次世代革新炉の開発に必要な研究開発基盤の整備に関する検討会(第1回) 議事録

1.日時

令和4年10月17日(月曜日)16時00分~17時30分

2.場所

新型コロナウィルス感染症拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 検討会の検討事項・スケジュールについて
  2. カーボンニュートラルに向けた原子炉開発に係る現状について
  3. 次世代革新炉開発に必要な研究開発項目及び基盤インフラについて
  4. その他

4.出席者

委員

山口委員(主査)、浅沼委員、石川委員、出光委員、遠藤委員、小澤委員、桐島委員、相楽委員、中熊委員、吉橋委員、和田委員

文部科学省

千原研究開発局長、林大臣官房審議官(研究開発担当)、新井原子力課長、嶋崎研究開発戦略官、宮川原子力課課長補佐

(説明者)
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 大島理事

5.議事録

【宮川課長補佐(事務局)】  大変お待たせいたしました。ただいまより次世代革新炉の開発に必要な研究開発基盤の整備に関する検討会を開催いたします。
 本日は、お忙しいところ、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 このたび、政府として、グリーントランスフォーメーションの実現に向けた高速炉や高温ガス炉を含む次世代革新炉の開発に係る方向性の検討が進められる中で、文部科学省としても、今後の次世代革新炉の開発に必要な研究開発項目及び基盤インフラの整備などの課題について検討を進めていくため、研究開発局長の私的諮問機関として、次世代革新炉の開発に必要な研究開発基盤の整備に関する検討会を設置、開催することといたしました。
 本検討会については、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点からオンライン会議を原則として行います。
 なお、会議は原則公開とし、資料や議事概要等については文部科学省のウェブページにて公表いたします。
 本日は、最初の会合となりますので、議事に先立ちまして、まずは事務局より委員の皆様のお名前を御紹介させていただきます。
 本日は、委員11名全員に御出席いただいております。ありがとうございます。
 また、本検討会の主査を山口委員にお願いしておりますことを御紹介させていただきます。
 まず、主査の山口委員から御挨拶をいただきたいと思います。
 山口主査、お願いいたします。
【山口主査】  このたび、次世代革新炉の開発に必要な研究開発基盤の整備に関する検討会、こちらの議論の場で主査を務めさせていただきます、原子力安全研究協会の山口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 先ほど御紹介ありましたように、グリーントランスフォーメーションにおいて、安全メカニズムを導入した次世代革新炉の開発・建設を行うということで、そのためには、日本において研究開発の能力、それからそれの基盤となるインフラ、それから人材、そういったものをしっかり充実させていかなければいけないと思います。
 高速炉それから高温ガス炉を中心に、そういった議論を進めていくわけですが、しっかりそれらの技術の現状を認識し、それから、我が国で持つべき研究開発能力、人材、基盤、そういったもののギャップを分析して、しっかり御議論いただきたいと思います。
 皆様には御多忙のところ、お集まりいただいて大変ありがとうございます。活発な議論になりますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
【宮川課長補佐(事務局)】  山口主査、ありがとうございました。
 それでは、撮影を行いましたプレスの皆様は御退室をお願いいたします。
 なお、議論の内容については、事務局よりお送りしているウェブ会議の案内より引き続き傍聴が可能でございます。
 プレスが退室しましたので、以降は五十音順に委員の皆様を御紹介させていただきます。
 委員の皆様におかれましては、事務局からの御紹介の後、簡単に一言御挨拶をお願いできればと思います。
 まず、浅沼委員、お願いいたします。
【浅沼委員】  私、東海大学の浅沼と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
【宮川課長補佐(事務局)】  ありがとうございました。
 次に、石川先生、お願いいたします。
【石川委員】  東京大学の石川でございます。しっかり務めてまいろうと思いますので、よろしくお願いいたします。
【宮川課長補佐(事務局)】  ありがとうございました。
 次に、出光委員、お願いいたします。
【出光委員】  九州大学の出光でございます。核燃料と廃棄物を専門としております。よろしくお願いいたします。
【宮川課長補佐(事務局)】  ありがとうございます。
 次に、遠藤委員にお願いいたします。
【遠藤委員】  遠藤でございます。慶應義塾大学に勤めております。どうぞよろしくお願いいたします。
【宮川課長補佐(事務局)】  ありがとうございます。
 次に、小澤委員、お願いいたします。
【小澤委員】  日本電機工業会、小澤でございます。電機産業、製造業の立場から物を申したいと思っております。よろしくお願いいたします。
【宮川課長補佐(事務局)】  次に、桐島委員、お願いいたします。
【桐島委員】  東北大学の桐島でございます。原子力のバックエンド、化学の側面から研究しております。どうぞよろしくお願いします。
【宮川課長補佐(事務局)】  次に、相楽委員、お願いいたします。
【相楽委員】  東京工業大学の相楽と申します。私は、炉の設計と、それから特に核セキュリティー、核不拡散面から研究を行っております。どうぞよろしくお願いします。
【宮川課長補佐(事務局)】  ありがとうございます。
 次に、中熊委員、お願いいたします。
【中熊委員】  電気事業連合会、中熊でございます。発電事業者の立場から意見を申し上げさせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
【宮川課長補佐(事務局)】  次に、吉橋委員、お願いいたします。
【吉橋委員】  名古屋大学の吉橋と申します。放射線、特に中性子に関する研究を行っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【宮川課長補佐(事務局)】  最後に、和田委員、お願いいたします。
【和田委員】  日本原子力産業協会の和田と申します。原子力産業界の立場から意見を述べさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【宮川課長補佐(事務局)】  委員の皆様、ありがとうございました。
 続きまして、本日、最初の会合となりますので、文部科学省研究開発局長の千原から御挨拶させていただきます。
 千原局長、よろしくお願いいたします。
【千原局長】  先生方、こんにちは。ただいま御紹介にあずかりました、文部科学省研究開発局長の千原でございます。本検討会の開催に際しまして、一言御挨拶をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、本検討会の主査をお引き受けいただきました山口先生、ありがとうございます。また、委員をお引き受けくださいました先生方におかれましては、お忙しい中、大変ありがとうございます。改めて感謝申し上げたいと思います。
 さて、政府が掲げます2050年カーボンニュートラルの実現やエネルギー安全保障の確保のためには、原子力を含めたあらゆる選択肢を追求することが重要でございます。
 文部科学省といたしましては、原子力分野の基礎基盤研究ですとか、あるいは人材育成、これを担当しておりますところ、次世代革新炉に関する取組としましては、原子力機構が、高速炉や高温ガス炉に関する研究開発などを進めてきたところでございます。
 次世代革新炉につきましては、これまで経済産業省を中心として、今後の開発ロードマップについても検討が進められておりまして、その中でも、文部科学省や原子力機構に対して、今後の開発に必要な基盤的な研究開発や基盤インフラの整備に関して強い期待が寄せられているところでございます。
 また、先日のGX実行会議におきましては、岸田総理大臣から、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設につきまして、政治判断が必要な項目として検討を加速するように御指示があったところでございまして、現在、関係省庁において検討を進めているところであります。
 このような状況を踏まえまして、今後の次世代革新炉の開発に関して、今後10年間程度のうちに着手すべき基盤的な研究開発項目等について年末までに論点整理を行い、政府全体の議論に生かしていくため、研究開発局長の諮問機関ということで本検討会を開催させていただくことといたしました。
 次世代革新炉の開発を着実に進めるためには、原子力機構の貢献を含め、官民一体となって取り組むべきことが必要であるほか、次の世代を担う人材育成の取組を強化していくことが非常に重要でございます。
 文部科学省及び原子力機構が果たすべき役割につきまして、本検討会における忌憚のない活発な御議論をお願いしたいと思っております。
 以上であります。どうぞ先生方よろしくお願い申し上げます。
【宮川課長補佐(事務局)】  それでは、以降の議事進行については、山口主査にお渡しさせていただきたいと思います。
 山口主査、どうぞよろしくお願いいたします。
【山口主査】  どうもありがとうございます。
 それでは、改めまして、山口のほうで本検討会の主査を務めさせていただきます。これから進行を進めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 では、本日の議題1番目に入っていきたいと思います。
 最初の議題は、検討会の検討事項及び運営規則についてでございます。
 まず、事務局から説明をお願いいたします。
