宇宙開発利用に係る調査・安全有識者会合 (令和5年3月8日開催)議事録

1.日時

令和5年3月8日(水曜日)16時00分~17時00分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. H3ロケット試験機1号機の打上げ失敗について

4.出席者

委員

木村 真一 委員(主査)
柿沼 志津子 委員
笠原 次郎 委員
門脇 直人 委員
熊崎 美枝子 委員
神武 直彦 委員
中西 美和 委員

文部科学省

研究開発局宇宙開発利用課長 上田 光幸
研究開発局宇宙開発利用課企画官 竹上 直也
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐 木元 健一

(説明者)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
 理事 布野 泰広
 宇宙輸送技術部門 H3プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ 岡田 匡史

5.議事録

【竹上企画官(事務局)】 それでは定刻となりましたので、宇宙開発利用に係る調査・安全有識者会合を開催させていただきます。
 有識者の皆様には、本日急な開催にもかかわらず御出席いただき、誠にありがとうございます。事務局を務めます、宇宙開発利用課企画官の竹上でございます。本日冒頭事務局にて進行をさせていただきます。
 まず、宇宙開発利用課長の上田より一言申し上げます。
 
【上田課長】 宇宙開発利用課長の上田でございます。
 皆様御承知のとおり、昨日7日、10時37分に打ち上げられましたH3ロケット試験機1号機ですが、打ち上げ失敗という結果となりました。文部科学省として重く受け止めております。そして国民の皆様、関係者の皆様の御期待、御支援に添えず、申し訳なく思っております。
 参考資料1にありますように、文部科学省では、直後に大臣指示によりまして井出副大臣を本部長とするH3ロケット試験機1号機対策本部を設置したところでございます。
 本日、木村主査をはじめ委員の皆様には、急なお呼び立てをいたしまして恐縮でございます。御参画いただきありがとうございます。H3ロケットは次の世代を担う重要な基幹ロケットでありまして、御多忙のところとは存じますが、本会合の調査検討に引き続き御協力いただければと存じます。
 今後、JAXAの調査状況を踏まえまして、本有識者会合を通じて原因究明と対策検討を進めさせていただければと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
 
【竹上企画官(事務局)】 引き続き事務局から、本日の会合の位置づけを補足させていただきます。
 参考資料2-1、宇宙開発利用に係る調査・安全有識者会合の開催についての1.目的、8行目からの記載にありますとおり、本会合は、ロケットや人工衛星等の重大な事故、不具合等が発生した場合の原因、技術課題及びその対応策等に関して調査検討する場として設置させていただいております。
 この趣旨に則り、委員の皆様には今後H3ロケット試験機1号機に関しまして、JAXAが進める原因究明及び対策検討に対し、各分野の専門家の立場から御意見をいただきたく存じます。
 なお通常は、科学技術・学術審議会の下に設置されている調査・安全小委員会がその調査検討の役割を担うのですが、現在ちょうど審議会の任期のはざまにありますことから、当面有識者会合という名前で開催させていただきますが、役割としては小委員会と同様と御理解いただければと思います。
 本日、会合には、委員8名のうち、後から来られる方も含めて7名参加いただいているところです。
 それでは、ここからは有識者会合の木村主査に進行をお願いさせていただければと思います。
 木村先生、よろしくお願いいたします。
 
【木村主査】 ありがとうございます。東京理科大学の木村でございます。
 委員の皆様におかれましては、急遽お集まりいただきましてありがとうございます。
 私自身、今回の件、YouTubeで実況中継を拝見いたしておりまして、1段の燃焼完璧に実現したということを見て喜んでいたところだったのですけれども、2段着火想定時刻に速度が落ちてきているので、おやと思って、すごく驚いておりました。こういった結果に大変ショックを受けております。
 ただ、これは記者会見で理事長はじめ皆様強調されておられましたけれども、今必要なのは、まず一刻も早い原因究明と、それからそれに対する対策、これを考えていくことだと思っております。
 今回私どもに声がかかりましたのは、この原因究明を加速して、Return-To-Flightに向かうために伴走者として、助言を差し上げるということが役割だと認識しております。今回の問題は政策的な面、構造的な面、いろんなものがあると思いますけれども、ここでは、技術的な面に我々は集中して原因究明に御協力していくということを努めていきたいと思います。
 機体について一番よく御存じなのはJAXAさんだと思っておりますけれども、岡目八目という言葉もございますので、我々が少し離れた視点で意見を述べさせてもらうことが、少しでも役に立つこともあるかもしれないと思っております。
 まだ恐らく、昨日の今日ですので情報等の整理まだ途上のところだろうとは思いますけれども、今のところで分かっているところについて是非伺えればと思います。
 H3ロケット試験1号機の打ち上げの状況についてということで、JAXA様から御報告いただきたいと思っております。
 JAXAの布野理事、それから岡田プロジェクトマネージャー、お願いいたします。
 
