次世代革新炉の開発に必要な研究開発基盤の整備に関する検討会(第6回) 議事録

1.日時

令和5年1月23日(月曜日)13時00分~15時00分

2.場所

新型コロナウィルス感染症拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 次世代革新炉研究開発基盤検討会論点整理及び今後の進め方について
  2. 原子力関係閣僚会議における決定等について
  3. 次世代革新炉における保障措置の課題と対応について(日本原子力研究開発機構核不拡散・核セキュリティ総合支援センター 副センター長 堀雅人氏発表)
  4. 高温ガス炉燃料への取り組みについて(原子燃料工業株式会社企画部上級主幹 木下英昭氏発表)
  5. その他

4.出席者

委員

山口委員(主査)、浅沼委員、石川委員、出光委員、小澤委員、桐島委員、相楽委員、中熊委員、吉橋委員、和田委員

文部科学省

千原研究開発局長、林大臣官房審議官(研究開発局担当)、新井原子力課長、嶋崎研究開発戦略官、宮川原子力課課長補佐

(説明者)
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 堀雅人 核不拡散・核セキュリティ総合支援センター副センター長
原子燃料工業株式会社 木下英昭 企画部上級主幹 

5.議事録

【山口主査】  それでは、定刻となりましたので、ただいまより次世代革新炉の開発に必要な研究開発基盤の整備に関する検討会を開催いたします。
 本日は、お忙しいところお集まりいただき、誠にありがとうございました。
 本検討会については、引き続き、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて行います。
 また、会議は原則公開としてございます。資料や議事概要等については文部科学省のウェブページにて公表いたしますので、御承知ください。
 それでは、まず、事務局から配付資料等の御確認をお願いいたします。
 よろしくお願いします。
【宮川課長補佐(事務局)】  ありがとうございます。
 それでは、本日の配付資料について御案内いたします。
 資料については、議事次第のとおり、資料1-1から4を配付しております。資料等の不備や映像など乱れがございましたら、事務局までお知らせ願います。
 また、本日は委員11名中、10名御出席いただいております。
 事務局からは以上でございます。
【山口主査】  ありがとうございます。
 それでは、早速議事に入らせていただきます。
 一つ目の議題でございますが、次世代革新炉研究開発基盤検討会の論点整理及び今後の進め方についてです。
 では、資料1-1、論点整理でございます。それから、資料1-3、今後の進め方案まで、まとめて事務局から説明いただきます。
 では、お願いします。
【宮川課長補佐(事務局)】  事務局の原子力課補佐の宮川でございます。
 初めに、資料1-1について御説明させていただきます。
 資料1-1ですけれども、昨年の第5回検討会で論点整理案ということでお示しし、その後主査預かりで調整するという過程を経ておりましたけれども、2か所ほど修正を経て論点整理という形でまとまりましたので、その御報告と、変更箇所について御案内申し上げます。
 変更箇所は、10ページを御覧いただけますでしょうか。
 こちらの、上から二つ目のポツになりますけれども、保障措置の記載であります。この後段のところ、国が原子力機構等と連携しIAEAと協議を深めていくことが必要ということで、これに関して、第5回で委員から御意見をいただきましたので、その点を加筆しております。
 次のもう1点が、下から二つ目のポツになりますけれども、こちらに関して新たにポツ全体を追記したというものになります。
 前段のほうですけれども、廃棄物処理技術に関しても重要な研究開発だということで、御意見いただいたので、それに留意するということ。後段ですけれども、次世代革新炉に関しては、規制であったりだとか、原賠に関しての在り方についてを論点として挙げている。そういったことを捉まえると、適切な時期に具体的な対応について議論を始めることも重要ではないかという御意見いただきましたので、その点、新たに追記しました。この点に関してが、年末にお示ししたものからの変更点になります。
 資料1-1の御紹介については、以上になります。
 次に、資料1-2でございますけれども、こちらに関してはこれまでの検討会でも、前回の振り返りということで資料をお示ししているものになります。前回の第5回会合についても、これまで同様整理させていただきまして、中身のほうは都度御説明いたしませんが、趣旨については論点整理のほうに反映させていただいたということで、このような資料に取りまとめましたということで、御紹介させていただきました。
 次に、資料1-3でありますけれども、年が明けていましたので、今年度中の議論の進め方ということで、今後の進め方について案ということで御用意させていただいたものになります。
 1ポツのところですけれども、今後の議論の進め方として、これまで研究開発項目、基盤インフラなどの整備の論点について御議論いただいているところでありますが、今後は、技術開発ロードマップや優先順位等についても深掘りの議論を行うと。あわせて、高速炉及び高温ガス炉のそれぞれの今後の開発工程の検討に資することを目的として、研究開発基盤の観点から留意点をまとめるといったことを、年明けの議論に関しては考えているところであります。その留意点などの成果を、これまで、先ほどお示しした論点整理に追加した上で、今年度末をめどに、検討会の提言としてまとめる。こういった流れを、今後の進め方として考えているところであります。その提言については、適切なタイミングで、文科省及び経産省の関連する審議会に報告して、次世代革新炉の開発の議論に貢献するといったことを期待したいというふうに、今後シナリオとして考えているところであります。
 また、この後の3回ある検討会のスケジュールについて具体的に、以下のようなスケジュールを考えておりまして、第6回ということは今回の会。第7回に関しては、論点整理のほうでお示ししておりました新たな研究開発基盤というものに対して、具体的な深掘りの議論を行うという回。第8回の3月の議論で提言の取りまとめという形で、今後の進め方についての案ということで事務局からお示しさせていただきました。
 以上になります。
【山口主査】  ありがとうございました。
 それでは、議論に入りたいと思います。
 ただいま御説明いただきました資料1から3について、資料1―1と1―2はこれまで何度か説明させていただいておりまして、御意見をいただいたところでございます。
 資料1-3は今回新しく御提示させていただいたもの、特に資料1-3を中心にということになるかもしれませんが、今後どういうふうに進めて、まとめていくかという辺りを中心に、御意見を伺いたいと思います。あるいは御質問がございましたら、何なりと御発言ください。
 では、オンラインシステムの挙手機能を活用していただきまして、意思表明をお願いします。発言を御希望の方は、それで指名させていただきますので、ミュートを外して御発言ください。
 では、いかがでしょうか。何かございますでしょうか。
 小澤委員、挙がっていらっしゃいますね。
 小澤委員、どうぞ。お願いいたします。
【小澤委員】  ありがとうございます。
 ちょっと細かいところの確認になりますけれども、1-3の資料でよろしいでしょうか。
【山口主査】  どうぞ。
【小澤委員】  次回の新高速中性子照射炉の仕様等の検討状況というのと、新たな基盤インフラ括弧云々の検討の方向性ということで、若干表現が違っていて、仕様等の検討状況ってかなり細かい話になるのかなと思っているのですけれども、この辺はどのような進め方になるかということを一応確認しておこうと思うのですが、いかがでしょうか。
【山口主査】  事務局でお答えできますか。
【嶋崎戦略官(事務局)】  はい。
【山口主査】  では、お願いします。
【嶋崎戦略官(事務局)】  御質問ありがとうございます。
 そういう意味で、若干、二つ目の検討の方向性に全部含めてしまってもよろしいのかなと思いますが、新高速中性子照射炉につきましては、具体にどのようなスペックかということも今回議論をしようと思っておりましたので、特出しで詳しく書いたというものであります。なので、また次回会合の準備に当たって、適切な資料名、議事の名称にしていきたいと思っております。
 よろしくお願いいたしします。
【小澤委員】  ありがとうございます。趣旨は理解しました。
【山口主査】  ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。何かございますか。特によろしいでしょうか。
 今、御質問がありましたけれども、やっぱり照射機能というのは、これまでいろいろと御議論いただいて、どういう機能が必要かという意見交換をさせていただいているところ、次回は、少しその辺り、具体的な状況を御審議いただきたいという趣旨でございます。
 では、ほかに特に御意見や御質問がないようですので、資料1-3のような形で、今後進めさせていただきます。ここにありますように、令和4年度末を目途に検討会の提言として取りまとめるという方向でございますので、ぜひ残り第7回、第8回、皆様には御議論をよろしくお願いいたします。
 それでは、どうもありがとうございました。
 続きまして、二つ目の議題に移らせていただきます。二つ目の議題は、昨年12月23日に開催されました、原子力関係閣僚会議における決定等についてでございます。
 委員の皆様は御承知のところもあろうかと思いますが、事務局から、この内容につきまして、資料の2-1から資料2-4で整理してございますので、これもまとめて説明いただきたいと思います。
 では、よろしくお願いします。
【宮川課長補佐(事務局)】  
 昨年12月23日に、官房長官ヘッドの原子力関係閣僚会議が開催されました。その中で二つトピックを御紹介したいと思っておりまして、一つ目が資料2-1と2-2に該当するものになります。
 こちらでございますけれども、今後の原子力政策の方向性と行動指針(案)ということで、第6次エネルギー基本計画や、原子力利用に関する基本的考え方に則り、GX実行会議における議論等を踏まえて、今後の原子力政策の主要な課題、その解決に向けた対応の方向性ということで、関係者による行動指針を整理して、閣僚会議に諮ったものであります。
 昨日まで、官房長官からパブリックコメントを行うようにと指示がありまして、パブリックコメントを締め切ったと、こういう段階であります。なので、今後はそのパブリックコメントの中身を踏まえた上で、政府として適正な形でこの行動指針の案を取っていくというプロセスを行っていくものになります。その中で、検討会で話している内容についても記載がありますので、その点を御紹介させていただければと思います。
 全体が六つに領域が分かれておりますけれども、左から三つ目の「次世代革新炉の開発・建設」のところであります。こちらの下のところの「基盤インフラの整備・人材育成等」ということで、これまで検討会で御議論いただいておりました次世代革新炉の研究開発であったり、そのための人材育成、その基盤の構築ということで記載がなされておりまして、そういった活動に対する必要な支援の加速を行ったほうがいいということでこちらに概要を書かせていただいておりまして、具体的な記載に関しては資料2-2の、本文の13ページのところに記載ありますので、そちらで御紹介させていただければと思います。