【嶋崎戦略官(事務局)】  ありがとうございます。研究開発局研究開発戦略官核燃料サイクル・廃止措置担当の嶋崎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、資料1-1、1-2、1-3を御覧ください。
 資料1-1が、本検討会の開催についての研究開発局長決定ペーパーでございます。
 また、資料1-2に、公開を原則とする、ホームページへの掲載などを行うということについて書かれました、検討会の運営について定めたペーパーを用意してございます。
 本日の時間も限られてございますので、資料1-3を用いまして、会議の趣旨について私のほうから説明をさせていただければと思います。
 資料1-3を御覧ください。
 先ほども、主査のほうからも、また研究開発局長の千原からも、趣旨について説明ございましたとおり、原子力の利用については、特にこの2050年カーボンニュートラルの実現、あるいはエネルギーの安定供給、安全保障といった観点から期待が高まっているところでございまして、総理からも、この新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設等について御指示があったところでございます。
 その中で、この左のピラミッドを見ていただければと思いますけれども、次世代革新炉の開発そのものにつきましては、経済産業省を中心として、民間を主体とした取組について、特にその開発ロードマップ等について、議論・検討が進められているところでございます。
 その中でも、こういった取組を進めていく中で、特に、当初、文部科学省及び原子力機構等が中心となって行うべき課題といたしまして、基盤的な研究開発、あるいはそれらを行うために必要となる基盤的なインフラの整備、こういったことは、民間を主体というよりは、国・原子力機構が中心となって研究開発及び整備を進め、適切に民間に技術移転をしていくと、こういったことが必要ということがうたわれているところでございます。
 こうしたニーズを踏まえまして、検討のポイントでございますけれども、こういった今後の次世代革新炉の開発に必要な研究開発、あるいは基盤的なインフラの整備につきまして、特に燃料照射等含めた原子炉等の炉システムに係る課題、あるいは革新炉の燃料製造そのもの、また、その燃料を照射した後のバックエンド対策、こういった観点から御議論をいただきたいと思っております。
 課題は山積をしてございますが、本検討会におきましては、特に今後10年程度以内に着手すべき事項というものを中心に御議論いただきたいと思ってございます。
 また、こういった研究開発を進める中で、どのようにこの次世代革新炉に係る人材育成を進めていくのか、これについても大きな課題であると認識をしております。
 また、そうした人材育成の取組を進める中で、今まで以上に、原子力機構が大学の知の集約拠点として、産業界と大学をつなぐ役割というのを、これまで以上に発揮すべきではないかという問題意識もございますので、こちらについても、本検討会の中で御議論をいただければと思ってございます。
 検討の枠組みといたしまして、今後10年以内というのを一つの目安として議論をするということにしてございますので、次世代革新炉は様々な概念がございますけれども、原子力機構がこれまで取り組んできた内容というのは、高温ガス炉あるいは高速炉といったものが中心になりますので、検討の進め方といたしましては、原子力機構より、こういったこれまで機構が取り組んできた中身、内容について紹介をし、提案をする中で、それを踏まえて、検討会の委員の皆様方に御議論をいただくと。
 ただし、次世代革新炉は様々な概念がございますので、検討会の中で、その他の概念についての検討も、要すれば、ぜひ行っていただくという形にさせていただければと思います。
 最後に、検討スケジュールでございます。
 年内に四、五回。本検討会の大きな目的としては、何かをここで決定するということではなくて、今後の検討に資する課題をしっかり論点整理をしていくということに主眼を置いて行いたいと思ってございまして、年内までに一定程度の論点整理をできればと考えてございます。
 検討結果につきましては、関係の審議会等にしっかり報告をして、さらなる具体的な施策の検討につなげていければと考えてございます。
 説明、雑駁でございますが、以上でございます。
【山口主査】  ありがとうございました。
 ただいま本検討会の背景と狙い、それから検討のポイント、議論の進め方について御説明いただいたところ、質問あるいは御意見等ありましたら、確認事項等ありましたら、お受けしたいと思います。
 委員の皆様には、オンラインシステムの挙手機能、こちらを活用いただきまして、発言の意思表明をお願いいたします。それから指名させていただきますので、それでミュートを外して御発言ください。
 それでは、いかがでしょうか。挙手機能で、御発言希望の方、お願いいたします。特によろしいでしょうか。
 一つ重要なポイントは、この今の1-3の資料のペーパーに書いてございますし、今、嶋崎戦略官からお話ありましたように、結論を出すより、しっかり委員の皆様で議論いただいて、論点を明確に整理するというところが狙いということですので、それに沿って、ぜひ御意見を出していただきたいと思います。
 もう一度御確認させていただきますが、御発言よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 では、続いて二つ目の議題に移らせていただきます。
 二つ目の議題は、カーボンニュートラルに向けた原子炉開発に係る現状についてでございます。
 こちらについては、資料2に基づいて、小澤委員から説明をいただくということになってございます。その後で委員の皆様に御議論いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 では、小澤委員、準備できましたら御説明お願いいたします。
【小澤委員】  よろしいでしょうか。まず資料を。
【山口主査】  お願いいたします。
【小澤委員】  ありがとうございます。今、御紹介いただきました、日本電機工業会の小澤でございます。
 日本電機工業会は長いので、これから、表紙にあるようにJEMAと省略して申し上げますので、よろしくお願いいたします。
 まず、第1回、最初からこのような機会をいただきまして誠にありがとうございました。
 資料2の表題「2050カーボンニュートラル実現へのロードマップ~技術イノベーションと社会実装に向けて~」と題しまして、電機産業、製造業の立場の取組を紹介させていただき、今後の議論のお役に立てさせていただければと思っております。よろしくお願いいたします。
 おめくりいただきまして、右下のページで2ページをお願いします。
 このJEMAのロードマップの位置づけについて御紹介させていただきます。
 これは、本年8月にホームページで公開したときのテキスト文の一部でございます。
 まず、2020年の10月には、政府が2050年のカーボンニュートラルの宣言を出されたと。それから、去年の10月には、第6次のエネルギー基本計画が決定されたという背景がございます。こういった背景のもとで、昨年から半年ほどかけまして、JEMA内の会員企業とともに議論しまして、今年の5月にロードマップの形としてまとめたものでございます。
 3行目に記載のとおり、技術のイノベーション及びその社会実装に向けてステークホルダーと議論していく際の礎とするロードマップとしたものですので、まさに、この場の議論の目的に沿っていると考えております。
 ロードマップの文書の本体、冊子版につきましては、下のほうにリンクを記載しましたので、時間があるときにお読みいただけると幸いでございます。
 以降は、ロードマップを公開したときの説明資料に若干の手を加えたものになります。
 めくっていただきまして、資料の3ページでございます。
 JEMAは、原子力のほかに、再エネや火力発電、電気を送る送配電設備、電気を使う側、家電製品等の電気機器を扱っている団体でございます。新しい技術としましては、蓄電池や分散電源、ホーム・デマンド・レスポンス等の効率よく利用する技術も含まれてございます。JEMAは電気エネルギー全体をカバーしておりまして、経済活動や国民生活の向上に貢献したいと考えてございます。
 めくっていただきまして、4ページ目をお願いします。
 JEMAはこのロードマップを用いまして、政府機関、アカデミア、様々な団体など、多様なステークホルダーと議論しながら、カーボンニュートラルを実現すべく検討を進めていきたいと考えております。
 めくっていただきまして、5ページ目でございます。
 5ページ目には、2050年の電源構成をJEMAで仮設定をしたものとして提示させていただいております。
 これは、もともと総合資源エネルギー調査会でエネルギー基本計画の審議を行った中で出された資料から選びまして、細かい内訳まで検討して将来像を仮置きしたものでございます。
 ここでは、家庭内や電気自動車の様々の電化を想定しまして、電力需要を2050年時点で今の3割増しの年間1兆3,500億キロワットアワーと置きました。
 その時点、2050年時点でカーボンニュートラルを実現する各電源の設備容量を考えたとき、どのような課題があるか、そのために何をしなければならないかが浮き上がってくるものと思います。
 高温ガス炉からの水素につきましても、ここでは水素アンモニアということで、火力発電の燃料転換につきましても課題として扱っております。
 続きまして、6ページ目をお願いします。
 このページでは、5ページ目の補足の資料、注記を示したものでございますので、説明は飛ばさせていただきます。
 めくっていただきまして、7ページ目でございます。
 このページは、エネルギー基本計画の記載事項を書いてございます。ここにいらっしゃる皆さんにつきましては、よく御存じだと思いますので、説明を飛ばしていきます。
 めくっていただきまして、8ページでございます。
 これは、先ほどの電源比率の中から、原子力の部分に解説を加えたものとなっております。
 2030年には、エネルギー基本計画の議論で出された発電電力量比率それから設備容量を記載してございます。設定した値につきましては、審査中あるいは未申請の原子炉全てが動けばクリアできるような数字でございます。もろもろの課題はあろうかと思いますが、GX実行会議での御指摘のとおり、再稼働審査の加速が必要と感じております。
