令和5年10月19日(木曜日)15時00分~17時00分
オンライン会議にて開催
足立正之主査、吉田善章主査代理、出雲充委員、宇藤裕康委員、奥本素子委員、近藤寛子委員、武田秀太郎委員、竹永秀信委員、飛田健次委員、豊田祐介委員、村木風海委員
千原由幸研究開発局長、林孝浩大臣官房審議官(研究開発局担当)、馬場大輔研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)、髙橋佑也課長補佐
【足立主査】 それでは定刻となりましたので、皆さんそろわれたということでありまして、核融合の挑戦的な研究の支援の在り方に関する検討会(以下、検討会)第5回(最終回)を開催させていただきます。今日は二つほど大きなポイントがあると思いますので、議事に入る前に、まずは事務局の方から出欠状況及び配付資料の確認等をお願いします。
【髙橋課長補佐】 文部科学省研究開発戦略官付課長補佐の髙橋でございます。本日は委員11名にご出席いただいております。加藤委員は御欠席との御連絡をいただいているところです。また、本日は約70名の方に傍聴登録をいただいております。本検討会は原則公開としております。御発言は議事録に掲載され、ホームページ等で公開されます。会議中は画面共有システムを使って事務局より資料を表示させていただきます。また、各委員におかれましては、御発言いただく際にミュートを解除の上、画面の下にあります手を挙げるボタンを押して発言いただきますようお願いいたします。
続きまして、本日の配付資料でございます。議事次第の配付資料一覧に示しております資料1-1~資料2の3点を配付させていただいております。議事次第に基づき、本日の流れについて簡単に御説明差し上げます。前回の議論を踏まえまして、事務局が最終とりまとめ案を修正しておりますので、議題1で修正案に基づき意見交換をしていただき、本検討会の最終とりまとめをしていただきたいと思います。この検討会で決定しましたムーンショット目標(以下、MS目標)案は、今後内閣府の総合科学技術・イノベーション会議に提案することになります。その後、その会議で了承されましたら、ムーンショット(以下、MS)の新目標として決定されることになります。続きまして、議題2において新目標案に基づき、目標達成に向けた推進体制を事務局で検討しておりますので、御説明させていただき御意見を伺いたいと思っております。事務局からは以上になります。
【足立主査】 ありがとうございました。それでは、早速議題1に入っていきたいと思います。6月からこれまで4回にわたってMSとして提案するという前提において、とりまとめ案ということで、中間とりまとめ案をベースに皆さんの意見を取り入れてまとめてきて、この最終とりまとめ案というものが今ここにできております。いろんな議論の成果として形ができたらなというふうに私は思っておりますので、それについて最後の議論をしていきたいというふうに思います。事務局よりその最終とりまとめ案につきまして御説明をお願いしたいと思います。
【馬場戦略官】 ありがとうございます。それでは、資料1-1に基づきまして、最終とりまとめ案の概要について説明させていただければと思います。なお、文書全体については資料1-2として報告書本体を配付しておりますので、必要があれば御参照いただければと思います。
それでは、2頁目を御覧ください。目次については既存のMS目標等を若干組み替えております。内容を変更しているわけではございませんが、3本柱の1つ目、挑戦的な研究の支援の在り方について。2番目として、フュージョンエネルギーに関する新しい目標案。3番目として、研究開発の方向性。こういった3つの柱で整理し、例えばその中で国際連携の在り方等を組み込んでいるところでございます。
3頁目、挑戦的な研究の支援の在り方についてです。こちらについては、中間とりまとめから大きく変更はしていないところでございます。まず、検討会設置の背景です。こちらについては、フュージョンエネルギー・イノベーション戦略に基づき、実験炉ITERから原型炉そして実用炉とフォアキャスト的なアプローチに加え、従来の延長線上の取組とは異なる発想で、挑戦的な研究の支援の在り方を検討することが必要であること。また、フュージョンエネルギーが実現した未来社会を議論し、そこからのバックキャスト的なアプローチで取り組むべき研究テーマを検討するため、本検討会を設置したことを記載しております。
(2)挑戦的な研究例につきましては、世界では民間企業の挑戦的な研究を牽引するスタートアップが急増していること。また、それらが2035年かそれ以前の初送電を見込んでいることや、代表的な閉じ込め方式に加えて、革新的な閉じ込め方式、革新的な要素技術、革新的な社会実装の3軸に沿って取組を推進していること。さらに、宇宙・海洋推進機、オフグリッド、水素製造、工業熱供給等の発電用途以外の市場ニーズからバックキャスト的なアプローチで、先進材料や革新的コンピューティング、先進製造技術、工業用部品の採用による小型化及び高度化を追求していることを、これまでの検討会の議論を踏まえて記載しているところでございます。
4頁目を御覧ください。支援の在り方についてです。フュージョンエネルギーは未来社会、人類の発展に貢献する可能性を有することから、明確なビジョンを基に研究開発に取り組むべきであること。核融合分野は非常に幅広い分野や領域、人材を巻き込みながら、イノベーションを生み出す可能性があることから、学際的に取り組むべきであること。また、核融合分野はスタートアップの取組を参考に、失敗も許容しながら、革新的な研究成果の発掘・育成できる環境を設けるべきであること。そういったことを記載しています。さらに下の半分、潜在的なアイデアも取り込むべく、幅広くアカデミアや産業界から研究開発課題を募集し、研究開発を推進すること。従来の延長線上の取組のみならず、既存の枠組みにとらわれない発想や潜在的なアイデアが求められることから、核融合分野の高い専門性を既に有する研究者に加えて、核融合分野以外の専門分野の研究者や若手の研究者等も挑戦できる環境を作るべきであること。こういったこれまでの御指摘も踏まえまして、本検討会においてはムーンショット型研究開発制度(以下、MS型研究開発制度)を念頭に検討することで合意したところかと思います。
5頁目を御覧ください。フュージョンエネルギーに関する新しい目標案です。こちらの目標案については、中間とりまとめの際には、記載の案でパブリックコメントを実施しました。いただいた数十件の意見や核融合科学技術委員会からの専門的な意見を踏まえ、現在修正案のとおり2050年又は2060年までに、フュージョンエネルギーの多面的な活用により、地球環境と調和した活力ある社会を実現するとしております。なお、前回・前々回の検討会での御指摘も踏まえまして、元々クォーターの部分については、エネルギー資源の制約から解き放たれた社会としておりましたが「二酸化炭素や資源の課題解決につながることも強調するべき」といった御指摘も踏まえ、今回地球環境と調和した社会ということに変更しております。さらに「フュージョンエネルギーの多面的な活用ということであれば、必ずしも2060年を待つことなく、2050年をターゲットにするべきではないか」というような御指摘も踏まえ、本日このターゲットの年限についてもどちらが適切であるか御意見をいただきたいと考えているところでございます。なお、既存の9つの目標のうち8個が2050年、1つが2040年をターゲットにしているところでございます。また、2050年、2060年ターゲットにつきましては、単に科学的な核融合を実現することにとどまらず、社会の様々な場面でのフュージョンエネルギーが実装されたシステムを実現することが重要であることを明記しているところでございます。その上でマイルストーンとしては、2035年までに電気エネルギーに必ずしも限らない、多様なエネルギー源としての活用を実証すること。さらに、エネルギー源としての活用に加えて、核融合反応で生成される粒子の利用や要素技術等の多角的利用を促進し、フュージョンエネルギーの応用を加速することを示しているところでございます。
