次世代革新炉の開発に必要な研究開発基盤の整備に関する検討会(第7回) 議事録

1.日時

令和5年2月15日(水曜日)15時00分~17時00分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 第6回検討会で御議論いただいた論点と主な意見
  2. 新高速中性子照射炉を中心とする原子力イノベーション研究構想(日本原子力研究開発機構高速炉・新型炉研究開発部門副部門長 早船浩樹氏 発表)
  3. その他

4.出席者

委員

山口委員(主査)、浅沼委員、石川委員、出光委員、遠藤委員、小澤委員、桐島委員、相楽委員、中熊委員、吉橋委員、和田委員

文部科学省

千原研究開発局長、林大臣官房審議官(研究開発局担当)、新井原子力課長、嶋崎研究開発戦略官、藤澤原子力課課長補佐

(説明者)
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 早船浩樹 高速炉・新型炉研究開発部門副部門長
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 竹内正行 燃料サイクル設計室長

5.議事録

【山口主査】  それでは定刻となりましたので、ただいまより次世代革新炉の開発に必要な研究開発基盤の整備に関する検討会を開催いたします。
 本日は、委員の皆様にはお忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 本検討会については、引き続き新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンラインにて開催いたします。
 また、会議は原則公開とし、資料や議事概要等については文部科学省のウェブページにて公表いたします。
 それではまず事務局から、本日の配付資料等の確認をお願いいたします。
【藤澤補佐(事務局)】  ありがとうございます。それでは本日の配付資料について御案内いたします。
  資料については議事次第のとおり、資料1、資料2、そして参考資料1を配付しております。資料等の不備や映像などに乱れがございましたら事務局までお知らせ願います。
 また本日は委員11名全員が御出席となっておりますが、中熊委員は所用により少し遅れての御参加となります。
 事務局からは以上でございます。
【山口主査】  ありがとうございます。
  それでは本日全員御出席いただいているということですので、活発な御議論をぜひお願いしたいと思います。
 では議事に入らせていただきます。一つ目の議題ですが、第6回検討会で御議論いただいた論点と主な意見についてでございます。
 では資料1、こちらを御覧ください。事務局から説明をいたします。
 では事務局よりお願いします。
【藤澤補佐(事務局)】  事務局より資料1について御説明いたします。前回第6回会合では、二つの議題を取り扱いました。
 一つ目は相楽委員からの問題意識とともに、原子力機構様より、次世代革新炉における保障措置の課題と対応についてという形で御説明いただきました。次世代革新炉及びそのサイクルの導入・拡大により、IAEAの限られた保障措置リソースを逼迫する可能性があることから、開発・設計段階から保障措置を取り入れるといった、効果的・効率的な保障措置の適用が必要であるといったような内容を中心に御説明いただきました。
 二つ目につきましては、原子燃料工業株式会社様より高温ガス炉燃料への取組について御説明いただきました。原燃工さんでは、これまでHTTRに高品質な燃料を供給いただいてきたところではございますが、現在は製造ができない状況であり、かろうじて技術スキルの維持をしていらっしゃるものの、作業者が生きた技術として活用する機会がなかなか存在しないといった課題を中心に御説明いただきました。
 委員の皆様からの御意見や御質問等につきましては3ページ目以降に概要をまとめさせていただいておりますが、事前に皆様に御確認いただいておりますので、詳細の説明は割愛させていただこうと思っております。
 以上になります。
【山口主査】  ありがとうございます。今の資料を御説明いただいたところ、委員の皆様から御意見、御質問ございましたらお願いいたします。
 いつものとおりで、オンラインシステムの挙手機能を御活用ください。それで指名をさせていただきますので、その際ミュートを外して御発言をお願いします。
 いかがでしょうか。何か御質問等ございますか。
 特によろしいでしょうか。では前回の振り返りということなのですが、このような議事を確認させていただきました。
 では二つ目の議題に移らせていただきます。こちらは新高速中性子照射炉を中心とした原子力イノベーション研究構想という件でございます。
 資料2に基づきまして、国立研究開発法人、日本原子力研究開発機構高速炉新型炉部門副部門長の早船様より御説明をいただきます。その後委員の皆様に御議論いただきたいと思います。
 それでは早船様、どうぞよろしくお願いいたします。
【早船副部門長(JAEA)】  原子力機構の早船です。よろしくお願いいたします。それではお手元の資料に基づいて説明させていただきます。
 まず3ページになりますが、こちらは第2回の本会議で提示させていただきました資料の19ページの文言等を少し修正したものになっております。第2回の御議論の際に新しい照射炉を提案いたしました。その提案では、こちらの表に示されております四つの目標に向かって技術開発を進めていく上で、新高速中性子照射炉が果たすべき目標を提示したものです。
 一つ目の放射性廃棄物減容・有害度低減に関しましては、試験集合体レベルでのMA燃焼実証と、それ以外にも金属燃料でのMA燃焼にも対応すること、こういったことが目標として示されました。
 次、2番目の再エネ協調、これは調整電源としての原子力の活用になりますけれども、蓄熱システムと組み合わせた発電システムを実証した上で再エネを補完する機動性、これを実証していこうということを考えました。
 三つ目の国民福祉向上への貢献、こちらではがんの治療薬として非常に有効とされておりますアクチニウム225を高速炉の炉心を使って工業生産していくこと。薬品として工業生産をしていく上では、連続供給というのが非常に重要なことになりますので、常陽と合わせて必要量を供給していく、これを目標にしました。
 四つ目の高速炉技術基盤の確立というところでは、原子炉を設計し作っていくという知見、今失われつつあるサプライチェーンを再構築していくところ、それと今後の原子炉に求められる革新炉の安全技術、これを実装していって実証していく。こちらを目標として掲示させていただきました。
 この目標に向かって、今度は現実的な炉心の検討等を行って、どこまでできるか、どういったものが作れるかということを検討した結果を本日のプレゼンでお示ししたいと考えております。
 次のページお願いします。次のページは新高速中性子照射炉へのニーズということで、先ほどのページの中央の赤で囲んだ部分、それをもう少し具体化したものです。
 まず最初の放射性廃棄物減容・有害度低減におきましては、MA含有燃料の集合体照射試験、これらへの非常にニーズが高いということです。ここはどういうことかと言いますと、常陽ではピンレベルのMA含有燃料集合体の照射試験の実施は既にしているし、これからもしていくのですけれども、それらを束にしたものに照射するというバンドル照射、そこの機能が常陽では実現できないため、そういったことをあげております。
 二つ目の再エネ協調では、熱利用システム、これは高速炉は高温で運転しますので、その熱を利用するシステムを原子炉と接続するということ。そこが非常に重要な技術であると考えております。
 三つ目の国民福祉向上への貢献では、医療用RI生産、これは非常に有望な高速炉の機能の一つではございますけれども、効率的に生産していかなければいけない。要するに今の常陽の照射システムでは、新燃料と一緒に照射資料を炉内に装荷して運転して、次の燃料交換の際にそれを使用済燃料のルートに乗せて排出していくという非常に時間がかかるシステムです。ですから、そこを効率化するようなシステム化が必要ではないかというところです。
 4番目の高速炉技術基盤の確立の部分では、新型燃料集合体の照射試験、これも先ほどのMAと同様に、集合体規模、バンドルでの照射というのが非常に求められるということです。この新型燃料集合体というのはどういうものかということは後ほど説明しますけれども、高速炉の基本的な目標であるエネルギーセキュリティを保つようなものにしていくというためには経済性も伴う必要があります。ですので高燃焼度化、もう一つは安全性の部分で、シビアアクシデントが炉内終息するような技術を実装した集合体、これらを照射していく必要があるということです。
 その次のポツですけれども、革新炉の安全技術の実証ということで、これは安全技術として我々がこれまで長い年月をかけて開発してきた技術がございます。例えば受動的な炉停止や、自然循環による崩壊熱の除去、先ほども申し上げた過酷事故の炉内終息技術でございます。これらを実装することによって、規制に対する予見性を上げていく、そこが大きなポイントになってきます。それ以外でも、原子炉容器とか冷却系の設計・製作、そういったものもございます。
 さらにその他の高速中性子炉向けの技術基盤提供としまして、溶融塩高速炉や、ADS、そういったものの開発のための大型の高速中性子照射炉が必要だと、そういった整理をしました。
