次世代革新炉の開発に必要な研究開発基盤の整備に関する検討会(第4回) 議事録

1.日時

令和4年11月22日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

新型コロナウィルス感染症拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 第3回検討会でご議論いただいた論点と主な意見
  2. 高速炉と高温ガス炉の安全性について
  3. 日本と世界のバックエンド対策の動向について(日本原子力発電 株式会社フェロー 山内豊明氏発表)
  4. 革新炉のサイクル技術開発への期待(中熊委員発表)
  5. 次世代革新炉開発に必要な研究開発項目及び基盤インフラについて
  6. その他

4.出席者

委員

山口委員(主査)、浅沼委員、石川委員、出光委員、小澤委員、桐島委員、中熊委員、和田委員

文部科学省

千原研究開発局長、林大臣官房審議官(研究開発担当)、新井原子力課長、嶋崎研究開発戦略官、宮川原子力課課長補佐

(説明者)
日本原子力発電株式会社 山内豊明 廃止措置担当フェロー
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 大野修司 炉設計部長
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 坂場成昭 高温ガス炉プロジェクト推進室長
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 竹内正行 燃料サイクル設計室長

5.議事録

【山口主査】  定刻となりましたので、ただいまより次世代革新炉の開発に必要な研究開発基盤の整備に関する検討会を開催いたします。
 本日も、お忙しいところ、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 本検討会につきましては、前回に引き続き、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点からオンライン会議を原則として行います。
 なお、会議は原則公開といたします。資料や議事概要等につきましては、文部科学省のウェブページにて公表いたします。
 では、まず、事務局から、配付資料等の確認をお願いいたします。
【宮川課長補佐(事務局)】  事務局でございます。
 それでは、本日の配付資料について御案内申し上げます。
 資料については議事次第のとおり、資料1から5、参考資料は1から2を配付しております。資料については、委員各位には事前に送付、傍聴者の皆様におかれましてはホームページを御参照いただいているかと存じます。資料等の不備や映像などの乱れがございましたら、事務局までお知らせ願います。
 また、本日の委員の御出席につきまして御案内申し上げます。本日は、委員11名中8名御出席いただいております。欠席された委員からのコメントについては、参考資料1、2として配付しております。議事の中で、また適宜御紹介させていただければと思います。
 以上でございます。
【山口主査】  ありがとうございます。
 では、早速議事に入らせていただきます。
 一つ目の議題ですが、第3回検討会における議論及び主な御意見についてでございます。
 では、事務局から、資料の説明をお願いいたします。
【宮川課長補佐(事務局)】  資料1、前回の第3回、燃料に関する検討会ということで、論点をまとめさせていただいております。
 議事の中で、次世代革新炉の開発に必要な研究開発の項目及び基盤インフラについてということで、燃料と人材について、とりわけ御紹介させていただいたものにつきまして、まず、原子力機構の発表のほうに関して、1番上のポツですけれども、高速炉、高温ガス炉の燃料製造に係るサプライチェーンは大きな論点なので、今後も継続して議論していくべきではないかということ。
 二つ目のポツとして、高速炉燃料の高度化等の経済性の向上であったり、環境負荷低減に係る課題の対応については、高速炉のメリットを活かすためには必須のものであるので、技術実証のために、引き続き研究開発を実施していくことが必要であるということ。
 四つ目ですけれども、MA含有燃料の製造については、セル内で取り扱うということから、MA含有燃料の製造施設の整備に当たっては、経済性も十分に考慮し、製造工程におけるトラブルなどを事前に想定し、対応策を検討しておくなど、そういったことは必要だろうという御意見をいただきました。
 下から二つ目のところでございますけれども、MA含有燃料の集合体レベルの試験を行うためには、集合体(1本)当たり極めて大規模な量、88ログラム程度のMAの抽出が必要であると、そういったことから、スケール感を踏まえた議論を進めていくことが重要ではないかという御意見をいただきました。
 また、MA含有燃料については、取扱いに関して、IAEAの検認が厳しいことが考えられるので、その点についても議論する必要があるというのものが、このページの内容になります。続いて、3ページにおめくりいただければと思います。
 金属燃料、1ポツのところですけれども、海外の実績がありますけれども、国内に実績がないので、そういったことを踏まえて検討する必要があるだろうということ。また、金属燃料の再処理においては、槽内にプルの成分が残るということがあったので、計量管理上の課題も、今後の研究開発に必要になるであろうと。
 2ポツ目としまして、今後の革新炉の燃料開発においては、既存の施設を最大限活用して、常陽の運転燃料をはじめ、新機能実証のための小型高速炉燃料などを念頭に、新たな燃料製造施設の検討が必要であると。次期炉の燃料製造にも検討状況を適時反映できるように柔軟な対応を考えて検討していく必要があるだろうという意見をいただきました。
 三つ目ですけれども、ガス炉燃料であるTRISO燃料については、収益事業として成立しない場合には、国の補助などが必要ではないかという御意見をいただきました。
 一番下のポツですけれども、ガス炉燃料については、製造技術の開発そのものよりも、高燃焼度化した燃料の健全性等を確認するための、さらなる照射後試験が必要であろうという御意見をいただきました。
 次に、4ページ、事務局のほうから説明させていただいた次世代革新炉開発に向けた人材育成及び大学の知の集約拠点についてということで、御意見をいただいたものでありまして、主な御意見といたしまして、原子力分野に関心がある人材を、原子力業界に呼べていない現状があると、そういった裾野を広げていくような拠点を整備することが重要であるということを1ポツで言っております。
 2ポツに関しては、産業界のニーズと大学のシーズが結びつくために、それを構築できるような効果的な仕組みを構築すべきという御意見。その中で、研究開発機関であるJAEAが中心的な役割を果たすことは歓迎できると。
 三つ目に、原子力システム事業の成果の原子力機構への集約化、補助金化、原子力機構が産学をつなぐハブ的な役割を担うことについては、その方向性については賛同するということをいただいております。
 一番下のポツですけれども、電気事業者と原子力機構のコミュケーションは、昔に比べて増えてきていると実感している。革新炉開発において、原子力機構が産学のハブとして役割を果たしていただけるのであれば、原子力機構内の体制を整えた上で、幅広い視野で対応してもらうことを期待したい。
 こういった意見をいただいたものと、前回の検討会を認識しております。
 以上でございます。
【山口主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、今の資料1の御説明につきまして、御質問、あるいは意見がございましたら、オンラインシステムの挙手機能を用いて、意思表明をお願いいたします。指名させていただきますので、その場合、ミュートを外して御発言ください。いかがでしょうか。
 質問、あるいは修正といった点でもお願いいたします。大丈夫でしょうか。
 これまでの議論、こういう形で整理させていただきましたので、それで今日御確認いただいたところ、今後のまとめに向けて、議論に向けて、これに基づいて進めさせていただきます。
 それでは、本日御欠席ですけれども、吉橋委員から、この議題について御意見をいただいてございます。これについて、事務局から読み上げをお願いいたします。
【宮川課長補佐(事務局)】  欠席委員の吉橋委員から、参考資料2として、本議題に関して御意見いただいております。
 次世代革新炉開発に向けた人材育成及び大学の知の集約拠点について、これに関して、原子力は総合工学であり、原子力系以外の分野、化学、機械系などにも広く革新炉開発で必要となる要素を認識してもらい、関心を持っていただくことが重要。ということで、今までの議論に加えて、他分野にも入っていただくという趣旨のコメントをいただいているところでございます。
 以上です。
【山口主査】  ありがとうございます。これは、(3)の人材育成及び大学の知の集約拠点についてということで、これまた加えさせていただきたいと思います。
 それでは、続いて、二つ目の議題に移ります。
 前回、私のほうからお願いさせていただいておりました、高速炉と高温ガス炉の安全性についてでございます。
 資料2に基づいて、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の炉設計部長の大野様、それから、高温ガス炉プロジェクト推進室長の坂場様から、簡単に御説明いただきたいと思います。では、よろしくお願いします。
【大野部長(日本原子力研究開発機構)】  原子力機構、大野です。
 では、まず、私のほうから、前回いただきました高速炉の重要な特性、特徴、新しい安全メカニズム、安全性に関する進歩、これについて、1枚用意しましたので、説明させていただきます。
 開発を目指す次世代の高速炉は、常陽やもんじゅの経験とか、それ以降のR&Dで蓄積した経験、また、1F事故も踏まえた新規制基準を考慮した安全性向上研究、そういったものの進展も活用しまして、様々な想定事象、左側のプラント内の異常、事故、苛酷事象から、右側に示します地震など外部事象、ここまでを考えて安全性を確保、しかも、3大原則である、止める、冷やす、閉じ込めるに基づき安全性を確保できるようにしております。
 その中では、パッシブな安全、人が手動対応しなくても、受動的に働く機能を追加的に取り入れるということも行うと。例えば、左側に示しました、左上の自己作動型炉停止機構とか、その下の自然に冷えるのところに書いています自然循環、こういった機能を強制循環で通常冷やすところ、こういった自然循環の機能も追加的に準備しまして、しかも多重、多様な準備を行っているものでございます。
 ナトリウム炉の特有の事象、つまり化学活性関連についても、右上に示しましたように、もんじゅの改善経験も生かしつつ、漏えいの検知性能をさらに向上させるなど、対策の高度化を図っています。
 左側のほうに緑色の枠で示したところがあります。そのキャプションは、左上に書かせていただいているのですが、こういった安全対策は、ナトリウム冷却炉の本来の特徴、特性を生かした対策としております。つまり沸点が高く、常圧で使うことができて、自然循環力も高いというナトリウムの特性を生かして、安全性に厚みを持たせた機能を付加することができるというものであります。
 高速炉の説明は以上でございます。
【坂場室長(日本原子力研究開発機構)】  続きまして、高温ガス炉に移りたいと思います。
 私、11.1付で、東京に高温ガス炉プロジェクト推進室というものができまして、そこの室長をしております坂場と申します。よろしくお願いいたします。
 高温ガス炉に関しましては、各種の異常・事故時の安全性と、左側のところに関しまして、まず、自然に止まる・自然に冷えるという観点では、大熱容量・高熱伝導であるため、原子炉容器外側での放熱で燃料が冷えるとありますが、これは出力密度に対してということでありまして、高温ガス炉はある一定以上の大きさにすると、こういった安全性は損なわれますので、ある出力以下に抑えるという前提で、ここの全ての記載はなされていると考えてください。
 こういう安全性を高めることによりまして、制御棒を挿入しなくても強制的に冷却しなくても、物理現象のみで原子炉が自然に静定・冷却するとか、セラミックスは四重にしておりますので、閉じ込め性能は極めて高いということ、2000℃近くになって、ようやく壊れ始めるというようなこと。
 それから、爆発に関しましては、冷却材としましてヘリウムガスを用いますので、蒸発しないといったことから、水素・水蒸気爆発が発生しにくいということであります。発生しにくいといいますのは、ゼロには完全にし切れないと、BDBAをはるかに超えるような事象が起きた場合には起こり得ることもあり得るだろうと捉えていただければと思います。
 そういった観点で、この水色でくくった部分に関しましては、HTTRの中で、既に実験等々を通しまして、技術が確証できているものでございます。すなわち冷却材を止めるような試験におきまして、制御棒を挿入せずに原子炉を静定するといった事象を確認しているところでございます。
 それから、右側のところの外的事象の対策に関しましては、地震に関しましては、特段免震等の必要はないだろうということ、それから津波としましても、ドライサイトとして、大気をヒートシンクにするとか、あるいは火山灰に対しても徐熱が可能であると。自然対流による徐熱性能が喪失した場合においても輻射で可能であるということです。
 それから、特に、原子炉を地下設置するという設計をした場合におきましては、高温ガス炉は水素製造とあわせて使うことを考慮しておりますけれども、その場合、横に水素を保有するものがあるわけでございますが、仮に、その化学プラントとなり得る水素施設が爆発した場合における原子炉側への影響というのは、地下に設置すると大幅に軽減できるといったことがあります。それから、航空機の衝突対策に関しましても、地下設置によりまして、その可能性を軽減できるといったことが見込まれるということでございます。
 赤で囲ったところは、実証炉に導入可能な安全メカニズムということで、新規制基準を満足しつつ、さらなる安全性向上が見込まれるといった観点で記載したものでございます。
 私の説明は以上です。
【山口主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、今の御説明につきまして、御質問、御意見がございましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。小澤委員、どうぞお願いします。