 2050年になりますと、現行の法令では60年で運転を終了することになっていますので、設定した電源比率には到達しません。したがいまして、新増設・リプレースが必要になってくると思います。
 8月のGX実行会議では、次世代革新炉の開発・建設の検討が提示されましたが、やはりここでは、エネルギー基本計画の中にしっかり記載して位置づけることが重要だと考えてございます。
 設備の利用率につきましては、2050年時点で海外並みの85%と設定してあります。海外では90%以上の実績もございますけれども、既設の原子力発電所の大型機器取替えにつきましても想定しまして、現実的な値として置いてございます。
 新設計画については、震災前には幾つかの計画がございましたけれども、現時点の状況を改めて検討しまして、下のほうに、①、②、③ということで、さらなる選択肢につきまして提示させていただいたところでございます。
 めくっていただきまして、9ページでございます。
 まずは、既存の軽水炉をベースにした次世代PWR・BWRの絵を示してございます。
 冒頭、高速炉あるいは高温ガス炉を中心にとおっしゃっておりましたけれども、軽水炉におきましても共通するところがあると思いますので、お聞きいただきたいと思っております。
 まず、福島第一原子力発電所の事故の反省を踏まえて、安全を強化した大型の軽水炉でございます。総合資源エネルギー調査会の革新炉ワーキングにおきまして提示されているのは革新軽水炉ということになってございます。
 既存の軽水炉のベースと申し上げましたけれども、過酷事故の際に、過度に加熱した燃料被覆管の水・金属反応を抑制して水素の発生を防止する事故耐性燃料技術のほか、あるいは利用率を向上させる施策の一つとしまして、現行の13か月を例えば18か月とか、あるいは海外で目標にしている24か月などの長期サイクル運転を目指して、使用済み燃料の発生量をも抑える燃料の燃焼度を上げる技術が考えられてございます。
 文科省様の資料1-3にもございましたように、それらの実現に向けて、現在国内で失われている照射炉などの研究開発用原子炉のベースにつきましては期待が大きいと考えてございます。
 次、10ページを御覧ください。これは、ウランの燃料を有効に利用する技術です。
 下に描いてある絵は、軽水炉でも高速炉に近い性能を目指す軽水冷却高速炉の例でございます。9月に開催された高速炉戦略ワーキングでは、実現までに長期間を要するナトリウム高速炉のつなぎの技術と指摘されました。
 これから本格化するプルサーマル、MOX燃料の利用の技術を段階的に高度化させるということで、新たな燃料の炉物理試験、あるいは燃料材料の照射試験、プルトニウム、マイナーアクチノイドの抽出の燃料の成形、さらにはMOX燃料のリサイクル技術などが考えられます。様々なR&Dや整備すべきインフラなどの期待が大きいと考えてございます。
 めくっていただきまして、次、11ページでございます。
 これは、小型の軽水炉の例でございます。
 海外では久しぶりに再開された大型炉の建設でございますけれども、工期の遅延あるいは予算超過が起こっておりまして、これは、恐らく久しぶりに建設されたところで顕在化した技術力の低下、サプライチェーンの劣化なども原因と考えられます。さらには自由化環境下での資金力、リスク回避など、様々な観点から、小型炉の需要が喚起されていると思っております。
 海外では、幾つかにつきましては規制審査が進んでいる原子炉もありますので、実現は、我々が考えるよりもひょっとしたら早いかもしれないと思っております。こうした計画に国内企業も参加しておりまして、技術力を磨いていると思いますけれども、良好なこうした事例が実現されれば、国内の導入もさほど難しくないのかなと思っております。
 ただし、国内の規制をクリアするためには、あるいは国民理解を得るためにも、推進側あるいは規制側が共通の理解を得るための場として、こういったR&Dの基盤が必要ではないかと考えております。
 こうした話は過去の作業部会で協議しておりますので、参考資料のほうを参照していただければと思います。
 次の12ページでございます。
 これは時間軸を示しておりまして、軽水炉につきましては成熟技術と見られがちではありますけれども、2050年カーボンニュートラルにおきましては、より安全でより経済的、資源の有効利用ができる様々な伸び代がありますので、こういったことを認識しながら開発をしていこうと考えてございます。
 続きまして、めくっていただきまして、13ページ、ここからは軽水炉以外の技術を記載してございます。
 この後、JAEA様のプレゼンテーションで詳しく言及されておりますので、少しスピードアップしながら説明していきたいと思います。
 まず、高温ガス炉でありますけれども、特長や利用形態は上の箇条書のところに書いてございます。
 下には水素製造の例、蓄熱システムの組合せの提案例を示しております。
 高温ガス炉自体の技術開発、それから高温ガス炉と熱の利用側のインターフェースにつきましては様々な課題があると思いますので、今後の議論に期待したいと思います。
 また、水素につきましては、先ほど申し上げましたように、火力の水素燃料の利用と併せつつ、様々なニーズについて踏まえながら議論させていただければと思っております。
 めくっていただきまして、14ページでございます。
 ナトリウム高速炉について記載してございます。
 まず、特長は上に書いてあるとおりでありまして、2018年、政府で決定した高速炉戦略ロードマップにつきましては真ん中のところに書いてございます。
 先日の高速炉戦略ワーキングでは、当面の国内の開発ステップにつきまして示されたと認識しております。
 一方、海外を見ると、ロシアやインドが先行しておりまして、中国の勢いも侮れないと考えております。アメリカでは大型予算の計画が進行しておりまして、政府の多目的試験炉の計画、あるいは民間も参加したナトリウム計画が進んでいるところでございます。
 個人的な意見となりますけども、国内の機関や企業がこのようなプロジェクトに参加して、こういった機会を上手に活用しながら、また国内の経験を組み合せながら、開発の柱を太くするのも賢明な選択肢かなと考えてございます。
 めくっていただきまして、15ページでございます。
 これは、軽水炉以外のロードマップでございます。
 
 15ページ、これは過去の作業部会で示した資料でございます。
 高速炉の開発につきましては、燃料サイクルの開発と併せた両輪で実施する必要があると考えております。
 一方で、燃料サイクルの柔軟性が確保されておりますので、こういった時間軸も意識しながら、ひょっとしたら段階的にできた技術から社会実装していくということも考えられますので、こうやって世の中に徐々に役に立てていくということも重要かなと思っております。
 次の16ページ目につきましては、新たな利用形態として提案されているマイクロ炉を三つほど例として記載してございます。
 それから、核融合炉の例も記載してございますけれども、核融合炉につきましては別の場があると思いますので、この場では説明を省略したいと思います。
 続きまして、17ページでございます。
 これは、軽水炉以外の革新炉につきまして時間軸を示しております。
 これらの技術につきましては、2050年までではなくて、2100年まで意識したものとなってございます。こうした長期にわたる開発の進め方も議論のアイテムではないかと思ってございます。
 最後、18ページ目でございます。
 ここは、今後、議論したいアイテム、課題やアクションにつきまして記載しているものであります。
 エネルギーの安定供給につきましては、カーボンニュートラルに貢献する原子力発電、この利用に当たりまして、解決すべき社会的な課題など様々なものがあると思ってございます。この場には、研究者、メーカー、事業者などそれぞれの役割がございまして、それぞれちょっとずつ出口が異なる意識があると思いますが、最終的なゴールを見据えまして、原子力の政策課題を解決しながら、安定で経済的なエネルギーを経済活動や国民生活のためにお届けするということを意識しながら議論していきたいと思ってございます。
 下には、1年半ぐらい前の作業部会でJEMAが発表した資料の名前を記載してございます。文科省様の御配慮によりまして、本日の参考資料3として配付していただきましたので、今後の議論に際して、必要に応じて参照したいと、引用したいと思っております。
 説明は以上でございます。ありがとうございました。
【山口主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして御議論いただきたいと思います。御意見のある委員におかれましては、オンラインシステムの挙手機能を用いてください。いかがでしょうか。
 出光委員、では、どうぞお願いいたします。
【出光委員】  御説明ありがとうございます。九州大学、出光です。
 御説明いただいたスライドの5枚目のところで電源構成書いてございますが、この前提の中で、要は調整力については、一応火力と、それから水素アンモニアだと思っておりますけれども、これで十分な調整力が担保されるのかなというところ、若干疑問に思っておりまして、場合によっては原子力のほうでも負荷追従とかそういうことを想定する必要があるのかと、こういった観点について、何か議論されましたら教えていただけますとありがたいです。
【小澤委員】  ありがとうございます。
 調整力としましては、火力、水素アンモニアの話。それから、下に火力・CCUSと書いてありますけれども、こういった電源ですね。それからは地熱、水力、諸々あろうかと思います。
 電源側ではこういったものもありますでしょうし、原子力については負荷追従運転というものもあるかと思います。これは能力としては既に持っているものですけれども、実際に使う想定では、この数字としては、あまり議論してなくて、むしろ「はじめに」のページ、3ページ目ですね。全体の調整力としては、グリッド全体、それからBEMS――ビルのエネルギー・マネジメント・システムとか、FEMS工場のエネルギー・マネジメント・システム、それから家庭の太陽光につきましても、ホーム・デマンド・レスポンス、エネルギー・マネジメント・システムがございますので、全体としては、そういった技術も含めて系統全体として議論したものであります。