 これらをずっとつなぎ合わせていきますと、右半分にまいりまして、特に重要なところが高速中性子照射機能であるということとなりました。と言いますのも、今我々が現有で持っております常陽では実現できないような照射機能が多数挙げられているというところでございます。今世界を見渡しても、それらのニーズを満たすような照射炉というのはあまり存在しないと。高速中性子照射炉は存在しないということです。
 それ以外の熱利用システムや革新的な安全設計である自然循環で原子炉を冷却する等の技術は、炉に実装することによって、例えば規制に関する対応知見等が得られたり、実証データが得られるという特徴がございます。照射機能以外の部分は、それらの技術を炉に実装することも重要ですが、まずは炉外試験でも確認していくべきことで、これらの中で一番重要なのは高速中性子の照射機能であるということを見いだしました。
 次のページをお願いします。その照射ニーズについてもう一度整理したものが次のページ、5ページになります。大きく分けて第一は高速炉の実用化、要はナトリウム冷却炉の実用化に向けてのもの、第二は多様な原子炉システム開発に利用するもの、これは特に高速中性子を使ういろいろな高速炉であったり、ADS、そういったもののシステム開発に利用するもの、第三は一番右にあるのが原子力イノベーションとして医療用RIであるとか、その他は産業のRI製造、あと中性子ビーム利用、そういったことも考えてられるかと思います。
 そういったところを三つの観点で整理しまして、必要な機能としましては下の赤の四角の中に書いてございますけれども、比較的大きな照射スペースがいる。要は今まで常陽では縦の炉心長が50センチ、集合体の大きさも数センチと小さな集合体を使っておりました。そういったところでは実現できないような大きな照射スペースを使う照射ニーズがあるということです。
 ですから、軸長を含めた集合体レベルでの照射ができること、更に、カートリッジ方式で冷却材を仕切ることによって、別の流体を使ったような試験、要はインパイルループと呼ばれておりますけれども、そういったような試験であるとか、安全性試験、それをできる照射スペースが炉心内に必要だということが一つ。
 もう一つは、原子力イノベーションから出てきたニーズで、いろいろRI等を製造するためには、出力運転中の試料を装荷したり取り出したりする、そういったことを可能にするような設備、それがあれば照射の自由度が大幅に向上して、RIの生産効率も上がるということでございます。
 最後にビームポート、これは中性子ビームの利用で、これはまだニーズが我々もつかみ切れておりませんけれども、中性子科学等の基礎研究に利用できるようなビームポートを設置していく、そういったところもニーズかと考えております。
 これらのニーズを満たせれば、新たな機能として必要な技術基盤になるのではないかと考えてございます。
 次のページお願いいたします。一方で海外の高速中性子照射炉に目を向けます。ここでは左側のロシアのMBIR、こちらは現在建設中で、ロシア側によると2027年に建設完了というふうな発表がされているものです。右の絵はアメリカのVTRという炉でございます。こちらは計画があって、まさに建設が始まるかと期待していましたが、予算が得られずにプロジェクト自体がフリーズしているような状況にございます。
 これらの高速中性子照射炉でどのような炉心やスペックを持っていたかというのが、中央の表に示してございます。出力はMBIRが150メガワットサーマル、VTRが300メガワットサーマルです。両方ともナトリウム冷却高速炉で、炉心の中性子束はその表に示すような数字になっています。これを100メガワットの常陽と比べると、中性子束は常陽よりも少し出力が大きい分高いんだと考えているのですけれども、それらの特徴があるものです。
 それと最後に、インパイルループという行がありますけれども、ロシアでは溶融塩とか鉛冷却高速炉、そういったものの研究も進めてございます。ですので、インパイルループを中に予め設置したような炉構造になっていると。
 一方でVTR、これも炉心の中央に大きなスペースが取ってありまして、試験カートリッジをそこに挿入することによってインパイルループを設置可能であるという特徴がございます。
 一方で常陽ではインパイルループを今の炉心内に設置するというのは非常に難しくなってございますので、常陽とこの新照射炉を合わせて、同等以上の性能・機能を狙うべきだというのがここで得られた考えです。要するに、中性子束については照射時間をかければ若干解決できるところもございますので、インパイルループを取り込めるような大型の照射スペースを取れるところ、それが重要になってくるかと考えてございます。
 次のページお願いします。ここからより具体的に新高速中性子照射炉に求められる機能について整理してみました。
 最初の1番と4番の分、放射性廃棄物減容・有害度低減と高速炉基盤技術の確立の中から、このページでは燃料照射についての部分を取り出してまいりました。ページの左側に、実用高速炉の燃料はこれまでの開発で以下の仕様となることが想定されるということが書いてございます。
 まず3点特徴的なところがございまして、最初の特徴としてはMA含有燃料とすること。これは将来日本に蓄積されておりますMA、将来も出てくるMAを、放射性廃棄物を無害化するというところを狙って、将来的には高速炉の炉心燃料というのはMAを均質に混ぜたような燃料、それを目標とするということを想定しております。
 二つ目が太径・中空ペレット燃料、または金属燃料と書いてございますけれども、高燃焼度化というのは、経済性の向上であるとか、高速炉の炉心の性能向上、そこに非常に大きく貢献するものです。それを実現するためには、太径・中空ペレット燃料というのが有効であるということが分かってございます。それは下のほうの絵に書いてございますけれども、常陽・もんじゅと比較して、非常に太い径、10ミリ程度の径を持ってございまして、中心部に穴が空いていると。中空構造の燃料ペレットです。これによって、燃料体積比を高めて、炉心の性能を高めて、結果的に高燃焼度化が達成できるというような狙いでございます。
 三つ目は過酷事故時の早期溶融燃料排出と、そのために内部ダクトを実装するという考えです。下の絵にございますけれども、内部ダクトを実装した集合体の例ということで、こちらはまだ構造的に決まったものではございませんけれども、三角ピッチ配列で燃料がずっと並んでいるのですけれども、その中に金属製の中空ダクトを設置することによって、もし炉心で燃料溶融の事象が発生した場合には、ここから溶融した燃料を上下に排出することで、大きなエネルギーが発生するような事故に至らずに過酷事故を炉内終息させるという技術でございます。
 これらの三つの要素が新しい技術でございまして、これらを実装していくことが次世代の高速炉の燃料にもつながる機能かと考えてございます。
 従来の開発戦略では常陽でピン照射の後、バンドル照射とか新型集合体構造は実証炉自体、それで段階的に、要は低燃焼度から順次燃焼度を上げていくというような照射試験を行った上で最終的なスペックに到達するということで、こういった段階を経るために多少とも時間が必要でございました。
 それに対して、新高速中性子照射炉の機能としましては、大型の燃料バンドル、集合体を照射可能とすることによって、そういったデータを実証炉に先んじて集積することができるということで、実証炉の開発に役に立つ、実証炉開発自体は新高速中性子照射炉の無い元の計画でできるというふうには評価しておるのですけれども、それをより加速するようなデータが取れて、実用高速炉開発に必要な基盤の整備に貢献できるのではないかと、そのように考えてございます。
 次のページをお願いいたします。2が再エネ協調機能でございます。左側にはよくあるダックカーブの絵が描いてございまして、調整電源として赤い線で示したような出力変動ができる電源が今後求められてくるということを示してございます。
 アメリカのテラパワー社が考えておりますナトリウム炉、それも同様の考えで、調整電源、火力電源に代替する調整電源として開発が進められているというところでございます。ここを右側に書いてございますけれども、蓄熱と組み合わせることによって、それが実現できるのではないかというのは、ナトリウム炉と同様の考えでございます。
 現在、これの方法、右側の下の絵に書いてございますけれども、これは文科省の公募事業で検討しているものでございまして、SFRと書いてあるのが高速炉、あとHTGRがガス炉、LWRが軽水炉になっています。それと組み合わせて、例えばWind&Solarと上に書いてございますけれども、再生可能エネルギーやHTGRから供給される水素によって駆動するガスタービン、あと水素は原子炉以外の他産業にも供給されまして、それで例えばCO2を還元していくというような工程であるとか、製鉄に使う、そういったモデルを今構築中でございます。これらで十分な機能が達成できそうだと評価される場合には、これを実装して使っていくということを考えてございます。
 さらに文科省の公募事業のほうで、ナトリウムと溶融塩の熱交換器の設計であるとか、もし熱交換器の伝熱管が破損した場合、ナトリウムと溶融塩が混ざるのですけれども、そこで発生する化学反応等についても基礎的なデータを得るような事業を開始してございます。
 ですので、こういった評価に関わる事業と基礎的なデータを集積する事業、そこで有効性が認められていれば、これをこの炉に実装していければいいと考えてございます。
 ですので、炉としてはこういった熱利用設備を接続できるようなことを考慮した設計を取っておく。その上で性能が十分に発揮できそうだという評価が得られれば実装していく。そういった手順で対応できる再エネ協調機能については、実証していければいいのではないかというふうに考えてございます。
