次世代革新炉の開発に必要な研究開発基盤の整備に関する検討会(第3回) 議事録

1.日時

令和4年11月8日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

新型コロナウィルス感染症拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 第2回検討会でご議論いただいた論点と主な意見
  2. 次世代革新炉開発に必要な研究開発項目及び基盤インフラについて
  3. 次世代革新炉開発に向けた人材育成及び大学の知の集約拠点機能について
  4. その他

4.出席者

委員

山口委員(主査)、浅沼委員、出光委員、小澤委員、桐島委員、相楽委員、中熊委員、和田委員

文部科学省

新井原子力課長、嶋崎研究開発戦略官、宮川原子力課課長補佐、髙倉原子力課課長補佐

(説明者)
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 皆藤威二 燃料サイクル設計室次長
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 坂場成昭 高温ガス炉プロジェクト推進室長

5.議事録

【山口主査】  それでは定刻となりましたので、ただいまより次世代革新炉の開発に必要な研究開発基盤の整備に関する検討会(第3回)を開催いたします。
 本日は、お忙しいところ、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 本検討会については、前回に引き続きまして、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点からオンライン会議を原則として行います。
 なお、会議は原則公開といたします。資料や議事概要等については文部科学省のウェブページにて公表いたします。
 それでは、まず、事務局から、会議資料等の確認をお願いいたします。
【宮川課長補佐(事務局)】  ありがとうございます。それでは、本日の配付資料について御案内申し上げます。資料については、議事次第のとおり、資料1から資料3を用意しております。資料については、委員各位には事前に送付、傍聴者の皆様におかれましてはホームページを御参照いただいているところと思いますが、資料の不備や映像の乱れなどがございましたら事務局までお知らせいただければと思います。
 また、委員の御出席につきまして御案内申し上げます。本日は現在、委員11名中8名が御出席でございます。石川委員、遠藤委員、吉橋委員におかれましては御欠席となります。
 以上でございます。
【山口主査】  ありがとうございます。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 一つ目の議題でございますが、第1回検討会における論点及び主な御意見についてでございます。
 では、事務局から、資料につき、御説明をお願いいたします。
【宮川課長補佐(事務局)】  ありがとうございます。
 それでは、資料1、第2回会合の主な議論及び意見について、概要について簡単に御紹介させていただきます。
 前回会合の主な議論、意見についてまとめてございます。
 一つ目が、三菱重工様からの聞き取り内容でございます。
 主な論点といたしましては、今後この技術伝承という観点からは、高速炉についてもガス炉についても20年ごとに新しいプラントを建設することが望ましいところ、現在20年以上、先行炉の建設から経っており、技術の維持継承が喫緊の課題という点。
 あるいは、特に「常陽」については、高速中性子照射場としても必須の設備であり、早期再稼働、運転が必要であるということ。
 また、海外事業への参画ということは、メーカーの観点から見るとプラスであるものの、海外からのニーズに応じてメーカー等としっかり協力を行いたい等の論点がありました。
 また、次の議事につきましては、原子力機構から、次世代革新炉開発に必要な研究開発項目及び基盤インフラについて、特に炉システムに関する事項について聞き取りを行いました。それに関する主な議論を3ページ目と4ページ目にまとめてございます。
 高速炉については、再稼働後の「常陽」の運転期間に限界がある上に、次世代革新炉開発に加えて、医療用RI製造ほか関係学会などから連続供給のニーズが示されているなど、複数の高速中性子照射場が必要という声もあるという点。
 あるいは、こういった新たな高速中性子照射場を整備する場合には、放射性廃棄物有害度低減・減容、あるいは再生可能エネルギーとの共存など新しいニーズに対応した機能実証を可能とする設計とすることが有意義なアプローチではないかという点。
 また、マイナーアクチノイドを含有した燃料の照射試験については、集合体レベルでの照射試験となると、マイナーアクチノイドの分離のための新規インフラが必要となり、大規模な取組が必要となるのではないか。
 また、こういった新たなニーズに対応した新機能実証のための小型高速炉については、早期に整備をすることによりサプライチェーンや人材育成、ひいては新型炉の規制対応の先鞭という意味でも有意義と考えられる。一方で、高速炉開発のロードマップに基づく実証炉開発との関係については、互いに適時、成果を共有し、密に連携を取って検討を進めることが望ましいなどの意見がございました。
 次のページを御覧ください。
 高温ガス炉については、今後の開発について、電力以外のユーザーにおける熱利用による脱炭素化も視野に入れるなど、潜在的なユーザーの掘り起こしとともに、大型化、あるいは高燃焼度化などの技術目的の精緻化を図ることが重要ではないかという議論。
 あるいは熱利用システムの実証については、野心的ではあってもカーボンフリーの水素製造技術の開発などを着実に進めるべきなどの意見がございました。
 御意見の全てを記載しているわけではございませんけれども、主な議論として、今後の論点整理に活用させていただきたいと思います。
 説明は以上でございます。
【山口主査】  ありがとうございます。第1回の論点を整理していただきましたので、これについて、委員の皆様に確認、あるいは御意見を頂戴したいと思います。
 ただいまの説明、資料1ですが、もし御意見がございましたら、オンラインシステムの挙手機能を御活用いただき、意思表明をお願いいたします。指名させていただきますと、ミュートを外して御発言ください。いかがでしょうか。
 何か補足、あるいはコメント等はございますでしょうか。あるいは御質問などでも。もし漏れている重要な論点などあったら御指摘いただきたいと思いますが、いかがでしょう。よろしいでしょうか。
 それでは、この資料1は今後もぜひ御活用いただいて、しっかり議論を進める上で見ていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それで、私のほうで、今ちょっとこの資料1を拝見しておりまして、これまで次世代の革新炉については、適切に安全を確保するということがまず第一に来て、非常に重要な原則であるということを皆さんが共有しているからかもしれませんが、例えば、GX実行会議の御指示においても、新しい安全メカニズムを導入した次世代革新炉というようなキーワードを使っていただいております。当然、安全性というのは、それぞれの炉に特徴がありますので、それを踏まえて、しっかり安全をバランスよく確保していくことが重要なのですが、今日のこの議論及び意見の中でそういう観点があまり明示的には書かれていないなという気がいたしました。
 それで、今、次世代革新炉ということで、高速炉と高温ガス炉についてこうやって論点整理していただいているところですが、非常に重要な特徴として、安全性の観点から、これらの革新炉は従来炉と比べてどのような安全性の特徴を持っているのか、どういうところが進歩しているのか、そういった点をぜひ一度整理しておきたいなというふうに考えるところでございます。
 委員の皆様にお伺いしたいんですが、ちょっとそういう観点で、安全性についても、アット・ア・グランスで見通しのよい資料を追加で用意していただいたらどうかと思いますが、いかがでしょうか。何か御意見はございますでしょうか。
 特に御意見がないということでしたら、御賛成、御賛同いただいたというふうに理解しまして、少し次回に高速炉と高温ガス炉の安全性に関する資料を、こちらは多分JAEAに御用意いただくことになるかと思いますが、私のほうからお願いしたいと思います。
 どうもありがとうございます。
 それでは、今の1番目の議題、これまでの論点整理については以上といたします。
 次に、二つ目の議題に移ります。二つ目の議題ですが、次世代革新炉開発の燃料製造施設に向けた取組でございます。こちらについては、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の燃料サイクル設計室次長の皆藤様、それから高温ガス炉につきましては、高温ガス炉副センター長の坂場様より御発表いただきます。その後で委員の皆様に御議論いただければと思います。
 では、皆藤様、坂場様、この順番で御説明をお願いいたします。
【皆藤次長(日本原子力研究開発機構)】  御紹介ありがとうございます。原子力機構の皆藤でございます。本日はよろしくお願いいたします。
 それでは、資料に従いまして、次世代革新炉開発に必要な研究開発項目及び基盤インフラについてということで、高速炉燃料について、私、皆藤のほうからまず御説明いたします。
 ページをめくっていただきまして、3ページ目以降、こちらが前回までのおさらい的な資料ということで少し掲載してございます。
 まず、3ページ目のほうが、これは革新炉ワーキンググループで提示された技術ロードマップの骨子案から引用したものでございまして、今回御説明いたします燃料関係の項目が赤の破線で囲んでございます。
 次、お願いします。
 4ページ目が、これが第1回の検討会のほうで御紹介のあった資料ですね。これについても同じように関係する部分を赤の破線で囲んでございます。
 また、次、お願いいたします。
 5ページ目、こちらが第2回、前回の検討会で御紹介があった資料になりますけれども、高速炉の開発に必要な研究開発と基盤整備ということで、特に燃料に関係するところを抜粋してございます。
 まず、経済性向上技術という観点で、炉心の高燃焼度化という項目、それから環境負荷低減性ということで、MA燃焼と、この2項目を中心に今日は御説明いたします。
 次、お願いします。
 まず、本題に入る前に、世界における高速炉燃料製造の現状ということで、簡単に表にまとめてございます。
 燃料開発のほうは各国それぞれ実施しているところでございますけれども、実際に燃料製造を行っているところというと大分限られてくるということで、MOX燃料につきましては、現在、商業規模でコンスタントに燃料製造しているというのは、上側、現状はロシアぐらいというような状況です。インド、中国でも行っていますが、実験炉への供給程度というレベルでございます。
 それから、下の段になりますけれども、金属燃料につきましては、アメリカのほうでテラパワー社のナトリウム炉の計画が動いてございますけれども、こちらの燃料製造の計画があるという程度で、金属燃料についても同じように世界的に見ても製造しているところがないというのが現状でございます。
 次のページをお願いします。
 高速炉燃料開発の必要性について、まず初めに簡単にまとめてございます。
 高速炉燃料をなぜ開発していく必要があるかということなんですけれども、軽水炉との比較で、高速炉の燃料仕様ですとか使用条件等を簡単に抜粋してまとめてございます。
 こちらは酸化物の燃料での比較になりますが、燃料仕様でいいますと、プルトニウムを使うということ。あと、軽水炉でプルサーマルもございますけれども、プルサーマルと比べてもプルトニウムの含有量が高いということ、それから、MAを添加して燃やしていくというようなことを考えているということです。
 あと、特に違うのが使用条件になります。最高燃焼度に関しましては、ピークの燃焼度になりますけれども、軽水炉に比べて4倍程度、250ギガワットデイパートンというのを今目標にしてございます。それから被覆管の温度についても700℃、それから燃料中心温度についても2,000℃を超えるような使用条件になるということで、軽水炉と比べましても、高温、高燃焼度までかなり苛酷な条件で使うということがございまして、そこまで使用できる燃料、それから被覆管などの開発が高速炉としては必要になってくるということをまず最初に述べさせていただきます。
 次、お願いいたします。
 次の8ページでございますけれども、こちらは高速炉、まずMOX燃料が中心になりますが、こちらの開発目標、課題等について整理してございます。