 もちろんそういった原子力の負荷追従運転の選択肢ということでなろうかと思いますけれども、電力比率の設定についてそれを検討すると、若干変数が多過ぎるので、ここでは検討してなくて、能力を持っているというところにとどまっております。
 以上です。
【出光委員】  ありがとうございました。
【山口主査】  ほかにはいかがでしょうか。
 桐島委員、手を挙げていらっしゃいますか。桐島委員、どうぞお願いいたします。
【桐島委員】  東北大の桐島です。御説明ありがとうございました。
 すみません、ちょっと細かいところを一つ確認したかったのですが、14枚目の今日の資料で、高速炉サイクルの話が出てきておりますけれども、これはもしかしたら文科省の御担当者様に聞いたほうがいいのかもしれないですが、高速炉開発の意義で、プルトニウムを生産して利用しようという話が出ております。
 これ自体は昔のもんじゅの頃やっていた高速増殖炉の開発意義と一緒だと思うのですけれども、あえてターミノロジーとして、今般の話だと、全て、この後のJAEAさんの資料もそうですが、高速炉開発となっております。
 一般に高速増殖炉と高速炉を使い分けるときには、後者の高速炉のほうが、必ずしもプルトニウム生産を主目的に置かないで、マイナーアクチノイドの核破砕を目的とした専焼炉なんかも入ってきますが、今般こうやって全て高速炉というターミノロジーになったのは、何かそういう理由があるのでしょうか。
【小澤委員】  御質問ありがとうございます。
 このロードマップにつきましては、まず2050年のカーボンニュートラルというところをターゲットにしてつくったものであります。したがいまして、プルトニウムにつきましては、まずは既存の使用済み燃料に含まれるもの、それから海外に保管している抽出済みのプルトニウムもあろうかと思います。こういったものをまず使いつつ、プルトニウムを生産していくという順番になるのではないかなと思いますので、このロードマップの中では高速炉という言い方をしてございます。
 今後、プルトニウムをどんどん生産しなければいけないというような時代になってきましたら、高速炉の中の増殖機能を使いまして、増殖機能を加えた高速増殖炉ということになっていこうかと思います。
 いずれにしましても、炉心を変えていけば高速炉を高速増殖炉にすることもできるかと思っております。
 以上でございます。
【桐島委員】  分かりました。そうしますと、今の段階ではプルトニウム生産というのは第1より少し後に出てくるということでこういう使い方になっていると、そんな理解でよろしいですかね。
【小澤委員】  そうですね。取りあえず、まずはプルトニウムバランスというものも出ておりますので、そこを意識してございます。ありがとうございました。
【桐島委員】  ありがとうございました。
【山口主査】  ほかにはいかがでしょうか。大丈夫でしょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。
【小澤委員】  ありがとうございました。
【山口主査】  電機工業会――JEMAのほうから、産業界としてのスタンス、それから期待など、資料として御提示いただき、説明をいただいたところ、また参考資料3は、また随時、原子力科学技術委員会の研究開発基盤人材作業部会の資料ということですので、必要に応じて御覧いただければと思います。
 それでは、小澤委員、どうもありがとうございました。
【小澤委員】  ありがとうございました。
【山口主査】  続きまして、三つ目の議題に移ります。
 三つ目の議題ですが、次世代革新炉開発に必要な研究開発項目及び基盤インフラについてでございます。
 こちらの御説明は、資料3を用いまして、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の大島理事より御説明をいただきます。御説明の後で委員の皆様に御議論いただきたいと思います。
 それでは、大島理事、準備できましたらお願いいたします。
【大島理事】  大島でございます。今、音声よろしいでしょうか。
【山口主査】  はい、聞こえております。
【大島理事】  ありがとうございます。
 資料が出ましたので、始めさせていただきたいと思います。
 私のほうからは、次世代革新炉の開発に必要な研究開発項目及び基盤インフラとしまして、次世代革新炉に求められます要素と、それに対応する研究機構におけます研究開発の現状を紹介するとともに、今後の研究開発の課題と、その解決に必要な基盤インフラの整備について概説させていただきたいと思います。
 次のページをお願いいたします。
【嶋崎戦略官(事務局)】  今しばらくお待ちください。
【山口主査】  今やっておりますので、ちょっとお待ちください。映りました。
【大島理事】  出ました。ありがとうございます。
 このシートは、次世代革新炉に求められる要素をまとめております。
 福島の事故を受けまして、一層の安全性向上というのは大前提としまして、脱炭素電源としまして、大規模で安定した供給が可能であること。さらには、そのエネルギーを生み出す技術がサプライチェーンを有すること。すなわち、海外に依存せずに技術自給が可能であることも、昨今の国際情勢を鑑みまして大事な要素と考えてございます。そういう意味での安定供給でございます。
 次に、資源循環性でございますけれども、こちらは先ほど出ましたが、限りある資源、さらには、原子力の課題であります高レベル放射性廃棄物、これらをリサイクルする技術革新を得まして、輸入を極力削減するような資源有効利用が可能となること。
 そして、柔軟性と書いてございますけれども、こちらはやはり再エネ、特に太陽光や風力といった変動再エネには、必ずその変動を吸収する手段が必要でございますが、CO2を排出しない原子力をこれに充てると。
 このために、負荷追従運転であるとか、水素製造や蓄熱でエネルギーを貯蔵することで調整を達成すると。
 あと、非エネルギー事業としましても、がん治療などの医療用のラジオアイソトープの製造で国民福祉向上に貢献することも、ここでは柔軟性として取り上げてございます。
 次のページをお願いいたします。
 原子力機構では、今の要求を受けまして、まず、軽水炉の安全性向上に加えまして、次世代革新炉としましての高温ガス炉及び高速炉等サイクル技術の研究開発を進めてございます。
 本日は、先ほど出ていますように、高速炉サイクルと高温ガス炉につきまして、研究開発の現状、それから今後の課題、必要なインフラについての説明をさせていただきたいと思います。
 次をお願いいたします。その次をお願いいたします。
 最初は高速炉サイクルということでございます。
 高速炉サイクルの特長をこちらのシートにまとめてございます。
 まず、高速炉サイクル、先ほどから出ていますけれども、やはり資源有効利用ということでウラン資源の有効活用ということで、軽水炉に比べまして数十倍以上の有効活用ができるということ、また、燃料サイクルによりまして、海外の情勢に左右されない安定したエネルギーを確保することが可能であることが言えるかと思います。
 また、当然CO2を出さないということ、さらには、高レベル廃棄物のもとになりますマイナーアクチノイドといったものを燃焼させてしまう、燃料として使ってしまうことが可能ですので、これを用いまして、約10万年の管理というものに対して、約300年まで縮めることが可能ではないかということも考えます。
 そういった意味で、環境負荷低減、先ほど、高速炉の増殖性能の話もありましたけれども、プルトニウムの状況によりまして、燃焼を優先する場合、あるいは生成を優先する場合と調整することももちろん可能でございます。
 それから、出力変動の再エネにつきましても、これを補完することも可能でございます。
 また、高い安全性という観点からしますと、液体金属ナトリウムを使うことから、自然循環能力が高く、空気との熱交換も容易であることから、仮に福島のような同じ事故が起こっても、電源が全部喪失しても、自然に熱が除去できるというような高い安全性を兼ねております。
 そういった意味で、グリーン成長戦略で求められるイノベーションの実現に、高速炉は役に立つのではないかと考えてございます。
 次をお願いいたします。
 こちらは、高速炉サイクルの開発目標が、国の高速炉開発会議戦略ワーキンググループにおきまして、その案が提示されてございます。
 高速炉サイクルの、先ほど申しました特長を具現化することを目標としてございます。こちらも時間の都合で割愛しますけれども、ここに書かれているような六つの項目それぞれに目標が提示されてございます。
 次、お願いいたします。
 こちらも原子力小委革新炉ワーキンググループで提示されてございます技術ロードマップでございます。
 こちらは、高速炉の実証炉という観点からしまして、一番上の欄になりますけれども、一応2045年頃を実証炉導入、運転ということを目指してございます。これを受けまして、真ん中のR&Dの展開であるとか、それから燃料供給に向けた製造施設の建設・運転工程が示されてございます。
 研究開発につきましては、機器・系統の技術実証であるとか、それから燃料・材料の照射データ取得だとか、規格・基準類の整備というところに大きく集約されているのがこちらの図でございます。
 次のページをお願いいたします。
 これを受けまして、原子力機構におきましては、高速炉の研究開発を進めてございます。もともとの戦略ロードマップにおきましては、ここに書かれていますように、民間が取り組む多様な技術開発に対するニーズ対応型の研究基盤の維持・発展、それから、ナトリウム冷却高速炉の開発を通じて蓄積している研究開発の知見と、試験研究インフラを研究開発基盤として発展させることが、原子力機構に課せられたノルマといいますか、オブリゲーションとなってございます。
 この中に大きく、一番左側にございますけれども、評価手法の開発、私どもはARKADIAと呼んでおりますが、統合的な評価手法によりまして、合理的な設計を可能とするようなものを開発しております。
