令和5年9月26日(火曜日)13時00分~15時00分
オンライン会議にて開催
足立正之主査、吉田善章主査代理、宇藤裕康委員、奥本素子委員、加藤之貴委員、近藤寛子委員、武田秀太郎委員、竹永秀信委員、飛田健次委員、豊田祐介委員
千原由幸研究開発局長、馬場大輔研究開発戦略官(核融合・原子力国際協力担当)、髙橋佑也課長補佐
【足立主査】 それでは定刻となりましたので、核融合の挑戦的な研究の支援の在り方に関する検討会(以下、検討会)第4回を開催したいと思います。まず議事に入る前に事務局より出席状況および配付資料の確認をお願いします。
【髙橋補佐】 文部科学省研究開発戦略官付補佐の髙橋と申します。よろしくお願いいたします。
本日は委員10名に御出席いただいております。出雲委員、村木委員は御欠席と御連絡いただいております。また加藤委員は御都合から1時30分までの御参加、また、奥本委員は遅れて御参加というふうに承っております。また本日は約70名の方に傍聴を登録いただいています。
まず9月1日付で事務局に異動がありましたので、研究開発戦略官の馬場から一言御挨拶をさせていただきたいと思います。
【馬場戦略官】 文部科学省の馬場と申します。この9月に稲田の後任として戦略官を拝命いたしました。この検討会においては、本当に真摯な議論を積み重ねてきていただいたこと、戦略官として文科省を代表して感謝申し上げます。私も過去の議事録や資料を拝見させていただきましたが、これまでの3回に渡って真摯に中身のある議論をしていただいたと感じております。そのおかげもあって、政府としても文部科学省としても必要な概算要求ができたことをこの後御報告したいと思います。改めて感謝申し上げます。今後いろいろな形で先生方のお世話になると思いますがどうぞよろしくお願いいたします。以上でございます。
【高橋補佐】 ありがとうございます。また本日文部科学省の研究開発局長の千原も参加しておりますので御紹介申し上げます。
本検討会は原則公開としております。御発言は議事録に掲載され、ホームページ等で公開されます。会議中は画面共有システムを使って事務局より資料を表示いたします。また、各委員におかれましては、御発言いただく際にミュートを解除の上、画面の下にあります「手を挙げる」ボタンを押して発言いただきますよう、よろしくお願いいたします。
続きまして、本日の配付資料でございます。議事次第の配付資料一覧に示しております、資料1から資料3-2の5点を配付させていただいております。議事次第に基づき今後の流れについて、簡単にご説明差し上げます。少し長くなりますが、次回10月19日の第5回検討会において、最終とりまとめをさせていただきたく思っています。
そのため本日は議題2において、8月にまとめていただきました中間とりまとめについて、文部科学省の審議会であります、核融合科学技術委員会(以下、委員会)からいただいた御意見を御説明いたします。
また、本検討会は、様々なバックグラウンドをお持ちの方に御参画いただき、核融合が実現した未来社会について、多様な観点から御議論いただいたように、国民にとってより魅力的な目標とするために文部科学省のホームページで募集しました、一般の方からの御意見を御紹介します。これらの結果などを踏まえまして、ムーンショット目標(以下、MS目標)の修正案、および最終とりまとめ素案について御説明させていただきますので御議論いただければと思っております。繰り返しになりますが、次回第5回の最終とりまとめに向けまして本日も活発な御議論をお願いいたします。事務局からは以上でございます。
【足立主査】 ありがとうございました。それでは議題1、フュージョンエネルギー分野に関する文部科学省の「令和6年度概算要求について」事務局の方から御説明をお願いします。
【馬場戦略官】 それでは資料1に基づきまして、最新の政府の動向として、令和6年度の概算要求について御説明申し上げます。
ITER計画、幅広いアプローチ活動(以下、BA活動)等のフュージョンエネルギーの研究開発の推進といたしまして、来年度は右上に記載の通り、292億円を現在文部科学省として概算要求をしているところでございます。
背景並びに課題については、左上に記載の通り、フュージョンエネルギーについてカーボンニュートラル、豊富な燃料、固有の安全性、環境保全性といった特徴を有し、将来のエネルギー源としてその実現が期待されること。また、ロシアのウクライナ侵攻により国際的なエネルギー情勢が大きく変化する中、エネルギー安全保障の確保が重要度を増していること、さらに、これまで国際協力で進めてきたITER計画の進捗も踏まえながら、フュージョンエネルギー開発に関する各国独自の取り組みを加速し、核融合ベンチャーへの投資も活発となっており、国際協調から国際競争の時代に突入すると同時に、他国にとって、我が国は有力なパートナーであり、海外市場を獲得するチャンスと考えているところございます。
中段の目的概要には記載されておりますが、全体像としてまず、フュージョンエネルギーの実現に向け、国際協定に基づき、核融合実験炉の建設運転を行うITER計画、さらにITER計画を補完支援する研究開発を行うBA活動、原型炉の実現に向けた研究開発および人材育成等の基盤整備に加え、本検討会でも議論いただいておりますムーンショット型研究開発制度(以下、MS型研究開発制度)を活用した独創的な新興技術の支援を、長期的視野に立って実施することとしております。
具体的には大きく三つで構成されております。左下のITER計画、右側のBA活動に加えて、今回新たな取り組みとして右下にございます通り、新興技術の支援としてMS型研究開発制度を活用し、ゲームチェンジャーとなる小型化、高度化等をはじめとする独創的な新興技術の支援を強化することを決定し、8月末に文部科学省として概算要求したところでございます。
2ページ目にMS型研究開発制度の全体像を記載しております。右側の通りこれまで九つあったMS目標に本検討会の議論を踏まえ、フュージョンエネルギーに関する新たな目標を追加することを正式に概算要求として計上しているところでございます。
最後に3ページ目を御覧ください。最新の動向として、政府としてどのような考えなのか、岸田総理等の発言を御紹介したいと思います。まず今週岸田総理が国連総会に出席するため米国を訪問しておりましたが、ニューヨーク経済クラブ主催における岸田総理の講演の中でこのような発言がございました。先端分野の官民闘争、官民投資を加速するとして、環境以外にも、AI、半導体、バイオと並んで、フュージョンエネルギーについても言及しているところでございます。
加えて下には、今月の閣議後会見において高市科学技術担当大臣から内閣府の立場として発言がございました。今年4月に日本初の核融合戦略となるフュージョンエネルギー・イノベーション戦略をとりまとめることができました。今フュージョンエネルギーというのは、次世代のクリーンエネルギーとして大変期待されており、非常に国際競争が激しくなっています。政府としてはこの競争に打ち勝っていかなければいけない、今回の概算要求では初の国家戦略に基づいてITER計画の推進や、原型炉開発の加速に加え、新たな取り組みとして、MS型研究開発制度を活用して小型化、高度化をはじめとする独創的な新興技術の開発を強化することとしています。令和6年度の概算要求は先ほど御説明した通り、前年度比37%増ということになっておりますが、内閣府としては関係省庁が一丸となって必要な予算額を年末に向けてしっかり確保するとともに、産業協議会を設立し産業界も巻き込みながらフュージョンエネルギーの実現に向けてしっかり取り組んでいきたいと思っています。
このように政府全体としてこれまで培ってきたITER計画・BA活動をしっかりと進めるとともに本検討会の議論も踏まえて、MS型研究開発制度を活用して本日も議論いただくMS目標のもと、挑戦的な研究開発を推進していきたいと考えているところでございます。
なお、昨日、本日と正式に総理から、経済対策の指示もございました。今後、今年度補正予算を見据え、本検討会の議論をしっかりと踏まえ、必要な予算の確保、また事業の制度設計に努めてまいりたいと考えておりますので御指導のほどよろしくお願いいたします。事務局からの説明は以上でございます。
【足立主査】 ありがとうございました。
ただいまの事務局の説明につきまして、何か御質問あるいはコメントのある方、挙手ボタンにてお知らせいただきたいと思います。いかがでしょうか。
私の方からまず慣れていない方のためにお聞きしたいのが、この1ページ目の要求額等、それから2ページのMS型研究開発制度の要求額というものの相対的な位置づけや、こういうお金はどういうふうに位置づけられるのかについて御説明をお願いします。
【馬場戦略官】 今申し上げた通り元々こちらの資料に書いてある通り、昨年まではITER計画・BA活動というところだけ記載されていましたが、今回MS型研究開発制度を活用して右下にある新興技術の支援ということで、来年度概算要求額として20億円を計上したというのがまずはこちらの資料の見方になります。
次のページには、MS型研究開発制度自体はフュージョンエネルギーだけではなくて、他の様々な目標についても進められているということになっています。その金額として、右上に記載されています、前年度予算額29.6億円だったのに対して、20億円フュージョンエネルギーに関するものとして追加的に来年度要求が計上されているところございます。これまでは説明しづらかった部分もありますが、真ん中の一番下に事業期間等というところで書いてあります。このMS型研究開発制度の一つの特徴としては、基金を造成して柔軟で挑戦的な研究を推進していこうということで、事業期間等の下に書いてある通り、平成30年度補正予算で800億円を計上して基金を造成、令和6年度補正予算680億円を追加してということが書いてあります。
今後、我々としては、いわゆる年度の予算に加えて経済対策補正予算等も活用しながら、このフュージョンについても、他のMS目標と同様、必要な予算を基金で造成しながら、推進していくということを考えているところでございます。若干、普段のこういった資料になりますと、いわゆる毎年度の予算に加えて経済対策補正予算というところが、積み重ねていてわかりづらいところがありますが、特にこのMS型研究開発制度というのは毎年度予算に加えて、挑戦的な研究を支援する意味合いも含めて基金を造成するというところが他のいわゆる研究開発プログラムと若干違うところだと思っているところでございます。わかりづらいと理解していますが、お答えになっていましたら幸いです。
【足立主査】 ありがとうございます。他にどなたか御意見、御質問ありましたら、お願いしたいと思います。
【馬場戦略官】 1点だけ、先ほどお見せした総理の発言、また高市大臣の発言のところでよく誤解もありますので補足させていただきます。