 次のページお願いします。次が国民健康福祉への貢献と、高速炉基盤技術への確立の部分です。まずは国民健康福祉への貢献でございますけれども、これはアクチニウム225というRIの製造を高速炉の炉心で行うということです。現在の計画では、常陽で製造実証試験を行うということで計画が進んでございます。ですから再起動後はアクチニウムの生産プロジェクトというのが常陽で開始されます。
 一方でこれは我々のほうで医療・製薬業界ともコミュニケーションを取っているのですけれども、やはり常陽1基での生産だと間欠的な供給しか得られないということ。そう考えますと2基体制を製薬業界側は要望しているということでございます。
 さらに、もっと迅速に生産をしていくためには、先ほども御紹介しましたけれども、オンライン照射装置、こういったものを開発、装備して、タイムリーな供給であるとか、供給量を拡大していく、そういったことが求められてございます。
 ですので、そういった機能を実現して、常陽とともに世界の需要を満たすアクチニウムを連続生産して、産業化まで行きつけるのではないかと考えてございます。
 次、右半分の高速炉基盤技術の確立でございます。これについては先ほど燃料の部分は(1)のところで説明いたしましたので、それ以外の部分について説明いたします。
 まず課題としましては、設計・建設・運転技術のスキルの維持・継承ということで、こちらはもんじゅを建設してから長い年月が経ってございまして、その当時の技術であるとか、スキル、人材も失われつつあるというところです。さらに付け加えましてサプライチェーンの再構築ということで、当時は国内で生産しておりました燃料被覆管であるとか六角管、あとB4Cペレット等の必要不可欠な部材が、今日本では工業的には生産できなくなっているという状況がございます。
 そういったところを課題として持っており、従来の戦略では海外知見を吸収したり、ナトリウム中実証試験であるとか試作をすると、そういったことはやっていたのですけれども、新高速中性子照射炉を建設するということになれば、炉建設によって、総合的な技術維持が可能になります。また、照射炉というのは試験研究炉でございますので、大学との連携を図って、さらに人材の確保もしていくということであるとか、燃料被覆管をはじめとしたもののサプライチェーンの再構築、そういったところに大きく貢献できるだろうということで、その部分の機能を検討しました。
 次のページをお願いします。これらをまとめて表にして、具体的にどういった貢献が考えられるかというところについて整理したのが次の二つの表になります。まず(1)から(3)までの部分について、MA燃焼技術の開発につきましては、早期に実証できる、要は実証炉で段階的にバンドル照射試験を実施していこうということに比べて、新高速中性子照射炉でそこまで行きつけるということになりますので、早期に実証できるというところが大きなメリットになります。
 これは説明が遅れましたけども、表の左から2番目のカラムは、既存のナトリウム施設とか常陽を利用した計画で、中央は実用化に向けてどういった開発をするのかという従来計画です。それに一番右のカラムが新高速中性子照射炉を付け加えた場合、どういったメリットが得られるかということを整理したものです。
 2行目の再エネとの協調に関しては、出力にもよりますけれども、必要な設備を付加すれば調整電源機能が開発できると、実証レベルの大きさになるかどうかは出力にもよるんですけれども、そういった技術を開発することができるということです。
 三つ目の医療用RI製造に関しましては、高速炉によるRI供給、これを常陽と合わせて、産業化にするところまで行けるのではないかということを考えてございます。
 次のページが、高速炉基盤技術の確立、要は実用高速炉開発への貢献というところを整理したものです。これにはいろいろございます。照射では最初に説明したように、太径・中空ペレットとか、新型の燃料集合体、これも照射特性データをいち早く取得することができるというところ。ここは安全性向上技術として、止める・冷やす・閉じ込めるというものを実装していこうと考えてございまして、実際止める・冷やすについてはもう炉外試験でかなりの技術開発が進められております。閉じ込めるについても、炉外試験等でいろいろなデータを取り込んではいるのですけれども、まだそれらをこの三つを合わせた形で、規制から認可を得たことは無い、というのが今の実績です。
 例えば閉じ込める機能に関して言えば、常陽では安全容器という原子炉容器より外側にある容器の中で閉じ込めるという機能、それで規制を通していく。もんじゅに関しても、格納容器の中で閉じ込めるようなことで規制に交渉していくということがございます。ですので、閉じ込める部分で炉内で事故終息に係る技術を実装し、これが規制上で認められれば、規制対応知見を蓄積していくことができるだろうと。それを最終的には安全設計に反映して、規制に対する予見性が得られるだろうということで、安全技術をこの炉に実装していくことによって、有益な知見が蓄積されるものだというふうに考えてございます。
 次のページをお願いいたします。最後に、新高速中性子照射炉のアウトカムとしてまとめさせていただきました。
 まず1つ目放射性廃棄物減容・有害度低減に関しましては、MAの処理を早期に実施をして、高速炉が放射性廃棄物減容・有害度低減に貢献することを国内外に示すことができるだろうというふうに考えてございます。
 2つ目の再エネ協調、調整電源につきましては、原子力が調整電源としてカーボンフリー社会に貢献する未来を示すことができるだろうと考えてございます。
 3つ目の国民福祉向上への貢献につきましては、高速炉による医療用RI供給を産業化して、国民の健康福祉に貢献できる姿を示すことができると考えてございます。
 4つ目の高速炉技術基盤の確立に関しましては、まずは実用高速炉開発への貢献として、必要な基盤には照射ベッドという基盤整備に貢献できる。安全性向上技術に関しましては、規制の予見性を向上させることができる。高速炉技術人材の維持・継承につきましては、炉を建てるということで、技術を継承していったり、照射炉で研究テーマを作り出したりということで、人材の維持・継承にも貢献できるだろうと考えてございます。特にこの高速炉技術、人材の維持・継承については重要なところですので、次のページにまとめて示してございます。
 一番左のかたまりに課題、真ん中に高速中性子炉を建設運転するに伴って実施する内容、あと右側に期待できる効果、これを整理しました。
 一番大きなところがサプライチェーンの途絶で、先ほども申し上げましたけれども、日本の産業界では被覆管とかラッパー管を製造する技術というのは、ほぼ失われております。あとB4Cについても同様です。ナトリウム弁についても、なかなか大きな口径のものを調達するのが難しいような状況にございます。
 高速中性子照射炉を建設運転していくという中には部材調達ということも含まれてきますので、そういったものについてサプライチェーンが再構築できるというところが大きな効果だと考えてございます。
 あと、2段目の開発・設計・運転・保守経験の途絶ということも、今もんじゅは止まっていまして、常陽は運転再開がもうすぐだということではありますけれども、一方でメーカー技術者の設計・建設知見であるとか、ナトリウム機器の制作技術、あと運転保守、あとJAEAでのR&Dの経験についても、ずいぶん縮小してございます。これらに関しても、炉の開発・建設・運転・保守、こういったことをすることによって、経験、知見が蓄積されていって、それらの回復に大きく貢献できると考えてございます。
 最後、人材でございますけども、JAEAの高速炉の研究開発要員であるとか、メーカーの設計開発、あと大学での高速炉研究者も非常に少なくなってきていると。それに対して試験炉建設によって、そういったものを拡大したり、人材の継承をしていったりと、そういったことに貢献できるのではないかと考えてございます。
 次のページお願いします。ここからは、こういった整理に基づいて、新高速中性子照射炉の概念を検討してございます。最初左側の上の段、求められる機能は、先ほどまでの整理の内容が簡単に書いてございます。それに加えて、新照射炉として達成が求められる条件としましては、その下の段に書いてございますが、早期運転開始がございます。これは今もう失われたサプライチェーンであるとか、技術人材、それを再構築できる最後の機会と考えてございますので、早期運転を再開して、規制であるとか建設運転、そういった知見を蓄積していくということが求められます。
 二つ目としまして、炉が高い安全性を有すること。これから新しい炉をどこかの地に建てていくということを考えますと、炉の安全性が高いことというのは、必要条件になってまいります。ですので、これまでに開発しております自動的炉停止機構であるとか、自然循環崩壊熱の除去、あと過酷事故の炉内終息技術、こういったものは全て設計の中に取り込んでいく必要があると考えてございます。
 これらを基に、基本コンセプトをまとめたのが右の青い字の四角の中に書いたものです。まず一つ目が一定のバンドル照射が可能な寸法の照射スペースを持つこと。これは大きめの照射というのが、将来の高速実用燃料を照射する上でも、他の炉形に対するインパイルループ等を設置する上でも、必要な機能でございます。
 二つ目がオンライン照射、これは運転中の試料の出し入れができるところでございますけれども、これはRIの生産に必要な機能です。あと早期運転開始というのが非常に重要な要件になっておりますので、立地等の自由度が高い試験炉級の出力、これが一応一番早期運転にはつながるものだと考えております。