 それから、真ん中の上でございますけれども、規格基準の整備を進めてございます。こちらは、例えば安全に関しましては、GIF―第4世代国際フォーラムを活用しまして、安全設計クライテリア、安全設計ガイドラインというものを日本が主導で開発を進めて、整備を進めておりまして、これを世界が採用していくという流れをつくってございます。
 また、その下の、安全性向上の技術の開発につきましては、やはり再臨界問題であるとか、冷却材の化学反応、こういった高速炉特有の事故に対する防止といった要素技術の開発につきましても、私どもで研究開発を進めてございます。
 こういった研究開発を、国際協力というものを使いまして、非常に効率よく進めているところが私どものやり方でございます。
 次をお願いいたします。
 それから、燃料サイクルにつきましては、こちらに示してございます。
 まず、小規模でございますけれども、先ほどマイナーアクチノイドのリサイクル、SmARTサイクルと呼んでございますが、こちらはMAを実際に分離しまして、それを燃料につくり直して、「常陽」で照射するということ、これを実証しようということで動いてございます。
 現在、世界最高レベル、2グラムではございますけれども、MAの回収を達成しておりまして、「常陽」が運転再開しましたら、これを使って燃料サイクルはクローズするというところを実証しようと研究を進めております。
 また、右の真ん中になりますけれども、MA含有MOX燃料の照射試験というものを進めておりまして、様々なデータを取得しているということ、さらには、経済性も含めまして、長寿命の炉心材料の開発ということも進めてございます。
 次のページをお願いいたします。
 また、「もんじゅ」は止まったわけでございますけれども、実は、「もんじゅ」も各段階で様々な成果が得られてございます。
 もともと、この全体の図でございますけれども、これは「もんじゅ」でもともと取得しようと思っていた項目でございます。この中で、緑で書かれているところが基本的には取得が終わっているもの、また、白は取得ができていないものでございます。
 残念ながら、長期運転ができておりませんので、長期運転で得られるデータというものについては得られておりませんけれども、建設、それから運転、それから様々なメンテナンスに関わるものにつきましては、それなりのデータが得られています。
 特に、高速炉の開発・設計につきましては、設計ツールというものが整備されたということが大きなポイントかと思います。
 また、40%出力ではございますけれども、実際に発電を行ったということにつきましても一つの実証であると考えてございます。
 こういったデータが、今後の実証炉に向けて、ナレッジベースとして整理されていくことになります。
 次をお願いいたします。
 以上のような研究開発をまとめた表がこちらでございます。
 こちらは、今後必要となっている研究開発とその基盤整備ということを、先ほど御提示させていただきました開発目標が六つございましたけれども、その項目ごとにまとめているものでございます。
 一つ一つは時間の都合で紹介はしませんけれども、例えば安全性であれば、受動安全ということを強化するために、自然循環の崩壊熱除去系をさらに効率化していくということ、さらには、勝手に止まるといいますか、自己作動型の炉停止機構、こういったものを開発していくというところを掲げております。
 また、経済性につきましては、やはり規格基準を合理的なものにしていくというところでございますし、環境、資源有効利用性、それから核拡散抵抗性、これは一つ一つが1対1に必ずしも対応するものではございませんけれども、ここに掲げてあるような研究開発の項目が挙げられてございます。
 また、柔軟性の中には、少し異質かもしれませんけれども、国民の福祉向上という観点で、医療用のRI製造ということもここに含めさせていただいております。
 こういったものを含めまして、今後の基盤整備をしていくことになります。
 これを受けまして、次のページをお願いいたします、原子力機構で取り組んでいる現状をまとめた図でございます。実際にどういう施設、どういう課題があるのかということをこの1枚にまとめてございます。
 例えば、左上になりますけれども、やはり高速中性子の照射というものは当然必要になってまいります。ここでは、現在は「常陽」が中心になっていまして、それを使った照射後試験装置、照射後試験施設がございます。これは「常陽」の運転再開に向けて課題がございますし、また、照射後試験施設につきましても、耐震補強とかが今のところハードルになっておりまして、なかなかその先に進めないという状況がございます。
 また、医療用のRIの製造につきましても、現在それに向けて施設の整備を進めているところでございます。
 また、ナトリウムの取扱技術は特別な技術でありますけども、こういったものにつきましても様々なナトリウム試験装置がございます。こういったものを維持・整備していくということ、特にAtheNaとここに書かれてございますけれども、大きなナトリウム試験装置でございます。これですと、日米の協力では、TerraPowerとの協力関係がございまして、こういったものを使っていくようなことを、今、交渉といいますか、相談しているところでございますし、先ほどの「常陽」につきましては、やはり日仏・日米の中でも、こういったものを使いたいというニーズもございます。
 さらに下の段に行きますと、こちらにつきましては燃料サイクル関連でございまして、燃料製造であるとか、あるいは燃料の再処理であるとか、こういったものにつきましても、それなりの施設がございますけれども、やはり施設の老朽化もございますが、こういったものの整備をある程度進めていく必要があると思います。
 また、規制対応という大きな壁もございます。
 次のページをお願いいたします。
 以上のような研究開発の課題を、施設という観点でまとめ直してみたのが、この表でございます。
 こちらもちょっと細かいので、詳細は省きますけれども、基本的には、現在ある施設と、それから開発項目が並んでございます。特に丸・バツ・三角というところで、既存の施設でカバーできるもの、それから既存の施設はあるけれども現在動いていないとか、施設のさらなる整備が必要といったものは三角、それから、無いというものにつきましてはバツということで整理されてございます。
 例えば、「常陽」を運転再開すれば、こちらにつきましては、照射場としてはできますので、こういったものに対しては対応できるであろうと思います。
 一方、カバーできていない項目につきましては、ここにまとめてございます。真ん中ぐらいになりますけれども、安全性の実証であるとか、新機能実証施設と書きましたが、ここに書かれている要素が、現在、実施していく術がないという状況でございます。
 例えば、安全性の向上というところで幾つか手法がございますけれども、こういったものを実証していく施設が必要だということ、それから、多様性というところで、医療用のRIの製造も含めて、こういったものができる施設が必要だということです。
 これを一つ一つやっていくのか、あるいは一つの施設にまとめていくのかということは、これからまた検討になりますけれども、この辺の詳細についての議論は、2回目以降で説明させていただきたいと思っています。
 また、その下、MOX燃料の製造・湿式再処理分野、また、金属燃料・乾式再処理分野、こちらにつきましても、ここに示すような課題と、それから施設の整備状況が書かれてございます。
 こちらにつきましては、各論につきましては、第3回、第4回で、さらなる深い議論をさせていただきたいと思います。
 取りあえず、この表としましては、こういう課題等、それからこういう整備状況だということを御認識いただければと思います。
 次のページをお願いいたします。
 引き続きまして、高温ガス炉のほうについて説明させていただきます。
 高温ガスシステムの特長は、大きく二つございます。
 一つは、やはり高い安全性ということでございます。こちらは昨年運転再開いたしました。規制委員会のほうから、炉心が溶けないというところを認めていただきまして、そういった高い安全性を有するというところから、こういった特長がございます。
 また、多様な熱利用というところで、右側の上のほうにございますけれども、その下のほうに高温ガス炉、高速炉、軽水炉がカバーする温度帯がございます。これを見て分かりますように、様々な化学プラント等、あるいは水素製造に対応できる範囲を高温ガス炉はカバーしてございます。そういった意味で、多様かつ効率的な熱利用ができるというところも大きな特長でございます。
 現在、大洗研究所のほうでは試験研究炉HTTRを有しておりますけれども、こちらも950度という世界最高温度を達成してございます。こういった技術力を見込んで、様々な国際協力が現在進められているところでございます。
 次のページをお願いいたします。
 この高温ガス炉につきましては、こちらもやはり政策の部分の中に幾つかピックアップされてございます。
 まずは、グリーン成長戦略につきましても書かれてございまして、特に水素製造の技術実証というものを2030年までに行うということが記載されてございます。
 また、さらに、先日行われました革新炉ワーキンググループの中におきましては、各炉型を含めてですけれども、高温ガス炉に対する様々な視点からの評価がなされまして、さらに開発に向けたロードマップが提示されてございます。
 このロードマップが次のページでございます。
 こちらは、少し高速炉よりは早いですけれども、約2035年頃に運転開始というところに向けて実施項目を準備してございます。
 このロードマップの中におきましては、2030年までに、HTTRを活用しまして熱利用試験というのを行いまして、ここで、ガス炉と、それから水素をつくる一般施設を接続するという技術の確立を行っていく、安全基準をつくっていくということが一つの大きな仕事になります。それを受けて、実証につなげていくわけでございますけれども、ここでは、まずは水素につきましては、既存の水素製造技術、メタンを使って、まずは接続の技術を確立するということ、並行して、カーボンフリーの水素の技術の開発も進めていくことになります。