文部科学省として当然MS型研究開発制度や、スタートアップに対する支援といったところは重要だと思っております。元々、我々としてはITER、研究開発、人材育成、そういったところの基盤があるからこそ初めて培われるところだと思っています。今回の議論いただくMS型研究開発制度のみを文科省で進めているわけではなく、その裏にはこういったITER計画・BA活動、また学術的な核融合に対する支援、そういったものの上に、初めて積み重なっていくようなものだというふうに御理解いただければと思います。
繰り返しになりますが、我々はこういった挑戦的な研究だけではなくて地道な研究、人材育成といったところにも取り組んでいきたいというふうに思っています。できればこういったもので相乗効果を図っていければというふうに思っているところでございます。
【足立主査】 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。
【吉田主査代理】 今の人材育成に関するお話について、2ページの真ん中の目的・概要欄を見ると、人材育成等の基盤整備とあります。この予算は下の部分のどこで読むのでしょうか。
【馬場戦略官】 今の御質問については、BA活動等の下にある4の部分です。人材育成については当然ながらBA活動の中でもいろいろな活動を現在実施しているところでございます。最近もJT-60SA国際核融合スクールというような形でヨーロッパと連携して、日本の博士課程学生から御取得の方々に対する教育なども行っているところではあります。
来年度の概算要求においては、実はこのMS型研究開発制度以外にも、BA活動の一環として、国として全体の人材育成の強化を図っていきたいということは別途文部科学省としても要求しているところでございます。我々、少なくとも事務局の立場としては、今回議論いただくMS型研究開発制度に加えて、当然BA活動等にも記載のある人材育成の強化というところのプログラム、またITERを通じた人材の活用といったところも、全体として設計していかないといけないと思っています。
ただ今回、MS型研究開発制度の議論をしていただく部分についてはどちらかというとこれまで核融合に関わってきた方々以外の方をどう巻き込むかという発想も重要になってくると思いますので、分野に限らない方々をどう巻き込むかというところについてはこの検討会でもぜひ議論いただければというふうに思っています。繰り返しになりますが、今委員から御質問のあった人材育成の強化については別途BA補助金であったり、文科省のこのプログラムであったり、そういったところで取り組んでいるところです。ちょうど国家戦略を策定したところですので、こういったところについて、国全体としてオールジャパンの観点で取り組みを強化していきたいという予算を別途計上しています。お答えになってますでしょうか。
【吉田委員】 丁寧な御説明ありがとうございました。理解しました。
【足立主査】 他に御意見、御質問がないようでしたら、議題2の方に移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは議題2「最終とりまとめ(素案)について」に入りたいと思います。8月下旬から行った委員会での書面審議および意見募集の結果について事務局の方より御紹介をお願いしたいと思います。
【馬場戦略官】 それでは、前回議論した中間とりまとめについて、前回の会議以降、委員会における書面審議を実施するとともに、文部科学省のホームページを通じて一般の方に意見募集を実施してまいりました。その結果について御報告させていただきます。
資料2-1の2ページ目を御覧ください。MS型研究開発制度におけるフュージョンエネルギーに関する新目標案について専門的な見地から意見を伺うべく、記載の通り、委員会の委員、また科学官、学術調査官に対してメールによる書面審議を実施いたしました。中間とりまとめに関して意見をいただいた項目のうち、主な事項を記載しております。
まず中間とりまとめの前半、「1.挑戦的な研究支援の在り方」についてどのような御意見があったかを御紹介したいと思います。主な意見として、今回「革新的フュージョンエネルギーを実現」という意味が、革新的な要素技術の開発にとどまるものなのか、それとも、新しいフュージョンエネルギーシステムとしての実現なのかがよくわからないという御意見がありました。こういった御意見を踏まえて今回最終とりまとめの素案という形で一部修正をしております。
また二つ目として、文章が簡潔すぎるためか、従来の計画を軽んじる誤解を与えるような懸念があり、それは戦略の意図するところではない。その誤解はこれまで核融合に協力してきた国内メーカーにとって戸惑いや、本支援策への誤った理解に繋がる恐れもあるため丁寧な書きぶりに更新することを提案したいという御指摘がありました。こちらも同様に修正するとともに、先ほど私が補足で文部科学省また政府全体の取り組みについて御紹介したのも、決して我々はスタートアップ、MS型研究開発制度だけではなく、既存の取り組みというところも、着実にむしろ加速していきたいということについては、誤解がないように説明させていただいたとこでございます。
三つ目「ゲームチェンジャーとなる小型化」について、全面的に賛同する。JT-60SA級の装置は、数十年前の国内技術で製造可能であったが、ITER級以上の装置はそのサイズ効果により、製造そのものの技術開発要素が多くなってしまいます。方式が何であれ「小型化」すればその早期実現に対する効果が大きいというサインが示されております。
四つ目は「革新的な閉じ込め方法」に関して、これも第2回、第3回も議論があったかと思います。革新的な閉じ込め方法については、1.古い技術の復興版で最新技術を取り入れても物理的に期待できない手法もあれば、2.従来の優れた閉じ込め方法に加えてプラスアルファ的な新たな手法を加えるもの。また3として基礎研究段階のもの、もしくは全く基礎研究もされていない未知のものがある。ところが、IAEA FusDISで見る限り1と3が記載され、2が抜けたように思えます。むしろ2は現実的な戦略として最も重要な気がする、というような御意見がありました。また、こういった御意見については、実際事業を制度設計していく上でPDと相談しながら適切なプログラム、公募というところも実現していければと思っています。
4ページ目を御覧ください。こちらは実現したい2060年の達成シーンの大きさに対しての意見になります。上は中間とりまとめ、意見募集をした際の記載になっています。例えば、エネルギーの自給自足実現については複数の御意見がありました。
「自給自足を実現」というのが、フュージョンエネルギーだけで実現できるような印象を与える。他エネルギーに対してより主体的に貢献する等の意味合いであれば、「自給自足の実現に貢献」などの修正の方がいいのではないかという意見。また、「自給自足を実現」が過大な表現ではないかと、フュージョンエネルギーが我が国のエネルギー供給の一翼を担い、将来のネットゼロ社会を実現する切り札になるという程度が妥当ではないかという意見。加えて「自給自足を実現」について、本来の発電としての核融合の役割と活用の裾野の拡大を混同しているように見えるので、項目を別にしたらどうなのかという御意見がありました。委員と意見交換する中で、この自給自足というところが過誤すれば、何かしら我慢して限られた選択肢についてやっているようにも見えるため、若干ポジティブな印象を与えるような表現にした方がいいという御意見もありました。そういった御意見も踏まえて、この後また御紹介しますが、この言い方については修正をした方がいいのでないかというふうに考えております。
4番目、スタートアップの数値目標に関して、少なくとも1社を創出というところです。私も第3回の御議論でこういった部分について、大きく議論があったのは拝見しましたが、あの文章だけ見ると何を目的としているのかわかりにくく、むしろ1社というふうに書かずに世界を牽引するスタートアップを創出という表現でいいのではないかという御意見もありました。また最後、こちらも実現不可能であるので適切な表現にした方がいいといった御意見を踏まえて、最終とりまとめを修正しています。
続いて5ページ目、2035年に実現することについては、多様なエネルギー源というところが若干言葉足らずなので明確に表現した方がいいという御意見。またこの部分、多様なエネルギー源としての活用実現というところまでを考えるのであれば、そこは2035年ではなく2060年の目標が適切ではないかという御指摘もありました。こういった部分も表現を改めているところございます。
次に6ページ目です。こちらについては、社会的実現に向けたシナリオとして、挑戦的研究開発の分野・領域について記載しています。革新的な要素技術を核融合プラントとしてシステムインテグレーションについて、原型炉からの技術ギャップを拡大するおそれが高いので、誤解をされないような修正が必要ではないかという御意見。実用炉と原型炉の技術ギャップと記載すると、方向性・時間軸がわかりづらいため、原型炉から実用炉への技術ギャップとした方がシャープな印象になるという御意見もありました。3番目の部分ですが、実用炉と原型炉の技術ギャップを小さくして、開発期間のギャップを短くするため必要な研究開発を実施することについては非常に重要という御意見もありました。4番目については、文章の適正化の観点から、順番を変えた方がいいという御意見でした。
7ページ目を御覧ください。こちらについては、2035年におけるマイルストーン、マイルストーン達成に向けた研究開発による波及効果についてです。こちらについても先ほどと同様に、2060年での実現であれば2035年では実証という文言が使用されているので、この違いがわかりにくいため、この実証については、例えば原理実証というならばそのように記載してはどうかという御意見も踏まえて変更しています。
また、マイルストーン達成に向けて想定される研究開発の表について、他分野に広がりを志向するためには、専門用語をより平易な表現にした方がいいという御意見もございました。
その他については、細かい部分、技術的な観点でいくつか修正がありました。こういった部分については専門家の意見ということで御意見を反映しています。この後、資料2-2を御説明させていただこうと思いますが、加藤委員が退室される御予定もありますので、説明の前にもし加藤委員の方から御意見等あれば伺いたいと思います。よろしいでしょうか。
【加藤委員】 御意見の機会をいただきありがとうございました。
これまでの4回の検討会を通しまして、非常に日本らしい良い提案になってきたと思います。私もいろいろと意見を述べましたが、それも反映されており、非常に嬉しく思っています。このMS型研究開発制度が無事に済んで日本の核融合研究が進むことを願っています。
今後に関しては、高市大臣がおっしゃるように、国際競争に勝つためには新興技術支援が非常に大事だと思います。この部分の支援策としてMS型研究開発制度が新たに加わったことは非常に良いことだと思っています。
また、パブリックコメントにもありましたが、安全性の件に関しては、クリーンであってもトリチウムを扱うことから、中性子は当然出ます。核融合に関して、徐々に社会に認知されている上で、中性子が出るとしても核融合の利用にはそれ以上の価値がある、ということを伝えられるといいと考えています。ここまでの提案は非常に良いものと思っています。ありがとうございました。以上です。
