ込めることができなくて、さらにドーナツ状のプラズマに電流を流します。電流を流すと、こっち方向の磁力線ができますので、磁力線の合成で、こういうねじれた磁力線の構造ができます。こうすると、プラズマを効率的に閉じ込めることができて、我々は磁力線のかごという言い方をしていますけど、そういう、ねじれた磁力線のかごを有効的に使うことによって、プラズマを効率的に閉じ込めることができます。そうすると、外側から高エネルギーのビームを入れたり、高周波を入れたりして、プラズマを加熱して、1億度以上にしていくことができ反応が起きてくるということになります。
 このドーナツ状のプラズマに電流を流して磁場を作るというやり方は、トカマク方式と呼んでおります。他にも色々な方式がありますが、このトカマク方式が実用化に一番近いと言われていて、現在南フランスで建設を進めておりますITERとか、あと那珂研で進めておりますJT-60SAも、このトカマク方式ということになります。 
一方、コイル自体がこういう風にねじれていまして、これによって、ねじれた磁力線を作るという方式がヘリカル型です。これに関しましては、核融合科学研究所のLHD装置に代表されるというようなものでございます。
 それからあと、磁場の力を使わないレーザー方式というものもあります。先程阪大のレーザー研という話もありましたが、まさに阪大でやっているような方式です。燃料のペレットと言われるものにレーザーをあてて、これを圧縮していくわけで、爆縮と言われていますが、圧縮していって、非常に高密度で高温のプラズマ状態を作って、それが広がる前に反応を起こしてしまおうというような、慣性力を使って閉じ込めようという方式です。このような方式がありますが、現状でトカマク型というのが、一番実用化に近いと言われているといったところでございます。
 それでは、核融合発電炉の原理を簡単に模式的に示します。これは装置、トカマク方式の装置を想定して、装置の断面を示しているものです。真ん中にドーナツ状のプラズマがあります。そのプラズマを閉じ込めるための超伝導コイルがここに配置されています。このプラズマに外側から、高エネルギーのビームだとか、高周波を入れて、プラズマを加熱していって、1億度以上になると核融合反応が起きるということになります。まず、この核融合反応を起こすということが1つ目の課題ということになります。
 この反応が起きて、出てきたエネルギーは、中性子がほとんどを持って出てきます。中性子は磁力線に拘束されませんので、プラズマの外に出てくるのですが、それを受け止めるのがプラズマの周りに配置されたブランケットと呼ばれるものです。このブランケットの中で、この中性子のエネルギーを熱に変えて、冷却水で熱を外に取り出して、蒸気を作ってタービンを回して発電するというような原理になっております。この発生エネルギーの取り出しというのが、ブランケットの1つの役割という風になります。
 もう1つ、このブランケットには重要な役割がありまして、これが燃料の生産です。この中性子を、まずベリリウムにあてて、1個の中性子をちょっと増やして、また中性子をリチウムにあてて、これで三重水素を作ります。この三重水素をブランケットから外に取り出して、プラズマの中に入れてあげて、反応を維持していくというような仕組みになっております。したがいまして、ブランケットというのは、発生エネルギーの取り出しとあと燃料の生産という2つの役割があるといったところです。
 少し研究開発の進展について話をしたいと思います。
 当初、なかなかプラズマの閉じ込めというのが、想定していたよりも難しいというのが分かってきまして、当初想定していたよりも時間がかかったというような経緯はありますが、1990年代になりますと、大型トカマク装置のJT-60だとか、アメリカのTFTR、あと欧州のJETで性能がかなり上がってきて、この青で示しているところが、エネルギー増倍率Q=1という、入力と出力が同じになるような条件ですが、こういうところに到達してきたといったところです。温度の方も1億度を超えて、JT-60だと5.2億度、当時の世界記録を達成したといったところです。ただし、JT-60は、まだ実際のトリチウムの燃料を使っていませんので、あくまでも換算値というような形で、こういうような成果を出してきたといったところです。
 下の方に、直線型とか、今回紹介しておりませんが、他の装置の成果もありますが、それに比べるとトカマクというのが、非常に発展してきたといったところでございます。
 それから、工学技術の方も同時に発達、発展してきまして、例えば大型の超伝導コイルの開発だとか、あとはプラズマの加熱装置とか、そういうものも開発が進みまして、ITERの建設のための工学技術というのが確立されてきたといったところです。こういう経緯を踏まえて、現在進めているのがITER計画でありまして、7極の協力で、今建設を進めているところです。
 ITERでは、熱出力として50万kW、これは実際の燃料を使って、これだけの出力を出すということになっています。入力と出力の比が10です。10倍のエネルギーが出るというような条件を目指しているところです。ただし、ITERではエネルギーは出すのですけど、本格的な発電実証は行わずに、発電実証を行うのは、その次の原型炉ということになっています。
 これに関しましては、日本の計画としては、現在今世紀中葉に実現したいと考えているところです。ここでは、電気出力として数十万kWを想定しています。
 このITERから原型炉にいく道筋を、より強固なものにするということで、現在進めておりますのが、幅広いアプローチ活動です。これは日欧の協力で進めております。ここでは、ITERを支援するとともに、ITERでできないことを補うような研究開発を進めております。この中には、3つのプロジェクトがありまして、那珂研で進めておりますJT-60SA、それから六ヶ所研で進めておりますIFERC事業、IFMIF/EVEDA事業というものがあります。こういうものを、しっかり進めて、原型炉に繋げていきたいと考えているところです。その原型炉の次に、実際の実用炉があると我々は考えているところでございます。
 課題の核融合反応を起こすということに関しましては、ITERとJT-60SAのプラズマの性能向上の研究で行って、主にブランケットの課題であります発生エネルギーの取り出しとか、燃料の生成とかに関しては、六ヶ所研の方で進めているといったところでございます。
 それから、原型炉の設計に関しましては、現在原型炉設計合同特別チームというものを六ヶ所研におきまして、産学連携のオールジャパン体制で進めているところです。日本の原型炉にはいくつか条件がありまして、数十万kWを超える定常かつ安定した電気出力。それから、実用に供しうる稼働率、それから燃料の自己充足性を満足する総合的なトリチウム増殖というのが課せられているところです。そのような条件のもとで設計を行って、現状は、ITERのさらに1.4倍くらい大きいような装置というのが想定されております。出力は3倍です。これで電気の発生としましては、64万kWですが、所内電力もありますので、実際に送電端でいいますと24万kWくらいの規模になるといったものでございます。
 原型炉としては、このような形、姿が見えてきてはいるのですが、その先の実用炉には、まだ技術ギャップがあるといったところです。原型炉から実用炉に向けては、とにかく経済性の向上というのが必要だと考えております。そのためには、小型化、高稼働率化、あと簡素化が鍵と考えております。
 例えば、超伝導コイルで言いますと、高磁場化が必要ですし、炉心プラズマで言いますと、性能向上だとか、制御性の向上が必要です。あとダイバータが重要となります。ダイバータに関しましては、プラズマから逃げ出てきた熱とか粒子が集中するようなところでして、非常に熱負荷が高くなります。そこの熱負荷がかなり問題になりまして、そこを如何に下げられるかというところも、小型化に大きく寄与してくるといったところです。
 それからあとは、長寿命化で言いますと、やっぱりブランケットの耐中性子性能の向上だとか、交換頻度の低減が重要です。機能材として、ベリリウムやリチウムを入れますが、その交換頻度の低減だとか、あとは遠隔保守で言いますと、短時間化とか、そういうところが効いてくるかなと思います。それから、あとは加熱系、燃料系、機能材料リサイクルを含むサプライチェーンの確立といったギャップがあります。
プラズマの性能に関しては、12ページ目に示す小さい装置から大きい装置まで含めて、世界の装置のデータを共同で解析し、こういう法則が導き出されておりまして、それを元に、ITERとか、日本の原型炉でありますJA-DEMOの設計がなされているところです。ここで、11ページ目の左下の式は性能を表していますが、大きいほど性能が良いというようなことを示しており、そのためにどうしても、性能を上げるためには、大きくしないといけないというような状況にあるといったところです。ITERに関しましては、標準運転と呼ばれるもので設計されていまして、JA-DEMOに関しましては、少し標準運転からさらに性能向上したような運転を想定しているところです。さらなる向上ができるかどうかといったところが、今後の課題かと考えております。そのためには、学術的なアプローチによりこれまで分かっていなかったプラズマ性能というものが分かってきておりますので、そのような学術的なアプローチも必要かと思っているところです。
 それからあと圧力指数というものも重要になってきます。高性能とか、圧力指数が高いプラズマというのは、不安定になりやすいという傾向がありますので、制御性をいかに向上していくかというところも小型化には非常に重要になってくると考えているところでございます。
 それから、詳細は省略しますが、超伝導コイルとか、ブランケットとか、ダイバータプラズマですね、これに関しても色々な開発要素がありますので、こういうことで小型化、長寿命化、簡素化というのを進めていけるのではないかと考えているところです。
 最後に、進め方ですけど、これらの原型炉から商用炉への技術ギャップに関しましては、QST、NIFS、大学等がそれぞれで実施しておりまして、これらは系統的な研究開発には、まだ至っていないと考えています。また潜在的なアイディアも、まだかなりあるのではないか考えているところです。
 幅広いアカデミアとか産業界からもアイディアを取り込むことが非常に重要でないかと考えているところです。
 当然、商用炉となりますので、産業界にどのように技術を蓄積するかという観点が非常に重要と思っています。
 そういう観点から、幅広く研究開発課題を募集して、専門家でレビューして、実施課題を選定する進め方が適切ではないかと考えているところです。
 ただし、研究開発を実施するにあたっては、それぞれの課題が関連することが想定されますから、全体を統括するようなプロジェクトディレクターを置いて進めることが有効ではないかと考えているところです。私からの説明は以上になります。
 