 したがいまして、最初の2035年は、まずは既存水素製造技術を用いた施設、そして発電につきましても蒸気タービンを使っていくことになります。それ以降、カーボンフリーの水素技術を開発し、さらにはガスタービン技術を確立しまして、これを順次入れていくというような計画になってございます。
 それと並行して、こちらにつきましても、燃料製造施設建設と運転がなされていくような計画でございます。
 次のページをお願いいたします。
 高温ガス炉につきまして、これまでに得られた成果と、それから実証炉に向けた課題ということをこちらにまとめてございます。
 特にHTTR等を通して得られた成果がこちらに示されてございます。これを受けて実証炉の課題としましては、大ざっぱに申しますと、やはり様々な設計基準・規格基準、こういったものを整備していくこと、さらに必要となる材料データを取得していくこと、それから炉心の高度化を図っていくこと、それから先ほどから出ておりますように、ガス炉と熱利用の施設をつなぐ技術開発を行っていくことが大きなものとなってございます。
 次のページをお願いいたします。
 JAEAの中で、一つの例でございますけれども、例えばHTTRを用いた安全性試験をこちらで挙げてございます。
 こちらが安全だと申しました、炉心が溶けないということでございますけれども、実際にHTTRを用いまして、これはOECD/NEAの国際プロジェクトとして行っているものでございますが、30%出力の状態から、スクラムが入らない状態で循環器を止めます。止めた状態でもパッシブなものになりまして、炉心の出力が下がってくること、それから燃料の温度も上がらず、放熱によりまして十分冷えるということが、これは実際に実証したデータでございます。今後は、さらにこれを100%の出力からやっていく試験が計画されています。こういったものが一つの大きな成果になってつながってくるものでございます。
 次のページをお願いいたします。
 次は、これも平成10年から16年にかけて行ったものでございますけども、水蒸気改質を用いた水素製造技術です。こちらは既に実証済みの水素製造方法でございまして、これを使って今後は、先ほどから申しておりますような、高温ガス炉と、それから一般施設、水素製造施設をつなぐような、安全の考え方、つなぐ技術、こういったものを開発するものに使っていきたいと考えてございます。
 次のページをお願いします。
 以上のように、開発課題と、先ほどと同様に高温ガス炉の部分も、関連する施設を整理したものがこちらの表になります。まずは、こちら実証炉、1号炉と言うのでしょうか、蒸気タービン発電と既存水素製造技術で立ち上げる場合の開発課題というものをこちらに整理してございます。
 まずは、熱利用分野ということで、炉と、それから一般施設をつなげていくものの確立が必要だということでございます。
 こちらは、現在エネ庁さんの委託費によりまして整備を進める計画で、今、動いておりまして、2030年までには、こちらも技術実証を進めていくことでございます。こちらも第2回の炉技術のほうで、細かい話については説明させていただきたいと思います。
 それから、高温ガス炉の、その下でございますけれども、やはり燃料につきましては、その製造、燃料製造はこれまでできましたけれども、今、サプライチェーンの関係でなかなか難しいところでございます。こういったものを民間燃料メーカーの委託によりまして、今後は復活させていうようなことが必要だと思われます。
 また、それを再処理していくような技術、さらには炉心燃料・材料分野ということで、様々な高性能化に向けた照射試験であるとかいうものが必要になってくると思います。
 これも、個々の話題につきましては、第3回、第4回で説明させていただければと思います。
 次のページをお願いいたします。
 それから、その次の実証炉、2号炉と言っていいかどうか分かりませんけれども、いわゆる最終的な形でありますガスタービン発電とカーボンフリーの水素製造技術に向けましては、やはりカーボンフリーの水素製造技術を開発するということ。それから、そういった施設とHTTRをつなげていくようなことで実証していくことが必要であります。
 また、ヘリウムのガスタービンにつきましても、現在開発を進めておりますけれども、これをさらに進めていくことが必要でありまして、これは実証試験を行うための施設というものはまだ未整備ということになります。これは少し先の話になります。
 次のページをお願いいたします。
 ここまでが、高速炉と、それからガス炉のハード的なお話ございました。もう一つ、インフラあるいは基盤技術として大事なことがあると思いますので、次のページをお願いしたいと思います。
 それは、やはり評価手法の整備ということでございます。
 インフラ整備についてはハード的なものになりますけれども、そのハードを使って実際に実証炉をつくっていくために、非常に高性能、高精緻、効率的な評価手法をつくっていかなければならないと。これは設計の合理化というのも含めますけれども、規制対応であるとか、こういったものに対応していくための評価手法が必要になってまいります。
 こちらはその一例でございます。これは現在、高速炉を中心につくっておりますけれども、ARKADIAというものでございます。
 イメージは、上の図、ちょっと何か団子が三つぐらい書いてありますけれども、左側のピンクのところになりますが、ちょっとしたプラントのイメージと、それから評価指標を入れてあげると、ARKADIAの中で様々な評価が行われて、結果的に最適化されたプラントのイメージが出てくるというようなものでございます。
 これまで個々の技術者が、ここを進めて、それをインテグレートしていったものですけども、これを今の技術を使って、ソフトというものも含めてインフラというふうに称したいと思っております。
 私のほうからの説明は以上になります。
 非常に駆け足で恐縮でございました。ぜひ、何か欠けているとか、この辺はどうかということについて、御議論、御意見いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【山口主査】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につき御議論をお願いいたします。また、意見ある委員の方におかれましては、オンラインシステムの挙手機能を御活用ください。いかがでしょうか。
 出光委員、どうぞお願いいたします。
【出光委員】  御説明ありがとうございます。
 これまでやられてきたもの、研究開発の延長と感じておりますが、先ほどの話から、新しいものが幾つか出てきていると思います。多分将来的に点検の間隔を広げるという話もありましたけれども、オンパワーのメンテナンス技術とか、そういったものが必要になるかと思うんですが、特に高速炉、今後大型化になるかどうかというのは分かりませんが、あと、高温ガス炉につきましても、特に温度が高い状態で行われるということで、オンパワーのメンテナンス技術がどうなっているかということを一つお伺いしたいということ。
 あと、これまで文科省がやってきました革新的原子力システム開発事業の中で、幾つか新しい芽が出ていたと思うんですが、例えば、超臨界のところを水ではなくてCO2でやるとか、あるいはナトリウムの活性量を下げるようなものであるとか、そういったものがあったかと思いますが、そういったものの取り入れについての検討がどうなっているか、その辺りをお伺いしたいんです。
 以上2点、よろしくお願いいたします。
【大島理事】  ありがとうございます。
 後半のほうからお話させていただきますけれども、新しい技術としまして、例えばナトリウム冷却炉につきましては、ナトリウムの化学的活性が問題になりますので、これを抑える技術としましては、ナノ粒子を投入しまして、化学活性を抑えるといったことが、現在、研究開発を進めてございます。
 そういったものを取り込んで、できるだけ安全性を高めていくということについては、研究を継続してございます。
 それから、オンパワーメンテナンスにつきましては、様々な方法でメンテナンスはやっております。高速炉につきましては、これまでも「常陽」それから「もんじゅ」――「もんじゅ」に関しては少なかったですけれども、メンテナンス性を考えた上での様々な機器開発であるとか、検査の方法というものにつきまして、手法であるとか、それから規格基準につきましても整理を進めてございます。
 また一方、高温ガス炉につきましては、なかなか長期の運転がまだできておりませんので、今後は運転をするに当たって、そういったメンテナンスにつきましても、高度化を図っていくところでございます。
 現在、もちろん運転に対するメンテナンス方法というものにつきましてはあるわけでございますけれども、これをさらに長期に運転していく場合につきましては、これからの課題だというふうに考えてございます。
 よろしいでしょうか。
【出光委員】  ありがとうございました。
【山口主査】  それでは、続いて小澤委員、どうぞお願いいたします。
【小澤委員】  ありがとうございます。
 工学と工業のギャップといいますか、その辺を指摘しておきたいと思います。
 それぞれロードマップでは実証炉の工程が示されているわけでありますけれども、何といいましょうか、私が就職した頃には、実は「もんじゅ」は既に物としては出来上がっていたということで、恐らく次に造るときには、もう1世代ギャップがあるのかなというふうに思います。
 それから、高温ガス炉につきましても、平成10年が初臨界ですから、間もなく25年ということになろうかと思いまして、これも、次に実証炉を造ろうという期間につきましても、かなりなギャップが出てくるのかなというふうに思っております。
 そういったプラント全体のシステムの実力を理解するということも必要かと思っておりまして、例えば5ページ目に、自然循環によって除熱ができますといった記載もございますけれども、実際に実証炉を造るときには、大型化していて、恐らく炉心の出力とか、徐熱の能力とか、もっと大きいものになっていくのではないかと思うんですが、そういった限界を知るという開発も必要になってくるのではないかと、あるいは、確証みたいな、そういった泥臭い開発も必要ではないかなと考えております。