【馬場戦略官】 加藤委員、ありがとうございました。
それでは続いて資料2-2に基づきまして、こちら文部科学省のホームページで意見募集・パブリックコメントを実施した結果について御紹介したいと思います。
2ページ目を御覧ください。前回の8月25日の検討会から約1ヶ月間、文部科学省のホームページを通じて意見募集パブリックコメントを実施しました。意見については、合計75件の御意見があったところでございます。
また加藤委員の先ほどの御指摘にもありましたが、我々が今回意見募集を実施してみて、改めてフュージョンエネルギーに対する一般の方々の思いを受け取った気はしますが、やはりその中でも性別であったり、年齢であったり、職業などで若干偏りが見られました。この点については、今後アウトリーチ活動を含めて生かしていく必要があると考えています。この後、この75件の内容について簡単に御報告したいと思います。
3ページ目は目標案の名称についてです。中間とりまとめの時点では、上に記載の通り「2060年までに、豊かで安定的なフュージョンエネルギーを生み出す地球の太陽を作り出し、エネルギー資源の制約と温室効果ガスから解き放たれたダイナミックな社会を実現」という表現で記載をしています。実際、ここについては多くの意見がございました。
まず全体を通して、MS目標らしく挑戦的な研究目標にふさわしいという御意見があった一方で、この目標自体が長く感じられ、可能な限り修飾語を減らして簡潔にするべきではないかという御意見もありました。この後に別の資料も御紹介したいと思いますが、今回パブリックコメントを行ったMS目標案は、他のMS目標に比べると約2倍の文量になっているため、よりわかりやすく簡潔にした方がいいという御意見が多数ございました。
目標達成時期については、カーボンニュートラルの関係から2050年の方がいいのではないかというような御意見がありました。この点については、今までも十分検討会で議論してきましたので、2060年のままにするように考えております。
3番目「地球の太陽」について、この後の自由討論で議論いただければと思います。地上の太陽という表現について一般の方からは、太陽自体が高温で危険なものという印象を与えるという声が複数ありました。またこちらもITER含めて使い慣れている表現であるということから、研究者の方々を中心に、これまでのキャッチフレーズと同じで新しさに欠けるのではないかという御意見がございました。エネルギー資源の制約、温室効果ガスについては、社会像と合致しており魅力的であるというような御意見がある一方で、既存の電力を全て核融合に替えるように見えてしまうところについては、現実性について懸念を示すような声もありました。
最後、このダイナミックな社会について、一般の方々からは若干意味が不明瞭ではないかというような御意見や、「爆発的」といった破壊的な意味を連想させる可能性があるというような御指摘があったところです。こういった部分について、最後議論できればと思っています。
続いて「実現したい2060年の社会像」です。意見募集した際には、「人類の挑戦に必要とするエネルギーを十分に供給できる安全安心なエネルギーシステムを実現し、発展し続ける社会」といった記載になっていました。この記載に対しての全体を通しての主な意見として、エネルギー資源が少ない日本にとって最適な社会像であればぜひ実現してほしいというように好意的な御意見がございました。
また、フュージョンエネルギーの特徴が表れてないのではないかというような御意見や、核融合の実現によりエネルギー問題に関わる紛争を解決するような観点を入れてみてはどうかという御意見もありました。また、検討会の会議でこれまでも触れました、火星や月面などのエネルギー供給目標にしてはどうかというような御意見もありました。この辺りも今後のアウトリーチも含めて考えていかなければならない課題だと思っています。
また先ほど加藤委員より、安全安心の部分について、こちらも言葉が独り歩きしているという御指摘もあり、100%安全安心なものは世の中にないと、受け手の認識の違いから誤解が生じるのではないか、ということについても丁寧に対応する必要があるというふうに思っています。また、発展し続ける社会について、これもこういった御意見があったという話ですが、人類が常に発展し続ける必要はないのではないかというような御指摘もあったところでございます。
5ページ目では「実現したい2060年の達成シーン」について記載しております。全体を通した主な意見として、再生可能エネルギーと重なる部分が多く、各エネルギー特有の記述や安価なエネルギーを目指す方がいいのではないかという御意見がございました。さらには、検討会でも議論がありました、発電だけでなく多様なエネルギーとしての活用の実現を目標とするのはどうかというような御指摘もありました。また、自給自足の言い方については、主査からもネガティブなイメージもあるという御意見もありましたが、この部分の表現については適正化を図った方がいいという御意見をいただきました。また、スタートアップについては先ほどの委員会の委員と同様、目標が1社というような記載というところは適切ではないのではないかという御意見がございました。
6ページ目では、「2035年に実現すること」について記載しております。全体を通してあった意見としては、フュージョンエネルギーシステムの周辺技術の進展が不可欠ではないかというような御意見がありました。また、核融合技術を他分野へと展開する挑戦についての支援があると裾野が広がると思われるという御意見もございました。この辺り、事業の制度設計、PD等々を議論しながら考えていきたい部分だと思っています。派生技術の産業構造の底上げや、フュージョンエネルギー周辺・補完技術として省エネ技術の進展という部分、また、これも宇宙関係になりますが、アルテミス計画などに参画する企業との連携による民間資金を導入した開発を進めたらどうかというような御意見もありました。
二つ目の四角では多様なエネルギー源としての活用実現についてです。こちらも委員会の委員からもありましたが、不明瞭のため具体的に記載するべきというような御意見を踏まえて言葉を足しているところでございます。
最後の研究支援体制や支援制度の整備については、2035年よりも前に整備すべきという御意見や核融合技術を専門としてきた方々だけではなく、若手の研究者を含めて巻き込み、育成が急務であるという御意見もございました。また、世界中の研究者人材が巡回するネットワークの構築が必要ではないかとこういった御指摘を踏まえて、今回草案では修正しているところでございます。
7ページ目は、社会産業構造の変化についてです。こちらについては目標達成により社会や産業界に大きな利益を出す効果があることは理解しやすいという好意的な御意見です。また波及効果が力強く提言されており、フュージョンテクノロジーがこれから日本の産業構造を大きく変えるポテンシャルを有していると感じたという御意見もございました。これはむしろ一般の方から評価される表現だったかと思っています。
また、フュージョンエネルギー全般の課題ですが、これまで関連のなかった業種がフュージョンインダストリーとして参入することで、国内産業の活性が期待されるという御意見。また、「マイナスからゼロへ」について、限界費用ゼロは大変良い用語であるが、一般には伝わりにくいとの御意見もあり、こういった部分についても修正をさせていただいています。
8ページ目を御覧ください。「挑戦的研究開発の分野・領域」についてです。まず核融合分野として、これは研究者の方を中心に、現在主流のトカマク型にとらわれない幅広いアプローチを進めるべきではないかという御意見がありました。また炉型に関わらず小型化、スマート化、低コスト化が重要であるというような御意見や先進燃料の核融合に係る研究開発も必要といった御意見もありました。その他、超伝導材料やコイル化技術、冷却技術の課題解決に向けて、継続的な取り組みも必要であるという御意見もございました。また、他分野との連携に関しては基本的に好意的ですが、材料分野との連携開発強化促進をうたうべきではないかという御意見。AI、熱工学、化学工学、量子コンピュータなどの周辺技術を含めた研究開発が必要であるという御意見。その他として、日本で研究が終了している技術も含まれているので、専門家からの十分な意見も聴取し、科学的な進捗を正しく位置づけた上で戦略を展開していただきたいというような御意見。また、さらには日本独自の方向性を持って研究開発領域を決定することが必要ではないかというような御意見がありました。
続いて、シナリオの中に記載されている「挑戦的研究開発の研究課題」についてです。こちらについては挑戦的でありつつも、課題を検討しながら進めていくスタンスがいいのではないかという御意見。あるいは具体性がなく一般論に見えるという御意見がありました。この部分については、これをどこまで具体的に書いた方がいいのかというところにつきましては、この後も議論できればというふうに思っています。
また研究課題の選定に当たって、今回大きく修正をしています。高い見識を持ったPDを任命し、MS型研究開発制度を牽引することが鍵であるという御意見。その他、国際的かつ異分野を巻き込んだ開発体制の構築が必要であるというような御意見。国際的に評価された科学的に妥当なアイディアを選定することが重要であるということやチャレンジ精神を持つ若手を育てることが必要という御意見もございました。こういった部分については、加藤委員の指摘も踏まえてポートフォリオをどのようにこのMS型研究開発制度の中で位置づけるかというところについても考えていきたいと思っています。
10ページ目を御覧ください。「2060年におけるマイルストーン、マイルストーン達成に向けた研究開発、これによる波及効果」についてです。こちらについては、社会要請としてこの時点で普及し、社会の基盤となっている必要があるのではないかという御意見。また、分散型小型発電システムが一つあるべき姿ではないかという御意見。水素社会の実現についても可能性があるのではないかというような御意見もありました。
研究開発については、タングステンやリチウムの確保がネックになり、資源確保の道筋を示すことが重要というような御意見に加え、先ほど同様、日本独自の方向性をもって研究開発を進めるべきではないかという御意見もございました。波及効果についても記載の通り、例えばロケットエンジンなどへの応用もあり得るのではないかという御意見もございました。
11ページ目では「2035年におけるマイルストーン、マイルストーン達成に向けた研究開発、これによる波及効果」について記載しております。マイルストーンについて、商用炉1基目を目指すべきではないかという御意見。スタートアップのスピード感に合わないような目標にすべきではないと思うというような御意見。可搬型装置や宇宙推進装置、原理実証は2035年では困難ではないかというような御意見。マイルストーン達成に向けた研究開発について、ものづくりの観点からITER及びJT-60SAに関する機器製造で培った技術の伝承についても検討するべきというような御意見。この辺りについてはお互いどう連動させていくのかというところも、今後重要になってくるかと思います。