【足立主査】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、資料3-2に基づいた武田委員の方からのご説明をお願いします。
 
【武田委員】  ありがとうございます。
 そうしましたら、私の方から国内外のスタートアップの動向について、ご説明をさせていただきます。現在、この過去20年間に渡って、フュージョンエネルギーの実現に取り組むようなスタートアップの数というものが、増加の一途をたどっております。
 例えば、この数というのは、2000年代には数社であったものが、2022年現在では、35社にまで上っているわけです。先程も加藤委員からご指摘がございましたが、この中でも最も資金調達額の多いCommonwealth Fusion Systems、これはMITのスピンアウトですが、ここは合計で2000億円以上の資金というものを単社で集めております。2021年、単年で見ましても、この核融合スタートアップに流入をした資金の額、これは5000億円を超えております。累計で見ますと、7500億円の民間資金が、これら核融合のスタートアップに流入をしているというのが、現在のこの資金の状況です。
 その資金の出し手としましても、例えばCFSあれば、ビルゲイツのような著名投資家。TAEであればGoogle社。もしくはJeffery Bezosでありますとか、名の知れた投資家というものが核融合に、今こぞってお金をつけている状況でございます。
 我が国にも、3社、核融合スタートアップがございます。京都フュージョニアリング社。これは核融合のサプライチェーン、産業というものを育成する、そういったビジョンを抱えた会社でございまして、現在122億円の調達。Helical Fusion社が、ヘリカル型を掲げた会社でございまして、8.7億円。レーザー型を掲げたEX-Fusion社が1.3億円という風に現在公開されておりますが、いずれにしましても、我が国のスタートアップの資金調達というものは、欧米と比しますと、客観的に少ないのが現状でございます。
 そうした中で、米国に目を転じますと、米国では初めて民間からの投資が政府予算を上回ったという現象が2021年に起きています。この棒グラフ、左側が米国のエネルギー省DOEの予算でございまして、ここには、先程あったようなITERの予算が含まれているわけですが、この左側のDOEの予算は、2012年から2021年まで微増の傾向はありましても、大体安定をしているわけです。一方で、その右側に並べて書いております、この民間投資という緑色のバー、民間からの投資が、2021年に大きく伸長しまして、DOEの予算を大幅に上回るということが起きています。これによって、ITERですとか、所謂、主力の装置に限らない、小型化、高度化をはじめとするような、独創的な核融合のR&Dへの資金の供給路というものが米国には確保されている。これによって、業界に活力が与えられているわけです。
 この民間資金による活力、これは既に核融合装置の計画の数という形で、雄弁に具現化をされております。この左側の円グラフ、これは現在世界で稼働している核融合の装置の中で、いくつが公的なプログラム、公的予算によって建設され、いくつが民間企業、民間予算によって運用されているかですが、現在稼働中を見ますと、10%のみが民間企業により稼働しているわけですが、これが現在建設中の核融合装置に変えますと、3割までもが民間によるものです。さらに、現在計画中の核融合装置では、何と6割までもが民間によるものであるわけです。この10%,30%,60%というものは、いかにこの民間企業による、民間資金による活力というものが、この業界に注入されているかということを雄弁に語っているわけです。
 ただし、先程も若干触れましたが、未だこういった核融合スタートアップの地理的な中心は欧米、特に米国にあり、我が国では、まだ3社が存在をするのみというような状況でございます。こういったスタートアップの数々、色々な、大変特異な点があるわけですが、最も特筆すべきは、その実現に掲げる目標の短さにあります。この右側にありますグラフ、これは核融合による初送電を何年に見込んでいるかという聞き取り調査の結果でありまして、27社中14社が2031年から35年中に見込んでいることを示しています。つまりは、核融合スタートアップの3社の2社は、2035年以前の発送電を見込んでいるわけです。
 こういった意欲的な目標については、賛否両論が業界ではあるわけですが、ではなぜ、その賛否両論を承知の上で、スタートアップが短い実現目標を掲げているか。これは、我々は毎日のように、こういったスタートアップと交流するわけですが、その中から三つの理由というものが透けてまいります。
 一つ目、最も小さな理由としては、投資家からの資金調達ですとか、人材獲得のアピールということで、ベンチャーキャピタル等からの資金調達というのは、投資期間として最大でも10年程度の制約がつくということが一般的です。もちろん制約がない投資もございますが、こういった制約を考えると、10年後の実現を掲げることには、一つの意味があるわけです。ただ、それよりも大きな理由として私が感じているのは、まず一つが、気候変動等の対応への切迫感。これは今まさにパリ協定を含めた、全世界の国際社会が脱炭素、ネットゼロに向けて進んでいるわけですが、そういったトランジションというのは、2030年代には終わってしまうというのがほとんどの推計であるわけです。そうなりますと、果たして巨額の予算をつけて、2050年に核融合を実現することに一体どうした意味があるのかと、こういった声が出てくるのは、いわば必然と言えますから、気候変動と社会に対して意味のあるインパクトを与えるためには、こういった2030年代の実現が必要であるという、謂わば、ニーズからのバックキャストとして、短い目標を掲げているというのがございます。
 そして、もう一つ重要なのは、彼らスタートアップは、それぞれが革新的な技術の取り組みを行っておりまして、それこそ破壊的なイノベーションというものを、各社が提唱している。それによる技術的な自信と楽観というものがあるわけです。本日は、その特に技術的な自信と楽観について、一体どうした破壊的な技術に、革新的な技術に取り組んでいるかということを、三つの軸からご説明をしたいという風に思っています。
 一つ目の軸が、革新的な方式、閉じ込め方式。これは革新的炉方式と言ってもいいかもしれません。二つ目の軸が革新的な要素技術。そして三つ目の軸が革新的な社会実装です。
 これは少しテクニカルな図になりますが、先程竹永委員の方から、いかにして核融合を閉じ込めるかというような話があったわけですが、閉じ込めるにしても、二つの方向性があるわけです。一つはプラズマですね、これを長い時間、長い時間閉じ込めるというか、磁力のようなものを使って閉じ込めると。冷めにくいという意味で、閉じ込め時間が長いと言うのですが、こういった磁気閉じ込めといった方式と、もしくは慣性閉じ込めのような、本当に一瞬だけギュッと濃縮をすると。これによって、非常に高密度のプラズマを作るというのが、この左側から右側までたくさん方式がございますが、この中で、トカマク、ヘリカル、これは海外ではStellaratorという風に一般に呼ばれますが、そしてレーザー方式、この3つが代表的な閉じ込め方式と今までされてきたわけです。ただ、ご覧になっていただいて分かる通り、所謂代表的な閉じ込め方式以外にも、多くの閉じ込め方式が、実は理論的には存在をしていますし、提唱されています。こういったものをまとめて、革新的な閉じ込め方式と、今回の発表では呼びたいと思いますが、こういった革新的な閉じ込めは、公的なプログラムに取り組まれている方式としては2割にすぎない。それが、民間の企業、民間のスタートアップが取り組む方式としては、5割までがこうした革新的な閉じ込めによるものです。この2割と5割という、この数の差、これは非常に明らかでして、これまで一般に取り組まれてきたようなトカマク、ヘリカル、レーザー以外の方式、革新的な方式で、核融合を成し遂げようとしているというのがスタートアップです。
 例えば、今資金調達として1000億円以上を成功させているような、TAE Technologies社ですとか、それに近い資金を集めているGeneral Fusion社を見てみますと、左側の方のTAE Technologies社というのは、大砲を、向かい合わせに2つくっつけたような、そんな炉型をしていまして、逆転磁場配位型と呼ばれるプラズマを両端の大砲の中で作ってやる。それをドンといっぺんに打ち出して、真ん中で圧縮をさせてやることによって、合体衝突をし、そこにさらに加熱をするというような、全く他とは異なるような炉型をしていますし、General Fusion社も、これは1個1個見えている、この円筒なものがピストンですけれども、上から磁化したプラズマを液体金属の渦の中におろしてきまして、全方位からピストンでグッと液体金属を圧縮することによって、核融合反応を起こすと。こういった方式を提唱しているわけです。
 こうした革新的な方式によって、まずは小型化による低コスト化、もしくは、従来閉じ込め方式の課題解決を狙うというのがスタートアップの一つの方向性です。これによって、例えばTAE Technologies社では、中性子を一切出さないような、p-B11反応というものを実現するということを掲げているわけでございます。
 先程これは竹永委員の方からも図としてお示しがございましたが、この図というのは、一目でその閉じ込め方式、要はその炉がどれくらい性能がいいかということを表すものです。右側がイオン温度で、縦側がイオン密度×閉じ込め時間ということで、非常にざっくりと申し上げますと、右にいくほど熱い、縦にいくほど閉じ込め性能がいいということで、右上にいけばいくほど実用化に近いわけです。その中で重要なのが、このQ=1というラインで、この1と書いてあるラインは、反応によって得られるエネルギーと、それを起こすために必要なエネルギーがつり合う点ということですから、ここより右上にいかなければ、正味でのエネルギーが得られないわけですので、ここを超えるというのは一つ大きなポイントなわけです。
 これを1950年代から、だんだん実験の推移とともに見てまいりますと、70年代、80年代につれ、どんどんこのプロットが右上に移っていく。そういった中で、この2000年代に1に近いところまで、全てプロットが移っていることが分かるという風に思います。