 三つ目に、開発に時間を要する燃料は既存技術を適用。要は燃料というのは照射試験を経て実用に供されるものですから、そういった燃料技術に関しては、既存技術、我々が持つ技術の中から選定して適用していくということです。
 熱利用設備につきましては、当初から具備せずに、研究成果の状況、評価研究であるとか基礎研究を今進めてございますけれども、その状況に応じて建設後に付加できるようにするということでございます。
 最後、安全技術、シビアアクシデント対策技術を適用して、規制の適合を図ると。これが必要なコンセプトでございます。
 次のページをお願いします。このコンセプトを基に、基本スペックを検討したものが次のページになってございまして、照射スペース、オンライン照射、試験炉級の出力、燃料は既存技術、熱利用設備は後に付加すること、あと革新炉の安全技術を適用していく、そこを引いて、基本仕様を右の表のように設定しました。出力は試験炉級ということで100メガワットサーマル、その中でも一番中性子束が大きくなるだろう100メガワットを選定しております。
 燃料についてはMOX燃料なのですけれども、100メガワットという比較的小型の炉ですので、常陽仕様の燃料を適用すると。一方で、燃料集合体については、照射スペースを確保するという観点で、より大型なもんじゅ仕様の燃料ピンとか集合体を適用していくということです。
 照射設備としては、中心一体分に照射スペースを確保することと、外周にRI照射用のオンライン照射設備を設けること。冷却系は当初は空気冷却系としまして、運転開始後に蓄熱等の熱利用設備付加を考慮した設計を取ること。あと安全設備としては、自動的炉停止であるとか、自然循環崩壊熱除去、シビアアクシデント炉内終息技術を付与していくと。これが基本スペックとなります。
 次のページをお願いします。基本スペックを適用して、どれくらいのポテンシャルがあるかということを、実際の炉心設計、これは2次元で計算した簡易な手法ではございますけれども、ポテンシャルを調べるためにこのような炉心設計を実施しました。ここで得られた結果としましては、まずは左側の炉心の断面図がございますけれども、中央部一体分に照射スペースを確保して、炉心外周部にオンライン照射リグを確保するというところ。これ以外にも多分照射口というのは、照射のための場所というのは設けることは可能だとは考えておりますけれども、まずはこの二つを条件として検討しました。
 燃料としては、もんじゅ燃料集合体と同等の仕様の外形。あと燃料に入っている核燃料物質は常陽燃料と同等の仕様、これを設定しております。常陽と同等の仕様ですので、ウラン235が濃縮されたものもプルトニウムに混ぜて使っているというような結果でございます。今後この濃縮ウランというのは入手が困難になってくることも考えられますので、これは同様に常陽で計画している高プルトニウム富化度の燃料の使用も考慮して今後検討する必要がございます。
 その結果、高速中性子の中性子束というのは、大体常陽の0.8倍ぐらいと評価されました。これは常陽よりも性能が低いということにはなるのですけれども、常陽の炉心というのは50センチの高さでもっと細径ピンを使った凝縮したような炉心構成です。ですので、非常に中性子束が上がりやすい設計を取っているのですけれども、こちらの炉心では照射スペースを大きく取ることを優先しまして、中性子束は常陽よりも低いのですけれども、大きなものが照射できる。ですので、照射時間はちょっとかかることになるのですけれども、この必要な性能を満たしているのではないかと考えてございます。
 最後、一番下に書いてありますけども、100メガワットの炉心ですので、ボイド反応度はそんなに高くならないのですけれども、負のボイド反応度になってございまして、過酷事故の炉内終息で有利な条件にはなってございます。
 次のページをお願いします。一方で、プラント概念ですけれども、まだこれは具体的なプラントの形式等を検討してはございませんけれども、原子炉システム、それを中央におきまして、その原子炉システムの中ではMA燃焼であるとか、燃料照射、そういったことができるような設備にしております。特徴的なところは、左上の四角に書いてありますアクチニウム225製造供給するために、オンライン照射装置、要は運転中に試料を上部から出し入れできるような装置、それを具備するということを考えてございます。安全技術、自然循環であるとか、自動的炉停止機構、それは装備するということでございます。
 右側に、蓄熱設備を接続して試験を実施可能と考えてございます。蓄熱設備を接続する場合、熱利用設備を接続する場合というのは、原子炉設備と隔離をきちんと図って、一般設備を接続するということを考えてございます。要するにニュークリアグレードの施設でないものを、原子炉設備にくっつけるということですので、そこできちんと隔離、例えば弁で隔離するであるとか、離隔距離を取るであるとか、そういったところをきちんと考慮したような設計を取る、そこがまず第一段階でございます。
 その後、100メガワットで蓄熱設備を具備した場合には、そういった熱利用設備の接続技術、規制も含めて、そういったところは確立されていくのだろうと考えてございます。
 次のページお願いします。次が新燃料製造施設でございます。これら常陽も含めて、常陽と高速中性子照射炉、これを運転していくためには、燃料供給がどうしても必要になってきます。ですので、こちらで検討しております新燃料製造設備では、その二つの炉に供給可能な設備を考えてございます。
 あともう一つ、普通の燃料供給設備では、具体化できないものとしてはMA含有燃料がございます。MA含有燃料というのは、放射線が非常に高い材料を使いますので、通常のグローブボックスでの燃料製造というのはできずに、ホットセル内で燃料を製造するということが必要不可欠になってまいります。ですので、普通のドライバー燃料用のグローブボックスの燃料生産設備と、セル内で燃料を製造するためのセル設備、これが並立するような施設になると考えてございます。
 このセルでの燃料製造というのは、当然金属燃料にも適用可能ですので、将来燃料選択が金属になった場合には、セル設備に金属燃料用の製造設備を付加するということが可能とできるように考えていくべきで。それらが特徴となってまいります。
 次のページお願いいたします。次が再処理実証フィールドでございます。再処理技術というのは、高速炉サイクルを完結させるためには必要不可欠な技術でございまして、それを研究開発するための設備でございます。この中で、新高速中性子照射炉にとって必要不可欠なものがMAの供給でございます。
 ですので、まずは従来からございます常陽とか新高速中性子照射炉の使用済燃料を想定したシステムを組みまして、そこからMAを抽出すると。抽出したMAを燃料供給側に回していくと。そこが大きな機能になってまいります。さらにそれだけではなくて、金属燃料を含む幅広い燃料形態を想定した再処理技術の基礎研究を行うためのセルを設置していく。これが我々の考えでございます。
 それらの機能を踏まえた上で、工学実証に必要最低限の規模として、数十トンパーイヤー以上の燃料処理能力がある設備を検討中でございます。こちらが再処理実証フィールドになってまいります。
 次のページをお願いいたします。それらの施設と実証炉も含めた関係をまとめた関係をまとめた工程表が20ページでございます。一番上の実証炉の工程に関しましては、これは革新炉ワーキンググループで提示された工程を示してございます。それに対して、新高速中性子照射炉と燃料製造設備、再処理実証フィールド、あと常陽、あとAtheNa等の炉外試験施設、こういったものがどういったデータを供給できるか、そこを整備したものです。
 なお、ここの紫で囲んだ二つアスタリスクを打っている点については、燃料の選択、金属かMOXにするのか及びMA含有燃料の開発計画によって決まっていきますので、ここの部分がそれに左右される部分でございます。ここの中で重要なのは、新高速中性子照射炉と新燃料製造施設、これらで燃料供給しながら照射試験をしていくということです。
 縦に赤線が入って実証炉に反映する知見ということを示してございますけれども、赤字は実証データとしてなくてはならないものを示してございます。それに対して青で示した線というのは、新高速中性子照射炉であるとか、新高速中性子照射炉で実施する照射試験、そういったものから得られるデータでございまして、実証炉開発を加速可能な知見と考えてございます。
 ですので、こういった青線で示したような許認可実績であるとか照射データが実証炉開発にも大きく貢献するということを示してございます。ですので、こういった知見が反映されたときには、実証炉開発が加速ということですので、実際に動き出して、MA燃料を照射したり、高燃焼度燃料が所定の燃焼度に到達したり、そういったタイムラインの前倒しをしていけるのではないかと考えてございます。
 次のページをお願いします。最後にまとめでございます。新高速中性子照射炉によって大きな照射スペースを持たせることによって、新型燃料、MA燃料のバンドル照射及び集合体照射試験、そういったものができることになり、実用高速炉に向けての技術基盤が整備されると考えてございます。
 また、高速炉炉心を利用した安定した医療用RIの製造、これは常陽と2基体制で可能となって、産業化に向けた基盤が整備できると考えております。
 あと安全性向上技術、これは積極的に新高速中性子照射炉に適用してまいりますので、規制に対する予見性が向上し、これも実証炉に向けて役に立つ知見というふうに考えてございます。
