革新的将来宇宙輸送システム実現に向けたロードマップ検討会(第1回) 議事録

1.日時

令和2年11月5日(木曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

新型コロナウィルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 革新的将来宇宙輸送システム実現に向けたロードマップ検討会について
  2. 我が国の宇宙輸送に係る国内の主要動向について
  3. 宇宙輸送に係る国外の主要動向について
  4. その他

4.出席者

委員

遠藤 守 【主査】
青木 一彦
渥美 正博
石田 真康
稲谷 芳文
大貫 美鈴
小川 厚
新谷 美保子
竹森 祐樹
津田 佳明
中須賀 真一
永田 晴紀
福島 康仁
牧野 隆
武者 智宏
村上 裕史

文部科学省

研究開発局長  生川 浩史
大臣官房審議官  長野 裕子
宇宙開発利用課企画官  笠谷 圭吾
宇宙開発利用課課長補佐  渡邉 真人
宇宙開発利用課課長補佐  岡屋 俊一

(説明者)
内閣府
 宇宙開発戦略推進事務局
  参事官  中里 学

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
  副理事長  佐野 久
 研究開発部門
  第4研究ユニット長  沖田 耕一
  CALLISTOプリプロジェクトチーム チーム長  石本 真二
 宇宙輸送技術部門
  事業推進部 計画マネージャ  清水 文男

5.議事録

【事務局(笠谷企画官)】 オンラインでの開催になっておりますが、委員の皆さまにはお忙しいところお集まりいただきまして誠にありがとうございます。御礼申し上げます。
 本年、5月19日開催の第56回宇宙開発利用部会において提言が取りまとめられました「革新的将来宇宙輸送システム実現に向けたわが国の取り組み強化に向けて」に関して、ロードマップ策定を本年度秋に検討を着手するということになりましたので、このたび文部科学省研究開発局におきまして革新的将来宇宙輸送システム実現に向けたロードマップ検討会を設置いたしました。本日はその最初の会合となりますので、議事進行につきましては、主査にお渡しするまでは事務局のほうで進めさせていただきます。
 議事に先立ちまして、まずは、本日ご出席いただいております委員の皆さまのお名前を五十音順で事務局から紹介させていただきます。16名の方々に委員をお願いしております。本日は委員皆さまにご出席いただいております。また、今回の検討会の主査として、遠藤さまにお願いしていますことをご紹介させていただきます。
 最初の会合ですので、事務局からの委員お1人お1人のご紹介の後に、委員の皆さまから簡単なごあいさつをお願いしたいと思います。
 それでは、委員の方々お1人ずつ紹介させていただきます。
 まず、スカパーJSAT株式会社執行役員経営企画部門 部門長補佐の青木委員さまでございます。青木委員、「映像を映す」に設定いただいて、一言ご挨拶をお願いいたします。

【青木委員】 スカパーJSATの青木でございます。当社は1989年の初号機からこれまで約30年間で33機の衛星を打ち上げております。現在、これまでの衛星に対する設備投資は約8,000億円となり、これから、このロードマップ検討会の主眼となる2040年までの間を見据えると5,000億円程度の投資をすることになる計算になりますので、今回将来宇宙輸送システムのロードマップの検討に加えていただいたことは、私どもの2040年を見据えた場合の宇宙ビジネスのロードマップの検討に役立つと考えております。何とぞよろしくお願いいたします。

【事務局(笠谷企画官)】 青木委員ありがとうございました。
 引き続きまして、三菱重工業株式会社シニアフェロー 防衛・宇宙セグメント技師長の渥美委員、よろしくお願いいたします。

【渥美委員】 三菱重工の渥美でございます。当社はご存じのように、打上げ輸送サービスのほうを現状行っておりますので、この観点ということと、加えて、2013年に行いました将来宇宙輸送の長期ビジョンの委員もしておりましたので、その観点も含め、いろいろな議論をさせていただければと思っております。よろしくお願いいたします。

【事務局(笠谷企画官)】ありがとうございます。
 引き続きまして、A.T.カーニー株式会社プリンシパル、一般社団法人SPACETIDE代表理事兼CEOの石田委員、よろしくお願いいたします。