 さらにこういったSPARCですとか、ITERのようなもの、これはあくまでProjectedですので、予測でありますが、こういったもので実用化レベルのものが実証されるというのが、この核融合の進展でございます。この図はプロットで炉形式を変えております。この○がトカマク。先程説明のあった一番主要な方式で、×がレーザーでございますので、やはり右上には、この○や×が集中をしていると。色々、先程ご説明をした革新方式というのは、プロットで言えば、この左下の領域にだいぶ集まってしまっているわけです。こういう風に見ますと少し分かりにくいですから、ではこれを、横軸を時間軸に取って見てみましょう。
 横軸を時間軸にとりまして、縦軸を先程の3つを掛け合わせた、要は性能に表したものが、このグラフです。要はこの一番左上、先程もあったような○というのがトカマク型ですから、1960年代、70年代、80年代と、このトカマク型というのが先頭を切って、どんどんと、この3重積というのですけれども、性能が向上していると。この向上していった性能が、ここで一旦止まってしまっているのは、ここから各国は、このITERという全世界協力プログラムに注力をするという方向を選んだからです。その一方で、先程もございました慣性核融合、レーザー方式というものが、性能の値だけ見れば、トカマクを抜いているような形にも見えます。その下を行っているのがヘリカル型でございまして、このLHDは、我が国のデバイスです。ここで見ていただきたいのは、レーザーがそれを性能だけ見れば抜かしたように見えますが、レーザーとトカマクというものが非常に競っていると。そこにヘリカルがついてきている中で、ここにあるような革新的な炉形式というのは、まだここで挙げたような、トカマクやレーザーに比べると、オーダーで性能というものは出ていない状況、即ち、まだ性能の向上を図っているような状況です。
 事実、世界の民間企業が発表している発電炉の計画、これは5計画ありますが、このうち革新閉じ込めは1計画に過ぎません。他はトカマクが4計画ということで、さらに言えば、公的セクターの発電計画全てがトカマクですから、未だ性能としてはトカマクが優位になるということは間違いがないことです。
 では、こういった研究に、今我が国はどういった状況かですが、日本には6つの革新閉じ込め方式の装置が運用中でして、加えて1つが建設中です。これは米国にある18装置と比すれば少ないですが、欧米と比べましても、実験装置の多様性というのは、我が国でも確保されています。
 ただ、一点付記するとすれば、この6つの実験装置、全て公的な機関によるものです。米国では、18のうち14までもが民間企業によるものですから、民間企業による革新閉じ込め装置が存在をしないという点でも日本は特徴的です。
 今まで申し上げていたのが、一つ目の革新軸である閉じ込め方式ですけれども、ここに二つ目の軸として、スタートアップというのは、革新的な要素技術に取り組んでいます。この要素技術で、例えば例を挙げれば何になるかといいますと、先進材料、高温超電導材料というのが大変分かりやすいですし、炭化ケイ素のようなセラミック、高性能レーザー、合金、こうした材料によって、今までには公的プログラムにはなかったような、大幅な小型化や高度化というものを計画するというのが一つございます。またデジタルツインによるシミュレーションや、AI・機械学習による予測、これによって高効率な設計や実験を目指すという動きも当然ございます。さらには3Dプリンティング、これは金属プリンティングをはじめとした、先進製造技術の応用によって、低コスト化、もしくは短納期化を進めるという動きもございますし、当然、可能な限り、工業用部品を採用、流用することによる低コスト化というものにも取り組んでいるわけです。
 例えば、冒頭から何度か出てきております、Commonwealth Fusion Systems社は、REBCOと呼ばれる高温超電導材料を用いることによって、20テスラという超強力な磁場を達成することによって、トカマク型を大幅に小型化すると。これによって短時間での実現、低コストを実現するという計画ですし、さらに言えば、英国原子力公社のような公的機関も、NVIDIAのような会社とパートナーシップを結びまして、デジタルツインの構築、AIによるロボット制御トレーニング、中性子輸送シミュレーション、こういったものに取り組んでいるわけです。
 こういった革新要素技術による核融合実用化の加速の検討というものは、我が国は当然技術的には可能でありながら、欧米と比べれば、今まで注力がされてこなかった、弱い領域でございます。こうした動きというものは留意されるべきかと思いますし、アメリカのエネルギー省、これはご参考ですが、GAMOWプログラムといって、こうした領域に非常に戦略的に投資をするプログラムが既に走っています。
 例えば、先進高温超伝導導体は当然ですけれども、メガワット級ジャイロトロン、界面の工学膜、先進ナノ構造合金ですとか、核融合に対して、この要素技術の観点から戦略的に投資をしていくという動きは、我が国でも見られても然るべきと考えています。
 最後に三つ目の革新軸として、革新的な社会実装についてのご説明をさせてください。現在、公的プログラムで核融合エネルギーと言いますと、それは基本的には発電を指すものですけれども、一方でスタートアップでは、その大多数が発電以外のエネルギーの応用を計画または検討しているわけです。これは、主たる市場として何を狙っているのかというのが左のグラフ。追加で検討しているスピンオフ市場が右のグラフでございますけれども、さすがに主たる市場としては、発電用途が飛びぬけて多い一方で、オフグリッド、水素製造、工業用熱供給というものを第1マーケットに据えているスタートアップもございますし、右を見ていただきますと、スピンオフ用途としては、ほとんどの会社が、発電用途以外についても検討しているということが分かります。こうした医療応用ですとか、工業用熱供給、推進機は、謂わば、ニーズ、将来の市場からバックキャストして、今核融合の研究を行っているということでございまして、こうした観点というのも公的プログラムにないような観点になります。
 二つ、小さい例と大きな例を示すのですけれども、例えば、アメリカのPhoenix社は、核融合をエネルギー源としてではなくて、中性子源として用いるということで、既に実用化をしていまして、加速器を用いた実用化ですが、中性子イメージングですとか、医療用の放射性同位元素の製造などの社会実装を行っております。逆に非常に遠いところで言えば、アメリカには核融合ロケットエンジンの会社というものも数社ございまして、こういった将来のニーズ、これは例えば、火星、木星まで行くとすれば、核融合エンジンが必要であるという予測に基づいているわけですが、足元の産業応用から将来の宇宙拡張に至るまで、幅広い社会や産業構造の変革に取り組むような挑戦の多様性というものが、この領域では確保されています。
 最後に、我々よく核融合まであと30年であるとか、いつまでたってもあと30年なんていう皮肉を聞くわけですけれども、これは私が先日出版をした論文からの引用でございますが、これまで1980年代から今まで科学者たちが、核融合の実現があと何年という風に予測をしてきたのか、その推移というものを文献調査で調べました。その結果、この下側のラインというのが核融合の発電まであと何年と科学者が言ってきたかですけれども、1990年くらいにはあと18年くらいと言われていて、2000年くらいになるとあと30年。2010年くらいになっても、あとまだ30年であり続けてきたのですが、2020年の今、このラインというものがまたグッと下に近づいてきている。これによって2022年現在では、核融合まであと17.8年というのが予測でした。その結果に基づいて、この核融合業界で何が起こったかを考えますと、この線がグッと下向きに曲がったタイミングというのは、公的プログラムにおいて、非常に大きな進捗があったタイミングであるわけで、1990年代末から2010年頃の公的プログラムの着実な成果こそが、今のこの核融合ブーム、核融合スタートアップブームの端緒のきっかけを作り出したという可能性を示唆しているわけです。
 したがいまして、公的プログラムの着実な進歩というものが、核融合への期待値を高め、民間への挑戦的な支援を可能にする。それによって民間スタートアップが破壊的な挑戦をすることによって、活力や、さらには新しい人材というものを核融合業界に流入させる。この正のスパイラルというものが上手く噛み合っているのが、今の核融合業界であると言えます。
 本日のまとめをいたしますが、フュージョンスタートアップは、こうした3軸から革新的な研究を実証しているわけです。革新的な閉じ込め方式、これは50%以上の会社が、今まで見られなかったような、所謂、主要形式とは違う閉じ込め方式を行っておりまして、これによって小型化による低コスト化、さらに言えば、従来方式の問題の解決というものを図っています。
 また革新的な要素技術として、先進材料、革新的なコンピューティング、先進的な製造技術というものを用いることによって、従来の、例えば、同じトカマク型であっても、それを小型化するですとか、低コスト化をする、こういった動きが進んでいる。
 そして第3に、市場、すなわちニーズからバックキャストした研究をすることによって、発電以外の計画というものが進んでいるというのが、スタートアップの動きであります。
 第一点の革新につきましては、日本にも実験装置が存在しますが、欧米のような、それによって、数百億円から更に言えば数千億円の調達を受けるような基盤は存在しない状況です。第2の革新的な要素技術につきましては、まさに我が国の強みである分野でありながら、これまで戦略的な注力が行われてこなかったような領域であります。第3につきましても、技術的なフォアキャストではなくて、ニーズ、市場からのバックキャストによる産業や社会の変革への取り組み、これは我が国でも当然取り組まれるべきだと考えます。
 以上をまとめますと、この核融合による破壊的なイノベーション、これを目指した挑戦的な支援というものが、今まさに求められていると結論をして、私の発表を終わらせていただきます。ありがとうございました。
 
