次世代革新炉の開発に必要な研究開発基盤の整備に関する検討会(第2回) 議事録

1.日時

令和4年10月28日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

新型コロナウィルス感染症拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 第1回検討会における論点及び主な意見について
  2. 革新炉(高速炉・ガス炉)への取り組みについて(三菱重工業株式会社原子力セグメント新型炉推進室長兼FBR推進室長 碓井氏発表)
  3. 次世代革新炉開発に必要な研究開発課題及び基盤インフラについて
  4. その他

4.出席者

委員

山口委員(主査)、石川委員、出光委員、小澤委員、桐島委員、中熊委員、吉橋委員、和田委員

文部科学省

千原研究開発局長、新井原子力課長、嶋崎研究開発戦略官、宮川原子力課課長補佐

(説明者)
三菱重工業株式会社 碓井志典 原子力セグメント新型炉推進室長兼FBR推進室長
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 大野修司 炉設計部長
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 坂場成昭 高温ガス炉副センター長

5.議事録

【山口主査】  それでは、定刻となりましたので、ただいまより次世代革新炉の開発に必要な研究開発基盤の整備に関する検討会第2回を開催いたします。
 本日は、お忙しいところお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 本検討会については、前回に引き続き、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点からオンライン会議を原則として行います。
 なお、会議は原則公開とし、資料や議事概要等については文部科学省のウェブページにて公表させていただきます。
 それでは、まず、事務局から会議資料等の確認をお願いいたします。
【宮川課長補佐(事務局)】  ありがとうございます。
 それでは、本日の配付資料について御案内申し上げます。資料については、議事次第のとおり、資料1から資料3を御用意しております。資料については委員各位には事前に送付、傍聴者の皆様におかれましてはホームページを御参照いただいていることと存じます。資料等の不備や映像などの乱れがございましたら事務局までお知らせ願います。
 若干ハウリングがしている可能性がありますけれども、委員の皆様、いかがでしょうか。大丈夫でしょうか。
 では、次に委員の御出席につきまして御案内申し上げます。本日は、現時点で委員11名中7名御出席いただいておりまして、都合により浅沼委員、遠藤委員、相楽委員は御欠席になります。また、桐島委員につきましては都合により10時半から御参加いただくということで御連絡いただいております。
 また、山口主査と御相談いたしまして、次回以降の欠席委員の皆様におかれましては、希望がございましたら事前にコメントを提出いただく形で御対応させていただきたいと考えております。また、事務的な都合で大変恐縮ではございますが、今般はそのための十分なお時間を確保できませんでしたので、希望があれば今回の検討会の後、事後的に文書で御意見いただきまして、次回検討会にて御紹介させていただければと思います。
 以上でございます。
【山口主査】  ありがとうございました。
 それでは、議事に入りたいと思います。
 一つ目の議題でございますが、第1回検討会における論点及び主な御意見についてでございます。
 それでは、事務局から説明をお願いいたします。
【宮川課長補佐(事務局)】  事務局でございます。
 前回第1回会合で委員の皆様からいただいた論点と主な御意見として、議事ごとに資料としてまとめさせていただいております。簡単に主なポイントを御紹介させていただければと考えております。
 資料の2ページ目を見ていただいてよろしいでしょうか。
 前回ですけれども、小澤委員から、カーボンニュートラルに向けた原子炉開発に係る現状についてということでプレゼンをいただいたところであります。それに関しまして、以下三つのような御意見をいただいたというところであります。
 続いて、JAEAのほうからのプレゼンの次世代革新炉開発に必要な研究開発項目及び基盤インフラについてということで、各委員から御意見をいただいたというところでございまして、主なものに関して御紹介させていただきますと、一番最初のポツでございますけど、議論に当たっては技術的な観点のギャップと基盤がないことによるギャップを切り分けて進めていくことが重要ではないかということ、また、国外の類似の研究開発の知見や施設を押さえて議論することもまた重要な視点であるということ。あと、3ポツ目でございますけれども、稼働時のメンテナンス技術の高度化や、原子力システム研究開発事業(文部科学省内局事業)において得られた成果というものの検討状況や活用状況というものも考えていく必要がありますということ。4ポツ目に、もんじゅやHTTRの過去の炉の開発・建設から相当の期間が経過しているので、そういったことの認識の議論が必要ではないかと。一番下のポツになりますけれども、実験炉で確認した成果であっても、合理性や汎用性が高い研究開発を志向した上で、各炉型の大型化や極小化した際の限界を把握するような確証的な試験開発というのも必要ではないかということ。
 続いて、3ページ目に移らせていただきまして、MA燃料についてのプレゼンテーションがありましたので、それに関しては、技術的な研究開発に加えて、保障措置や規制へのインプットの観点からの研究開発という視点も必要ではないかということをいただきました。また、JAEAに求める役割として、民間と大学をつなぐ役割として、大学の知の集約拠点としての記載が事務局資料にあったので、今後、議論をどのようにしていくのかというお話をいただいたということがあります。また、下から二つ目のポツになりますけれども、軽水炉のみならず、高速炉、高温ガス炉といった次世代革新炉においてもサプライチェーンの議論というのは必要ですということを御意見いただいております。また、国際協力はどういう活用をするかというのは技術の性質だとか安全保障面ということも十分に考えて議論する必要があるだろうと。一番下のポツになりますけれども、差し当たってそういった観点においては米仏などを中心とした過去の国際協力の実績といったことも踏まえて、JAEAが具体にどのように関わるかというような観点で検討する必要があるだろうと、こういったことを御意見としていただいているところであります。
 簡単ではございますが、事務局からは以上です。
【山口主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまいただきました説明につきまして、御意見がございましたらオンラインシステムの挙手機能を御活用いただいて、指名された方はミュートを外して御発言いただきますようお願いいたします。
 いかがでしょうか。特に発言の御希望はございませんでしょうか。
 ないようですので、今、御説明いただきました資料1は、今後、いろいろ議論していく上でベースとなるものと思いますので、適宜こちらを参照いただきながら議論を進めていきたいと思います。
 それでは、二つ目の議題に移らせていただきます。
 二つ目の議題は、次世代革新炉開発に必要となる研究開発炉、燃料製造施設への期待についてでございます。
 こちらについては、高速増殖炉FBRの開発において中核企業でありました三菱重工業様より、資料2に基づきまして御説明いただきます。原子力セグメント新型炉推進室長兼FBR推進室長の碓井様に御説明いただきまして、その後に、委員の皆様方に御議論いただきたいと考えてございます。
 では、碓井様、御説明よろしくお願いいたします。
【碓井室長(三菱重工業)】  三菱重工業の碓井でございます。
 今、御紹介いただきましたとおり、私のほうから革新炉、高速炉・高温ガス炉への取組について御説明させていただきます。
 資料の1ページ目をお願いします。
 本日の目次ですけれども、まず最初に、現在の開発状況を御説明いたします。これにつきましては高速炉・高温ガス炉、それぞれについて御説明をいたします。その後、メーカー及びサプライヤーの状況について御説明し、基盤整備への期待を御説明し、最後にまとめという話題になってございます。
 まず、現在の開発状況、こちらはまず高速炉のほうですけれども、上のテキストボックスのほうでございますが、当社は高速炉開発の中核企業といたしまして、最も実績があり技術的に成熟したMOX燃料のナトリウム冷却高速炉の開発をこれまで推進してまいりました。
 二つ目の矢羽根でございますが、先ほどの論点のほうでお話ありました日仏、日米など国際協力にも参画しておりまして、ここで得られました知見をベースに、国内にも適用可能な日本独自のプラント概念というものを開発してございます。
 左のほうの鳥瞰図に示しているのが国内に適用可能なMOXのプラント概念でございまして、左下の仕様のほうですが、中型のタンク型炉、酸化物燃料を使いまして、出力が大体150万から65万ぐらいといったプラントをこれまで検討してございます。
 上の矢羽根の三つ目ですけれども、さらに将来の技術選択肢を広げたいということで、NEXIP事業――これは経産省さんのイノベ事業ですけど、こちらを活用させていただきまして、革新的な高速炉の開発に取り組んでおります。こちらは鳥瞰図の右側になっておりまして、これを我々MCRプラントと呼んでおります。右下の仕様表でMCR(200~1000)と書いてありますが、我々、小型の20万キロクラスから大型の100万キロクラスまで、出力の柔軟性を有した、ループ数を増やすことで出力を上げていくことができる、そういった幅広いニーズに応えられるようなプラントを自社事業としてこれまで開発を進めてございまして、この2炉型を高速炉の技術評価委員会のほうに提案させていただいております。
 こちらの技術評価委員会での選定を踏まえまして、次年度には概念設計の対象炉型が選定されると伺っております。
 こちらは高速炉の開発スケジュールでございます。下のほうに年表がございますが、年表の一番上の紺色の線が実証炉に関する工程表になっておりまして、2024年度から概念設計を開始いたしまして、今、改訂途中であります戦略ロードマップに記載されております2050年までの実証炉の運転開始を目指したいと考えております。
 実証炉の開発のためには、この年表ですと下から二つ目のオレンジ色の線ですが、照射試験炉としての常陽を再稼働いたしまして、高速炉の燃料、あと、材料等の照射試験というのが必要となってまいりますし、上から二つ目の紫色の線の下に「主要なR&D」と書いてありますが、受動的な炉停止系ですとか燃料交換機といった機器開発とナトリウム機器の大型化、こういったものの開発を進める必要がございます。こういった機器開発におきましては、年表の右下にJAEAの大洗さんに今、建設途中、準備途中のAtheNaという大型の試験施設、こちらに写真を載せておりますが、こういった試験施設が必要と考えております。
 また、次のページで御説明いたしますが、弊社の総合研究所のほうにもナトリウムループがございますので、そういったものを活用いたしまして、実証炉に向けた開発を推進していこうと考えてございます。