【石田委員】 石田です。どうもこんにちは。よろしくお願いします。
 私は昨年のこの前身の検討会のときにもお世話になり、引き続きこのような議論に参加をさせていただき、大変うれしく思っています。
 来年は国内・海外ともNew GlennやVulcan等打上げ想定になっている新型のランチャーもあり、やはり10年、20年見据えたときに、非常に革新的な取り組みが進んでいる状況だと思いますので、今回の議論に続いて、日本として世界に出しても恥ずかしくない大きなビジョンが描ければと思います。よろしくお願いします。

【事務局(笠谷企画官)】 ありがとうございました。
 引き続きまして、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構参与の稲谷委員、よろしくお願いいたします。

【稲谷委員】 稲谷です。本日はありがとうございます。
 私は、少し紹介させていただきますと、この1年半から2年間ほどかけて宇宙輸送のコミュニティーの皆さまに集まっていただいて、H3ロケットができた後、日本では何するのか、という議論をさせていただいております。結果として、宇宙基本計画の改訂、及び、文部科学省のいろいろな議論に反映させていきたいと思っています。
 生川局長をはじめ、こういうことを取り上げていただいて、この会合にたどり着けたこと、大変感謝しております。
 既に議論も出ておりますが、やはり10年、20年先の、次の大きな目標をどうするか、あるいは、日本のためにどうするか、というようなことを、宇宙輸送の先達が築いてきたものを基に、この場で是非議論していただきたいと思っており、私も全力を尽くせればと思っています。
 大事なこととして、国がこれまで主導してきた宇宙開発・宇宙輸送から、可能であれば民間が中心になって、できればそこに大きなマーケットがあるという形で、有人輸送等も視野に入れた大きな目標の議論ができればいいと考えており、その観点で議論に参加できれば大変ありがたいと思いますので、よろしくお願いします。
 以上です。

【事務局(笠谷企画官)】 稲谷委員、ありがとうございます。
 続きまして、公益財団法人宇宙少年団、専務理事の遠藤委員、よろしくお願いいたします。

【遠藤主査】 遠藤です。公益財団法人日本宇宙少年団の専務理事をしております。以前はJAXAでロケットの研究開発に長く携わっておりまして、現在、小型衛星の打上げを目指す事業者スペースワンという会社の顧問も務めております。やはり私自身、長らく宇宙輸送の分野に携わっていますので、このような場で議論をさせていただくこと、大変うれしく思っております。どうぞよろしくお願いします。

【事務局(笠谷企画官)】 ありがとうございます。遠藤委員、ありがとうございます。
 続きまして、スパークス・イノベーション・フォー・フューチャー株式会社、シニアバイスプレジデントの大貫委員、よろしくお願いいたします。

【大貫委員】 こんにちは。スパークス・イノベーション・フォー・フューチャー株式会社の大貫美鈴です。
 これまでは宇宙ビジネスコンサルタントとして宇宙産業を立ち位置に、宇宙の事業開発や市場開発に携わってきましたが、この春4月から宇宙ファンドの立場で、企業家の挑戦と伴走して宇宙産業の発展に貢献できたらということで活動をしております。
 今回、検討会にお声を掛けていただきましてどうもありがとうございました。私にできることは非常に限られておりますが、世界でも限られた国しか持っていない勝負ロケット、勝負エンジンを保有している国として、今回の検討会ではシステムの検討、システムのロードマップに加えて、サービスを議論するような場になればと思って期待しております。よろしくお願いします。

【事務局(笠谷企画官)】ありがとうございました。
 引き続きまして、株式会社本田技術研究所、執行役員兼先進技術研究所所長、小川委員、よろしくお願いいたします。
 すみません。ただ今、小川委員との回線を確認中でございますので、一度先に行かせていただきます。
 引き続きまして、TMI総合法律事務所、パートナー弁護士の新谷委員、よろしくお願いいたします。

【新谷委員】 弁護士の新谷と申します。よろしくお願いします。
 私は400人から500人程度弁護士がいる法律事務所に所属しており、宇宙・航空チームというものを率いて、日々宇宙ビジネスを支える仕事をさせていただいております。スペースポートジャパンという一般社団法人の設立理事もしており、海外の打上げ事業者との会話も頻繁に行っております。
 海外の動向もにらみながら、日本としてどのようなことをしていくべきか、将来のことを見据えたロードマップを検討させていただけるということで、わくわくした気持ちで参加しております。いろいろ勉強させていただければと思いますし、プラクティショナーとして何か提言できることがあればと思っておりますので、よろしくお願いします。