12ページ目、「目標達成に向けた国際連携のあり方」の部分です。国際連携を行う領域については、オープンイノベーションを基本とし、その土台をいかに維持するかが重要というような御意見。また、「求心力」「吸収力」「持続力」といった部分に加えて、人脈による情報収集も重要であるというような御意見もありました。
一方、日本独自で行う領域については、経済安全保障の観点からキーとなるデバイスやテクノロジーを押さえ、ある程度ブラックボックス化し、知財の権利化に取り組んだ上で世界展開していくことが重要との御意見。これはまさに制度設計をしていく中で、しっかりと取り組んでいく部分かというふうに思っています。
また、国内の優秀な人材の確保が重要という部分はMS型研究開発制度に限らず、他の部分も含めて、全体としてどのように最適化を図っていくかというところを考えていくといいと思います。
13ページ目、「目標達成に向けた分野・セクターを超えた連携のあり方」です。実施体制については、これも今後の御意見によるところかと思います。量子科学技術研究開発機構(QST)を中心に、総合的にマネジメントするという体制もあり得るのではないかというような御意見もあれば、見識を持ち、人望のある視野の広い人物に牽引していただき、裾野の広い研究開発をした方がいいのではないかという御意見がございました。この辺りは、プロジェクトをどうポートフォリオを組んでいくかというところで議論をしていきたいと思っています。また、これはMS型研究開発制度に限らない話ですが、国の役割について、産業化を促進するため、知財権の守護・保護を徹底するべきではないかという御意見。また、アウトリーチ活動に関してですが、国民に対して正しい知識を教育することが重要というような御意見。人材育成を含め、重電メーカーにとって魅力ある連携体制を構築するべきという御意見。また、国の関与を減らすべきではないかといった御意見もございました。この辺りも、どの程度の距離感にしていくのかというところはプロジェクトによって違いがあるのではないかというふうに思っています。実際、資料の一番下に記載したとおり、官がしっかりまとめ、舵を取るべきという御意見もありました。この辺りについては、MS型研究開発制度でどのような体制がいいのかという議論はあると思っています。
14ページ目は環境アセスメントなど「ELSI」についてです。こちらについては中間とりまとめに記載の通り、若干の箇条書き程度となっておりますが、最終とりまとめの素案についてはこれまでの検討会の議論を踏まえて記載を充実しております。認知度向上が大事で、わかりやすく丁寧に広報することが重要ということが一つ目の御意見です。二つ目でも社会的受容性の醸成は非常に重要というような御意見がありました。加藤委員はじめ、皆様からトリチウムの取り扱いなど、こういった基準の整備も早急に必要だという御意見も多数あったところでございます。
15ページ目にはその他の主な意見をまとめております。詳細については説明を省略いたしますが、中等教育の段階からの教育や、核融合原型炉の建設との関係など、幅広くいろいろな形での御意見をいただいたところでございます。今回は、あくまでもMS型研究開発制度の目標に関する意見募集という形でしたが、そこにとどまらないフュージョンエネルギー全体に関する御指摘であったかと思います。今回いただいた意見は、最終とりまとめに反映するだけではなく、様々なプロジェクトの設計にも生かしていきたいと思っています。
最後に資料2-3まで御説明させていただいた上で、自由討論の方に入りたいと思います。今回の全体像については資料2-4として、最終とりまとめの素案として全文を掲載しています。今回、主な論点における修正案として、いくつか記載しております。
中間とりまとめについて、今回、委員会における書面審議及び意見募集の内容、またこれまでの検討会の3回目までの議論を全て拝見した上で修正案というものを考えています。こちらについてはあくまで事務局のたたき台ですので、より良い案に変えていただければと思っています。
最初に目標案の名称です。中間とりまとめでは資料に記載の表現になっておりましたが、パブリックコメント、また他のMS目標の文量の関係も考え、文章を半分程度に短くしてはどうかというふうに考えております。まず、修正案として「2060年までに、フュージョンエネルギーの多面的な活用により、エネルギー資源の制約から解き放たれた活力ある社会を実現」というような表現にしてはどうかと考えています。こちらについては、地上の太陽という表現が、これまでのITERに代表されるような大きなものを想像されるような御意見の通り、これまでと変わらない表現という部分、また一般の方からするとどうやって作るのかという御意見等もあったところから、今回、地上の太陽という表現よりも、むしろフュージョンエネルギーというものを発電に限らず、多面的に活用することを目指すというところを明確にした方がいいということで修正をしています。
また、「ダイナミックな社会」について、吉田主査代理との事前の対話で、社会における活力ある状態の実現が重要であるとの御意見をいただきました。そのため、一般の方々がより分かりやすく情報を受け取れるように、用語をカタカナからひらがなに変更するなどのアプローチを検討しています。
次に実現したい2060年の社会像についてです。もともと中間とりまとめに記載されていたものについては、委員会の先生方やパブリックコメントの意見募集でも、「十分」「安全安心」などの形容詞に関して誤解を招いていないかといった御意見がありました。また、「フュージョンエネルギー」についてもしっかりと打ち出すべきだとの御意見もあり、これらを踏まえて以下のように修正することを考えています。「フュージョンエネルギーの多面的な活用により、人類の挑戦に必要となるエネルギーが供給される活力ある社会」というような表現です。
また、括弧として、「無尽蔵なエネルギー源により、人類の活動領域を拡張」という表現にしています。これも第2回、第3回の検討会や先ほどの意見募集の中でも月面や火星への旅行、また、様々な社会というところも書き込むことも考えたのですが、人類の活動領域を拡張するというところに包含されると考えているところです。また、これからアウトリーチを行う際には、この中に入る部分であれば、宇宙や海洋であっても、他の部分についても確実に入ってくるということで、こういった表現はどうかということで考えております。
続いてターゲットの部分です。2060年の達成シーンについて、上に書いている中間とりまとめの表現を下のように修正してはどうかと考えています。まず下の方ですが、元々自給自足を実現という部分は、我が国のエネルギー安全保障に貢献というようなエネルギー問題の解決の貢献についてはこちらの方が適切ではないかという御意見も踏まえて修正しています。また、環境問題の解決への貢献についても、炭素排出の抜本的改善の達成というところは難しいという御意見もあったので、抜本的改善に貢献というような記載に修正いたしました。また、産業革命以来のサイクル逆転を駆動というところがわかりづらいという御指摘もあったので、産業革命以来の悪循環を好転するというような表現に変えています。
さらに、これも委員会の意見、パブリックコメント等でも複数意見があったスタートアップ1社というところは、やはり言葉だけを見ると少ないという御指摘が多数寄せられたところから、我が国から輩出されたスタートアップが世界の課題解決や技術開発を牽引するというような形で、より多くのスタートアップが次から次へと輩出されるという意味を出した方がいいのではないかというふうに考えているところでございます。
次に「2.2035年に実現すること」です。こちらについても、電気エネルギーとしての発電に限らない多様なエネルギー源としての活用可能性の明確化というところに、2035年までに実現するということを考えています。また、三つ目の丸に書いてある通り、「幅広い分野との頭脳循環を生み、牽引役となる人材を育成する」という記載に変更し、こういった部分の重要性についてよりクリアに記載をさせていただきました。
下の「挑戦的研究開発の分野・領域研究開発課題」については、元々の中間とりまとめ記載では、課題を選定してからポートフォリオ作成という流れになっていましたが、MS目標、MS型研究開発制度の趣旨に鑑みて、まず研究全体を俯瞰したポートフォリオを構築した上で、我が国の基礎研究力や研究基盤を基に研究開発を積極的に推進し、失敗も許容しながら挑戦的な研究活動を推進するというような趣旨をまず明確にした方がより良いのではないかということで書いております。また、他国の研究動向も踏まえたというようなことを記載し、ポートフォリオに基づいて研究動向を踏まえ、その後追いではない新規性のあるような研究課題を選定するというような形で、ポートフォリオと課題の選定の順番を入れ替えてあげるというような方法を考えております。
続いて4ページ目、「マイルストーン達成に向けた研究開発、これによる波及効果」についてです。これは今、表参照という形で詳細な課題が記載されています。ただ、委員会の先生方からは、これに書いてあればやりたい研究をやればいいだけという誤解が生じる可能性があるとの御指摘もありました。そのため、修正案として、MS目標の達成に向けてポートフォリオを戦略的に構築し、掲げられている課題を調整的かつ体系的に推進するという点を、より具体的に示すべきかと思いますので誤解がなきよう追記しています。
次に「目標達成に向けた国際連携の在り方」についてです。こちらについても、言葉足らずだったところを修正しています。一つ目の丸については、少し趣旨がわかりづらかったところもありますので、制度の枠組みの中で技術的優位性を重視する国際連携も積極的に取り組むべきということを記載しております。これについては今後、MS型研究開発制度については既に他のMS目標においても各国と連携しているところがありますが、このMS型研究開発制度が実際に動き出すタイミングにおいては、有志国を中心により幅広い連携を行政としても働きかけたいというふうに考えております。また、国際連携のためにということで「求心力」「吸収力」「持続力」といった表現がわかりづらいのではないかという御指摘もありましたので、若干書き下しているところでございます。
5ページ目を御覧ください。「目標達成に向けた分野・セクターを超えた連携のあり方」です。こちらについても、中間とりまとめの時点では二つしかなかったところを、より具体的に書き加えています。意見募集、委員会の委員の意見を踏まえて、ITER計画、BA活動等の国が主体的に推進している研究開発とMS型研究開発制度において実施する研究開発が重複しないように整理していくことが重要という御指摘を踏まえて記載しています。加えて、社会実装を推進する観点から国が主体的に推進するプロジェクトとの情報共有等の協力を活性化した方がいいだろうという御意見を踏まえて記載しています。その他、大学や研究機関、スタートアップを含めた民間企業等が連携した研究開発体制の構築の重要性であることから書き加えております。また、連携のために「求心力」「吸収力」「持続力」、これも言葉足らずというような御指摘もありましたので、吉田主査代理のプレゼンを基に書き加えているところでございます。