 13ページ、お願いできますか。
 こちらの④のところになります。次世代革新炉の研究開発やそのための人材育成の基礎を構築していくために、JAEAを中核として基盤的研究開発や基盤インフラの整備における今後の課題を整理し、国内の開発環境を維持・向上させる措置を講じる。具体的には1ポツですけれども、基盤インフラの整備ということで、検討会の議論の範囲に入っております、今後10年以内にJAEAが中心となって、着手すべき研究開発項目及び基盤インフラ整備であったりだとか、具体的な施設の名前として常陽であったりAtheNaであったり、あるいは論点整理に記載させていただいております高速中性子照射場、燃料製造施設、再処理実証施設等の整備の検討、こういった基盤的研究開発やインフラ整備に対する必要な支援の速やかな実施ということの記載。
 2ポツに人材育成等の取組の強化ということで、こちらも検討会の第3回で御議論いただきました、JAEAが「知の集約拠点」として貢献すると。こういったことについて記載がありますということを御報告させていただきます。
 資料2-1、2-2に関しては以上になります。
 次に、資料2-3及び資料2-4について御紹介させていただければと思います。
 こちらの資料に関しては、戦略ロードマップの改訂案ということで、これまで高速炉開発については、もんじゅの廃炉決定後も定めた政府としての方針ということで、戦略ロードマップでございまして、今般、改訂したということの中身の御紹介になります。
 ページをめくっていただけますでしょうか。
 これまで、2018年の策定以降、複数の高速炉技術に対する支援を行ってきたということで、ナトリウム冷却や軽水冷却、トリウム冷却、こういった冷却材の下で民間がそれぞれ活動を行ってきたというところでありますけれども、昨年の8月までに、専門家による技術的評価を行って、どの冷却材が有望かということの評価を行いまして、その結果、ナトリウム冷却が最有望と評価を行っていると。これというのは技術的成熟度であったり、市場性の観点、あるいはこれまで常陽やもんじゅで培ってきた経験から来るものの評価ということになっております。こういった評価を踏まえて、今後の支援方針を明確化するというのを行うためロードマップを改訂し、支援対象や進め方であったり、それぞれのプレーヤーにおける役割を記載したというのが今般の改訂の中身でございます。
 開発の方針について少し御紹介したいのが、次のページの、今後の開発の作業の計画ということになりますけれども、2023年夏、今年の夏には、炉概念の仕様を選定ということで、設計と必要な技術開発を担う中核企業の選定を行うというプロセスということがございます。
 次に2026年頃、燃料技術の具体的な検討ということで、こちらで燃料の決定、燃料の選定という作業を行う。こういうふうに逐一開発の作業計画ということを想定して具体化したというのが、今般の改訂内容になります。
 このほか、各プレーヤーの役割に関しては、本文の、資料2-4のほうの記載にありますので、御紹介させていただければと。
 13ページ、14ページのところになります。
 13ページの下から5行目でありますけれども、各プレーヤーの役割・開発体制ということで、国の役割、文部科学省とかになりますけれども、文部科学省は、基礎・基盤的な研究に加えて、MOX燃料サイクルの技術開発、高速炉及び燃料技術開発のために必要な基盤施設の維持・整備を担当すると。こういうことが文科省に求められているものになっておりまして、まさにこれまで検討会で御議論しただいた事に関しては、高速炉の開発の政府文書においても記載がなされていると、こういう状況になっているということです。
 次のページには、原子力機構に求められる役割ということで記載があります。こちらに関しては、最初の行のほうになりますけれども、高速炉特有の開発インフラをJAEAが保有しているということで、具体的には、常陽が照射後試験施設であったり、大型ナトリウム試験施設のAtheNa、核燃料サイクル研究施設と、こういったものを保有していくと。こういうものを開発の主体になっていく民間が活用できるように、維持整備を行っていくということが大事な役割になるということ。
 また、高速炉サイクル技術については、炉システムの開発と整合した開発を進めていくことが重要であるということであり、サイクル技術は研究開発のために大量のプルトニウムを取り扱うホット試験が必要となるなど、民間が主体的に開発を進めるためにはハードルが大きいということで、当面はJAEAが優先して取り組んでほしい課題であるという記載があります。
 あわせて、原子力分野の人材育成についても記載がございまして、原子力分野の人材育成については、大学等とともに担う必要があるということで、原子力人材育成についての役割の記載があります。
 このほか、最後の「さらに」のところになりますけれども、新たな社会ニーズに対応した研究開発を着実にすることが必要であるということで、RIの製造に必要な技術開発ということに関しても、具体的に例示されています。このような各プレーヤーにおける役割に関しても、今般、戦略ロードマップが改訂されまして、示されているということになります。
 最後、少し補足です。2点、ドキュメントを紹介させていただきましたけれども、戦略ロードマップのほうは、12月23日の原子力関係閣僚会議で諮った上で案が取れているというステータスになります。
 先ほど、最初にお示しした、今後の原子力政策の方向性と行動指針案については、パブコメをまだ、昨日まで行ったということで、まだ案が残っているという状況になっておりまして、これに関しては、追って案が取れるような、取った形の調整というのが進んでいくのかと、こういうものになっております。
 ということで、年末の原子力政策の動きということで、御報告でございました。
 以上です。
【山口主査】  ありがとうございます。
 いろいろな動きがあったわけですが、今、四つの資料を御紹介いただきました。特に本検討会に関係するところが中心でございましたけれども、また、ここで委員の皆様方の御意見、御質問をお受けしたいと思います。
 同じく、オンラインシステムの挙手機能をお使いください。何かございますでしょうか。
 ちょうどパブコメが昨日終わったというところですので、GXの基本方針とか、行動指針につきましては、これから御意見を踏まえて、最終的なまとめに入る段階ということだと思いますが、いかがでしょう。何か感想なり御意見なりございますか。よろしいでしょうか。
 ぜひ委員の皆様方には、これからこの方向性に従って、具体的な研究開発に関する、あるいは研究基盤に関する施策を議論いただくということになりますので、ぜひ全般お目通しいただければと思います。
 御意見、御質問、ないようですので、本件は、以上、事務局から御紹介いただいたということで、終わらせていただきます。
 続きまして、三つ目の議題でございます。3点目は、次世代革新炉における保障措置の課題と対応ということです。
 これまで検討会におきまして、新たな施設を検討する場合に、保障措置面もしっかり議論すべしという御意見もいただきました。今日の論点整理のところの見直しでも、その点を追加したわけでございますが、今日はその保障措置に関する現状、国際的な動向とか課題について、最初に相楽委員から簡単に御紹介いただきたいと思います。
 それから、引き続き、資料3を用意してございますので、日本原子力研究開発機構から、核不拡散・核セキュリティ総合支援センターの副センター長、堀様にいらしていただいております。堀様から資料を御説明いただいて、その上で意見交換をさせていただきたいと思います。
 では相楽委員、最初にイントロといいますか問題意識など、ぜひ御紹介いただければと思います。
 よろしくお願いします。
【相楽委員】  承知しました。
 まず、こういった議題を取り上げていただいて、ありがとうございます。
 私のほうから簡単に、この検討会が対象にしております今後のR&Dとしての項目として、保障措置分野の重要性というのを何回か発言させていただいておりますが、サマライズさせていただきまして、その上でこれまでの実績ですとか、JAEA様の取組などについてという流れにつながせていただこうと思います。
 まず、イントロダクションになりますが、皆さん御承知のとおりで、原子力平和利用の推進のためには、原子力安全、核セキュリティー、保障措置といった3Sの確保が最も重要な要素となっております。
 この中で、保障措置の部分につきましては、特に国際保障措置は、IAEAが保障措置協定締約国、これらの活動について平和利用目的だけに利用されていることを検認するというものになってございます。その点で、他の原子力安全、セキュリティーが事業者対規制という対応関係であるのに対して、ここではIAEA対国という関係性が成り立つというので、ほかと大きな違いがございます。
 また、そこの中のIAEAという組織でございますが、これはメンバーステート、締約国からの拠出金から成り立っているものでございまして、限られた予算や人的資源の中で、こういった活動をやっております。この中で、昨今のグリーントランスフォーメーションですとか革新炉開発といった多様な原子力の開発統合が進んできており、従来までの保障措置活動を単に当てはめるだけというスタイルでは成り立たないフェーズを迎えつつあるという状態になっております。
 この中で、IAEAとしましては、各国の協力の下で、設計段階から保障手段を積極的に取り入れていく、そのSafeguards-By-Designというものを積極的に進めているところです。特に昨今では、革新炉やSMRにおきましては、炉型、燃料管理方法、海・陸の利用、電気・熱利用といった多様性がありますし、従来では賄えない。しかも、そういったものの中には、何十年も原子炉の燃料交換もしないといった、従来にないような原子炉もあります。そうしますと、従来にはないアプローチ、また、技術が必要となってきます。
 このためIAEAは、こういったメンバー制度のサポートプログラムなどを行っているところでありますが、現在のところでは、米、中、露、仏といった核兵器保有国の提案しているアイデア、または韓国、カナダ、フィンランドといった非核兵器保有国が提案している革新炉については、既にIAEAとの協議の上、設計段階からの取り入れが進んでいるところだと思いますが、残念ながら、日本でもこの辺について開発を進めている状況だとは思いますが、まだ俎上に上がっていないというのが現状でございます。
 また、堀様からこれから御紹介いただきますが、我が国におきましても、もんじゅを中心にしまして、ナトリウム冷却高速炉、また燃料サイクル施設におきまして、既に設計段階から、こういった検認技術が取り入れられてきた過去の経緯や努力がございました。
 さらに今後、この検討会でも話題になっております次世代革新炉、またはそれのための燃料サイクル施設、燃料加工施設などにつきましても、例えばMA含有燃料といったこれまでにないタイプの燃料となってきますと、また新たな技術開発の部分が必要になってくるところでありまして、またJAEA様から、これまでこの検討会の中でも、既に着手し始めているところもあるということも報告いただいております。