【足立主査】  どうも竹永委員、武田委員、ありがとうございました。
 ここから2人のご発表に対しての質問、意見交換となるのですけれども、どなたかご質問、コメントございますでしょうか。近藤委員、お願いします。
 
【近藤委員】  まず、ご発表ありがとうございました。インフォマティブで、新しい考察も伺わせていただきました。
 それで、先程稲田戦略官がご説明された、戦略の概要もちょっと含めての議論ですけれども、3つございます。
 まず、今回の検討で、何を期待、アウトプットにしたいのかということがあります。例えば、どういう研究基盤にしていきたいという話にしていくのか、どういう社会にしていきたいのかという、目指す議論の内容によって、より実務的な話にしていくのか、もうちょっとビジョンニングの話にするのか、随分変わるのではないかと思いました。
 今日の先生方のご発表を聞いても、今できていることの研究開発の状況のご説明と、あと今どういう風に世界が変わってきているのかという、地殻変動時期のお話で、かなり方向性も違うのかなと思いましたので、そのインプットをより効果的に、今後この検討会で議論するためには期待するアウトプットを明確にする必要がある。アウトプットとどういう検討範囲ですね。その検討範囲と言っているのは、昨年度議論したフュージョンエネルギー・イノベーション戦略のうち、私達はこの場で、どの範囲を議論していけばいいのかということです。ゲームチェンジャーに特化していって良いのか、原型炉みたいなところの話にも踏み込むのか。その点においては、おそらく文科省さんが、他の省庁さんで、この核融合に関して色々な議論がされているのであれば、そこのドメインとか、位置付けも確認しておけば、私達がここで何に注力して議論するのかというのが、明確になるかと思います。
 もう一つだけ申し上げさせていただきますと、検討の道筋についてです。先程武田先生の方から楽観という話があって、すごくいい言葉だなと私は思ったのですが、これまでの核融合って、楽観の部分と慎重な部分があったのではないかなと思っています。私達は、この検討の中で、楽観的に考えるのか、慎重的に考えるのか。時間軸も2050年ということを核融合戦略の中で一つの数字として出てきていますが、社会的には、2035年中という話も出てくるのであれば、どういう時間軸で考えていくべきなのかというのがあろうかと思います。
 特に、どういう社会を描いていきたいのかという、大きい話も大事ですけれども、どういう課題を解決していきたいのかという、着目すべき社会的な課題もあるのではないかなと思います。少なくとも、以前議論した核融合の戦略では、資源エネルギーの問題であるとか、医療分野、安全保障といった言葉が出てきていましたけれども、これに限らない議論にするのもありですし、少しそういったドメインも決めていかないと、色々な方向に議論が散漫になってしまうなということを、懸念して、申し上げさせていただきました。以上です。
 