 ここの資料で、各項目の詳細は後のスライドでまた説明いたしますので、項目だけ簡単に御説明したいと思います。
 まず、燃料開発、燃料材料、こちらにつきましては、まず、経済性向上技術という観点で、燃料の高燃焼度化による燃料サイクルコストの低減ということ。それから、冷却材の高出口温度化による発電効率の向上ということを目指しておりまして、そのために必要な項目として、太径中空燃料の開発、これは照射試験によって性能を実証をしていくということ。それから、長寿命炉心材料ですね。右下のほうに従来実績のあるオーステナイト鋼との比較で図を示してございますけれども、オーステナイト鋼に比べて2倍以上の寿命を有するような材料を開発していくということで、酸化物分散強化型鋼、ODS鋼と呼んでいるものですけれども、こういったものを開発していく必要がございます。
 それから、環境負荷低減性の観点でございますけれども、こちらは放射性廃棄物の減容化、有害度の低減に貢献するMA含有燃料の開発ということで、まず、燃料設計などに必要になってきますMA燃料の物性値ですね、この研究が必要ということと、あと、こちらについても太径中空燃料と同じように照射試験をして性能実証をしていくということが必要になります。
 次、お願いいたします。
 それから、9ページ目、こちらが燃料製造関係の項目になります。燃料製造に関しましては、この後、また御説明しますけれども、項目としてはまだほかにもあるんですが、当面の課題として、こちらは経済性向上技術の3項目、それから環境負荷低減性の関係で1項目、載せてございます。
 まず、経済性向上技術についてでございますが、二つありまして、まずは高燃焼度燃料を製造する技術ということで、焼結・O/M比の調整技術というものの開発が必要になります。高燃焼度化していく上で、被覆管の内面腐食を抑えるためのもの、主にはそういったものになります。
 それから、中空ペレットですね。こちらの内径ですとか内表面の状態を検査する技術の開発が必要ということです。
 それから、もう一つが、これは燃料の製造コスト自体を低減するという技術になりますけれども、検査等で不合格になったような規格外の燃料ペレットを再利用するというための技術でございまして、乾式リサイクルの技術開発といったものが必要になります。
 それから、環境負荷低減性でございますが、先ほど述べましたMA含有燃料ですね。こちらはセル内で遠隔製造で作っていくということになりますので、遠隔製造技術に加えて、遠隔保守技術の開発というのが必要だということで挙げてございます。
 次、お願いします。
 10ページ目、こちらが現在、高速炉のMOX燃料開発に使っている主要な施設を燃料サイクルの輪に従って整理してございます。
 まず、左下から、燃料製造の要素技術開発を行う、それから物性研究なども行っている施設になりますが、プルトニウム第一開発室、Pu-1と呼んでございますけれども、こういう施設がございます。
 それから、そこの要素技術開発の結果を実証していくというフィールドとして、プルトニウム第三開発室ですね、Pu-3と呼んでいますけれども、こういう施設がございます。
 それから、照射試験を行う「常陽」、IRAF、そして照射後試験を行うFMF、AGF、MMFという施設がございます。
 あと、下のところですね、再処理技術開発フィールド、4回目の議題になりますけども、このための施設としてCPFという施設があるということです。
 ここで、施設の名称の右肩のところにアスタリスクの1と書いてありますけれども、Pu-1、それから、照射後試験のAGF、MMF、これらの施設につきましては廃止措置の予定施設となっておりまして、それぞれ Pu-3への機能移転ですとか、AGF、MMFについてはFMFへの機能集約と、こういったことが今後重要になると、必要になってくるということを示してございます。
 次、お願いいたします。
 先ほど挙げました各項目の現状ですね。TRLでどういうレベルにあるかといったところと、今後の課題的なところを簡単にまとめてございます。
 まず、燃料の経済性向上技術として、太径中空燃料の性能実証というのを挙げていますけれども、こちらは「常陽」でも実施しておりますし、特に英国のPFRですとか、米国のEBR-Ⅱなどでも照射実績はございまして、太径中空燃料自体については、TRLとしては6と評価しております。
 ただし、こちらの資料に書いてありますとおり、ピン径8.5ミリというところまでが実績のある範囲でございまして、次期炉ではそれをさらに上回るピン径10.4ミリというようなかなり太い燃料ピンを想定してございます。ですので、こういった実使用の燃料の照射試験を行っていくという必要があると考えております。
 それから、二つ目、長寿命炉心材料ですけども、こちらはODS鋼被覆管につきましては、世界に先駆けて機構で製造のほうを成功しておりまして、現在量産技術を行っているということと、あと、高温強度データなども取得しておりまして、右下の図に示しますように、10万時間を超えるようなクリープ強度のデータを取ってございます。かなり高強度を維持しているということを実証しているというものです。
 こういう状況を踏まえまして、TRL5と評価しております。こちらにつきましては、引き続き量産技術開発、それから強度データ取得というのは継続するのですけれども、やはり同じように照射試験を行ってデータを取得していくこと、それから性能を実証していくということが必要になります。
 こういう課題を踏まえて、今後の開発に必要な施設設備として赤枠で囲んでございますが、「常陽」の照射試験が主になりますけれども、Pu-1、Pu-3といった燃料を作る施設、それから、「常陽」、IRAFといった照射試験、照射装置の組立てをする施設、あとは照射後試験を行うFMFといったものが、この辺が維持していく必要もございますし、今後必要な設備整備なども行っていく必要があるということです。
 それから、その下に赤の破線でちょっと書かせていただいていますけども、JAEAの施設設備の整備以外ということになりますが、現状、燃料被覆管をはじめとする炉心材料、それから照射試験を行う照射装置の部材などですけれども、こちらは今まで協力いただいていましたメーカーさんのほうが原子力事業から撤退したということもございまして、現状、製造が困難といいますか、不可能な状況になっているということで、これは開発を進める上でも、サプライチェーンを早急に再構築していくということがかなり重要になってくるということを改めて述べさせていただきたいと思います。
 次、お願いいたします。
 それから、12ページ、こちらが燃料の環境負荷低減性に関するものでございます。
 MA燃料の物性研究につきましては、右側のほうに熱伝導率の評価のデータ等を載せておりますけども、設計に必要な物性値等は大分整備されてきておりまして、そういう観点でいいますと、TRL7というふうに評価してございます。
 ただ、実際の使用温度ですね、2,000度を超えるような使用条件になりますので、そういった温度領域での熱物性の信頼性の向上ですとか、あと、燃焼の効果なども評価していく必要があるということで、課題として挙げさせていただいております。
 それから、同じくMA燃料については、やはり照射して健全性を実証していく必要があるということで挙げてございます。こちらは既にアメリシウムを5%程度含有した試験燃料ピンを製造しまして、「常陽」で短期、24時間程度になりますけども、実施した実績がございます。その結果が右下の図のほうに載せておりますけども、MA、アメリシウムの再分布挙動データなどを取得してきているという状況です。
 そういった状況を踏まえて、TRL5と評価しておりますけども、こちらについても、やはりその定常照射ですね、より長期間照射を行って、照射特性を評価する、健全性を実証していくという必要がございます。
 これらにつきましても、今後開発を進める上では、やっぱり物性研究を行っていくということで、Pu-1、Pu-3の施設、それから照射試験を行うための「常陽」等の施設が必要になってくるというものでございます。
 次、お願いいたします。
 13ページ目以降が燃料製造に関する項目でございます。
 13ページのほうは、こちらは現時点のTRL評価値の集計ということで、15課題全部を載せてございますが、当面、特にTRLの低い、右側の下で青字で示しておりますけども、さきにも説明しました4項目、こちらについて開発を加速する必要があるということで挙げてございます。
 次、お願いいたします。
 経済性向上に関する技術、14ページになります。こちらは現状の燃料製造工程に沿って、それぞれの技術がどこを指しているのかということを示していますけれども、O/M比の調整技術ですとか、中空ペレットの検査技術、乾式リサイクル技術といったところがこういう工程で用いられるということを示しております。
 次、お願いいたします。
 15ページになります。
 燃料製造における経済性向上技術ですけども、3項目ございます。
 繰り返しになりますが、こちらはいずれもTRLとしては4と評価しておりまして、O/M比の調整技術につきましては、右上の図のほうに示しておりますけども、小規模ですね、1番地当たり300グラム程度であれば、一応目標値を達成するということはできているのですけれども、工学規模では未達ということで、こちらは量産に適した設計検討などが今後必要になるということです。
 それから、中空ペレットの検査技術については、検査手法自体をきちんと確立していくということと、既存の検査装置へ適用するための設計検討を行うこと。
 それから、乾式リサイクルについては、まだ要素機器の開発段階ということもございまして、こちらも引き続き開発をしていく必要があるということでございます。
 今後開発に必要な施設としては、設備開発という意味では、Pu-3などの施設を使うということと、あと、工学規模で実証していくということも含めて、コールドでの試験フィールドをJAEA、あるいはメーカーなどの既存施設に整備していく必要があると考えております。それから、実際の運転を通じた各種データの取得などを行っていくということで、次期炉用の燃料製造施設を新規で整備して、そういうところでデータを取っていくということを検討しております。
 次、お願いいたします。
 16ページ、こちらが燃料製造の環境負荷低減性に関する部分でございます。
 MA燃料の製造に関してですけれども、左上一つ目のポツに書いてありますが、こちらはAGF、照射後試験施設ではあるのですけれども、AGFのコンクリートセル内に燃料製造設備を設置しまして、そこで技術開発、遠隔製造技術の開発を行ってきております。基本的なセル内遠隔製造技術は確立したと考えておりまして、実際に燃料を作って「常陽」で照射しているという状況です。
 それから、コールドの環境になりますけれども、モックアップ試験なども部分的に実施しておりまして、製造技術自体はTRL5と評価しておりますけれども、ここで挙げている遠隔保守技術開発につきましては、まだ今後、各設備の構造、それから放射性物質による汚染状況などを考慮した総合的な成立性の確認が必要ということで、TRLとしては4と評価してございます。
 これらの研究開発、技術開発を行っていくための必要な施設、設備としまして、先ほどと同じようにコールドの試験フィールドですね、こちらを整備していくという必要がある。それから、運転を通じた各種データ取得ということで、MA燃料の製造ライン、セル内の遠隔製造ラインを整備してデータを取っていくということが必要になってくるというふうに考えてございます。
 次、お願いいたします。
 それから、17ページ、こちらは「常陽」の燃料製造を通じて燃料製造技術の開発も行っていくということで、1枚追加してございますけども、「常陽」のほうが、御存じのとおりかと思いますけれども、2024年度末の運転再開を目指して今取り組んでいるところでございます。運転再開後には医療用RI製造の試験を開始するとか、各種照射試験を実施していくという計画でございますが、2030年代以降も「常陽」を運転していくというためには新燃料の製造が不可欠な状況でございます。
 こういった新燃料製造を通じて技術開発も行っていくということで、施設としましては、Pu-3などの既存施設、それから、必要であれば新規の施設を建設していくということを検討してございますけれども、その燃料製造で、先ほど挙げたような乾式リサイクル技術などの次期炉用燃料製造に適用する技術を適宜導入していく、そして技術実証をしていくということも考えております。
 また、新規施設を整備できれば、こちらは「常陽」の燃料製造だけではなくて、第2回のときにも上がりました新規の実証施設、こちらの燃料製造を行うということ。それから、MA含有燃料の技術実証に向けたセル内遠隔製造ラインの整備などもこういう施設で行っていきたいというふうに考えております。