最後に「ELSI」の部分についてです。これまでの検討会では多数の御指摘が寄せられたと理解しています。ただし、中間とりまとめの時点では項目出しに留まっていたところであり、今回の意見募集も踏まえて記載を追加しました。もし差し支えなければ、「認知度の向上、社会的受容性の醸成、シンポジウムの開催とアウトリーチ活動を行うべき」という記載があれば、我々もこのMS型研究開発制度の中で様々な活動ができるのではないかと思っています。加えて、この社会実装を見据えて規制や規格基準等の社会科学に関する研究もあわせて取り組むべきという御指摘をいただけるのであれば、ポートフォリオの中でこういった規制に対する扱いというところも、我々も海外とアジャイルネーションズなどでいろいろな議論をしているところであります。このような規制については、まだ日本が遅れてしまっているところがあるので、MS型研究開発制度の中で、こういった取り組みの推進について明記してはどうかというふうに考えています。
今回委員会の先生方の意見、また、パブリックコメントで一般の方々からいただいた意見をもとに最終とりまとめの素案ということで、中間とりまとめからの更新ということで修正をさせていただいています。資料2-4では、全体文を載せていますが、今回は主な論点について御議論いただいた上で、その他の細かい部分についても時間の許す限り御議論いただければと思っています。事務局から以上でございます。
【足立主査】 大変多くの情報をアップデートいただきまして、ありがとうございます。それでは、各修正案に対する委員の御意見を確認していきたいと思いますけれども、皆様よろしいでしょうか。事務局としてもそういうことでよろしいでしょうか。
【馬場戦略官】 はい。構いません。特に項目ごとに議論が多いところもあれば少ないところもあるかと思います。そこは柔軟に残りの時間を使って素案について議論いただいて、次回まとめていきたいと思っています。よろしくお願いします。
【足立主査】 それでは資料2-3を見ながら議論をしたいと思います。まず目標案についてです。もう既にどの議論のポイントについても事務局の方からほぼ模範解答が示されているというような状況かと思います。これに加筆や修正、またはコメントなどを集めていきたいと思います。まず、目標案について皆様の御意見を頂戴できますでしょうか。
武田委員、お願いいたします。
【武田委員】 今回こうした形で修正案というものをお示しいただきましたが、今回の検討会に当たりまして、他のMS目標等を私の方でも読み込んでまいりましたが、今回新たに加えようとしている核融合に関する目標が、目標10として他のMS目標と並んだ場合のことを考えますと、例えば目標1であれば、「2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現」というふうに、非常に大きなビジョンを示しているわけでございます。これを考えますと、今回示していただいている目標の修正案の方は、文量は短くなっていますが、あくまでフュージョンエネルギーというものの多面的な活用ということで、MS目標案としては、レイヤーというものがこの階層が他の目標案よりも一段深いところというか、具体論に落ち込んでいるようなそういった印象を受けています。したがいまして、この全体のビジョンや実現したい社会の方に、この目標案というものは焦点を当てるべきだということで、私は元々「尽きることない地上の太陽を作り出し、エネルギー資源から解放された社会の実現」といったような表現というものを御提案させていただいた背景がございます。このフュージョンエネルギーという特定の技術を多面的に実用化することが目標であるという印象を与えないために、ここはもう一段高い表現に差し戻し、もしくは地球の太陽という表現を地上の太陽に戻すなど、そういった配慮が必要であるというふうに私は考えます。以上です。
【足立主査】 ありがとうございます。個人的に言うと、この「地上の太陽」という言葉は、核融合を知っている人は理解できますが、それ以外の人にはまず太陽が核融合であるということがわからないのではないかと思います。また、今の御意見で言うと、核融合ということすら少し絞りすぎているというような御意見というふうに解釈すればいいのでしょうか。
【武田委員】 補足させていただきますと、他の目標も技術、具体論に差しかからずに、目標のところではビジョンだけを指し示すといったような手法もとられております。
また、「地上の太陽」が核融合であるということがわかりにくいという点はおっしゃる通りだと思います。同様に、フュージョンエネルギーについても、今回私が行った世論調査では認知度は3%にとどまるという結果があり、核融合に関する表現についても、一般の認知はまだされていないということが現状です。そうした点を考慮して修正案を御検討いただければと思います。以上です。
【足立主査】 わかりました。吉田主査代理、お願いいたします。
【吉田主査代理】 武田委員のおっしゃることも尤もだと思いますが、まず「地上の太陽」という表現についてはいくつか批判的なコメントもあります。核融合のコミュニティではずっと「地上の太陽」という言葉をキャッチフレーズにしていますので、個人的にはいかがなものかと思いつつも、慣れ親しんできたことは確かです。「地上の太陽」という表現はあくまでも隠喩です。他のMS目標のテーマを見ると、隠喩を使っているものはないと思います。やはり、ストレートな表現を使うべきで、隠喩はいろいろな印象を喚起してしまう可能性があり、あまりよくないと考えます。無尽蔵という表現もある種の隠喩であり、物理的には尽きないわけではないので、やはりストレートな表現にすべきと思います。武田委員がおっしゃるように、他のMS目標を見ると、量子コンピュータに関する目標6を除いて、目標に焦点を当てた記述が多く、「安心」や「制約からの解放」という願いが共通しています。我々のMS目標も、エネルギーがなければ成し遂げることができない側面があります。社会をさまざまな制約から解放するためには、エネルギーの確保が不可欠であり、その有力な候補としてフュージョンエネルギーが浮かび上がっていると思います。目標に焦点を当てた例が多いというのは確かですが、目標6を見るとテクニカルな概念も含まれており、具体的な取り組み方法や手法に関する情報が提示されています。このような詳細な情報があることで、何をどのように行うのか、具体的な方法に関する理解が深まります。
フュージョンエネルギーに関しては、まだ認知度が高くないという調査結果があるとしても、フュージョンエネルギーがキーワードとして挙げられることで、具体的な取り組みや意味としての理解が進む可能性があります。イメージできるということが一つと、こういった他の目標を実現するためには、エネルギーが必要なので、そういう認識を持ってもらえるような目標の名称がふさわしいのではないかと思います。
【足立主査】 ありがとうございます。他はいかがでしょうか。近藤委員、お願いします。
【近藤委員】 「地上の太陽」に関しましては、いろいろな御意見があると思っています。確かに隠喩という「地上の太陽」自体がかなり認知されて、「地上の太陽」と言えばこういうものという認知がされているのであれば、目標に入れていくのも一つはありなのかなというふうに思いました。一方で、そうでない場合についても考える必要があると思います。
もう一つ考えるべきは、フュージョンエネルギーの言葉自体の認知がまだまだ低いですので、もしこれを目標案の名称にすると、フュージョンエネルギーが何なのかもあまりよくわからない。そして隠喩的なものが入ってしまうと、目標自体が理解しづらくなってしまうことが気になっています。仮にフュージョンエネルギーという言葉を、名称の中に入れる場合、その後の「エネルギーの資源の制約から解き放たれた」ということがどういうことなのかを、目標の名称の後に説明する必要があるのかと思います。名称の中には入れる必要はないですけれども、この「エネルギー資源の制約から解き放たれた」という表現は様々なイメージを持ってしまう部分があるのかと思います。
加えまして、フュージョンエネルギーそのものについて、核融合という技術そのものなのか、それとも発明によって生み出される機械を指しているのか、どちらなのか気になります。核融合によって生み出されたエネルギーが一般的に活用されることによって、エネルギー資源の制約から解き放たれるのか、核融合の技術を成立させるために使われるのであろう技術や機器装置などがエネルギー資源の制約から解き放っていくのか、どちらなのかを確認させていただきたいです。以上です。
【足立主査】 ありがとうございます。いかがでしょうか。私が聞いていると目標案というものは、今の近藤委員のお話もありますように、他のMS目標を見てみると、はっきりとしたゴールが端的に表現されています。武田委員のお話も一緒だと思いますが、アプローチについても言及されていることが多い中で、量子コンピュータの目標6だけが別格といえそうです。その他の目標は、全部ゴールを述べているというふうに見えます。究極のポイントは、これを見るのは誰で、誰に対して示すものなのかを明確に定義すれば、議論が一層進展するのではないでしょうか。
他にも何か御意見はありますか。事務局の方からは何か御意見はございますか。
【馬場戦略官】 今の主査の話を踏まえると、MS目標自体は、当然ながら専門家以外の方々をより重視した方がいいと思います。これまでの検討会で、本日欠席の村木委員からも、ムーンショットアンバサダーとしていろいろな活動をしている中でまだまだ認知度が低いところは実は核融合に限らず、他の部分も同様に認知度は高くないと思います。今回、これから研究に携わる方も含めて、また、全然違う業界の方も含めてどれだけ巻き込めるか、おそらくそういった意味で、魅力的な目標の名称を定めることが重要だと考えています。武田委員の御指摘通り、フュージョンエネルギーの認知度が低いというのは、我々やコミュニティの皆様も認識していることです。ですので、フュージョンエネルギーを使うのをやめるのではなく、むしろ積極的に利用して認知度を高めていく方が良いのではないかというのは、我々も含めて最近気づかされたことです。岸田総理が会見の場でフュージョンという言葉を発言していることもあり、ようやく認知度がここまで高まってきているというタイミングでもあります。そのため、むしろ目標案の名称に入れ込むということを手段として使った方がいい気がしているところではあります。