【小澤委員】  小澤でございます。御説明ありがとうございます。
 安全性については、丁寧な説明が必要なところかなと思いまして、大変参考になります。
 幾つか興味があるといいますか、質問で確認させていただきたいのですけれども、高速炉のところで、左下の閉じ込めるのところで、敷地外の緊急対応が不要というのは、放射性物質の拡散を抑制していることが分かれば、そうかなと思うのですが、その上のところ、炉心から排出・冷却、炉内で事故収束というのは、絵で見ると、ダクトつき燃料集合体から溶融したものがコアキャッチャの上に落ちて、そこで冷却されるという理解でよいのかどうか。
 二つ目は、右下のところで、その他火山灰降下のところで、フィルタ交換等でと書いてあるのは、これはアクシデントマネジメントのカテゴリーの類のものなのかどうかという確認。
 それから、高温ガス炉のところは、空冷で冷やすことができるということかなと思ったんですけど、第2回だったと思うのですが、アールバックス、空冷ですけれども、大型のものには向かないという話もあったかと思うのですけど、これはどういうメカニズムといいますか、条件といいますか、結構高温ガス炉は大きい炉心かと思うので、こういった炉心からの伝熱、それから放熱を挟んで、空気の流れだけで徐熱するというのは、どういうところにメリットといいますか、条件があるのかどうか、教えていただければと思います。よろしくお願いします。
【山口主査】  それでは、お答えいただけますでしょうか、JAEAのほうから。
【大野部長(日本原子力研究開発機構)】  では、まず、高速炉についてお答えします。ありがとうございます。
 左下の閉じ込めるの部分、御指摘のとおり、御理解のとおり、溶融した炉心は上下に動くようにして、下のコアキャッチャに導かれて、コアキャッチャ上で冷却できると、そういうことを考えているものです。ここの記載が、そこまで書いておらず申し訳ありません。
 それから、右下の火山灰降下のところのフィルタ交換、これはアクシデントマネジメントと言ってもいいことかと思います。ポイントは、冷却する機能を多重に、複数のものを、しかも多様性を持たせて用意して、そして、こういった緊急時に対応する準備をしておくということと考えております。
 以上です。
【坂場室長(日本原子力研究開発機構)】  高温ガス炉に関しまして、坂場からお答え申し上げます。
 まず、空冷でという観点でございますけれども、高温ガス炉は、ある出力以上にしますと、その安全性が損なわれますので、ある一定の出力、大体熱で600メガワットぐらいですけれども、それ以下に抑えるということが、まず大前提としてございます。
 その上で、炉心の構成に関しましては、燃料の配置を環状炉心のような形にしまして、真ん中には燃料を置かない、すなわち真ん中の燃料が一番高温になりやすいので、そういう観点で、中心部には燃料を配置しないという設計にいたします。その上で、おおよそ出力密度に関しましては、フラットになるような設計をしまして、その上で空冷をするということでございます。
 圧力容器の大きさに関しましては、現行、出力の制限があることから、また圧力容器の製作上の観点で、ある一定以上の大きさものはつくれませんので、いわゆる大きくなるといいましても、軽水炉等々に比べて、それ以上に大きくなるというイメージではございません。したがいまして、仮にここで、空冷が万が一できないような条件が発生した場合におきましても、例えば、地下に設置した場合には、大地に対しての輻射によって徐熱が可能であるといった設計が可能であるということでございます。
 以上です。
【小澤委員】  ありがとうございました。
【山口主査】  よろしいでしょうか。
 では、続いて、御意見、御質問ございましたら、お願いします。石川委員、お願いします。
【石川委員】  石川です。丁寧な御説明ありがとうございます。
 高温ガス炉についてなのですが、地震対策のところで、免震システム等の導入は不要ということで、強い地震時、機器故障時にも、人や環境に放射線の影響が及ばないという点では、この通りかと思うのですが、機器は故障しないに越したことはないというか、大きな地震が起こった後にも、できるだけ短い期間で、発電が再開できるとか、社会のレジリエンスから見たら、そういう点も重要かと思いますので、免震システム等の導入は、安全という点からは不要であっても、導入の検討そのものはしたほうがよいのではないかと思いました。安全性を示すという点では、こういう記述になるのかもしれないですけれども、コメントです。
 以上です。
【坂場室長(日本原子力研究開発機構)】  原子力機構、坂場です。コメントありがとうございます。
 システムの検討という観点では、含めて今後検討したいと思います。
 一方で、HTTRに関しましては、新規制基準対応の過程の中で、炉心の黒鉛材料を使っているのですけれども、グレーデッドアプローチと申しまして、地震が起きて壊れても未臨界は維持できるということが規制庁から認められました。
 したがいまして、もともとSクラスだったものが、Bクラスまで落とすということが認められているということもありまして、ここでは、このような記載をいたしましたが、コメントいただきましたとおり、免震システムがあれば、地震が起こった後、さらにそのまま使えるというメリットが出てくることから検討していきたいと思っております。ありがとうございます。
【石川委員】  ありがとうございます。今おっしゃった、グレーデッドアプローチの観点も重要かと思います。ありがとうございます。
【山口主査】  ほかにはいかがでしょうか。大体よろしいでしょうか。
 この件をお願いしたところは、次世代革新炉でも安全性はどうなのだというのは、非常によく聞かれるのですね。関心が高いわけですし、安全を、まず前提にというのが、これからの原子力利用の基本的な方針ですので、こういう形で新しい炉、これはなかなか馴染みのない方も多いわけで、ぜひうまく、分かりやすく説明できるようなものをきちんと用意して、委員の方にこれを見ていただいて、うまく理解いただけるのかというのを、しっかり議論していただくことが大切だと思います。
 ぜひ、こういうものは、いろいろな場で、安全性については御説明いただきたいと思います。
 本日は、それぞれの炉の特徴を踏まえた説明もいただきましたので、大変よく分かりました。資料を作っていただきましてありがとうございます。御礼申し上げます。
 それで、この件につきましても、吉橋委員から御意見をいただいてございます。また、事務局から御紹介ください。
【宮川課長補佐(事務局)】  先ほどに続きまして、吉橋委員からのコメントになりますので、参考資料2の(2)のところでございます。高速炉について、2点コメントをいただいています。
 一つ目ですけれども、高速炉の安全性について、ナトリウムの自然冷却や活性対策は、これまで多くの知見を得られていると思うが、少しのミスで多大な損傷を与えるため過信しないことが重要。
 二つ目のコメントといたしまして、高速炉の安全性について、ナトリウムの自然冷却に加え、バックアップ用の冷却機能は用意するのか。
 この2点コメントいただいております。
【山口主査】  これ、二つ目は質問ですかね。自然循環冷却に加えてバックアップ用の冷却機能、具体的にどういうことをおっしゃっているのかというと、これは可搬とか、そういうことでしょうか。
 大野さん、何かこれについてはお答えございますか。
【大野部長(日本原子力研究開発機構)】  二つ目につきましては、この安全対策、崩壊熱除去システムを、基本は強制循環で動くようにしております。この強制循環のポンプが動かないような、そういう万一の場合を考えても、さらに自然循環でも冷えるという設計をする方向でございます。そういう意味で、バックアップというか、それこそ多重性、多様性を持たせた設計をしていこうというのが、今の方向性でございます。
【山口主査】  ありがとうございます。
 では、吉橋委員の御意見、これも次のまとめのときに、安全性については入れていただくようにしたいと思います。どうもありがとうございました。
 では、よろしければ、三つ目の議題に移らせていただきます。
 三つ目ですが、日本と世界のバックエンド対策の動向についてでございます。
 こちらは、資料3に基づきまして、日本原子力発電株式会社フェローの廃止措置御担当、山内様から御発表いただきたいと思います。その後、委員の皆様に御議論をお願いいたします。では、山内様、準備できましたら、説明をお願いいたします。
【山内フェロー(日本原子力発電株式会社)】   ただいま御紹介いただきました日本原子力発電の廃止措置担当フェローをしております山内でございます。本日は、このような説明する機会をいただきましてありがとうございます。
 私は、長年バックエンドについて、廃止措置を中心に担当しておりまして、まず、バックエンドの動向というタイトルをいただいたのですけど、これを理解するためには、安全保障や経済性を含めた経緯と背景、これをきちっと理解する必要があるということで、本日の資料を準備しております。
 まず最初に、バックエンドとはということで、バックエンドの定義、それから政策に関わるところを簡単に紹介した上で、日本の状況、それから世界の動向ということで説明していきたいと思います。
 まず、バックエンドの定義ということでございますが、バックエンドは、原子力利用に伴って発生する使用済燃料、それから放射性廃棄物を安全に処理すること、これを総称してバックエンドと言っていて、これは当たり前の話だと思うのですけれども、使用済燃料の再処理、高レベルの廃棄物の処理処分、低レベル廃棄物の処理処分、それから原子力施設の廃止措置という、この四つを総称してバックエンドと言っています。
 最後の廃止措置については、実は、事故炉もここには含むのですけれども、本日、内容については、事故炉については対象外といたします。
 それから、1番目の再処理につきましては、サイクル政策に依存するので、これをやるか、やらないかというのは、各国の政策によって異なりますが、ただ2、3、4のバックエンドについては、これは政策によらず、必ず必要になってくるものと、こういう定義でございます。
 それで、サイクル政策の問題でございますけれども、現行の原子力発電では、ウラン235やプルトニウムの核分裂反応のエネルギーを利用していて、ほとんどが燃え残りになってしまうということで、この燃え残りの燃料を処理して、再度燃料、原料を取り出す行為を再処理と言っています。
 しかしながら、各国においては、長期的なエネルギー政策、それから安全保障、核不拡散の戦略、これを考慮した上で、さらに環境負荷、それから経済性も含めて総合的にサイクル政策、これをどうするかというのを判断しているのが現状でございます。
 これは参考ということで、核燃料サイクルの絵を示したものですけれども、上は軽水炉の燃料サイクル、これは現在やっておりますけれども、それから、下が高速炉燃料サイクル、こういう形でサイクルを回していくのが、もともとの原子力開発の流れでございました。
 以上の定義、これを含めて、まず日本のバックエンド政策がどういうふうに進められてきたかという経緯と現状を説明したいと思います。
 まず、日本で最初に、そもそも原子力発電を導入した経緯でございますけれども、80年前の、まさに太平洋戦争の経緯が、石油を禁輸されたことをきっかけに始まったということで、やはりエネルギーというのは、安全保障にも直結する非常に重要な国策になるということで、エネルギーの資源が非常にない日本において、原子力を純国産エネルギーで、永続的に資源問題を解決する方策になるのではないかということで、二度と戦争を起こさないためにも、これは非常に重要な政策であるということで、政治主導で原子力は、そもそも導入されたものです。
 それで、下記の三つの段階的な流れで開発するシナリオということで、最初は海外からの導入炉、次は国産の動力炉の開発、3番目として、国産の増殖炉、それから核燃料サイクルを確立するという流れで考えられていました。
 原子力発電の導入の経緯、これを年表にしていますけれども、もう1956年に原子力委員会や原子力研究所が設立されて、まず最初に、海外からの導入ということで、アメリカやイギリスに調査団が派遣されています。研究炉のJRR-1が初臨界するとともに、商業炉として最初にどういう原子炉を導入するかというところで、東海に第1号炉を建設しようというところなのですけれども、当時商業炉で、イギリスのガス冷却炉の開発が一番最初に進んでいたということで、イギリスの売り込みがあったということと、もう一つは、ウラン燃料の供給が、ガス炉においては天然ウランで運転ができるということで、天然ウランだけでできるガス炉について、まず最初に1号炉で作りましょうという決定が、政府、原子力委員会のほうで決定されています。その後、閣議了解を得て、実施主体ということで、日本原子力発電が設立されています。
 その後、動力試験炉ということで、日本原子力研究所のほうで、初発電を行いまして、商業炉の2号炉としては、米国の軽水炉を決定しているのですけれども、これのもともとの背景としては、米国から濃縮ウランを供給される確約があったからというところでもって、2号炉に米国の軽水炉が選定されています。
 その後、商業炉としては、東海、敦賀が営業運転開始するとともに、それ以降、各電力において、米国軽水炉を主流として導入されていて、以降オイルショックの緩和だとか、高度経済成長に原子力発電というのは大きく貢献しております。
 そして、東日本大震災前には、国産化率は約90%前後となって、電力量の25から30%の電力量を担う主要電源となっていったということで、最初に示した導入シナリオの1と2は達成したと。
 現在商業炉については、10基が再稼働して、24基が廃止措置中という状況です。
 これは現在の、先月末、研究開発段階プラントのふげん、もんじゅも含めて、日本の原子力発電所の状況でございます。
 10基が運転中で、準備段階が7基、安全審査中が10基ということですけれども、一方、廃止措置になっているプラントもかなり多くなっていって、商業炉の18基、研究開発段階炉の2基が廃止措置、それから福島第一の6基が廃止措置段階になっている状況でございます。
 それで、まず、再処理の開発導入の経緯でございますけれども、1956年に、現在のJAEAの前身となる原子燃料公社、これは原子力研究所と合併してJAEAになっているのですけど、これが設立されています。
 そもそもその当時は、核燃料物質については民有化が認められていなくて、それから再処理についても、まだ民営事業という形では認められていなかったということで、この原子燃料公社で再処理開発、それから濃縮開発が行われることになっていました。