6頁目を御覧ください。MSが目指す社会として6項目を掲げています。まず、資源制約の克服への貢献として、海水中に豊富にある資源から地上の太陽を生み出し、エネルギー資源の偏在性から生じる戦争や紛争や飢餓を消失すると記載しております。この地上の太陽という表現についてはパブコメでも賛否ありましたが、注書きを記載することにより社会像として例示として示してはどうかというふうに考えております。また、エネルギー問題の解決の貢献については、安定的で豊富なフュージョンエネルギーを活用し、我が国のエネルギー安全保障に貢献すること。さらに、人類の挑戦への貢献として、小型動力源として活用し、宇宙探査・海洋探査等の未知の領域への挑戦を可能とすること、また、脱炭素社会の実現への貢献として、安全・安心のフュージョンエネルギーシステムを実現し、幅広い産業や一般家庭の炭素排出量を抜本的に改善すること。加えて、環境問題の解決への貢献として、大気中の二酸化炭素から合成燃料を製造することで、産業革命以来の悪循環を好転させる。さらに、技術による課題解決の貢献として、我が国から輩出されたスタートアップが、世界の課題解決や技術開発を牽引する。こういったことを、これまでの検討会の御指摘を踏まえて明記しているところでございます。
7頁目を御覧ください。目標達成によりもたらされる社会・産業構造の変化については、中間とりまとめからは変更はございません。マイナスからゼロ、ゼロからプラスへという意義を記載しております。
続いて8頁目、研究開発の方向性です。こちらも前回の検討会から特段内容に変更はございません。(1)挑戦的研究開発を推進すべき分野・領域としては、既存の枠組みにとらわれない発想や革新的な要素技術をシステムとして統合すること。また、高効率化、高機能化、低コスト化、高知能化等のアプローチにより、フュージョンエネルギーの利用可能性を向上すること。また、原型炉から実用炉への技術的な乖離を最小化し、開発期間の短縮に必要な研究開発になること。さらに、他分野への波及効果が高い共通基盤技術の開発といったものを掲げています。
また、(2)目標達成に当たっての研究課題としては、前回の議論を踏まえ、まずは研究全体を俯瞰したポートフォリオを構築し、我が国の基礎研究力や研究基盤を基に研究開発を積極的に推進し、失敗も許容しながら挑戦的な研究開発を推進すること。さらに、果敢な挑戦でありつつも、明確な結論が導かれる客観性、国際的な学問水準の高さ、方法論の妥当性、他国の研究動向も踏まえた新規性・革新性を基に研究課題を選定するべきこと。そういったことを明記しているところです。
9頁目は、(3)として目標達成に向けた研究開発の方向性についてです。まず1に達成すべき目標としてマイルストーンを示しております。こちらについても前回から大きな変更はございませんが、11頁目に2.国際連携の在り方としてそれぞれ記載しております。
11頁目、国際連携の在り方としては、MS型研究開発制度の枠組みの中で技術的優位性を維持しつつ、国際連携に積極的に取り組むべきことであること。3.分野・セクターを超えた連携の在り方として、ITER計画やBA活動等の国が主体的に推進している研究開発とMS型研究開発制度において実施する研究開発が重複しないように整理することや、研究開発成果の社会実装を進めるため、大学や研究機関とスタートアップを含めた民間企業等が連携した研究開発体制を構築することの重要性、さらに前回の検討会でも御議論ありましたELSI(倫理的・法的・社会的課題及びその解決策)については、フュージョンエネルギーの認知度の向上、社会的受容性の醸成のため、MS型研究開発制度においてシンポジウムの開催等のアウトリーチ活動を行うこと。また、フュージョンエネルギーの社会実装を見据えて、規制や規格基準等の社会科学に関する研究にも併せて取り組むべきということを記載させていただいております。基本的にこれまでの検討会での御議論を踏まえて作成しておりますが、本日最終的にとりまとめを行うに際し、意見の反映漏れも含め、追加の御意見、御指摘をいただければ幸いに考えているところでございます。事務局からの説明は以上です。よろしくお願いいたします。
【足立主査】 ありがとうございました。ここからは委員からの意見交換という形にはなると思うのですが、この検討会ではいろんな意見がこれまで出てきたと思いますが、ここまで本当にまとめていただいた事務局の方にはこの努力に感謝したいというふうに思います。それと私の方からまずは少し意見を意見交換の一部として述べさせていただきますと、やはりこういうきっかけで日本の科学技術の発展においてチャレンジをし続けるということは非常に大切なことだと思いますし、特にMSという意味ではインスパイアリングの部分というのは非常に大切なところではないかというふうに思います。今お見せいただいた他のMSのテーマと比べても、今提案いただいた最終とりまとめ案の中でまだ未確定のところが、2050にするか、2060にするかというところだとは思うのですが、私としてはやはり2050という形で他のMS目標とも足並みを合わせられればどうかというふうに思います。専門家の方々に言わせるとまだ難しいところがあるかと言われるかもしれませんが、要素技術等で派生技術等も出てくると思いますし、2050という数字を選んだ方がよいのではないかというふうに思います。
後は、おそらく要素技術はいろいろと生まれてくると思いますし、それがスタートアップ等も含めて産業あるいは日本の経済ということに対してしっかりリターンを生み出してくれることを祈りますし、国際連携という話も大きなポイントだと思うのですが、やはり日本が技術的なリーダーシップ、あるいはしっかりしたプレゼンスというものを維持できるように進めていっていただければなというふうに思います。これは私の意見です。
それでは、吉田主査代理から始めまして、後の委員様につきましては五十音順でいきたいと思いますので、吉田主査代理の御意見が済んでから出雲委員、宇藤委員、奥本委員、近藤委員、武田委員、竹永委員、飛田委員、豊田委員、村木委員という順番でコメントいただければというふうに思います。それでは、吉田主査代理の方からコメントをいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
【吉田主査代理】 ありがとうございます。私も足立主査が簡潔にまとめられた御意見に全く同感です。この委員会でいろいろな意見が出て、また、パブコメでもいろいろな意見が出されて、そういった意見をよく総合していただいて、このMSという制度の、社会の求めに対してバックキャストしてどのようなものの研究が期待されるのかというプリンシプルによく合致した案としてまとめていただいたと思います。まずそのことについて事務局の大変な御尽力に感謝いたします。
目標につきましては、先ほど御説明あったように修正案が出されていますが、この修正案は他の先行のMSと照らし合わせても、品格とクリアさを備えた良い案だというふうに感じています。また、主査も言われたとおり2050年か2060年かという問題ですが、この目標をいわゆる核融合のコミュニティがフォアキャストで考えているベースロード電源の開発という1本道ではなくて、目標を多様化するということの下では、2050年の未来像ということとして掲げて、それのバックキャストとして研究をするということも作業仮説として可能性があるのではないかというふうに思いますので、私も2050年という形にすることに賛成であります。
MSは、その事業を行うことで、いろいろな応用可能性と、フュージョンエネルギーの新しい価値を見いだす、そのことのために研究者・開発者の新しい血を入れる、それから核融合研究を学際化して他分野とのネットワークを強く作っていく、そういうことがMSの旗印を立てて取り組むということの意義だろうと思いますので、2050年の社会像という形で打ち出すということは可能であるし、また、MSの精神にも妥当すると感じているところです。以上です。ありがとうございました。