【足立主査】  ありがとうございました。
 二つのポイントだったと思うのですけども、まずは今回この議論をしていること自体の、目的といいますか、そのポイントがどうあるかということと、結果として、どのような世界を作っていきたいかということだと私は理解しましたけども、これ稲田戦略官の方へのご質問と思うのですけど。
 
【稲田戦略官】  ご指摘の点は非常に重要な点でございまして、この検討会の目的は何かというご指摘です。
 資料の1-1の最後のところに書いてあるように、基本的には、大きな戦略として、内閣府の定めたフュージョンエネルギー・イノベーション戦略があり、そのうちのゲームチェンジャーとなりうる、その小型化、高度化の先進的な部分のところについての議論を行う。これがこの委員会の基本的な目的であります。
 尚、横のところの繋がりが結構あるのではないかというご指摘ですが、まさにその点は非常に重要だと考えておるので、この検討会はゲームチェンジャーとなりうる小型高度化というところについて議論します。一方全体的な技術的検討とは、並行して実は核融合科学技術委員会という、文部科学省の審議会で議論がされています。その議論を踏まえつつも、この部分のところについては、社会のニーズとかのバックキャストから考えた時、こんなことが必要だと思うのだけれども、全体の整合性のところについてどう考えてくれるか、おかしいところはないのかというところは本検討会においても確認することにしてございます。
 その上で、小型化、高度化のところをいつまでに何を目指すのかという、ビジョンのところに関しましては、まさに、この委員会で議論、いつまでに何の目標を立てるのかというところというのは、結構、ゲームチェンジャーというのは、100年先のゲームチェンジャーなのか、10年先のゲームチェンジかで、先程武田先生のやっていた、要素のどこを選ぶかというところが大きく変わるところです。そういうところもありますので、ここについては、この検討会でご議論いただくというのが必要なのかなと考えています。
 
【足立主査】  私も事前説明を受けた時、その辺りの、要はミッションステートメントというものが何なのか、というところに疑問があったのですけども、お答えとしては、それ自体を考えるのが、この検討会の一つのミッションでもあるというようなところで、これから徐々に私自身も理解していけるのかなと。近藤委員の方はこれでよろしいでしょうか。
 
【近藤委員】  はい、ありがとうございました。
 
【足立主査】  それでは、手が挙がっております。武田委員の方からお願いできますか。
 
【武田委員】  ありがとうございます。
 私の方から、先程の近藤委員のご質問への補足と申し上げますか、情報をご提供させていただきたいと思っておりまして、現在、文科省として、核融合にどういった支援をお考えかということが先程稲田戦略官からございましたけれども、特に竹永委員の方からあった、原型炉、これは我が国としての核融合発電所の初号機にあたるものですが、ここに対しては、別の予算というものを概算要求として行っていくということでございますので、こことは今回、この委員会で話される議論というのは、一つ分けて考えるべきなのかと私個人としては考えております。もし稲田戦略官、事務局の方から誤りがあればご指摘をいただければと思っております。
 
【稲田戦略官】  ご指摘の通り、現在研究している研究であるとか、ITER計画のような国際共同の取組については、別途の既存の枠組みをしっかりやっていくというところが戦略にも書かれてございまして、ここはさらに、今まで足りなかった、先程武田先生のプレゼン中にも、ここが足りなかったというご指摘がいくつかあったと思うのですが、そこをどうすべきか、というところをご議論いただくことが重要かと思っています。
 
【足立主査】  よろしいでしょうか。では次、加藤委員、お願いします。
 
【加藤委員】  加藤です。ありがとうございました。武田先生の発表に対してコメントをしたいと思っています。
 中国でも核融合炉開発が進んでいるので、世界中のベンチマーク情報の収集が必要と思います。実用化に関しては、CFSは次の3年後に試験炉を作成し、次の5年間で実証炉を作る準備をしています。よって、日本としても、その海外の開発スピードに合致した計画が必要。海外が2040年商用化を目指す中、2050、2060年の技術開発は長すぎる懸念がある。
 研究開発に革新性を求めるのであれば、海外の事例は、正確にキャッチする必要がある。一方で、リアクター、出力、開発期間などの比較データがあると、日本の立ち位置がよく見えて良い。
 
【足立主査】  では、武田委員の方からお願いします。
 
【武田委員】  ありがとうございます。
 先程、ご指摘をいただいた中国の動向は、極めて重要でございます。先程の資料の中には、確かに中国のスタートアップに私は触れなかったわけですが、それはなかなか情報が出てこないというところも確かにございますが、一方で、例えば資金調達額などは出てきているわけで、ENNという会社、これは200億円超の調達を成功させているとデータが出ております。これは、当然我が国のどの会社よりも多いわけでございますし、さらに申し上げますと、中国は先程からITERという言葉はよく出てきてございますが、これの独自版というものを国内で進めているということになってございまして、公的なプログラムの面でも、民間のプログラムでも、確かに独自路線は行ってございますが、非常に注力がされております。
 2点目のCFSにつきましても全く仰る通りで、民間のアプローチは早くやって早く失敗する、です。この次のものが失敗をしても、その次また失敗しても、その次できればいいと。スペースXなんかを見ていても、そういったアプローチでございますが、そういった意味で、サイクルが早いということも特徴の一つでございますので、今加藤委員からご指摘いただいた2点、全く仰る通りだと思いますので、次回以降、何か私の方からできれば、情報共有等をさせていただければと思っております。
 
【加藤委員】  武田さんありがとうございます。CFSを例にすると、革新技術には日本の技術が使われています。日本の企業も、日本国内の開発が遅いと会社の経営維持のために、アメリカ等に技術流出が進む。日本が主導する革新炉技術を早く決めて、日本の企業が集まれる場ができると良いと思います。
 
【足立主査】  続いて、武田委員。
 
【武田委員】  今、加藤委員のご指摘、大変重要なご指摘、ご示唆いただいていると思っています。というのは、我が国として、最初にこの核融合というものを実現するということを、どれだけ重要視をするかということも含んでいるわけです。iPhoneの例を挙げるまでもなく、アメリカでできている炉の中に、我が国の様々な重工業からの製品が占めて、それによってサプライチェーンの重きを押さえることができれば、それで良いのではないかという論調も一部では存在するわけで。そういった点も含めて、今回の検討会での検討事項かと考えております。以上です。
 
【足立主査】  では、稲田戦略官の方から。
 
【稲田戦略官】  事務局から少しだけ補足しますと、公的な計画と民間の計画は、やっぱりスピード感が違うんですね。一番早いのが、先程武田委員からも説明されたように、中国です。35年に発電を目指しています。残りの国は、大体45年くらいから50年に集まっていて、これはプレゼンにもあったように、安定性を重視するのか、それとも、そのスピード重視するかというところでありますけれども、このようなものが大体のその周辺の情報としてはあるというところを補足させていただきます。
 