 その後、先ほど説明した軽水炉も含めた商業炉が導入されることになりまして、それで使う燃料についても、アメリカの動向を踏まえて、徐々に民有化の方針が決定されていったという状況です。
 その後、原子燃料公社のほうで、東海のほうに再処理施設の建設を進めるという決定がなされて、その建設認可が得られています。
 ただ一方、1977年に、実は、米国のカーター政権が再処理凍結を発表したと。これの背景には、インドの核実験が、急遽実施されたということで、米国で提供されていた核燃料物質、これが一部使われたということもあって、かなり世界的にも衝撃を与えて、安全保障上、これ以上の国際的な核拡散を止めるべきだという判断で、カーター政権が再処理凍結を発表しております。
 ただ一方、1977年から80年にかけて、日本や欧州では、民営の核燃料再処理施設を進めようという計画をしていたものですから、きちんと国際的な査察を受けた上で、核燃料サイクルの開発を進めようということで、きちんとここで国際核燃料サイクル評価という、3年ほどかけて評価を行った上で、やり方を認めてもらって進めることができたという状況です。
 その後日本でも、民営で再処理施設を作りましょうということで、原燃サービスが設立されるとともに、東海での再処理施設、この運転が開始されています。
 その後、青森県のほうで、立地協力要請を受諾して、再処理の立地が認められたということで、再処理の事業指定が進められて、あとは、ここに少し書いてありますけど、積立金の法律等々が整備されていき、2018年には平和利用ということで、プルトニウムについては、現行より増やさない方針を原子力委員会が決定。現在、六ヶ所については操業準備中という状況です。
 高レベル放射性廃棄物の処分については、そもそも、もともとは原子力委員会が、深海または岩石層の処分の方針を公表していたのですけれども、国際的には、ロンドン条約で海洋投棄が禁止されるということで、これを採択することで、高レベルについては、海洋投棄ができなくなった。かつ、非常に高レベル、長期間の管理が必要だということで、国が処分責任を持つ方針が公表されて、その後、高レベルの実施主体に向けた検討が進められて、2000年に、現在のNUMOですね、原子力発電環境整備機構が設立されております。現在、文献調査の公募を開始されて、2地点で文献調査が行われているというのが日本の状況です。
 一方、低レベル放射性廃棄物は、いろいろな種類があるのですけれども、最初は、原子力委員会が海洋投棄処分の方針を決めていたのですけれども、高レベルについては、ロンドン条約で海洋投棄は禁止されたのですが、最初のロンドン条約では、低レベルについては国際ルール化をして、そのルールに基づいて、海洋投棄処分が一部認められていた。そのため、1976年には発生者責任の下で、陸地処分と海洋投棄の併用処分、そういう方針を公表しております。
 その後、ロンドン条約を批准、署名して、試験的な海洋処分をやる計画をつくっていたのですけれども、国際会議で海洋投棄については、全面凍結の決議がなされて、それ以降海洋投棄についてはできなくなってきたと。そのため、産業界では原燃産業を設立して、青森県が立地協力要請を了解していただいて、現在六ヶ所で事業を開始することができております。
 また、研究所廃棄物については、JPDRが、これは廃止措置になって、その中のごく低レベルの放射性廃棄物については、東海の敷地の中で処分が行われております。
 あとは、RI研究所からも、この低レベル放射性廃棄物はたくさん出るのですけれども、これらについては、原子力研究開発機構法を改正して、JAEAさんが実施主体となるという方向も決められております。
 ただ、廃棄物処分場は非常に少なくて、後で説明しますけれども、現在解体廃棄物で処分できる処分場については、東海において、L3の埋設事業申請が行われているだけという状況でございます。
 現状は、商業炉の運転中のL2廃棄物を対象に、六ヶ所センターが操業していて、先ほど言ったように、JPDRについてはL3埋設施設、これを1996年から管理期間になっていて、管理期間は約30年ということで、間もなくこの管理期間が終わる状況です。
 あとは、東海のL3廃棄物埋設施設が、今、安全審査中。ただ一方、L1廃棄物、L2の解体廃棄物、L3廃棄物、それからサイクル施設、RI研究所廃棄物、この廃棄物処分場については、まだ国内にはないという状況です。
 これが、我が国の低レベル放射性廃棄物についての区分と処分概念なのですけれども、大体国際的にも、こういった段階に分けて、三つの区分で分けているところが多いのですけれども、我々、通称L1、L2、L3という区分に分けて、それぞれのレベルごとに、中深度埋設、ピット埋設、トレンチ埋設という概念で処分することになってございます。
 最後に、廃止措置の経緯と現状でございますけれども、廃止措置は、まだ具体的になっていなかった1990年の頃から、廃止措置段階では、特に商業炉は、費用の手当が事前に行われないと、廃止措置を進めることはできないということで、標準工程に基づいて商業炉の解体引当金制度を作りまして、引き当てをスタートさせております。
 その後、先ほど言いました動力試験炉、JPDRについて、解体が実施されております。
 2000年代に入って、初めて商業炉の廃止措置が開始されたのが東海ということで、その後、ふげん、浜岡1、2号が廃止措置に着手しております。
 震災が2011年にありまして、その後の規制基準の変更等によって、敦賀1号をはじめとした15基が、順次廃止措置になっていったというのが、今の状況になっています。
 それから、今回の再処理施設についても、停止が決められて、廃止措置に着手している状況で、それで、最近の動きとして、経済産業省さんのほうで、廃止措置の費用管理と総合マネジメントのための廃炉に関わる支援組織を、現在検討中という状況でございます。
 これが、日本におけるバックエンドの組織と責任分担というものを一覧表にしたものでございます。
 先ほどの再処理、高レベル、低レベル、それから廃止措置という四つの区分ごとに、実施責任がどこで、規制法上の責任と義務がどうなって、それで費用負担が誰と、それから資金管理団体、それぞれの立地責任がどういうふうになっているかというものを一覧表にしたものでございます。
 こういった形で、今、組織体制を整備しながら、バックエンドを進めようとしているのが、今の日本の状況です。
 これは、バックエンドの関連法令の一覧ということで、再処理、高レベル、安全規制の、これは廃止措置の義務になるのですけれども、こういった形で法令も準備されているという状況です。
 以上が、日本の状況ですけれども、最後に、主要各国の現状ということで、それぞれ説明していきたいと思います。
 まず、再処理でございますけれども、原子力開発の当初につきましては、核燃料サイクルを確立することが、各国とも原子力開発に着手する、当然の流れでございまして、各国とも、やはり再処理を志向していました。
 現在、ワンススルー方式という使用済燃料を直接処分する方式については、先ほど、最初に言った米国の再処理凍結政策以降出てきた概念でございまして、それ以前はそういう考え方はなかった。その後、核不拡散の条約だとか、核兵器の保有などの安全保障に関わる国際情勢も踏まえて、各国で再処理政策が判断されて、進められてきたのですけれども、再処理というのは、同位体分離の濃縮に比べて、化学分離の再処理については、実験室レベルではそれほど難しくなかったと。ただし、非常に巨大かつ放射線レベルが高い複雑な商業プラントの規模になると、いろいろ材料不足やトラブル等の安全運転の問題だったり、経済性の課題のために、その後撤退していく国が増えているという状況でございます。
 各国、主要国の再処理政策、これは現状ですけど、これをまとめると、この表になるのですけれども、米国は、カーター政権で決めた商業炉の再処理はずっと凍結しておりまして、ただ革新炉サイクルの研究開発は継続していると。
 ロシアが、実は一番進んでいるのですけれども、FBRサイクルの確立を目標として、FBRの実証炉、これも運転しておりますし、実規模の再処理施設も操業予定だったのですけれども、今後ウクライナの問題でどういうふうに流れていくか、というロシアの動向は注視しなければいけない状況です。
 それから中国、ここがもしかしたら一番可能性があるということですが、もともとはソ連の協力で開発をやっているのですけど、今は独自開発で、パイロット段階で実規模のプラントについても、計画中でございます。
 それから、今まで再処理政策でやっていたイギリスについては、海外からの使用済燃料の処理も受け入れていたのですけれども、THORPの施設を廃止して、ガス炉用も間もなく停止する予定でございます。その後、次の再処理計画は、今の段階ではないということです。
 フランスも、同じように海外からの受入れもやって、再処理政策については今も継続しております。ただ、高速炉サイクルを目指しているのですけれども、高速炉開発実証炉、これはクレイマルビルでやっていた炉がスーパーフェニックスですけれども、これの廃止後は、今計画がないという段階です。
 日本は、非核保有国で唯一、厳格な査察の下で再処理を了解し、プルトニウムをできるだけ増やさないという形で、再処理を進めようとしています。
 あと、インドは核不拡散条約に未加盟で、独自の路線で、今サイクル開発を行っていると。
 それ以外の各国については、先ほど言いましたように、再処理の開発をもともと目指していたのですが、開発を中止したり、それから核不拡散政策によって、再処理を不採用とする国がほとんどだというのが、各国の再処理政策になってございます。
 これが世界の現状の主な再処理施設の一覧でございます。この出典は、エネルギー図面集からだったのですけれども、日本の六ヶ所の再処理工場の竣工時期については、現在未定ということで、これだけの再処理施設が世界の中であります。ただ、軍事利用の施設については、ここには公表されておりませんで、これはあくまで民生用の再処理施設の一覧ということになります。
 次、二つ目が、高レベル放射性廃棄物処理処分の概要ですけれども、高レベル放射性廃棄物という、そもそもの対象は、再処理の有無によって処分対象が使用済燃料の直接処分だったり、処理した後のガラス固化体になったりということで、2種類あるということ。それから、いずれにしても、数百年を超える放射能の半減期等を考慮しますと、各国とも、地層処分という処分で行うこと、それから、概ね公的な組織で処分しています。そのため、立地には技術的な可能性だけではなくて、より地元同意プロセスが必要になってきておりまして、現時点で処分場立地が決定しているのは、スウェーデンとフィンランドのみという状況になっています。
 これが、各国の高レベル処分体制の現状でございますけれども、先ほど言ったフィンランドとスウェーデン、これについては、電力が出資した出資した実施主体が作られて、立地が選定済みで、まだ操業はしていないのですけれども、近々準備中というところです。
 次に進んでいるのがフランスですけれども、これは政府系のANDRAが実施主体になって、今、立地については、絞り込みを行っている段階です。
 そのほか、スイス、ドイツ、カナダ、スペイン等で、こういった形で、現在サイト選定に向けた、いろいろな活動が進められている状況です。
 英国もそうですけれども、米国は、ユッカマウンテンの計画で処分する予定だったのですけれども、オバマ政権のときに計画中断をされていて、今そのままになっている状況です。
 日本、韓国は、大体同じような状況で、処分の基本計画を公表して、文献調査等々を行っているところで、いずれにしても、実施主体を見ていただくと分かるのですけれども、ほぼ皆さん、公的な機関が主体になって、処分の検討を進めているという状況です。
 一方、低レベル放射性廃棄物、ここでタイトルは、低中レベル放射性廃棄物としているのですけれども、国際的には低中レベルという言い方が多いので、日本では低レベルと言っていますけれども、ここでは低中レベルと表記しております。
 低中レベルは、高レベルと違って、各原子力発電所だけではなくて、いろいろな原子力施設、それから病院も含んだRI施設から発生しています。各国それぞれの基準があり、放射能レベルや半減期等に応じて処分概念を、それぞれの国ごとに各国の基準で区分するとともに、その実施主体についても、国営または民間組織で処分しているというのが実態です。これはかなり幅があります。
 それで、各国の状況、国土の大きさ、それから政治体制等の条件によって、かなり処分場の整備状況には差があるのが実態となっています。
 これは、まず処分システムを整理したものですけれども、それぞれの国ごとに実施主体、それから立地責任は誰が行うのか、それから、先ほど言った処分概念、どういう区分けをしているか、それから対象物を整理したものですけれども、これは時間の関係で、細かくは説明しませんけれども、実施主体については、一部民間だったり、政府系の会社だったり、電力が出資してつくるような実施主体で、それぞれ進めているのが現状でございます。
 これが中低レベルの廃棄物処分場、現在運営されている処分場の一覧ですけれども、一番右側に、低レベル放射性廃棄物がたくさん発生する原子力発電所の基数を書いた上で、各国の設備容量がどうなっているかという一覧を書いております。
 日本は、非常に原子力発電所が多いのですけれども、まだここの低レベル放射性廃棄物処分場の処分容量が非常に少なくて、今後、ここをきちっと整備していく必要があるという意味でも、見ていただくと分かるような状況です。
 最後に、各国の廃止措置の概要でございますけれども、特殊な場合を除いて、役目を終えた原子力施設というのは、いずれ廃止措置が必要になるということで、既に廃止された原子力発電所、これは世界で184基ございますけれども、廃止措置を完了したのは、米国中心に、まだ20基に満たない状況ということで、現在運転中の原子力発電所は431基ありまして、これもいずれは廃止される状況になります。
 それで、廃止措置の実施体制、これは後で説明しますけれども、各国で異なるとともに、炉型によって、解体処理の手間や廃棄物発生量に非常に差があるということで、ガス冷却炉とか、軽水炉はBWRとPWRあるのですけれども、これは大きな差はありません。あとはFBRとか、高温ガス炉ですね。それぞれの特徴がある炉によって、運転にも特徴があるのですけれども、廃止措置をする場合の特徴は、運転の特徴と全く違っていて、それを踏まえた、廃止措置のやり方というものを工夫しながら進める必要があるという状況でございます。