 こちらは少し宣伝めいたものになってしまいますが、弊社が保有しております三つのナトリウムループの御紹介です。下に表の形でございますが、一番上から多目的ナトリウム試験装置というものがございまして、これは、右の特徴に書いてございますが、大口径の試験容器を具備しておりますので、ナトリウム機器の性能特性・材料試験等を行うことが可能なループでございます。
 また、上から2番目はナトリウム熱流動試験施設(SGTF)と称しておりますループでございますが、これは昔、蒸気発生器の試験をしたことがございます。非常に大規模、大容量のナトリウムの熱流動試験装置になってございます。
 一番下はナトリウムの熱過渡試験装置というものでございまして、こちらは最高温度750℃を達成可能で、温度変化率毎秒30℃という非常に大きな温度変化率を与えることのできるループになっておりまして、これらを活用してこれまでの機器開発を実施してまいりました。
 テキストボックスの二つ目の点でございますけれども、2016年度から開始しています日仏協力では、ナトリウム中試験としまして受動的炉停止系の試験等も実施しておりまして、現在は燃料交換機の成立性確認のため、上二つのループを使った試験の準備を行っている状況でございます。
 以上が高速炉に関する現在の開発状況でございます。
 右下5ページ目が高温ガス炉に関する開発状況でございます。
 高温ガス炉に関しましては、現在、当社はNEXIP事業をこちらも活用いたしまして、左の鳥瞰図にございますような大規模の出力、最大600メガワットサーマルクラスの高温ガス炉の概念検討を実施してございます。
 それに加えまして、矢羽根の二つ目でございますが、今年度からエネ庁殿の委託事業で「超高温を利用した水素大量製造技術実証事業」というものに参画させていただいておりまして、右の鳥瞰図にございますようなHTTR――これはJAEAさんの大洗にあります試験研究炉でございますが、こちらを活用した水素の製造実証事業にも参画してございます。
 こちらの水素製造実証事業では、技術的に成熟しております水蒸気改質という方法を使いまして、HTTRの熱を利用して水素を実際に製造するという事業を、今、やらせていただいております。こちらのHTTRにつきましては、次のページでちょっと御紹介させていただきます。
 6ページ目をお願いします。
 こちらはJAEAさんのほうから頂いた資料でございますが、右に高温工学試験研究炉(HTTR)の鳥瞰図がございますけれども、このHTTRはJAEAさんの大洗研究所へ設置されております高温ガス炉でございまして、真ん中に年表が、左下から右上に上っていくのですけれども、ちょうど真ん中辺りの1998年、ピンクのところですね、98年に初臨界をしておりまして、その上、2004年のところで原子炉出口950℃という非常に高温を世界で初めて達成してございます。現在は、上から二つ目、2021年、昨年度に新規制基準の下、再稼働を行いまして、安全性実証試験を実施中といったところでございまして、ちょっと小さくて申し訳ないのですけれども、HTTRの仕様としましては原子炉出力が30メガワットサーマル、やや小さい試験研究炉となってございます。
 高温ガス炉の開発スケジュールは7ページ目に示しておりますが、こちらも高速炉と同様、一番上の紺色のところが高温ガス炉の開発の工程になっておりまして、革新炉ワーキングのほうでは2030年代ぐらいに次の高温ガス炉の運転開始という工程が示されておりまして、我々もそれを目指して実証炉の概念設計を近々開始できたらいいかと考えております。
 年表の真ん中下の辺り、オレンジ色の四角で囲みましたのが、先ほど御説明いたしましたエネ庁事業を利用した水素大量製造技術実証事業というものでございまして、そのオレンジ色の線のところでHTTRと水素製造施設を接続して、水素を発生する実証を行うという計画になってございます。
 一番上の高温ガス炉実証炉の今後の開発に当たりましては紫色の線で示しておりますが、研究開発として左のほうにポツで書いておりますが、高温隔離弁ですとか、HTTRからかなり大型化しますのでヘリウム循環機の大型化、それから、HTTRでは蒸気発生器等が存在しませんので、そういったHTTRにない機器の開発、こういった機器を開発するための基盤の整備が必要と考えてございます。
 また、年表の一番下に記載しておりますが、燃料製造施設につきましても、これは高速炉のほうも同様でございますが、特に高温ガス炉につきましては10%程度の濃縮ウランを使うということもございますので、燃料製造施設についても基盤整備が必要というふうに考えてございます。
 以上が高温ガス炉の開発でございます。
 続きまして、メーカー・サプライヤーの状況を簡単に御紹介させていただきます。
 右下の8ページ目でございますが、下のほうにはエネ庁さんの革新炉ワーキングから抜粋した資料を添付してございます。これは横軸が年代で、縦軸がメーカーの原子力従事者になっておりまして、2010年をピークに右肩下がりになっているという状況でございます。
 上のテキストのほうですけれども、もんじゅが建設開始されたのが1985年でございまして、初臨界が94年でございますけれども、それからしても25年以上、高速炉プラントの建設は途絶えている状況でございます。
 また、高温ガス炉につきましても、HTTRの建設開始91年、初臨界98年からこちらも20年以上経過しておりまして、三つ目の矢羽根ですが、技術の伝承維持には世代交代の観点から大体20年程度ごとのプラントの建設が望ましいと考えておりますけれども、高速炉、高温ガス炉とも実機の建設、先行炉の建設以降は、現在、机上検討が主となっておりまして、大規模なR&Dも現在中断されているという状況でございます。
 やはり技術の維持・向上のためにはOJTといいますか、プラント一式設計・建設・運転の経験が不可欠と考えておりまして、これにつきましては新規の建設に関しても何とかしていただきたいなと考えているところでございます。
 次のページはサプライヤーさんの課題でございます。
 下のほうに表をつけていますが、高速炉及び高温ガス炉それぞれのプラントに特有なものを列記してございます。
 左のほうが高速炉でございますが、例えば、材料にしますと、316FR鋼という、これは高速炉に特化したような形の高強度材の鋼で、高温で高強度の材料ですとか、次の行は燃料の被覆管ですとかラッパ管、こういったものが高速炉特有の構成機器になります。あと、弁ですと、ナトリウムを扱うナトリウムの弁ですとか、回転機器はナトリウム用のポンプですとか電磁ポンプ、こういったところがなかなか軽水炉を含め異分野での利用というのがないということで、こういった高速炉の仕事がないとサプライヤーさんも技術の維持が困難な機器になってまいります。
 右の高温ガス炉についても同様でございまして、高温で強度が出ますハステロイXRというような材料、それから、高温ガス炉特有の黒鉛ブロックですとか950℃で作動するような高温のバルブ、こういったところにつきましても高速炉と同様にほかの分野での需要があまりないということもありまして、技術の維持というのが難しい状況になっているという状況でございます。
 以上を踏まえまして、基盤整備への期待として1枚まとめさせていただいております。
 高速炉、高温ガス炉開発においては、下に書いてございますが、研究開発基盤の整備を期待しております。
 まず、高速炉、高温ガス炉とも、実証炉に向けた機器の大型化や技術開発のため、高温のナトリウムですとか高温のヘリウムガス、そういった特有の技術が扱える基盤の施設――例えばナトリウム施設とAtheNa――先ほど御紹介した大洗の大型ナトリウムのループですけれども、こういったものを考えております。
 特に常陽につきましては、高速炉の燃料開発、燃料以外の材料も同じですけれども、照射試験等に必須の設備でありますので、早期の再稼働を期待してございます。
 こちらの常陽につきましては、現在、運転用の燃料を製造する施設というのはちょっとグレーな状態と伺っておりますので、こちらにつきましてはこれまで常陽、もんじゅの燃料を製造してきましたプルトニウム第3開発室を改造されるなど、燃料製造施設についても着実な推進が必要と考えております。
 同様に、高温ガス炉も燃料の製造施設は必要となりますので、燃料の供給体制構築、施設の整備等、着実な推進が必要と考えております。
 最後のまとめといたしまして、これまで申し上げてきたとおり、高温ガス炉、高速炉等の先行炉の建設から既に20年以上経過しておりますので、技術の維持は喫緊の課題と考えております。
 プラントの建設機会を設けるということは、技術維持、サプライチェーン、それから、技術と人材維持の観点からも必要と考えております。また、先ほど御説明したとおり、高速炉、高温ガス炉とも軽水炉、他の産業とは異なる特有の機器、サプライチェーンがございますので、それを継続維持するためにも具体的なプロジェクト、継続的な予算の確保、それから、早期のプラント建設が必要と考えております。
 また、研究開発の基盤整備では、RI製造など新たなニーズへの対応も考慮が必要と考えております。
 基盤整備としましては、前のページに記載させていただきましたとおり、やはり革新炉開発においては特有の技術開発に必要な試験施設、ナトリウムですとかヘリウムといったものを扱える試験施設が必要と考えております。
 また、高速中性子の照射場として常陽の早期の再稼働、運転は必須と考えております。将来の高性能化のためには中性子の照射炉というのは継続して必要となっておりますので、もし常陽が廃炉になる場合にはその後継炉というのは必要と考えております。また、高温ガス炉の開発についても、やはり燃料照射、材料照射、こういったことが可能なことが望ましいと考えております。
 続きまして、広義の基盤整備という意味では燃料等製造設備の問題があると考えておりまして、現状の常陽、HTTR含め運転用燃料の製造施設は必要と考えておりますし、加えて、将来の炉に対する燃料供給もどうするのかということを考えておく必要があると考えております。こちらではプルトニウム第3開発室で実証炉の燃料をつくってしまう等、将来の炉についても燃料施設をどうするかというのを考える必要があると考えております。
 最後に、実証段階までは国の御支援によりましてプラント建設の予見性を高めていただくことを期待しております。
 以上、私の発表になります。ありがとうございました。
【山口主査】  碓井様、どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまいただきました御説明について、御議論いただきたいと思います。御意見ある委員におかれましては、オンラインの挙手機能を活用して意思表明をお願いいたします。指名された方は、その後、ミュートを外して御発言くださいますようお願いします。
 それでは、御発言希望の方、まず、小澤委員ですね。どうぞよろしくお願いします。
【小澤委員】  小澤でございます。御説明ありがとうございました。
 私のほうから二つほど質問させていただきたいと思います。
 まず、2ページ目ですけれども、ナトリウム高速炉の出力のところですね。熱出力ベースで主概念のほうが1,500メガワットとなっておりますけども、これはもんじゅの大体2.5倍ぐらいだと思います。それから、新しい技術としては、MCRのところには粒子型金属燃料と書いてございます。もう一つは、5ページ目の高温ガス炉を見ていただきますと、実用炉イメージのところに600メガワットサーマルですね。つまり、HTTRの20倍ぐらいの出力となっているので、このまま大きくするのか、あるいは何か工夫するのかということが考えられると思うのですけども、双方につきましてJAEAさんに期待する技術開発項目、あるいは整備すべきインフラ、これを何か御意見がありましたらおっしゃっていただきたいなと思います。