【足立主査】 ありがとうございました。それでは、次に出雲委員の方からコメントをお願いします。
【出雲委員】 今日はとりまとめ最終回5回目ということでありがとうございました。まずは結論から申し上げますが、今回他のMSとの整合性を取る観点からも、私は2050年にベースロード電源としてフュージョンエネルギーが活用されている社会・未来を目指すということが求められるべきだと考えます。また、今日の事務局の説明資料の3頁目にもありましたが、世界を見回してみますと、スタートアップのこのフュージョンエネルギー分野に対する関心は非常にもう委員の先生方や今日聞いてくださっている方も御関心がある方ばかりだと思いますのでよく御存じだと思いますが、2035年より早く核融合発電の電源を買うというお客様までもういるわけですね。こういう形でアメリカはかなり積極的にスタートアップと大学の連携による新しい新産業の創出というものを正に取り組んでいるところでございます。
我が国も、昨年の11月、政府が策定したスタートアップ育成5か年計画には、3分野59項目が書かれているのですが、その最も重要なことは日本のスタートアップを5年で10倍に成長させるということなのです。5年で10倍成長する産業なんて本当になかなかない。人口は5年で10倍に増えないのです。企業の売上も5年で10倍にならないのです。けれどもフュージョンエネルギーのような新産業ですとか、スタートアップが創出する新市場というものは、5年で10倍とかそういった急速な成長を通じて日本経済に大きく貢献することが期待されているわけでありますので、スタートアップの振興をこのフュージョンエネルギーの分野でも積極的に行っていく。そういう観点でのファイナルターゲットはベースロード電源として核融合発電を2050年に活用すること。そしてその前のターゲットとして書いていただいている2035年までのターゲットを実現する主役はスタートアップと大学でありますので、このスタートアップ振興と大学の研究予算をしっかり核融合分野において措置すること。それと同時に、大学で研究して終わりではなくて、スタートアップを生み出して社会実装をするということを、フュージョンエネルギー分野についてはMSの計画の作成の趣旨に読み手に伝わるようにその精神を書き込んでいただいて、スタートアップと大学との連携、リーダーシップによってこの2050年のMSが実現するのだという書きぶりになっているとよりよくなるのではないかと思いました。いずれにしましても、2050年にすること、そしてスタートアップと大学との、もちろん学際的、国際的な連携も踏まえて強力に推進するということを、この委員会の提言に盛り込んでいただきたいと思いますので、この流れで承認したいと思います。よろしくお願いします。
【足立主査】 出雲委員、どうもありがとうございました。それでは、次は宇藤委員、よろしくお願いします。
【宇藤委員】 宇藤でございます。まず、今御説明いただいている目標案等について、とりまとめを本当にありがとうございました。特にMS目標のところ、前回も非常に議論があったかと思いますが、今回お示しいただいた修正案は非常にこれまでの議論を踏まえつつ、後は既存のMS目標ともバランスを取りつつ、非常に良い目標案かというふうに感じていたところです。
後は一つ議論としてありました2050年か2060年かというところですが、私見として、2050年はなかなか現状核融合の研究開発をしている方としては非常に難しいという感触ももちろんありますが、一方で本件のMSという非常に野心的なところに立ち返ると、やはりこのMSとしての特色といいますか位置付けということを考えると、2050年までにという方が妥当かというふうに感じています。なので、私の意見としましては2050年までにという方がよろしいかというふうに感じているところです。すみません、短いですが以上です。
【足立主査】 ありがとうございました。それでは、次は奥本委員、よろしくお願いします。
【奥本委員】 奥本です。とりまとめについてありがとうございました。修正案において前回の議論で出されたような、どうしても人間中心設計になってしまうところを、やはり環境との調和という文言が一つ加わることによって、技術開発だけではなく持続可能な社会のために核融合技術というふうなものが必要だということが、多くの応募者だったり申請者だったり、社会に対して伝わるような文言になっているなということは強く感じました。
一方で、今回すごく目標案が多岐にわたって、特に核融合の技術をベース電源のような形ですることと、また、小型動力源とすることという、かなり技術の方向性としても多岐にわたるなというのが正直な印象です。もちろん、研究課題として上げられているこの研究全体を俯瞰したポートフォリオの構築というのが、この目標においてはすごく重要になるのではないかということが私からのコメントです。実際にそのポートフォリオは、どこの部分で、どういうふうな形の投資だったり支援をしていくかということが、技術の推移だったり発展によって臨機応変にポートフォリオというのは変化していくことだと思うのですが、この研究課題を推進されていく研究リーダーの方が、このポートフォリオの構築というのをうまくやっていかないと、このような幅広な研究課題を、どうしても分散だったり集中だったりということで実現化しないような形の中途半端な目標にならないように、この部分というのがすごく今後の課題になっていくなというのが、コメントとして私の方から追記したいと思います。以上です。よろしくお願いします。
【足立主査】 どうもありがとうございました。それでは、次は近藤委員、お願いします。
【近藤委員】 この度は本当に最終とりまとめ案の作成、本当にありがとうございました。とてもよい形でまとめていただいているというふうに思います。それで、今御議論いただきました2050年か2060年かということと、内容につきましてコメントをさせていただきます。まず、私は2050年という方に賛同したいと思います。今回の案に鑑みますと、50年と60年で10年違うということによって、どれだけ目標の達成度合いが変わっていくのかというのはイメージがつきませんでした。むしろ、非常に包括的なテーマになっていますので、それであれば2050年でも十分に取り組んでいけるのではないだろうかというふうに考えました。また、内容につきましては中間とりまとめ案のときに比べまして、例えば資源の制約から解き放たれたといったような文言がなくなるなど、ベースロードをイメージしたような言葉がなくなってきています。なので、ベースロードといったところでの安定供給にたどり着かなくても、その手前の段階からフュージョンエネルギーを多面的に活用していくことを想定されているということも大変良いのではないかというふうに思いました。私からのコメントは以上になります。
【足立主査】 ありがとうございました。それでは、次に武田委員、よろしくお願いします。
【武田委員】 足立主査、ありがとうございます。他の事務局の方々にも大変素晴らしい、また、熱意のこもった最終とりまとめを御提案いただきまして、心から感謝を申し上げたいというふうに思います。今私もしくは私を含めた数名の委員の方々は、核融合業界では最も格が高いというふうにされていますIAEAの核融合エネルギー会議のためにロンドンにおりますが、ここ数日間、米国のエネルギー省をはじめとした政府の方々ですとか、国際業界団体であるFusion Industry Associationの方々ですとか、核融合スタートアップの方々を含め、多くヒアリングですとか意見交換をしてまいりましたが、その中で改めてこのMSのプログラムがいかに世界的な支援プログラムから見ても非常に高いビジョン、さらにいえば支援を約束するものであるかということを改めてここ数日感じているところでございます。そういった意味で本当に世界に誇るような支援プログラムの最終とりまとめが仕上がったということについて、改めて足立主査、事務局の皆様、委員の皆様に感謝申し上げたいというふうに思っております。