 次、主要国の廃止措置のシステム、これも大きく違っていて、特に着目してほしいのは、米国におきましては、民間の廃止措置の専門会社が、ビジネスとして廃止措置を行っているということで、この民間会社にライセンスを移転したり、オーナーを移転したりして、発電会社が廃止措置をやるような仕組みというのは、非常に少なくなっているのが現状です。
 その一つの、それができる理由が、処分場があるということと、資金システムが外部積立ての信託方式で資金が積み立てられているという、そういった制度上の問題になります。
 それ以外、英国では政府系の組織の下で廃止措置を行っていたり、フランスでは、電力会社は一つでございますので、その中の廃止措置部門でやっていたりということで、各国それぞれ独自の方法で廃止措置を行っているというのが実態でございます。
 以上、四つ、それぞれのバックエンドの対策の日本の状況、世界の状況を御説明しましたけれども、将来実用化を目指した原子力開発を行うには、原子炉の型式の技術だけではなくて、まさにこのサイクル政策とバックエンド対策、これをきちっと頭に入れながら考える必要があるということ、それからバックエンドというのは、利益を生み出さないものでございまして、我々はコストセンターと言っているのですけれども、コストセンターであるため廃棄物の発生量、それから解体処理のしやすさ、重要なのは、原子炉何基でバックエンド施設を支えるかというところを、産業全体での経済性の視点を持った判断も必要となるというところでまとめを行っております。
 私からの説明は以上でございます。
【山口主査】  丁寧に御説明いただきました。ありがとうございます。
 では、質問、あるいは御意見がございましたら伺いたいと思います。また、挙手機能を使って意思表明をお願いします。いかがでしょうか。出光委員、どうぞお願いいたします。
【出光委員】  歴史的な話から御説明いただきまして、ありがとうございました。私も昔のことをいろいろ思い出させていただきました。ありがとうございました。
 再処理をやる、やらないの国について、昔ですが、三十何年前にカナダへ行ったときに、ホワイトシェルの研究所の方が、半分笑いながら、半分本気で言っていたのが、使用済燃料をそのまま直接処分しているけど、あれは処分ではない、プルトニウムの鉱床を作っているんだということをおっしゃっていまして、彼らは廃棄物という目では、あまり見てはいない。将来的に使うものとして、一応地層処分はするけれども、あれは必要となったら、後の世代、その人たちが必要であれば資源として使うかもしれないと、そういう発想で直接処分だと、そういうふうにおっしゃっていましたということで、ちょっと付け加えさせていただきました。ありがとうございました。
【山口主査】  ありがとうございます。
 ほかにはいかがですか。桐島委員、どうぞお願いします。
【桐島委員】  桐島です。御説明ありがとうございました。
 一つお伺いしたいのですけれども、13ページ目のスライドで、JPDRのL3廃棄物埋設が、管理期間の終了が近づいてきたと、こんな話題がありました。これ、日本としては、管理期間終了になるのは、恐らく初めてだと思うのですけれども、2026年で、これはこれで一つ意味のあることだと、私は思いました。
 JAEAさんに、もしかしたら聞いたほうがいいのかもしれませんが、管理期間終了後に、何かやる計画などはあるのでしょうか。例えば、詳細なモニタリングをして、これまでのシミュレーションと比べたりとか、何かやる計画があるのかなというのを、ちょっと質問したいと思いました。
 処分場の安全管理期間を終えたフィールドがどうなるかというのを、国内で示すよい機会にもなって、見せ方とか、分析の仕方によっては、サイクルの廃棄物のみならず、1Fの事故などで発生した汚染土壌の対策などへも参考情報になるのではないかなと、少し考えましたが、この辺りの動き、何か御存じでしたら、教えてください。
 以上です。
【山内フェロー(日本原子力発電株式会社)】   質問ありがとうございます。
 今、原子炉等規制法では、ほかの事業と全く同じような形で、廃止措置計画を出して、廃止措置を実施するというのが、法律上の流れになっています。それで、埋設施設についても、廃止措置計画を出して、廃止措置の確認を行うことにはなっているんですけど、具体的に埋設施設で、どういう廃止措置をやるかと言われても、恐らくもう既に管理を30年間やって、モニタリングを十分やっているから、これで規制の手を離れても大丈夫ですよという計画を出されて、それを規制側が確認をして、事業の許可を失効させるという手続になると思うのですけれども、今後、具体的なやり方については、規制委員会とJAEAさんのほうで具体的に検討されると。
 一方、地元自治体としてはどうなんだというところについては、これは、また別の問題がございますので、その後の土地をどういうふうに使うか、恐らくJAEAさんの敷地の中ですので、引き続き研究施設の一部として活用されることになると思うのですけれども、ここは、地元とJAEAさんのほうでお話しされて決めていくのではないかということで、管理の手から離れて、事業を終了するという形にはなるとは思います。それ以上ちょっと、まだ決まってないというのが、多分現状だと思います。
 以上です。
【桐島委員】  ありがとうございました。
 これはこれで、一つのレガシーだと思いますので、この後もいろいろなところで、JAEAさんを含めて議論していく場所かなと思っております。ありがとうございました。
【山口主査】  ほかにはいかがでしょうか。小澤委員。どうぞ。
【小澤委員】  ありがとうございます。知っているつもりで、たくさん知らないことがあったということがよく分かりました。
 13ページで気づいたのですけれども、いろいろ廃棄物の区分があって、そこで操業中のものと、まだ埋設場がないというのも、いろいろな事情があって、こういうことになっているかと思うのですけど、後ろのほうにある主要国の状況で、中低レベル放射性廃棄物処分システムとなっていて、くくられているように見えるんですけど、これは立地上もくくっているんでしょうか。それとも実態は、その処分場が別々になっているのかというのは、もし御存じであれば教えていただければと思いますが、いかがでしょうか。
【山内フェロー(日本原子力発電株式会社)】   27ページに、中低レベルの放射性廃棄物処分場の一覧が記載していると思うのですけれども、それぞれの処分場の施設ごとに、埋設対象というところが違っていて、どの処分場にはどういう廃棄物を埋設できるかというのは、あらかじめ許可されたものしか埋設できなくなっていると。恐らく立地のときには、地元の自治体からこういうものを埋設したいんだけれども、いいですかということで聞かれて、それで了解を得たら、国が安全審査を行って、許可を得て埋設するというのが、それぞれの流れになっております。
【小澤委員】  ありがとうございます。勉強になりました。
【山口主査】  あと、ございますでしょうか。
 時間も押していますので、非常にいい情報を整理していただいたので、ポイントは、多分山内さんがまとめのほうに書かれた、原子炉開発もサイクル政策、バックエンド対策、これをちゃんと考えないといけないよという点と、コストセンターなので、そういう視点で決めましょうということ、これはしっかり認識した上で、今後議論を進めるべしという御指摘かと思います。
 また、私も非常に勉強になりましたので、ありがとうございました。これは大事に取っておいて、使わせていただきたいと思います。
【山内フェロー(日本原子力発電株式会社)】   そうですね、いろいろな資料に使えると思いますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
【山口主査】  山内様、どうもありがとうございました。
 また、もしいろいろ御質問があったら、個人的にでもお聞きいただければと思います。
【山内フェロー(日本原子力発電株式会社)】   それはぜひ、皆さんお願いします。
【山口主査】  どうもありがとうございます。
 では、続きまして、四つ目の議題に移らせていただきます。
 次は、革新炉のサイクル技術開発への期待についてでございます。
 こちらは、資料4、電気事業連合会の中熊原子力部長、委員より、御説明いただきまして、その後で意見交換したいと思います。
 それでは、中熊委員、どうぞよろしくお願いいたします。
【中熊委員】  電事連の中熊でございます。本日はプレゼンの機会をいただきましてありがとうございます。
 革新炉のサイクル技術開発への期待ということで、業界の総意というわけでは、決してございませんけれども、我々事業者目線からの期待というものを、少しまとめてみましたので、お分かちをいただければと思います。
 まず、原子燃料サイクルの現状ということで、我々電力が中心になって、日本原燃と共に、今、軽水炉サイクルの国内運営に取り組んでございますので、その状況について御紹介させていただきます。
 リードに書いてございますけれども、言うまでもなく資源の有効利用ですとか、廃棄物の減容化・有害度低減等の観点から、我が国はサイクルの推進というのが基本方針であるということで、サイクル図をお示ししてございますけれども、黄色でハッチングしている部分、ここが、日本原燃が事業として運営しようとしているところでございまして、サイクルの中でもコアな部分というのは、この再処理工場、あるいはMOX加工工場ということで、プルトニウムをプルサーマルの形で原子力発電所でぐるぐる回すといったところを確立させていこうということでございます。
 もちろん軽水炉サイクルの確立でございますので、右下に書いてございますように、先には高速炉サイクルといったところを念頭に、今、軽水炉サイクルの確立といったところに取り組んでいるという状況でございます。
 先ほど申し上げましたように、中核となるのは、再処理、MOXといったところでございまして、四角が四つございますけれども、左上のところ、皆さんも御存じのとおり、なかなか竣工しないというところが、我々の苦しみでもございまして、そうはいっても、終盤に来てございますので、我々電気事業連合会の中にサイクル推進タスクフォースというものを設置いたしまして、オールジャパン体制、これはメーカー、ゼネコンさんも含めてでございますけれども、原燃さんを全面的に支援しているところでございます。
 それから、もう一つの目線ということで言うと、右のほうを御覧いただきまして、やはり再処理が動いても、出てくるプルトニウムをしっかり使えないといけないということで、プルトニウムバランスの観点からは、プルサーマルを進めていかないといけないということです。
 二つ目のポツを御覧いただきますと、我々のプルサーマル計画の概要を示してございますけれども、1基でも多くのプルサーマルが導入できるよう検討の上で、2030年度までに少なくとも12基の原子炉でプルサーマルを実施していくということを公表してございます。
 それから、それまでの間、なかなかプルトニウムが使えないといったところもございますので、三つ目のポツ、我々の努力指標といたしまして、事業者間で連携しようといったところで議論をいたしまして、フランスのプルトニウムを、もう全部使ってしまった電力さんというのが出てきてございますので、まだ使えない電力のプルトニウムと、イギリスにある、もう使い終わった電力さんのプルトニウムを交換いたしまして、消費を加速するといった努力もしてございます。
 それから、左下、使用済燃料対策の推進ということでございますけれども、やはりサイクルを進めていく上で、全体の輪の中の柔軟性といったところは、我々としては持っておかないといけないということで、国内の使用済燃料の貯蔵容量をできるだけ拡大していこうということで、使用済燃料対策推進計画というものを公表してございますけれども、これに基づいて、乾式貯蔵施設の増強等を、今進めているところでございます。
 それから、右下の使用済MOX燃料の再処理に関しましては、これは、国プロで今やっていただいてございますけれども、JAEAさんと日本原燃さんが組んで、その研究に参画して、こういったところの実証に取り組んでいるものでございます。
 5スライド目からは、参考ですので、簡単に御説明いたしますけれども、日本原燃の再処理、MOXの竣工ということに対して、我々電事連サイクル推進タスクフォースといったところで、原燃さんの実務型、中ほどに長い長方形がありますけれども、ここに、原燃さんのプロパーだけじゃなくて、電力の人間も入り込んで、毎日推進タスクフォースに業務の進捗状況、あるいは課題といったものをレポートするような仕組みをつくってございまして、マネジメント面であれば、原燃の上層部と連携をして、すぐに、タイムリーにその回答をつくってフィードバックする、あるいは技術面であれば、右側の矢印ですけれども、電事連の技術的な会議体でもんで、その回答をフィードバックする、そういったところを今取り組んでいるところでございます。
 6スライド目を御覧いただきまして、プルトニウム利用計画でございますけれども、中ほどの表が、それに該当いたしますけれども、至近3年間に関してのプルバラについて、公表してございます。
 所有量合計値を御覧いただきますと、再処理が竣工すると、当然ながら一時的には漸増する部分もございますけれども、プルサーマルの炉を増やすことで、これを漸減させていくといったところを取り組むべきということでございまして、表の下の二つの矢じりにございますように、我々、2030年度までには6.6トンプルトータルを年間消費する、これは再処理工場の年間800トンに相当する量でございますけれども、これを目標に、今鋭意取り組んでいるところでございます。
 7スライド目を御覧いただきまして、とはいっても、なかなか今、現状は厳しい状況にあるというのは、皆さんも御承知のとおりでございまして、リードの二つ目の四角にございますように、再稼働プラントは、現状10基にとどまってございまして、うちプルサーマル炉は4基にとどまっている、こんな状況でございます。
 右の表にございますけれども、我々今、至近で一生懸命取り組まなきゃいけない、国のGXにも記載していただきましたけれども、許可済未稼働炉の7基に対して、できるだけ早く再稼働をして、このうちにもプルサーマル炉は含まれてございますので、プルサーマル炉も、基数をできるだけ手前のところで増やしていきたいと考えているところです。
 8スライド目を御覧ください。表が二つありますが、左側を御覧いただきまして、既にプルサーマルが進んでいる発電所では、御覧のとおり、使用済MOX燃料というのが発生してきてございますので、これがしっかりと使われていくんだということを、ちゃんと地元にも説明していく必要もあるということでございます。