また、「地上の太陽」については、人によって印象の受けとめ方が結構違うため、今回どう打ち出していくのかというところは、まさに検討会の先生方がどういうメッセージをこれから打ち出していくかというところにも関わっていくことだと思っています。事務局としても「地上の太陽」という表現を入れるかどうかについては、判断に悩んだところでありますので、ぜひ御発言されなかった方々も含めてお伺いできればというふうに思っています。MS目標については、結構単純にわかりやすく「AIとロボットの共進化」と書いてあったりするものもあります。こういった他のMS目標と見比べた際に、これから研究や、いろいろなシーンを考える人たちやいろいろな投資を考える方々も含めて、私たちの10番目のMS目標を選んでいただけるように、魅力を高めていかなければいけないと思いました。
いずれも簡潔な表現での提案や、アウトリーチ活動におけるわかりやすいイメージの構築は、今後の課題として取り組むべきポイントだと考えています。未発言の委員も含め、皆様の御意見や提案があればお聞かせいただければと思います。以上です。
【足立主査】 竹永委員、お願いします。
【竹永委員】 ありがとうございます。
「地上の太陽」に関しては私もずっと使ってきましたので非常に馴染みがありますが、この目標ではあまり修飾語を使わない方がいい気がします。目標で使うよりはもう少し後の方で使えるところがあれば使うという整理にして、目標自体には入れなくてもいいのではないかと思ったところです。
また、フュージョンエネルギーという言葉は確かにまだ認知度が低いと思いますが、フュージョンエネルギー・イノベーション戦略でもこの言葉を使っていますので、これから打ち出していって認知度を上げていく必要があると思っています。そういう意味では、目標に入っていた方がいいというふうには考えているところです。
それともう一つ、「活力ある社会」についてです。ダイナミックな社会と同じ意味合いと思いますが、少しありきたり感がある気もしています。ただし、ダイナミックではわかりにくいことについては同意していますので、そういう意味ではフュージョンエネルギーという認知度が低い言葉と、「活力ある社会」というイメージしやすい言葉を組み合わせているというところで、全体としてはバランスが取れているのかと思ったところです。以上です。
【足立主査】 ありがとうございます。例えば目標3、あるいは6と同じスタイルでいくのか、それ以外のゴールというスタイルでいくのか、どちらかを選ぶというような形になると思います。豊田委員、よろしくお願いします。
【豊田委員】 私はどちらかというと門外漢から入り、恥ずかしながらフュージョンエネルギーという言葉をこの機会があるまで存じ上げなかったところであります。太陽という言葉は素人にはすごくわかりやすいと個人的には思っているところですが、専門家の皆様方に直していただければと思います。例えば、「太陽が燃えている原理であるフュージョンエネルギーを地上で有効活用する」といった文言があれば、イメージが浮かびますので、太陽で使われているエネルギーが地上でも生み出されるという感覚が素人にも入りやすいかもしれません。太陽という修飾語を使わない方向性の御意見もありましたが、やはりフュージョンエネルギーという言葉自体の認知が、残念ながらまだ低いと思っています。そこで、あえて修飾語を使い、門外漢の方々にも理解が深まるような、キャッチーでわくわくする技術があるという表現を加えると、より広く理解されるのではないでしょうか。
【足立主査】 ありがとうございます。他はいかがでしょうか。
【奥本委員】 北海道大学の奥本です。事務局から示された名称の修正案は、2060年までに核融合を実現させるのか、それとも核融合を実現した先の社会を目指しているのかが読み取れないのではないかと思います。個人的には、フュージョンエネルギー自体が2060年までに実現するかというところも含めて今回のMS目標だと思いますので、私としては目標6の量子コンピュータと一緒で、「フュージョンエネルギーを実現」という言葉で目標にした方がいいと思っています。
現在の修正案だとフュージョンエネルギーは既に実現可能な技術だという形で一般の方々に受け止められる可能性がありますので、まだフュージョンエネルギー自体がMS目標のようにチャレンジングな目標に値するのであれば、やはりフュージョンエネルギーの実現が最後の目標になると思いました。
【足立主査】 武田委員、お願いします。
【武田委員】 今、他のMS目標についてもう少し調べさせていただきまして、やはり主査がおっしゃっていました通り、「○○により××を実現」という形になっている目標が半数以上ございます。ただし、この○○の部分は、具体的な技術名を一般の方がわかるように言い換えた上で表現をされている目標案が多くございます。例えば、目標9では「2050年までに、こころの安らぎや活力を増大することで、精神的に豊かで躍動的な社会を実現」のように記載されております。そのため、先ほど豊田委員の発言にもありました通り、フュージョンエネルギーという言葉を用いるよりも、例えば「太陽の反応を地上で再現することで、エネルギー資源から解き放たれた社会の実現」のように、○○の部分は必ずしも技術名そのものを用いるのではなく、一般の方がわかるように表記を改めるという表現も考える必要があるというふうに考えましたので、発言をさせていただきました。以上です。
【足立主査】 ありがとうございます。今、武田委員より御発言いただいた目標9については私も関わっていますが、技術的なアプローチから研究をまとめ、それを基に目標案を作り出すという手法は、目標8でも同じような経験がありました。ですので、今回の目標10を作成する際に、フュージョンエネルギーの利用が前提であれば、技術名を明示することも一つの良い手段かもしれません。
いずれにしてもMS目標の言葉は、実現される社会像であるという定義であり、一般大衆に理解してもらえることがポイントであると私は思います。
事務局の方いかがでしょうか。このまま議論は尽きないとは思いますけれども、この辺りでまとめてしまうのか、または、事務局の宿題としてメールベースで最後に提案いただくような形で進めればいいのか、どちらにいたしましょうか。
【馬場戦略官】 後者でいいかと思っています。また、この後議論を最後まで進めていただいて、もし時間が残っていればまたこの議論に戻っていただいてもいいと思います。いずれにしろ、今いただいた御意見はどれも貴重なお話だったと思いますので、それも含めて考えていきたいと思います。一つだけ申し上げますと、先ほどの足立主査の御発言の通り、社会を実現するというところが大事だと思います。また、武田委員も「○○により、××の社会を実現する」というところをより魅力的でわかりやすい目標に仕上げていくことが重要だと思いました。フュージョンエネルギーという言葉を使うかどうかは悩むところではありますが、使うか使わないかを含めて、また足立主査と吉田主査代理にも御相談させていただければと思いました。
ですので、まずは次の項目の議論に進めていただければと思います。よろしくお願いします。
【足立主査】 了解いたしました。それでは次のポイントに移りたいと思います。実現したい2060年の社会像についてはいかがでしょうか。皆様、何か御意見ありますでしょうか。武田委員お願いします。
【武田委員】 今回のとりまとめ案でございますが、多様な意見が乱立をしたというふうに記憶しております。大変御丁寧に対応いただけたというふうに考えております。今回、全ての委員の発表や外部からのコメントに取りこぼしなく反映をされようということが見てとれるわけですが、その結果、折衷案として全体を通して若干わかりづらいような内容になっているということを感じております。今回挑戦的ということと、折衷であるということは必ずしも共存しないというふうに私は認識をしております。もちろん革新的な閉じ込め方式など技術的に懸念のあるものや誤った記述を修正するといった改善はもちろん重要ですが、同時に読者をわくわくさせることがMS目標の大原則であると理解していますので、この観点から、今回のとりまとめ案は、若干外れている面があるのではないかというふうに考えております。
他のMS目標と比べましても、今回の目標案はフュージョンエネルギーという個別のものの研究開発を進めていくというところに読める箇所が多くあるというふうに考えております。MS型研究開発制度の趣旨や、核融合エネルギーが見据える非常に大きな社会変革の野心というものを反映して、一部の反対意見というものについては受け止めていただいた上で、全ての意見に対応するのではなく、思い切った方向性をつけた目標、ビジョン設定というものが重要ではないかというふうに考えております。
そういった意味から申し上げますと、この社会像とその次の自給自足について今回はコメントをしたいというふうに思いました。今回自給自足は言い過ぎであるというような意見があって、これを全て削除したというふうに記憶をしておりますが、こういった自給自足や、2060年における野心的で、読んだ人間がわくわくするような表現というものは、私としては残すべきであるというふうに考えています。また、自給自足というものが誤解を与えるということで必ずしも全ての反対意見に対応して削除するのではなく、日本をエネルギー輸出国へと変えるとか、そういった挑戦的な支援という原点に立ち返ったわくわくするような表現に配慮した上で、今後とりまとめを行っていただきたいというのが私からの目標以降の全体を通しての意見でございます。以上です。
【足立主査】 特にこの2番のポイントにつきまして、具体的な御意見はいかがでしょうか。全体的なコンセプトについての御意見であったというふうに感じております。竹永委員、お願いいたします。
【竹永委員】 若干、先ほどの目標とこの実現したい社会像という表現が同じになっており、重複しているような気がしています。「無尽蔵のエネルギー源により、人類の活動領域を拡張」というところは括弧書きで書いてありますけど、人類の活動領域を拡張というところをもう少し強調した方がいい気もします。活力ある社会の前に、例としてそういうところをもう少し強調してもいいのではないかと思います。それから、先ほどフュージョンエネルギーではわかりにくいという御意見がありましたので、むしろ修飾語を付けるのであればここで付けておくということも考えられるのではないかと思っていました。以上です。
【足立主査】 ありがとうございます。他に御意見ございますか。
【奥本委員】 北海道大学の奥本です。安心安全や安定的という環境に対する配慮の部分が、修正案の際にはニュアンスとしてなくなっているのではないかという懸念があります。もちろんその後に詳しく環境への相互作用については伝えられていると思いますが、環境に調和した形の支援、このエネルギーが人類中心主義的なエネルギーではなく、やはり今後持続可能なエネルギーの一つであるというような部分を付け加えるべきだと思いました。以上です。
【足立主査】 ありがとうございます。吉田主査代理、お願いいたします。