【布野理事(JAXA)】 JAXAで、輸送系担当しております布野でございます。
 先ほど上田課長から御紹介ありましたように、昨日H3ロケット試験機1号機を、先進光学衛星ALOS-3を搭載して打ち上げました。
 先ほど主査から御紹介ございましたように、打ち上げ後、1、2段分離までは計画どおり飛行をいたしましたが、その後第2段エンジンが着火しなかったことにより、所定の軌道に投入できる見込みがないため、地上から指令破壊信号を送出いたしました。指令破壊後の機体は、第1段の落下区域内に落下したものと推定しております。
 打ち上げに際しまして、地元をはじめ関係する皆様、搭載衛星でありますだいち3号の関係された皆様、そして多くの応援をいただいた国民の皆様の期待に添うことができず、深くおわび申し上げます。
 この事態を受けまして、山川理事長を長とする対策本部を設置し、今回の事象に関する究明を精力的に行っているところであります。
 本日は、まだ緒に就いたばかりでございますが、発生の事象に関します現在までの検討状況について、プロジェクトマネージャーから報告させていただきます。
 本日はよろしくお願いいたします。
 
【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 JAXA、H3プロジェクトチームの岡田でございます。どうぞ今日はよろしくお願いいたします。
 お手元の資料、「H3ロケット試験機1号機の打ち上げ失敗について」に沿いまして御説明させていただきます。
 まず1ページでございますが、打ち上げの概要でございます。
 打ち上げ日、打ち上げ時刻は、予定どおりでございました。
 搭載衛星だいち3号ですが、だいちと比べて大型化、高性能化したセンサーを搭載することによりまして、高精度の分解能を持つ画像が撮れるということでございました。
 H3ロケットの機体の諸元、これはおさらいになりますけれども御紹介させていただきます。
 左側にH3ロケット、これは22Sというタイプなんですけれども、固体ロケットブースターが2基、LE-9エンジンは2基、コアは1段と2段で構成されております。その上にはフェアリングがありまして、その中にだいち3号が格納されておりました。
 第1段と第2段、このように区分けしておりますけども、これ一部重複しているところは、第2段は第1段の上部の構造部の中に大半の部分は格納されており飛翔しますので、このようにオーバーラップしておりますけれども、分離自体は、第1段のこの上の部分ですね、金属の部分と黄色の部分のちょうど境目がありますけども、ここで分離しまして、第2段としてその後は機能いたします。中には第2段の液体酸素のタンクと、LE-5B-3という第2段のエンジンが格納されております。
 打ち上げの結果でございますけれども、試験機1号機の打ち上げを行いまして、下にございますシーケンスに沿って飛行しました。
 この図と表を併せて御覧いただきたいのですけれども、イベントとしましてはリフトオフ、それからSRB-3の分離、衛星フェアリングの分離、そして、その後に第1段エンジンLE-9エンジンの燃焼停止、我々MECOと呼んでおりますけどメインエンジンカットオフです。その後に第1段、第2段の分離が行われまして、その後に予定では第2段エンジンの推力が立ち上がる予定でした。これをSELIと呼んでおります。セカンドエンジンロックインです。
 大体のそのイメージが左側にございますけれども、第1段、第2段の分離を行った推力の立ち上がりがあるその手前でイベントが停止しておりますので、その間に、タイミングを見計らって指令破壊信号が送出されました。指令破壊信号送出されましたのは10時51分50秒でございます。
 この表のほうに戻らせていただきまして、表の右側が最新の飛行経路に基づくそのイベントの発生時刻の予測値です。それに対しまして打ち上げ経過時間、これはフライトの結果なんですけれども、左右を比較していただきますと、通常のロケットではばらつくものが多いんですけれども、今回はたまたまということもあるのかもしれませんが、左右見比べていただきますと、第1段と第2段の分離まではほぼどんぴしゃりというイベントの発生時刻でありまして、ノミナルの飛行ができたものというふうに考えております。
 したがいまして、一番文章の最後に戻っていただきまして、ロケットは第1段、第2段分離までは計画どおり、このシーケンス上は飛行したものと考えております。
 次のページは、横軸に地表面距離、縦軸に高度を示したものでございます。
 メインエンジンのカットオフ(MECO)までは、経路、予定されたその点線にある計画の経路に沿って上昇を行ったんですけれども、その後は、推力が発生しなかったことから、放物運動を開始いたしまして、最高到達高度の到達点は632キロ、これがXプラス615秒の時点です。そして、その後、自由落下をいたしまして、飛行中断が行われたのはXプラス835秒、高度459.5キロでした。
 私、昨日の会見の中で400キロ以上の高度ではなかったかという記憶で申し上げましたけども、それは飛行中断の高度でございまして、最高高度は632キロでございました。
 次のページは機体現在位置の履歴でございます。ページで申し上げますと5ページです。
 このように、現在位置としても予定どおりの経路をたどりまして、飛行中断がフィリピンの北側で行われました。
 次のページに参りまして、破片の落下予測域です。
 これは、飛行後に解析をした結果なんですけれども、指令破壊後の破片は、この赤枠で囲んであります、あらかじめ計画されました第1段落下予想区域内に落下したものと解析しております。
 この区域に関しましては、打ち上げに係る情報の一部としまして国土交通省様、海上保安庁様等に対して事前に通知しているエリアでありまして、安全確保に係る対応を実施いただいているエリアでございます。
 最後のページ、7ページですけれども、2段エンジン着火シーケンス及びこれまでに確認された事象ということで、まだ現時点で細部にわたる分析が途中でございますので表現としてはこのようになっておりますけれども、まず2段エンジンの着火シーケンスです。
 これは、下の図にありますようにメインエンジンのカットオフからカウントしまして、1、2段の分離が行われ、その後に2段エンジンの着火が行われると。そして、その後でその着火判定がSELIというもので行われるというシーケンスだったんですけれども、これまでに確認された事象といたしましては、1、2段分離を検知した後に、機体側から2段エンジンへ着火信号指示、これが2段エンジン側にSEIGということで到達していることを確認しております。これはテレメトリーデータからSEIGが受信されたということを確認しております。
 一方で、そのSEIGのタイミング付近で――この付近というのは、前後関係は詳細確認中でございますので付近という言葉を使わせていただいておりますけれども、電源系統の異常を確認しております。これは機体側かエンジン側か、その要因というものは現在調査中でございます。
 資料の御説明は以上です。
 