 本検討会の論点としまして、この保障措置、特に設計段階から取り組むというところについて、やはり重要であるということで、まず、私のほうからイントロとさせていただきました。ありがとうございました。
【山口主査】  相楽先生、どうもありがとうございます。
 では、続きまして、日本原子力研究開発機構の堀様、御説明をよろしくお願いいたします。
【堀副センター長(日本原子力研究開発機構)】  山口先生、御紹介ありがとうございます。
 それから、先ほどの相楽先生、どうも、イントロの部分の御紹介ありがとうございました。
 私は、原子力機構のISCNと言っておりますが、核不拡散・核セキュリティ総合支援センターの副センター長をやっております堀といいます。
 それでは、次世代革新炉開発における保障措置の課題と対応についてお話します。次のスライドをお願いします。
 まず、最初に、簡単にIAEAの保障措置とは何か、そして、今どういった課題があるかという説明をしまして、その後、2番目として、これまでどのような課題に対応してきたかということで、特に原子力機構ではナトリウム冷却高速炉もんじゅと東海再処理施設に対する保障措置の技術開発を行ってきましたので、その課題対応の経験について紹介しまして、3番目として、次世代革新炉及びそのサイクル施設に対する保障措置はどういった特徴があるのか、あるいはどういった課題があるのか、何をしなければならないかといった点を紹介させていただきます。
 それでは、次のスライドをお願いします。
 まず、IAEA保障措置とその課題について、次、お願いします。
 IAEAの保障措置を一言で言いますと、IAEA保障措置協定を実施することになります。つまり、協定に基づいて、国が履行すべき義務をIAEAが検認すると。IAEAは国が協定上の義務を履行している確証を提供するというものになります。英語ではCredible Assuranceと言っていますが、ちゃんと平和利用をしているという確証を与えるということになります。
 逆に、この目的が達成されませんと、確証が与えられないということになりまして、原子力平和利用に対する国際的な信頼が損なわれて、日米原子力協定に書かれているようなペナルティーの対象にもなり得ます。
 そういう意味で、先ほど相楽先生からも紹介がありましたけれども、安全とかセキュリティーは人や財産に対する影響が直接懸念されるところですが、保障措置というのは国際社会の信頼であるとか、あるいは経済的な損失といったものに影響するものではないかと思います。
 それで、実際に国の義務とかIAEAの検認とかはどういうことを行うかというのは、保障措置協定あるいは議定書に書かれておりまして、その国が結んでいる協定の種類とか議定書によって変わってきます。保障措置の実施結果につきましては、毎年6月のIAEA理事会で出てきます保障措置実施報告書に、その前の年の結果が報告されます。2021年の結果について2022年6月の理事会で報告されたものが最新版のものになります。今日使っている資料は、その資料も入っております。次のスライドをお願いします。
 保障措置協定の種類につきましては大きく分けて3種類ありまして、包括的保障措置協定、これはComprehensive Safeguards Agreement、CSAというふうに呼んでおりますが、これはNPTに基づいて非核兵器国が結ばなくてはならない協定になります。現在百八十数か国がもう既に結んでおります。結んでいない国は今のところ8か国になります。
 それから、2番目の協定が、対象物特定保障措置協定、Item Specific Safeguards Agreementというふうに言われているものでして、これはそもそもNPTを結んでないパキスタン、インド、イスラエルが結んでいる保障措置協定で、二国間協定で移転された原子力施設のみに保障措置が適用されています。
 3番目が、自発的提供協定、Voluntary Offer Agreementという、NPTでいう核兵器国、米、露、英、仏、中が自発的に保障措置を受け入れる協定。選択された施設のみが対象で、現在、五つの核兵器国、合わせても10施設ぐらいが保障措置の対象となっています。
 次のスライドをお願いします。
 議定書に関しましては、追加議定書というのがありまして、これはもともとの保障措置協定は未申告活動に関して検知能力が低いのでつくられた議定書になります。この議定書を結びますと、今までよりも保障措置の適用範囲が広がって、かつ補完的なアクセス、CAとここでは呼んでいますが、IAEAに短期通告でいろんなところに入ってこられるような権限が与えられます。
 それから、核物質を扱っていないような小さな国に関しては少量議定書というのがありまして、これはそもそもCSA、保障措置協定に記載されている内容が大分免除になる議定書になります。
 次のページをお願いします。
 そういった協定に基づいて目標が定められるのですけれども、代表的なCSA、それから追加議定書(AP)発効国、これが今135ぐらいありますので、そういった国に対して保障措置の目標は何になるかといいますと、まず、申告された核物質の転用を検知すること。それから、申告された施設における未申告の核物質の製造・処理の検知、これをミスユースと言っていますが、例えば、止まっていると言っている再処理施設をこっそり動かしてプルトニウムを抽出するといった活動が、こういったミスユースに入ります。
 あとは国全体で未申告の核物質、それから活動の検知ということで、こっそりIAEAに申告せずにそういった活動を行ったり、核物質を保有したりするといったものになります。
 こういった目標の下でこれらが検知されないと、IAEAは、先ほど言いましたようなアシュアランス、確証を提供する、できるということになります。
 次のスライドをお願いします。
 具体的にどんな手段が使われるのかということで、ここには代表的な手段が書いてありまして、まず計量管理。核物質の所在、種類、量、移動を把握してそれを報告するということ。それから封じ込め・監視というので、核物質に対して監視カメラとか封印を適用すること。それから、いわゆる査察。施設に立ち入って、計量管理の状況を検査・査察するということ。そして、あとは設計情報の検認というので、施設・国から提供された設計情報がそのとおりであることを確認することになります。
 以上が保障措置協定でして、あと、追加議定書を発行している国は、拡大申告とか、補完的なアクセス、核物質を使わないR&D活動もIAEAに報告するとか、先ほど言いましたCSAをより幅広い範囲で受け入れる必要があります。
 次のスライドをお願いします。
 そういった査察活動に使われるリソースなのですけれども、IAEA全体の職員数は大体2,650名でして、保障措置局のレギュラースタッフが773名、それにコストフリーエキスパートとかコンサルタントとかいろんな方がいますので、大体800から900名ぐらいが保障措置業務に当たっています。
 それから予算ですが、ここでトータル390ミリオンユーロとありますが、IAEA全体では、大体今の為替レートで550億円ぐらいがIAEA全体の予算で、そのうちNuclear Verificationというのが保障措置予算でして、これが154ミリオンユーロ、大体220億円という数値になります。
 大体、IAEA全体の予算・人員の3割ぐらいは保障措置に使われているということで、IAEAの予算・人員の中でも特に突出したリソースの配分になっております。
 次をお願いします。
 保障措置予算なのですけれども、このグラフで見て分かりますとおり、ほとんど上がっておりません。これはIAEA全体予算もそうですし、他の国際機関もほとんどが、いわゆるゼログロース、物価上昇分ぐらいしか上がらない予算になっております。
 それで、保障措置の特徴としては、保障措置の主たる実施者であるIAEAの予算が決まっているということです。
 次のスライドをお願いします。
 これが保障措置の対象の施設です。2021年の値になりますけれども、例えば水色で書いてある部分が原子力発電所、現在264基ありますけれども、これで将来、革新炉とかSMRとかが増えて、これが200基増えたりすると、もう倍近く増えることになりますので、より増えた施設、増えた核物質に対して、同じ予算で保障措置をかけていかなければならないといった予算面での課題が、一つ大きな課題としてあります。
 こちらに書いてありますように、バルクハンドリングファシリティーというのがあって、ちょっと見にくいのですけれども、その中に再処理施設とか濃縮施設というのが書いてありますけれども、それぞれ施設ごとに課題がありまして、その課題の対応も行われております。
 次のスライドをお願いします。
 そういった課題対応のために、技術開発というのが非常に重要になっておりますが、IAEAの基本的なポリシーは、自分たちの予算を使ってはやらない。自分たちの予算は全て査察のために使うという方針でして、技術開発は加盟国の支援によってやってもらうということです。
 それで、IAEAは保障措置の技術的な課題とかニーズを文書としてまとめて、長期的な文書と、それから2年に1回出す文書がありまして、こういったところは我々加盟国の支援が必要ですというのを明確にしております。それを見て加盟国が、加盟国支援計画、MSSPと言っていますが、それの下で技術開発を行って、その成果をIAEAに提供するということになります。
 次のスライドをお願いします。
 これらがその二つの文書でして、中期的な課題を書いたのは、Resource Mobilization Priorities、RMPという文書になります。これは20ページぐらいの文書になりまして、それからもう一つ、より細かい技術目標とかマイルストーンが書かれているのは、Development and Implementation Support Programme、D&ISというふうに呼んでいますが、これは200ページぐらいの文書になります。
 こういった文書、次のスライドにその中身が書いてありますが、これがRMPのほうの最初のほうのページでして、どんな課題があるかということで、例えば丸のところですと、Core Activitiesとか、Technical Capabilities、Management、Stakeholders and Partnershipsとか、People and Knowledgeということで、それぞれ分類ごとに課題が明確になっています。
 革新炉に関係するものとしては、このV.6と書いてある部分で、Prepare for new types of facilities and activitiesということで、新しく出てくる施設に対する準備を進めるということ、それからTechnical Capabilitiesの中のT.1と書いてありますStrengthen instrumentation capabilities for verification、検認の装置の能力を強化するといったような内容があります。
 さらに、その次のページに行きますと、具体的に何があるかというので、例えば、これはそのごく一部なのですが、Ability to implement effective and efficient safeguards for SMRs and microreactorsというので、右側のほうにユーロマークとか箱とか歯車みたいなマークがあるのですが、ユーロマークはお金の拠出が欲しいということ、それから箱のマークは装置を拠出してほしいというのと、それから歯車は技術開発。下のほうへ行きますと、脳みそとかあるのはトレーニング、それから人のマークがあるのはコストフリーエキスパート、人を派遣してほしいといったような内容です。こういう形で、IAEAとしてはニーズを明確にして、加盟国はそのニーズを受けて、自分たちの強みを生かした協力を実施するということになっております。