 以上が、MOX燃料、酸化物燃料の御説明になりますけれども、最後に、簡単ですけれども、金属燃料についても御説明しておきたいと思います。
 18ページをお願いいたします。
 こちらが金属燃料製造技術の概要で、サイクルのほうを示してございますけども、左側の乾式再処理プロセスにつきましては第4回の議題と考えておりますので、次回御説明させていただきますが、燃料製造に関するところは右側の赤の破線で示したところでございます。
 特にMOX燃料と異なるという工程で、射出鋳造という技術で、燃料スラグ、円柱状の金属燃料を作るのですけども、こういう技術と、それから燃料ピンの製造ですね。MOX燃料と大きく変わるところは、燃料ピンの中にボンド材としてナトリウムを封入するということがございますので、この辺の技術開発が必要ということで2項目挙げてございます。燃料ピンを製造できれば、集合体の組立て等の工程については、MOX燃料と大きく変わらないと考えてございます。
 次、お願いいたします。
 金属燃料の製造技術と、あと照射特性等について簡単に現状を書いてございますが、製造技術に関しましては、「常陽」での照射試験を考えていまして、これは電中研さんとの共同研究で進めているものでございますが、その照射試験用に、射出鋳造技術によるU-Pu-Zrの燃料スラグの製造、それから小規模のNaボンディング装置を用いた燃料ピン組立ての実績がございます。これは右上の写真で示しておりますけれども、これはJAEAの大洗研の燃料研究棟という施設ですね。こちらにアルゴンガス雰囲気グローブボックスを設置しまして、試験用の燃料ピン製造を行ったという実績がございます。
 それから、ウランとジルコ二ウムの合金になりますけども、工学規模で製造試験の実績があるということで、TRLとしては5から6というふうに評価しておりますが、こちらもU-Pu-Zrの工学規模での製造実証試験ですとか、あと、MA含有を考慮した成立性確認試験の実施が必要というふうに考えております。
 それから、照射特性についてでございますけども、こちらは米国のほうでかなり照射実績が蓄積されてきておりまして、海外実績に基づけばTRL7と評価しておりますけども、国内の照射実績がない。電中研さんとの共同研究が国内では初めて、照射という意味では初めてというものになります。
 この製造した金属燃料ピンの照射試験を行ってデータを取っていくということが必要になるということと、あと、データを拡充するという意味で、日米共研を通じたデータ取得を検討していく必要があるということで挙げてございます。
 こういったことを行うために必要な設備としましては、金属燃料に関しましては、JAEA内にインフラは現状ございませんので、既存施設のほうに設備を整備する、あるいは新規で施設を建設していくというようなことが必要になるという状況でございます。
 それから照射試験につきましては、これまでと同じように「常陽」や、PIEを行うFMFの施設などが必要になるということでございます。
 金属燃料につきましては、TRLは比較的高い値を提示してございますけれども、技術的にはこういう数字になるかなというふうには考えていますが、国内の規制対応などを考えると、海外実績だけで良いのかとか、そういったことも考えると、ちょっと課題は多いのかなというふうには考えております。
 高速炉燃料については以上になります。
【坂場室長(日本原子力研究開発機構)】  続きまして、高温ガス炉に参ります。
 21ページをお願いします。
 今月11月1日付で高温ガス炉プロジェクト推進室というのが立ち上がりまして、副理事長直下の組織として立ち上がりました。私は室長を務めます坂場と申します。よろしくお願いいたします。
 前回御説明しましたとおり、実証炉に向けましては、2036年、可能な限りHTTRの延長線上の技術を使っていくということで御説明申し上げました。燃料に関しましても、HTTRの延長線上の技術ということをまずは使って初装荷燃料を考えたいというふうにしております。それ以降、本日も御説明申し上げますが、燃焼度を向上させる、そういったR&Dが新たに必要になっていくものにつきましては、順次入れていきたいというところで考えているところでございます。
 次のページをお願いします。
 まず、赤枠で囲ったところでございますけれども、燃料の設計基準等々に関しましてはHTTRで既に確立されているものの、今後、実証炉以降を進むためには、これらをオーソライズさせていくということが必要になってきます。
 また、TRISO燃料の製造に関しましては、民間企業において製造するわけでございますけれども、今後、技術に関しましては、既にあると、人も残されているという状況であるものの、加工施設の整備が必要であったり、燃料ウランの確保が課題、あるいは海外調達するかとか、そういった検討が必要になってくるということでございます。
 また、バックエンドに関しましては、本日の議論の対象外ということでありまして、次回以降御説明したいと思います。
 次のページをお願いします。
 まず、実証炉のロードマップに向けましては、燃料の製造という観点で、現状、作れる状況になっていないということが大きな課題であります。それは原子燃料工業、以降、原燃工と呼称しますが、ここにおきまして燃料を製造する技術というものは持っておりますが、その施設自身が新たな新規制基準に対応していないということで、現状は工場を回すことができないという状況にございます。
 そのため、実証炉の燃料に関しましては、HTTR燃料の技術を基に、今後、民間企業はどういったふうに整備するのかとか、あるいは後のページで御説明しますが、海外等の協力で作っていくのかというような、いずれにしましても何らかの方法をつくり上げていく必要があるという状況にございます。
 また、初装荷燃料以降の燃料に関しましては、高温ガス炉の特徴を生かして、高燃焼度化したいと考えております。現行、HTTRでは33ギガワットデイパートンでございますけれども、これ以降、120ギガワットデイパートンというような、実際の数値に関しましては実証炉設計の中で定めていくところになりますけれども、120ギガワットデイパートン、あるいは160ギガワットデイパートン、米国のように200ギガワットデイパートンといった数字も出しておりますが、そういった数値を狙いつつ、高燃焼度化を達成させていきたいというふうに考えております。
 左の図でございますけれども、これは一例を示しています。高燃焼度化、HTTR、33ギガワットデイパートンから、ここは100ギガワットデイパートンを狙った試験、次のページで御説明しますが、カザフスタンの炉を用いて行った試験でつけたときの実際のTRISO燃料の被覆層の厚さを示しています。この厚さは仮の数値でありまして、この厚さというのは非常に鍵となってくるわけですけれども、この設計技術というのをHTTRに向けて、原子力機構で設計能力というのを維持しているという状況でございます。
 この設計に関しましては、一部ノウハウを含んでおりますので、その算出するための数式等々に関しましては公開していない状況として、原子力機構が保有しています。
 いずれにしましても、こういった数値というのは、今後、高燃焼度化を目指していく上で、諸外国との競争になっていくという過程において、機構の能力、あるいは原燃工の能力として活用していかなければいけないものでございます。
 次のページをお願いします。
 こちらは、過去にカザフスタンの炉を用いまして100ギガワットデイパートンを目指した試験として実施したものであります。設計の最高条件、ここで160ギガワットデイパートンというものを一応考えた上での設計としましたが、燃料に関する試験は100ギガワットデイパートン近くまではやったということであります。こちらの試験はISTC(国際科学技術センター)の試験としまして、日本国の資金拠出の下でカザフスタンの炉を使って照射試験を実施したということでございます。実際の試験は94ギガワットデイパートンまで燃焼させました。
 この間、このためだけの試験をカザフスタンの炉、WWR-K炉を使ったわけですけども、やっただけではなくて、もろもろの照射試験を並行してやりましたので、この右側の図の一番上の部分の照射温度に関しましては多少のばらつきがあるという状況でありました。
 また、燃焼度が94ギガワットデイパートンに達するまで、何回か運転をしたり止めたりといった過程がありまして、トータルとしてここまで照射したということでございます。
 結果でございますけれども、HTTRの制限値が0.2%破損とあるわけですけども、その100分の1が10のマイナス6乗になります。それに比べまして、2桁程度さらに低いようなところの数値ということで、初期破損以外の追加破損というものは見られなかったというような評価をしているところでございます。
 次のページに参ります。
 高温ガス炉の燃料設計要件というのは、HTTRを造る過程におきまして、旧科学技術庁の中で決めてきたわけでありますけれども、今後これらをオーソライズするプロセスというのが必要になってきます。
 ここでは3項目、6.1から6.3まで書いてございますけれども、考慮すべき劣化プロセス、それから燃料の制限等々が書いてあります。
 劣化プロセスに関しましては、内圧上昇とか燃料核の移動、それから金属FPの化学的影響、照射、温度の影響、化学的影響、静的及び動的な荷重等々ありまして、こういったものを全て考慮した上で、HTTRの燃料は製造したという状況がございます。
 さらに燃料の設計限度に関しましては、放射性物質の放出が許容値以下に保たれるように、燃料製造時における被覆燃料粒子被覆層の破損率、それから製造工程で生じる被覆燃料粒子外面のウランによる汚染の割合、全ての原子炉システム状態における燃料からの核分裂生成物の許容漏えい、被覆燃料粒子被覆層の破損率などに関する限度を含めていると、そういったものでございます。
 次のページはその具体化したものを書いているわけでございますけれども、①、②、③とありまして、内圧上昇、考慮すべき条件としましては、燃料温度、燃焼度、照射(中性子束、照射時間)の影響。②の燃料核の移動に関しましては、同様に、燃料温度、燃料内温度の特に勾配とか照射の影響といったことがございます。さらに金属FPに関しましても同様のものを考慮していくと。これらが全て通常運転の中で考慮していくということで、燃料の設計基準をつくってきました。
 27ページ、これは世界の状況でございます。昨今の高温ガス炉の各国の開発状況は非常に活発化している状況でございまして、特に燃料という観点では、これは戦略的に進めるべきというふうに捉えて、各国が自国にその技術を植え付けるべく動いているという状況になっています。
 まず、中国に関しましては、HTR-PMという実証炉、250メガワットサーマル×2のツインプラントが運転を開始しまして、グリッドも接続しているという状況にございますけれども、これに関しましては、その燃料が、CNNFC (中核北方核燃料元件有限公司) という中国の北側にあるようなところに新たに実証炉向けの工場を製造して動かしているというようなことを聞いています。その製造能力に関しましては、公開されている情報ではここに記載しているとおりなのでございますけれども、実態としての能力はどの程度あるのかといった情報はなかなかつかめていない状況でございます。
 中国がこの先、商用炉としまして、既に幾つかの自治体とも契約していて、HTR-PM実証炉が順調に進み次第、すぐに商用炉のニュースが流れてくるのではないかというふうに思われますが、そういった意味で、この燃料工場というのがフル稼働していくことになるのではないかと、これは想像ですけど、そのように考えているところでございます。
 それから、米国に関しましては、幾つかの会社が燃料に対してしのぎを削っている状況にあると。
 まず、X-Energy社ですけれども、ここは商用規模のTRISO燃料製造施設の建設ということを今年の4月に発表しています。
 X-Energy社はカナダのオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社とその製造に関する枠組みの協定を結んでいるというような状況で、これもプレスリリースされています。
 また、ウルトラ・セーフ・ニュークリア(USNC)社に関しましては、小型高温ガス炉、このMMRというのはこのUSNC社の高温ガス炉の名前ですけれども、その燃料製造のパイロット施設を開始したと、これも今年の8月でございます。
 それから、BWXT社は、近年の需要に応えるためのTRISO燃料ラインを再開したということで、これは2019年の話でございます。