【木村主査】 ありがとうございます。
 昨日の今日で、ずっと情報を整理されての結果だと思います。大変な御作業ありがとうございます。
 最初に幾つか、今まだ途上だという前提で、また、製造に関連するとか非常に機微な情報含むという部分もあるだろうと思っておりますので、そこら辺も勘案してちょっと質問をさせていただきたいと思います。
 恐らく現在のところで、分かってきたというところをお示しいただいたと思うのですけれども、やはり我々としてはエビデンスを基にこれを判断しなければならないかなと思っております。また、ここでお示し頂いた情報では、ディテールがちょっと分からないかなと思います。
 ただ、このあたりの情報には、おそらく製造に関連する部分も非常に多く含まれると思うので、それらについては今後別途検討する、これからの委員会の中で詳細見させていただけるという前提でお話をさせていただこうかなと思っておりますが、こういう理解でよろしいですか?ここではまだ、ディテールについては入れないという理解でよろしいですか?
 
【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 はい、そうですね。
 それと加えまして、現在、私のおります種子島宇宙センターの建屋の隣の建屋で、三菱重工さん、それからJAXAで今集まりましてまさにこの分析を行っているところです。
 この分析に関しましては、電源系にとどまらず、リフトオフから全ての、構造系とか、それから、エンジン関係、電気系、もちろん電気系、それら含めまして全てのデータを今くまなく見ながら、議論をここに徐々に集中させてきておるところでございまして、まさに今その会議を行っております。
 ですので、私の今把握している限りの中で御説明をさせていただきたいと思いますけれども、十分な御説明に今時点ならないことを御容赦いただきたいと思います。
 
【木村主査】 分かりました。ただ、ここまでのところは大体イメージはできてきたというような意図でここはステートメントとして挙げられたという、そういう理解でよろしいですね?
 
【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 はい、結構です。
 
【木村主査】 ちょっと最初に幾つかここのところで、すみません、また私のほうから何点か御質問させていただきたいと思います。
 まず簡単な確認のところからなんですけれども、テレメトリー情報は、これは指令破壊に至るまで全て良好に受信できているという理解でよろしいですね?
 