 これら実証炉以降の高速炉に役立つ技術以外にも、熱利用技術の拡大に向けての基盤が整備されたり、新燃料製造設備は燃料供給だけでなく、金属燃料等を含む燃料開発に広く活用可能であったり、実際の炉の建設を早期に実現することで、サプライチェーンの再構築、技術・人材の維持・継承に大きく貢献できるものと考えてございます。
 御報告は以上です。
【山口主査】  どうもありがとうございました。それではただいま早船様からの御説明、原子力イノベーション研究構想ということで御議論いただきたいと思います。
 御意見、質問ございましたらオンラインシステムの挙手機能を御活用いただきまして、意思表明なさってください。
 それでは最初に出光委員から、どうぞお願いします。
【出光委員】  ありがとうございました。非常に詳細に計画を説明いただきましてありがとうございます。炉に関して幾つか質問があるのですけれども、一つは蓄熱技術の方で割と溶融塩の話がたくさん出ていたと思うのですが、JAEAのほうで溶融塩について、これまでそれほど研究開発されてたのかというのが若干気がかりなところがありまして、あとは一つ御提案といいますか、昨年国際会議に出たときに、いわゆる新エネのところの話を聞いたときに、蓄熱材としてグラファイトを使ったシステムというのが挙げられていまして、要はその発表では、MITの方の経済性の発表だったんですが、一番コストがかかるのはグラファイトの部分だということではあったのですけれども、その中で廃炉で出てくるグラファイトを蓄熱材として使ってはというような意見が会場から出ておりまして、例えばナトリウム冷却とグラファイトをうまく使ってというような、今までのJAEAさんのやってこられたことからいくと、そちらのほうが近道のような気がしないではないのですけれども、そういった検討をちょっと付け加えていただけないか、あるいは検討していただけないかというのが一つのコメントでございます。
 溶融塩、先ほど例えば8ページとか17ページとかにもありましたけれども、蓄熱材として要はエネルギーの需要に応じてというような話がありましたけれども、要は原子炉の体系と切り離してということであると、溶融塩が入っていて二重になっていますけれども、これを例えばグラファイトにしてあげて、ナトリウムで伝熱をしてグラファイトを温めて、熱系統のところで出すというふうに、そういう点も考えられるのかなというふうに、この絵を見て思いましたので、そういうこともあるのではないかなということです。
 溶融塩同士、要は流体同士で混ぜますとどうしても混ざる可能性が高いのですけれども、例えば固体が間に入っていれば、間違ってというか事故の中で汚染物が混ざってきたような場合でも、それが広がる可能性が低くなるのではないかなと、そういうことをちょっとこの絵を見ながら思いましたというのが、1点お願いとコメントでございます。
 それから二つ目で、20ページのところで全体表がございましたけれども、実は19ページとも関わるのですが、MAの計画のところで、MA燃料、照射、先ほどの炉で中心部分にバンドルで照射ができるというような話ございましたが、MAを入れてバンドル型にするというのはかなりの量のMAが入ってきますので、製造設備にしろ、その後の処理設備にしろ、先ほども出ておりましたがホットセルの非常に大きな架台のものを作る必要があるわけですが、そのときに後のほうでも出ておりましたが、要は酸化物燃料にするのかメタルにするのか、金属燃料にするのかと、それによって燃料製造側も再処理側も全く設備体系が変わってきてしまいますので、その辺り、もう少しどういう流れでどちらに決めていくのかという、そういうところを詳細に決めていっていただきたいなというのが希望でございます。
 というのは、酸化物形態の場合と金属燃料形態の場合だと、雰囲気が全く違いますので、要は酸化物がある場合とメタルの場合だと、酸化還元で全く雰囲気が変わってきますので、処理形態も全く変わってきますし、そうすると同じような施設が流用しにくいと思いますので、そういったところ、どういうふうにお考えなのかというのを現時点でもし御検討されていることがありましたら教えていただけると助かります。
 以上でございます。
【早船副部門長(JAEA)】  コメント、御意見等ありがとうございます。まず一つ目の蓄熱に関してですけれども、JAEAでの研究の歴史はそんなに古いものではございません。ただ、学会の中に蓄熱に関する委員会を結成して、産業界を含めていろんな御意見とか情報を集める努力をしておりまして、その中で先ほどのグラファイトでの蓄熱ということも検討していきたいと考えております。
 溶融塩のシステムについては、そのシステム全体のパフォーマンスがどれぐらい貢献できるかというところと、溶融塩の基礎的な物性、ナトリウムとの反応性であるとか、熱交換器の構造、そういったものについては、今年度からにはなりますけれども、検討して答えますので、そういった検討の成果を生かしながら、もう少し深く検討していきたいと考えております。
 MAに関しては、ちょっと担当の者から説明させていただきます。
【竹内室長(JAEA)】  JAEAの竹内から御説明させていただきます。出光先生が御指摘のように、例えばMAをバンドル照射で入れるということになりますと、最大5%ぐらいの含有量を想定した場合には、集合体1体当たり約8キロほど必要になるという試算をしておりまして、それなりの工学規模でのシステムからMAを取ってくる必要がございます。
 燃料の形態として、酸化物か金属かということについては、今の戦略ロードマップの改定内容の中では、2026年度頃をめどにして検討が進められると理解しておりますので、こちらの再処理に関する実証フィールドの設定というのは、選択が決まった後に着手することを今のところ想定をしております。
 そういった意味で、先生が御指摘のように、再処理で言えば金属燃料サイクル用の乾式再処理と酸化物燃料用の湿式再処理では全く技術の体系が異なりますので、一つの施設で工学実証するということは極めて難しいというふうには考えております。
 以上です。
【出光委員】  ありがとうございます。もう1点だけ、そのMAのときですけども、MAの調達はどのように考えられているかというのを最後追加でお願いします。
【竹内室長(JAEA)】  竹内から引き続き御説明させていただきます。資料の19ページにあります再処理実証フィールドの資料の中に、対象燃料の想定を記載させていただいているのですけれども、主には常陽の燃料、これは既に発生している既存の照射済燃料のほか、これからの運転で発生する照射済燃料、これを燃料対象として想定して、これらが主要なMAの供給源の燃料になってくると今は想定しております。
【出光委員】  ありがとうございました。
【山口主査】  では続いて小澤委員、どうぞお願いいたします。
【小澤委員】  御説明ありがとうございました。国内で基盤がかなり傷んでいるといいますか、少なくなってしまっているこのときに、こういった新しいアイテムが出てくるというのは大変歓迎する動きだと思っております。参考資料に書かれている、例えばロシアのように着実に運転経験をしながら発電で貢献しているとか、それから研究開発段階であってもMAを燃やしたりして、実際に貢献していくというそんな視点で少しコメントをしておきたいと思います。
 趣旨は今日の説明が常陽、もんじゅ、今後の実証炉に挟まれて少しこぢんまりしているというのでしょうか、それから海外連携と同じような、似たような感じになっているというところも、若干気になりましたので、自ら設定した制約も外してみて、もっと大胆にいろんな貢献ができるのではないかなと思った次第でございますので、そういったところを申し上げたいと思います。
 まず3ページ目の1番最初に書いてある放射線廃棄物減容・有害度低減については、これはまさに開発しながら日本国内にある高レベル廃棄物からMAをこの世からなくしていくと、こういったことで貢献できるのだと思っております。
 これからやろうとしている対象燃料が先ほど常陽とこの照射炉の使用済燃料とおっしゃっていましたけれども、まだまだほかに国内にたまっている使用済燃料がありますし、今後出てくるプルサーマルの使用済燃料もどうするのという疑問が世の中にありますので、そういった燃料も対象にすれば、もっといろんな貢献ができると思っておりますので、御検討をされてはいかがかと思っております。
 それから、調整電源につきましては、再エネの主力化の中で、例えば系統の強化とか、蓄電池とか、軽水炉でも出力調整運転みたいな提案がありますし、高温ガス炉でも蓄熱のシステムと組み合わせているみたいなこともありますので、こういったいろんなところでやっている中で、どのような貢献になるのか、あるいは先に実際に発電して、日銭を稼ぎながら運転していくという方法もあるのではないかなと思いますので、もう少し幅広にいろんな可能性を追求してもよいのではないかと思っております。
 それから、国民福祉の医療用のRIとか、高速炉基盤、これはもう言わずもがなだと思っておりますので、大胆な発想をお願いしたいなと思います。
 12ページには、表に大型原子炉容器設計検討とか、こういったアイテムが幾つかありますけれども、これが例えば実用化戦略、もんじゅの実績とか実力化戦略、アストリッドの経験とか、こういったのと何か違うのかというところの整理がいるのかなと思います。
 こういった成果がいつの時点でどういうアウトプットになるのかというのが気になるところでありますし、先ほどいろんなコンセプトのところで若干常陽ともんじゅの焼き直しといいますか、リバイバルみたいなところも感じられましたので、もっと大胆でいいのかなと思っている次第でありますので、ここは今後の整理かなと思います。