【足立主査】  ありがとうございます。ちょっと私の方からよろしいですか。他、ございますか。
 今日は産業界から私1人ということで、私が色々なところに呼ばれていますのは、要は日本の産業の空洞化といいますか、日本の技術、素晴らしい技術がアカデミア、公的研究機関などからは出てきているのですけれども、その産業がどうも日本で栄えない、経済が活性化されない、あるいは雇用も増えていかないというようなところというのは、例えば、半導体なんかがもう今、典型的な例だと思うのですけども、そんなことが起こっているということで、おそらく、その面で、コメントせよということで、私がここに呼ばれたところもあるのではないかと思うのですけども。
 先程も仰っていたように、やはり今先生方が努力されている技術というものが、本当に将来、日本をどう強くしていくかというところに、どう結びつけていけるのかなというところが、私も一番気になっているところではあります。それを前提に、またかなりピンポイントの質問になるのですが、武田委員の発表の3ページのところ、2021年に、この民間投資が急激に上がっていると。これは、何か理由はあるのですか。2021年だけこんな上がっているというのは、何かあるのですかね。
 
【武田委員】  これは、我々もよく中で議論をすることですけれども、二つ要因があると思っておりまして、一つは、本当に着実な公的プログラムの支援ですとか、公的プログラムの進展ですとか、技術的にトンネルの出口が見え始めたのがこのタイミングであるということが一つ。
 もう一つは、民間だけではないのですけれども、コロナ後の、所謂、グリーンリカバリーというものを指向する中で、政治的な土壌も含めて、核融合というものに投資をして、それで産業を強化して、それによって自国の産業、さらに言えば、グリーンリカバリーを図っていこうというような、より大きな流れがあったということです。
 こういった、所謂、背景的なものと、技術的な楽観というもの、これが結びついたタイミングというのが、おそらくこの2021年だったかなと個人的には考えております。
 
【足立主査】  それが海外では、そのようなシンクロナイズドが起こって、日本では起こらなかったのでしょうかね。先程、稲田戦略官が仰っていて、少し気になったのですけども、一般的にも核融合に対する期待が上がってきたと、核融合に携わっている方は思っておられるかもしれませんけども、携わっていない人間にしてみたら、本当に一般の人が、例えば、核融合と原子力発電の違いすら分かっていない、というのが日本の現実ではないかという気もするのですよね。
 例えば、一方では、こうやって民間がガーンとお金を注入するようになったという、社会的背景というか、要は空気ですよね。それはやはり、この情報の伝え方、民間に対して、あるいは一般に対して、核融合というものが、将来の夢のエネルギーですよというようなことを、正確に、それも広く深く伝えることができているから、そういうことが起こったのではないかとか、そんな風なメカニズムというのは、どうですかね。
 
【武田委員】  必ずしも、我が国で、そのシンクロナイズが起きていないと私は思っておりません。ただ、そのシンクロナイズが数年遅れたと見ています。特に今回のフュージョンエネルギーの戦略の策定にあたっては、まさに欧米であったような議論というものが、我が国でも力強くあったと認識をしていますから、そこには確かに数年のラグはあったかもしれませんが、日本でも確実にその波というものは来ていると。同様に我が国でも、桁は違いますが、フュージョンエネルギーに対する民間の投資というものも来ていますから、シンクロナイズの状況だけは来ているはずです。
 最後に、私が核融合の世論調査を行ったのが2019年でございまして、86%の日本人が原子力と核融合の違いが分からないというような結果でございましたので、まさに主査ご指摘のポイント、その通りだという風に思います。
 
【足立主査】  では、竹永委員お願いします。
 
【竹永委員】  ありがとうございます。
核融合の認知度という意味では、一般の人にはまだまだ十分じゃない、不十分なところはあるなと思っているところですが、産業界の方々は、結構核融合に参画したいということで、研究所に視察に来られるとか、色々議論する場が増えてきています。そういう意味で産業界の興味という部分では、日本の中でも増えてきているのかなと思っているところです。
 そういう観点から、マッチングとか、協議会とか、そういうところで少し組織的に動けば、日本の産業界も十分に参画してくる可能性は高いかなと思っているところです。
 ただちょっと我々みたいな公的機関から見ますと、やっぱりスタートアップをやっているようなところ、CFSも、この前那珂研に来て色々と議論しましたけど、やはり少しはてなマークがつくところもあったりしますので、そういうところをどう考えるのかというのは、民間と公的機関で違っているところはあると思います。専門家から見ると、またちょっと違った見方もあるかなと思っているところです。以上です。
 
【足立主査】  ありがとうございます。では、吉田委員の方、お願いします。
 
【吉田主査代理】  民間からの投資が増えているというのは、経済的な現象ですが、私のような、研究の場にいる者も、これは何が起きているのかということを正確に理解する必要があるだろうということで、実は核融合研でも談話会を開いて、ベンチャーキャピタルの論理というのはどういうものなのか、どういう計算の上に、こういうベンチャーの投資が起きているのかについて、専門家に講演していただき、勉強している状況です。
 研究の現場から見ると、ここは何か非常に大きな発見、技術的なシンギュラリティがあったということではない。先程、武田委員が仰られたように、連続的に進歩していることは確かであって、色々な意味で科学的な不確実性というか、技術開発のリスクというのは、徐々に下がってきて、ある閾値に達したということだと理解できるのではないかと思います。
ただ一方で注意しないといけないのは、米国で急増している研究開発費は、ほとんどベンチャーキャピタルなので、ベンチャーの論理で、ハイリスクハイリターンを狙っているということ。それと、ナショナルプログラムでやるという時のリスクは、やはりかなり考え方が違うはずです。これは国の間の、戦略の違いということで、そこのところを我が国としても慎重に考える必要があると思います。
 ベンチャーキャピタルの投資が急増する契機になったのは、私は経済情勢の専門家ではなくしっかりと調べているわけではないのですけれども、カーボンニュートラル2050に関係して、アメリカのアカデミーが、2050年までに核融合エネルギーをグリッドに繋ぐというステートメントを出したことが、一つのエポックメイキングなことだったのかなと思っております。
 
【足立主査】  どうもありがとうございます。飛田委員。どうぞ。
 
【飛田委員】  よろしいでしょうか。本検討会で扱う課題について、意見を申し上げたいのですけど、稲田戦略官から、ゲームチェンジャーとなりうる小型化、それから高度化という話がございました。一方、核融合をシステムとして見た時に、小型化とか高度化と言っても、実は技術についてはやることが減るわけではないんですよ。複雑なサブシステムが絡み合っていて、どこか抜け落ちがあると、それがエネルギー利用であっても、医療とか、産業応用であっても、システムとして完成しないわけです。ベンチャーは、やっぱりそこをカバーできないと思うんですよね。人数が限られているし、資金も限られているということで。
 そういう意味では、小型化、高度化だけに注力するのではなくて、現在国で進めている、原型炉のプロジェクトの中でも、意欲的に加速が必要であるようなものであれば、例えば、ムーンショットの課題とするとか、そういうこともご考慮いただけたらいいのではないかと思います。以上です。
 
【足立主査】  ありがとうございます。それでは、次の議事の方に移らせていただいてよろしいでしょうか。
 最後に議事4「核融合の未来の可能性を拓くイノベーションへの挑戦的な研究の支援方策について」に入りたいと思います。まずは支援方策について検討するにあたり、稲田戦略官より、文部科学省における主な研究開発事業について、資料4に基づき、ご説明をお願いいたします。
 