 次のスライドをお願いします。
 次に、我々がどのようにして課題を解決したかについて紹介します。
 次のスライドをお願いします。
 まず、我々の原子力機構におきましては、過去にIAEAが経験のなかった原子炉とか燃料サイクルに対する保障措置の技術開発を行ってまいりました。その結果として、施設固有の技術的課題に対応した効果的・効率的な保障措置の適用に貢献してきたということが言えます。
 その一つがもんじゅでして、もんじゅが普通の軽水炉と比べて違うところとしては、コア燃料にMOXを使う。それからブランケット燃料があるということ、燃料がナトリウム中に入りますのでIAEAがアクセスできないといったものがありまして、これに対応するために、二重の封じ込め監視システムを開発して適用したり、あるいは遠隔監視システムを導入してきました。
 再処理施設におきましては、より高精度に核物質の測定が必要で検認する必要がありますし、あと、工程内の核物質をモニタリングしなければいけないといった課題がありまして、そのための、装置の高度化とか、あるいは新たなモニタリングシステムの導入といったものを行いました。
 次のスライドをお願いします。
 その一つが、もんじゅの二重CSシステムで、このカメラの形をした青と水色が監視カメラになります。それから、ちょっと見にくいのですけれども、黄色い箱が幾つかありまして、それらが放射線モニターになります。放射線と、それから工学的に核物質の動きを監視することによって、より信頼性の高いモニタリング、あるいは検認を可能にしたということで、これによって査察業務量を大幅に削減しております。
 次のスライドをお願いします。
 さらに、それらのデータを統合しましてIAEAに送るということもやっておりまして、IAEAにおいてこれらの装置のデータのレビューはできるといったようなメリットもあります。
 次のスライドをお願いします。
 再処理施設におきましては、例えば溶解後のHALに残ったプルトニウムを測る装置とか、あるいはガラス固化体中の核物質の測定精度をより高めた装置の開発、あるいは工程内の溶液モニタリングシステムという、溶液の動きをモニターする装置の導入、あとはニアリアルタイム計量管理ということで、より短い頻度で物質収支を閉じた計量を可能にするようなシステムを開発し、導入してきました。
 次のスライドをお願いします。
 それで、これが今までの開発経緯と将来に向けての年表みたいな図なのですけれども、東海再処理工場は、当初、もともと保障措置をあまり考慮されてなかったので、動かしながら技術開発をしてきた経緯があります。そういった経験を踏まえて、それが今、六ヶ所の再処理施設に反映されています。
 今後、次世代革新炉サイクルとして新たな技術が採用された場合には、さらにそれらの経験を活用して、よりSafeguards-By-Designを反映することによって、保障措置の効果・効率化を高めていくという取組が必要になってまいります。
 次のスライドをお願いします。
 続きまして、次世代革新炉とリサイクルに関する保障措置ということで、次のスライドをお願いします。
 こちらがIAEAの文書から引用した、SMR、いろんな炉型が載っておりますが、その炉型の仕様で、今、保障措置が適用されている原子炉とのギャップを赤で示しております。例えば冷却減速材については、水、重水、ナトリウム、黒鉛炉は、今までIAEAも保障措置を適用しておりますが、鉛、フッ化物塩は適用したことがないです。
 それから燃料の性状に関しては、窒化物燃料、あと、トリウム、ウラン233系の燃料、それから5%以上の低濃縮ウラン、High assay LEUがあります。それからモルテンソルト、ペブルベッドといったものも、今までにない分野になります。
 燃料交換、燃料サイクルとしましては、Transportable reactor(移動型原子炉)というのとか、あるいはCentral refuelingといって、炉ごと工場に持っていって、そこで燃料を入れ替えるという、今まで経験がないやりかたです。
 あとは、燃料サイクルとして、いろんな仕様の核物質を使いますので、新しいリサイクル施設とか廃棄物処理施設が出てくるということで、こういった赤いところがギャップになり、そして技術開発上の課題になります。
 次のスライドをお願いします。
 先ほど相楽先生から紹介があったのですが、IAEAはそういった将来の原子炉に対して、Safeguards-By-Designを適用していこうということで、2018年から加盟国支援計画を始めております。現在7か国がこれに参加しておりまして、ロシアがKLT-40Sという、この船の形をした海上移動型の原子炉、あるいはカナダとか、韓国はSMART、あと、フィンランド、フランス、中国。アメリカは7か8の炉型について、このプロジェクトに参加することを表明しておりまして、行く行くは今開発中のSMRがこの枠組みに入ってくるというふうに考えております。
 次をお願いします。
 革新炉とそのサイクルの保障措置上の課題というふうに簡単にまとめておりますが、まず、今も言いましたように、早い段階、設計段階から保障措置を取り入れるSafeguards-By-Designが重要ということ。2番目として、特にモルテンソルト、ペブルベッド型というのは全くIAEAの経験がない分野ですので、開発要素がかなりあると。それから、長い運転サイクルとか燃料交換を行うタイプのSMRは、保障措置という観点では非常に効率化に貢献できるであろうということ。Transportable reactorなんかですと、核兵器国から非核兵器国に移動すると、保障措置のシステムが変わりますので、制度の法的な整理も必要になってきます。
 次のスライドをお願いします。
 新しいリサイクル施設、先進湿式とかあるいは乾式といった施設は、今まで保障措置の経験もありませんし、高線量の核物質とか不均質な核物質といった、これまでの経験のない核物質の計量管理や保障措置技術が課題になります。
 最後に、次世代炉がどんどん増えますと、保障措置のリソースを逼迫しますので、さらに新しい概念とかを入れて、効率化に寄与することが必要になってまいります。
 次のスライドをお願いします。
 次世代炉あるいは主にサイクルの保障措置の技術開発の課題への対応ということで、我々のやっている活動の宣伝にもなってしまうのですけれども、例えば高線量の核物資を測る場合には、従来のパッシブ法ですと、いろんなバックグラウンドが高くてなかなか測れない。そういう場合には、放射線、中性子線とかを照射してやって、核反応を起こして、それから出てきた中性子やガンマ線を測るということによって、精度よく測るといった技術開発をやっておりまして、例えば遅発ガンマ線分析(DGA)とか、中性子透過共鳴分析(NRTA)といった技術開発を行っております。
 次のスライドをお願いします。
 例えば、特にDGAですと、再処理施設のサンプルとかを使って分析することによって、より精度を高めることが、あるいは適時に測定することが可能だということ。
 あと、NRTA法につきましては、溶融塩炉とかペブルベッドとか、あるいはADSといった、将来の原子力システムに適用できるのではないかというふうに考えております。
 次のスライドをお願いします。
 最後にまとめですが、繰り返しになる部分もありますが、今後の革新炉とかの規模が大きくなると、IAEAの保障措置リソースを逼迫する。効率的な保障措置の適用が必要。そのために、Safeguards-By-Designは非常に有効な手段になります。
 あと、日本の保障措置技術開発の経験・知見の活用というのも、重要ではないかと思います。
 それから、先ほども言いましたように、保障措置の経験がない分野については、より多くの技術開発課題が必要になってきますので、そういった部分を明確にして、早い段階から技術開発に着手するというのが重要になってまいります。
 あと、IAEAの先ほど紹介しました枠組みに、もし日本で新たな炉型とかそういったものが出てくるのであれば、参加して、早い段階からIAEAと協議を始めるというのも重要だと思います。
 以上でございます。どうもありがとうございました。
【山口主査】  堀さん、どうもありがとうございました。
 それでは、いただきました説明につきまして、意見交換したいと思います。御意見あるいは御質問がございましたら、オンラインシステムの挙手機能を使って、意志表明をお願いいたします。
 では、いかがでしょうか。何かございましたら、発言をお願いいたします。
 では、和田委員、どうぞお願いいたします。
【和田委員】  ありがとうございます。和田でございます。
 御説明どうもありがとうございました。保障措置の課題について、大変分かりやすく、理解できたかと思います。
 質問なのですけれども、23ページのIAEAの枠組みに日本が参加していないというのは、何か理由がありますでしょうか。
【山口主査】  堀副センター長、お願いいたします。
【堀副センター長(日本原子力研究開発機構)】  質問ありがとうございます。
 まず、これはSMRという枠組みなのですけれども、そのSMRという枠組みで、日本では、具体的に実際の設計に入ってくるような作業があまり進んでいないというのが一つ。
 あともう一つは、例えばSMRでも、軽水炉型のものであれば今の既存の軽水炉の保障措置技術がそのまま使えますので、あまり技術開発要素がないというのがあります。何か今と違うような炉が具体的に動き始めれば、ぜひこういったプログラムに参加すればいいと思うのですけれども、今のところ、そういった動きとかそういった炉型がないと考えています。
【和田委員】  なるほど。中国はHTRが入っていますけれども、HTTRは特に開発要素はないということなのでしょうか。
【堀副センター長(日本原子力研究開発機構)】  今、もう既に、大洗の高温ガス炉は保障措置が適用されておりまして、ペブルベッド型ではなくて、固定型の燃料です。そういう意味では既存の技術が使えますので、参加してもいいのかもしれないのですけれども、あまり技術開発要素がないということは言えるかと思います。
【和田委員】  分かりました。ありがとうございます。
【堀副センター長(日本原子力研究開発機構)】  相楽先生が手を挙げているようなのですけれども。
【山口主査】  相楽先生、今の件ですね。相楽委員、どうぞ。
【相楽委員】  すみません、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 基本的には堀様からの御説明のとおりかと思いますが、少なくとも、私自身もこちらのIAEA側の担当者の方と面会させてもらっていろいろ聞きましたけれども、例えば既存の軽水炉技術であっても、施策の中に、候補技術に入っております。中には一般的な大型炉と違うタイプの、例えば格納容器の中に多くの機器が入っていて、設計情報検認といって、不正な操作がされてないかといったものを単純に目視できないようなタイプのものも多くあったりします。それからこの船舶の絵もありますけれども、基本的な燃料交換について大型炉の場合は1年、13か月運転で交換するなどといったたびに検認可能なのですが、しばらくの間、燃料検認なども従来どおりできないような、軽水炉であったとしても、そういった新しいアイデアがどんどん出てきております。