 次に、英国ですけれども、英国は現在、軽水炉以外に高温ガス炉を革新炉でやるという発表をなされたばかりでありますが、それに関しまして、高温ガス炉の燃料というのは、AMRの実証プログラムにおきまして一つの課題となっています。このAMRの実証プログラムというのは、ロット1が原子炉、すなわち高温ガス炉の開発で、4コンソーシアムが採択されて、そのうちの一つがJAEAが入っているチームでございます。
 燃料に関しましては二つのコンソーシアムが採択されておりまして、一つは、英国NNL(英国国立研究所)とJAEA、それからUrencoが入っているチーム。それからもう一つが、ウェスティングハウス社がありまして、先日はその中で、特にX-Energyが開発するみたいなプレス発表が2週間程度前に発表されたというところでございます。
 そういった形で、英国の中で、英国の技術を使って、英国に燃料製造技術をつくるべく動いていると。その中で日本側も協力して、原燃工の技術をいかに導入していくかという議論を今後進めなければいけないという状況にございます。
 このプログラム自体はフェーズAとして始まったばかりですが、以降、フェーズB、Cと進んでいく中で、いかにイギリスの中で、原燃工の技術を、新たな日本側の技術を使っていくことができるか。以降、英国は高温ガス炉をたくさん造るということを言っているわけでございますけれども、その中で原燃工の技術を生かしていけるのかというのが一つの鍵になっているというのが現状でございます。
 次に、日本ですけれども、先ほど申しましたとおり、原燃工が既にHTTRの燃料を1次燃料、2次燃料と供給しておりまして、技術に関しましては圧倒的に優れているという力を持っているところでございます。そういった観点で、原燃工の技術でもって燃料を作れる工場があるかどうかというのは、工場を造れるかどうかというのは今後の鍵になってくると考えているところでございます。
 それから、最後、28ページになりますけれども、HTTRはまだ初装荷燃料が入ったままですが、これを取り出し後、PIE(照射後試験)を行って、初装荷燃料の健全性を確認していくというステップが原子力機構の中でのR&Dで考えているところでございます。
 現状、循環放射能量としましては極めて低い状況にございますので、追加破損等々は生じていないというふうに考えているわけでございますけれども、実際にHTTRの1次燃料を取り出した後にPIEをやることによってその状況を確認したいというふうに考えているところでございます。
 高温ガス炉の燃料の現状に関しましての発表は以上になります。
【山口主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、今の燃料製造につきまして御意見を伺いたいと思います。また、挙手機能、あるいはミュートを外して御発言いただいてもいいですが、発言希望の旨、御表明ください。いかがでしょうか。
 では、出光委員、まずどうぞ。
【出光委員】  出光です。ありがとうございます。
 まず、高速炉の燃料のほうから幾つか質問したいのですが、中空ペレットの設計で、サイズが10ミリちょっとというのが出ていたのですが、設計の要点といいますか、太くすると1本当たりの出力が限られますので炉心が大きくなると思うのですけども、要は細くせずに太くしたというのは、これは高燃焼度を目指しているので太めにして燃料の量を多くしていると、そういう理解でよろしいのでしょうか。そうすると、同じ出力にしようとすると炉心体系が大きくなるような気がするのですけども、この辺りが設計の方針とどういうふうになっているのかというのが1点目です。
 あと、ODS鋼は割と進んでいるという話ですけれども、これは管材としてはそうなのですが、溶接部分はまだ確実に、溶接部の強度等についてはまだ課題が残っていたかと思うのですが、その辺りの進捗等が進んでいるのかといったところ。
 あと、最後ですが、ペレットのリサイクルのところで、乾式のリサイクルというところがありましたが、新しい遠心式のものが図として出ておりましたが、これは六ヶ所の再処理工場においてもペレットのリサイクルというのをやられていると思います。計画されていますけれども、それの装置とまた違う形のものが出されておりますが、この装置、この遠心分級機、これを使わなければいけないものなのかという3点お願いいたします。
【山口主査】  では、テクニカルな質問なので、お答えいただけますか。皆藤さん、お願いします。
【皆藤次長(日本原子力研究開発機構)】  まず、一つ目の太径中空燃料でございますけども、高燃焼度化を目指すということで適用していくわけでございますが、太径中空燃料は炉心内の燃料体積率を高くできますし、内部転換比も高くすることができるということで、これによって、高燃焼度化に伴う燃料交換のときに新旧の燃料集合体が混在するわけですけども、その出力のミスマッチの拡大なども抑制できますし、それによって冷却材の出口温度というのも維持できるというようなメリットもございます。そういった観点で、太径中空のほうを開発というか採用していくと。当然、炉心のほうも併せて大きくなっていくということになります。
 それから、ODS鋼でございますけれども、溶接部のところに関する御質問かと思うんですが、先ほどちょっとお示ししました、資料の11ページの右下の図になりますけれども、こちらはクリープ強度のデータを取っております。これは試験方法としましては、内圧を封入した試験ということで、被覆管の両端に端栓を接合しまして、内圧をかけた状態で試験しているものです。この溶接部につきましては、加圧抵抗溶接、PRWという方法を適用して端栓接合をしておりまして、接合技術自体はおおむね確立してきていると。まだ試験室規模でございますが、接合ができるというような状況になっております。
 あと、こういう強度試験と併せて、その溶接部の強度も併せて評価できているという状況で、今のところ、そのコールドのこういった内圧封入型のクリープ試験などでは接合部で破損するというようなことは起きていないというところは確認しております。
 それと、まだちょっと照射量としては低いのですけれども、「常陽」のほうでこういう内圧封入型のクリープ試験片の照射なども行っております。そこでも溶接部での破損は確認されていないということで、まだ、量産といいますか、工学規模での技術実証というところにまでは至ってはおりませんけれども、基本的な接合技術についてはおおむね確立してきている状況というふうに考えております。
 それから、三つ目の乾式リサイクルでございますけれども、こちらは、担当する者のほうから詳細を回答させていただきます。
【石井主幹(日本原子力研究開発機構)】  原子力機構の石井です。それでは、乾式リサイクルに関する御質問に関して回答させていただきます。
 一つ目の指摘としては、15ページ目の図で、遠心分級機を用いているのはなぜかというような御質問でございますが、本技術の目的といたしましては、規格外ペレットを粉砕しまして、粉砕粉がジェットミルを使って得られるのですが、粒度調整をしたいというニーズがございまして、遠心分級機を用いることによって、目的とする粒度に、粒度調整をできるということが新技術の粉砕機でございます。
 それから、もう一つ目の御指摘といたしましては、14ページ目で使われている図が、15ページ目で記載されている乾式リサイクル設備の図とは異なっているという御指摘ですね。確かに乾式リサイクル技術のところで矢印を指している部分に関しては、これはペレットの検査装置の図が描かれておりまして、本当はここから検査によって不合格となったペレットが、15ページ目に記載されております乾式リサイクル設備、これで粉砕されてリサイクルされるという、もう一つラインがございます。それは14ページの図には描かれていないというところでございます。申し訳ございません。
【山口主査】  ありがとうございます。
 では、続いて、小澤委員ですか、どうぞ。
【小澤委員】  小澤でございます。御説明ありがとうございます。予習したつもりでもなかなか分からないので、教えていただきたいと思っております。
 まず、7ページの表ですけれども、PWR、BWRのところは、下の注記によりますと、例えば設置変更許可申請書よりと書いてあるので、多分その許可申請の時点で、導入可能といいますか、もう開発課題はないものを示していて、これと直接、高速炉(実用炉の検討例)と書いてあって、開発が必要ですとおっしゃっていたんですけど、温度はともかく、高燃焼度化とか、富化度とか、MA含有率とか、これは高速炉として必要な要件なのか、あるいは市場で戦えるための条件として設定しているのか、どういう位置づけなのかというのをまず教えてくださいというのが一つ目でございます。
 二つ目は、これは指摘になるのですけども、11ページ目のところで、サプライチェーンの再構築は不可欠と書いてありますけれども、これは前回、プラントメーカー、三菱重工さんは何とかやっているとおっしゃっていましたけれども、サプライチェーンの撤退済みの状況から見ると、論点としては大きな課題になるので、これは次回以降の論点にしていただければと思います。
 三つ目は、金属燃料のところですけれども、18ページ目です。小さい字で、リサイクル燃料に含まれるマイナーアクチニドの量は燃料中の1%となるという、この1%以下という意味ですけれども、これはどういう意味なのかと思っておりまして。ちょっと多いなという気もしているのですが。これは先ほどの燃料スペックのMA含有率5%程度が燃やすと1%以下となる意味なのか。あるいは、世の中で言われている10万年が300年になるという、その300年に相当する量になるのかというところをちょっと正確に教えていただきたいと思っております。
 それから、19ページ目にいきますと、先ほど、国内規制に海外実績でよいのか、課題がありますとおっしゃっていましたけれども、これはMOXのほうではTRL4というのが多かったのですけど、国内規制の課題は金属燃料と同じなのかどうかというのを教えていただきたいと思います。
 高温ガス炉については、23ページ目ですね。燃焼度が33ギガワットから100ギガワットデイパートンに上がっていますが、小さい粒々のUO2の部分が、直径600から500マイクロメートルということで小さくなっていると。小さくなっているのに高燃焼度になるという、その開発のステップアップのための検証といいますか、開発課題があるのかないのか。この間の説明ではあまりなさそうな感触で聞いておりましたけども、あるのかないのかというのを教えていただきたいと思います。
 それから、その次のページ、カザフスタンでの照射ですけれども、照射と書いてあるので、100ギガワットデイパートン相当の中性子を浴びせたということなのか、中のウランペレットが燃えたものなのか。多分、照射、外から浴びせたものだと解釈しましたけれども、この辺を正確に教えていただきたいと思います。
 私からの質問は、たくさんですみません、以上であります。よろしくお願いします。
【山口主査】  じゃあ、まず、皆藤さんからお願いします。
【皆藤次長(日本原子力研究開発機構)】  まず、7ページの高速炉の燃焼度の件でございます。こちらは250ギガワットデイパートン、最高燃焼度として挙げてございますけれども、こちらは目標としましては経済性ですね、軽水炉と比肩するような経済性を目指すという意味では高燃焼度化が必要で、炉心の取り出し平均で150ですけども、ペレットのピークで250というのを目標にしていると、そういう数字でございます。
 それから、二つ目、サプライチェーンの件は、こちらはコメントといいますか……。
【小澤委員】  それは、次回、もし何かお答えできれば。
【皆藤次長(日本原子力研究開発機構)】  ここは論点にしていただきたいという要望で、承知しました。
 それでは、三つ目の金属燃料の件ですけれども、まず、1%ですね。こちらはちょっと次回の議題にもなるかと思うんですけども、乾式再処理のほう、金属燃料ですね。乾式再処理の場合というのは、自動的にといいますか、MAが入ってくるというような状況です。軽水炉からの移行期を過ぎて、高速炉での定常サイクルになると、大体1%、使用済み燃料に含まれるという、そういう数字というふうに理解しています。
 こちらは金属燃料だけではなくて、MOX、酸化物のほうも、軽水炉からの移行期になると、目標にしている5%というような数字、これは最大の値になりますけども、5%ぐらいのMAを入れていく必要があるというようなことを書いておりますけれども、MOX燃料につきましても、高速炉の定常サイクルになりますと、大体1%ぐらいのMAがずっとそのサイクルの中をぐるぐる回るという、そのような今の評価になっているというふうに理解しております。
 あと、規制等の関係ですね。こちらについては、MOX燃料についてもその国内の規制等を考慮した上で現状のTRLの評価は行っているということで、少し低い値、金属燃料と比べると低い値になってはおりますけども、その辺も含めて、今後技術開発をしていく必要があるというふうに考えております。