 二つ目は、8ページ目にありますもんじゅの建設開始、初臨界から25年以上、それから、HTTRについても20年以上と書いてありますけれども、工程表を見ますと、ごそっと1世代抜けるような形になるかなと私も非常に危惧しております。
 こういったことを踏まえますと、確かに20年程度ごとのプラント建設望ましいかと書いてありますけれども、次のプラントについては、ごそっと空いた年代を埋めるような何か施策といいますか、課題といいますか、そういった認識があれば、もう一つ具体的なベースでおっしゃっていただければなと思います。
 質問2点、以上でございます。よろしくお願いします。
【山口主査】  それでは、碓井様、お答えいただけますでしょうか。
【碓井室長(三菱重工業)】  碓井でございます。
 まず、最初にいただきました出力の話ですね。次の炉、主概念ですと1,500メガワット、もんじゅが714だったかと思いますので大体2倍ぐらいと考えております。
 高温ガス炉についてはHTTRが30に対して600、この表でも「~600」と書いてあるのですけども、大体20倍ぐらいということで、高温ガス炉のほうにつきましては、我々、この実用炉の前にもう少し小さい、例えば、200とかですね、HTTRの数倍クラスの実証炉というものも建設が必要かなというふうに考えているところです。
 そういった観点で、先ほど年表のほうでも示させていただきましたが、JAEAさんのインフラに期待するというところでは、やはりAtheNa等の機器の大型化に関わるようなナトリウムループ、ヘリウムのほうにつきましても過去にHENDEL等大きなループがございましたけれども、それと同様な感じで、今、大型化の性能実証ができるような、そういった試験設備というのをJAEAさんには期待したいというふうに考えてございます。
 二つ目の御質問のもんじゅ、HTTRの建設から既に20年以上たつと、一世代ごそっと抜けていると、そういった御指摘でございますけれども、こちらにつきましては、何とか今のところ我々の会社には、再雇用の年代に足を踏み入れている者もございますが、一応もんじゅの設計経験者というのはまだ存在してございます。
 幸い弊社、2007年に中核企業に選定されて以降、いろいろとナトリウムのタンクの検討ですとか、震災の前まではナトリウムのR&D等させていただいておりましたので、そういった技術、それからあと、そういったナトリウム特有の技術以外の一般的な原子力の技術、もしくは弊社の原子力セグメント全体のマンパワーといいますか、スキルをもって何とか対応していけるのではないかと感じております。
 以上です。
【小澤委員】  ありがとうございました。
【山口主査】  ありがとうございます。
 続いて、出光委員が挙手いただいていると思います。出光委員、どうぞお願いします。
【出光委員】  よろしくお願いいたします。御説明ありがとうございました。
 高速炉のほうについて、ちょっと先ほどの御質問とかぶるところあるかもしれないのですが、出力がかなり大きいもので、しかも両方ともタンク型ということで、今までずっともんじゅにしろ常陽にしろループのほうだったので、そういう意味で、タンク型で実験炉的なものは必要ないというお考えでしょうかというのが1点です。
 それとあと、こちらの図に出ておりますけども、粒子型の金属燃料を使うというのが入っているのですが、EBRのような金属ロッドにせずに粒子にするというところ、ある意味いきなり出てきているような気もするのですけれども、私、個人的に言うと、金属が被覆管と直接接触している部分があまり多いのはあまり好ましくないなと思っているのですけども、いずれにせよナトリウムボンド型の燃料にされると思うのですが、ここはロッドにせずに粒子にこだわられるのでしょうかということ、以上2点でございます。
【山口主査】  意見、御質問いただきましたけれども、碓井様、いかがでしょう。お願いいたします。
【碓井室長(三菱重工業)】  1点目、出力が熱で150万、電気で60万というところをやっているということで、タンク型の試験炉はどうかという御質問だったと理解しておりますが、基本的にタンク型もループ型も主要な技術というのは同じでございまして、特に2次系以降は全く同じ、かつ、1次系のポンプですとか基盤のところとか、こういった技術というのは基本的には同じでございます。
 ただ、やはりタンク型というのは容器の中に全てを搭載するという観点で、例えば、中間熱交換器がループ内に入っていることによって原子炉容器内の温度の影響を中間熱交換機の外面に受けてしまう、そういった熱流動的な課題もあろうかなと思っております。
 ただ、そのためにタンクの試験炉は要るかどうかという点につきましては、JAEAさんのほうでも熱流動解析等されておりますので、そういったところで特にタンク型としての研究炉までは不要かなというふうに私は考えてございます。
 それから、二つ目の粒子型金属燃料、今映していただいている右下に書いてあるところ、こだわりますかというお話なんですけれども、検討の経緯から申し上げますと、NEXIP事業というのがイノベーションを入れるというところもありまして、こういった粒子型の金属燃料を採用することによって受動的安全特性を高めたいということで、粒子型の金属燃料を提案させていただいてございますけれども、通常のスラグ型、もしくはMOX燃料でもプラントのコンセプトは変わりませんので、こちらについては国のサイクル政策といいますか、燃料再処理の動向等を見ながら柔軟に対応できるかなと。
 もともとMCRを造ったのは、多様なニーズに柔軟に対応したいということで、今までのMOXと違うものを採用したというところがございますので、一言で回答いたしますと、それほどと言ったら語弊がありますけれども、こだわるものではございません。
 以上です。
【出光委員】  ありがとうございました。
【山口主査】  それでは、続いて吉橋委員、どうぞ。お願いします。
【吉橋委員】  名古屋大学の吉橋と申します。御説明ありがとうございました。
 私も先ほどのループ型とタンク型で、タンク型の研究だとか開発、そういったところは必要なのかなということを一つお聞きしようと思っていたのですけど、それについては先ほどの御回答でと思うのですけれども、もう一点、二つ合わさるのですけれども、技術の継承という意味で、技術に関しては、先ほどいろんなナトリウムのループで研究・技術開発等されているということで、その辺りは問題ないと思うのですけれども、今後、管理であるとか事故対応というのかリスク、そういったところの技術といいますか、継承というのはどのようにお考えかというところですね。
 すいません、ちょっとまとめますと、技術の継承ということは今までのナトリウム等々あると思うのですけれども、今後、管理業務であるとかそういったところの技術の継承というところの考えを教えていただければと思います。
【碓井室長(三菱重工業)】  先ほど事故対応と言われましたけど、管理業務、マネジメントとしての技術伝承ということでございますかね。
【吉橋委員】  はい。
【碓井室長(三菱重工業)】  分かりました。マネジメントにつきましては、これは特に高速炉、高温ガス炉に限らず、一般的なプラント建設を行う上では必要な技術になっております。
 こちらにつきましては、弊社の軽水炉プラントのほうでマネジメントをやっている部署もございますので、将来、高温ガス炉、高速炉とも実際の開発が進む段階ではそういった軽水炉部門――軽水炉部門というと何か縦割りのイメージでちょっと申し上げにくいのですけれども、我々の会社の原子力セグメント全体のそういった能力を使って対応するというふうに考えております。
 また、事故対応につきましても御説明いたしますと、まさに現在、常陽さんのほうで再稼働ということで、NRA対応等されていますので、そういった常陽さんの新規制基準対応の状況等も我々見させていただいておりますので、そういった場を通じて技術の継承は可能と考えてございます。よろしいでしょうか。
【吉橋委員】  ありがとうございます。少し気になったのは高速炉のほうですけれども、ナトリウムのほうで幾つか熱流動であるとか温度の影響だとかそういったところはいろいろ研究技術されていると思うのですけれども、ナトリウム事故ということも以前あったこともあって、そういったところに対するいろいろな情報の伝承ですかね、そういったところがちゃんとできているのかなということが少し気になりましたので。ありがとうございます。
【碓井室長(三菱重工業)】  そちらにつきましても、弊社のナトリウムをやっている部署では、もんじゅの漏えい事故後にナトリウム漏えい対策の工事とかをやった人間がまだ現役でばりばりやっておりますので、そういったところの技術伝承も確実にやらせていただいているところでございます。
【吉橋委員】  ありがとうございます。
【山口主査】  山口ですけれども、碓井様にお聞きしたいんですが、今、世界各国で、今の吉橋委員の御質問に関係して、技術開発に時間のギャップがあるときにナレッジマネジメントをどうするかというお話があると思います。そのための制度とか仕組みとかそういうところも含めて吉橋委員は気になっているんじゃないかと思いますが、ナレッジマネジメントへの取組などもちょっと御紹介いただけないでしょうか。
【碓井室長(三菱重工業)】  それは弊社としてということですか。
【山口主査】  そうですね。
【碓井室長(三菱重工業)】  ナレッジマネジメントにつきましては、弊社、2007年に中核企業に選定された後に、三菱FBRシステムズというエンジニアリング会社を立ち上げておりまして、そちらの会社と一緒に、過去の研究開発の報告書等全てデジタル化といいますか、アクセスして検索可能な状況にしてございます。そういったシステムを使いながら、JAEAさんのほうともいろいろと教えていただきながら、ナトリウム技術、機器設計技術というのはOJT、Off-JT双方活用しながら技術維持・伝承に努めているところでございます。回答になっていますでしょうか。
【山口主査】  ありがとうございます。やっぱりきちんとナレッジマネジメントが仕組みとして定着しているということは大変重要だと思いますので、ぜひその辺を活用いただいてと思います。ありがとうございました。
 それでは、続きまして、石川委員、どうぞお願いします。
【石川委員】  東京大学の石川でございます。御説明どうもありがとうございました。
 技術伝承・維持には20年程度ごとのプラント建設が望ましいという御説明があったんですが、それに関連して、海外事業への参加というのが技術開発とか技術伝承、そういう点にどれぐらいプラスであるかというところの御意見もお伺いしたいのですが、参加することでナレッジマネジメントとか、今、山口主査からも御発言がありましたが、伝承維持にプラスであるとか、参加していることで進む技術開発もあるのか、あるいは、海外の事業に参加してそれを進めるためにも、例えば、常陽とかAtheNaがますます必要になってくるのかという点、あるいは、サプライチェーンの維持というところで、海外の事業に参加すると日本のサプライチェーンの維持にもプラスになるのか、あるいは海外だと海外のサプライチェーンを使ってしまうのでそこはプラスがないのか、その辺りについてもちょっと御意見を伺えればと思います。