その上で、先ほどより議論に上がっております2060年か2050年かという議論でございますが、この点について私も2050年を推したいというふうに考えております。理由としては複数ございますが、やはり2035年のターゲットまで今から12年~11年ですが、そこからさらに25年後のターゲットということがふさわしいのか、その時間の感覚の問題がまず一つ。また、その米英が2040年の発電開始というものを既に政府の目標として掲げている中で、そこで2060という目標を掲げることが果たしてこの世界的な核融合の競争の中で、我が国の科学技術の地位ということを考えたときにふさわしいのかという論点がもう一つ。
そして何よりもこのMSにふさわしいような、わくわくするようなインスパイアリングなものが何年かという観点から、2050というものを私としては賛成を申し上げたいというふうに考えております。
内容につきましては本当に私自身大変感銘を受けたといいますか、わくわくしながら読ませていただきましたが、一点目標案のみはコメントを申し上げたいというふうに思っております。今回このMSの目標案は大変シンプルになりました。本当に素晴らしいというふうに考えますが、一方で、抽象度も増しているというふうに考えます。一般の方から考えたときに、このフュージョンエネルギーという言葉がまずは何かお分かりいただけないというふうに思いますし、また、この地球環境と調和した社会というものが何を指しているかというのも、具体論が分かりにくいというふうに思っております。したがって抽象的で、一般の方がこれを見ると何の研究開発をするかということが分からないような目標案になってしまっているということを危惧しております。
一つ後ろの頁に書かれておりますような、この実現する社会を見たときに、海水中に豊富に存在する資源から地上の太陽を生み出し、エネルギー資源の偏在性から生じる紛争や飢餓が消失する。これはMSで目指すにふさわしい非常に素晴らしい社会像、ビジョンであります。でも、こうした観点が少しでもこの名称案に反映をされればよいなと。一般の方が名称案だけを読んだ際にこういったところまで御理解いただけると素晴らしいなということを考えましたので、私の私案若しくは1案といたしましては、この目標案、後半の部分を例えば中間とりまとめに差し戻すということも考慮に入れてもよいのではないか。後半というのは「エネルギー資源の制約と温室効果ガスから解き放された社会を実現」という文言でございます。これは一般の方でもある程度お分かりいただけると思いますし、先ほどの奥本委員の御指摘に基づきますと、このエネルギー資源の制約と温室効果ガスから解き放たれた、元は「ダイナミックな社会」となっておりますが、ここを「地球環境と調和した社会」というふうに書き換えることによって、奥本委員の御指摘も含め、よりシャープなものといいますか、一般の方に目標案のみ読んだ場合でも御理解をいただけるような内容になるかもしれないというふうに思いましたので、今コメントを申し上げた次第です。
また、後半の技術につきましては、当然今後の議論ということになろうかというふうに存じますが、小型動力源等の用途を大いに前面に押し出されているというふうに考えますが、今回経済性の向上、高度化、多様化という3本の柱がある中で、この多様化に今回着眼をしたような文言が多く見られておりますが、一方で、コンパクト化、低コスト化による小型炉等による早期発電の実現ということは、これはMSにふさわしいような非常に挑戦的な内容であるというふうに考えておりますので、必ずしも発電について全て落とす必要はないというのが私の別の私見でございます。早期発電の実現に向けた挑戦的な研究開発についても、ぜひ今後技術のポートフォリオに盛り込んでいただきたいというふうに考えておりますし、また、小型動力源よりもより手前にあるような中性子源利用・応用、水素製造ですとかプロセス熱利用といった、より技術者から見たときに実現性の高い、現実性の高いようなものを前面に押し出すことによって、技術コミュニティの方々からのコメントについてもある程度御対応ができるのかもしれないというふうに考えた次第です。少し長くなってしまいましたが、重ねまして今回は国際的にも世界に誇れるような素晴らしい支援プログラムの大枠、概要を仕上げていただきましたことを、改めて関係者の皆様方に感謝を申し上げて、私のコメントというふうにさせていただきます。ありがとうございました。
【足立主査】 どうもありがとうございます。それでは、次に竹永委員、よろしくお願いします。
【竹永委員】 ありがとうございます。まず、とりまとめていただきましてどうもありがとうございます。目標に関しては地球環境と調和した活力ある社会ということで、地球環境と調和というだけであれば、ややもすれば現状ずっと維持していればいいのではないかというような話にもなると思いますので、その意味では活力ある社会が入ったというところは非常に私としては有り難いというふうに思っているところです。
幅広い観点から今回いろいろ議論をさせていただいて、フュージョンエネルギーに関しましても、多様な用途の可能性に関しましてもいろいろ議論をさせていただきまして、それがうまくまとまったなというふうに思っているところです。こういうような議論の中から、また新しい研究の流れというのが出てくればよいかというふうに考えているところです。
それから、2050年、2060年に関しましてはいろいろ意見が出て、2050年というのが主な意見になっているかというふうには思います。ただ、専門家側からするとなかなか2050年というのは困難が伴うなというふうに思うところではありますが、ただ、バックキャスト的に研究の目標を定めるということを考えますと、社会の要請が2050年ということであれば、それに従って我々は研究開発を進めていくということかと思いますので、そこは2050年であれば、それに従って目標をきちんと定めて研究開発を進めていきたいと思います。私からは以上です。
【足立主査】 どうもありがとうございました。それでは、次は飛田委員の方からよろしくお願いします。
【飛田委員】 資料ですが、前回までの資料と比べると様々な立場の意見がよく集約されて全体的に整理されてまとまった読みやすい資料になったかと思います。事務局の御尽力に感謝いたします。このMSのターゲットは2050年か2060年かということについては、開発側としては竹永委員と同様に、核融合は総合工学ですので、技術の裾野がかなり遠いところまで行っていますので、2050年はかなり難しいというのが正直なところですが、核融合以外の委員の先生方から2050年という多くの意見をいただいていますので、それを社会の要請と捉えて、むしろフュージョンエネルギーを大胆に加速せよという強いメッセージということで、2050年と書くことに異論はございません。手が届くか届かないか分からない意欲的な目標を掲げるということで、MSとしては適切なのかなというふうに思います。
後は、ターゲットを手前に設定することで国際的な競争力を確保したり、人材の育成を更に進めたりということで、良い方向に働く側面もあろうかと思います。以上でございます。
【足立主査】 どうもありがとうございました。それでは、次は豊田委員、お願いします。
【豊田委員】 大変うまくまとめられているとりまとめをいただき、事務局の方々大変お疲れ様でした。結構皆さんもいろいろ意見を言っていただいていて、僕もかぶるところが多いのですが、非常に分かりやすくなってよかったと思っている反面、武田委員の意見は近いかもしれませんが目標案のところが少し他のMSと比較をしても、つまりどういうことなのかというのが、ぱっと見えづらい可能性もあるかというふうに思っています。前回までの議論の中で、長過ぎるからちょっとという話はあったと思うので余り文字数は増やせないのだとしても、6頁目にある「目指すべき社会」のうちの何かしら一つの部分、具体的なものがイメージできるようなものが入った方が、本当にこの研究に携わっていない様々な人たちにも伝わるところはあるのではないかと思っています。