【事務局(笠谷企画官)】 ありがとうございます。
 引き続きまして、株式会社日本政策投資銀行、業務企画部イノベーション推進室長兼担当部長の竹森委員、よろしくお願いいたします。

【竹森委員】竹森です。よろしくお願いします。政策投資銀行でございます。
 将来宇宙輸送システム小委員会から引き続き入らせていただきます。ありがとうございます。今、銀行でイノベーション活動を統括しておりますが、キャリアの中で15年ほど航空や宇宙に専門で携わらせていただいています。遠藤主査とご一緒で、小型ロケットやispace、他には、最近では空飛ぶ車というようなものについても、事業化に携わさせていただいております。
 話が少しずれますが、私ども銀行は今、コロナ対応で非常に大変な状態になっています。別途、グリーンイノベーション戦略会議等、2050年をめがけて、さまざまなクリーンテクノロジー等を議論しております。また、今の広い意味での航空業界においては、非常に厳しい状況ですが、生き残り策や次世代技術について、方向性等含め、いろいろな議論がされています。
 いろいろと時代の流れが変わってきていると思いますが、そのように変わってきている時代の潮流をしっかりと捉えて、最大限そのような生き残り策や次世代技術等のようなものを取り入れながら、想像力を持って現実的にロードマップを引いていくといったようなところで、微力ながらお手伝いできればと思っております。
 本日は、次の都合がありまして、1時間程度で抜けますが、ぜひよろしくお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【事務局(笠谷企画官)】 ありがとうございます。
 引き続きまして、ANAホールディングス株式会社グループ経営戦略室事業推進部長の津田委員、よろしくお願いいたします。

【津田委員】 ANAホールディングスの津田でございます。
 DBJの竹森さんからもあったように、エアライン業界は今すごく大変な状況になっており、ここからどのように現状を抜けて、次に行くかという議論をしていますが、コロナが流行する前から、エアラインとして、旅客機ビジネスの次に来る次世代のモビリティビジネスをいろいろと探していく中で、宇宙というのも一つの大きな軸として、3年前から宇宙のプロジェクトを自社内で組んでやってきました。
 輸送に関わるところとしては、この宇宙機のオペレーションに非常に興味があり、エアラインが培ってきたノウハウがいろいろと発揮できるのではないかという仮説を持っております。例えばPDエアロスペースに出資しながら整備士も派遣して、有人宇宙機の開発に関わるような取組もやってきており、有人宇宙の輸送に興味があります。
 もう一つは、宇宙機の打上げの支援のようなビジネスです。先ほど新谷さんから宇宙港の話もありましたが、スペースポートジャパンにも以前から参画させていただいており、アジア初の宇宙港を何とか日本に持ってきて、そこで打上げをする人たちの支援をしたいと考えております。ヴァージン・オービット社との業務提携を既に結び、いろいろと話をしております。あとは、衛星データの活用ができないかと考えており、飛行機もある意味、超超超低高度衛星の一つとみなして、衛星データ等との連携等で何かできないか、あるいは、遠隔操作型分身ロボットであるアバターのビジネスも始めていますが、アバターの宇宙利活用のような軸でも宇宙と関わっております。
 ここで幅広くいろいろと勉強しながら、自分のビジネスにも活かしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

【事務局(笠谷企画官)】 ありがとうございました。
 続きまして、東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻教授の中須賀委員、よろしくお願いいたします。

【中須賀委員】 どうも皆さん、こんにちは。中須賀でございます。
 昨年来、ご存じのように、新しい宇宙基本計画を基本政策部会の部会長として作ってまいりました。大事なことは、今できることの延長線で将来を考えるのではなくて、将来社会にとって何が必要で、何がある種の産業あるいはビジネスになっていくかということをしっかり考えて、それに技術開発が必要であれば、新しい技術にどんどん挑戦していくという、この姿がすごく大事だということで、そういった観点を基本計画に盛り込ませていただきました。衛星の世界では衛星開発・実証プラットフォームという新しい構造を入れましたが、ロケット、輸送系の世界でもそのような新しいロードマップを作っていこうということを基本計画の中にも盛り込ませていただきました。
 加えて、もう1点大事なこととして、アメリカ等でも既にそのようなやり方になっておりますが、国だけのお金で宇宙開発をやるという時代ではなく、民間の力も最大限活用することによって、みんながWin-Winになるような宇宙開発像をつくっていかなければいけないということで、技術だけではなくやり方も含めて、このロードマップ検討委員会で議論ができればありがたいと思うところです。どうぞよろしくお願いいたします。