【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 はい。現時点確認の途上ですけれども、おおむね良好に受信できております。
 
【木村主査】 得られる情報は全てこの中で得られる状態にあるという理解でよいですね?
 
【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 はい。
 
【木村主査】 それから、これの中で、説明されたのかもしれないですが、きちんと理解したいのですが、2段燃焼開始というのは、機体内の処理系のほうで自動的に実現されると理解したのですが、よろしいでしょうか。これは記者会見での御発言も併せての質問なんですけれども。
 
【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 はい、結構です。機体の中に搭載されておりますコンピューター、そしてその上のソフトウエアが判断しまして、自動的に燃焼を開始いたします。
 
【木村主査】 なるほど。その判断過程というのはテレメトリー情報として取得できる状態にあるので、それを基にして考えていけばよいという理解でよいですね。
 
【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 はい、そのとおりです。
 
【木村主査】 今回、電源系統の異常を確認できているというところまで、御説明いただいたと思います。ここは多分これから議論の中で肝になっていくところだと思うのですけれども、電源系統の異常というのもテレメトリー情報としてあらわに見えているという理解でよろしいです?
 
【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 そうですね。いろいろなその回路の中のある部分に関しまして、例えば電圧であるとか、それから機器のビットの異常検知ですね、この辺りが今そのデータとしてはございまして、それがテレメトリーデータとして地上に送信されております。
 どうぞ。
 
【木村主査】 分かりました。ありがとうございます。
 この辺り、今後データを見させていただきながらまた議論していくことになるかなと思っております。
 御説明ありがとうございます。この時間のない中で、こちらの説明資料まとめていただいて本当にありがとうございます。
 それでは、委員の皆様、御質問等ございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。笠原委員、お願いいたします。
 
【笠原委員】 名古屋大の笠原です。
 本当に、最大限の御尽力をされていて頭が下がる一方ですが、2点質問させていただきます。
 まず、岡田プロジェクトマネージャーが御説明された時刻のお話でしたが、1秒程度のずれがあったということをお示しいただきましたが、1秒というのは小さい印象も持つんですが、それなりの何らかの要因で計画値とはずれていたというふうな認識を持っております。その要因、例えば風や気象条件や様々なことがあるかと思うんですが、その辺りをちょっと確認させていただきたいなというのが1点目です。
 2点目は、軌道のプロファイルを本日の資料で拝見させていただきました。確かに放物運動のように見えるんですが、それが本当に放物運動であったのか、つまり2段が本当に点火していなかったのかということを、いま一度その資料に基づいて御説明いただけないでしょうか。まず確実なことだとは思うんですが、今提示された定量的な情報から、軌道の確認という意味で、それは第2段が点火されていないということの証明としてのプロファイルになっているかというところの御説明をいただけないでしょうか。
 以上2点でございます。
 
【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 先生、御質問ありがとうございます。
 それでは1点1点お答えしたいと思います。
 まず、3ページにございます予測値とフライト結果のこの差でございますけれども、例えばH-ⅡAロケットなどと比べましても、これはある種の偶然もあるとは思うんですけれども、かなり小さい差だと思っております、時間的には。
 その偶然といいますか、それは、例えばプラス側に作用する要素とマイナス側に作用する要素、こればらつきとしてはそれぞれ存在しますので、たまたまそこがキャンセルしているかもしれないので、そのように申し上げています。
 その要素でございますけれども、一番大きいのはやはりエンジンの推進性能だというふうに思います。これは、例えば推力というのは、地上で検証したものに対して実際真空中でどのような推力を生じるかとか、それから固体ロケットブースターにつきましては、数回の地上燃焼試験でその燃焼の発生する推力のパターンは確認しておるんですけれども、実際にこの搭載された固体ロケットブースターについては、どのような推進性能を発揮するかというのはこれは事前に検証できません。LE-9エンジンに関しましても、先ほど申し上げましたフライトバイアスというのはございまして、実際の地上燃焼試験と違う性能が少し出てくるとか、それから、また、それによりまして燃焼の、車でいうと燃費みたいなものが変わり得ます。そうしますと、燃費が変わるということはロケットの軽くなる早さが変わるわけで、それが最終的にはこのロケットの飛行系に影響が出てきます。そういったもろもろの要因で、この辺の差が出てまいります。
 それが一つ目の御質問に対するお答えですが、お答えになっていましたでしょうか。
 