【山口主査】  じゃあ、よろしければ、坂場さんのほうからお願いいたします。
【坂場室長(日本原子力研究開発機構)】  高温ガス炉に関しまして、坂場からお答えいたします。
 まず、33から100ギガワットデイパートンまで上げるに当たって、その燃料核が600から500になっているというところでありますけれども、HTTRの燃料を製造する過程におきましては、濃縮度が14パターンぐらいありまして、平均6なんですけど、最大9.9ぐらいのものを使っていると。その残っているものを使いまして、この燃料核を定めるに当たって、燃焼度をある程度計算しながら定めてきたと。詳しいことは公開していませんのでなかなか申し上げられないんですけれども、そういう状況でもってこの燃料核の厚さを決めてきたという経緯がございます。
 この開発の課題といいますか、実際に今回カザフスタンで実験しましたのは、これができたから、やったからできるなんてそんなものではなくて、まずやってみたというような状況でございます。したがいまして、今後、実証炉に向かっては、この設計例を基に燃焼度を定めたものを、新たな照射試験というのが必要になってくるという状況にございます。
 それから、このカザフスタンの炉に関しましてはWWR-K炉というのを使いまして、実際ニュートラルな、フラックスで言いますと10の18乗ぐらいのものを浴びせたものでやったということでございます。カザフスタンの炉自体は照射炉として使っていますので、そこを用いたと、WWR-K炉を使ったということでございます。
 以上になります。
【山口主査】  よろしいでしょうか、小澤委員。
【小澤委員】  ありがとうございます。ちょっと1個だけ、先ほど、高速炉のところで金属燃料サイクルで1%以下のものがぐるぐる回ると言っていたのが、それが、10万年が300年という話と相当しているものかどうかというのはどうなんでしょう。
【皆藤次長(日本原子力研究開発機構)】  10万年が300年になるという話と直接関係する数字ではありませんけれども、これはクローズドサイクルの中でずっと1%回っているというところで、外側に、MAに関しては廃棄物のほうに出ていかないということになります。
【小澤委員】  そうすると、マイナーアクチノイドがプルトニウムに随伴するという、その上に書いてあるところの時点で、既にそのガラス固化体は300年になると思ってよろしいのですか。
【皆藤次長(日本原子力研究開発機構)】  そうですね、金属燃料については自動的についてくるということでございますので、金属燃料サイクルのほうを実現できれば、そういうことになるということだと思います。
【小澤委員】  分かりました。ありがとうございました。以上、ありがとうございました。
【山口主査】  では、中熊委員、どうぞお願いいたします。
【中熊委員】  御説明ありがとうございました。電事連、中熊でございます。
 まず、高温ガス炉側から御質問させていただきますけれども、やはりその説明の中でもありましたように、実績とか知見を豊富にお持ちの、これは原燃工さんの参画、製造というか、製造という観点での参画が非常に重要だと思いますけれども、一方で、今置かれている事業環境を考えると、よほどビジネス上の成立性ですとか、その先の発展性みたいな一定の予見性が得られないと、なかなか参画しづらい状況にもあるんだろうというふうに思っています。
 今、現状、JAEAさんと原燃工さんで、もし、いろいろな会話をされているのだとすると、差し支えのない範囲で現状をちょっと教えていただければなというふうに思ってございます。高温ガス炉についてはその1点でございます。
 それから、高速炉に関しましては、スライドにお示しいただいたように、高燃焼度化等による経済性の向上ですとか、それからMAの燃焼という意味での環境負荷低減、これはもう高速炉のメリットの議題の二つでございますから、ぜひともここは追求していただきたいというふうに思ってございます。
 ただ、一方、ちょっと心配だなと思っているのは、過去、FaCTでも少し議論になったのを記憶しているんですけれども、セル内で扱うということになりますと、普通に裸で扱うウランの成形加工とは違って、非常に、例えばペレットが倒れてしまうということを一つ取ってもリカバリーが非常に難しくて、商業レベルの目線で考えたときには稼働率という観点で非常に苦しい状況になりはしないかというところは心配事としては思ったりいたします。そういう観点でいくと、金属燃料のほうの燃料ピンの作り方のほうが、セル内との整合という観点では親和性があるのかなというふうに、これは個人的にですけど思ったりはしております。
 そういう小さなペレットを扱うということで、ウラン成形加工工場だと、いわゆるチョコ停と言って、手で少し直せばいいものを、非常に時間がかかってしまうような懸念に対して、設計で一定程度担保できると思いますけれども、やはりオペレーションですから、ソフト的なところでの対処というのも非常に開発段階から検証していく必要があるだろうと思ってございますけれども、現在の開発計画の中で、そういう目線で何か計画されていることがあれば教えていただければと思います。
 以上でございます。
【山口主査】  では、坂場さんから、最初によろしいでしょうか。
【坂場室長(日本原子力研究開発機構)】  坂場よりお答え申し上げます。
 まず、原燃工との対話という観点で、今いただきました御指摘は非常に重要なポイントとして考えているところなのですけれども、実際、例えば燃料工場を造ったとしても、その先の維持管理はどうしていくのか、ずっと燃料を供給し続けるような状況になるのかという観点では、現行なかなかそういった観点でいけると、踏ん切りをつけられないというような議論もしているところでございます。
 一方、イギリスはその先、今の需要等を基にしますと、1,000基を超えるような高温ガス炉を造る必要があるみたいなことも一部言っている方がいまして、その中に原燃工の技術をいかに使っていければというところで、そこで、燃料は一度作れば、原子炉が動いている限りは利益が発生するという観点でいけば、戦略的に導入の方向を定めなければいけないというところを広く合意しているんですけども、その具体的な策としまして、国内に造って、どこか他国に供給するというシナリオがあり得るのか、それともイギリスなどほかの国に技術を展開していって、そこで日本の技術を生かして、何らかのライセンスフィーなりを得ていくのかとか、その辺は現状まだ固まったものはございません。
 そういうところも含めて議論しながら、イギリスのプロジェクト等々も含めて考えていかなければいけないというところで、ここ二か月ぐらいで次のフェーズB、フェーズCが進んでいくので、ここ二、三か月の間に議論を進めて、日本側の立ち位置とか、あるいは国内をどの程度と考えるのか等も含めまして議論させていきたいというふうに考えているところであります。ちょっとまだ明確な答えはないというのが現状なのですけれども、そのような状況でございます。
【山口主査】  では、続いて、皆藤さん、よろしいでしょうか。
【皆藤次長(日本原子力研究開発機構)】  製造技術の今後の計画ですね、詳細につきまして、こちらも担当のほうから御説明いたします。
【山田主幹(日本原子力研究開発機構)】  それでは、山田のほうで回答させていただきます。
 まず、セル内の遠隔保守技術開発ということで、操業のときに、いろいろペレットの転倒とかそういったようなものが起きているのに対してどういうような取組をしているのかというような質問だというふうに理解しております。
 これに対しては、まず、設備の保守ということについては、プルトニウム燃料第三開発室、「常陽」とか「もんじゅ」ですね、こちらの燃料製造を行っている施設、この燃料製造設備のまず故障履歴のほうをいろいろ当たりまして、それをある程度信頼性を上げるようなもの、それを設計のほうに取り込みまして、それで適宜、設備の更新のときの中で、信頼性のある装置とかそういったようなものに取り替えて、今、実際運転をしているというようなことを行っています。
 あと、それに合わせて、さっき質問の中でありましたチョコ停ですね。ペレットの転倒とか、こういったようなものについては、燃料製造設備を運転していく中で警報履歴というのが設備ごとにいろいろ上がってくるんですけれど、どういったところでどういうチョコ停が起きているのかというのを今データを集めて、それでどういう装置で起こりやすいかというのを、今、データのほうを収集しているところです。これについて次の設備開発に向けた設計のほうに反映する予定でおります。
 説明は以上です。
【中熊委員】  ありがとうございます。高温ガス炉側の原燃工さんの話に関しては、収益事業としてペイしないということになると、なかなか参画が難しいと思いますので、そういった場合には、恐らく国の補助みたいなものも含めていろいろと検討していく必要があるんだろうなというふうに思います。
 それから、高速炉のほうは、チョコ停に対応する設備設計というところで御検討されているというふうには理解いたしましたけれども、ハードの設計だけじゃ、チョコ停は多分ゼロにはできないので、実際そのチョコ停が起こってしまって、それが稼働率にどれだけ影響するのか、それをどうヘッジするのかという目線でもぜひ御検討いただければと思います。
 以上でございます。
【山口主査】  ありがとうございました。では、続いて、桐島委員、どうぞ。
【桐島委員】  桐島です。御説明ありがとうございました。
 高速炉に関しまして、三つ質問させてください。
 まず、初めが細かいことなんですけど、12枚目のスライドで、「常陽」の照射試験の中で、IRAF、アイラフと言うんですかね、これを使いながら照射装置の組立て等々を行っていくということでしたが、別のところで見せていただいたJAEAのバックエンドのロードマップによりますと、この施設は2029年から廃止措置となっていたんですけれども、このタイムスケジュールで大丈夫なのかなというのが一つです。
 次の質問は、ちょうど今、スライドに出ている、このMA含有MOX燃料のアメリシウム再分布なんですけれども、このデータの見方、すみません、あんまり本日はこっちに立ち入らないほうがいいのかもしれないですけれども、この見方で、これは中心空孔のほうにアメリシウムが集まってきているように見えるんですが、これはこれでよかったのか。それともまだ研究開発課題があるということを示しているデータなのかというのが、ちょっと技術的な質問です。アメリシウムは蒸気圧が、ウラン、プルトニウムより高かったと思うので、あまり中に集まってくるとよろしくないのかなと思いました。
 三つ目の質問が、今日のスライド、17ページ目になるんですかね。新規の燃料製造施設に関する質問です。これまでMA含有燃料につきましてはピンレベルの試験をやってこられたと、先ほどのデータもそうだと思います。これを今度スケールアップして、集合体レベル、燃料集合体レベルの試験に持っていきたいというお話が前回もありました。この際は、新機能実証試験施設ですかね。今日の最初の文科省さんのスライドですと、新規小型高速炉と呼ばれていたものですかね。これを使うのだと理解しています。
 この際のMA含有燃料集合体レベル試験なんですけれども、どのぐらいのスケール感のMA燃料を作る予定なのか、教えていただきたいと思っております。集合体を全部MA装荷燃料にするのか等々あるんですけれども、結局のところ、どのぐらいの量のMAがこの新規燃料製造施設で必要になるのか。これまでJAEAさんでは1グラム程度のMAを確保したというお話、紹介がありましたが、これで十分なのか、そうではなくて今後どこからかMAを集めなきゃいけないのか。集める必要がある場合は、それはハード、ソフト含めて、見通しがあるのかということを教えてください。
 以上、3点です。
【山口主査】  では、皆藤さん、お願いいたします。
【皆藤次長(日本原子力研究開発機構)】  まず、IRAFについてでございますが、こちらは機構の施設中長期計画というのが公開されているかと思いますが、こちらは今年の4月に改定されまして、IRAFにつきましては、一応、継続利用施設という位置づけになってございます。ですので、引き続きIRAFのほうは使っていくという施設になっております。そうですね、施設中長期計画、令和4年4月1日付で改定になっており、そういう位置づけになっております。