 右側には、フランス、あるいは国内での使用済MOXの再処理実績というものをお示してございまして、技術的には可能だということでございますけれども、さらに技術的な実証をということで、今エネ庁さんが予算をつけていただいてございますので、リードの二つ目に太字で書いてございますように、それに我々民間としても協力をして、取組を強化している状況でございます。
 ここまでが、今の軽水炉サイクルの確立に向けた私どもの取組でございまして、9スライド目以降が、事業者目線からのサイクル技術開発の期待ということで、3点ほど挙げさせていただいてございます。
 まず、10スライド目、一つ目でございますけれども、再処理技術の連続性とタイトルさせていただきましたが、リードにございますように、商業レベルの国内再処理技術というのは、今後六ヶ所再処理工場の操業に伴って蓄積していくものだと考えてございます。
 六ヶ所再処理工場というのは、御存じだと思いますが、主工程には、フランスの技術を持ってきた湿式のPurex法を採用してございまして、例えば、脱硝工程などでは、核拡散抵抗性を高める観点から、JAEAさんが開発された混合脱硝といったものを採用している。
 さらには、工場運営のために必要な具体的な技術という意味で、保障措置技術ですとか、あるいはここには書いてございませんが、分析技術ですとか、様々な開発を経た技術が採用されているということだと認識してございまして、次の再処理工場といったものの技術開発に当たっては、今後、青森県六ヶ所のほうで蓄積されている技術といったところは横目ににらみながら、商業レベルでの技術連続性というものは、十分に考慮しながら進めていただく必要があるのだろうと思っているところでございます。これが1点目でございます。
 11スライド目に行っていただきまして、二つ目は、規模の柔軟性ということを書かせていただいてございます。リードには、当たり前のことを書いてございますけれども、カーボンニュートラル、あるいは電力の安定供給のためには、原子力の持続的活用は不可欠だということでございまして、下の図にございますように、横に伸ばしてございます青い矢印、既設炉を長期に利用していくということに加えまして、ピンクで示してございます革新炉の建設で、キロワットアワーをしっかり将来まで稼いでいくといったところをつくっていく必要があると。
 リードの二つ目に書いてございますように、革新炉の現実的な社会実装シナリオ、これは炉型だけじゃなくて、導入規模や導入時期、ペース、こういったものを、今後検討していく必要があるわけですけれども、12スライド目を御覧いただきまして、リードの部分でございますけれども、その社会実装シナリオというのは、各炉型の開発・実証といった技術的な側面だけではなくて、各炉の特性ですとか、社会ニーズなども踏まえて検討すべきものだろうと考えてございます。したがって、短期的に一意のシナリオというものを炉型ごとに確定していくというのは、恐らく困難だろうなと考えてございます。
 こういう前提の中で、炉型ごとに想定される再処理量というものを考えないといけないのですが、それにはかなり様々なケースが考えられるということだとすると、炉のシステムと並行して開発するサイクル技術というものには、規模の柔軟性といったものは、商業レベル、経済性、事業性という観点からは、それを持っていることが期待されると考えてございます。
 一番下の灰色のところにお示ししてございますけれども、例えば、大規模、小規模への対応、これはモジュール性みたいな観点ですとか、あるいは軽水炉から、例えば、高速炉ということを前提で考えますと、そういうつなぎのサイクル施設ということでいうと、ヘッドエンドの共用ですとか、様々な合理的、あるいは規模の柔軟性といった観点での目線が、開発には必要になるのではないかと考えているところでございます。
 それから、13スライド目、三つ目でございますけれども、特に、先ほど来申し上げていますように、軽水炉サイクルから高速炉サイクルへの移行といったものは、過去からずっと求めてきたものですし、今後も志向していくべきものだと考えてございます。
 リードの二つ目ですけれども、燃料技術の選択というのは、その下の囲みにございますように、現在戦略ワーキングのほうで議論されているロードマップの改訂案でも、2026年頃をめどにというふうに、マイルストーンが置かれてございますけれども、上のリードに戻っていただきまして、そういう燃料技術の選択に際しては、サイクルも含めたシステム全体を考慮した事業性の判断が必要だとも考えてございますし、そういったマイルストーンに間に合うように、技術開発などを進めていただくことが必要だろうと考えてございます。
 また、そういったものを、その後本格化していく必要があるということになりますと、やはり基盤インフラというものが必要だと思ってございまして、現行存在しているCPFですとか、プル燃といった重要な施設の施設維持更新といったものも必要ですし、先には、工学規模の実証施設といったものも必要だろうと考えてございます。
 さらには、やはり湿式だけではなくて乾式再処理も、今後の重要なオプションの一つだと考えてございますので、乾式再処理に係るホット試験施設といったものも必要だと考えてございまして、こういった開発に必要な基盤インフラを計画的に整備していくというものを、JAEAさんあるいは文科省さんからお示しいただきたいというのが、私どもの希望でございます。
 最後に、15ページ目を御覧ください。まとめでございます。
 革新炉の技術開発におきましては、その安全性や廃棄物の有害度低減、それから核拡散抵抗性などをもちろんのこと、やはり事業性が重要な指標だろうと思ってございます。
 そういう意味では、システム全体で評価する必要があるという意味では、炉システムの開発だけではなくて、それに遅れることなく、サイクル技術開発を進めていただく必要があると考えてございます。
 再処理につきましては、先ほど申し上げましたように、いかなる社会実装シナリオになっても、それに適合できるような柔軟性といったものが求められるとも考えてございます。そういう意味では、矢印の下でございますが、総合的な事業性判断に資する技術開発、それから国際協力による開発実証プロセスの合理化なども志向しながら、今後しっかり進めていただきたいと考えてございますし、それに必要となります基盤インフラの整備につきましては、先送りとすることなく、計画的に進めていただければということを期待いたします。
 簡単ですが、私からのプレゼンは以上でございます。
【山口主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、質疑をさせていただきたいと思います。御質問、御意見ありましたら、よろしくお願いします。いかがでしょうか。小澤委員、どうぞお願いいたします。
【小澤委員】  小澤でございます。ありがとうございます。
 まとめのところに書いてある事業性(経済性)も重要な指標と書いているところは、第1回目で説明した、私たちのロードマップでも記載したとおり、大変重要な指標だと思いますので、特に、工学から工業に行くところのギャップで、一番大きい障壁になるところだと思いますので、ここはJAEAさんと民間と、一緒になって橋を渡っていかなければいけないところかなと思いますので、そこは一緒になって考える必要があると思います。
 それから、燃料サイクルについては、規模の柔軟性もそのとおりだと思いますし、特に、時間軸的にも若干余裕があるかとは思いますけれども、なかなか進まないと、世間的な批判も浴びやすいところでありますので、実験段階であっても、いろいろと工夫ができるところはあるかと思いますので、その点も一緒に考えられるところが、検討できるところがあると思っております。
 私からは以上です。
【山口主査】  ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。浅沼委員、どうぞ。
【浅沼委員】  浅沼です。詳しい説明ありがとうございました。
 先ほど規模の柔軟性ということをお話しされていたのですけれども、印象としましては、炉システムのほうに関しては、例えば、机上検討がかなり重要な論点になってきていることもあって、いろいろな多種多様な工法概念が同時進行で検討できるとは思うの
ですけれども、再処理に関して、一意的にシナリオが決まらないのですが、再処理量についても多種多様なケースが想定されると、そういう意味で規模の柔軟性というお話だったのですけれども、時間軸として、やはり燃料サイクル、再処理というのは時間がかかるような印象を持っておりまして、そういった意味で規模、それから種類に関しても多様性を持たせる、柔軟性を持たせることがいいのか、それとも、やはりある程度候補みたいなものを絞って検討していくほうがいいのかというところは、今お話を聞いていて、私の中で少し疑問に思ったところがありまして、もしその辺、何か御提案というか、お考えがあればお聞かせいただければと思います。
【中熊委員】  ありがとうございます。
 どういう再処理技術を採用するのかというところが、規模の柔軟性といったところにも影響するのであれば、やはり技術の採用という観点でも、柔軟性といったものをパラメーターにして、今後考えていく必要があるのかなと思っています。
 申し上げたいのは、先々、例えば高速炉を導入しますという話になったときに、5基なのか、10基なのか、50基なのかということによっても、全然再処理の規模は変わってきますよね。それが、足元で完全に50基導入しますということを決めてやっていくことになって、再処理もそれに相当した規模のものをつくってしまって、いざ蓋を開けたら、15基しか入りませんでしたみたいなことになると、過剰な設備を持ってしまって、固定費だけかかってしまって、経済性を毀損すると、そんなことになってしまうと、やはりこういった導入シナリオというのは、一意的にもなかなか決まりづらいですし、導入が始まってからも変わってくる可能性があることを考えると、それに追従できるような技術というものを選択していく、あるいは技術だけじゃなくて、モジュール性みたいなものをどう担保するかみたいなところを開発で志向していただくといったところを、一つの重要な開発のエッセンスにしていただければと思って申し上げた次第です。
 答えになっているかどうか分からないですけど、以上です。
【浅沼委員】  非常によく分かりました。そういった意味では、選択する技術に関しても、そういった量だとか、シナリオに対して柔軟に適用できるような技術開発が要求されていくということでよろしいですかね。
【中熊委員】  商業レベルのことを考えたときには、そういったパラメーターは重要な視点の一つかなと思っているということで申し上げました。
【浅沼委員】  ありがとうございます。よく分かりました。
【山口主査】  よろしいでしょうか。
 では、ほかに御意見ございましたら。石川委員、どうぞお願いいたします。
【石川委員】  石川です。中熊委員、丁寧な御説明どうもありがとうございます。
 私も、今の量の柔軟性のところなのですが、前回、第3回会合の振り返りのところで、結構MA含有MOX燃料が出てきまして、そうすると、MA含有MOX燃料にどれぐらい使うのかということを考えると、質の柔軟性みたいなことも必要になってきてしまうのかなと思うのですけれども、今日のお話の中では、特にMAのことは触れていらっしゃらなかったのですが、どのような位置づけになっているかとか、そういうお考えがあれば、お聞かせいただければと思います。
【中熊委員】  13ページ目で触れさせていただいた高速炉を社会実装していくことになってくると、当然MA含有燃料の燃焼というのは期待されますよね。その廃棄物の有害度低減という観点からは、これは非常に重要な開発パラメーターだと思いますし、当然開発のメニューの中に入っているものだということで、あえて言及しなかったということだと考えています。
 いずれにしても、低除染の燃料をどこまで使っていくのか、高除染はどういうプラントで燃やすのかみたいなところも、今後軽水炉と高速炉が入ってくる時代も、軽水炉も動きながら操業していくということになりますので、そういう経時的にどういうふうな燃料を志向していくのかみたいなものも含めて、MA燃料というものの扱いを決めていかなければいけないのかなと思っています。当然高速炉では、MA燃料の燃焼というものは志向していかなければいけないと思っています。
【石川委員】  ありがとうございます。
【山口主査】  よろしいでしょうか。それでは、出光委員、どうぞ。
【出光委員】  ありがとうございます。
 ちょうど今、13ページ目に出ていて、その中の基盤の中で、CPF・プル燃等の再構築といいますか、そこでいろいろなデータを取るために、また再整備していくというような、そういう期待が書いてあるのですけれども、かなり、どちらも40年ぐらい経つ古い施設でありますし、あとCPFも再処理を実施できるセル、全部で五つのセルがありますけど、そのうち実質湿式で使えるのは2セルしかありませんので、もう一つのセルは分析専用なので、そこも入れると3セルですけれども、ちょっと心細いところがあるのと、要は乾式のものについては、別途考えたほうがいいというのは、全くそのとおりだと思っております。
 MAを入れていくという話になると、CPFでやるにしても、いろいろと大変になってくると思いますし、あと、新しい設備を入れるとなると、今までの設備を取り払わないと、多分場所的にも厳しいので、結構時間がかかってしまう、実際にデータを取れるようになるまでかなり時間がかかるという話になるかと思います。それであれば、専用の設備をつくったほうがいいのかどうかとか、そういう時間軸の検討もしたほうがいいのかなという気がいたしました。
 以上でございます。
【山口主査】  今のは御意見ということでよろしいでしょうかね、中熊委員から、何かございますか。
【中熊委員】  おっしゃるとおりだと思います。
【山口主査】  ほかにはいかがでしょうか。重要なテーマと思いますので、いろいろ御意見を伺えればと思いますが。
 ここで、本件も、ペーパーで吉橋委員から質問をいただいておりますので、こちらも事務局から読み上げていただいて、これは質問だと思いますので、お答えいただければと思います。では、事務局のほうから御説明ください。
【宮川課長補佐(事務局)】  2点、御質問いただいております。
 一つ目ですけれども、サイクル技術開発は大いに期待します。4ページに関連しまして、2030年までに、少なくとも12基でプルサーマルを導入するということに対して、そのスケジュールについて、お教えいただけないでしょうかというのが一つ目。