【碓井室長(三菱重工業)】  まず、海外プラントに参画することによってプラスになるのかどうかということにつきましては、一言で言いますとプラスになります。やはりOJTという観点で、こういう設計を行うフィールドというのは非常に大事だと考えておりますので、一言でお答えするとプラスになります。
 ただ、これまでやらせていただいた日仏協力等では、ある程度プラントの骨格が決まった後の参画であったということもありまして、技術が扱える領域が機器の設計ですとか個別の解析ですとかそういったところにちょっと偏ったところがございまして、新しいプラントを一から造り上げるような、プラントコンセプトを構築するような仕事という部分については、残念ながら今までの国際協力では携わることはできなかったかなと思っております。
 また、国際協力を行う上でどういうものというのが必要になってくるのかという御質問に対しては、確かに常陽の照射能力を海外が期待しているところもありますし、AtheNaのような大型のナトリウムループは海外にはなかなか存在しないということで必要になってくるというふうには考えておりますが、逆に、海外のためのR&Dを行うことによって国内の開発が後回しになるというリスクもございまして、そこら辺はうまく試験施設のマネジメントといいますか、工程の調整等、こういったところは必要になってくるのかなと思いますが、常陽、AtheNa、いずれも三菱重工の持ち物ではございませんので、ちょっとそこら辺はJAEAさんと協力しながらうまく振り分けて、国際協力、国内開発というのを進めていけたらなと思います。
 あと、サプライチェーンにつきましては、各メーカーさんがどうお考えかというところに依存するかと思うんですけれども、もし参入の障壁が低ければサプライチェーン維持という観点で各サプライヤーさんも出て行かれることで技術の維持は可能と思うんですが、やはり今まで国内でJISでやってきた人間がいきなりASMEですとかRCC-MRRでというのは見えないところでもちょっと障壁があって、そこら辺をサプライヤーさんも少しヘジテートされるのではないかなと思いますが、機会としてはプラスになると思っております。
 以上です。
【石川委員】  ありがとうございます。そうすると、海外事業もプラスにはなるけれども、やはり我が国でプラント建設が続くということが望ましいということかと思います。どうもありがとうございます。そのように理解をいたします。どうもありがとうございます。
【山口主査】  ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。大体ポイントはいろいろお聞きいただいたかなと思いますが、もしほかにございましたら挙手をお願いいたします。よろしいでしょうか。
 では、碓井様、どうもありがとうございました。
 では、続きまして三つ目の議題に移らせていただきます。
 3番目の議題は、次世代革新炉開発に必要な研究開発課題及び基盤インフラについてでございます。
 こちらにつきましては、資料3を用いまして、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の炉設計部長大野様、それから、高温ガス炉副センター長の坂場様より御説明をいただきます。その後で委員の皆様に御議論いただきますので、まず御説明のほう、大野様、坂場様、よろしくお願いいたします。
【大野部長(日本原子力研究開発機構)】  原子力機構新型炉部門の大野でございます。聞こえますでしょうか。
 それでは、前回、機構から革新炉の開発に必要な研究開発項目と基盤インフラと概要というものを御紹介したのですが、今回はそのうち炉開発の面、私からは高速炉開発の面で少し詳しくお話をさせていただきます。
 まずは高速炉開発です。
 まず、イントロダクションとして背景的な話を何枚かお示ししますが、今、カーボンニュートラルに向けての動きの中で、原子力、その中でも高速炉は改めて注目が集まりつつある中、2018年に国で決定された戦略ロードマップ、右上に書いておりますが、それも、ここには記載していませんが、今年になって改訂の動きもあるというところでございます。
 その高速炉は、御存じのとおりですが、このように古くから開発の歴史がありまして、常陽、もんじゅと開発されて、その常陽、もんじゅでは、成果としてここに書いたような増殖性能、炉システムに欲求される基礎・基盤技術の実証、照射場を利用した貢献、発電プラントとしての運転保守技術やナトリウム取扱技術と知見、そういったものの蓄積とか向上という面で成果を上げてきたと考えております。
 高速炉開発について海外を見てみますと、これは過去の運転実績や運転完了したものは除きまして現時点の稼働状況を示したものですが、ナトリウム冷却炉が現在稼働中であるのはロシア、インド、中国でありまして、建設中もしくはその計画段階にあるのは同じくロシア、インド、中国と、最近活発な米国であります。
 そういった中、高速炉の役割、位置づけは多様化されてきていると考えています。つまり、従来はプルトニウムを増殖利用して基幹電源とする、プラス、放射性廃棄物の減容・有害度低減であったところですけれども、下のピンクのところにありますように、新たな期待としまして、カーボンニュートラルに貢献する、そして、経済安全保障強化という側面が重要だという今の認識であります。
 特に高速炉は持続性確保というキーワードがよく当てはまるものでありまして、その面を引き立てる廃棄物減容・有害度低減というものは早期実証すること、また、再生可能エネルギー、再エネとの協調という面で、調整電源機能、機動性などが期待されるようになっていると思っております。さらには、非電力分野となりますが、医療用RIの生産・供給、特に高速炉が可能とするアクチニウム225の供給への期待というものも出てきています。このため、最近厳しくなりつつあるサプライチェーンをぜひとも再構築すべきというのも、先ほどお話にもありましたが、期待の一つにカウントされると考えます。
 前回もお見せした、7月の革新炉ワーキンググループで出された高速炉の技術ロードマップです。実用化に向けて、実証炉を2040年代の中頃に運転開始というものを目指しまして、これから概念設計と必要な研究開発を行うというものでありまして、同じく、7月、9月と開催された国の戦略ワーキンググループでは、まず、開発目標が、前回もお示ししましたが、安全性、経済性、環境負荷低減性、資源有効利用性、核拡散抵抗性、それに加えて近年の状況に鑑み柔軟性・その他市場性と再設定されまして、この目標設定と評価軸設定の下で、ここには書いておりませんが、事業者からの概念提案が技術的に評価された結果、ナトリウム冷却型の炉が開発を進める概念として最も有望とされ、下のほうに書いておりますが、2024年から実証炉の概念設計を開始すべきという提言に至っている状況でございます。
 このような背景の下で、前回概略をお示しした機構が行う必要な研究開発と基盤整備というものは重要な役割を果たすものと考えておりまして、この後、お話をさせていただきます。
 では、このページから、国内実証炉がどのような技術を採用するか、そして、評価され絞り込まれていくかという現状の中、多様な技術に対する機構のなすべき様々な研究開発とその基盤、試験施設などを紹介いたします。
 研究と施設を前回は合わせて1枚の表でお示ししたところでございますが、それと基本的に同じ内容ではありますが、より細分化、詳細化してまいりました。
 少し字が小さくて恐縮ですが、前回同様に、安全性、経済性というそういったカテゴリー順で並べていますが、まず、このページはそのうち安全性だけで1枚詳しめに記載したものでございます。
 左側の列に技術開発項目と、それから、紫色の少し小さな数字ですが、技術成熟度――TRLを示しています。このTRLの定義はこの資料の末尾に参考掲載しているので後ででも参照いただけるといいのですが、TRLは1から9で示しているもので、完成し性能確認されたものが8なので、例えば、7だと原型的システムを実証しているレベルとか、4ぐらいだと実験室環境でサブシステムを検証しているレベルだといった程度でございます。これらのTRL数値は、4年前に有識者に御意見をいただきつつ評価したものが多くありまして、そのときになかった追加項目は、今回、独自評価してまいりました。
 左側の技術開発項目のおのおのについて、右にそれぞれ2段構成で、技術の内容――どんな技術なのか、研究や試験の中身――どんな試験を実施中あるいは実施済みで成果が得られているのか、そして、各段の右下欄には今後の技術実証・性能確認をどのように行うのかということも含めて簡潔に記載したものです。
 その試験や試験装置名を色づけ表示しています。黄色――実質はオレンジっぽいものと赤い色が見ていただけますが、それは既にある既設の施設装置、あるいはまだない、つまり、今後新設すべきと考えている装置、そういったものを意味して色分けしています。また、前回、この検討会でいただいた御意見も踏まえ、国際協力を活用中、あるいは可能性のある要素につきましては緑色で記載しました。例えば、このページで申し上げますと、左枠で見て上から三つの項目、受動的炉停止、自然循環冷却、シビアアクシデント緩和、これらがそれぞれ止める、冷やす、閉じ込めるに対応する安全性関連技術であるのですが、国際協力も活用しながら黄色表示の既存試験施設を使った研究を行っており、例えば、閉じ込めるについては一部の分野では施設の新設も行った上で技術の実用化につなげていくというのが適切と考えている、そういった記載の要領でございます。
 この項目の全てについての説明は時間がないというか控えますが、次は、経済性向上に関わる技術開発を1枚にしたものです。
 左の項目名だけ見ていきますと、大型原子炉容器や大容量蒸気発生器など大型機器の成立性、性能確認を行う試験、それから次の段、炉心燃料をより長期間燃やせるようにするような開発、それを確認するための燃料や炉心材料の照射試験、そして、原子炉容器から冷却系までを構成する構造材そのものに高性能材料を採用して60年設計を可能とする、そのための構造材料規格基準に関連した試験、こういった項目も、右側に緑色で記載のとおり、国際協力を活用する部分も持ちつつ既存施設での試験研究を実施中でありまして、今後、大型ナトリウム試験施設で大型機器につきましては実証試験を行うべく、そういった施設整備も進めておるところでございます。
 次、右上のタイトルでいって3番の環境負荷低減性に関連したものとして、高速炉の一つの大きな特徴であるマイナーアクチノイド――MAの燃焼の実現、これは太い枠で囲みまして、新たなニーズに対応した研究と注記しておりますが、イントロのところで申し上げた、近年の新たな期待の一つ、廃棄物減容・有害度低減の早期実証、これに対応する技術開発項目という点で重要性があると考えております。
 そして、6番、柔軟性に関連しては、次の段ですが、再エネとの協調に向けた蓄熱システムによる調整電源機能、さらにその下は、医療用RI製造に関する技術開発、これも近年の新たなニーズに対応した研究に位置づけられると考えております。
 このように3枚示したように、高速炉実用化に向けた多様なオプションに対応し得る機構での研究開発等技術基盤は既に整備を進めているものでありまして、一定の高い技術レベルに到達していると考えており、また、そうでない場合でも高いレベルへの到達に向けた準備・整理をこのようにできていると考えているところでございます。
 開発課題です。特に試験実施を伴う課題を試験種類ごとに並べ直してみたものでございます。先ほどの3枚をまた少し整理したということです。