 それから、アメリシウムの再分布の件でございますけれども、今御質問であったとおり、この12ページの右下の絵ですけれども、燃焼に伴ってといいますか、アメリシウムのほうが中心空孔のほうに寄ってくるということになります。これは短期の高線出力、比較的線出力が高い照射試験の結果でございますけども、これはアメリシウムだけ載せておりますけども、アメリシウム、プルトニウムと中心空孔側に寄ってくるということで、それによって融点のほうが下がる方向になりますので、そういった挙動をきちんと把握する必要があるということで、今後もこちらは長期でこういった挙動がどうなっていくのかというのは確認していかないといけないというふうに考えております。
 それから、新規の燃料製造施設でのMAの取扱いでございますけれども、新機能実証施設と、2回目の資料で書いている施設でございますが、こちらはまだ燃料の仕様とかが正式に決まっているわけではないので、ちょっとなかなか数字が出しづらいんですけども。例えば、以前そのFaCTのときに考えておりました実証炉、JSFRと呼んでいるものですね。こちらにつきましては、これの燃料ピン、それから集合体で言いますと、大体、燃料ピン1本当たりのMAの含有量というのは5%で考えると、30グラム弱程度必要になると。これは集合体も大きくなりますので、集合体1体ということになると、大体8キロぐらいは必要になるというような、そんなスケール感になります。
 ただ、新規の実証施設につきましては、燃料ですね、当面、実績のある燃料を使っていくということで、こういった太径中空ですとか大型の燃料集合体にはならないと思うんですけども、最大でもそういう規模になると。
 ちょっと御参考までですけども、「常陽」の規模であれば、燃料ピン1本当たりですと、大体5分の1とか6分の1とかそんな数字になるかなというふうに考えています。MAでいうと大体5グラムぐらい、そういったスケールになるというふうに考えています。
 これはその集合体規模でできればその技術実証をしていきたいということを考えておりますけれども、そのMAの原料をどうするかというような御指摘かと思うんですが、こちらは少なくとも、今機構にあるMAをかき集めたとしてもそういう規模にはならないということがございますので、4回目の議論になるかもしれませんけれども、新しいその再処理実証フィールドとか、そういったところを整備して、「常陽」の使用済み燃料からMAを回収していくとか、そういったことを考えないといけないというふうに考えております。
 以上になります。
【桐島委員】  ありがとうございました。最初の質問についてはよく分かりました。延長になったということと、あとMAの分布については、これからもこういうデータを集めていき、改良する必要があればしていくという方向だと思います。
 最後の話なんですけれども、よく分かったのですが、やはり最大で8キログラムぐらいのMAというのは相当な量だと私も思いますので、これを集めるとなると、現在の日本の商用再処理工場ではこれは集めることはできませんので、どうやって用意するのかというのはやはりよくこれから計画していく必要があると思います。そのためにはやはりスケール感を含めた議論をしていくというのがこういった場でも本当に必要なのではないかなと思いました。
 私からは以上です。
【山口主査】  ありがとうございます。
 では、続いて、相楽委員、どうぞ。
【相楽委員】  私のほうからは、ガス炉に関する質問1件と、それから高速炉関係2件あります。
 まず、ガス炉についてで、23ページ目、すみません、お願いいたします。
 高燃焼度化の試験のところで教えてください。私の理解では、過去に既にピーチボトムなどではTRISOの高燃焼度実験というのは既にされていて、閉じ込め性能なども既に実証もかなり実績があるという理解でいたのですが、今回ここで狙われている高燃焼度化というところが、どういった、非常に技術的な大きなハードルがあるものなのか。それとも、まさに許認可などを狙った、そういった意味での実証という意味なのか、そこを教えてください。
 2点目は高速炉についてなんですが、まず、湿式のほう、いわゆるMOX関係の質問が1件と、それから乾式関係で1件ありまして。MOX関係ですと、17ページ目、お願いいたします。17ページ目で、先ほどの質問に関係するのですが、今後、将来的には、ある程度MAが多く回るような規模での、こういった遠隔での自動遠隔製造ラインというのが検討されていて、既にプルトニウム第三、プル燃ですか、プル燃の第三のほうでも既にMOXについては遠隔での製造ラインというのはできていると理解しておりますが。ただ、今回このMAが混じってきたものがかなり膨大に回るとなりますと、プル燃でも既にこの計画段階、それから設計段階で、そこの保障措置というものをIAEAとかなり念入りにやって、そこでどのような測定データを非破壊で取るかですとか、その辺をもう設計段階からかなり入れ込んでいたように思います。恐らくMAが混じりますと、このMAというものをどこまでやるのか、どこまで分離できるのかとか、それから、ランタノイド核種がどの程度混じるかによっても、かなりこれは、この辺の検認ですね。具体的にはIAEAによる保障措置関係のほうも、既存のものを単に転用すればいいという話では恐らくなくなってくるのだろうと思います。ここにR&Dの要素があるように思っておりますが、その辺、いかがお考えかというのが2点目で。
 それから、3点目が、乾式のところで、18ページ目をお願いいたします。金属のほうですね。ありがとうございます。
 こちらも、乾式というのは、基本的にはこの有用な部分、もっともアクチノイドにすれば多く入り込んできて、一緒にランタノイド核種もかなり混じってくるという、かなりきれいではない状態で燃料というのが出来上がると理解しております。ですので、放射線のガンマ線のバックグラウンド、それから中性子のバックグラウンドも相当高く、これは韓国などがアメリカと金属燃料のところをR&Dをまだやっていますが、一つのネックになっているポイントが、この乾式再処理プロセスも、ヨクソウの中にどうしても相当量のプルトニウムがたまってしまって、ここの計量管理をどうするのか。それから検認をどうするかという、この保障措置の視点というのが一つのネックになっていると私は理解しております。
 先ほどの質問と非常に似ているんですが、この辺の乾式と、それから金属燃料サイクルそのものの計量の考え方、それから、これをどのようにIAEAに対して保障措置を設計段階から導入するのかという、何かその辺のお考えがあればお聞かせください。
 以上になります。
【山口主査】  では、最初に坂場さんからよろしいですか。
【坂場室長(日本原子力研究開発機構)】  坂場よりお答え申し上げます。
 まず、閉じ込め性能をどの程度狙っていたかという御質問に関しまして、過去にアメリカとかドイツとかそういった実験がないわけではないのですけれども、原燃工が作りました燃料は、アメリカ、あるいはドイツに比べて、1けた、2けた以上、かなり性能が高いというものであります。
 HTTRに関しましては、HTTRの製造前にJMTRを使った実験におきまして、実際その燃料ツールがどの程度壊れ得るのかという試験をやってきました。その性能が実際に燃焼度を上げることによりましてどの程度維持し続けることができるのかという実験結果はJMTR以降やっておりませんでしたので、そういう観点で今回の試験をまずは1回やってみたということであります。
 結果としましては、やはりHTTRと同様の性能が、初期破損以外に1ないし2ぐらいは壊れているかもしれないですけれども、ほとんど壊れていないという結果を得ましたので、こういった設計でもって、今後は実証炉に向けて照射試験を進めていきたいということでございます。
 したがいまして、狙った性能といいますのは、HTTR同等ぐらいが維持できるのかどうかということを確認したというのが大きな目的になってございます。その間におきまして、クリプトン88のR/B等のデータを見ながら確認したと、そういった試験でございました。
 以上です。
【山口主査】  皆藤さん、保障措置の話ですけど、どうでしょうか。
【皆藤次長(日本原子力研究開発機構)】  まず、一つ、訂正といいますか、お伝えしておきますと、プルトニウム第三開発室、こちら自動化は、「もんじゅ」の燃料製造のために自動化をかなり進んでおりますけども、グローブボックスを使った施設になっております。MAの含有燃料についてはセル内で遠隔製造ということになりますので、自動化という技術は適用していくのだと思いますが、大分その製造設備としては違うものになってくるというものです。
 また、保障措置については、こちらは、少し担当のほうから補足といいますか、回答させていただきます。
【山田主幹(日本原子力研究開発機構)】  すみません、計量管理ということで御質問あったと思いますが、まず、R&Dに今取り組んでいますということになります。具体的には、アメリカのロスアラモスと共同研究を行いながら、非破壊測定装置の測定精度、精度を高めるということで今取り組んでおります。これも現在進行中です。こういったような共同研究の中での成果を燃料製造施設のほうに反映できるようにしていきたいというふうに思っております。
 今取り組んでいる内容でしか説明できませんが、以上になります。
【山口主査】  どうもありがとうございました。
 相楽委員、大丈夫ですか。
【相楽委員】  すみません、金属燃料のほうはいかがでしょうか。
【竹内室長(日本原子力研究開発機構)】  JAEAの竹内のほうから御説明させていただきます。
 乾式再処理部分についても、今御指摘のあった計量管理、保障措置というのは非常に大きな課題の一つだというふうに認識しておりまして、こちらも先行事例として、アメリカのほうで既にその辺の乾式再処理の実証に関しては進んでいるところがございますので、その辺の知見についても、まずはアメリカの情報というのをしっかり得て、それを国内でしっかり評価をしていくといったところから進めていきたいというふうに考えております。
 以上です。
【相楽委員】  ありがとうございました。保障措置の視点というのは、全体の計画、ロードマップなどでも核拡散抵抗性という項目はあるのですが、具体的なところは少し見えにくかったので、ただ重要な視点だと思ってコメントさせてもらいました。
 以上になります。
【山口主査】  ありがとうございます。
 続きまして、和田委員、どうぞ。お願いします。
【和田委員】  ありがとうございます。和田でございます。御説明どうもありがとうございました。
 先ほど、山口先生からも安全性のお話はありましたけれども、原子力に対する社会的重要性が厳しい状況ですので、導入初期に燃料破損が系統的に生ずるようですと、当該炉のみならず、原子力発電全般に対してますます厳しい見方となってしまうと思いますので、実用化の際に系統的なトラブルが発生しないよう研究開発を進めていただきたいと思っております。
 1点基本的な質問なのですが、高速炉のところで御説明のあった新規に必要となる次期炉用の燃料製造施設について、これは3ページにある革新炉ロードマップの中の一番下の燃料製造施設の建設運転というところを想定されているお話なのでしょうか。
 以上です。
【山口主査】  皆藤さん、お答えいただけますか。
【皆藤次長(日本原子力研究開発機構)】  まず、最初の安全性の点で、燃料の破損等、問題が起きないようにというようなことはコメントとして承ります。そのためにも、照射試験で確認、性能実証をしていくということをきちんとやっていきたいと考えておりますので、そちらのほうは引き続き、R&Dのほうを進めていきたいと思います。
 それから、あと、今後必要な施設として、次期炉用の燃料製造施設ということで挙げておりますけども、まだ、今スライドで示している、3ページの燃料製造施設ということを想定したものではございません。こちらは実証炉用の燃料製造施設ということになりますが、そこでやっていくということも考えられますが、「常陽」の燃料製造とか、あと、先ほども上がりました新規の実証施設、こちらも燃料を供給していくための施設が必要になってくるということで、まず、その手前として、その「常陽」ですとか、新機能実証施設の燃料製造施設、それを想定しておりまして、実証炉まで拡張できるようなことも検討としてはしていると、そういう状況でございます。
【和田委員】  ありがとうございます。
【山口主査】  続きまして、浅沼委員、どうぞ。
【浅沼委員】  浅沼です。よろしくお願いいたします。
 高速炉のほうとガス炉のほうで1点ずつ、非常に簡単な質問なんですけれども。
 高速炉燃料のほうについては、結構、既存の施設をどう生かしていくか。廃止になるものも含めて、どう技術移転して活用していくかというのをすごく分かりやすく御説明いただいたと思うのですが。一つ簡単な質問なのですが、新しく次期炉用の燃料製造施設が必要であるという御提案でしたが、酸化物燃料と金属燃料をそれぞれ別の施設を造るという想定をされているのか。それとも、一つの施設でどちらの燃料も製造できるというふうにお考えなのかということと。