 そういったものに関しましても、IAEAとしてはどんどん取り入れたいということで、私の理解では、ここに日本のほうでなかなか参加者が進んでいないというのは、もちろん、必要性を感じてないというのもあるかもしれませんけれども、ここの活動そのものへの認知度といいますか、その辺が、なかなか日本の中では広まっていないのも重要な要素かなと思っております。
 こちらのIAEAとしては、規制庁さんを通じて、メンバーステートに対して打診などをしていますので、こちらとしても、私、発言させてもらっていましたけれども、事業者が国とうまく交流しながら、規制庁などと交流しながら、IAEAに対して提案していくというステップが必要になるかと思います。なので、こういった場でこの議題を取り上げていただいたのはまさにそこでして、R&Dの事業者の皆様には、こういったものがあるということをぜひ知っていただきたいなと思っております。
 以上、補足になります。
【山口主査】  ありがとうございます。
 和田委員、よろしいでしょうか。
【和田委員】  ありがとうございます。
【山口主査】  では、続いて中熊委員、どうぞ。
【中熊委員】  電事連の中熊です。ありがとうございます。
 すみません、単純な質問で大変恐縮です。
 その前に、非常に勉強になりました。なかなか触れる機会が正直少ない分野ですので、非常に勉強になったなというふうに思ってございます。
 質問は、9ページ目で、資金の予算に関してのトレンドをお示しいただきましたけれども、確かにエスカレぐらいしか上がらないというような話だということで伺いましたが、過去、これよりもっと前は、例えば運転している炉の基数も多かった時期が多分あったと思うのですけれども、その時からこのぐらいの規模でずっと推移しているのかということと、確かに、技術開発に頼って何とかリソースの逼迫を回避しようという動きが重要だというふうには思うのですが、そうは言っても、先々なかなか技術開発だけでリソースをこのぐらいの規模で維持できる見通しも、恐らく今、現時点ではないと思っているのですけれども、リソースを増やして人もお金も増やしていくというような議論というのはIAEAの中であるのかどうかというところも、参考までに教えていただければと思います。
 以上でございます。
【堀副センター長(日本原子力研究開発機構)】  ありがとうございます。私は2010年から16年までIAEAにいまして、少なくとも2010年からずっとこのような感じの予算になっております。
 保障措置予算を増やすという議論はずっとあるのですけれども、それ以上にIAEAの保障措置以外のほかの予算を増やしたいという議論もありまして、例えば途上国は、IAEAのやっているRI利用を農業とか医療に使うとか、そういった分野に関心がありますし、あと先進国は、どちらかというと原子力局とか原子力安全セキュリティー局にもっと予算を振ったほうがいいのではないか。逆に、保障措置局は予算を使い過ぎているといったような議論がありまして、これまでの議論では、やっぱり増加というところまで行ってない状況です。
 例えば、今、イランの核合意、JCPOAの下で、イランに対して追加的な活動が行われていますが、その追加的な部分については、IAEAは各国から特別拠出金、通常の予算の外側の予算を要求してやっております。それで何とか賄っているような状況でして、可能性としては、そういう特別拠出金を各国に募って保障措置を強化するというのも一つのアイデアとしてあるのかもしれないのですけれども、なかなかどの国も、やはり国際機関に対する分担金は増やしたくないというのが基本的な立場ではないかと思います。
【中熊委員】  分かりました。ありがとうございました。
【山口主査】  ありがとうございます。
 続いて小澤委員、どうぞ。
【小澤委員】  小澤でございます。御説明ありがとうございます。
 プラントメーカーの立場でいくと、どちらかというと核物質の保障措置は燃料製造設備ぐらいかなと。それ以外は、どちらかというとエクスポートコントロールのところでかなり苦労しているような感じでありまして、そういった目から見ると、幾つか疑問といいますか、こうなのではないかなという確認をしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 一つは今回、革新炉で中心的になっている高速炉ですけれども、16ページに、燃料がナトリウム中にアクセスできないといったものでも、もんじゅではいろいろ工夫してやっていたという御説明でした。核物質があちこち行くおそれがないということが分かれば、それをもって、安心して検認を受けたもので信頼してもらえるのではないかなというふうに思ったり、冒頭、相楽先生から問題意識があった、MA含有燃料であれば、さらに加工しないと核兵器に転用できないとか、懸念の度合いが低い場合は楽になっていくとか、あるいはモバイル型の原子炉だとかいろんな型が出てきて、燃料がどこへ行くか予想がつかないみたいなものは厳しくなるだとか、そういった懸念の度合いについて、IAEAの中で、革新炉分野についてどんな議論があるのかというのを一つ教えていただきたいと思います。
 もう一つ、ちょっと細かくなるのですけれども、高温ガス炉についてはペブルベッドのほうが、運転中に燃料交換ができると思うので、懸念度としてはHTTRよりも相当高いのではないかと思うのですけれども、IAEAの経験がないということにちょっと驚きです。この懸念の関心度合いというのですか、IAEAの関心度合いというのがどんな状況にあるのかというのを、御存じでしたら教えていただきたいと思います。
 よろしくお願いします。
【堀副センター長(日本原子力研究開発機構)】  ありがとうございます。まず、最初のシール、封印とか、カメラで、核物質が動いていないという部分につきましては、この次のスライド、17ページ、よろしいでしょうか。
 ここで例えば、炉内ですと設計情報検認というのをやりまして、まず、この炉から核物質を取り出すルートがここに限られているというふうに、設計上判定します。その核物質が移動可能なルートに対して、カメラを置いたり放射線測定器を置いたりすることによって、その核物質が取り出されていないというのを確実に検認する。それができれば、本来であればIAEAは核物質を見て一々それを検認するのですけれども、そういった二重の封じ込め下にあれば、たとえ中が見えなくても検認されたことにするというのがIAEAの中のルールで決まっておりまして、そういうふうに懸念の度合いに応じて、一重のものでもいいし、あるいは二重のものをつけなければいけないかというのが決まっております。
 あと、先ほどおっしゃったMA含有燃料とかは、核物質のsignificanceというか重要度に応じて、査察のときの査察の頻度、それからサンプルサイズといいますか、どれぐらいのサンプルを取るかというような、intensity frequencyと言っていますが、保障措置の頻度と、どれぐらいの強度で保障措置をかけるかというのは決まっています。
 例えば使用済み燃料ですと、3か月に1回査察をすればいいのですけれども、これがMOX燃料になりますと原則月1回査察をやると。それは転用時間を考えると、新燃料ですと、プルトニウムとウランを分ければ、すぐプルトニウムを核兵器の材料として使えるのに対して、使用済み燃料ですと再処理が必要だということで、より転換に時間が必要だという考え方から、そのようなことになっております。中でそういったルールができております。
 それから、ペブルベッドなのですけれども、運転中に核物質を取り出せる炉は、on load reactorというふうに呼んでいまして、それに該当する既存の原子炉ですとCANDU炉になります。それらは潜在的に、核物質を入れて、照射して、プルトニウムを生成してまた抜き取って、それをどこかに持っていってしまうというようなことが可能ですので、そういったon load reactorに対しては、より厳しい保障措置がかかりますので、CANDU炉というのは、結構、保障措置上、ほかの軽水炉と比べて厳しい保障措置が適用されております。
 ペブルベッドの難しいところは、さらに、ペブルに番号とかも振ることがほぼ不可能で、それがかなりたくさんの量があって、それらをトレースするのは難しいという意味で、さらに保障措置上のチャレンジになります。
【小澤委員】  ありがとうございました。
 CANDUについては、よく分かりました。多分、高速炉ですと、燃焼度によって使用済み燃料に含まれる核分裂性のプルトニウムの量が変わってくると思うのですけれども、そこは燃料交換の頻度と計算で対応して証明できると。そんな感じと考えてよろしいのでしょうか。
【堀副センター長(日本原子力研究開発機構)】  高速炉につきましては、もんじゅの実績とかもありますので、大丈夫だと思います。
【小澤委員】  そうですね。分かりました。大体、問題意識は分かりました。
 ありがとうございました。
【山口主査】  それでは、石川委員、どうぞ、お願いいたします。
【石川委員】  関連して。まず、大変分かりやすい御説明、ありがとうございました。
 今の小澤委員の質問にも関係するところなのですが、24ページで、燃料交換を行わないタイプのSMRだと査察頻度が少なくなるというのは、つまり、何十年もたってから、開けてみたらごっそり減っていたというのを心配する必要が構造上ないという認識でいいということなのでしょうか。やはり、燃料交換するタイプに比べて。
【堀副センター長(日本原子力研究開発機構)】 先ほど、相楽先生もおっしゃられていたのですけれども、実際、まだ経験がありませんので、そういった施設をどうするかという議論は必要になってくるのですけれども、今、石川先生がおっしゃったとおり、核物質の抜取りルートが限られていて、そこに例えば封印を付けたりとか、あるいはカメラを付けておけば、それによってその核物質が持ち出されてない担保ができますので、そういう意味では信頼できる封じ込め監視が適用できれば、今までよりも保障措置は、そういった施設に対しては楽になるということは言えるかと思います。
【石川委員】  どうもありがとうございます。
【山口主査】  相楽委員、今の点ですか。御発言ください。
【相楽委員】  すみません、私のほうからも少し発言させてください。
 石川委員のほうから御指摘があった点というのはまさにこれ、ポイントでして、何十年間も燃料交換がないタイプというのは、実際に開発中のものがございまして、それに対しては、堀様のほうからも御説明があった、封じ込め監視で非常に合理化できるというところは一つのストーリーではあるのですが、一方で、例えば封じ込め監視というのは基本間接的な手法でして、直接的に核物質が本当にあるのかどうかという情報なしに、経路に対して間接的に保障するというアプローチになってございます。
 ですので、これは何十年にわたって本当に封印や監視のみでいいのかというのは結構重要なポイントかと思いまして、これはIAEAの側でも重要な検討項目として取り上げられているものかというふうに、私は認識してございます。
 補足になります。
【石川委員】  どうもありがとうございます。
【山口主査】  ほかにはいかがでしょうか。
 堀さん、せっかくだから、私からもお聞きしたいのですが、よろしいですかね。