 左側の列に、水、ナトリウム、構造材料関係、それから大型ナトリウム試験、常陽、そういったそれぞれの種類で、その右側にどんなスペックを持つ施設にいかなる措置を考えているかということを右と中央列に記載したものであります。中央列のマル・バツ・三角は基盤となる施設があるのかないのか、整備中なのかということを示しています。最下段のピンク色の部分には、まだ施設がないのでバツなのですが、高速炉実用化への寄与や蓄熱、医療用RIなど新たニーズに対応するため、基盤となる施設を新設してもよいのではという、後でもお話ししますが、前回にも記載のあった新機能実証試験施設というものを列挙しています。
 では、ここから数枚で、先ほど3枚の表に示した研究開発課題について、全部ではないですが、取組の状況と今後につきまして、対応する試験施設も示しながら紹介します。
 まず、安全性向上の表に挙げていた項目ですが、上半分、自然循環による炉心冷却では、これまでに常陽や海外炉の実機による試験データの取得や活用を含め、冷却能力の実証とそれを評価するツールの妥当性を確認済みというところに至っておりまして、高い技術成熟度にあると。現在、そして、今後さらに評価法の妥当性確認を重ねる予定にしております。
 次の下半分、シビアアクシデントの緩和につきましては、厳しい事故想定の場合には、溶融する燃料が安定に冷却され炉内で自己終息するためには、一例としまして、溶融物がナトリウム中に落ちたときに微粒化分散する、こういった挙動が重要となるのですが、そういった重要現象を観測したり把握したりして、その評価の精度を向上させ、技術レベルを完成していくという予定にあります。
 そして、これらの研究開発を行う施設につきましては、青字で書いているところですが、既に基盤となる試験装置・施設がありまして、そこに必要な試験体を設置して、今後の技術実証データを取るということを予定している状況にあります。
 次は、ナトリウムの化学的活性ゆえに講じるべきナトリウム‐水反応の抑制について上半分に書いておりまして、その発生を早期検知するセンサー開発や、事故時の現象や影響を評価する手法の開発というものを、ナトリウム試験施設で実際に反応現象を起こす試験も実施しつつ進めています。
 下半分、燃料破損を伴うような重大事故時の放射性物質挙動につきましても、これは試験装置を新設するケースに当たりますが、試験データ取得や国際協力も現在行いながら評価手法、解析コードを整備しているところであります。
 次の2枚は経済性向上の項目になります。
 構造材料関係では、候補材に対して60年設計を可能にするための基準開発を長時間試験のデータを取りつつ進めております。そのための材料試験装置、また、耐震性を調べる試験設備も有しておりまして、引き続き活用してまいりたいと思います。
 これは、三菱さんの話にも出てきました、重要と考え、かつ、現在整備中の大型ナトリウム試験施設AtheNaを使う開発項目をまとめたものでありまして、重要なものは、大型ナトリウム機器について、物・機器によって試験形態は変わってくるのですが、左側のように原子炉容器モデルのようなものを配置して行う試験とか、右側にあるナトリウムループの中のテストセクションに動作機器をセットして性能実証するような試験。機器といっても様々であって、右下からテストセクションの部分へ破線の矢印で記載していますが、大型蒸気発生器の性能試験とか、あるいは蓄熱システムの開発のためにはナトリウムと溶融塩の間の熱交換器の性能確認試験もこういった部分に設置してこの施設で実施する、そういったイメージの試験計画も検討しているという状況にあります。
 常陽を使った開発の項目ですが、高燃焼度燃料、長寿命炉心材料、また、MA燃料、そういったものの開発に必要な照射試験、これは不可欠な項目として挙げられます。また、下のほうに書いておりますが、近年注目されている医療用RI製造、中でも高速中性子で製造可能となるがん治療に期待の高いアクチニウム225の製造、その検討も行っているところであります。
 以上のように、上に書いておりますとおり、常陽やAtheNaをはじめとする試験施設を活用していくことによりまして実証炉の開発を進めることは可能とJAEAとしても考えておりますが、その上でさらに、先ほど表で申し上げた新機能実証試験施設、実際にはこれは小型の高速炉、試験炉という形が考えられるのですが、新たな研究施設としてそういったものがありますと高速炉の信頼性をさらに向上させられる。また、新たなニーズと申し上げた事項、新たな機能、すなわち、MA燃焼の早期実現や医療用RI製造などへの道が開かれるのではという提案でございます。
 具体的には、この表にリストアップしたように、主に右側の列、新施設を使える場合のメリットというものを説明しますと、1段目、MA燃焼は、現状は左側にあるように、まず常陽、次に実証炉での照射試験や試験運転等を経てから進めるところ、新たな試験炉があれば、先行的に集合体規模、比較的大きな規模の照射試験というものが追求できれば高速炉の重要な役割である廃棄物減容・有害度低減を早期に実証をするということにつながるのではないかと。
 また、2段目、再エネとの協調、蓄熱による調整電源機能につきましては、蓄熱システムと高速炉を実際に接続して機能を実証する、そういった場が得られる。
 次の段、医療用RI製造につきましては、常陽での製造に加えて複数機体制にすることで、産業化に必要とされるRI連続供給が可能となる。
 そして4段目、また、タンク型高速炉の原子炉容器開発におきましては、小型炉用であっても早期にそういったものをつくることで製作性の知見が得られるとか、早期の技術実証につながる。
 最後の5段目、自然循環冷却など安全性の観点でも、実際の炉で確認することで技術の完成時期を早められると、このような効果があるのではという提案でございます。
 新たな試験施設で得られる効果を四つの観点で並べ直したものに相当します。
 周辺部に書いた黒枠部に示したのが、高速炉実用化の大きな目標と言えます、1番、廃棄物減容、2番、再エネ協調、3番、国民福祉向上、4番、基幹電源の高速炉実用化技術確立とそういったものに対して、中央の赤枠、多目的とも言える、多機能を持つ提案施設が貢献できるのではという提案でございます。
 さらに中心部に、人材、技術ということを浮き出させていただきました。
 このような施設を新たに設計して造るということで、厳しくなりつつあるサプライチェーンの維持・回復・発展にもつながるのではないか。常陽、もんじゅから時間がたち、人材高齢化問題も進む中、技術の維持・継承の点でも意義深いのではという、以上が高速炉パートのお話でございます。
 次のガス炉パートへ引き継ぎます。発表者交代します。
【坂場副センター長(日本原子力研究開発機構)】  ガス炉センター坂場と申します。私から高温ガス炉に関する説明をいたします。
 まず、高温ガス炉の特徴としまして二つ挙げております。優れた安全性と多様な熱利用です。
 優れた安全性という観点では、HTTRの新規制基準に基づく許認可取得の過程におきまして、炉心溶融が起こらないということが認められました。今後、大型化していく過程におきまして、HTTRの設計を踏襲することで、炉心溶融が起こらないということが認められるというふうに考えているところでございます。
 それから、多様な熱利用という観点におきましては、その名(高温ガス炉)のとおり、高温の熱を取り出すことが可能でございまして、それを水素製造、あるいは高温蒸気による化学プラントのプロセスの熱源への供給、さらには、製鉄所でありますとか化学プラントに対して所内電源としての発電――ここではグリッド接続による発電ということは検討しておりませんで、化学プラントあるいは製鉄所に対する電力供給等、そういったことを含めて幅広い熱利用が可能であると考えております。
 例えばですが、高温ガス炉250メガワットを用いた場合におきまして、燃料電池自動車約20万台の水素を供給することが可能であるという試算をしているところでございます。
 次は高温ガス炉の概要でございます。左側が原子力機構で行ってきておりました高温ガス炉技術基盤の確立という観点でございます。
 機構におきましては、950℃を2004年に達成しまして、その後、50日間の高温連続運転、その後、安全性実証試験――これは炉心の流量を全て止めるという試験ですが、こちらは震災前の12月に実施しているということであります。
 その後、震災以降、新規制基準に基づく設置変更許可の取得を2020年6月に得まして、その後、21年に運転再開、今年の1月に安全性実証試験としましてステーションブラックアウトを想定した試験を実施いたしました。今年度4月からエネ庁の受託事業としましてHTTR-水素製造プロジェクトを開始したというところでございます。ここの話に関しましては、三菱の碓井さんからの話にもあったものでございます。
 それから、右側におきまして、カーボンフリー水素大量製造技術という観点ですけれども、原子力機構におきましては、過去に幾つかR&Dを実施してまいりました。
 まず、高温ヘリウム、電気ヒーターを熱源としまして、水蒸気改質法による安定した水素製造を達成。こちらは2003年に行っています。
 さらにHTTR水素製造試験ということで、今回のエネ庁受託事業として2030年までに高温ガス炉と水素製造施設の高い安全性を有する接続技術を確立するということで、実際にHTTRの横に水素製造装置、ここは水蒸気改質を用いますけれども、これによりまして許認可等も含めた接続技術を確立していくという計画であります。
 さらに並行しましてカーボンフリー水素製造法――現行、JAEAでやっておりますISプロセス法とか、あるいはSOEC高温水蒸気電解法等々を並行して実施しまして、機構だけではないものもありますけれども、その結果の中から高温ガス炉に接続する水素製造方法として何が最も適切かということを考えていきたいというふうに考えているところであります。
 こちらは世界の状況でございまして、ここで、米国、英国、ポーランド、中国、日本と書いてありますが、まず、米国に関しましては、X-energy社というところ――ある種ベンチャーのようなところでありますけれども、DOEからの予算を基に、次の炉の計画をしているということであります。
 続いてイギリスでございますけれども、こちらはビジネス・エネルギー・産業戦略省による開発支援ということで、軽水炉はここで記載しておりません。軽水炉はもちろんやっていくということで、それ以外に、革新炉としましてはイギリスでは高温ガス炉を選定したということであります。それを用いて2030年度初頭までに高温ガス炉の実証炉を造って、水素製造を含めたものを実証していくという計画があります。その過程におきまして、今年の8月ですが、BEISが公募をかけまして、4コンソーシアムが選定されています。その一つとしましてNNLと原子力機構が参加するチームが採択されたということで、今後はフェーズA、B、Cと進んでいきますけれども、設計の進捗を深める過程におきましても国内の力を集結してこれに臨んでいきたいというふうに考えているところでございます。
 それからポーランドですけれども、ポーランドは非常に石炭をたくさん使っているような国でありまして、化学プラントで使っている石炭を熱源とする蒸気の利用部分を高温ガス炉に置き換えたいというのが、ポーランドが高温ガス炉を使いたいと言っている最初の段階になっています。