 あと、ガス炉のほうについてなんですけれども、燃料製造に関しては原燃工さんとのやり取りを御紹介いただいて非常によく分かったのですが、そのほか、JAEAさんの中で、その照射施設だとか、そのほか何か新たな施設が、もしくは設備の整備が必要とかということが具体的に何かあるかどうか。今日の御説明では、それほどJAEAの中で新たなものが必要だということを感じなかったもので、私の認識が間違っているようであれば御紹介いただければと思います。
【山口主査】  じゃあ、皆藤さんから、まず、どうぞ。
【皆藤次長(日本原子力研究開発機構)】  新規の燃料製造施設についてでございますが、MOXと金属を別々に作るのか、同じ施設でやるのかというような御質問かと思います。
 まず、「常陽」と、あと、それから新機能実証施設ですね。新機能実証施設につきましては、燃料については既存の技術を使っていくということで、「常陽」、それから新機能実証施設についてはMOX燃料になるというふうに考えております。
 また、実証炉につきましては、戦略ロードマップなどの改定などの議論も進んでおりますけども、そのMOXか金属かというようなところの選定がまだ先になるというところがございます。
 その施設をどうするかというのは、具体的な議論にはまだ至っていないんですけども、そうですね、金属燃料についても、選定されればR&Dが必要になってきますので、そのMOX燃料の製造施設を整備した上で金属燃料も扱えるような施設を設計していくのかどうかというようなところは、今後、開発の状況を踏まえて検討していく必要があるというふうに考えております。現時点で、まだその辺がはっきりと計画として決まっているという状況ではないというふうに認識しております。
【山口主査】  では、坂場さんのほうからどうぞ。
【坂場室長(日本原子力研究開発機構)】  高温ガス炉、お答え申し上げます。
 製造過程におきまして必要となるR&Dですけれども、PIEをやる過程におきまして、ホットセルとかホットラボ施設のようなものを使いますが、問題となりますのは、やはり燃料を準備してあった照射試験が必要になってくるということでございます。照射試験に関しましては、アメリカ、ヨーロッパの試験炉を使うのが一番効率的というふうに考えておりまして、例えば、国立とかアイダホといった施設を使わせていただくということになるかと考えています。今後発生し得るR&D、特にバックエンドに関しましては、ありますが、これは次回以降、御説明申し上げます。
 以上です。
【浅沼委員】  分かりました。ありがとうございます。
【山口主査】  ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。
 いろいろ重要なポイントを御指摘いただいたと思います。また、この辺の点はこちらで整理させていただいて、今後、議論を深めていきたいと思いますが、もし、ほかに御意見、御質問がなければ次の議題に移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。特にいらっしゃらないですかね。
 では、ありがとうございました。
 では、三つ目の議題ですが、次世代革新炉開発に向けた人材育成、それから大学の知の集約拠点機能についてでございます。こちらは資料3を使いまして、事務局から御説明いただきます。その後、意見交換したいと思います。
 では、新井課長、よろしくお願いします。
【新井原子力課長(事務局)】  原子力課長の新井でございます。
 これまで、次世代革新炉に向けた基盤的な研究開発、あるいはその必要な基盤的インフラについて中心にこれまで議論をしてきております。他方で、人材、それから、オールジャパンで考えていくというときに、大学の知の集約化、こちらについても重要だということで御説明をしたいというふうに思います。
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 足元のところの人材の状況ですが、国内の原子力関係学科・専攻入学者の推移、これを整理しております。昭和40年代、50年代、60年代にかけて、この赤で書いてあるところが、合計の原子力学科、そして研究科、修士・博士も含めた、学部も含めた合計の数になっておりますけれども、500から600の間で推移をしてきたということであります。
 そこで、平成に入りますと大分減ってきているということで、これは幾つか要因があるかと思います。ここはいろんな議論があるとは思いますが、いろいろ事故があったとか、大学の改革の中で研究と学部の構成が変わってきたとか、そういった事情もあるかと思いますが、減ってきているという状況がございます。
 それから、平成19、20、21、この辺は少し増えておりますが、原子力ルネッサンス、こういった動きの中で、志望者数も増えてきた状況があるのかなと。
 震災後、平成23年以降は、やはり減という状況かというふうに思っております。
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 産業界のほうから見た原子力事業の現況と人材需給ということで、これは一度、我々の審議会のほうでも出した資料でございます。電工会、それから原産協会さんから頂いた資料でありますけれども。特に福島の事故の後でありますが、ニーズとしては、既存発電所の安全性向上、それから、廃炉プラントの増加という状況であるとか、あるいは海外では、原子力発電の需要は引き続き高いという中で、原子力産業人材の維持、増加というのは必要だというニーズ、状況がある中で、原子力に対する社会的受容性の低下、これはややあったのではないかということで、志望学生数が低下をしているということで、このギャップというのが顕在化しているという状況かと思います。
 この左下は、原産協会の原子力産業セミナー参加者の数を折れ線グラフに書いておりますけれども、これは専攻、あるいは学部で整理をしておって、2010年までは、かなり原産セミナーの来場学生数さんは増えていたと。これはどの専攻においても増えていたということでありますけれども、震災の後は、原子力の放射線とかエネルギーとか、その辺の専攻をしている学生さんは大体横ばいなんですけれども、ほかの分野の学生さんたちはかなり激減しているという状況が、全体の状況としてはあるということであります。
 次、お願いします。
 人材の数だけではなくて、人材育成基盤として、試験研究炉の現状というものも触れておく必要があるかなというふうに思っております。人材育成を行う上で重要な試験研究炉ということですが、その多くが建設から40年以上経過しているというような状況で、高経年化が進んでいるということと、新規制基準への対応ということで、従来の運用が困難な状況になっているのではないかというふうに考えております。
 右側に表がありますが、1995年の当時は、運転中の炉が20あったといったところです。その後、震災の後、一時期ゼロになって、今は6ということでありますけれども、運転中の炉というのはかなり少なくなってきているという状況です。
 左側に日本地図がありますけれども、青で書いてあるものは今動いているものだということで、主には原子力機構の試験研究炉、それから西側に行きますと、京大、近代の試験研究炉が動いているということで、今、8施設ということになっております。
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 こういった状況ではありますが、原子力に対しては、エネルギー利用はもとより、ほかの分野、最近は医療用RIなどいうことをエネルギー分野の活用についてもかなり脚光を浴びておりますけれども、ニーズはあるということで、それをどういうふうに対応していくかと考えていかなければならないということかと思っております。
 現状の課題というところは、今申し上げたような人材の課題を書いてあります。こういったことに相まって、大学を中心とするような、原子力をされる基盤的研究開発体制も脆弱化しているのではないかという課題もあるかというふうに思っております。
 こういった課題を踏まえて、文科省としても様々取組をしているということで、この現状の取組の前提でありますが、下のほうに取組の考え方、左下は人材の関係のところですけれども、人材育成機能の維持、充実というのは引き続き重要だということで、個々の機能というところが少し弱まっているのであるとすれば、それを補うことで、一体的に人材育成する体制というのを構築すればどうかという問題意識で今まで施策を講じていると。
 それから右側のほうで、大学を中心とするような基盤的研究体制が脆弱化しているという中で、原子力イノベーションの創出に向けてどういうふうにやっていくかといったところでありますが、戦略的に基礎基盤研究の推進が不可欠だということでこの取組をする必要があるということでございます。
 こういった取組の考え方の下で、現在、二つの事業をしておりますので、御紹介したいと思います。
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 一つは人材の関係で、国際原子力人材イニシアチブ事業という事業であります。これは特に令和2年度から複数の機関が連携してコンソーシアムを形成して、人材、教育基盤、施設・装置、技術等の資源を結集して人材育成をするといった取組をしております。
 この①から⑤、特に④ですかね、分野についてありますけれども、一つは、専門教育カリキュラムを体系的につくって、それを登用していくような取組。二つ目が、実験・実習を協力してやっていくような取組。三つ目が、国際研さんを積むような取組。四つ目が産学連携といったような取組をしているということで、具体的には、その次のページにコンソーシアムの今の状況がございます。
 真ん中に四つ会議がありますけれども、今申し上げたような取組ごとに関係する大学が集まっていろいろ議論をして取組をしているという状況であります。産学含めて、高専なんかもありますけれども、今51の大学等が入っているというような状況であります。
 それから、研究開発の関係の取組、次のページでありますけれども、大学のイノベーション機能ということ、基礎基盤を協力してということと、これは人材育成にも寄与するということかと思っております。
 三つ目のポツですけれども、特に令和2年度から、これは経産省とも連携をして、NEXIPイニシアチブの一環としてやっているということであります。
 今、三つのプログラムがあるということで、下の囲みにありますけれども、基盤チーム型、ボトルネック課題解決型、新発想型ということであります。
 基盤チーム型は、特に原子力の基盤技術と社会実装に向けて重点的に取り組むべきテーマというのを設定しております。燃料製造、材料開発でありますとか、プラント安全の維持であるとか、システム、再処理関係とか、課題を設定してやっているということでございます。
 ボトルネックについては、特に産業界の課題を解決するというところで、大学が寄与するところはどこかというところを議論して、課題解決のテーマを設定して公募しているというものであります。
 新発想は、新発想で、ゲームチェンジングな技術開発というところを支援しているようなテーマでございます。
 次のページ、経産省との連携をということでありますけれども、今の三つのプログラムがあるというところが文科省の左側の囲みの中にありまして、右側で経産省という。これはNEXIPのほうで原子力の安全性向上に資する技術開発等を行っているということで、安全性向上に資する技術の例、産業界の支援を行っていますということで、ボトルネックのところですね、特にどういった課題があるのかというのを意見交換しながら課題設定をしているといった状況であります。
 次のページをお願いします。
 このような取組、現状、それから問題意識の下で行ってきているわけですけれども、昨今、特に、GX実行会議等で原子力の今後のことが議論されていると。再稼働であるとか、今すぐ取り組むような課題もあれば、今、我々が特に関係するような次世代革新炉ですね、開発、建設等、そういった議論がある中で、やはり足元の人材の脆弱性、サプライチェーンの維持というところが非常に大事じゃないかといったところも課題になっているというところで、現状でも取組をしているところですけれども、さらにいろいろ考えることがあるのではないかということで問題意識であります。
 上に二つ丸が大きくありますけれども、これが新たに我々として考えていくことかなというふうに思っていることですけれども、やっぱり次世代革新炉に向けて、人材、それから産業界のサプライチェーンにおける人材をどう確保していくかという話と、それから、革新炉ですね、実証炉開発というのは民間が主だと思いますけれども、JAEA、大学等において基礎基盤研究の総力を結集するということが大事だというふうに思っております。