【笠原委員】 はい。非常によく理解できました。本当にありがとうございます。
 
【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 それでは二つ目の御質問ですけれども、2段目のエンジンが果たして着火していたのかどうかということですけれども、これは幾つかのデータから、これは着火していなかったというふうに判断しております。
 一つはその電気的な信号のやり取りの問題ですけれども、そのほかに、実際にそのエンジンのメインバルブが開いていたかどうかということに関しましては、これメインバルブが開かないと推力は発生しませんけれども、メインバルブは開いていなかったというデータが得られております。それをもちまして、推力は発生していなかったというふうに判断しております。
 以上です。
 
【笠原委員】 ありがとうございます。複数の角度から作動してなかったということを確認していたということを理解いたしました。どうもありがとうございました。
 
【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 ありがとうございます。
 
【木村主査】 ありがとうございます。
 そうしましたら次が、神武委員、お願いいたします。
 
【神武委員】 ありがとうございます。
 これからいろいろとテレメトリーデータを中心に解析されていくと思いますが、皆さんちょっと打ち上げの延期のところからかなり疲労がたまってらっしゃると思いますので、その辺りのコンディション管理も注意して進めていただければと思います。
 私からは2点ありまして、まず1点目は、今まで2段エンジンが着火しなかったということはなかったというふうに思うんですが、そう考えたときに、H-ⅡAではなくてH3では起きたというところで、設計上の何か違いがこの部分であるのかというところを分かる範囲で教えていただければと思います。設計並びに製造ですね、部品が同じものかそうじゃないかというところ。
 あとは基本的には、これから解析をされていくのはロケットからのテレメトリーデータを中心にやっていかれるのかなと思っておるんですが、その理解でよいかというこの2点を教えてください。
 
【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 ありがとうございます。
 まず一つ目のいただきましたアドバイスですけど、そのとおりだと思います。ありがとうございます。
 やはり打ち上げ隊員、三菱さんも含めまして、大分打ち上げに向けて集中してやってきたところですので、残りの体力というのは大分限られているようにも思えますので、そこは体調管理しっかりしながら原因究明、原因調査を進めてまいりたいと思っております。
 
【神武委員】 よろしくお願いします。
 
【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 それと、一つ目の御質問、次の御質問ですけれども、2段エンジンが着火しなかったという過去経験があるかということで申しますと、なかったと思います。少なくともJAXAではその経験はなかったと思います、この液体ロケットエンジンに関して。
 H-Ⅱロケットの5号機が2段エンジンの不具合で最終的な軌道に投入できなかったことはありますけれども、これはどちらかというとエンジンのハードウエア的なことが原因で、途中で2段エンジン、LE-5Aが途中で停止いたしまして、最終軌道に投入できなかったということはあります。
 それで、関連する御質問として設計の違いはというところなんですけれども、LE-5AとLE-5B、これ、詳細には、いずれ御説明しないといけないと考えておりますけれども、幾つかの違いがございます。
 昨日、布野理事より御説明させていただいたように、大きくは、LE-5AとLE-5Bは、長寿命化を図っているという部分があります。なので、例えば電気関係についても、全く同じものというよりも、若干その部品の枯渇に対して部品を入れ替えたりということも対応しておりますので、その辺りにつきましては詳細な調査をした上で御報告したいと思います。
 また電気系統全般に関しましては、機体側は、H-ⅡAと、それからH3は、これ全く違うというふうにお考えいただいたほうがいいと思います。
 エンジンの電気系につきましては今御説明したとおり、基本的なところは同じでしてH-ⅡAとの大分共通化を図っているんですけれども、少なくともH-ⅡAで実績を重ねてきた、数々の実績を重ねていたものとは若干設計を変えているところはありますが、その辺りについては改めて御報告したいと思います。
 以上です。
 
【神武委員】 あと、基本的な……。
 
【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 すみません、テレメ。そうでした、ごめんなさい。
 テレメのデータをこれから解析するということに関しましては、全くそのとおりでございます。1点1点のデータをくまなく見ることがこういった場面では必要ですし、また、時系列の処理というのがすごく、多分、神武先生よく御存じだと思うんですけれども、時系列を合わせ込むというのがすごく大事だと思っておりますので、その辺りをしっかりやりながら、何が最初に起きたのかというところを割り出していきたいと思います。
 それに加えまして、製造を、例えばこの部品のそれぞれの製造履歴に何かなかったかということについても、傍証的に調べていくことになろうかと思います。
 