 具体的にその後の進捗なのですけれども、ポーランド国立原子力センターの中に実験炉を造るという計画で予算がつきまして、これにつきましても原子力機構が日本側の技術で造るという観点で、今後、協力を開始して、間もなく契約になる見込みという段階でございます。
 それから中国ですが、中国はやはり圧倒的な資金と人の力を用いまして、研究炉HTR-10はHTTRと似たようなタイミングでスタートしてましたが、現状、実証炉――これは210MWございますけれども、これは電気出力です。実際に250メガワット×2の熱出力のツインプラントを造りまして、グリッド接続をしたという状況であります。非常に驚異的というか、一部抜かされている感は否めません。一方、中国は750℃としての高温ガス炉ですので、技術的には日本の950℃、これを使った水素製造に関しましてはまだ日本側にアドバンテージがあるかなと思っているところであります。
 それから日本におきましては、先ほど碓井さんからの紹介にありましたとおり、NEXIPイニシアチブの中で民間企業が高温ガス炉の開発を進めているというようなところと、もちろんHTTRを用いた研究開発を進めてきたというところでございます。
 ここは、その次の炉としての考え方を書いたものでありまして、高温ガス炉実証炉と書きましたが、この実証炉の出力規模に関しては、今後、ユーザーの需要によって決定されるものと考えておりますけれども、次のスケールアップにはHTTRの技術の延長線上にあることを前提としたいと。すなわち、HTTRの熱出力は30メガワットございますので、その1桁倍である200~300メガワットが望ましいのではないかというふうに考えています。
 将来ですが、高温ガス炉を水素製造、蒸気利用等によって化学プラントなどに活用することを目的とすれば、200~300メガワットを超えて、例えば、高温ガス炉固有の安全性が失われない、すなわち、先ほどの炉心溶融しないという設計を可能とするためには、最大出力は熱で600メガワット程度までと考えています。これ以上大きくなると固有の安全性が失われていくということであります。中国で行っているように200~300メガワットの高温ガス炉をモジュール化して利用するというような考え方もあるので、こういったところを今後整理しながら、次の炉の型式を決定されていくということになるのではないかと考えています。
 実際の実用炉の規模は別途検討されることとしまして、本検討におきましては200~300メガワットをターゲットとして、今後必要となる事項――例えば、大型環状炉心の解析技術、燃料・材料規格、安全基準、大型機器の製作性・成立性、熱利用施設の接続技術等を検討していかなければならないというふうに考えています。
 標準ができましたら、出力、スケールアップ率、炉心、IHX成立性といったことで、これらは一部開発要素はありますものの、時間軸と照らし合わせたときに、大きな開発要素はないのではないかと考えている部分でございます。
 26ページ、次のページをお願いします。
 こちらは原子力小委員会の革新炉ワーキンググループで使われていたロードマップでございますが、研究開発(R&D)の箇所です。
 まずはHTTRの熱利用試験、これは既存の水素製造技術、先ほど申しましたとおり、水蒸気改質を用います。その後にカーボンフリー水素製造技術をやっていくと、それらをつなげていくということが考えられるのではないかと。現行の計画段階では水蒸気改質を用いたところまでが計画されています。
 その下ですけれども、特に設備機器の開発・実証という観点では、高温ガス炉はヘリウムガスタービンを使いますといろんな意味で効率が上がる等々メリットがあるわけですけれども、若干といいますか、開発が残されているという現状を踏まえまして、まずは2036年程度の実証炉と呼ぶかどうかはともかく運転開始を目指すとすれば、これは既にプルーブンな技術である蒸気タービンを使いたいと。これは中国では蒸気タービンを使っておりまして、ヘリウムガスタービンについてはその先の技術。例えばですが、水素タービンの技術が完成されるとすれば、その技術がそのまま使えるのではないかというふうに考えているところであります。
 規格基準に関しましても、今後整備しなければいけない部分というのがございます。
 さらに、燃料製造施設に関しましては、現行、HTTRの燃料は原子燃料工業がつくったわけですけれども、新規制基準の適合性に適しておりませんので、新たに整備するか改造するかといったようなことが必要になるということでございます。
 以上の観点から、こちらに実証炉に向けました主な課題として挙げています。
 先ほどから申し上げておりますとおり、HTTRの技術の延長線上にあるという範囲で大型化を目指して、開発要素を可能な限り少なくしたいと。それから蒸気タービン及び既存の水素製造技術等を接続して、2030年度の運転可能な実証炉を開発していくという前提で記載してございます。
 技術分野としまして、炉心、燃料、安全防災、構造、設計、熱利用とそれぞれあるわけですけれども、具体的項目は次のページで御説明申し上げます。
 28ページをお願いします。
 まず、炉心に関しましては、環状炉心の設定が必要と考えております。HTTRの初臨界のときは環状炉心の形状の下で初臨界を取りましたのでデータは存在しているんですけれども、出力状態でのデータ取得、あるいはこの技術は原子力機構では計算コードとして整備されているものの、これを民間への移転ということが必要になってくると考えています。
 燃料に関しましては、先ほど申したとおり、製造の過程においては新たな工場が必要になるということ、それから、特に高温ガス炉の大きな課題として言われております再処理技術の確立の観点におきましてですが、こちらは原子燃料工業がフレッシュ燃料を用いて燃料サイクルに載せるための前処理の検討をしていまして、そのフィージブルは確認しているのでありますが、一方で、使用済燃料を用いてこういったR&Dをしたことはございませんので、そこの部分は実際に使用済燃料が出ました後にR&Dが必要であるというふうに考えております。
 他方、諸外国におきましては、高温ガス炉の使用済燃料を全て直接処分するというような状況でありまして、米国で一部R&Dだけやっているところはありますけれども、それ以外の国におきましては全て直接処分を前提としています。
 それから、安全防災及び設計等々における規格基準というものが完全には整備されておりませんので、こういったものを整備していく必要がございます。
 それから、材料データに関しましては照射試験等々必要になってくるものもございますので、そういったものを含めて、今後、HTTRの延長線上をさらに超えて、経済性向上という観点から材料を変えるとか、そういったところであれば必要になってくるということであります。これは大きく経済性に関与する部分ですので、次の炉におきましても経済性を向上させたいという観点では照射試験が必要になってくるということであります。
 それから、最下段の熱利用でございますけれども、こちらはエネ庁からの委託費としまして今年度から事業を開始しております。具体的には次のページに御説明します。
 29ページをお願いします。
 まず、このHTTR-熱利用試験の概要でありますけれども、グリーン成長戦略に示されましたスケジュールに基づいて2030年までに実際にHTTRを用いて大量かつ安価なカーボンフリー技術に資するための技術開発を行うというものでありまして、内容としましては、HTTRを使って安全設計、安全評価技術を確立すると。これは、大きな課題として、原子力規制委員会から、原子炉の横に水素製造装置を置き、それをつなげることに関する許認可を得るということが大きな課題となります。さらに、その技術がすでに確立されている天然ガス水蒸気改質法による水素製造装置を使って実際に水素を出してみると。その過程では運転制御技術等々も確立していきたいということであります。
 そのスケジュールですけれども、下段で示したように、おおむね安全評価、それから安全審査等々に2年弱ぐらいを考えているのですけれども、こちらはHTTRにおける新規制基準適合性評価の中で炉心溶融しないということが認められたことを受けて、いかにその安全性が水素を横につけたときに加味されるかというところが最大のポイントになるのではないかと考えているところでございます。
 それから、この過程でどういった技術を開発していくかということですが、システム設計、安全評価、機器というカテゴリーで分けておりますけれども、それぞれプラントシミュレーターであるとか、特に安全評価に関しましては可燃性ガスの火災、すなわち、水素の爆発ですね。水素が横にあることにおいてその爆発等々が原子炉に対して影響を与えないという評価結果を得ること、あるいはどれだけイベントリを減らすだとか、あるいは爆発しないような形態に水素を変えることができるかといったことも併せて検討していきたいというふうに思っています。
 それから、機器に関しましては、先ほど三菱さんの発表にありましたとおり、大型化を中心としました高温隔離弁、それからヘリウムガスの配管、循環機等々の開発が今後必要になるということでございます。
 これらを踏まえまして、幾つかの技術、2ページ前に戻って、28ページのような技術を得ることによって、次の炉の2036年程度の実証炉の運転を目指していきたいというのが現行の計画としているところでございます。
 私から以上になります。
【山口主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、ここで議論に入らせていただきます。また御意見ある委員におかれましては、オンラインシステムの挙手機能を御活用ください。それで指名されましたらミュートを外して御発言いただきますようにお願いいたします。
 では、最初に中熊委員、どうぞお願いいたします。
【中熊委員】  電事連中熊でございます。御説明ありがとうございました。
 高速炉、それから高温ガス炉それぞれで質問させていただきたいのですけれども、一つは、高速炉側ですけど、新機能実証試験施設という新しい提案をいただいているというふうに認識しています。個人的には何かプロセスとしてはこういうのが必要なのかなというふうに思っていますが、7スライド目でお示しいただいたロードマップとの関係で、これをやるということになると、感覚的には実証炉より先んじてということになるとすると、スケジュール的には遅れる側にシフトしていくのではないかというふうに思うのですが、その点についての御見解を教えていただきたい。
 それから、9スライド目を見ていると、それ以外にも開発・試験研究側で新設が必要なインフラというのをお示しいただいております。8スライド目で今後の開発の作業計画というところでいうと、28年頃にはステップ3、基本設計への移行の判断というところで、ここに必要なデータですとかそういったものがそろっていないといけないということなのですけど、そことの関係というのはしっかり整合は取れているのかというところを教えていただけますでしょうか。
 それから、高温ガス炉のほうに関しましては、固有の安全性があるといったところは高温ガス炉の一番の特徴でありメリットであるというふうにも認識していますが、御説明にもあったように、スケールアップをしていけばその安全性の裕度というのは減っていく側に当然ながらいくということですので、スケールアップを考えたときに、安全基準はこれから御検討だというふうに聞いていますが、付加され得る規制要求みたいなものは何かイメージをされているのかどうかといったところを教えていただけますでしょうか。