 そういったことをするために、どう、この二つの事業を考えていくかということでありますけれども、一つは、今、人材の事業については大学の人材育成の取組が中心ということで、ボトムアップの事業の側面が強いということでありますけれども、さらに産業界のニーズをより太めに踏まえた取組を強化することが必要ではないかというのが一つです。
 二つ目が、原子力システム研究開発事業、研究開発の事業ですけれども、こちらについても、やはり産業界からのインプットが限定的ではないかということで、産業界からのニーズですね。技術的知見を蓄積して、インテグレートしながら活用していく仕組みが必要ではないかということです。
 三つ目は、産業界のニーズ、それから大学の持つシーズ、それをしっかりつなげていくというところ、ハブ的な役割というものが必要だと考えたときに、JAEAが主体的にそういった役割を果たすことができるのではないかといった考え方であります。
 次のページをお願いします。
 こういった問題意識をどういうふうに解決していくかという考えで、一つ参考になる取組があります。福島の事故の後に、廃止措置の研究開発を加速化していこうということで、プロジェクトが今、進んでいるものがございます。原子力開発機構の廃炉環境国際共同センター、これは福島にありまして、CLADSと言っていますけれども、CLADSで研究開発を中心に大学と連携しながら進めております。
 現在、上にちょっと書いてありますけれども、JAEAがNDF、東京電力との議論で作成した基礎・基盤研究マップというものに基づいて、どういった研究を協力してやっていくのかということをやっております。JAEAが自ら行う研究開発というところと、あと公募で国内外の知見を集約した、研究してもらった成果を、知見を中核であるCLADSに結集するということで、廃炉の現場のニーズの橋渡しを実現する、そういった取組をしているということで、JAEAを中心として、それぞれのいろんな大学等のポテンシャルを結集してということのモデルケースになるかなというふうに考えております。
 次のページをお願いします。
 こういった参考も踏まえて、今後の検討の方向性でありますけれども、一つは先ほど申し上げた、大学と産業界が協働して取り組む体制を強化していくということでありますけれども、やり方として、技術分野ごとに、どういった分野でどういった技術レベルにあるのかと、TRLを提示して、可能な限り定量的な手法を用いて、どういう分野にどういう人材が求められているのかというところを明確化していくといったところです。ここはサプライチェーンの維持・強化に資するニーズの掘り起こしにも関係してくるかと思います。
 こういったものを議論していくために、有識者によるガバニングボードを構築してやろうかということを考えております。
 それから、現状の取組、質の向上ももちろんなんですけども、量の拡大ということも図る必要があるのではないかということでありまして、研究基盤の活用機会の拡大、これはJAEAの基盤の活用をさらに大きくしていくということ。
 それから、リカレント教育、またリスキリングですけれども、それの活用をさらに拡大していくといったところ、こういったことを考えられるのではないかということを考えております。
 例えばということで、先ほど申し上げたガバニングボードですね、これをつくるときにJAEAがハブ的な役割を果たすというのがあるのではないかということ。
 それから、原子力システム研究開発事業のJAEAへの集約化ということで、現在、委託費で各大学にお金を流していますけども、それをJAEAの補助金化するというのも一つだと思っております。
 それから、人材について、TRLの提示なんかで見える化をしながら、どういうふうに育てていくかというところも、ロードマップを作成するということも一案かというふうに思っております。
 我々として今こんなことを議論しているということで御紹介でございました。御議論のほどよろしくお願いします。
【山口主査】  ありがとうございました。それでは、今御説明いただきました人材育成、それから大学の知の集約拠点、そういった点について、御意見、御質問をいただきたいと思います。また挙手機能で手を挙げていただければと思いますが、御意見のある方はどうぞよろしくお願いいたします。
 小澤委員、まず、どうぞ。
【小澤委員】  ありがとうございます。
 知の集約拠点ということでは、JAEAさんがある役割を果たすというのは大変期待が持てるなと感じております。
 最近、原子力以外の学科の学生さんと話をしてみると、原子力に対して関心はあるんだけれどもと。関心は結構あると感じていますが、データを見ると、実際に職業として踏み出すというところがなかなかできていないというか、我々業界全体としても呼び込めていないといったところがあろうかと思います。そういったことも含めて、こういった行ってみようかなというふうに思う人たちに何らかの知識を提供できる拠点があるというのは重要なことであると思います。
 もう一つは、第1回の会合で、私が入社した頃には「もんじゅ」がもうできていてみたいな話をしましたけれども、今そういう「もんじゅ」一筋といいますか、高速炉一筋みたいなことをみんなでやるというのはなかなか難しくて、流動していながら、幅広い知識を得ながら開発していくことが必要になるんじゃないかなと思います。
 そういった点でも、拠点というものが必要になりますし、最初の質問にあったそのBWRの8×8燃料が永遠とMOXとして使うわけもなく、常に軽水炉であっても発展するし、高速炉も、今、開発段階ですけども、導入されるまで、あるいはその導入後も発展するしということで、いろいろそういった面で期待が大きいなと思っております。ぜひ検討を深めていただければと思います。
 意見としては以上です。ありがとうございます。
【山口主査】  ありがとうございます。御意見として承りたいと思います。
 ほかにはいかがでしょうか。
 和田委員ですね。和田委員、どうぞお願いいたします。
【和田委員】  ありがとうございます。御説明ありがとうございました。
 日本の原子力産業界が世界で競争力を持つためにはそれを担う人材が不可欠だと思っておりますので、産業界のニーズを踏まえた取組を強化するという方向性はぜひ進めていただきたいと思います。
 現状は、産業界は大学に望む教育ですとか、訓練、共同研究などのニーズを十分に提供できていないという課題もあると思っております。大学側も産業界が必要とするシーズを十分に提案できていないという状況なので、12ページに今後の検討の方向性を提案いただいておりますけれども、産業界としてもぜひ協働して取り組んでまいりたいと思いますので、産業界のニーズと大学のシーズが結びつくための効果的な仕組みをぜひ構築していただければと思います。
 以上、コメントのみですが、よろしくお願いいたします。
【山口主査】  ありがとうございます。ほかにはどうでしょうか。どんな点でも結構ですが。今いただいた御意見は、12ページの今後の検討の方向性というところにお示しいただいた点をサポートする御意見をいただいたと思います。
 桐島委員、どうぞお願いいたします。
【桐島委員】  ありがとうございます。
 先ほどの話の中で、一例としてJAEAの英知事業の説明がございました。私はこれに研究代表として参画させていただいたことがあって、確かにこれまでの原子力システムイニシアチブと少し違ったやり方で、いい点もたくさんあったなと思いました。
 一番最後に原子力システム等の成果のJAEAへの集約化、補助金化、もしくはJAEAのハブ的な役割等々の話がありましたが、これは私も、ぜひ進んでいくと良い未来が来るんじゃないかなと思っております。
 その際に、公募研究であったとしても、例えばJAEAの中の一部に研究のコンサルタント的な部署みたいなものが将来できてきて、なかなか原子力の研究開発の予算に公募に応じてというときに、これまで関係のあまりなかった分野に所属している大学の先生たちは障壁が高いので、そういった先生たちにも公募前からアドバイスをして、先生の技術だったらこういう研究ができるんじゃないかというようなことをサジェスチョンするような、そんな部署ができてくると、非常に効果的に進んでいくのではないかと期待しております。
 以上、コメントでした。
【山口主査】  ありがとうございます。多分あれですね、今出していただいたマップとかが一つのいいガイドになっているかなと思います。
 ほかにはいかがでしょうか。今、今後の方向性、それから桐島委員から、そのコンサルタント的な部署で新しい人たちを呼び込むというような御提案もあったかと思いますが、いろんなアイデアでも、もし何かございましたら御発言いただきたいと思いますけど、よろしいでしょうか。これは重要なテーマ……。
 出光委員ですね、どうぞお願いします。
【出光委員】  それで、民間と大学の意思疎通といいますか、そういうのをやるという意味では、大学のほうではよく特別講義で外部の講師の方を呼んだりして、講義していただくというのがありますので、そういったところをもっと活用できるようにして、要は、企業とか産業界のニーズを大学の学生に伝えるとともに教員のほうにも伝えていただくような、そういう機会をたくさんつくっていくと、より情報の共有ができていいのかなと思います。
【山口主査】  ありがとうございます。いろんなアイデアが出てくると思いますが、あと、どうでしょう。いかがでしょうか。大体よろしいでしょうか。
 中熊委員ですね、どうぞお願いします。
【中熊委員】  ありがとうございます。
 以前にも増して、一時期は我々電気事業者とJAEAさんとのコミュニケーションというのが非常に乏しい時期がございましたけれども、最近になってかなりコミュニケーションは復活してきたなというのは私の立場でも実感してございます。
 革新炉開発においても、JAEAさんがこの産学のハブ機能を果たしていただくということだとすれば、ここにおきましても、しっかりとJAEAさんの中で体制を整えていただいて、幅広い視野でこういうお答えをいただけるようなことをぜひ担っていただければと思ってございます。
 コメントだけですが、以上でございます。
【山口主査】  ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。
 大分いい提案もいただきまして、そういった点も含めて、今後、具体的な施策の進め方については反映させていただきたいと思いますということでよろしいですかね。
 今いただいた点について、何かコメントはございますか。
【新井原子力課長(事務局)】  先生方、種々コメントをいただきましてありがとうございます。
 1点、出光先生から御発言いただきました、産業界の皆様方が特別講師等で大学に来て講義をいただくと、より効果があるというお話がありましたけれども、実は大学だけではなくて、初中教育レベルでもこの原子力の教育は大事だというところの話もあるかと思います。他方で、その原子力の話はなかなか難しいので、中高の教員の先生方でフルにできるかというとなかなか難しいという事情もあるかもしれないという中で、そこをうまくつなぐことができるか。例えば、講師を中学校、高校で、産業界の方々が来て特別授業をするとか、そういった可能性も少し検討する必要があるかなというふうに思っておりますので、いずれにしましても、引き続き先生方から御意見を伺いながら、いい施策の検討ができればというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
【山口主査】  では、また、今後とも引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは、以上で本日の検討会を終了したいと思います。
 最後に、事務局から連絡事項がありましたらお願いいたします。
【宮川原子力課課長補佐(事務局)】  本日は委員の皆様に、前回、前々回に引き続き、非常に活発な御議論をいただきまして誠にありがとうございます。
 次回の日程のお知らせでございますが、第4回の日程については11月22日火曜日10時からを予定しております。追って、前回と今回の議事録の確認、また次回の開催案内の御連絡をお送りいたします。
 また、第1回の議事録については、発言者の皆様の御確認をいただきまして、事務局側で確認が終了しましたので、今週中をめどに文科省ホームページに掲載する予定でございます。
 事務局からは以上でございます。
【山口主査】  ありがとうございます。では、以上をもちまして、本日の議事、全て終了ということでございます。本日も御審議いただきまして、誠にありがとうございます。これにて閉会といたします。
 
―― 了 ――

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