【稲田戦略官】  文科省における主要な競争的資金で、どのような支援をしているかというのが、この資料でございます。競争的資金というところでありましたのは、ゲームチェンジャーとなりうる小型化、高度化というのを考えてくると、これはやっぱり個人のアイディア、あるいはその機関なりなんなりのアイディアというものが非常に重要なので、広く募集しなくてはいけないだろうと。そういう時に、我が省として、どのような制度を持っているのかというところをご説明するのが、この資料でございます。資料趣旨についてご説明させていただきますので、それに鑑みて、この課題の解決にはどういうものを使っていくのかというところをご議論いただけるとありがたいと思います。
 次のページお願いします。一番大きいのは科研費です。この科研費というのは、特徴としては、研究者の知的好奇心に発意して、色々なシーズを研究していく、こういうような競争的資金であります。これに関しては、非常に大きいのですが、1個1個というところはある意味、最も根っことなるアイディアを募集するというようなところに関しての研究、それからそれを学術的に深掘りするという研究になっています。
 結構細かい話になりますので、ご質問がありましたら、それに対し個別に答えていくことにします。次のものが、戦略創造研究開発事業です。ニーズ、シーズって色々あり、そのシーズというのが社会を変革する時に、どれが来るかというところを戦略的に育成していきましょうよ、こういう制度趣旨に基づいて、下の真ん中のところに、着目するのが研究チームなのか、個人なのか、優れた人間なのかというのは別にして、様々な制度ができていますということです。これの一番の成功例というのは、一番右下に書いてありますiPSの山中先生でありますけれども、当時まだ海とも山ともつかない、iPSというところに着目し、小額であるけれども、きらりと光るものに対して、研究を加速した結果、我が国が比較的強いと言われる、再生医療の分野指針を作った。こういうようなシーズを拾い上げるための研究開発事業であります。次のページお願いします。
 創発的研究支援事業というものは、色々な研究者に着目した時に、特に若手の研究者が、分野横断的なものをやることによって、大きな破壊的イノベーションに繋がる成果を出していく。総務省の異能vationというのは、本当に天才の一部分だけを急激に引き上げるという、こういう制度だったのですが、文部科学省は面的な広がりを非常に重視することもありまして、この採択件数を750件ほど目指した上で、先程申し上げたような、若手が今までにないような研究するという時に、かなり長期にわたって支援すると、こういう仕組みを整えているというのがこの事業であります。次のページをお願いします。
 続きまして、国際的な頭脳循環、あるいは国際共同研究等々に関する支援の中で公募的なものです。これは何かというと、我が国の研究成果が、国際的に基盤低下しているという問題意識もあるのですが、相手方も研究資金を持っている、我が国も研究資金を持っているというところをさらに支援することによって、国際的な頭脳循環のコアとなるようなところを作っていくというところが目的でございまして、支援をしているというのが、この内容であります。次のページをお願いします。
 次の経済的安全保障重要育成プログラムでありますが、オープンクローズ戦略でいくと、ややクローズ戦略に近いところであるのですけども、研究開発イノベーションをやっていくと、これはなかなか枢要なコア技術というところが見つかるところがあります。これを放置しておくと、競争の中で消えてしまったり、あるいは他の国に取られてしまったりというところがありますので、経済安全保障上、この技術は非常に重要だというものが仮にあった場合については、それをその後計画的に育成していくということを勘案して作られた制度でございまして、タイムスコープとしては、今後10年くらいで、非常に重要になるところを念頭に置いているのですが、そのくらいのタイムスパンでサポートしていくというような内容が、こちらの研究開発プログラムの制度趣旨であります。次のページをお願いします。
 今回いくらかの議論がされておりますが、そういうような様々な基盤なり何なりというところができた後に、これは本当にプロジェクト、大きなプロジェクトとして社会を変えるようなものに取り組まなくてはいけないという問題意識が従前でありまして、これに対する対応が、このムーンショット型研究開発制度であります。ムーンショット型研究開発制度に関して、実は内閣府を中心に全省庁合わせて、我が国が取り組まなくてはいけない目標、これは今のところ課題1から9まであるのですが、そういうものを作った上で、ある程度大きな研究を社会的に何年後にどのように作るという、大きな目標を作った上で、人々の幸福を目指した上で実施していくという内容でございます。このところのポイントとしては、失敗を恐れず、ヒット、バントではなくて、ホームランを目指していくという研究開発でありまして、これに関して我が省は、全省庁の中の9個の課題のうちの6個を対応しているところであります。以上がこのムーンショットに関する制度趣旨です。予算の額、支援の方策のタイプは様々な型があるのですけども、今後このゲームチェンジャーとなりうる技術を開発するにあたって、どのような制度を使っていって、どこのところでやっていくのがいいのかというところを、ご議論いただきたいと思っております。以上です。
 
【足立主査】  ありがとうございました。
 今のご説明についてご意見ということですけども、先程竹永委員あるいは武田委員からの発表を聞いていますと、やはり革新的、あるいは破壊的なイノベーションが必要だということと、やはり産業界との結びつきに対して、しっかりこれから強化していかなければならないという気もしますし、私自身も先程フランスの例もあげましたけど、本当に、産官学、集中的にすごい方向性を揃えて、中国もそれは非常に強く感じるようなところがあるのですよね。弊社のことだけ言いますと、そういった海外での、そういう大きな流れの中に組み込まれることは多いのですけれども、残念ながら日本でそういうことを察知できていないのか、あるいは日本にはそういうことがないのか、というような感じで、あまりそういう動きを感じないということもありまして、この辺りしっかり強化していくべきではないかと私は思いますけれども。ご意見ございますでしょうか。吉田委員、お願いします。
 
【吉田主査代理】  色々なご発表、それから稲田戦略官から色々な制度をご紹介いただいたわけですけれども、やはり私は、ムーンショットでこれを推進するのが一番適しているのではないかと思います。
 近藤委員からご指摘がありましたけれども、核融合技術というものが、未来社会、それから人類にどういう貢献をするのかということを、しっかりしたビジョンとして示す。核融合はそういう可能性を持っていると思いますが、やはりそれを明確なメッセージにするということが、ムーンショットにトライする場合の必要なことなので、まずそのビジョンを示すという意味でも、ムーンショットに、核融合というテーマを掲げるのがいいのではないかと、この分野の専門家としても思うところです。
 それから、稲田戦略官からも、核融合は点ではなくて面で進める研究であると指摘がありました。非常に幅広い科学技術分野を巻き込んで、大きなテーマでそれを牽引していく中から、色々なイノベーションが生まれるというのが、ムーンショットの特徴だと思います。核融合研究を学際的に進めていく、今までのコミュニティをもっと広げて、多くの分野の人がこれに巻き込まれていく、そういうことで、この事業を行った結果、非常に広い領域で国の科学技術力が上がっていくということを目指すという意味でも、やはりムーンショットが良いのではないかと思いました。
 