 加えて、大型化するとヘリウムのリーク量みたいなものも相応に増えていくというふうに思うのですけれども、これは経済性にも影響すると思うのですが、そこら辺に関しての何か手当てみたいなものも検討されていれば教えてください。
 以上でございます。
【大野部長(日本原子力研究開発機構)】  ありがとうございます。JAEA大野です。
 では、高速炉側からお答えします。
 まず、新施設を提案することで実証炉の工程が遅れるということかという件ですけれども、そういうことがあるべきではないと考えておりまして、実証炉の工程はキープしつつ、その前にお金とか、それから人とか必要になるということになると思うのですけれども、研究開発の位置づけでこういった施設を造って、それで生かしていくということが必要ではないかという、そういう考えにおります。
 それから、基本設計が2028年以降、どういうステップにあるかということですけれども、9ページから書きました必要な研究開発と、それから試験施設を使った実証ということにつきましては、これの全てというわけではございませんが、基本的には多くのものは2024年から2028年の5年間の概念設計の段階に合わせて研究開発を進めるということを考えて展開しております。非常に大型機器の最終的な実証、性能試験とかそういったものは基本設計開始後というものも一部はあるという、そういう想定の下で計画を検討しているところでございます。
【坂場副センター長(日本原子力研究開発機構)】  高温ガス炉に関しまして、坂場がお答えいたします。
 まず、規制要求、付加されるものという観点でございますけれども、現行の設計に関しましては、実証炉を大型化した場合においても特段大きなものはないと考えているものの、一つ大きなポイントとしてあり得るのは、UPZ、現行30キロメートルというのを、これをグレーデッドアプローチによってどの程度縮められることができるかというのが高温ガス炉実証において一番考えなければいけないポイントであるというふうに考えているところであります。固有の安全性を認めてもらえて、これが屋内退避の必要がないというふうなところが認められるかどうか、というグレーデッドアプローチを得ていくということが一番大きなポイントと考えています。
 それから、ヘリウムリーク量に関しまして、まず、前提として、高温ガス炉は冷却材であるヘリウムのリークは認められる設計となっています。具体的に、HTTRですと0.1%パーデイまで認められています。これはインベントリにもちろん関係してくるわけでございますけれども、実際のHTTRの実績としまして、50日間連続運転のときには、ヘリウムが漏えいした場合に、ヘリウム供給設備というのも持っていまして、そこからヘリウムガスを供給するという仕組みになっているのですけれども、実際のヘリウムの供給はゼロでありまして、ヘリウムのリークはなかったという状況でございます。
 このヘリウムの技術というのは非常に高度なものが求められておりまして、過去にHENDEL、ヘリウムガスループを造ったときにはそういった技術を含めて開発してきたという経緯がございます。
 一方、中国などではすごくヘリウムが漏れているというようなことも聞こえてきますので、ここの技術を確立したというのは日本の大きなアドバンテージであるというふうに考えているところであります。
 ヘリウムのリークに関しまして、いずれにしても長期運転した場合にはゼロにはならないというふうに考えているところでありますけれども、そういった観点で、経済性にどの程度影響するかというと、ヘリウムのインベントリの喪失における全体に及ぼす経済性というのはほとんどありませんので、そういった意味でヘリウムのリークが経済性に大きく影響するということはないというふうに考えているところであります。
 いずれにしましても、今持っているヘリウム管理技術というのを日本の技術として維持管理しつつ、極力リークを起こさない設計、それから、将来、次のステップとしてガスタービンを用いたときのR&Dは並行して進めていくというようなことを考えつつ行っていきたいというふうに考えているところでございます。
 私から以上になります。
【中熊委員】  分かりました。ありがとうございます。
【山口主査】  ありがとうございます。
 続きまして、小澤委員、どうぞお願いいたします。
【小澤委員】  ありがとうございます。小澤でございます。
 高速炉、高温ガス炉、それぞれ質問させていただきたいと思います。
 1回目の会合のところで、私は増殖性能については、当面のプルトニウム量とバランスからして増殖性能はもう確認されているので少し後でもいいかなというようなニュアンスで発言したので、その辺は4ページ目のところで同じような意見だったかなと思いますが、同様の観点で、11ページを見ていただきますと、マイナーアクチノイドの燃焼については常陽ではできなくて、新しい新機能の試験炉でやって、さらにその次に実証炉を実用というステップを踏むような印象なのですけれども、これは、常陽ではできなくて、実証炉でもないここでやる意味というのはどういうところにあるのか。時間軸的には、多分、実証していくというよりは処理していくということになるのではないかなという気もするんですけど、どういう感じなのか。
 それから、RIも生成技術というのは必要なのかなとは思っているんですけれども、RI製造の炉の実証試験施設というものが必要なのかどうかというところで、これもまた常陽と実証炉の間のこの試験炉で何をやるのか、時間軸的に世間のニーズと合っているのかどうかというところが疑問ですので教えていただきたいと思います。
 高温ガス炉については、たしか前回だったか別の場だったかちょっと記憶が定かではないのですけども、燃焼度を相当レベルまで上げるような話があったように記憶しておりますので、そういった燃焼度をぐっと上げるところの課題ですね。それから、50日運転で確認できなかった、商業炉になると1年あるいは2年運転しっ放しみたいな状況が想定されるんですけれども、そういった商業レベルの経済性を達成するために、こういった高燃焼度化、それから長時間運転、通常の商業レベルの運転期間を想定して何か技術開発課題があるのかないのかというところを教えていただきたいと思います。
 私からは以上の質問です。よろしくお願いします。
【大野部長(日本原子力研究開発機構)】  ありがとうございます。
 それでは、大野から、まず高速炉についてお答えさせていただきますと、まずMAの燃焼につきましてですが、これは11ページにも書かせていただいておりますが、常陽におきましてもMA添加した燃料の照射試験とかそういったことが可能ですし、実際に実施する計画もあり、あるいはもう既に、過去にMA添加した燃料を常陽で照射試験をした実績もございます。
 ただ、新規の実験施設もあるといいのではというお話は、常陽では、ここに書いておりますようにピンレベルと書いておりますし、あるいは集合体も、対面間距離8センチという制約があり、また、高さも炉心の高さが50センチぐらいですのでそういった制約の中でのMA集合体の試験もできると考えておりますが、さらに実用化に向けて大きな体系、大規模の集合体レベルで照射試験とか試験運用をするということになりますと、実証炉を使ってそういったことをやろうという考え方もあるし、それよりも先に試験炉みたいなものがあれば先行して実施してMA燃焼を早期化することが可能ではないかという、そういうお話でございます。
 また、RI生成につきましての常陽と新施設の役割ですが、RI製造、がん治療のアクチニウム225などは連続供給が必要ということが医学会側からは求められていますので、そういう連続供給を可能とするためには、最低2基といいますか、常陽プラスもう一つ、効率的に製造を可能とするような施設、機能が必要ではないかという、そういう意味でございます。
 以上です。
【坂場副センター長(日本原子力研究開発機構)】  高温ガス炉についてお答え申し上げます。
 まず、燃焼度の件でございますけれども、実証炉の初号機に関しますと、HTTRと同様の燃料を使いたいと考えています。その後、経済性向上の観点から、120ギガワットデイパートンぐらいまでの燃焼度の燃料をつくっていくと。アメリカでは200ギガワットデイパートンというような試算もありますけれども、私どもとしましては120ギガワットデイパートンがまずは適切な範囲であるというふうに考えておりまして、そのためには現行100ぐらいまでは照射試験を実施してきているのですけれども、その先に関しましては照射試験を行わなければいけないということが一番大きな課題になってございます。
 その燃料確保をどのようにするか、その設計はどのようにするか、それから製造をどのようにするかという観点におきましては、設計に関しましてはJAEAにその技術がありまして、実際につくるところでは新規制基準を突破できれば原燃工のほうがつくれるということは確認しているところであります。
 そういう観点で、50日運転で確認できなかったところ、あるいは連続で一、二年運転しなければいけないのかということに関しましては、やはりその部分は課題であるというふうに考えています。その解決をHTTRを使って行うのか、それとも次の炉で行うのかという観点がありますけれども、いずれにしましても、そのための燃料をつくらなければいけないということがございますので、燃料をつくる燃料工場の整備というのが大きな課題になってきているというのが現状でございます。
 長期運転の中で実際の信頼性を得る、高温ガス炉の連続運転に関する信頼性を得るということに関しては、今後確認していかなければいけない解決課題の一つと認識しているところでございます。
 以上です。
【小澤委員】  ありがとうございました。
【山口主査】  どうもありがとうございます。
 続きまして、桐島委員、どうぞお願いいたします。
【桐島委員】  ありがとうございます。御説明ありがとうございました。どのような方向を目指されているか非常によく分かりました。
 私も高速炉関係とガス炉について少し質問したいのですけれども、最初に高速炉で、今日のスライド4枚目で常陽ともんじゅが出ておりました。
 常陽初臨界1977年ということで、2027年が来ると50年を経過した炉ということになります。やはり一般の国民の皆様の印象としても大分古くなってきたなという印象を持たれると思うのですけれども、この先どのぐらいハードとして使えそうだという見込みをお持ちかお教えください。年数でも運転時間でも結構です。
 次が、今日のスライドですと11枚目の比較表ですね。先ほども議論にあったMA添加燃料の製造に関してなんですけれども、これはMAを、アメリシウム等を添加する燃料の製造ですので非常に大変なものだと思いますので、新たな施設・設備が必要だというのは非常によく分かります。現状ですとやっぱりJAEAさんが先導して進めていく必要がある施設だと思います。
 今後、ピンから集合体、それも大規模な集合体レベルに移っていきたいと、その試験を新規の施設でやるんだというお話でした。このときなんですけれども、その大規模な集合体の試験に必要な燃料製造というのはどのようなスケール感なのか教えていただきたいと思っています。原燃六ケ所のMOX工場は年間130トンですけど、もちろんこんなスケールではないと思うのですけれども、スケール感を教えていただければと思います。
 大きくなってくると、当然、必要なマイナーアクチノイド量もかなり、ピンとは比べ物にならないぐらい多くなると思います。現状2グラム抽出されたと言っていましたが、恐らくこれでは足りなくなるのかなと。そうすると、新たな再処理工場のような、アメリシウム、キュリウムですかね、抽出するような再処理工場というのか分離工場というのか分かりませんが、そういったものも必要になるのかなと思うのですが、そういった施設もこのセル内燃料製造施設に含まれるのか、または、別の施設が必要になるというお考えなのか、教えてください。