これも一案ではあるのですが、例えばフュージョンエネルギーというところの根元が、元々の中間とりまとめ案も非常に素敵な文言ですが、これが長いということであれば、例えばエネルギー資源の制約が解放できる。これが一つあるのであれば、解放できているということは当然温室効果も含めた持続可能性があるものというところで、コアなものというのはやはり無尽蔵のエネルギーがあるという、しかも持続可能なものがあるということだと思うので、何かそういったものが伝わるような表現を、「エネルギー制約の解放」とかですかね、それを入れてもよりわくわくするような表現になるのではないかというふうに思った次第です。
2050年、2060年については私も皆様方と一緒で、特に僕はベンチャー企業をやっているので、やはり2050年世界に先んじて手前にマイルストーンがあるべきだというふうに思いますし、より素敵なのはターゲット案としても2035年とかというようなところのマイルストーンみたいなものも置かれているのはよろしいのではないかというふうに思っています。
最後に一つ、どちらかというと電力側の立場からこの委員会に参加をさせていただいていて、正にこのフュージョンエネルギーというのがいわゆる、ベース電源というと多分ターミノロジーの揺らぎがあると思うのですが、電力の世界のベース電源というのは本当に24時間365日周波数を乱さないで発電するというものにどうしてもターミノロジー的にはなってしまうのですが、そういうものに限らず、6頁目にあるように小型電源としても活用したり、場合によっては水素に変換できたりするかもしれないというふうなとりまとめを事務局の方々にしていただいているので、いわゆるベース電源にこだわっていないこの無尽蔵のエネルギーを様々な方面に活用していくのだということが非常に伝わるような、特に目指す社会のところとか非常に素敵な表現になっているのではないかというふうに思って拝読している次第でございます。以上でございます。
【足立主査】 ありがとうございました。それでは、最後になりますが、村木委員の方からコメントをお願いします。
【村木委員】 CRRAの村木です。まずは今回このような素晴らしいとりまとめを御提示いただきまして、誠にありがとうございました。全て目を通した私の今の所感としては、このフュージョンエネルギー自体がエネルギー問題を解決するためであるという観点からも、やはりそこに関連してくるのが気候変動であると。この気候変動を解決する一助になる、そしてまた二酸化炭素からの合成燃料のお話もここに分化して載ったということに関して、温暖化に携わる研究者の一人として大変御礼申し上げます。このように、目標がどうしてフュージョンエネルギーを実現しなければならないのかということが、より明らかな形に全5回を通じてなってきたと思いますので、そこに大変意義があったかというふうに委員の一人として感じております。
皆さんがおっしゃっている2050年、2060年問題に関して、私の個人的な意見としましては、やはり2050年が適切であるというふうに考えています。理由としましては、まず私自身は内閣府の方のMSアンバサダーとしてアウトリーチ活動に主に従事していたりするのですが、やはり発信したときにSNSとかでの発信力・影響力があるのは今の私のような20代の人間が多いと思います。こういうデジタルネイティブのZ世代という人たちにとって、2050と2060というのはかなり感覚として違う数値というところがあります。もちろん技術的には2060の方が適しているというのは、専門家の皆様のお話を聞いていて痛感したところではあるのですが、ただ、例えば私でいえば2000年生まれで、大体Z世代は2000年前後生まれなわけなのですが、自分が50歳、つまり社会の中核を担っているときに実現するエネルギーというと大変実感を伴って聞こえてくるのですが、2060年というと、もうそのときには定年が延びているかもしれないですが、ほぼほぼ定年の、なかなかもう自分には関係のないような遠い話のように聞こえてしまうのではないかというふうに危惧しております。そもそもMS計画自体が野心的であることに重点を置いていますので、その観点から考えてもバックキャスト型というふうにも明記されていると思いますので、2050年とするのが適切なのではないかというふうに考えております。
また、先ほど2040年に米国や英国が宣言しているというようなお話も委員からあったと思います。私の個人的な専門であるダイレクト・エア・キャプチャー等の分野も、2010年頃からDACに関する海外でスタートアップが起こった一方で、日本では2019年頃に当時の菅政権とかでやっていくぞと本腰を入れていくまで10年の開きがあったと。いろんな分野で結構日本が10年遅れがちだというのは皆さんも御実感としてあると思うのですね。そういった中で、海外が2040年といっている現状で2050というふうに出すだけで、既に10年目標案としては後ろ倒しになってしまっているというような現状で、さらに20年遅れの2060年という目標にしてしまうというのは、目標に対する求心力というのがやはり少し弱まってしまうのではないかというふうに危惧しております。そういった観点からしても、2050年とするのが私としては適切なのではないかというふうに思っております。
最後に、目標案の方についてなのですが、ここも武田委員や豊田委員とかぶることがあるかもしれないのですが、私も委員の一人として中間とりまとめ案への差し戻しを要望したいと思います。やはり先ほどお二人がおっしゃっていたように、抽象的な目標になってしまうとやはり何を目指していくのかというのが分かりづらくなってしまうのではないかというふうに危惧しております。特にMSアンバサダーとしてMS計画についてアウトリーチ活動する中で感じていることというのが、まずそもそもMS計画について全然知らないと。やはり市民レベルでMS計画とは何かと聞かれて知っていると言ってくださる方がまだまだ少ないのですね。知っているという方で目標がいくつもあるというので目標案に関しては聞いたことがあるというような方も、よく講演会とかをしたときにいらっしゃっても、ではこの中身の細かい部分までよく精通しているかというと全くそうではないというのが正直な実感です。やはりインターネットが普及したこの世の中において、雑誌の記事のタイトルだけを見て誤解してSNSで炎上させるみたいな、そういった文化が広まってしまっているような中で、要はタイトルだけで見て判断されてしまうと。中身まで詳しく読むという忍耐といいますか、じっくりそういう資料に細かく目を通すという国民はごく一部なのではないかという実感がアウトリーチ活動の中であって、いかにタイトルだけ読んで中身を理解させるかというところが、目標案の設定においては非常に広報的には重要な観点なのではないかというふうに考えています。そういった観点からしましても、中間とりまとめ案については少し長いのかもしれませんが、ただ、私は委員として中間とりまとめ案を最終案とするのがやはりアウトリーチ活動、MSとして引っ張っていく求心力のためには適切なのではないかというふうに考えております。長くなってしまいましたが最後に、このような素晴らしく集約された案を作ってくださった関係者の皆様全員に御礼申し上げたいと思います。私からは以上です。ありがとうございました。
【足立主査】 どうも皆さんありがとうございました。非常に貴重で有意なコメントがいただけたというふうに思います。まずは2050年か2060年かということのポイントですが、もうこれは2050ということでまとまったかというふうに思います。専門に携わっておられる方々の意見としては、本当にそれが技術として確立できるのだろうかというようなところもあるようですが、途中でも議論に出てきましたがポートフォリオというふうな意味で、広く派生技術等も含めて考えて、2050という数字を使うことでこれは決定としてよいのではないかというふうには思いますが、それで事務局の方はよろしいですね?