 二つ目ですけれども、プルサーマルを導入しても、6ページに見通しがありましたけれども、現状ではプルトニウム量は多く減らないと思う。高速炉の開発が鍵という理解でよろしいでしょうか。その2点、いただいているところです。
【中熊委員】  ありがとうございます。
 まず一つ目の御質問に関しましては、正直申しまして、具体的なスケジュールというものは、我々としても、まだ持ち合わせていないということでございます。まずは、再稼働をしっかりと進めて、その中でもプルサーマルを計画しているものがございますので、そういったものをしっかりプルサーマルの実現までこぎ着けるといったところをしっかり執行していきたいと考えているところでございます。
 それから、二つ目に関しましては、これもおっしゃるとおりでございまして、軽水炉サイクルを志向していく上では、プルトニウムの保有量というものを極力減らしていくことで、六ヶ所再処理工場が年間800トン再処理できるような余地というもの、プルトニウムを増やすことなく再処理ができるといったところをしっかりと実現していくことが重要だと考えてございます。当然その先には、先ほど来申し上げていますように、高速炉サイクルを実現させていくことが必要だと思ってございますので、おっしゃるとおり、高速炉の開発が鍵だとも認識してございます。
 以上です。
【山口主査】  ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。何かございますでしょうか。出光委員、どうぞ。
【出光委員】  すみません、今の件について、1個言うのを忘れていましたけど、再稼働の中で、フルMOXできる炉を早めに再稼働するというのは、かなり重要になると思いますので、現行の炉でいきますと、3分の1とか、4分の1炉心しか、MOX入れられませんので、そういう意味ではフルMOX入れられる炉、こちらの再稼働をぜひ優先してというか、頑張っていただきたいなというのが私の希望です。
 以上です。
【中熊委員】  ありがとうございます。そういう意味では、原発の大間といったものがフルMOXですけれども、まだ審査中でございますけれども、早く審査が終わって、建設が進められるように、業界としても支援してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
【山口主査】  どうもありがとうございます。
 もし、ほかに御意見ないようでしたら、今、中熊委員からも計画的にちゃんと研究基盤を整備してという御指摘がありましたけれども、悩ましい問題を、いろいろ論点を御指摘いただいたと思います。
 こういった議論も踏まえて、次の議題に移らせていただきたいと思いますが、次の議題、次世代革新炉開発に必要な研究開発項目、それから基盤インフラ、これにつきまして、日本原子力研究開発機構の燃料サイクル設計室長の竹内様、それから、高温ガス炉副センター長の坂場様から御説明をいただきたいと思います。
 では、竹内様、坂場様、続けてよろしくお願いいたします。
【竹内室長(日本原子力研究開発機構)】  御紹介ありがとうございます。JAEAの竹内でございます。
 私のほうからは、この資料5に基づきまして、高速炉燃料の再処理技術関係について御説明させていただきます。
 こちらは燃料再処理の意義でございますが、これまでも報告で触れられていますけれども、我が国は、原子力利用を進める上で燃料サイクル政策を基本方針としておりまして、その要となる再処理に関しましては、資源の有効利用や放射性廃棄物の負担低減という観点から重要な意義を持っていると認識をしております。
 この燃料サイクル技術に係る原子力機構の役割でございますけれども、今年9月に発表された戦略ロードマップ改訂案の中に示されてございまして、こちら、上のほうにありますように、サイクル技術開発といいますのは、大量のプルトニウムを扱ったホット試験が必要であると、そういったことで、民間が主体的に開発を進めるにはハードルが高いということで、原子力機構がその開発の中心を果たす必要があるということ。
 また、原子力機構が有するハード・ソフトといった開発基盤を維持・整備していくこと、あるいは原子力分野の人材育成、こういった点についても重要な役割を果たしていく必要があると示されてございます。
 こちらでは、燃料再処理に係る国内外の取組ということで、先ほど山内様からも御説明がありましたけれども、簡単に紹介をさせていただこうと思っております。
 まず、日本につきましては、使用済ウラン燃料の再処理技術、こちらは実用段階に既に到達しておりまして、東海再処理工場では、ふげんMOXを含む合計1,000トン以上の再処理実績を有してございます。そういった点から、現在は主に軽水炉、高速炉を含めたMOX燃料再処理技術開発を中心に進めているところでございます。
 この技術開発に関連しまして、国際協力の現状でございますけれども、湿式再処理の分野におきましては、フランスとの協力に基づきまして、マイナーアクチノイドの分離技術を含むMOX燃料の再処理技術開発に係る情報交換を随時実施してきておりまして、一方、金属燃料用の乾式再処理、こちらの分野につきましては、米国との協力に基づいて、この後に少し触れさせていただきますけれども、廃棄物の管理、あるいは酸化物から金属に還元する電解還元技術に関する協力を進めているところでございます。
 一方、海外に目を移しますと、フランスのほうでも、長年使用済ウラン燃料の商用再処理が進められてきているところでございまして、これまでの過程の中では、それ以外にも高速炉のMOX、軽水炉のMOXといった燃料を、プラントレベルで試験的に処理した実績というものも併せ持ってございます。
 その知見を踏まえまして、現在におきましては、高速炉燃料等を前処理する新施設(TCP)こういったものの建設計画も進められている状況にございます。
 また、アメリカにつきましては、使用済みの金属燃料からウランやTRU回収を実証した実績を既に持っているということ、また、先ほどかなり進んでいると御紹介があったロシア、こちらにつきましては、商用再処理施設RT-1が稼働中でございまして、これまでにこのプラントで使用済ウラン燃料5,300トン以上のほか、このプラントでは高速炉燃料の再処理実績も有しているということでございます。
 その他、インドや中国といったところで、ホット試験施設でございますとか、実証研究を目的にしたパイロットスケールの試験プラント、こういったものが計画・運用されてきているということで、世界的にもこういった再処理関係の技術開発が進められている状況にございます。
 続きまして、高速炉MOX燃料の再処理技術に関して御説明する前に、軽水炉MOXの燃料再処理技術について御紹介させていただきたいと思います。
 現在我が国ではプルサーマル政策に基づきまして、再処理で分離回収したプルトニウムを、MOX燃料として軽水炉で利用しているということで、この再処理に当たっては、プルトニウムをより多く含有するということで、ウラン燃料に比べて厳しい臨界管理、あるいは燃料自身の溶解性の低下、さらには不溶解性残渣やマイナーアクチノイドの発生量増加、こういった課題について、技術的には考慮していく必要がございます。
 そういった点から、この軽水炉MOX燃料の再処理技術の構築に向けましては、青字で示しました燃料溶解に関する技術開発、あるいは抽出プロセス、機器といったものの技術開発、こういったところを重点的に進めてきている状況でございまして、これまでの研究から、それぞれ技術的成立性の見通しが得られてきている段階にあります。
 これに対して高速炉燃料再処理につきましては、軽水炉同様、湿式再処理技術を採用することを考えてございまして、そういった意味では、先ほど申し上げた課題というのは、基本的に軽水炉も高速炉も、MOX燃料としては共に共通であると考えております。
 ただし、高速炉MOX燃料では、軽水炉のMOXに比べて、プルトニウム含有量でありますとか、燃焼度条件が高くなるということで、それぞれの課題そのもののハードルは高いと位置づけております。
 以上の課題のポイントでございますとか、あるいは使用済燃料の発生時期ということを併せて考えますと、軽水炉MOX燃料の再処理技術の確立を通じて、高速炉MOX燃料の再処理技術の確立を目指していくといった形で考えていくことは妥当だと考えております。
 ここからは、高速炉燃料再処理に関する必要な研究開発と基盤整備ということで御説明いたします。
 こちらは、第1回で御説明した必要な開発課題と施設整備の中の資料でございますが、こちらの赤点枠の中で示した赤字の部分、こちらが本日御説明する再処理関係の内容ということでございます。
 こちらが、酸化物燃料用になりますけれども、MOX燃料再処理技術の主な開発対象ということで、左のほうから解体・せん断、溶解、晶析、あるいは抽出、MA回収、廃棄物低減化といった技術開発は、以前FaCTプロジェクトの中で取り組んできた研究開発でございます。
 それ以外にも、このFaCTプロジェクトが凍結された以降も、進めている開発の中では、軽水炉と高速炉共通の技術開発ということで、MA回収、あるいは抽出機器の開発、さらには、それ以外でも清澄技術やコプロセッシング法といったウラン、プルトニウムの共回収プロセス開発、こういったところも、継続して現在まで進めてきている状況でございます。
 こちらが、先ほどの各開発対象につきまして、その開発の必要性を簡単に整理した表になってございます。
 一番上の集合体解体につきましては、高速炉特有のラッパ管を切断解体する技術でございまして、こちらは、高速炉燃料再処理特有の必要不可欠な技術として開発を進めるべきものになっております。
 また、燃料溶解技術に関しましては、どうしても高速炉の場合プルトニウムの量が増えるということで、燃料溶解性のさらなる低下や、溶解槽自身の臨界防止の対応、こういったところを含めて研究開発が必要になってくるということでございます。
 また、それ以外の各技術開発につきましては、経済性の向上や環境負荷低減、あるいは核拡散抵抗性や安全性の向上といった点から、技術の高度化を目指している開発と位置づけてございます。
 ここからは、一例になりますけれども、現在取り組んでいる研究開発の内容について御紹介させていただければと思います。
 こちらは、ウラン・プルトニウム共回収法、我々はコプロセッシング法と呼んでおりますけれども、こちらの開発になってございます。この方法は、従来のPUREX法とは異なりまして、抽出工程内でプルトニウムが単離しないように、溶液条件や流量条件、こういったところを制御して、改良を加えたプロセスになってございまして、プルトニウムが単離されないということで、核拡散抵抗性向上の観点から重要な開発であると位置づけてございます。
 また、さらには共除染部のFPの除染性能、こういったものを向上させていくことで、従来のプロセスには必要になっていた精製サイクルの部分を削除できるのではないかと考えておりまして、これによって経済性の向上や廃液発生量の低減、こういったものを実現したいと考えております。
 このコプロセッシング法は、PUREX法の改良プロセスで、同じ抽出剤TBPを使うプロセスということもありまして、技術的ハードルはそれほど高くないと考えております。
 これまでの開発につきましては、ウラン・プルトニウム溶液系での抽出データの取得でありますとか、シミュレーション評価、こういったことを用いて、フローシートの具体化を進めるとともに、性能見通しも得られてきているところでございまして、徐々に技術的成立性の面から評価が進んでいる状況でございます。
 また、この抽出プロセスに適用する機器につきましても、右側にありますような小型で高性能の遠心抽出器の開発を並行して進めてきてございまして、先ほどのコプロセッシング法で求められる流量条件で、良好な分離性能が得られているという結果も出てきてございます。
 この開発に関わる主要課題ということで言いますと、これから実燃料を使った燃料溶解液、これを基にして、共除染部や分配部の性能実証を進めていく必要があると考えておりまして、こちらについては、既存のホットの研究施設CPFのほうで、今年度からこのホット性能実証の評価に着手している状況でございます。
 こちらは、抽出クロマトグラフィという技術を使ったMA分離回収技術開発でございます。先ほどからの御説明でもありますように、マイナーアクチノイドの中には、長寿命核種や発熱性の核種を有するということで、これを分離して、サイクル内に閉じ込めて、廃棄物側に移行させないことで、放射性廃棄物の減容化や有害度の低減を実現することは可能と考えております。そういった意味で、このMA分離技術というものは、この実現には必要不可欠だということで技術開発を進めてございます。
 プロセス自身は、上のほうに図がありますように、直径50ミクロン程度の多孔質シリカの上に、バインダーである有機ポリマーを介して、MAを選択的に分離する抽出剤を含浸させて、これを吸着剤としてカラムの中に投入します。その中に、高レベル放射性廃液でありますとか、幾つかの溶離液といったものを入れていくことによりまして、吸着や溶離という、そういう原理の中で、目的元素を選択的に分離するプロセスということになってございます。
 MAを、高レベル廃液から分離するプロセスとしては、2段階を考えてございまして、1段階目がマイナーアクチノイドと、化学的な挙動が非常に似ている3価のランタニド、これを共回収するプロセスが第1段階、第2段階として、それらを相互分離するプロセスという形になってございまして、これまでに第1段階、第2段階の実液を使ったMAの分離試験を行ってきておりますけれども、FPの除染性能やMAの回収率といった点におきましても、かなり良好な結果が得られてきております。
 ただ、まだまだ除染係数や回収率を含めて、さらなる性能向上が必要だと考えておりますし、また、このクロマトグラフィでは、廃液の発生量をいかに減らすかということも重要な開発の視点と考えております。
 さらに取り組んでいるのは、機器システムの信頼性やプロセスの安定性向上ということで、こういった課題について、これから既存のホット試験研究施設やコールドの試験施設、こういったところで評価を進めていく計画でございます。
 こちらは、先ほどのMA分離手法を利用した分離変換サイクルの小規模実証研究ということで、我々はスマートサイクル研究と呼んでいるプロジェクトになってございます。
 こちらは、照射済燃料中のMAを分離しまして、それを燃料製造にして、常陽で照射し、PIEによりMAの分離変換挙動をしっかり評価するという一連のサイクル研究になってございます。