 もし、今回は私の意見という感じですけれども、御意見があればお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
【大島理事】  ありがとうございます。
 おっしゃることはよく理解できます。おっしゃるとおり、サイエンスからエンジニアリングに変わってくるというところが大事なことだと思いますので。
 先ほど、例えば一つの例として自然循環でございますけれども、これも実際に実験室レベルからスタートしておりますけれども、例えば「常陽」のケースもあります。それから「もんじゅ」というスケールにおきましても、40%出力までは経験がございます。ポンプ入熱ではございますけれども、実際に
このスケールでデータを持ってございます。
スケールでデータを持ってございます。
 そのデータを持った上で、今、最新のコンピューターシミュレーションというのは非常に高性能化しておりますので、こういった現象はある程度予測できるのではないかと思います。
 もちろん実証と言われると難しいところがございますけれども、可能な限り物理的な考察を加えて、基本的には、今後、「もんじゅ」のときは、もうそれこそ同じものを造って、モックアップでがんがんやってきてしまったところがありますが、今後の研究開発におきましては、なかなかそれはできないというか、合理化を図るべきだと思いますし、そのためのシミュレーション技術の開発がこれまで進められてきているところと認識してございます。
 ですので、可能な限り検証された、それからエクストラポレーションができるシミュレーションのツールと、それからミニマムな実験をうまく組み合わせて、合理的な実証をしていくというものがこれからのトレンドではないかと考えます。
 そういった意味での自然循環評価というものにつきましては、比較的できているということと、あと、私ども、まだそれは研究開発を継続しておりますし、これから実証炉の形も変わってくる場合もございますので、それに向けても、汎用性を持った手法を開発しまして、いかようなデザインに対しても評価ができるというところをそろえていくということを目指しております。一つの例なんですけれども。
【小澤委員】  ありがとうございました。
【山口主査】  よろしいでしょうか。
 じゃあ、続いて中熊委員、どうぞ。
【中熊委員】  ありがとうございます。
 スライドの13と21あたりについて質問させていただきたいのですが、JAEAさんの中長期計画7年間は今年に策定されたというふうに理解しているのですけれども、7年間ですから、最初に文科省さんが御説明された今後10年以内に着手すべき事項というものは、多くをカバーしていると理解した上でこれを拝見したのですが、利用可能性という右から2番目の列のところにある丸・三角・バツというのは、凡例を見て整備済み・整備中・未整備ということなのですが、このバツ以外は、要は丸と三角は中長期計画の中で維持すべき施設あるいは試験すべき施設というふうに整理がされているものだと理解してよろしいでしょうか。予算の問題はあるにしても、一応そういう位置づけのものだという理解で、あとはこのバツのところをしっかりこれから新規に整備するという位置づけを、新たにここに追加すればいいと、そういう趣旨の表だと思ってよろしいでしょうか。
【大島理事】  そうですね、なかなか複雑なところがあるんですけれども、大枠はそういうふうな御理解でよろしいかと思います。
 特に、今、御指摘ありましたように、やはり一番大きな問題としましては予算ということがございます。
 それから、やはり我々としては規制対応というのが入ってまいります。例えば「常陽」ですと、我々の計画としましては、もっと早く許可を得て運転再開する予定でしたけれども、実際はなかなかそうはいかないということがございます。同じことが燃料製造の技術につきましても、やはり規制というものがちょっと壁になってきていることがございますので、これを何とか私どものほうで乗り越えていくということ。さらには、予算をうまく獲得して、これを現実的に進めていくというところが、今後の我々の努力ではないかとも考えます。
【中熊委員】  すみません、中長期計画に載ってないのはこのバツの部分だけだと思ってよろしいですか。
【大島理事】  中長期計画の中には、ここは入っておりません。最近のトレンドにおきまして、特に溶融塩につきましては、再生可能エネルギーとの共存というところも含めまして、必要ということで我々は判断しているところになります。
【中熊委員】  ありがとうございます。
【山口主査】  今の議論は、多分第2回とかで大変重要なところだと思いますので、第2回あたりでしっかり御議論いただきたいポイントかと思います。
 ほかにはいかがでしょうか。
 じゃあ、石川委員、どうぞ。
【石川委員】  東京大学の石川でございます。御説明どうもありがとうございました。
 それで、本日の冒頭での文科省からの御説明では、検討のポイントとして、原子力機構が大学と民間を接続する役割、あるいは大学の知の集約拠点としての役割というところもあったと思うのですが、今、御説明いただいた必要な基盤インフラなどを使って、特に大学の、特に博士課程の研究とどういうふうに連携していくか、現時点で構想とか、お考えとかあれば、お聞かせいただければと思います。
【大島理事】  ありがとうございます。
 大学とのタイアップというのは非常に重要と考えてございます。もう既に、高温ガス炉あるいは高速炉におきましては、様々な要素開発につきまして、大学と連携を取ってきてございます。これまでも取ってきまして、これからも取っていく予定でございます。
 基本的には、大学にもあまり負荷をかけないというと変ですけれども、大学にとってやりやすいテーマというものも、我々のほうとしてはきちんと用意をして、それに対してしっかりタイアップをしてやっていくということを考えてございます。
 具体的には、細かい話になってしまいますけれども、例えば熱流動であるとか、材料であるとか、構造であるとか、それぞれの分野におきまして、それぞれの要素技術、これを特に大学の研究としてふさわしいものについてピックアップをしまして、それと大学側と交渉していくというようなことになります。
 既に継続しているものにつきましては継続、または、一緒になって研究をしていくようなことも考えてございます。
【石川委員】  どうもありがとうございます。
【山口主査】  続いて、挙げていらっしゃいますかね。
 相楽先生、どうぞお願いいたします。
【相楽委員】  ありがとうございます。
 私のほうからは、特に今後のセーフガードの対策、対応も含めた今後のこういった新型炉開発が重要かと思いましたので、そちらについて質問させてもらいます。
 あらかじめ、安全対応ですとか、それから保障措置については、あらかじめ設計段階から、そういったものを盛り込むといったものが一番肝心でして、特に「もんじゅ」なんかでは、プルトニウムの取扱いに関して、かなりIAEAの保障措置への対応も含めて、かなり確立されている技術があろうかと思います。
 一方で、今後、11ページにお示しいただいたように、マイナーアクチノイドを含めたような新しい燃料となっていきますと、従来の保障措置活動、特に検認活動などで、プルトニウムがあるかないかといったもの、査察活動をするには、多分、技術開発がまた新たに必要になってくる要素が多くあろうかと考えておりますが、特に、一例に出しました、そういった面からでのJAEAさん、特にこの10年来で規制対応というのは非常に重要なポイントかと思うんですが、何か御意見いただければと思います。よろしくお願いします。
【大島理事】  貴重な御指摘ありがとうございます。
 MA燃料につきましては、現在それがつくれるかどうかといったところに、集中しているところがございまして、それをどういう観点で、PPの観点で守っていくかということにつきましては、まだ検討しておりません。
 今後、御指摘いただいたところは、当然、核不拡散の中に考慮していかなければならない話ですので、今後の展開では、もちろん取り組んでいきたいと考えています。
 残念ながら、現在ではMA燃料につきましては、そちらのほうについては、まだ検討しておりません。
【相楽委員】  多分、世界で初めてこういったことになるので、恐らくIAEAも巻き込んで、かなり長期的に動くことかなと思っておりますので、多分この検討会は、ちょうどこの10年間でやるべき研究ネタを洗い出すのがポイントになるので、その辺も今後もぜひ御検討いただければと思っております。
 以上です。
【大島理事】  ありがとうございます。
【山口主査】  ありがとうございます。
 続いて、和田委員、どうぞ。
【和田委員】  ありがとうございます。
 今、原子力産業界では、既設の軽水炉の再稼働ですとか、新増設リプレースに向けて、サプライチェーンの維持強化ですとか、人材確保・育成などの課題に取り組んでいるところでございます。
 次世代の革新炉、高温ガス炉ですとか高速炉の開発にも、サプライチェーンの維持強化というものが重要になってくると思っております。
 そこで、2枚目のスライドに、製造・調達等のプロセスイノベーションを通じ、原子力サプライチェーンを維持・強化という記載がございますけれども、プロセスイノベーションというのは具体的にどういうことなのか、教えていただきたいということが1点です。
 もう1点は、先ほど、13ページの表などに、その利用可能性が、未整備・バツというところがございますよね。こちらは、必ず国内に施設を整備しなければいけないものなのか、それとも国際協力によってカバーできる部分もあるのか、それも含めて今後の議論なのかというところをちょっと御教示いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【大島理事】  ありがとうございます。
 2ページのほう、これは安定供給の観点からサプライチェーン、それから革新的安全性、こういったものが必要だというふうに書かせていただいております。
 先ほど御説明させていただいたところでも、私どもの技術自給というところにこだわりがありまして、この中で、実際にエネルギーを生み出す技術と、それからそれを支えるサプライチェーンというのは、やはり国内の中に持っている必要があると、そういうふうな技術自給が必要だということを書かせていただいております。革新的安全性につきましても同様に、こういった技術が必要というふうに書かせていただきました。