【馬場戦略官】 事務局でございます。皆様の御意見を踏まえて、2050年までにというターゲットで我々としても問題ないと思っています。
【足立主査】 ありがとうございます。先ほどの皆さんの意見を振り返ってみますと、ポートフォリオの話であるとか、それからスタートアップからやはり経済効果のところまで見越したような御意見もありましたが、今、武田委員、豊田委員、村木委員のお話もありましたが、名称案のところです。中間とりまとめ案の方に戻せばどうかというふうな話でありますが、どうでしょう。武田委員、豊田委員、村木委員の方からは出てきましたが、その他の委員の方でこのポイントに何か御意見がある方はおりますでしょうか。私の方から先に言わせていただきますと、やはり他のMSの文章の分量と比べたときに、これだけ長いというのはなかなかフィットしないかと、違和感があるなというのと、実は私が今内閣府のMSの目標の頁を見ておりまして、これを見ていただくと、必ず目標の下にサブタイトルがあるのですね。要は主タイトルとサブタイトルのペアで紹介されているようなところがあって、他の目標を見ましてもかなりそういう意味では抽象的です。今我々の最終とりまとめ案の文言も抽象的過ぎるという御指摘は正に私もある意味認めるところではありますが、やはりこのサブタイトルでうまく端的に解説していくという手もあるかというふうに私は思います。他の委員の方々から御意見は何かありますでしょうか。吉田先生、よろしくお願いします。
【吉田主査代理】 抽象的という批判の意味が少しピンと来ないところはあるのですが、人類共通の未来の夢ということをいうときには、やはり一般性が求められると思います。一般性と個別性ということを考えたときに、もちろん個別なことをいろいろ書き込んでいけばスペックが狭まってきて、その分具体的になってくるわけですが、それは同時にテクニカルなことにもなってきます。私は、やはりプリンシプルといいますか、哲学が感じられるようなという意味で一般性をもった、シンプルな形がよいのではないかと思います。
【足立主査】 ありがとうございます。他に御意見ございますか。武田委員、お願いします。
【武田委員】 重ねての御発言となってしまい大変申し訳ございません。足立主査がおっしゃっていただいた短い方がよいというのは当然私も全面的に賛同するところでございます。その上で、この目標案について、今御紹介をいただいたサブタイトルの観点から一言だけ申し上げたときに、目標10のサブタイトルが「地球環境に調和した社会の実現」になるのか「エネルギー資源から解放された社会を実現」になるのかで大きく印象が変わってくるというふうに考えております。「地球環境と調和した社会を実現」が目標10だとするならば、例えば目標4「地球環境の再生」ですとか、そうしたところと同じような目標のサブタイトルになってしまいます。この「エネルギー資源から解放される」ということこそがこの目標10の骨子だとするならば、それがこのサブタイトルにも反映をされるような目標案であるべきではないかというのが私の主張でございます。以上です。
【足立主査】 大変ありがとうございます。グッドポイントだと思います。村木委員、お願いします。
【村木委員】 重ねての発言で大変恐縮なのですが、一言だけ述べさせていただきます。この目標案はシンプルがよいのか具体的な方がよいのかというところに関しては、先ほどの武田委員の御意見と同じで、目標が覚えやすくシンプルなものがよいという点に関しては賛同いたします。ただ一方で、この目標案が誰のものなのか、誰のためにあるのか、誰に理解していただきたくてあるのかという原点に立ち返ったときに、そこはやはり研究者のためではなくて国民のためだと思うのですね。全国民の7割が文系で3割しか理系がいないというのは、正に文科省の本省の資料で有る内容ですが、そういったことを鑑みたときに、科学者の中では抽象的で一般化した概念でも何のことを目指しているのかというのがよく理解できる内容であったとしても、科学に詳しくない、あるいはむしろ科学嫌いの国民全員の前で理解を得るためには、やはりわくわくさせる要素、若しくは自分たちの未来が素晴らしいものになるのだという実感を伴ったものにする必要があるというふうに考えています。そういったときに、文章を短くするのは賛同しつつも、やはりそこに極度にイメージしづらいような抽象性がつきまとうような目標案になってしまうと、研究者の間ではシンプルでよいなというふうになっても、今後国民の理解を得て10年単位でMS計画を大きく続けていくときの支持というのは、必ずしも得るのが難しいものではないかというふうに危惧しております。ですので、全てのお話を聞いた上で委員一人の私としての個人的な意見としては、何かわくわくさせるような、中間とりまとめ案の一部でもよいので入れるというのがよいのではないかというふうに考えております。以上になります。
【足立主査】 ありがとうございます。近藤委員、お願いします。
【近藤委員】 ありがとうございます。私は、どちらという意見はないのですが、今の「地球環境と調和した活力のある」というのは必ずしもわくわくしないと思っていません。この内容であるからこそ、やや曖昧ではありますが2050年には何らかのことが実現していくのだろうというふうに考えました。片や資源の制約、温室効果ガスから解き放つというような言葉を入れると、非常に実現性・具体性を持っていますので、では何をターゲットにしていくのかともう一回確認する必要が出てくるのではないかと。要は2050年と今議論しましたが、本当に2050年にそれが実現できるのだろうかという、そこの議論をもう一回やる必要が出てきてしまわないだろうかというふうに、少し気になりました。
一方で、もしこのまま原案の「調和した活力のある」というものを採り続けた場合なのですが、実は少し気になっていたのがPowerPointの7頁目に、マイナスからゼロへといったところの記載が結構あるのですが、そこの内容は資源の制約から解き放たれた内容になっているのですね。なので、もし目標案を今のままで行くとすると、後半の部分はずれがあるのではないかと思いますので、そちらの修正は必要になるかと思います。目標の話をしていて、その次の話を今申し上げて申し訳ありませんが、いずれにしても目標を今のまま行くのであれば、別の具体化の部分の議論が必要になりますし、中間案を採るのであれば本当にその2050年といったところの議論をもう一回するべきではないかということは申し上げます。
【足立主査】 ありがとうございます。他にはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。いただいた意見を基に、このサブタイトルとの組み合わせ、そして中の修正も含めて、できましたらここで主査、事務局に最終のところを御一任いただければということでお願いしたいのですが、よろしいですか。
【馬場戦略官】 事務局から一点よろしいでしょうか。今の御意見を踏まえまして事務局の方で修正案の目標案について考えてみたので画面表示をさせていただければと思います。今の御意見の全てを叶えることはなかなか難しいところはあるのですが、やはり「地球環境と調和し」というのは大事なキーワードではある一方、その具体性というところで考えたときに、例えば「地球環境と調和し、資源制約から解き放たれた活力ある社会を実現」という言い方は一つあるかと。先ほどの武田委員のサブタイトル的なことからすると「地球環境と調和」だけではなくて「資源制約からの解放」というようなキーワードみたいな説明はできるかということで、分量というよりは、よりメッセージを高める上でこういった表現もできるかというふうに思ったようなところです。こういった修正案についても、元々事務局で示したものと比較してどちらがよいかというところをもし御意見を簡単にいただければ幸いに思います。以上です。
【足立主査】 ありがとうございます。いかがでしょうか。この今の修正案をもう少しコンパクトに、少しずつ文字を取るようなこともできるような気もしますが、このまま行くとすれば一番長いMS目標になるということで、その長さ自体は本質的な問題ではないとは思うのですが。武田委員、いかがでしょう。
【武田委員】 一言になってしまいますが、大変素晴らしい修正案を短期間で御提示いただいたというふうに考えております。今いただいた他の委員の方々の意見というものも集約をされているように感じますし、私としても私が表現をしたかった内容が盛り込まれた修正案というふうに感じました。以上です。
【足立主査】 ありがとうございます。村木委員、お願いします。
【村木委員】 私からも一言だけになるのですが、素晴らしい御修正案をありがとうございます。この最後の「資源制約から解き放たれた」という部分が正にそもそもの目的を強く打ち出している内容だと思いますので、どういった社会を実現するのか具体的に想起させることで、社会の研究や動きも進んでいくと思いますし、国民の理解も広く得られると思いますので、私はこの修正案に賛同したいと思います。以上です。
【足立主査】 ありがとうございます。他にはいかがでしょうか。もし御意見がなければ、もうこれで最終ということで確認させていただきたいと思います。いかがでしょうか。ありがとうございます。御意見なさそうなので、これで修正案は最終の目標の文言とさせていただきたいというふうに思います。