【堀副センター長(日本原子力研究開発機構)】  どうぞ。
【山口主査】  最初に、SGというのはCredible Assuranceなのだと言われましたよね。それがセーフティーやセキュリティーと違っている。そうだとすると、今のお話といろんな新しい概念の炉とか、いろんな施設が出てくると、今のように実際の量を検認していくというやり方は、やっぱりリソースとか限界があるし、あるいは技術開発もどんどん膨らんでいくと思うのですよね。
 ですから、少し違った発想で、まさにCredible Assuranceというのであれば、もっとSGの活動を合理化するとか、ほかのやり方で検認するとか、さっき、もんじゅのお話とかされましたよね。そんな動きがあるのかというのが一つ。
 それから、これだけいろんな炉が出てきたりすると、ガイドといいますか、何か要件を整理したような、ガイドラインのようなものが、やっぱり要るのではないかと思うのですが、そんな動きというのはないのか。ちょっとその辺は、これから多分、産業界が新しい炉を開発しようというふうに考えたときに、設計段階からいろいろやっていくというのは、なかなか難しい面もあろうかと思いますし、ちょっとその辺のIAEAの動きとか、お分かりでしたら教えていただけますか。
【堀副センター長(日本原子力研究開発機構)】  ありがとうございます。
 今までの保障措置は、1990年代につくられた保障措置クライテリアというのがありまして、それに基づいて頻度とか、どれぐらいの強度で査察をやるかというのが決まっております。
 その後、やっぱり原子力施設も増えてきたというのがありまして、2000年代に入りまして、特に2012、2013年頃から、ステート・レベル・アプローチという方法を取り入れていまして、それは国全体で、特に核兵器の製造に関連しそうな、Acquisition passと呼んでいますけれども、そこに重点的に保障措置をかけて、それ以外の部分は緩くしようという考え方が、今、導入されております。
 それによって、例えば軽水炉ですと、今まで、どの国でも同じぐらいの頻度で保障措置が行われていたわけですけれども、それがそうではなくて、国によって頻度が高かったり、あるいは低かったり、その国の中でも重要な施設に対して保障措置のリソースを使うといったような形になって、そういうステート・レベル・アプローチを使った査察の効率化というのが進められています。あとはランダム化です。抜き打ち査察といいますか、ランダム性を持たせることによって、より少ない査察業務で、より多くの施設をカバーするといったような取組も、今、行われております。
 それらについてはまだ議論が進んでいまして、行く行く、リソースが本当に厳しくなったときに、新たな手段として出てくるのではないかと思います。
 あと、事業者の方とか、あるいはメーカーさんなんかに参考になるのは、IAEAがSafeguards-By-Design documentというのをつくっていまして、これは既存の施設、例えば軽水炉に対しては、こういう保障措置が適用されるから、こういうふうに設計上やっておくと保障措置がよりやりやすくなって効率的にできますよといったような、あんまり詳しくはないのですけれども、大ざっぱに書いたガイダンスのドキュメントがありますので、そういった資料が参考になるのではないかと思います。
【山口主査】  ありがとうございました。大変よく分かりました。
 ほかにはいかがでしょうか、御質問など。
 吉橋委員、どうぞ。
【吉橋委員】  名古屋大学の吉橋と申します。
 御説明ありがとうございました。非常によく理解できました。
 それで、少し技術的なというか、ちょっと教えていただきたいのですが、25ページ目の保障措置の課題のところで、今後、これまでに経験のない核物質の計量管理だとか保障措置の技術が課題だということで、次のページですかね、今、パッシブ法に代わってアクティブな方法が必要になってくるということで、現在、もう既にいろいろ実行後のデブリの計測だとかでこういった手法等々、開発しながらやっているということを聞いておりますが、こういったアクティブ法の、今挙げられている遅発ガンマ線分析だとか中性子透過共鳴分析というのは、実際にもう既にIAEAとの話合いの中で、将来の保障措置技術開発として、一緒にやっていくような形になっているのかどうかということと、他国においては、同じようなアクティブ法について行っているのか、また、全く別の方法が行われているのかということを、少し技術的なところで教えていただけると幸いです。よろしくお願いします。
【堀副センター長(日本原子力研究開発機構)】  ありがとうございます。
 アクティブ中性子法につきましては、技術開発をもう何年か続けていまして、その技術開発の節目のときに、将来のステークホルダーといいますか、IAEAの保障措置局とか、あるいは核セキュリティー局とか、あと、ヨーロッパとかアメリカの研究所の方をお招きして、技術をレビューしてもらうということをやっております。
 これらの技術につきましては、まだ開発段階でして、そういった形でIAEAの関係者をお招きして技術の紹介をしているところですけれども、まだ、先ほど言いましたサポートプログラムといったような形での技術開発ではなくて、我々のほうで今、自主的に開発して、将来IAEA等の関心が高ければ、それをサポートプログラムとして実施していきたいというふうに考えております。
【吉橋委員】  ありがとうございます。
 ぜひ、こういったことがIAEAにも認められると、すごく日本としていいなと思いますので、よろしくお願いします。
【堀副センター長(日本原子力研究開発機構)】  どうもありがとうございます。
【山口主査】  ほかはいかがでしょうか。大体よろしいでしょうか。
 大変よいインプットをいただいたと思います。どうも堀さん、ありがとうございました。
【堀副センター長(日本原子力研究開発機構)】  どうもありがとうございました。
【山口主査】  それから、相楽先生もありがとうございました。
 では続きまして、次の議題に移らせていただきます。
 4番目の議題は高温ガス炉燃料の話になります。この件では、高温ガス炉用の燃料の製造実績がある民間企業における、これまでの取組と現状の御紹介になります。これまでJAEAからも、日本では原子燃料工業株式会社で実績があるという御紹介をいただいたところですが、本日は、同社から企画部の上席主幹の木下様をお招きして、御説明をいただきたいと思います。
 資料4を御覧ください。
 それでは、木下様、よろしくお願いいたします。
【木下上級主幹(原子燃料工業株式会社)】  御紹介にあずかりました、原子燃料工業の木下でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、今日、お時間をいただきまして、今、先生から御紹介いただきましたとおり、私どもの高温ガス炉燃料を製造してきました取組、実績ですとか、あと現状、課題等について御報告させていただきます。
 次のスライドをお願いいたします。
 今日、御説明する内容でございますけれども、最初に私どもの技術開発の歴史、それから基礎的な話としまして、高温ガス炉燃料の構造ですとか製造工程、やや釈迦に説法なところはございますけれども、そういったお話をさせていただいた上で、実績としまして、私どもの設備、それから大洗のHTTRの燃料の製造実績ですとか、その照射実績、それを実現するために私どもが特に注力してきたところの技術的なお話、そして最後に課題といった形でお話しさせていただきます。
 スライドをお願いします。
 最初に、ちょっと手前味噌でございますけれども、私どもの高温ガス炉燃料の取組でございます。
 HTR、非常に優れた特性があるといろいろな場で申し上げられておりますけれども、これを機能させるためには、やはり燃料の品質が重要であるという考え方にのっとりまして、私ども原子燃料工業では、この年表にございますように、およそ半世紀にわたりまして高品質な高温ガス炉燃料の製造技術の開発を行ってまいりました。年表は70年代から始まりますけれども、脈々とR&Dをやってまいりまして、その成果が認められて、年表の真ん中ほどに写真がございますけれども、こちらが弊社の東海事業所にありますHTR燃料の製造施設。これを93年に建設いたしまして、真ん中辺にございますピンク色の帯になりますけれども、HTTRの初装荷燃料と、それから第2次燃料、これは取替燃料になります。この2回の燃料を納品させていただきました。ただ、この後震災がございまして、私どもはこの工場を動かす機会になかなか恵まれなかったというような経緯がございます。
 次のスライドをお願いいたします。
 まず、基礎的な話としまして、HTR燃料の構造を、左側に軽水炉BWRの燃料と比較してお示ししてございます。
 核燃料物質は、軽水炉の燃料と同様にUO2、二酸化ウランを用いているわけでございますけれども、HTRのほうは、これを直径約0.6ミリメートルの小さな粒にいたしまして、これに、この右下のCGがございますけれども、4層の保護層を被覆いたしまして、被覆燃料粒子というものにいたします。これを大体1万3,000個程度集めまして、右上のほうに写真がございますけれども、コンパクトという円筒形に固めます。これを黒鉛のスリーブに入れた燃料棒というものを黒鉛ブロックに入れて、HTTRの炉心に装荷するというような構造になってございます。
 次のスライドをお願いいたします。
 これの作り方でございます。左側が軽水炉になりますけれども、軽水炉の場合は二酸化ウランを圧縮成形して焼結し、金属の管に詰めるというような工程になります。
 HTRの燃料の場合は、まず粒をつくる。これは液体の工程でございまして、ウランを硝酸の溶液にしまして、これをアンモニアに滴下することでADU(重ウラン酸アンモニウム)、これをさらに化学形態を変化させていきまして、UO3、UO2という燃料核をつくります。
 次に被覆の工程になります。CVD、chemical vapor depositと呼ばれる方法を用いまして、熱分解するガスを連続的に変化させることで、4層の被覆を行うと。こうしまして粒子ができたものを、オーバーコートといいまして黒鉛粉末でさらにまぶしまして、温間プレスによって燃料コンパクトというものに成形するわけでございます。
 次のスライドをお願いいたします。
 私どもがこのHTRの燃料を製造するために建設いたしました製造施設でございます。92年に竣工したわけでございますけれども、これは原子燃料工業の東海事業所にございます。敷地の一番南のほうに立地してございます。
 生産能力でございますが、記載ございますように、年間約0.4トン、400キログラムUの生産能力で許可をいただいております。HTTRの燃料を製造しましたときは、濃縮度は最大9.9%まで取り扱っておりました。
 このHTRの生産の能力に加えまして、いわゆる使用施設としまして様々な化学形態、物理形態の核燃料物質を取り扱って、分析ですとかR&Dといった活動も、この建屋の中で行えるようにしてございました。
 ですが、震災後、2016年8月に使用許可を変更いたしまして、施設で取扱可能なウランの量を制限しております。どういったことかといいますと、右下のほうに米印がついてございますけれども、炉規法施行令第41条に定められます使用前検査等を必要としない施設とするために、施設全体で取り扱える濃縮ウランのU235量を650グラム以下とするということで、いわゆる天然ですとか劣化とか、そういったものを取り扱う施設というような許可に今はしています。そういった状況でございます。