 それから16ページには出力100と書いてあったりしますけれども、これが何で常陽程度なのか、海外ではVTR300と書いてあったり、最後のチャンスというのはもんじゅの経験者の最後のチャンスなのかもしれませんけど、もう若い人を大胆に育てるところにシフトして、もっとそういった制約から離れて、もっとよりよいものを作って、どれぐらいプルトニウムを燃やせるのか、もっとマイナーアクチノイドが燃やせるのかみたいな検討も並行して行っていくこともありかなと思います。
 それと再処理の実証フィールドについても、数十トンパーイヤー以上と書いてありますけれども、今回の初装荷燃料ですかね、147キロヘビーメタルと書いてありますけれども、これが全体としてどういう役に立つのかというところも合わせて全体の整理をしていただければと思います。
 前のエネルギー基本計画のパブコメとか、GXのパブコメを見ていると、こういったいろんな疑問があって、ネガティブな意見が出てるような気がしますので、こういった実績を持って答えていくというのも、こういった基盤の中にも埋め込んでいったらいいのではないかなと思います。
 以上であります。
【山口主査】  ありがとうございます。一応コメントということなんですが、早船さん少しお答えできるところありますか。
【早船副部門長(JAEA)】  ありがとうございます。まず、蓄熱等につきましては、先ほど出光先生からの御指摘にもあったように、まだ検討しているところもございますので、またそういった検討成果を生かしていきたいと考えています。
 大型原子炉容器という話もございました。今までいろんな国際協力等でやはり日本の産業の中で、ものを作っていくということが非常に大切だと考えておりまして、そこに一定の役割を果たせるんじゃないかと。実証炉みたいに大きなものではないのですけれども、そういったところがメリットというふうに考えております。
 100メガワットを選んだのは、まだ試験炉級の出力でどのぐらいポテンシャルがあるかというところを考えたところです。もちろんここの制約を外せば、もっと性能は高くなるというふうには考えておりますが、今後も特に100メガワットと決め打ちせずに検討は進めていきたいと思います。
【竹内室長(JAEA)】  コメントの中でいただきました、他の燃料処理への適用ということについては御指摘のとおりかと思っておりまして、実験炉でございますとか、あるいは御指摘のあったプルサーマルの使用済燃料、基本的には酸化物の再処理システムであれば、ある程度その辺の処理は技術的には可能であろうと思いますので、視野に入れながら、柔軟に検討させていただきたいと考えています。
 以上です。
【山口主査】  よろしいでしょうかね。
【小澤委員】  ありがとうございました。ぜひとも目に見える世の中への役立ちというものも検討いただければと思いました。ありがとうございました。
【山口主査】  では中熊委員、どうぞ続けてお願いします。
【中熊委員】  電事連の中熊でございます。少し遅れて参りまして大変申し訳ございませんでした。私もコメントだけなのですが、新高速中性子照射炉ということで、そのアウトカムに期待されるものというのが12ページ目に書いていただいてますけれども、こういったところ、特に実証炉に先んじて規制との対話というのがこれをプラットフォームとして始まるのであれば、その予見性が向上するというのはおっしゃるとおりだと思いますので、非常に重要かなと思っています。
 ただ、そういう観点で今この文科省さんのこの検討会の場で、この照射炉については議論されているからまだ出ていないと理解していますけれども、20スライド目にも書いていただいていますけれども、経産省さんのほうで革新炉ワーキングでロードマップが描かれていて、なおかつそこには高速炉がこれまで開発に携わってこられているタスクフォースの方々ですとか、メーカーといえばMFBRさんであるとか、そういったところがいらっしゃるわけですので、そういった方々とのインターフェースを取り、なおかつこのロードマップにどういうふうにこれを反映していくのかといったところは、青い矢印で照射データという形で表現していただいていますけれども、設計に反映すべきもの、オペレーションに反映すべきもの、おっしゃるとおりで矢印はいろんなところから上に上がっていくんだと思いますけれども、もう少しきめ細かに議論をしていただいた上で、ロードマップに反映をし、政府一体となって進めていただくということが重要かなと思っています。
 それから、もう一つ新高速中性子炉もそうですけれども、後段のほうに御説明いただいた燃料製造施設ですとか、あるいは再処理の工学実証フィールドみたいなもの、これは照射炉があるないに関わらず、必ず必要なものだと認識してございますので、ここについては、切り離してということでは必ずしもないんですけれども、しっかりJAEAさんのほうで整備いただくといったところで、精力的に進めていただきたいと考えております。
 私からは以上でございます。
【山口主査】  ありがとうございました。こちらのコメントなんですが、何か御発言は早船さんのほうでございますか。
【早船副部門長(JAEA)】  コメントは拝承いたしました。特に発言はございません。
【山口主査】  それではほかにはいかがでしょうか。
 和田委員が上がってございます。和田委員どうぞ。
【和田委員】  御説明ありがとうございました。原子力発電に対する社会的受容性の向上という観点から、MAの燃焼処理というのは非常に重要な技術であると思いますので、ぜひ開発をしっかり進めていただければと思います。
 ただ、先ほど中熊委員から御指摘もありましたけれども、20ページの経産省のロードマップに示されております実証炉の開発工程に照らして、機能的、時期的に重複感があるというところも否めないかと思いますので、革新炉全体のロードマップにおける優先順位ですとか、開発時期を含めて、経産省さんと調整と連携をしっかり図って進めていただければと思います。
 以上でございます。
【山口主査】  ありがとうございます。こちらも早船さん特によろしいですかね。
【早船副部門長(JAEA)】  はい。コメントいただきました。
【山口主査】  ではほかに。
 桐島委員、手が上がってございますのでどうぞ。
【桐島委員】  桐島です。ありがとうございます。御説明ありがとうございました。どのような方針を目指しているのか、大分見えてきました。今日聞いた話で、特に高速炉技術基盤の確立というところで非常に有望な、チャレンジングな技術の提案があって、私も楽しみになりました。
 7ページ目のスライドのところで、早期溶融燃料排出のための内部ダクトの実装というのがありました。これは実証炉でインストールすることを狙ってこの段階でやりたいということだと思うんですけれども、こういったものを実装したときに、出来上がった新高速中性子照射炉で、何らかのこういう機能が働くんだろうかというような試験をするんでしょうか。シビアアクシデント時のいろんな対策の技術開発もやりたいというお話がありました炉内終息技術の実証ですよね。これは実際に何らかのストレステストのようなことをやるとか、そういった計画は今回含まれているんでしょうか。
【早船副部門長(JAEA)】  そちらに関しては海外の炉、例えばカザフスタンの炉等を使って試験をしてございまして、この炉内で燃料を溶かして排出するというような試験まではちょっと実施できないだろうと。少し特殊なインパイルループを持った炉でないといけませんので、そこまでは考えてございません。
 ただ、この特殊な形をした集合体の照射に対する影響、それを見極めるというのがこちらの新高速中性子照射炉の機能だと考えてございます。
【桐島委員】  なるほど。じゃあこういうものが入っていても運転がちゃんとできるかというところまでということですね。分かりました。
 もう1点は、13ページ目のところで、下のほうの囲いのところで高速炉開発人材の拡大・継承で、試験炉を用いた研究テーマによって、大学での高速炉研究拡大というようなお話もありました。これも魅力的だなと思うんですけれども、翻ってもんじゅのときの状況などを考えると、私の頃は学生とかだったのであまり把握していないんですが、そんなに大学の先生があそこで研究していたというイメージはないんですけれども、今度の新しい新高速中性子照射炉では、大学の人間なんかも研究テーマを持って、そちらの高速炉のほうに来るような何か仕掛けを考えていたりとか、そういったことはあるんでしょうか。
【早船副部門長(JAEA)】  はい。まだ仕掛けとまでは至ってないんですけども、もんじゅは発電炉だったのであまりそういうことはなかったんですけども、常陽では大学連合の皆さんが照射試験をしたり、そういった常陽を活用した研究開発というのはかなり行われてございます。ですからそれと同様に、新高速中性子炉を大学との連携を密にして研究が進められるような体制を取っていきたいという構想段階でございます。
【桐島委員】  分かりました。あと最後なんですけれども、20枚目のスライドの技術基盤の整備計画のところ、これ新高速中性子照射炉の運転時期と実証炉の基本設計の時期というのはほぼ重なっています。そうなると、この新高速中性子炉でいろいろ試して、技術を作っていくというものが間に合わないのかなと思ってしまうんですが、この青印というのは本当に機能するんでしょうか。