 高速炉は以上でして、あとはガス炉についてですが、今日のスライドですと26ページ目、矢羽根のついたロードマップですね。これを見ていますと、現状のHTTRに水蒸気改質プラントを接続して実証すると、これは非常にやりたいというのは理解できます。原子炉の横で、御説明にもあったように、水素を安全につくれるというのを示す必要は本当にあると思います。
 一方で、2030年目標で動き出す実証炉、ここにも水蒸気改質法、天然ガス、メタンガスを原料とする水素製造プラントをつなぐという方向で、先ほどの三菱さんのスライドでも示されていましたが、こういうプランで本当に世の中から理解が得られるかなと。いわゆるブルー水素もしくはグレー水素になってしまいますのでそこはどうなのかなというのを少し思っていました。もう少し可能であればカーボンフリー水素開発というのを前倒しして、実証炉の際にはそっちがつながるようなプランというのはまだどうしても難しいのかなと。希望としてはできれば実証炉のときにはカーボンフリー水素製造がつながるような未来が見たいなと思っていたのですけれども、これは本当に難しいですかね。先ほどの重工さんの説明では2050年ぐらいに矢印が入っていたのですけれども、結構、印象としては遅いかなあという印象を勝手には持ちました。
 私の質問は以上です。
【大野部長(日本原子力研究開発機構)】  では、ありがとうございます。高速炉側、大野からまずお答えします。
 まず、常陽のこの先どのくらい運転ということにつきましては、運転の寿命とか時間というものを見積もった数字がありまして、現在は、1977年以降、トータルで7万1千時間の運転をしているのですけれども、これがまだ半分程度だというのが評価でございますので、今後も運転をしていけると。そのくらい運転していけるという、そういう評価になります。
 それから、MAに関連しまして、燃料の新施設を造る場合に燃料の製造をどうするのかとか、その規模感とか工程感、それらにつきましては、実際には燃料製造とか再処理、そういったものは次回以降のこの検討会でお示しすることになるかもしれないと思っているのですが、今お話しできるのは、これに必要な燃料製造も可能だということを中で検討しながら、工程感として可能だということを検討しながらこのお話をさしあげているところでございます。
 それから、再処理のお話もありましたが、これも今回の話題というよりも次回以降の話の中でお示しさせていただけるというふうに考えております。
【坂場副センター長(日本原子力研究開発機構)】  高温ガス炉についてお答え申し上げます。
 ロードマップに関しまして、ここでは2030年代の半ばに運転開始をしたいということを前提としまして、水素製造技術は現状プルーブンなものを使いたいとしまして、メタンの水蒸気改質法でつなげるということをまず前提としております。
 一方で、いただきましたコメントのとおり、カーボンフリーの未来を見たいというのは非常に私ども強く思っているところでございまして、どのタイミングで行うか、例えば、高温水蒸気電解であればつなげられるのはないかという意見もこのロードマップをつくる過程の中で検討しておりまして、その辺りも今後引き続き検討しつつ、高温水蒸気電解だったらできるのかということも検討しながら現実路線を踏まえつつ行っていきたいというふうに考えているところであります。
 御指摘のポイントは非常によく理解しておりますので、今後検討してまいりたいと思います。ありがとうございました。
【桐島委員】  ありがとうございました。よく分かりました。
 高速炉のところで、常陽、今まで7万時間で、これからあと7万時間ぐらいやりたいということでしたけれども、ざっくりあと何年ぐらいという見通しはあるのですか。7万時間をどのぐらいの年数でというのは。
【大野部長(日本原子力研究開発機構)】  すいません、今ちょっと御質問全部を聞き取れなかったのですけれども、今後、照射試験とかをする計画といたしましては最低限10年、その計画というものは持っております。
【桐島委員】  分かりました。ありがとうございました。再処理関係は、次回、ぜひ質問させてください。
 桐島から以上です。ありがとうございました。
【山口主査】  続きまして、出光委員、どうぞお願いいたします。
【出光委員】  では、まず高速炉のほう、これは、今、桐島先生が言われていた関係なのですが、MAの取扱施設も現状かなり老朽化していて、AGFもCPFも40年を超えていると思いますけれども、今後は多分、ネプツニウム、アメリシウムはまだ良いのですが、キュリウムを入れていく施設というのはかなり設計等大変になると思いますので、この辺り、次回、また詳しくお伺いしたいと思います。
 それから、高温ガス炉関係なのですが、先ほども高燃焼度化の話もありましたが、高温ガス炉の燃料のPIEというか照射後試験ですね、この関係の設備とこれまでの研究といいますか、そういったものがどうなっているかというところも少し情報提供いただければと思います。
 あともう一点、燃料製造についてもいろいろ大変だということは理解しておりますが、基本、高温ガス炉なのでウラン燃料でやっていますが、これをMOXにしていくとかそういう考え方がありますでしょうか。もしMOXにするとプル入れてという話で、新しくプル燃料開発室などにそういったものが必要になるかと思うのですが、こういったものについてどういうお考えかお聞かせいただければと思います。
 以上です。
【坂場副センター長(日本原子力研究開発機構)】  坂場よりお答え申し上げます。
 まず、高温ガス炉で今使っている燃料のPIEに関しましては、まず、HTTRに関してPIEそのものというのは、今後、一次燃料がまだ入っている状態ですので、それを取り出した以降に検討したいと思っているところであります。
 一方で、ヘリウムガスの中での循環放射能量は極めて少ないという現状でありますので、ここは大きな問題にはなっていないのではないかと推測しているところであります。
 さらに、カザフスタンの炉を用いまして、100ギガワットデイパートンまでの燃焼の後のPIEというのを実際に実施しておりまして、その中でも初期破損を超えた追加破損というものは生じていないというようなことも分かってきているところであります。
 いずれにしましても、まだ初期燃料が入っているところでありまして、HTTRに入れる前にはJMTRで長い照射を行って、そのときのPIEは実施しておりましたが、今後、御指摘のポイントにつきましてR&Dを進めたいというふうに思っているところでございます。
 それから、MOXに関するところでありますけれども、こちらは机上の検討は一部、研究でやっているところでありますけれども、そのニーズとか今後の展開も含めまして、必要であるかどうかというポイントからの議論になるかと思いますので、その辺を踏まえて今後検討していきたいというふうに思っているところでございます。
 以上です。
【出光委員】  ありがとうございました。
【山口主査】  では、続いて和田委員、どうぞ。お願いいたします。
【和田委員】  ありがとうございます。和田でございます。御説明ありがとうございました。
 全体的なコメントになりますけれども、先ほどから時間軸の話が出ていますけれども、三菱重工さんの御説明にもありましたように、サプライチェーンや技術、人材の維持には早期のプラント建設が必要になるかと思いますので、そのための研究開発、基盤整備に期待したいと思っております。
 早期建設に向けては、常陽やHTTRの新規制基準の審査の実績を踏まえてさらに新たな技術課題を整理して、早い段階で規制側と審査基準整備の検討が進められるよう、実証炉の円滑な審査につなげていただければと思います。
 あと一点、高温ガス炉についてですけれども、御説明にもありましたように、既に中国で実証炉が稼働していますので、日本も遅れを取らないように進めていただきたいと思っております。開発に当たってはユーザーのニーズが大事になってくると思いますけれども、ユーザーが誰なのか、また、どのようなニーズがあるかによって稼働率など経済性も大事になってくるかと思いますので、ぜひユーザーニーズを考慮して開発を進めていっていただければと思います。
 以上でございます。
【山口主査】  ありがとうございました。今のはコメントといいますか、御意見ということで特に質問ではなかったかと思いますが、よろしいでしょうか。
【和田委員】  はい。
【山口主査】  JAEAのほうから何か御意見とか御発言ございますか。今の点について。審査の話ですとかユーザーニーズの話とか。
【大野部長(日本原子力研究開発機構)】  いただいた御意見はごもっともというふうに思いますし、よく踏まえて御期待にお応えできるようにしたいと思っております。
【和田委員】  よろしくお願いいたします。
【坂場副センター長(日本原子力研究開発機構)】  坂場です。ユーザーという観点で、高温ガス炉は従来の電気事業者ではなくなってくる部分が多分にございまして、オペレーターは電力じゃないとできないとは思うのですけれども、そういった観点で水素のユーザーを、水素に関しましてはとにかくその時点で一番安い水素が欲しいというような意見を多く聞くところでございますので、そういう観点で大量かつ安価な水素製造法を目指していきたいというふうに考えております。ありがとうございました。
【和田委員】  ありがとうございました。
【山口主査】  ほかにはいかがでしょうか。御発言ございますでしょうか。
 今のところ手は挙がっていないようですが、もし何かございましたら。あるいは、資料1の一番最初の論点、そういうところとかも含めてでも結構でございますが、何か御発言ございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、活発に御議論いただいてありがとうございました。それから、幾つか再処理、燃料関係のところでも御質問、御意見いただいたところ、これは次回にそれをテーマとして扱わせていただきますので、そのときに改めて御議論いただきたいと思います。
 それでは、特にほかに御発言ないようですので、以上をもちまして本日の検討会を終了したいと思います。
 最後に、事務局から連絡事項がございます。事務局のほうからお願いいたします。
【宮川課長補佐(事務局)】  事務局でございます。本日は委員の皆様に活発に御議論いただきまして、第1回に引き続き誠にありがとうございます。
 次回の日程についてお知らせいたします。
 第3回検討会になりますけれども、11月8日火曜日10時から予定しております。
 また、前回と今回の議事録の確認であったり、次回の開催案内の詳細につきましては、また御連絡をお送りさせていただきますのでどうぞよろしくお願いいたします。
 また、本日、音声等不具合ございまして大変御迷惑をおかけしましたので、次回以降に関しては改善して対応させていただければと思います。
 事務局からは以上でございます。
【山口主査】  ありがとうございます。
 では、本日、皆様、どうも御苦労さまでした。
 以上をもちまして、本日の議事全て終了とさせていただきます。誠にありがとうございました。これにて閉会といたします。
 
―― 了 ――

お問合せ先

研究開発局原子力課
電話:03-6734-4166
Email:genshi@mext.go.jp