 それから13ページのほうですが、こちらにつきまして、すべからく国内でやるのかどうかということにつきましては、これはおっしゃるとおり、すべからく国内でやるということは、なかなか現実には難しいかなと思います。
 一方で、経済安全保障とか、昨今のウクライナ情勢を考えますと、コア技術というものは、やはりこれをしっかり認識した上で国内で持つべきだと思います。どこまでできるかということについては、もちろん議論がありますけれども、どんな状況であっても日本が困らない、日本が持っているべき技術というものをしっかり見極めて、これはやはり国内で持つべきだというところがあります。
 こういった、じゃあ、どれを持つべきか、どれを残すべきかについては、様々議論もあると思いますので、今後、詰めていく必要があると思いますけれども、少なくとも、可能であれば基本的には国内、多少汎用性があるところ、今の技術的にこだわる必要がないものについてはなるべく国外という形でよろしいのではないかと考えます。
【和田委員】  ありがとうございます。
【山口主査】  ほかにはいかがでしょうか。
 桐島委員、どうぞお願いいたします。多分マイクがミュートになっています。
【桐島委員】  失礼しました。ありがとうございます。
 今日の資料7枚目のシートですけれども、高速炉に関しては大型試験施設による実証というのがあって、これは恐らく今日の文科省さんの資料1-3であった、研究開発用原子炉というような、何らかの炉を造るような話かと理解しましたが、それでよろしいのかというのが一つと、一方HTTRについては、今日の同様の資料17ページを見ると、高温ガス炉については、HTTRを利用して技術開発をやるという矢印になっておりますので、特に新たな炉は造らないで研究開発をやるという、こんな理解をしたのですが、それでよろしいでしょうか。
【大島理事】  17ページの高温ガス炉につきましては、基本的にはそういう御理解でよろしいかと思います。特に高温ガス炉の場合は大型化ということは狙っておりません。やはり小型炉の中での安全性を担保していくということが大事だと思いますので、そういった意味では、HTTRの技術力を多少エクステンドすれば、見えるのかなということがございます。
 一方、高速炉の場合は、やはり大型化する必要が、技術によってはもちろんございます。こちらの大型試験研究ですけれども、必ずしも炉だけではなくて、私どもでAtheNaと呼んでおりますけれども、非常に大きな実証ナトリウム試験施設がございます。こういったものも含めて考えいこうと思っています。
 また、炉につきましては、それを造る造らないということについては、これから議論になるかと思います。どこまでカバーできるかということ、あるいは海外に頼れるものがあるのかないのか、こういった議論を含めて、必要であればそういったものを入れていくのではないかと思います。
 以上になります。
【桐島委員】  分かりました。議論のポイントなど理解することができました。
 このほか、溶融塩の話とかISプロセスの話など、興味あるところがあるんですが、これは第2回以降の主題ということですので、その際に質問させてください。
 私からは以上です。
【大島理事】  よろしくお願いいたします。
【山口主査】  そのほかにはいかがでしょうか。
 出光委員と石川委員、手が挙がっていますが、これは下げ忘れでしょうか、再度御発言でしょうか。
【出光委員】  再度お願いいたします。
【山口主査】  では、出光委員、どうぞ。
【出光委員】  すみません、1個聞き忘れていたもので、バックエンドの観点から、それぞれの炉について、最高燃焼度をどのように設定されているかというのをお伺いしたかったんですが。究極では高速炉の場合だと300GWd/tとか、そういうのがあるかと思いますけれども、要は、再処理するのか、ワンスルーかとか、そういった観点で、今、どういう形で考えられているか、お知らせいただけますでしょうか。
【大島理事】  すみません、細かい数字がちょっとないのですけれども、おおよそですが、高速炉につきましては、15万を狙っております。それから、ガス炉につきましては14万ぐらいを最終的には狙いたいというふうに……。最終的といいますか、今現状考えられる範囲としては、これが狙いというふうには考えてございます。
【出光委員】  ありがとうございました。
【山口主査】  また、ディテールは次回以降いろいろ議論をする場があると思います。
 石川委員、手が挙がっていますかね。
【石川委員】  はい。私もちょっと聞き忘れたことがあったんですけれども、医療用RI製造を強調されていたかと思うんですけれども、これは発電炉でRI製造もするということなのか、あるいは、それ用の、RI製造用の研究炉のようなものを整備するというイメージなのか、どちらのイメージなんでしょうか。
【大島理事】  高速炉のポテンシャルを指しておりまして、もちろんRI製造に特化した炉などもあるでしょうし、あるいは商用炉の中においても、場合によってはそういう運用ができるんじゃないかということを研究しております。特に高速炉の高速中性子を使うと、アクチニウムという、今、世界的にがん治療で注目されているRIがあるのですが、これがなかなか人工的につくれないという状況がありまして、一方で、これが高速中性子のもとで照射しますと、できるということが分かりましたので、まずは、小型炉みたいな柔軟性といいますか、あるところにつきましては、それも入れ込んでいくということで、例えば経済性向上につながっていくのではないかと思います。
 大型の炉でこれをやっていく、ベースロードでやっていくというのは、なかなか難しいと思いますけれども、調整用とか、あるいは小型炉とか、そういったものでやる場合であれば、RI製造というものも一緒に抱き合わせでやることによって、非常に、高速炉としましては、様々な分野に貢献できるのではないかと考えます。
【石川委員】  ありがとうございます。
【山口主査】  ほかに。遠藤委員、どうぞお願いします。
【遠藤委員】  ありがとうございます。
 1点お願いがありまして、8ページの国際協力のところで、非常に後ろ向きのフランスと、米国との国際協力が簡単に書かれてあるのですが、過去の例もございますので、一体JAEAが、どういう高速炉において、研究開発で国際連携できるのか、具体的なお話を次回以降でしていただけたらと思っております。
 また、日本企業もSMR企業に出資をしている企業などあるのですけれども、燃料について、HALEUなどの開発については、着手される御予定などがあるのかないのか、コメントいただけたらと存じます。
【大島理事】  ありがとうございます。
 国際協力をどう活用しているかということにつきましては、次回以降で説明させていただきたいと思います。
 あと、HALEUにつきましては、これはどういう炉を求めるかによります。例えば小型炉であれば、そういう燃料が必要になってまいりますし、あるいは高速炉はベースロードで大型で行くということであれば、特に必要はないということなります。
 また、ガス炉につきましては、それは必要なってまいります。このあたりにつきましても、燃料製造、燃料をどういうふうに確保していくことにつきましては、一つの課題になりますので、今後の検討になると思います。
【遠藤委員】  安全保障上も非常に重要なテーマですので、ぜひよろしくお願いいたします。
【大島理事】  ありがとうございます。
【山口主査】  ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、いろいろ御議論ありがとうございました。今日いただいた御質問の中で、次回以降しっかり議論していくべきところはあったと思いますが、本日は、高速炉、ガス炉を中心に、その炉のポテンシャルといいますか、どういうことができるのか、それから研究施設、基盤の現状、それから課題というものが大まかにつかんでいただけたかなと思います。
 やっぱりこれから将来の研究開発課題を洗い出していく上で、そのギャップを、技術の観点からのギャップと、それから、基盤があるかないかという観点からのギャップと、そのあたりをぜひお示しいただきたいということをぜひお願いしたいと思います。
 それから、最後、遠藤委員からも御指摘があったんですが、これは私も同じように思っていて、実は、アメリカではFFTF、これは400メガワットで大きい炉ですよね。で、自然循環試験やっていますし、EBR-2も60メガとかそれぐらいだったと思うんですが、100%からのスクラムなしの冷却材のULOF(炉心流量喪失時原子炉停止機能喪失)試験ってやっていますし、そういった海外の知見もぜひ、現在の技術のレベルのところでは、僕は加えていただければと思います。
 それも踏まえて、次回以降、次回は炉についてが中心になりますが、また引き続き活発に御議論いただきたいと思います。
 それでは、あと、ほかに委員の皆様、よろしいでしょうか。大島理事も特によろしいでしょうか。
【大島理事】  はい、特にございません。ありがとうございました。
【山口主査】  それでは、以上で本日の検討会を終了したいと思います。
 皆様には大変ありがとうございました。
 最後に、事務局から連絡事項がありましたらお願いいたします。
【宮川課長補佐(事務局)】  事務局でございます。本日は、委員の皆様、御議論いただきましてありがとうございました。
 事務局から、次回の日程のお知らせでございます。
 第2回日程については、10月28日金曜日、朝10時からを予定しているところでございます。追って今回の議事録の確認や、次回の開催案内等を改めて御連絡、お送りいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。
【山口主査】  ありがとうございます。
 それでは、以上をもちまして、本日の議事は終了とさせていただきます。皆様におかれましては、御審議いただき誠にありがとうございました。これにて閉会といたします。
 
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