それでは、次の議題の方に移らせていただきます。議題2、MS研究開発制度についてということで、これも事務局の方から説明をお願いします。
【馬場戦略官】 ありがとうございます。それでは、資料2の方を画面表示させていただきます。今御議論いただいた目標案は、今後CSTIの本会議において正式に決定されることを想定していますが、具体的に先ほど出雲委員はじめ皆様からポートフォリオの設計についても議論があったかと思います。具体的な研究を進めるにあたってどういったふうにしていけばよいのかというところについて、この時間を利用してぜひ御議論いただければ有り難いと思って事務局の方で準備しております。
それでは、今後MS型研究開発制度の活用によるフュージョンエネルギーに関する挑戦的な研究開発を推進するにあたりどのような体制で行うべきか、まず2頁目を御覧いただければと思います。改めてこちらでフュージョンエネルギー研究開発の全体像をまとめております。皆様に御案内のとおり、我が国としてはITER計画等への参画を通じて科学的・技術的実現性を確認した上で、原型炉への移行を判断することとしております。科学技術・学術審議会 核融合科学技術委員会等における議論を踏まえ、原型炉に必要な技術開発の進捗を定期的に確認しつつ、研究開発を推進しているところでございます。
今年度、従来から取り組んでいる真ん中の研究開発に加え、上側、先週4件の採択結果を公表したところでございますが、SBIRフェーズ3基金(Small Business Innovation Research)として中小企業イノベーション創出推進基金を造成し、スタートアップ等の有する先端技術の社会実装を促進するということを、このフュージョンエネルギーでも取り組んでいるところでございます。
また今回、一番下にありますが、本検討会においてMS型研究開発制度を活用し、未来社会像からのバックキャストによる挑戦的な研究開発を推進することとしているところでございます。
政府においては、3頁目にございますとおり、先月も岸田総理、また高市内閣府科学技術担当大臣からも、フュージョンエネルギーの重要性についても強調をしているところです。下半分に記載のとおり、ITER計画の推進や原型炉開発の加速に加え、新たな取組としてMS型研究開発制度を活用して小型化・高度化をはじめとする独創的な新興技術の開発を強化することを、政府としても明確に示しております。
4頁目を御覧ください。このMS型研究開発制度については、検討会の場でも御紹介しましたが、制度の特徴としては、困難だが実現すれば大きなインパクトが期待される社会課題等を対象とした野心的な目標(今議論いただいた目標)を国が策定すること。2番目として、複数のプロジェクトを統括するPDの下に、国内外のトップ研究者をPMとして公募すること。研究全体を俯瞰したポートフォリオを構築し、失敗を許容しながら挑戦的な研究開発を推進すること。さらに、今回基金と仮に認められれば、ステージゲートを設けてポートフォリオを柔軟に見直してスピンアウトを奨励することができる、そういったことが特徴となっております。今後、国としてはPD(全体を統括するプログラムディレクター)を指名し、PM(プログラムマネージャー)を公募して選定することになっております。
5頁目を御覧ください。今回改めてMS型研究開発制度を実施する意義について説明させていただきます。こちらはあくまでもイメージとなりますが、これまでもITER、BA、さらに今後の原型炉から発電へと続くリニアモデル的な研究開発を進めてきておりますが、このITERというのはラテン語で道ということを意味しておりますが、道の途中で困難が生じたときに代替手段がないため社会実装が遅れるといったことが懸念されるところでございます。
そのような中、6頁目にイメージを記載しておりますが、今回MS型研究開発制度との協働を促進することにより、この最終的な発電(ベースロード電源)の道をより確かなものにするためにも、小型動力源や水素製造、工学熱利用やオフグリッド等、バックキャスト型の研究開発を並行して実施することにより、それぞれの道も黄色でつなげておりますが、技術や人材の活用等それぞれの道を連結させていくことが、将来の世代にわたってその道や人材を太くし厚くしていくことが重要ではないかというふうに考えております。
7頁目に改めて右側にあるとおりMS型研究開発制度の推進体制を記載しています。目標決定、構造決定、ポートフォリオを構築し、プログラムを実施するということを、今回御議論いただいた目標に基づいて、今後政府においても具体的なプログラムの実施に向けた検討を進めていく上での今回のたたき台だと御認識いただければと思います。現在、これまでの検討会での議論を踏まえ、また、先ほどの目標案を踏まえ、以下のような考え方で取り組んではどうかということで御説明させていただきます。
8頁目を御覧ください。こちらは第1回の検討会の資料からの抜粋となるので、皆様は御記憶があるかと思います。また、報告書の方にもこちらの図については貼り付けているところでございますが、現在、世界では、1番、革新的な閉じ込め方式、2番、革新的な要素技術、3番、革新的な社会実装の3軸で研究を実施しているということが示されていたかと思います。
その上で、9頁目、第2回検討会でも示されたとおり社会実装するためにはこの1番、2番、3番に加え4番目として、少し薄く上に表示されておりますが核融合(フュージョン)のシステム統合を実証していくことが重要であるということが強調されていたかと思います。
そのような議論を踏まえ、今後研究開発のポートフォリオ構築、また実際公募をしていく上に当たって、例えば10頁目のような推進体制で実施してはどうかというふうに考えております。具体的には、このレイヤー1、2、3。これまでであれば個別にばらばらと実施してきたこともあるかと思いますが、そういったことを個別にやるのではなく、社会実装に向けたバックキャスト的に取り組むために、この緑色の枠は、1、2、3全て連なっていますが、このPMを縦軸に置いて、革新的な社会実装、多面的な社会実装を実装するために必要なチームメイキングをこのPMにしていただく形で実施してはどうかというふうに考えております。写真はあくまでもイメージですが、例えば小型動力源として飛行機や海洋推進に取り組む場合、それに応じた閉じ込め方式、必要となる要素技術、さらには社会受容性や規制の部分にも留意した上で、プロジェクトをチームとして構築していただくことを求めてはどうかというふうに考えております。この社会実装のテーマごとに複数のプロジェクトを並行して進めるとともに、レイヤー3の要素技術につきましては、この検討会の場でも「我が国の強みである分野でありながらこれまでも戦略的に注力なされてこなかった」というような御指摘があったことを踏まえ、基盤的な要素技術として横軸のプロジェクトを選定してはどうかと。検討会の議論を踏まえ、国際連携も更に推進する形にしてはどうかというふうに考えています。具体的には超伝導であったり先端計測といった部分については、社会的な用途に応じつつ革新的な技術として基盤的なものになるということが想定されるかと思っています。実際先ほど武田委員からも御紹介ありましたが、今週イギリスにおいて、IAEA Fusion Energy Conference(FEC)2023が開催されております。各国からも日本との技術協力について大きな期待が実際述べられており、このような要素技術の開発にあたっては、今後の標準化や将来的なサプライチェーン構築を目指し、当初から国際連携を求めていく形でプロジェクトメイキングをするようなことを実施してはどうかというふうに現時点では考えているところでございます。
その上で、最後に10頁目を御覧ください。今後の具体的なスケジュール感です。このMS型研究開発制度においては、前半5年間、後半5年間ということで従来予算措置をしておりますが、前半5年間においては、随時研究開発成果を社会実装に向けて反映していくということで、ポートフォリオを柔軟に見直しつつ概念実証を経て、後半5年間は民間資金を導入し、多様なエネルギー源としての活用を実現していくということを全体的なスケジュールとして捉えてはどうかというふうに考えています。先ほども話がありましたが、例えばアメリカのエネルギー省DOEでもPublic-Private Partnerships to Advance Fusion Energyに取り組んでいるところです。こちらについてはプライベートの申請に基づいてパブリック、国立研究者等も支援するという形で当初から取り組んでいることからすれば、やはりこれも今後の発展を考えれば、後半にかけて民間資金の導入も促進していくということ、またさらには、チームメイキングするにあたっては、議論のあったとおり、大学、民間、スタートアップ、そして海外といったものも含めてチームビルディングをした上で、支援を国としても強力に後押しをしていくというようなことを現時点で考えているところでございます。こういった推進体制については、今後指名されるPDの下、更に議論を重ねていき、実際の公募にかけてはまだ時間がありますが、今後の議論にもできる限り生かしていきたいというふうに考えていることから、本日検討会の先生方の意見を伺いたいというふうに考えており、御説明させていただきました。事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【足立主査】 どうもありがとうございました。正に私としてはこの頁6にあるような図、頁5のではなく頁6のようなイメージというのが、2050という数字をjustifyするような、どこかのピークあるいはどこかのマイルストーンに2050年までにたどり着くというようなイメージではないかというふうに感じました。他に御意見ある方は挙手をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。吉田先生、お願いします。