【吉田主査代理】 今の御意見は非常に重要だと思っています。先ほど述べたことの繰り返しになりますが、無尽蔵のエネルギーで何でもできるような感覚が、少し乱暴な感じがするというところもあります。いろいろな有限性の中で未来の発展を人間が考えているわけですから、核融合エネルギーが、一方で非常に強力なエネルギー源であると同時に、いろいろな意味でのその安全性・安定性が高いというところが、ここで丁寧に言われた方がいいのかなと考えています。エネルギーが量的にたくさんあり、やりたい放題できるというような感じに捉えられてしまう可能性もありますので、丁寧に表現できた方がいいと思います。
【足立主査】 ありがとうございます。いかがでしょうか。私も今の奥本委員のコメントに同調します。日本はやはり原子力発電のところで安心・安全ということに対して非常に難しい経験をした国であり、実際未だに難しい経験をし続けています。そういったニュアンスを解決するようなメッセージがあれば、先ほど武田委員がおっしゃったようなわくわくするところにも繋がるのではないかという気もします。
他いかがでしょうか。よろしいですか。それでは次のターゲットの方に移りたいと思います。
先ほどコメントもいただきましたターゲット、1.2060年の達成シーンというところで、自給自足という言葉が大きなポイントになってくると思います。このポイントについて御意見あればと思いますが、いかがでしょうか。
私から先にお話しさせていただきます。先ほどの吉田主査代理の御意見にもありますが、基本的には目標案にありますように核融合を実現することによりエネルギー資源の制約から解き放たれる、あるいは無尽蔵のエネルギーという言葉は魅力です。その表現が過激かどうかは微妙なところですが、もし自給が達成されれば、武田委員がおっしゃる通り、日本がエネルギー輸出国になる可能性もあるのではないかと考えます。自給自足を解決するという記載だけでは、わくわく感が比較的小さいと感じました。
他いかがでしょうか。どなたもコメントございませんでしょうか。
【馬場戦略官】 事務局の方からよろしいでしょうか。先ほどの委員の御指摘を踏まえて、若干補足させていただければと思います。武田委員からの御指摘でわくわくするというか、より尖ったというところについては、事務局としては全く同意です。その部分が間違って落ちているようであれば、今後、今日の御意見を踏まえて修正をしていきたいと思います。大事なのは、誰に対するメッセージかというところに関して言えば、やはり次の世代や業界を変える知識人など、そういった方々を含めて、また世界に対してもより尖ったメッセージを出すことが重要だと思っています。その部分については誤解をされているようであれば、我々も思いとしては同じということを伝えたいと思います。
自給自足の部分については、実は足立主査とも御相談させていただいていまして、若干いろいろな意味合いがあるというところでしたので、今回修正はしています。我々としては重要というよりむしろ、尖った形に最終的にはしていければと思っていますので、そういった形で今日の御意見を踏まえて、最終とりまとめ案の作成に向けて変更していきたいというふうに思いました。
【足立主査】 ありがとうございます。他にご意見はございますか。よろしいですか。
それでは2の方の2035年に実現することについて、言い回しの調整をされたというふうに思いますがいかがでしょうか。何か御意見、コメントございますか。武田委員お願いいたします。
【武田委員】 今、言い回し調整というふうにおっしゃっていただきましたが、言い回しの調整の中でこの2035年に達成をすることが、「エネルギー源としての活用を実現」するという目標案であったものが、「エネルギー源としての可能性を明確化」するというふうに表現が直されているのは、私個人としては許容できない撤退というふうに考えます。
そもそも実際に活用するのか、それとも活用の可能性を生み出していくのかというのは、使う・使わないという、ゼロイチで全く違う表現でございます。今回目標の達成も2050年という声が大きい中で、2060年まで伸ばしています。既に米国や英国では2040年には発電を開始するという国家目標というものを掲げている中で、我が国が2035年の目標を掲げるという点において、実用化に向けたこの見通しをつけるという意味合いの今回の表現というものは、果たしてこの尖っているという観点から、どれだけの意味があるのかという点で大いに疑問があります。
既にアメリカのフェニックス社等は核融合の中性子源としての実用化を現時点で達成をしています。既に活用というものは実際されているわけです。場合によっては、熱源としても2035年であれば、これから10年ございますので、その活用というものは技術的にも不可能ではないはずです。
したがいまして、今回この活用を実際に実現するという観点から、修正案でその活用可能性を見出すというふうに表現を改めている点は、私としては挑戦的という観点からは、少々看過し得ないというふうに私個人の意見としては考えています。以上です。
【足立主査】 ありがとうございます。他にはございますか。
【馬場戦略官】 事務局から一言よろしいでしょうか。今の部分についてぜひ他の委員の方からも伺いたいというところです。我々も今回、委員会の方々に意見を確認したときに、こういった修正をした方がいいのではないかというような御意見を踏まえて修正をしていたものではあります。それが今、武田委員からの御意見の通り、大きく下がってしまっているというふうに受け止められるのは、本意ではないところではある一方で、技術的な実現性の部分についても、ぜひ他の委員からも適切な表現等があるようであれば、記載の修正や意見をいただけるとありがたいというふうに思っています。
吉田主査代理が手を挙げていただいています。吉田主査代理、お願いできればと思います。
【吉田主査代理】 電気エネルギーとしての発電は、専門家であればあるほど2035年の実現が難しいと考えると思います。一方で、中性子源やその他の粒子源等の多様なエネルギー源として利用する可能性まで含めた2035年を目途とするマイルストーンを設定して取り組むという場合に、それが「活用可能性を明確化」では研究者が言っているだけになってしまうおそれがあります。ベースロード電源の開発が一番難しい目標だと思いますが、その前にいろいろな具体的な成果を上げていく必要があるかと考えます。やはり2035年に具体的なアウトカムが得られることを描く必要があると思います。
【足立主査】 ありがとうございます。近藤先生、お願いいたします。
【近藤委員】 今の議論は、もしかすると2060年の達成シーンと対になっているのではと思いました。非常に野心的な目標である「自給自足を実現していく」と設定するのでしたら、2035年において、フュージョンエネルギーの「活用可能性を明確化」する程度では、おそらく実現はとても届かないと思います。2060年を非常に野心的な目標設定にするのであれば、2035年は、かなりリアリスティックで、より野心的なものに設定する必要があると思います。
もちろんその専門家の方々からすると、中間とりまとめの記載について、これは実現可能であるのかどうかについて議論もあり、今回の「活用可能性を明確化」として一歩後退されたのかもしれません。そちらの一歩後退させる案を今回許容するのであれば、目標自体も野心的なものから一歩後退させる必要があると思います。今回、核融合の挑戦的な研究の支援策としてMS型研究開発制度を選んだということは、野心的に進めましょうということだと思いますので、MS目標の2060年の達成シーンをどういう表現にするかは野心的なものを設定し、そして2035年より野心的なものに取り組む必要があるのではないかというふうに考えました。以上です。
【足立主査】 ありがとうございます。他いかがでしょうか。竹永委員、お願いします。
【竹永委員】 元々この意味は「活用を実現」と書いてありますが、これは「活用を実証」に近かったのではないかと理解しています。実際に広く社会にその活用が広がっていることを想定しているのではなくて、活用できるということをある程度実証するということを目標にしていると理解しているところです。そういう意味では、「活用可能性を明確化」と言われると、後退しているように見えるかもしれませんが、元々の意味からすると表現の問題も含めて、それほど後退しているわけではないというふうに私は理解したところです。以上です。
【足立主査】 ありがとうございます。全体的に言いますと、前回議論しました、MS目標として「Inspiring」と「Credible」のバランスをどこに置くかという議論になってくるのではないかと思います。
また、他のMS目標を見てみますと、どちらかというと「Inspiring」の方にウエイトが置かれているという気がします。専門家の方々にやはり御意見をいただくと、どちらかというと「Credible」の方にシフトしてしまうのではないかという印象を受けました。
他にいかがでしょうか。武田委員、お願いします。
【武田委員】 今回委員会から指摘が入った部分は、おそらくこのエネルギー源としての活用というところについて御指摘が入っているように考えます。エネルギー源としての実用ということは、当然投入したエネルギーよりも大きなエネルギーを取り出すということが、その表現の中に含まれています。これを2035年に実現をすることは、技術的には確かに困難が大きいというふうに考えられますので、このエネルギー源としての実現というような表現を取り去ることによって、委員会の方々であっても、受け入れ可能な表現というものは、私は作文が可能であるというふうに考えます。以上です。
【足立主査】 ありがとうございます。他いかがでしょうか。
次のポイントの意見を伺いたいと思います。括弧4の社会像実現に向けたシナリオ「1.挑戦的研究開発の分野・領域および研究課題」について、皆様からの御意見がありましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
特段ないようですので、2の方に移っていきたいと思います。こちらの方の修正案もこれでよろしいでしょうか。
【吉田主査代理】 よくまとめて、非常に改善されたと思いました。
【足立主査】 ありがとうございます。他に御意見ございませんでしょうか。
【馬場戦略官】 事務局から若干補足させていただければと思います。先ほどの吉田主査代理の御意見もありましたが、1、2が合わさって一つだと思っています。今回MS型研究開発制度については、本日もだいぶ議論いただきましたが、やはり社会をどう変えていくか、どう実現するかというところが重要だと考えています。正直今回、数十件のパブリックコメントの意見をいただき、いろいろな意見が本当にあったところであるのですけど、今やっている研究をそのままやりたいというような修正意見みたいなものも多数寄せられた中で、今回我々としてはやはり「社会像をどう変えていくか」というところを重視していかないと少しミスリードになるのではないかということで、今回修正させていただいたところではあります。先ほどの武田委員の御指摘もそうですが、やはり我々が最初から後退するとかできないとかいうような提案というよりは、やはりやっていただかないといけないというところを明確に打ち出していくことが重要だと思っています。今回国全体として、このMS目標のもと、どう全体として最適化するかというところにチャレンジいただける方について幅広く求めることが重要と考えています。1、2については、おそらく十分議論できたと思いますが、国際連携は実は十分議論できてないところではあるので、括弧5、6、7について御意見いただければ、今後の修正に生かせられるかと思いますので、ぜひその辺りも御意見いただければありがたいと思います。