 ここで得られる照射変換挙動データというのは、世界的にも貴重な知見でございまして、今後、実現を検討していく高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減に、技術的に大きな貢献をしていく成果になるものと考えております。
 こちらは、以上の開発状況を踏まえまして、MOX燃料側の湿式再処理技術の実用化に向けた考え方として、少しまとめたものでございます。
 こちらに示しますように、左のほうから、まずは既存の再処理施設、こういったところで得られたL再(軽水炉燃料再処理)の知見というものを、しっかりそれをベースにしまして、高速炉の中で、先ほどの課題として示したいろいろな課題、こちらを解決するためのR&D成果を、これに反映させていって、まずは湿式再処理技術の全体の技術的成立性を見極めたいと考えております。
 そうした中で、構築した再処理システムにつきましては、右側のほうに、再処理実証フィールドとありますけれども、こちらの中で、その技術の実証というものをしっかりしていく必要があると、そういったことで、実用性の見極めの段階から実用性の段階にしっかり引き上げていくことができると考えております。このフィールドについては、新たに整備をする必要があるというふうに、我々としては考えてございます。
 今申し上げた開発の最終段階とも位置づけられる技術実証なのですけれども、こちらについては、後ろのほうに、参考資料のところで、TRLの結果も少し示させていただいておりますけれども、TRLの6というのが技術実証の段階なのですけれども、それを超えて、TRLを7に突入させるための重要な施設だと位置づけておりまして、目的にありますように、MOX燃料再処理のプロセス機器、こういった性能を、実際の環境の下で、工学的観点から技術実証するのが目的ということで考えているものでございます。
 まだ十分な検討が進んでない状態ではありますけれども、今想定しているものとしましては、システム構成としては、実証すべき再処理技術全体が対象となってございまして、処理の規模としては、集合体規模の処理を前提とした、おおよそ数十トンパーイヤー以上の処理規模、どの程度の処理規模かと申し上げますと、例えば、東海再処理工場の処理規模が、年間200日稼働を前提として140トンパーイヤーということですので、その数分の1から5分の1といった規模に相当いたします。そうなってくると、その上のポツにありますように、再処理製品や廃液関係の処理機能というものも、併せて必要になってくるだろうと考えております。
 また、このフィールドで処理する対象燃料でございますけれども、現在の想定では、高速実験炉常陽の照射済燃料等をターゲットとしたいと考えておりまして、また、一連の工学実証試験の中では、MA分離の技術も対象になってございますので、ここで試験を重ねていくことによりまして、燃料製造に必要なMA原料も、このフィールドで当面は回収していくことを考えております。
 以上から、最終的に技術の実用化を図るためには、実環境での技術実証を可能とする新たな施設整備が将来的には必要になってくるというふうに、我々は考えてございます。
 ここからは金属燃料サイクルに関する御説明になります。
 金属燃料につきましては、左上のように、使用済みの金属燃料を解体・剪断等を行いまして、電解精製を行う電解槽にそれを投入いたします。
 ここで、電解操作によりまして、固体陰極上にはウラン、液体カドミウム陰極内には残りのウランやプルトニウムやMAが回収されまして、それぞれ高温処理することによって、金属として回収されます。これをまた燃料に製造していくようなサイクルになってございます。
 左下の部分全体が、廃棄物処理の主要工程を表したものになってございます。
 こちらの金属燃料サイクルにつきましては、現在電力中央研究所と協力しつつ、開発を進めてきているということでございます。
 こちらも現状進めている研究開発の一例を示しております。アメリカとの研究協力の中で、重点課題としている廃棄物処理技術、電解還元技術について、協力を進めてございまして、双方の施設を利用して、共同して研究を進めてきております。
 こちらも、先ほどの酸化物と同様、乾式再処理技術の実用化に向けた考え方ということで、乾式再処理の場合は、国内プラントというのが、今まで実績がないわけですけれども、これまでの国内での開発実績、あるいは海外での実績、さらにはアメリカ側で、以前技術実証したときの知見、こういったものを導入しまして、しっかり評価を行って、乾式再処理技術のプロセスの構築を図っていきます。こちらについても、最終的には技術の実証が必要だと考えておりまして、右側に示しました金属燃料リサイクル実証施設を新規に整備して、実証をしっかりしていくということで考えてございます。
 こちらからは、先ほど中熊部長からも心強い御意見をいただきましたけれども、施設に関する内容になってございます。
 こちらの表は、酸化物燃料再処理についてですけれども、左側に主要工程とTRL、そして、その工程に関するそれぞれの主要な技術課題、さらには、それを克服するために必要な研究施設を整理したものでございまして、必要な施設は、それぞれ酸化物燃料再処理の湿式については、我々JAEAの中で整備がされている施設がございます。
 ただ、さらにTRLを7に引き上げていくためには、新たな技術実証フィールドが国内整備として必要だとは考えてございます。
 こちらは、金属燃料再処理側になってございまして、やはりこれらの主要技術課題を解決させていくためには、ホットの研究施設のほか、乾式再処理の場合は、コールドの本格的な工学試験施設も新設で必要だと考えておりまして、先ほどの金属燃料リサイクル実証施設のほか、コールド工学試験施設の新設・整備というのも、非常に重要な課題であると考えてございます。
 こちらが、今現在JAEAが所有しているホット研究施設、ウラン工学試験施設、コールド工学試験施設ということで、再処理開発用の施設となってございます。
 それぞれ、右側にありますような各再処理開発に利用してきておりまして、今後の開発に当たっても、これら施設の機能整備というのが非常に重要になってくると認識してございます。
 最後に、これが施設関係のまとめになってございまして、酸化物、金属、それぞれ必要性と現状、既存施設については、施設の現状について整理をしたものになってございます。
 以上、高速炉側の説明となります。
【坂場室長(日本原子力研究開発機構)】  続きまして、高温ガス炉に関しまして、坂場より御説明申し上げます。
 まず、赤の点線で書いた箇所でございますけれども、燃料の、今回TRISO燃料再処理試験としまして、HTTRの使用済燃料、これはまだ1次燃料が入ったままでありますけれども、それを用いて再処理技術を拡張していくということで書いてございます。
 一方で、未照射燃料、すなわち新燃料においては、燃料製造メーカーにおいて技術確証を一部やっているということでございます。
 まず、高温ガス炉の燃料でございますが、右側の図に示しますとおり、燃料核のUO2の周りに四重に被覆された燃料を用います。TRISO型燃料と呼んでおります。この燃料は、非常にFP閉じ込め能力に優れておりまして、そのために、海外では直接処分を行うのが主流な考え方でございます。FPを閉じ込め、かつ非常に強固な状態で保持できますので、直接処分するというのが主流でございます。
 ドイツ及び米国におきましても、過去の高温ガス炉の使用済燃料は、貯蔵施設で保管中でありまして、ドイツは直接処分を計画して、米国に関しましては、具体的な計画は今のところないということであります。
 我が国におきましては、再処理路線を基本といたしておりますので、その観点で再処理技術ということで確立が必要であるということでございます。
 高温ガス炉の燃料の再処理に関しましては、先ほど申しましたが、前処理工程に関しましては、新燃料を用いまして、ある一定のフィージブルは確認しているということであって、前処理を施した後は軽水炉のPUREX法に適用できるということでございます。
 そういった観点で、今後使用済みという観点では、これまで一度もこの技術を確認したことはございませんので、高温ガス炉に関する課題の一番の大きなポイントは、使用済みでこういった技術が本当に達成できるのかを確認することだと考えているところであります。
 まずは、そういった試験を実施するに当たりましては、ホット施設の確保という観点で、使用済燃料の取扱い経験のあるNUCEFでありますとか、CPFが、候補としては考えられるということでございます。
 こちらは、今申しました前処理技術といったことを説明している絵でございますけれども、高温ガス炉の使用済燃料は、まず解体しまして、焙焼して、SiC層の周りのものを剥がすと、その後、さらにSiC層を、左下の図にありますように、物理的に破損して、中の物を取り出すという工程、その後に焙焼しまして、ここはCO2のガス処理をしまして、Cとして回収する。それ以降は、溶解してプルトニウムなどを取り出していくというステップでございます。最終的に濃度や成分が、PUREX法に適用できるのかという観点では、劣化ウランのある一定の濃度を下げる工程が必要だという机上の検討をしておりますが、いずれにしましても、こういったプロセスに関して、使用済みではやっていないというのが現状でありますので、今後やっていかなければいけないという観点でございます。
 次のページお願いいたします。こちらは、そのための試験計画として、まずは、HTTRの使用済燃料を、実験室レベルでやるという観点で書いたものでございます。燃料を取り出した以降、先ほど申しましたNUCEFあるいはCPFでもって解体、輸送、そして、こういったところを使うと。さらには、それ以降、前処理技術に関して、実験的に確認していくという流れでございます。
 次のページお願いいたします。さらに、再処理技術実証フィールドという観点で、今後実証炉以降、高温ガス炉の開発が進む場合におきまして、工学的視点で技術実証ができるのかという観点では、新たな設備が必要になってくるだろうということで書いてございます。
 そういう観点で、数トンパーイヤー程度の処理規模ということで、現状、仮に実証炉が250メガワットとした場合においても、大体7トンパーイヤー程度の処理規模でありますので、そういったものを整備していくことによって、実証していくということを、ここで書いているところであります。
 将来的に施設整備が必要ということで書きましたが、先ほど中熊委員からございましたとおり、経時的にどういう燃料を、我が国としてやっていくのかというのは、別途議論されることになると思いまして、高温ガス炉は、それ自体が四重にコーティングされて強固なものであるということで、長期間の中間貯蔵に優れているという観点もありますので、その中で、この工学的視点での技術実証というのは議論されていくべきものではないかと考えているところでございます。
 29ページお願いします。そういう意味で、ここで必要な技術研究施設と書きましたが、工学試験施設でありますとか、再処理技術実証フィールドというのが、今後、国内に新規の整備が必要であると、ここでは書いてございます。
 いずれにしても、国全体としてのプライオリティーの中で、高温ガス炉の再処理をどのタイミングで、どういうふうにやっていくかというのは、議論されるべきではないかと考えているところでございます。
 私からの説明は以上です。
【山口主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、時間が大分過ぎていますが、質疑、意見交換に入りたいと思います。御意見がある方は挙手をお願いします。出光委員、どうぞ。
【出光委員】  すみません、幾つもあって申し訳ないですが、高速炉のサイクルのほうからお願いしたいのですが、共抽出で考えられていますけれども、共抽出だと、基本的に使用済燃料のウラン、プル組成がそのままになってしまいますけれども、後々調整でいくと、本当は1対1ぐらいのものがあって、それでプルトニウム濃度調整とかできるほうが好ましいとは思うのですが、フロー上は、共抽出で大丈夫なのでしょうかというのが、1問です。
【山口主査】  では、回答をお願いします。
【竹内室長(日本原子力研究開発機構)】  JAEAの竹内でございます。
 共抽出の場合の製品の濃度ですけれども、軽水炉のウラン燃料、MOX燃料、そして高速炉のMOX燃料という形で、様々な燃料組成の製品が来ても、流量条件を調整することによって、ウランとプルの比を0.5から2の中にコントロールできるように、開発を進めている状況でございまして、委員から御指摘のように、確かに同じような濃度の製品、比の製品で持ってくるということは、その後の工程を進める上で非常に肝要かと考えております。
 以上です。
【出光委員】  分かりました。
 あともう1点、溶解のところで、途中のところで、使用済燃料、MOX、特にプルトニウムが入ると溶けにくいという話があるのですけれども、一番溶けにくいのは、恐らく製造時のスクラップの燃料だと思うのですが、要はスクラップのところの回収技術とこちらをうまく合わせるとか、そういうところは、何か入ってないのでしょうかというのが2点目になります。
【竹内室長(日本原子力研究開発機構)】  ありがとうございます。
 燃料製造時のスクラップ燃料につきましては、前回、第3回の中でも少し触れさせてはいただいたのですけれども、乾式でリサイクルしていくことを考えて、今技術開発を進めております。すなわち、密度がちょっとスペックアウトしたり、あるいはクラックがあったりといったものについては、きちっと、きれいに粉砕していくことで、原料粉に近いようなものに戻していくことができると思っていまして、溶かさずに、そういった乾式技術でリサイクルをしていく方向で、今開発を進めてございます。
 以上でございます。
【出光委員】  ありがとうございます。
 すみません、あと二つほどあるのですが、遠心抽出器の話が出ていましたけれども、以前CPFでも遠心抽出器の処理実験をやろうかと言っていたときがあったのですが、遠心抽出器の性能がよ過ぎて、ものすごい勢いで処理してしまうので、液が足りないと、そういう問題があったかと思うのですが、これは小型化したものでやるのか、ただ小型化するといっても液性があるので、あまりサイズ的に大きく変更はできないと思いますけれども、その辺りは、CPFでそういうことも検討して、試験されるということでしょうか。