 次のスライドをお願いいたします。
 それでは、この施設を使いまして、私どもが作ってきた燃料の実績でございます。HTTRの初装荷、または第2次燃料の様々なデータを御紹介してまいります。
 このスライドは、製造時の被覆の健全性でございます。一番左に写真がございますけれども、これは被覆が健全な状態の粒子の断面でございます。真ん中に大きくUO2の核がございまして、これに内側から1層、2層、3層、4層と被覆をするわけでございますけども、どうしても非常に低い確率で、製造時にこの被覆にも欠陥が生じている場合がございます。
 この欠陥を二つに分けまして、一つが、内側から3番目の、まさにセラミックのSiCの層が破損している確率、それから、さらに破損が、亀裂が中まで浸透しまして、ウランの燃料核まで亀裂が進展しているというか、到達しているものです。そういったものに、二つに分けます。どちらもHTTRの設計で上限が定められておりまして、私どものこれは2次燃料のほうの公開のデータベースから持ってきたものでございますけれども、仕様上限の半分以下、十分少ない、小さい確率で欠陥を抑え込んでいるというのが実績でございます。
 次のスライドをお願いいたします。
 この燃料を照射した実績についてでございますけれども、HTTRのほうは、現状では初装荷燃料が、設計燃焼度のおよそ半分程度まで燃焼が進んでおりますが、今日まで燃料が系統破損しまして、炉心周辺で線量が上昇するといったようなことは生じておりません。
 それから、次に950度試験。これは2010年に行われたものでございますけれども、原子炉出口温度を950度にしまして、50日間連続運転したと。現状では世界最高の高出力の運転になっているかと思います。燃料温度は1,300度というような評価になってございますけれども、このグラフ、これもJAEAさんのホームページのほうで公開されておりますけれども、核分裂性のガスでございますクリプトン88の放出率が、この50日間、上昇することなく、しかも生成率に対する放出率が10のマイナス8乗から9乗と、非常に低いレベルに抑えられていると。米国ですとかドイツの先行する実績に比べましても、十分低い値であったということで、桁違いと書かせていただいておりますけれども、HTTRはFPの閉じ込め性能が実証されたわけでございます。これは、ひいて言えば燃料のほうの、先ほどの被覆といったものが、こういった高出力の高温の運転の中でも健全であったということを実証しているデータになってございます。
 次のスライドをお願いいたします。
 こういった高品質、被覆が非常に欠陥の発生率が低いものを製造するために、私どもが特に重視したスペックがございます。
 二つございまして、一つは、やはり被覆の均一性でございます。これは被覆層が、こういった核分裂生成物、特にガスの成分のバリアとして機能するわけでございますけれども、その機能を発揮するためには各層が均一に形成されているという必要がございます。そして、その均一性のために、真ん中にありますUO2燃料核の真球度、いかに丸くつくるかということでございます。これがいびつな形をしておりますと、被覆層も均一にすることができない。結果として、熱応力ですとか内圧によって被覆層の破壊の弱点となってしまうことがあるということでございまして、私どもはこのR&Dの中で、燃料核の真球度と被覆層の均一性を追求しまして、これは先ほどデータでお示ししましたような、極めて低い破損率に貢献してきたというふうに考えております。
 次のスライドをお願いします。
 実際にデータで見ていただきたいと思っております。こちらのグラフは、HTTRの初装荷燃料のUO2燃料核、被覆をする前のウランの粒の部分でございますけれども、それの真球度でございます。真球度は右のほうに定義を書いてございますけれども、直径の最大と最小の比率でございます。要するに、1であれば真ん丸ですけれども、設計のスペック上限1.2というものに比べて十分低い、1.0に近いところで、しかもばらつきも小さくできているというようなデータになってございます。
 もうちょっとビジュアルに見られるものはないかということで、いろんなデータを探したのですけれども、左下の写真、先ほどの年表の左のほうでございます。R&Dを始めた頃の、なかなかきれいなものができなかったわけでございますけれども、試行錯誤の結果、2次燃料です。2000年代中頃になるのですけれども、その頃には、粒の大きさも真球度も非常にそろったUO2核ができるようになったというようなことが示してございます。
 次のスライドをお願いいたします。
 こちらが被覆層の均一性のデータになります。各グラフの真ん中に線が引いてあるところが設計スペックでございまして、どの層も設計スペックに合わせて、しかも、ロットごとのばらつきも小さく作れるようになったというものがございます。
 黄色のところはSiCの層でございまして、設計よりも保守性の観点で少し厚くつけたところはございますけれども、設計スペックを満足して作れるようになったというようなところを示してございます。
 次のスライドをお願いいたします。
 それでは、これはまとめになるのですけれども、国内実証炉の燃料を作るという点で課題を整理しております。振り返りますと、私どもの長年の燃料の製造技術の成果が、HTTRの初装荷及び第2次燃料に結実しまして、HTTRの優れた性能に貢献したというふうに私どもは自負しているわけでございますけれども、2008年に第2次燃料を納入して以降、発注がないまま震災を迎えまして、以降、当社は厳しい事業環境の中で、このHTR燃料製造施設の使用許可を変更しております。
 これによりまして、現状では、先ほど写真で見ていただきました施設では、HTTRまたは実際の運転に使用できる高温ガス炉向け燃料の生産はできない状況にございます。そうなりますと、高温ガス炉の国内実証炉、または後続の商用炉があったとしても、燃料を供給するためには新たな燃料製造施設を整備する必要があると。これまでの検討会の中でも、こういった提言はなされているかというふうに思います。
 こういったところがハード上の問題でございますが、そういったハードの問題がクリアできて施設の整備ができたとしましても、一方で燃料製造の技術を持っている、スキルを持っている人間、スキルの人間から人間への伝承が問題になっているという状況でございます。私どもも、ここに書いてございますように、発注はないのですけれども、技術伝承は辛うじて維持しているという状況でございます。
 具体的には、過去の製造技術のR&Dの成果ですとか、2度にわたるHTTR燃料の製造において得られた貴重な経験、こういったものを文書として維持しているのですが、ですから、逆に言うと、頭では分かっているのですけれども、作業する人がこれらを生きた技術として腕に生かす機会というものが存在しないという状況でございます。
 今後、次世代革新炉ということで、高温ガス炉を国内に導入していくということがあるとしますと、この燃料製造の技術維持の観点で、例えばですけれども、今日御紹介しました当社の既存施設を使いまして、許可を天然または劣化に制限しておりますので、そういった天然または劣化を用いて、可能であれば長期間反復して、実際の原子炉には入れられないのですけれども、燃料製品を製造する機会があれば、スキル維持に有効であるというふうなことを申し上げさせていただきたいと考えております。
 私どもからの報告は以上となります。御清聴ありがとうございました。
【山口主査】  木下様、どうもありがとうございます。
 それでは、今、高温ガス炉の燃料製造の状況を御説明いただきましたが、また意見交換に入りたいと思います。御意見、御質問ございましたら挙手機能でお願いします。
 では、出光委員、どうぞ。
【出光委員】  出光です。非常に興味深い話、どうもありがとうございます。
 幾つか質問があるのですけれども、一つは、今回、高温ガス炉の燃料ということで形状が均一だったのですけれども、大きさの違うものをつくる研究というのは、特にはなされなかったでしょうかということです。というのは、私、昔、スイスのPSIで、原燃工さんとは違って内部ゲル化法のほうで粒子燃料の製造の研究をやったりしたことがありましたので、そのときに、大きさの違うものをPSIではたくさんつくっておりまして、一番小さいものが直径30ミクロンという砂粒みたいなものから作っておりまして、要は、一時期JAEAさんでも考えられていましたけれども、ペレットの代わりに粒子燃料にして、それを粒型の違うもので詰めて充塡密度を上げようという計画の一環だったのですが、そういったものも、開発としては何かあるのかなというのが1点あります。
 あと、高温ガス炉についての話でいきますと、真球度を上げたりとか被覆をきれいに作ったりということで、FPガスの放出率が下がったというのは、まさしく原燃工さんの技術のおかげだというふうに思います。真球度を上げたりとか、恐らく作り方のところにもあると思いますけれども、要は、私も粒子燃料を作るときにいろいろトライ・アンド・エラーしていましたけれども、ノズルの部分の形を変えたりとか、超音波のかけ方を変えたりとか、あとは落とす高さを変えたりとか、入れる溶液の濃度を変えたりとか、いろんなことをやったわけですけれども、恐らくそういうノウハウがたくさん詰まって、あのような結果になっていると思いますので、ぜひそこのところはノウハウをつないでいっていただきたいというのが、一つの、これは質問というよりは希望でございます。
 あともう1点ですけれども、今後といいますか、多分この間、前回、HTTRの燃料をつくられるときもそうだと思うのですけれども、これは湿式でつくっていきますので、臨界管理の技術といったものも非常に重要になると思うのですが、この辺り、特に湿式ですから、これは質量管理でされていたという理解でよろしいでしょうか。
 以上、三つ申しまして、一つはコメントというかお礼になりますが、質問のほう、何か分かりましたら教えていただきますとありがたいです。
【木下上級主幹(原子燃料工業株式会社)】  まず、一つ目の、いろいろ形状といいますか、粒子の直径ですとか、そういったものを変える試みということに関して言いますと、例えばでございますけれども、JAEAさんから2019年ですか、プレスリリースされておりますけれども、カザフスタンのほうで120ギガまで燃やす高燃焼度の照射試験をやられて、その燃料も当社のほうから供給させていただいたのですけれども、あのときは直径、カーネルの径がおよそ半分、約300ミクロンだったというふうに思います。
 ですから、そういったものも、私どものほうでパラメーターを調整しまして、JAEAさんが希望する、提示されたスペックで、当然、真球度ですとか被覆の各層の厚さ等もスペックがあったわけでございますけれども、そういったものに合ったものを作る、そういった取組はしてございます。
 こういった、何を変えれば、どんなふうに物ができるのかというようなのは確かにノウハウでございまして、こういったものも、例えばちょっと違うものをつくるたびにはドキュメントを残しておりますので、そういったものを、今はアーカイブ化ということで、散逸しないようにという努力をしているわけでございますけれども、今日、最後の提言のほうで述べさせていただきましたような形で、つないでいけたらというふうに考えてございます。