【早船副部門長(JAEA)】  はい。炉の設計に反映するようなデータがここに行くわけではなくて、照射データとして、実証データのような扱いのデータ、要は安全審査のバックデータになるようなデータ、そういったものが得られるというふうに考えてございます。ですので、この段階で照射データが出て、設計が変わるようなところまでは考えていないんですけれども、実証炉の安全審査であるとか、そういった運転計画、そういったものが加速できるようなデータの供給、それを考慮してございます。
【桐島委員】  なるほど。例えばシビアアクシデント対策だったら、同じようなものがもともと実証炉のほうにも入っていて、この新高速中性子炉にも入っていて、その運転データがバックデータになると。そんなイメージでしょうか。
【早船副部門長(JAEA)】  そうです。
【桐島委員】  分かりました。ありがとうございました。桐島からは以上です。
【山口主査】  続きまして相楽委員どうぞ。
【相楽委員】  はい。御説明どうもありがとうございました。非常に夢のあるお話だなと思って聞かせていただきました。
 資料のほうで、15ページ目お願いいたします。ありがとうございます。先ほどから議論がありますけども、いわゆる照射のほうの照射試験炉の位置づけとして、ほかの実証炉とのタイミングもありますが、要は私の理解では、これはやはりファーストニュートロンを活用して、こういった実証にも使えるし、様々な用途にもあるしと、いわゆる照射試験炉として尖ったコンセプトを目指すべきものなんだろうなと思って聞いておりました。
 そういった中で、このスペックを見ますと、例えばこれ集合体で照射できるのは確かに工学設計上非常に重要な要素で、常陽でもできないことですので重要かなと思ったんですが、次のページをお願いできますでしょうか。
 例えばですけれども、私は昔にATRというアイダホの照射試験炉で働いていたことがございまして、あれも本当に照射試験炉の特化した形で、いかに良質な中性子束を得られるかというために特化したようなデザインになっておりました。
 例えばですけども、今回のケースであっても、中央に集合体が一体入るようなイメージのように見えるんですけども、例えば工学設計となると、一体だけの熱応答だけではなくて、その周囲との連携とも重要な指標項目になり得るのかなと思いましたけど、例えば一列目だけでなくて二列目辺りも何か照射孔のようなスタイルにして、いわゆる中空のような原子炉設計にすれば、かなり照射フィールドとしても価値が上がるし、何かもう少し方法は何かニーズに対して、そもそもこの照射試験炉が何を目指しているのかに対して、もう少し設計余裕はまだ検討の余地がありそうかなという感触を持ったところでございまして、コメントではございますが、恐らくこれから詳細を詰められるんだと思うんですけども、何か照射試験炉としての尖った部分がもっとあっていいのかなと思ったところでございます。
 以上でございます。
【早船副部門長(JAEA)】  コメントありがとうございます。ここの炉心設計については、まずはポテンシャルを見る段階でございましたので、そこまで詳細にまだ詰め切れておりません。ですので、今後検討していきたいと思います。ありがとうございます。
【相楽委員】  ありがとうございました。以上です。
【山口主査】  続きまして、石川委員、どうぞお願いします。
【石川委員】  ありがとうございます。非常に詳細な御説明ありがとうございます。質問というよりはコメントになるのですが、幾つかございまして、炉の目的の第一のところに国内蓄積のMA処理の実用化ということがございまして、これも非常に重要だとは思っているのですけれども、一方でロードマップのところ、20ページでしたかね、ロードマップを見ると、MA含有燃料ができるのは、この炉が運転を開始したより数年あとと。その工学実証みたいなことも必要になってくるので、例えば脱炭素とか、エネルギー安全保障とかも待ったなしなので、MA含有燃料がいつ頃作れるようになるのかというのは別に、こういう高速炉の開発とか、このような建設というのは必須だとは思っているのですけれども、一般の人の目から見ると、何でこういう順番になっているのとか思うところもあるのではないかと思います。
 そのため、MA含有燃料以外の燃料についても、今回の炉で照射することが非常に意義があるというところがもっと見えてくるといいのかなというふうに感じました。
 もう一個、これも小澤委員が指摘されましたかね、そのVTRとか、MBIRと比較しているところで、これと同等以上の性能機能を狙うべきというふうに御説明されていたんですが、実際には出力が常陽並みで、中性子束が常陽より低くなるということで、ここはあれっと思うところもありまして、確かにこのインパイルループの設置というところが特徴ということにはなるかと思います。実際にこの医療用RI製造というのは、高速炉エネルギー検討とはまた別に国民にとって重要な意義があるので、これの比重みたいなものがやっぱりこれを見る人から見えてくるといいのかなと。
 あるいは、医療用RI製造以外のところでも、このインパイルループであるということが非常に、例えばそれは大学の研究者が使う場合とか、そういうのでもいいのですけども、こういうメリットがあるということが分かってくるといいのではないかと思います。
 多分いろいろな制約があって、ファインチューニングされたところもあるのかなと思うのですけれども、やはりこの炉の目的とか、コンセプトをより先鋭化させて、はっきりして、相楽先生もおっしゃったような尖ったところも目的、コンセプトとして、それに合わせて今後さらに詰められるときに考慮していただければいいかなと考えております。
 質問というよりはコメントです。以上です。
【山口主査】  ありがとうございます。早船さん、何かございますか。
【早船副部門長(JAEA)】  はい。コメントありがとうございます。やはりこの工程を描いたときに、MA含有燃料、MAの燃焼というのは非常に大きな要素ですので、もっと早くしたいとは考えたのですけれども、その燃やす原料のMAを取り出すという工程が入ってくるものですから、やはり作るときもセル内で作らなければいけない、そういった制約が大きくて、運転開始後より遅くなっております。
 ただし、その前段階では、実証炉、実用炉に使うような燃料バンドル、それを照射したり、RI製造を開始しておりますので、そういった順番はついてしまったのですけども、重要度はどれも重要であるというふうに考えてございます。
 どうもコメントありがとうございました。炉心の出力については、出力ワット、中性子フラックスについては、今後も検討を進めて、もう少し尖った性能が出せるかというところも含めて検討してまいりたいと思います。ありがとうございます。
【石川委員】  ありがとうございます。
【山口主査】  そのほか、吉橋委員、ではどうぞ。
【吉橋委員】  名古屋大学の吉橋と申します。御説明ありがとうございました。こういう新しいものができるということは、この検討会でも話題になっていました人材育成というところに関して、大学側、それから企業側、メーカー側も非常にいいことなんじゃないかなと思うので、先ほどから工程の話なども出ていましたけれども、やはりスピード感というのも必要かなと思いますので、ぜひいろいろ検討していただいて、進めていただくのがいいのかなというふうに思いました。
 私、ちょっと質問といいますか、今回医療用RI、アクチニウムの話が多かったですけれども2ページ目にもあったように、モリブデンも一応検討はされているというような認識でよろしかったでしょうかということと、あと5ページ目でビームポートの設置という話がありましたけれども、これ6ページ目の海外でいうところの水平テストポートみたいなものをイメージされているのかどうかという辺りをちょっとお聞きしたいなと思いました。
 それ次第によっては、先ほども出ていましたこの炉を作ったときの有効性というかコンセプトというか、こういったところに役に立ちますよというところがもう少しはっきり分かりやすくなってくるのかなということを思いました。
【早船副部門長(JAEA)】  ありがとうございます。まずはモリブデンについてですけども、同様にそれは検討対象としております。ですので、それも含めて今後検討していきたいと思います。
 アクチニウムをちょっと多く語ったのは、高速炉でしか作れないという特徴がございましたので、このような御報告になってございます。
 あと、ビームポートでございます。申し訳ありません、これは私どもまだエネルギーレベルの高い中性子線の利用について、まだ勉強不足でどのようなニーズがあるのかつかみきれておりませんので、今後も検討していきたいと思います。
 ただ、MBIRの炉にあるようなホリゾンタルテストホールというのは、ナトリウム冷却炉では結構難しいので、多分ロシアはこれを実現するために、例えば炉心の横の原子炉容器を細くしたりいろんな工夫を重ねているんだと思います。私のほうで考慮していましたのは斜め上に取り出すようなビームポートぐらいかなと考えていたのですけども、それもいろいろ今後検討してみたいと思います。
 どうもコメントありがとうございます。
【吉橋委員】  ありがとうございます。モリブデン確かにそうなのですけれども、やっぱり供給量を海外から頼っていたりとか、加速器でといってもなかなか進んだりもしていなかったりもするので、ぜひ検討の中に入れていただいたらいいかなということを思った次第です。
 あと、高速中性子だとか、強度の高いものの中性子の利用とかできるのか、こういった炉でどこまでできるか分からないですけど、核データの検証なんかもまだできていないようなところの辺りとかもできたら面白いのかなということを思ったりした次第です。いろいろ教えていただいてありがとうございました。