【竹内室長(日本原子力研究開発機構)】  まさに出光先生がおっしゃったように、遠心抽出器だと非常に処理が速いので、液量がかなり必要になります。そういった意味で、CPFではかなり小さいローター径を持った、小さな遠心抽出器を使った試験で行ってございます。ある程度大きくなっても、プロセスについては、それほど影響ない範囲で流量条件が整えられていると考えておりまして、そのような条件で、遠心抽出器の試験は進めていく計画でおります。
【出光委員】  では、最後に1問ですけれども、清澄工程のところで、遠心清澄機がありましたけれども、あそこでフィルタリングされてきた廃棄物というのは、これは、またガラスのほうに入れるというフローになっているのか、別個に廃棄物にするのかと、そのフローのところは、今どうなっているのでしょう。
【竹内室長(日本原子力研究開発機構)】  御指摘の点については、今の現行の再処理と同様に、清澄工程で回収したスラッジ類は、ガラス固化のほうに持っていくという考え方で進めようとしております。
【出光委員】  そこについては、恐らく高速炉の場合だと、要は白金属系のものが結構たまって、それが清澄工程でいくので、ガラスに入れると、白金属系がいろいろ悪さしますから、私は個人的には混ぜないほうがいいと思っているのですけど、その辺りちょっと御検討いただければと思います。
 以上です。
【竹内室長(日本原子力研究開発機構)】  御意見ありがとうございました。今の課題については、御指摘はごもっともだと思いますので、本当にスラッジを廃液と混ぜて、ガラス固化するべきかどうかについては、改めて関係者で検討させていただきたいと思います。ありがとうございました。
【山口主査】  ありがとうございます。では、続いて、次は小澤委員、どうぞ。
【小澤委員】  ありがとうございます。
 1個前のところで、簡単に、時間的な柔軟性と申し上げてしまった反省も込めまして申し上げますと、全体として、いろいろな課題があるというのはよく分かったのですが、優先順位といいますか、絶対に必須な開発なのか、それとも、よりよいオプションという位置づけなのか、ちょっとよく分からないところがあったなと思いました。
 例えば、9ページ、いろいろ解体・せん断から抽出のところを全部、MA回収までありますけれども、これが本当に全て成立条件なのか、それとも程度をもっとよくする、程度問題のものなのかというのが、よく分からなかったり、再処理の実証フィールドも、高速炉と高温ガス炉、それぞれあるかと思うのですけど、時間的に考えると、プルサーマルから使用済MOXが出てくるし、そういったものを解決していくという考え方もあるのかなと思います。
 それから、高温ガス炉燃料についても、絶対再処理が必要なのかどうかという手前のところで、参考資料1でも指摘がありましたけれども、プルトニウムがどうなのか、燃え残りのウランの濃縮度がどんなものなのかとか、いろいろな机上検討の中で、本当に使いやすい再処理になるのか、使いやすい再処理燃料になるのかという視点も必要なのではないかなと思いますので、多分今後そういった優先度の議論があると思いますので、整理しておいていただけるとありがたいなと思いました。
 以上です。
【山口主査】  こちらはよろしいですね。今何かお答えがありましたら、お聞きしますけど、どうですか。
【竹内室長(日本原子力研究開発機構)】  JAEAの竹内でございます。
 1点目の開発の優先度に関しましては、10ページ目に、少し整理をさせていただきましたけれども、大半が、今御指摘のように、安全性は必須ではございますけれども、経済性の向上とか、さらに高度化を進める上での開発というのが中心になってございまして、唯一集合体解体は、高速炉特有に必要だということで、これはどうしても高速炉再処理を実現する上では、何とか開発しなければいけないと考えてございます。その辺の整理は、今後も併せて進めていきたいと考えております。ありがとうございました。
【小澤委員】  ありがとうございます。
 このようなことを言った背景には、戦略ワーキングの第2回の資料で、近藤先生が厳しくも、かなり鋭い指摘をされている資料を読んで、このように思ったという次第であります。もし参考になれば、読み返すといいのではないかなと思いました。
 以上です。ありがとうございます。
【山口主査】  続いて、和田委員、どうぞ。
【和田委員】  ありがとうございます。
 革新炉の開発における欧米の議論を見ていると、炉型によってバックエンドについての考え方を切り離すということが、開発の成功に重要であると指摘する専門家がおりまして、これは、既に再処理技術が商業化されている軽水炉のバックエンドの在り方と、あと、高温ガス炉などそれ以外の炉型のバックエンドの在り方を分けて検討すべきという指摘でございます。
 また、フランスのオラノ社ですけれども、革新炉の社会実装に当たっての最も重要な事項の一つは、燃料バックエンドの経済性を含めた実現可能性を社会に示せるかどうかだという指摘をしております。
 高温ガス炉など、全く新しいタイプの燃料を使う場合には、その使用済燃料の処理・処分にどのような技術的オプションが適用可能なのか、経済性も含めて実証することが必要という指摘でありまして、その技術的オプションには、再処理しないというオプションや、長期の貯蔵オプションも含んでいると考えております。
 我が国でもこうした指摘に応えられるような経済性ですとか、プライオリティーを念頭に置いた研究開発を期待したいと思っております。
 以上でございます。
【山口主査】  ありがとうございます。
 これは御意見で、当然念頭に置いてということになると思いますので。
 続いて、桐島委員、どうぞお願いします。
【桐島委員】  桐島です。
 9枚目のスライドに、MOX燃料再処理の技術開発対象が分かりやすく表示されていました。これを見ていたのですけれども、やっぱり6枚目のスライド、今日も話されていましたが、MOX再処理、燃焼度は上がっていきますので、白金属の問題がより出てくるだろうと、出光先生がおっしゃっていたとおりだと思います。そうなってくると、ガラス固化の技術開発というのが、必ずここに入ってくる、もしくはガラス固化じゃなくて、廃液処理という技術開発項目でもよいとは思います。
 御承知のとおり、東海再処理工場ではガラス固化で、毎年のように計画が進まないという状況が起きております。それをにらみながら、この開発対象を見ていると、やはり廃液処理のところに少し不安を感じてくるのですけれども、この廃液処理の項目が入ってこないのはなぜでしょうか。
【竹内室長(日本原子力研究開発機構)】  JAEAの竹内でございます。
 ガラス固化関係の技術開発、今こちらについては、軽水炉MOXについては、基盤研究が進められているところでございまして、高速炉関係のところでは、まだ、その状況を注視しているといいますか、どの程度高速炉でそういった影響が出てくるかというのをしっかり、まず見極めて研究計画を立てていきたいと考えておりまして、こちらでは、今、実際に実施してきている開発対象をお示ししており、その中に含まれていない状況ですけれども、今後しっかり研究計画を立てて、ガラス固化関係の技術開発にも入っていきたいとは考えておりまして、今後の課題と位置づけてございます。
【桐島委員】  そうですね、ぜひ落ちてしまわないように、フォローを続けていっていただければいいと思っております。
 以上です。
【竹内室長(日本原子力研究開発機構)】  ありがとうございます。
【山口主査】  ありがとうございます。浅沼委員、どうぞ。
【浅沼委員】  浅沼です。
 私は、質問というよりもコメントになるのですけれども、再処理とか、燃料サイクル関連の研究開発は、やはり実験室規模、小規模の試験から、それからプラントへ持っていくときのスケールアップするときの課題というのは、非常に大きいと感じておりまして、特に、私は分離の研究をしておりますので、分離研究を始めるときに、どうしても使用済燃料は溶解液からスタートしてしまって、溶解液から各イオンが分離できるかということに注力してしまうのですが、結構重要なのは、前処理の部分だと思っておりまして、今日お話のあったガス炉のほうでも、前処理できるかどうかというのは、結構重要な課題になるのかなと思います。
 高速炉のほうも、燃料集合体の脱被覆についても、やはり今後取り組む必要があることというお話もありました。そういった意味では、今後10年間でどういった戦略を立てて取り組んでいくかということ、そして、それが前処理を含めてできるかどうかというのが、結構高速炉とか革新炉、高速炉、ガス炉の選定に結構大きな影響を与えるのではないかなと、今日お話を伺っていて感じたところです。なので、必要な研究、技術的な知見というのは、今後やはり加速して得ていく必要があるのではないかと、そのために必要な施設ですとか、既存の施設の活用も含めて、十分整理して、スピードアップして取り組んでいく必要があるように、今回感じました。意見になります。
 以上です。
【山口主査】  ありがとうございます。
 ここで、ペーパーで頂いた御意見、御質問もありますので、今日御欠席の相楽委員から質問、御意見をいただいております。事務局から御紹介いただけますでしょうか。
【宮川課長補佐(事務局)】  事務局でございます。
 ガス炉に関して二つ、高速炉は一つございます。読み上げます。参考資料1になります。
 HTTRのウラン燃料の使用済燃料の再処理と、プルトニウムの使用はどの原子炉を想定しているのですか。軽水炉によるプルサーマル利用か、それとも高速炉か。高温ガス炉自身によるプル利用やプル・ディーブ・バーニングも重要な核燃料サイクルオプションに思えるが、どのように考えていますか、ということです。
 二つ目に、現状のHTTRであれば、燃焼度は限定的ですけれども、将来的な高温ガス炉の高燃焼度の利用時には、生成されるプルの同位体組成において、核分裂性核種割合はかなり減少し、プルサーマル利用の価値は大幅に減少すると思われる。高速炉であれば利用できるかもしれないが、プル核分裂性価値、コスト、発生廃棄物量など総合的に検討すべきように思われるということが、二つ目です。
 高速炉に関しては、金属燃料サイクルにおいて、特に乾式再処理過程における事業者による計量管理、規制側による検認手法は、技術・政策面を含め総合的なチャレンジであると。米国の技術を導入すれば解決するものではなく、日米、日-IAEA間の協議を含め、丁寧な開発が求められ、今後の研究開発として不可欠な項目の一つに思えるがいかがでしょうか、ということでした。
 以上です。
【山口主査】  では、これはお答えいただけますか。最初ガス炉のほうから行きましょうか。
【坂場室長(日本原子力研究開発機構)】  坂場よりお答え申し上げます。
 まず、プルトニウムの利用という観点では、ペーパーワークとして、高温ガス炉によるプルトニウムの燃焼という炉心の検討はしたことがございます。
 一方で、ここにありますような経済性とか、利用価値という観点では、これまで十分な検討がなされてきてないという現状ですので、今後御指摘のようなポイントを検討しながら、この先の利用を含めて検討していきたいと考えているところでございます。
 以上です。
【山口主査】  これで二つ、そうですね。
 続いて、乾式再処理のほうを、竹内さん、お願いできますか。
【竹内室長(日本原子力研究開発機構)】  竹内でございます。
 御指摘の保障措置というか、計量管理ですね、こちらについては、やはり金属燃料サイクルの場合ですと、乾式再処理で溶融塩中での処理になるということも含めて、なかなか量が確定しにくいという部分はございます。
 入量計量の問題も含めて、この辺の全体の計量管理については、この乾式再処理の一つの大きな課題だと考えております。今回は工程技術を中心に御説明したということもありまして、この計量管理については触れてはいないですけれども、我々開発側としては、重要な開発課題の一つと位置づけて検討をしてきております。今後も引き続き、その辺についてはしっかり技術開発を進めていきたいと考えております。
 以上でございます。
【山口主査】  ありがとうございます。
 そのほか御意見ございますでしょうか。今の点、皆さん、御意見をいただいたところですが、中熊委員が、先ほど革新炉のサイクル技術開発への期待ということで、電気事業連合会としてのお話をいただいたのですが、それを受けて、今、研究開発基盤の計画といいますか、どういうことを考えているかという御説明がありましたが、中熊委員、もし何か、このJAEAからの御説明について御意見等ございましたら、お伺いしたいと思います。
【中熊委員】  中熊です。ありがとうございます。
 基本的には、事前にも拝見していて、しっかりとインフラ整備も含めて、技術課題とひもづけて整理をしていただいているなという印象を受けてございますので、こういったところを関係者で深めていくことで、実際の計画につなげていっていただければなと思っておりますので、引き続きよろしくお願いできればと考えてございます。
 簡単ですが、以上でございます。
【山口主査】  ありがとうございます。
 ほかの委員の方からは、あと何かございますか。
 大変議論が重要な佳境に入ってきたところだと思いますので、とはいえ、まだなかなかまとまり切れてはいないですが、今日大変重要な情報、御意見をいただいたところですので、引き続き、ぜひこれからの研究開発基盤、そういったものの計画等について、またサジェスチョンいただければと思います。
 それでは、大分時間を超過しまして、大変申し訳ございません。今日は大変よいディスカッション、ポイントを御指摘いただいたなと思います。
 時間が超過しましたが、以上をもちまして、本日の検討会を終了したいと思います。
 最後に、事務局から連絡事項がありましたら。お願いいたします。
【宮川課長補佐(事務局)】  事務局でございます。
 事務局からも、時間超過いたしまして失礼しました。
 次回の日程ですけれども、第5回、12月9日金曜日15時からを予定しております。
 追って、前回と今回の議事録の確認、また次回第5回の開催案内と御連絡を、委員の皆様にお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。
 また、委員の皆様に、先般御確認いただいておりました第2回の議事録についても、事務局のほうで確認を経て、近く文部科学省のホームページにアップロードする予定となっております。
 事務局からの連絡は以上でございます。
【山口主査】  どうもありがとうございました。
 では、本日の議事、全て終了とさせていただきます。
 これにて本日は散会といたします。御審議誠にありがとうございました。

―― 了 ――

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