【足立主査】 それでは括弧5、6、7について、まとめて御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。技術的優位性だけを維持してしまって、国に対して経済や産業にリターンがないパターンがいくつか例がありますので、技術的優位性だけに読めてしまうのはなかなか寂しいと思っています。いかがでしょうか。武田委員お願いします。
【武田委員】 括弧7番のELSIについて、非常にいい短いコメントではございますが、今回この規制について入れていただいたことは大変ありがたく思っています。一方で2035年の実用、実証に近いこの実現を考えたときに、ここに書いてあるように研究にも併せて取り組むべきということでは少し踏み込みが甘いと申し上げます。今から研究をして、実用化に向けた規制を考えていくということではなく、規制について今から具体的な議論を始めていくというようなフェーズに入っていると私は認識をしています。この規制について、規格も含めてですけれども、今から一歩踏み込んだような御表現をいただけると、私としては大変ありがたく考えております。以上です。
【足立主査】 大変貴重な御意見だと思います。
私も技術的優位性について、やはり規制基準などの作成に日本がどれだけの国際的なリーダーシップを発揮できるかというところは非常に重要だと思います。他の業界における規制、基準、シミュレーションを拝見していましても、どうしてもルールメイキングで負けている印象があり、気になっています。他にはいかがでしょうか。吉田主査代理お願いします。
【吉田主査代理】 先ほど国際連携のあり方のところで足立主査がおっしゃられたように、技術的優位性だけを確保していても実が取れるのかということを考えることが大事だと思います。私は、国際連携をする中で得られるある意味ソフトの部分が重要だと考えております。国際連携を通じて、人材や人材を育成するシステムなどの一段メタな構造ができて、それによって産業界とアカデミアの間の頭脳循環を起こしていくことが大事だと思います。そういうアウトカムを得るということが戦略的に一番大事なことだと思います。これは核融合だけには限りませんけれども、特に核融合の場合、いろいろな意味において一国で独立して技術開発や研究開発を進めるということは、いろいろなサプライチェーンを考えても、おそらくあり得ないと思います。むしろ国際的な連携がある中で、我が国がどういうリーダーシップがとれるかという形で考えていく必要があると思います。
【足立主査】 ありがとうございます。おっしゃる通り、私もそのように思います。他の技術分野でも日本は要素技術という点で素晴らしいものが出ていますが、結果的にそれを利用されるだけということがあり、それが本当に国際連携と言えるのか疑問です。国際連携が不可欠であることは間違いないのですが、今申し上げた点について心配してしまいます。
他にございますか。竹永委員、お願いします。
【竹永委員】 最後の括弧7の部分について質問です。先ほど規制の規格基準の話が出ましたけれども、これは非常に重要だというふうに思っており、既に取り組みを行っています。括弧7の修正案の二つ目のポツには「社会科学に関する研究も併せて取り組むべき」と書いていますが、これはMS型研究開発制度の中で取り組むべきと理解したらよいでしょうか。この記載の上にあるアウトリーチ活動については「MS型研究開発制度において」と明確に書いてありますので、この二つ目についても、その制度の中というふうに認識すればよいでしょうか。それともそれはまた別でやるべきというふうに理解すべきでしょうか。
【馬場戦略官】 今の御質問については、MS型研究開発制度の中においてもやるべきというような趣旨で記載しています。当然規制でしたらアウトリーチについては、ITER・BA活動等を含めていろいろな活動をされているところは認識しています。そういった活動とも連携を図っていくべきところでして、MS型研究開発制度もただ研究や技術を開発するということだけではなく、主査からの御意見もありましたが、国としてきちんと競争力を得るためにも、規制やそういった部分についても現時点で取り組んでいくべきということで記載させていただいているところでございます。
いずれにせよ、この記載についての我々の狙いとしては、当然規制や規格基準の策定というところも念頭にありますので、このあたりも、言葉は丁寧に修正したいと思っています。
【竹永委員】 わかりました。ありがとうございます。
【馬場戦略官】 いずれにせよ、今回MS目標でどのようにポートフォリオを組むのかはこれからの議論だと思います。いわゆる研究開発プロジェクトをたくさん並べるだけではなくて、こういった規制や技術的な優位性を元に日本の国際競争力に繋げるための戦略の検討など、そういった部分を含めて実行していくことが重要ではないかというふうに思っています。以上です。
【竹永委員】 ありがとうございます。もう一点コメントさせていただきます。
上のポツに「社会的受容性の醸成のため」と記載されていますが、理解が進めば社会的受容性が醸成されていくというような、上から目線的な意味に受け止められてしまうおそれがあると思います。もう少し国民との対話を行う中で、こちらの開発の方法や装置の仕様について、国民の要求に合わせて変えていくなども、取り組みとして必要ではないかと感じています。
【馬場戦略官】 ありがとうございます。適切に修正していきたいと思います。
【足立主査】 吉田主査代理、お願いいたします。
【吉田主査代理】 今の竹永委員の御意見にも関係しますが、社会的な受容性ということを考えたときに、安全に対する信頼が必要です。これにあたっては、核融合の安全科学というものが重要です。下のポツのところには、「社会科学に関する研究」とあります。同時にサイエンス・テクノロジーとして安全科学というものも必要であって、それを介して社会の信頼を得ていくということが大事だと思います。社会科学の手法を使って信頼を醸成するということではなくて、やはりサイエンスが一方にあり、また社会の受け止め方に関する学があり、それらの上に信頼性を醸成していくということが大事だと思います。それがMS型研究開発制度に馴染むかどうかということは議論がありますけれども、それらが非常に重要なポイントだと思います。
【足立主査】 ありがとうございます。奥本委員、お願いいたします。
【奥本委員】 先ほど竹永委員、吉田主査代理がおっしゃられた通りで、特に7番のELSIについて環境アセスメントや、どのような形で安全な技術として確立していくのかについては、社会科学的な知識とともに、さらにフュージョンエネルギーの実現に伴う安全科学という観点の知識も必要と私も認識しています。これを7番に置くのか、それともまたMS目標のポートフォリオの中に入れ込んでいくのかについては重要な御指摘だと思いました。
また実際にアウトリーチだけではなく、対話的なコミュニケーションが必要ですので、アウトリーチ活動および市民議会のようなやり方もありますので、対話的な機会を設けるというふうな形の研究にも使えると思います。この部分の細かな文言の修正については、後ほどメールの方でも御提案させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
【足立主査】 ありがとうございます。近藤委員、お願いいたします。
【近藤委員】 私から国際連携と、ELSIの社会科学についてお話しさせていただきます。先ほどの足立主査の方から「技術的優位性を維持する」というところで冒頭に御意見がありました。この部分、大変重要だと思っていますが、日本が大事にするべきなのは技術的優位性だけではなくて、核融合に関しても、「国際的なコミュニティをどのように築いていくか」という部分もあると思います。技術的な優位性を築いているからこそ、国際社会への貢献や同志国の仲間との共同研究において、リーダーシップや各国の研究者が協力していく力が不可欠だと感じました。リーダーシップ、ファシリテーションやコーディネート力など、これらの要素を組み込むことで、より包括的で効果的なアプローチが可能ではないかと感じました。
それから社会科学、ELSIの部分について、MS型研究開発制度を利用してフュージョンエネルギーの研究開発を行う場合、様々な社会的な問題に答えていくということが前提になっていますので、社会的な重要性というところに議論の重きを置かれていますが、本当にその社会のニーズに応えているのだろうかと、逆の研究が必要ではないかというふうに感じています。社会にどう受け止めさせるかではなくて、今研究しているものが本当に社会のニーズに応えているのかどうか、ここに対してのアプローチは必ずしも技術的な研究、自然科学的なアプローチだけではなくて、社会科学的なアプローチもあるのではないかと思いますので、その点も含めていただけましたらと思います。
【足立主査】 ありがとうございます。他に御意見ありますでしょうか。
本当に有意義で大変興味深い議論をいただいたと思います。また、事務局の方でまとめていただいて、修正案、あるいは提案などをメールで送付いただいて、委員の間で検討いただければと思います。事務局はよろしいでしょうか。
【馬場戦略官】 ありがとうございます。事務局の方でも、本日いただいた意見を踏まえて修正を考えていただきたいと思います。もしよろしければ今の時点で気づきの点があれば、メール等でお送りいただければ大変助かるかと思います。
私も今回、意見募集の結果とこれまでの第3回までの議論を踏まえて修正を考えていたところではありますが、今振り返ってみると3点修正を検討しています。まず一つ目はわくわく感で、きちんと夢を持てるようなビジョンになっているかどうかについて、後退したと受け止められないような記載にするべきだというところはおっしゃる通りだと思います。二つ目の安全安心について、決して軽視したわけではなかったのですが、そういった懸念があるというところを改めて受け止めましたので、その辺りも明確に書いていきたいと思います。規制などの部分についても、逆に日本の国際競争力にも繋がるところだと思いますので、世界一安全なものを作っていくというところは重要な観点かと思いました。最後の環境との調和というところについても、決して落としたわけではありませんが、むしろ核融合の一つの魅力であるというところを改めて認識したところです。そこも強調したいと思います。
いずれにせよ事務局でも修正案を考えていきたいと思いますが、もし今の時点でお気づきの点があれば、メールなどで御意見をいただければ随時反映して、次回の検討会でお示ししたいと思っています。事務局からは以上でございます。
【足立主査】 どうもありがとうございます。本日の検討会はこれで終了したいと思います。皆様どうもお疲れ様でした。これで本日の会議終了いたします。