【足立主査】  ありがとうございます。次は、村木委員の方から手が挙がっております。お願いします。
 
【村木委員】  ありがとうございます。
 稲田戦略官にご質問させていただきたいのですけれども、創発的研究支援事業のところで、総務省の異能vationと比較した時に、総務省の異能vationは天才を引き上げるようなプロジェクトで、文科省の方は面的な支援をされるということでご教授いただいたと思うのですけれども、一点ご質問で、この創発的研究支援事業は、採択の要件が、博士号取得後15年以内となっていると思うのですけれども、海外とかを見ると、核融合に関して必ずしも博士を取った後の研究者だけが研究しているわけではなくて、ギネスとか記録にもなって話題にもなりましたけれども、本当に10代の少年が核融合の研究に挑戦したりという例もあったりとか、もちろん多分核融合の専門家の方々から見た時に、必ずしも有用な技術であるかどうか、私の方では分からないのですけれども。
 一つ例えば、博士号だけとかに限定してしまうと、例えば、ノーベル化学賞を取られた田中耕一先生とかのように、必ずしも博士卒だけが、研究者だけが携わっているというケースでもないのかなと思っています。この面的な支援の中で、天才のホームを引き上げるような、何か制度設計とか創発的研究支援事業の改革みたいなものがあるのかについてお伺いしたいと思っています。そうすることで、核融合の実現の期間をよりぐっと縮めることが、よりギフテッドと呼ばれるような人たちの技術も取り入れることが、大幅な飛躍に繋がるのかなと思ったので質問させていただきました。
 
【稲田戦略官】  これは文部科学省の施策の特徴でもあるのですけれども、割と研究を自身で完結できる能力としての博士の取得というところを重視しています。この750人というところの面的な支援、ある程度のマスを持った支援ということもあって、博士支援をしていくというところを、重要視しているところではあるのです。
 ただ今も仰ったような、本物の天才的なところというところに関しては、先程の支援は研究者の支援施策という面もあるのですけれども、分野に着目した時においては、戦略創造のさきがけといったところの要件には、例えば、学振の所謂、Ph.D、ドクターのコースの人間でもできるといったように、いくつかそういうのはあります。なので、その意味は、自分の持っている資格に紐づくというものと一緒であれば、先程のものがあるのですけど、別途研究課題そのものに対してというところに紐づくものも別途にあります。あるいは、科研費とかの類についても、色々要件はあるのですけれども、必ずしも博士号を持っていなくても、取っていける資金というのはもちろん用意しています。
 ただ一方において、本当に研究を完遂できるのかというところに関しては、きちんと審査していますので、ピュアレビューとか、あるいは色々なことの手法において、その人間がどのくらい研究完遂能力があるかというところは結構見ています。そういうことがあって、本物の天才という人を拾い上げるのができているのかどうかというところが、実は疑問がありまして、この辺をどうするかという話は、実は毎年議論されているところであります。引き続き、ここら辺も検討していくという話ですが、このような議論は、分野をとどまらず、どう支援するかという話でありますので、人材育成のあり方の議論が進んでいくのかなと思っております。以上です。
 
【村木委員】  ありがとうございます。
 やはり日本はなかなか飛び級ができないと思うので、そのPh.Dを持っていること自体で研究の能力を審査するということ自体は、私もその通りだなと思うのですけれども、その能力を持っている若い10代や20代前半の人たちが、日本でなかなかPh.Dに取るまでに所定の年数がかかってしまうが故に、研究の能力があるにもかかわらず、その要件のところではじかれてしまうというのは、核融合の技術において勿体ないことなのかなと思っていて、そういう人たちが海外の大学に行って、海外で核融合の研究をして、そして海外に技術が流れてしまうなんてことになったら、とても勿体ないかなと思いました。飛び級して、Ph.Dを取れる制度を作るのか、それとも拡充させていくのか、それとも逆に持っていなくても、厳格な審査はあるものの肩書きだけの要件はなくした、特に核融合に特化した研究課題の公募をさらに実施していくのかということに関しては、検討がされるべき課題なのかなと思って、ご質問させていただきました。どうもありがとうございます。
 
【足立主査】  ありがとうございます。
  今のご質問ですけど、稲田戦略官の方からは、いくつかの選択肢の中でどれがいいでしょうね、という質問だったのですけども、創発が良いという村木委員の意見と思えばいいですか。
 
【村木委員】  すみません、このメインの核融合の目標に関しては、ムーンショットが私も一番適切かなと思っているのですけれども、ムーンショットの課題になっていくのは、既に大きく走っていることの応募になってくると思うので、入口段階の強化というところで、創発とかも今後重要になってくるのではないかなと思って、ご質問させていただきました。
 
【足立主査】  分かりました。ありがとうございます。では、次は武田委員の方お願いします。
 
【武田委員】  ありがとうございます。
 一言だけですけれども、先程吉田委員からあった通り、私もムーンショット型がふさわしいと考えます。それは、原型炉への支援と、こういった破壊的なイノベーションへの支援という両輪という観点からも、またこの核融合が実現をした際の社会、産業へのインパクトという観点からも、今、稲田戦略官からお示しをいただいた予算の中では、ムーンショットが最も適切であると考えます。以上です。
 
【足立主査】  ありがとうございます。他にご意見はございますでしょうか。近藤委員、お願いします。
 
【近藤委員】  私もムーンショットがふさわしいとは思っておるのですけれども、どんな施策や制度にも、難点というか、そういうところがあると思います。これをもし取り組んだ場合に、何か失うチャンスというものが何かあるのであれば、伺いたいと思います。あるいは、不向きと考えられる点があれば、伺っておくことによって、私達がこのムーンショットを選んだとしても、その次の検討をもっと良好に進められると思うので教えてください。以上です。
 
【足立主査】  稲田戦略官、お願いします。
 
【稲田戦略官】  これは公的な研究課題に手を挙げる全ての者に共通する問題点と言えるのですけど、いつまでに何々をやるというのが、ある程度決まるんですね。これは、公的資金の弱点になります。私は民間のベンチャーにもよく相談を受けるのですが、自分でやれるのなら自分でやった方がいいよと、というのは、それのところです。その一般的な欠点を除けば、ムーンショット固有の問題というのは、その制度趣旨を議論する中においては、ほぼ除去していると理解しておりますので、ムーンショット特有に、これは失敗、難しいよというところは、特段ないと思います。敢えて言うならば、ステージゲート方式といいますか、ある程度のところをやった上で、ものになりそうなところはどんどんやりますけど、ある程度のところでこれは駄目だというところについては、縮小していくというところがあるのですよ。そのようなところは、メリットであり、デメリットであるというところはあるかもしれません。以上です。
 
【近藤委員】  よく分かりました。取捨選択されていくということが分かりました。ありがとうございます。
 
【足立主査】  加藤先生の方、お願いします。
 
【加藤委員】  加藤です。
 稲田戦略官に質問です。ムーンショットでぜひやるべきだと思いました。ムーンショット目標が新たに追加される予定でしょうか。もしくは、この9項目の中に入れるという感じでしょうか。
 
【稲田戦略官】  9項目では吸収しきれませんので、新たなものを作り、その目標についても、各々議論することになると思います。
 
【加藤委員】  分かりました。ありがとうございました。
 
【足立主査】  他、よろしゅうございますか。
 私としては、もう産業側なので、これを直接受けるような立場にございませんので、皆さんのご意見で、大方はムーンショットというようなことが選ばれたと思いますので、これからまた事務局の方で、またそれを検討していかれればと思います。
 少し時間がオーバーしてしまいましたけれども、今日用意をしてあった議事については、これで一応終わったと思うのですが、他何か追加で皆さんございましたら。よろしいですか。では、事務局の方に返したいと思います。よろしくお願いします。
 
【髙橋補佐】  どうもありがとうございます。
 それでは、次回以降の予定を改めてお伝えしますが、第2回は7月7日を予定しております。第3回は8月4日になります。改めて、またご連絡いたしますが、予定を確保いただければ幸いです。事務局からは以上になります。
 
【足立主査】  それでは、本日の検討会はこれで閉会したいと思います。拙い初心者のモデレーター役をやりましたけれども、大変真摯だと思います。ありがとうございました。これにて終わります。失礼します。

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