【神武委員】 分かりました。どうもありがとうございます。
 
【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 ありがとうございます。
 
【木村主査】 ありがとうございます。
 神武委員のほうから、違いという話、昨日の記者会見でも出ていたかと思いますけども、そこを電気系については恐らく新しくされているというところが私もちょっと気になっているところではありますので、その辺り、地上での検証の結果とかとは突き合わせながらこの先議論していくのかなと思います。その辺りでまた今度、今後対策というところでは非常にキーになってくるかなと思います。
 ありがとうございます。
 ほかの御質問、御意見いかがでしょうか。
 取りあえず今日はまず第1報ということで承りまして、これから詳細な議論のほう進めていくことになるかと思います。大変な状況かと思いますし、くれぐれもお体に気をつけながら、健康を保っていただきながら、我々伴走者として一緒に走りたいと思っておりますので、是非よろしくお願いします。
 神武委員、お願いします。
 
【神武委員】 はい。ありがとうございます。
 この後、御説明いただけるのかもしれないんですが、分かっている範囲で今後の原因究明の大まかなスケジュールと、あとは、こういうことはないと思うんですが、H-Ⅱ8号機では海に落ちたエンジンをということで深海調査ということをされましたけれども、今回はエンジンがということもまだ分かりませんし、実際の機体を捜しに行くというようなことは技術的にも非常に難しいですし、やらないという方向なのかなと思うんですが、その辺りもし、幾つかの記事や議論を拝見しましたところ8号機と同じように引き揚げたらいいんじゃないかというような意見もありましたけども、そこは私はもう難しいし、それが今回は不具合解析につながるかというとなかなか難しいかなと思っているんですが、その辺り、今後の計画も含めて、もし今の段階でお話しいただける範囲があれば教えてください。
 
【岡田プロジェクトマネージャー(JAXA)】 昨日起きた失敗でございまして、まだ見通しということで計画は立てられておりませんけども、ステップといたしましては、やはり今まさに行っております全てのデータをくまなく見るというところから始まりまして、そこで引っかかったものがあれば、特異的なものがあれば、それを時系列に整理していく、その中で、それと並行して、FTA(故障の木解析)を進めるあたりでまずは一旦、絞り込みを行った上で、そこを集中的に分析していくというプロセスだと思うんですけれども、ちょっとそれが時間軸でどうかというのは、すみません、今はちょっと十分なお答えができません。  それと、回収、サルベージの件ですけれども、確かに神武先生おっしゃられるように、H-Ⅱロケット8号機、1999年の11月に打ち上げたロケットに関しては、その1か月半後ぐらいですかね、海から回収してそれが大きな分析の手がかりになったというのは事実でございます。
 それは、起きた現象がエンジンの内部のどちらかというと流体とか機械的なものであろうというところから、やはり現物を見ることに大きな意味があるということと、それから落ちた場所が、これは、そのお話を私も伺ったときには信じられないとちょっと実は思ったこともあるんですけれども、やってみる価値ありということで、JAMSTECの皆さんがそこを捜し出してくださったという、非常に大きなことだと思います。
 ただ、今回に関しましては、主に、予断は許しませんけれども電気関係が原因であろうというところからしまして、そのサルベージするということはあまり考えなくてもよいのではないかというふうに思っております。
 
【神武委員】 分かりました。私も同じように思っていましたので、理解しました。ありがとうございます。
 
【木村主査】 ありがとうございます。
 他はいかがでしょうか。大丈夫ですかね。
 まずは、今回第1報いただいたということで、これから一緒に議論させていただければと思いますので、大変かと思いますけれども、Return To Flightに向けてぜひ御協力させていただければと思います。
 よろしければ、議事のほうはこちらまでで、本日については終了というふうになります。
 最後に、事務局のほうから事務連絡のほうお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。
 
【竹上企画官(事務局)】 ありがとうございました。
 会議資料と議事録の公開について申し上げます。
 参考資料2-2の運営規則に基づき、本日の会議資料を既に文部科学省のホームページに掲載させていただいております。
 また、議事録につきましても公開となりますので、委員の皆様に御確認いただいた後、文部科学省のホームページに掲載させていただきますのでよろしくお願いいたします。
 次回開催日程でございますが、来週をめどに調整の上、改めて御案内いたします。
 連絡事項は以上です。
 
【木村主査】 ありがとうございます。
 皆様、御参加いただきましてありがとうございました。
 以上をもちまして閉会とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課