【事務局(笠谷企画官)】 ありがとうございました。
 続きまして、北海道大学大学院工学研究院副研究院長兼研究院機械・宇宙工学部部門教授の永田委員、よろしくお願いいたします。

【永田委員】 北海道大学の永田と申します。北海道大学で20年来、ハイブリッドロケットの開発に取り組んでおります一方、そろそろこの技術を使った事業展開という方向にも動いております。ですので、ベンチャー企業、それから大学研究者の立場から、いろいろとこの議論に参加させていただきたいと思っています。
 また、もう一方で、大学としては、ベンチャーでこれからどんどん研究開発に携わっていく人材を供給していくことも非常に大きな役割だと思っておりますので、そのような体制も北海道大学の中に今つくりつつあるという状況です。
 前回の委員会から引き続き参加させていただきます。よろしくお願いします。

【事務局(笠谷企画官)】 ありがとうございます。
 続きまして、防衛省防衛研究所政策研究部グローバル安全保障室主任研究官の福島委員、よろしくお願いいたします。

【福島委員】 よろしくお願いいたします。防衛省防衛研究所の福島と申します。防衛省のシンクタンクで、特に、安全保障の観点から宇宙政策の研究をしております。
 ご承知のとおり、非常に今、世界的にも、日本においても、安全保障という観点において、宇宙活動は大きな転換点に来ております。昨年、アメリカにおいては宇宙軍が設立され、日本においては航空自衛隊に宇宙作戦隊が発足したという状況にあります。
 今後、10年、20年を考えますと、さらに大きな変化が安全保障面においても、宇宙活動に関して起きるということが予期されておりますので、そのような点について私自身も考えながら何か議論に貢献させていただければと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

【事務局(笠谷企画官)】 ありがとうございます。
 続きまして、株式会社IHIエアロスペース代表取締役社長の牧野委員、よろしくお願いいたします。

【牧野委員】 皆さん、こんにちは。IHIエアロスペースの牧野です。
 昔話を少しだけすると、39.5年前、私は宇宙科学研究所の学生でありました。その年、1981年4月にスペースシャトルのコロンビアが初飛行しております。そのときから新しい革新的宇宙輸送システムをつくろうと心に決めてきていますが、いまだに実現せずというところで、そろそろ人生の終焉を迎える中で、少しは後輩たちの力になろうかと思って参加しております。皆さん、よろしくお願いいたします。

【事務局(笠谷企画官)】 牧野委員、ありがとうございます。
 続きまして、三井物産株式会社モビリティ第二本部輸送機械第四部部長の武者委員、よろしくお願いいたします。

【武者委員】 三井物産の武者と申します。よろしくお願いします。
 弊社では、本年の6月に衛星事業者に対してロケットの空きスペースを紹介して、打上げを支援する衛星ライドシェアビジネスを手掛けるアメリカのSpaceflight社に出資しています。
 現在、さまざまな宇宙事業者、衛星事業者の間をつなげる打上げ支援を行っているところです。当社では、そうした活動を通じて見えてくる世の中の動きも踏まえて、商社ならではの事業化、ビジネス化というような観点を見据えての問題提起や提言ができればと考えていますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。

【事務局(笠谷企画官)】 ありがとうございます。
 続きまして、株式会社三菱UFJ銀行執行役員戦略調査部長兼株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ執行役員リサーチ&アドバイザリー企画部長の村上委員、よろしくお願いいたします。