【吉田主査代理】 頁10に推進体制という形でまとめていただいていますが、このレイヤーの構造は研究開発の論理を事業の構造にうまく対応させていて、非常にスマートな整理だと思います。ここの特にレイヤー3のところにある要素技術というのが、先ほどの山登りの絵で見れば様々なルートが用意されて、いろんな意味で総合的に研究が進んでいくという形を実現することになるというふうに思います。念のため、誤解が生じないように申し上げますが、この資料はあくまでイメージだと断ってあって、レイヤー1のところにいくつかのExampleが書いてあるわけですけれども、そこに出典が書いてあるように、これらは他の人たちが提案していることであって、実際にMSの事業が始まった暁には、応募者がそれぞれこのレイヤー1に魅力のあるものを提案する。それに対して、どのようなレイヤー2とレイヤー3を仕込んで、アトラクティブでかつプロダクティブなプランが構築できるかが問われる。そのことに正に我々の想像力(創造力)、この「ソウゾウ」にはイマジネーションということとクリエイティビティという二つの意味があると思いますが、そういうことが問われているのだろうと思います。レイヤー1、2、3という形でいかに魅力のあるものが提案されてくるかという整理だと思いますので、MS事業の特徴をうまく捉えていると思いました。
【足立主査】 ありがとうございます。それでは、次は竹永委員からお願いします。
【竹永委員】 ありがとうございます。今の吉田委員に少し関連しているのですが、もちろんレイヤー1に書いてあるのは例示ということかと、吉田委員がおっしゃったとおりかというふうに思いますが、でもここで実際の小型の核融合炉についてもやはり例示としては書いてほしいというのがまず一つコメントです。
それからあと、レイヤーをこういうふうに分けてあって、この緑色の線で囲ってあるところと、あと実線で囲ってあるところと点線で囲ってあるところがありますが、この縦のプロジェクトに関しては、このレイヤー1とレイヤー2を主にやって、レイヤー3についてはこのレイヤー3の中のプロジェクトと連携してやるということを想定されてこういう図を書かれているのでしょうか。それとも、縦の方もレイヤー1、2、3含めて全体で研究開発をやっていくというようなことを想定されているのかといったところを少し確認させていただければと思います。
【足立主査】 事務局からよろしくお願いします。
【馬場戦略官】 ありがとうございます。竹永委員の御懸念にお答えすると、言いたかったこととしてはこの緑色の例えば縦軸については1、2、3さらにはELSI等の基盤も含めて一つの大きなチームメイキングをしてもらいたいというようなイメージで、1、2のみではなくて下も全部突き抜けるようなものを考えているところであります。
その上で、ここに書いてあるデジタルツインとか革新的製造技術については別途そこに重ねるような形で、横のプロジェクトについても公募してプロジェクトメイキングをしていきたいというようなことを考えています。その上で考えると、このレイヤー3というのは縦と横がちょうど二重に掛かってくるようなところにはなってくると思うので、ここの部分についてはそういった形で進めていけるとよいかと思っています。さらに、先ほど吉田委員からも御指摘ありましたが、あくまでもこの上のものは具体例ということになっておりますので、今後本当にどういうようなものを提案いただけるか、また、その提案に応じて最適なチームメイキングをレイヤー2、レイヤー3のプレーヤーからも集めていただけるかどうかというところが重要になってくるかと思っています。御質問の回答になっていますでしょうか。
【竹永委員】 はい。分かりました。ありがとうございます。
【足立主査】 私の方から事務局に少し質問なのですが、この資料というのは、この検討会に対してのMSの進め方の一例として御紹介いただいているのか、これをまたどこかに提出されるのかというのは、どういう性質のものなのでしょうか。
【馬場戦略官】 ありがとうございます。本検討会のミッションとしては、前半で議論をしていただいた目標案ということでとりまとめていただいたということで、ミッション自体は終了するところになるかと思います。ただ、大事なこととしては、これから我々が示していただいた目標に対して具体的に事業を推進していく上にあたって、これから更にいろんな検討を重ねていくにあたり、まずはスタートとして目標案を議論していただいて、先生方の話を聞いた上で我々は作り上げていきたいということで、今回提示させていただきました。いただいた御意見を踏まえて、今後PDを指名し、その中でまた議論し、更に具体化を図っていく。また更には、海外の事例であったり国内の状況であったり、場合によっては本当に海外同志国からも協力したい、連携したいという声がたくさん来てはいるので、そういったところとちょうど組めるところがあれば正にこういった要素技術のところもやっていくというところで、具体化に向けたイメージをまずは示させていただいて、それに対して本日御指摘いただければ有り難いというような趣旨になっております。
【足立主査】 分かりました。他に何か御意見ございますか。武田委員、お願いします。
【武田委員】 ありがとうございます。御意見というよりも感想になってしまいますが、先ほどからお示しをいただいておりますこの研究の推進体制ですが、どうしても従来の核融合研究は当然ではございますがやはり技術オリエンテッドになると。もちろんそれは科学技術の推進として、至って当然のことではございますが、今回このように、出口オリエンテッドといいますか、正にバックキャストからこういった推進体制をお示しいただいたということは、非常にMSの理念にもかなう素晴らしい御提案だというふうに感じましたので、御感想を申し上げさせていただきました。以上でございます。
【足立主査】 ありがとうございます。他に何か御意見、コメントございますか。皆さんよろしいでしょうか。どなたも手が挙がらないようなので、本日用意された議題はこれで以上になります。他に何か特に報告あるいは審議すべき点等ありましたらお聞きしますが、いかがでしょうか。それでは、今回はこれで最終回で最終とりまとめ案が完成したということでありまして、皆さんの御協力、御努力に感謝したいと思います。ここで本日御出席をいただいております千原研究開発局長からも一言伺えればというふうに思います。よろしくお願いします。
【千原局長】 ありがとうございます。今、主査からありましたように、本日、本検討会の最終とりまとめということで、一言御礼の御挨拶を申し上げます。はじめに、改めまして足立主査をはじめ、委員の皆様におかれましては、今年の6月の検討会設置以来、大変精力的に実のある御議論をしていただき、心より御礼申し上げます。
振り返ってみますと、挑戦的な新興技術の支援については、これまでの実験炉ITERから原型炉、商用炉と段階的に研究開発を推進するアプローチでございましたが、それとは異なり、未来社会からのバックキャストという形で、必要となる研究開発を検討するべきではないかという考えから、本検討会では大学・研究機関、産業界等、様々なバックグランドをお持ちの先生方にお集まりいただいたところでございました。
委員の先生方におかれましては、本当にいろいろな観点から、フュージョンエネルギーが実現した未来社会について、ビジョン等を語っていただきまして、また、足立主査におかれましては、今日もそうでございましたが、このように多様性に富む議論を適切におとりまとめいただき、心より御礼申し上げます。
先生方の御尽力により、多くの人々を魅了するような斬新かつ挑戦的な目標案及び達成に向けたターゲットというものを設定することができたかと思ってございます。御検討いただいた目標案を今後私どもからCSTIの方に提案させていただき、挑戦的な研究の支援の強化につなげていきたいと思っております。
最後になりますが、大変御多忙の中、本検討会に御参画をいただき、また、貴重な御意見・御議論を賜りましたことに対し、改めて深く感謝を申し上げるとともに、フュージョンエネルギー分野の更なる発展・進展に向けまして、委員の先生方の引き続きの御指導、また、御鞭撻をお願いしたいと思っております。御礼の御挨拶といたします。誠にありがとうございました。
【足立主査】 千原局長、どうも御丁寧な御挨拶、大変ありがとうございます。ということで、5回にわたりましたこの検討会、ずっとオンラインということで、一度ぐらいはフィジカルにお目にかかれる機会があってもよかったかなというふうに思うのですが、これで我々のミッションは達成したということでございます。それでは、皆さん大変お疲れ様でした。ありがとうございました。本日の検討会をこれで閉会させていただきたいと思います。