【早船副部門長(JAEA)】  ありがとうございました。
【山口主査】  ほかにはいかがでしょうか。
 どうぞ浅沼委員、お願いします。
【浅沼委員】  ありがとうございます。私もMA含有燃料と再処理のところでちょっと質問させていただきたいのですけれども、先ほど御説明の中で、集合体って大体8キログラムほどのMAがいるということで、既存の常陽の使用済燃料って今どれぐらいあるのか、私自身把握できていないですけれども、量的な面で十分再処理をすれば、新しいMA含有燃料として供給できる分、使用済燃料が現在あるのか、国内にあるのかどうかということをお聞きしたいのですけれども。
【竹内室長(JAEA)】  竹内より説明させていただきます。どのくらいの集合体の規模にMAを入れていくかということにもよるのですけれども、例えば先ほどの量からしますと、集合体3体ぐらいですと、24、5キログラムとそういうことで、大体そのぐらいの相場感にはなるんですけれども、一方で常陽の使用済燃料、例えば仮にMAの量が1%ほどになっているというふうに仮定しますと、今1,000体以上の集合体が保管されているような状況にありますので、それだけで大体試算としては100キロを超えるMAがそこには眠っているような試算ができます。
 先ほど御説明した再処理実証フィールドは、その辺の処理はフルに年間稼働すれば、1年間ぐらいで処理ができるような規模として、数十トンパーイヤーを仮に20トンパーイヤーとした場合ですけれども、それでも年間20トンの処理量が見込めますので、ある程度の集合体体数を炉に供給するためのMAが回収できるというような見込みを立てています。
 以上です。
【浅沼委員】  ありがとうございます。それから続いてもう一つ質問したいのですけれども、今回MA供給燃料のことで、MAのほうがちょっと注目されていますけれども、再処理して共回収したウラン、プルトニウムのほうをこのフィールドではどう扱っていくか決まっていたらちょっと御説明いただきたいのですけれども。
【竹内室長(JAEA)】  はい、想定としましては、この抽出設備で回収した、ここにはネプツニウムも共回収することを想定しておりますけれども、ウラン、プルトニウム、ネプツニウムといった製品、こちらについても燃料に使っていくというような想定で考えています。
【浅沼委員】  じゃあそのMA含有燃料のほうに使っていくということですか。
【竹内室長(JAEA)】  いえ、普通のMOX燃料としても使える製品ですし、MAを含有させた燃料としてもそこで得られたものは供給していくことを今想定しています。
【浅沼委員】  分かりました。どうもありがとうございます。
【竹内室長(JAEA)】  それですみません、私が先ほど集合体1体当たり8キロと言った、必要MA量の話ですけれども、これはあくまでも先ほどのロードマップの中の実証炉の規模に相当したものでございまして、先ほど、今御提案している新高速中性子照射炉で置き換えますと、必要量は集合体1体当たり約2キロぐらいということなので、集合体としてはもっと多くの集合体を供給できるというような計算になるかと思います。すみません、この場で訂正させていただきます。
【浅沼委員】  分かりました。ありがとうございます。
【山口主査】  そのほかいかがでしょうか。
 桐島委員どうぞお願いします。
【桐島委員】  すみません、再質問になるのですけど、今再処理の話になったので、短い質問をさせてください。
 今の議論でもあったんですけども、共抽出って話がありましたが、再処理フィールドの湿式再処理システムというのは、イメージとしてはJAEAさんがやっていたコプロセッシング、コプロというものにMA抽出を組み合わせたようなそんなプロセスを組むというイメージで間違いではないんでしょうか。
【竹内室長(JAEA)】  はい、現状想定しておりますのは、コプロセッシング法ではネプツニウムを含めたウラン、プルトニウムを分離、回収して、そこでのラフィネート側、つまり廃液側に回ったアメリシウム、キュリウムを別の技術で回収していくというような二本立てでMAを取っていくことになります。そのため、ネプツニウムとアメリシウム、キュリウムは別の工程で回収すると、そういうようなコンセプトを考えています。
【桐島委員】  前のもんじゅの頃、FaCTの頃にやっていたような晶析法などは今のところは考えていない。
【竹内室長(JAEA)】  そうですね、先ほどちょっと御指摘があったような高速炉の燃料だけではなくて、プルサーマルのMOXなどもそういった柔軟性を含めて考えていきますと、今開発しているコプロセッシング法というのはある程度プルトニウム富化度によって、そのウラン、プルトニウム比の製品側の割合をある程度コントロールしながら回収できるというメリットがございますので、今のところはコプロセッシング法をまず入れていくことを現時点では考えております。
【桐島委員】  分かりました。ありがとうございました。
【山口主査】  そのほかいかがでしょうか。大体よろしいでしょうか。
 遠藤委員、どうぞ。お願いします。
【遠藤委員】  簡単な質問でございます。御説明いただきましてこれからの開発に関して、非常にラインナップが詳細に設定されているという印象を持ちましたが、この開発、金額の件はいろいろと予算の問題で出てくると思うのですけれども、人員のほうは大体どのぐらいの人員を取り込まれるのか、一つ教えていただけたらと存じましたがいかがでしょうか。
【早船副部門長(JAEA)】  こちらの人員につきましては、できるだけ早く運転開始する、10年程度ということで目標にやっておりますので、とにかく今の現員の人員の中でやっていくというのが基本線になるかと思います。
 もちろん、ものを作るフェーズになってきましたら、メーカーさんの協力等を得て、どんどん大きくしていくんですけども、基本とするJAEAの中では、現員の勢力、例えば今の高速炉部門でいうと、100人程度おると思うんですけれども、それと燃料部門の人たち、合計200人以下、それを中心にメーカーさんとかの協力を得ながらという体制になるかと思います。
【遠藤委員】  JAEA、これから重要な役割を果たされると思いますので、積極的な人員確保と、大学との連携、しっかり進めていただけたらと思います。
 以上です。
【早船副部門長(JAEA)】  ありがとうございます。
【山口主査】  いろいろ御意見いただきましてありがとうございます。
 ほかにはよろしいでしょうか。
 今回は非常に形になってといいますか、具体的にいろいろ狙いとか明快に御紹介いただいて、こうやってスペックが固まってくると、あれもできるのではないか、これもできるのではないかっていろんな要望が出てくると。それだけニーズが高いのかもしれませんが、それがよく分かりました。
 一方で、やはりこの検討会は次世代革新炉の開発に必要な研究開発基盤をしっかりと着実に用意するということ、それと合わせてフィージビリティといいますか、それも重要な要素ですし、その波及効果はもちろんあるのですが、ちょっとその辺のところはぜひ早船さんにはバランスといいますか、これからそういうものを今日の御意見を踏まえつつ、いろいろバランスを取りながら、プロジェクトとして進めていただければと思いますので、よろしくお願いします。本日は丁寧に御説明いただきました。どうもありがとうございました。
【早船副部門長(JAEA)】  承知しました。ありがとうございます。
【山口主査】  それでは以上で本日の議題、終了となりますが、この検討会、次回第8回検討会で、これまでの7回分の議論の取りまとめということを予定してございます。そこで今までの第1回から第7回までの議論、毎回議論のポイントとしても資料を整理させていただいて、事務局のほうで用意していただいていますので、全般を通してその取りまとめに先立って、一言何か御発言ありましたら伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。何かこういうところに留意をして取りまとめをというような点、ございますでしょうか。
 なかなか、これまでの分を思い出しつつというのも大変かもしれませんが、どうでしょう。何か気づき点ございましたらぜひこの機会ですのでおっしゃっていただければと思いますが。
 よろしいでしょうか。特に御発言いただく希望、挙手は挙がってないようですので、それではこれまでの論点を整理したところを中心に、今日の議論を加えまして、次回に取りまとめ案というものを御審議いただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは以上をもちまして、本日の検討会を終了したいと思います。最後に事務局から連絡事項をよろしくお願いします。
【藤澤補佐(事務局)】  本日は委員の皆様方に御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。次回日程についてお知らせいたします。次回、第8回につきましては、3月10日金曜日の10時からを予定しております。追って前回、そして今回の議事録の確認とともに、開催案内として御連絡いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。
【山口主査】  ありがとうございます。では本日も大変活発に御審議いただきましてありがとうございます。本日の議事全て終了とさせていただきます。どうも御出席いただきましてありがとうございました。以上で散会といたします。

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