 臨界管理でございますけれども、濃縮度も高い、しかも溶液工程であるということで、特にJCOの臨界事故以降、私どもの施設のほうでも、少し管理を厳しくするというような要求がございまして、一部施設を改造したところもございます。
 おっしゃるとおりで、特に臨界管理に関しましては、施設に関しましては大きな量は使わないというのがございますけども、やはり質量管理というのが基本的な考え方になっております。ですから、これは今後の、さらに高い濃縮度のタイプの炉型ですね、同じ高温ガス炉と申しましても、あるいはさらに量産の規模を大きくしていくといった中では、私どもが今持っている知見に加えて、いろいろな臨界管理の技術といったものを導入して、新しい施設をつくっていかなければいけないというような認識で、私どもはおります。
 そういった回答でよろしかったでしょうか。
【出光委員】  ありがとうございます。
 もう1点、例えばプルトニウムが入ってMOXの粒をつくるという話になったときに、これは開発しなければいけないという大きな問題、もちろん臨界管理はあると思いますが、何かそのようなことについての知見とかいうのはお持ちでしょうか。
【木下上級主幹(原子燃料工業株式会社)】  そうですね、一つはやはり線量が高いということだと思います。先生も御存じのように、添加物を加えて粘性等を調整しておりますし、それからADUをつくるためにアンモニアといったもので反応させているわけでございますけれども、そういったものが放射線で劣化していく、あるいは温度条件が変わってしまうというようなことがあるのだと思います。そういったところで、そういった高線量のものにも耐えられるような添加物ですとか、あとは施設全体、そういったところについて考えていかなければならないと。
 あとは、例えば世界のMOX工場、どこを見ましても、やはりその線量に関係して、かなり遠隔化が進んでいるというところがございます。一方で、私どもも液体工程でございますと、いろんなところで、やはりどうしても人間の手を入れなければいけないというようなところです。その辺をどうやって遠隔化あるいは自動化していくかといったところは、本当にプルトニウムを使うということになりましたら、少しR&Dをしなければならないかなというふうに考えてございます。
【出光委員】  ありがとうございました。大変参考になりました。
【山口主査】  ほかにはいかがでしょうか。御質問等ございますか。
 いらっしゃいませんか。よろしいでしょうか。
 では、ちょっと私から一つお聞きしたいのですが、最後に、今の施設で、天然ウラン、劣化ウランであれば使えるので、それでスキルの維持をということなのですが、まず、今、施設そのものはちょっとどういう状況にあるのかという話と、それから、もしそれで、天然ウランを用いて模擬燃料製品を作ったとして、いざ濃縮ウランで作るとなったときには、また相当ハードルが高いのかとか、ちょっとその辺りの現状と将来の活用といいますか、どういうふうに使える可能性があるのかという辺りを、もう少し御紹介いただけますでしょうか。
【木下上級主幹(原子燃料工業株式会社)】  現状の施設でございますけれども、使用前検査は特に法令上要求されないようなウラン取扱量にしているという状況ではございますけれども、やはりウランを取り扱っている施設であることには変わりませんので、常に日々点検をしながら、施設は健全な状態に維持しているという状況でございます。
 ただ、施設が健全かというのは、いわゆる外観、目視点検とか、そういったところで特に異常がない、顕著な異常がないというところを確認しているものでございますので、動かしてはいないわけです。動かしてみますと、例えば電気系でウランの溶液を抽出したり、送出したりするようなところが、私どもが希望する設計どおりに動くのかといったところを定期的に点検しているわけではないというような状況でございます。
 ですから、ここで一番最後に、模擬燃料を製造する機会というものの中では、そういった整備を行って、この施設を使ってスキルの維持をするというようなことを、私どもとしては希望しているわけでございますけれども、濃縮度が変わっても基本的には化学工程、ケミカルな工程でございますので、濃縮度が違うということによって何かプロセスのパラメーターに変更があるとか、オペレーションのやり方が変わるとかいうことはございませんので、そういった意味で、ここに、天然(劣化)を用いたトレーニングが有効であるというようなことを書かせていただきました。
 それから、先ほどの出光先生のお話とも少し関連があるのでございますけれども、実証炉というものになっていきますと、やはり設計スペックはHTTRと同じではない可能性があるわけです。例えば高燃焼度、高温というものも目指していきますと、ウランの粒子核はもっと小さいものを作って、SiCの層をもっと厚くしてというようなことが期待されるかと思うのですけれども、そういったものを工場が建つまでの間に、パラメーターを出すような、R&D的なところもこういったものが使えれば有効なのではないかと、そういった使い道がございますということを申し上げたいところでございます。
【山口主査】  ありがとうございました。
 それでは、あとほかはよろしいでしょうか。何か確認したいこと。
 桐島委員、どうぞ、お願いいたします。
【桐島委員】  ありがとうございます。
 東北大の桐島でございます。お話、ありがとうございました。伺っていて、非常にぎりぎりの状況に来ているなというのがよく理解できまして、大変な状況だなと思って見ていました。
 最後のスライドを見ておりまして、11枚目ですね、トレーニングは、まだやる環境はあるけれどもというお話でした。
 今後、高温ガス炉の国内実証炉に燃料を供給するのであれば、ハードをつくれば、何とか技術をつないでいればできるのではないかという見込みが示されたのですけれども、これも時間の問題というのが、やはりあるのだと思うのです。この状況のまま、あと10年、20年、スキルだけはどうにか維持してくれとお願いしてもなかなか厳しいと思うのですが、NFIさんの印象として、どのぐらいの時期にこういう燃料供給の見込みというのがはっきりしてくれば技術はつなげる、何十年だったらもう無理、技術のスキルの維持も難しくなると、具体的には言えないのでしょうけれども、感覚的にでも示唆していただければと思うのですが、いかがでしょうか。
【木下上級主幹(原子燃料工業株式会社)】  そうですね、一番分かりやすい例で申しますと、最後に実際燃料をつくったことのある現場のワーカーの方ですとか、その当時一緒にやっていたエンジニアというのが、ほぼ我々の世代でございまして、私は今52歳でございますけれども、退職してしまう年齢がいずれは来るわけでございますけれども、それを若手につなげていかないと、ある意味そこでアーカイブになってしまうというようなことがございます。ですから、そういった、つなげる人を採用してというような時間軸まで考えるのであれば、早いほうがいいというような言い方しか、ちょっと申し上げられません。
 すみません、ちょっと中途半端な説明でございますけれども。
【桐島委員】  ありがとうございます。今50代の方が現場に立てる間に、具体的な話が下りてこないと厳しいということですよね。
【木下上級主幹(原子燃料工業株式会社)】  そうですね。
【桐島委員】  大変よく分かりました。ありがとうございました。
【山口主査】  ありがとうございます。
 そのほかはよろしいでしょうか。
 浅沼委員、どうぞお願いいたします。
【浅沼委員】  御説明ありがとうございました。
 先ほどMOX燃料の取扱いに際して、遠隔化が技術として必要になるというお話だったのですが、今、非常にスペックのいいというのですか、品質のいい燃料をつくるのに人が関わる部分があって、その技術を維持していくというのがすごく今、課題になっているのは分かったのですけれども、そこを遠隔自動化というところにつなげることで、そのノウハウのアーカイブ化が少し解決できないかなというのを、お話を伺っていて感じたのですけれども、現場としていかがでしょうか、その辺、何か御意見があればお聞かせ願いたいのですけれども。
【山口主査】  難しいですね。
【木下上級主幹(原子燃料工業株式会社)】  そうですね。ですから、全く人間が手を触れなくてもできるようになって、その通り作っていけるようになれば、一つその問題は解消するのかもしれないのですが、一方で、私も過去のアーカイブの資料を見ると、想定外の品質トラブルというのは結構あるのです。おかしいな、今日ちゃんとこのとおりパラメーターをセットしたのだけれども、時間とともに、だんだん同じ一つのバッチの中で、例えば被覆層の厚さが変わっていっちゃったりするみたいな、そういったときに、やっぱり人間が入っていて、これは何があったのだろうかというようなところに、やはり人間の脳みそが活用されていたのですね、実際。
 ですから、その部分までを、言ってみたら伝承していかないと、なかなか量産ということになっていくと、立ち行かないのではないかなというふうに考えております。
 実際の製造工程は、やっぱり触れられないのです。例えば流動床なんかも、一千何百度になっているようなところで粒子がぐるぐる回っているわけでございます。ですから、どちらかというと思ってもみない、考えてもみなかったような品質の問題に対応していくというような、そういう部分で人間らしさとかが出てくるわけなのですけれども、そこの伝承が一番難しいというふうに考えております。
【浅沼委員】  分かりました。ありがとうございます。
【山口主査】  どうもありがとうございました。
 あとはよろしいでしょうか。
 木下様、御説明いただいて状況が大変よく分かりましたし、これまでの実績といいますか、非常に品質の高い燃料製造を行っていただいていたということも御理解いただけたらと思います。大変ありがとうございました。
 何とかいろいろなスキル、人材継承できるように、なかなか厳しいということも分かりましたが、ぜひ御尽力いただければと思います。
 今日は大変ありがとうございました。
【木下上級主幹(原子燃料工業株式会社)】  ありがとうございました。
【山口主査】  それでは、以上で、本日用意しておりました議題が全て御審議いただいたところです。
 最後に、事務局から連絡事項がありましたらお願いいたします。
【事務局】  事務局でございます。
 本日は、プレゼンターのほうからの御説明、委員の皆様の御議論いただきまして、事務局からも御礼申し上げます。
 次回日程についてお知らせです。次回第7回については、2月15日水曜日15時からを予定しております。追って、今回の議事録の確認とともに開催案内として委員の皆様にはお送りいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 また、昨年12月の第5回検討会の議事録についても、委員の皆様の御確認をいただきましたので、近く文部科学省のホームページのほうにアップロードする予定でございます。
 事務局からは以上でございます。
【山口主査】  ありがとうございます。
 それでは、以上をもちまして、本日の議事は全て終了とさせていただきます。
 第6回目、次世代革新炉の開発に必要な研究開発基盤の整備に関する検討会、以上をもちまして散会といたします。本日は御審議、誠にありがとうございました。

―― 了 ――

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