【村上委員】 村上でございます。よろしくお願いします。
 私のところでは、戦略調査部という部署で産業のリサーチからお客さまへの提言までやっているところですが、最近やはり事業・業界の壁が崩れてきており、従来のリサーチのやり方だけでは通用しなくなってきております。
 この中で、一つはオープンイノベーションで、実は私のところで大阪にイノベーションセンターをつくることにして、今立ち上げをやっておりますがスタートアップさんの力を使いながら、産業全体のにぎわいをやっていくことが一つです。もう一つは、やはり事業が今後宇宙に向かっていくと思っており、日本の企業さんの素晴らしい要素技術がこの宇宙に向かっていくのだろうと見ております。
 こういう中で金融機関として何がお手伝いできるか、これから勉強でございますが、ぜひ皆さまよろしくお願いしたいと思います。どうもよろしくお願いします。

【事務局(笠谷企画官)】 ありがとうございました。
 それでは続きまして、本日の資料ですが、議事次第の4.のとおりです。オンライン状況について音声がつながらない等の問題点がございましたら、事務局へメール・電話等でご連絡ください。オンラインシステムの運用上の注意事項等は事前送付した運用の手引きをご参照ください。
 事務連絡は以上となります。
 続きまして、本日初回の会合でありますので、当研究開発局長の生川から一言皆さまにご挨拶がございます。局長よろしくお願いいたします。

【生川研究開発局長】 研究開発局長の生川でございます。
 革新的将来宇宙輸送システム実現に向けたロードマップ検討会の開会に当たりまして、事務局を代表して冒頭一言ごあいさつを申し上げます。
 まず、委員の先生方におかれましては、日頃より宇宙開発事業にさまざまな観点からご協力をいただいておりまして誠にありがとうございます。そして、今回お忙しい中、本検討会の委員をお引き受けいただき、また、現在もコロナ禍でのオンライン開催ではございますが、委員の先生方全員に本日はご出席をいただいております。心から感謝を申し上げたいと思います。
 文部科学省はわが国の宇宙開発の黎明(れいめい)期から宇宙開発事業の推進に力を尽くしてきたところでございます。特に、全ての宇宙活動のもの、入り口となります宇宙輸送機、ロケットについては、約65年前のペンシルロケットの打上げから現在の基幹ロケットの連続打上げ成功、それから、H-ⅡAロケットの開発へと推進をさせてきていただいているところであります。わが国のロケットは日本の強みであります正規のものづくり技術により、これまで他国と比較をしても、非常に高い打上げ成功率を誇ってきているところであります。
 このような中で、文部科学省は本年1月に宇宙開発利用部会の下、将来宇宙輸送システム調査検討小委員会を立ち上げて、将来宇宙輸送システムの国際競争力強化に向けた幅広な議論を行っていただき、その結果を5月に提言として取りまとめたところであります。
 本日の検討会は、この提言に基づいて革新的将来宇宙輸送システム実現のためのロードマップ構築を目標として、文部科学省研究開発局長の諮問委員会として立ち上げをさせていただいたものであります。
 このロードマップ構築に向けて、ユーザーの観点、モビリティの観点、輸送技術の観点、事業性の観点、安全保障の観点等々、宇宙分野に限定せずにさまざまな領域の有識者の方々にご参加をいただき、幅広いご議論をぜひ行っていただきたいというふうに考えているところであります。
 昨今、海外ではSpace X等、宇宙輸送ビジネスを行うさまざまな企業が現れ、打上げサービスの形態に大きく変化をしてきていると認識しております。
 このような中で、わが国の宇宙輸送システムが世界をリードし、また、世界の中で勝っていけるよう、文部科学省としてもしっかりとしたロードマップを取りまとめ、それに従って取組を抜本的に強化してまいりたいと考えております。先生方の忌憚のないご意見を頂きながら、中身の濃い検討を進めてまいりたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。
 以上、簡単ではございますが、冒頭の挨拶に代えさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。

【事務局(笠谷企画官)】 局長、ありがとうございました。
 続きまして、検討会において、共に参加いただくJAXAを代表して、JAXAの佐野副理事長から一言ごあいさつお願いいたします。

【JAXA佐野副理事長】 ご紹介いただきましたJAXA副理事長の佐野でございます。まず、この検討会を設置していただいた生川局長にお礼申し上げます。どうもありがとうございます。
 本検討会では、委員の皆さまのご議論を基に、JAXAと文科省さんとで将来宇宙輸送システムのロードマップのたたき台を委員の皆さまにお示ししてまいります。先ほど委員の先生方の自己紹介をお聞きしました。元JAXA副理事長で、輸送技術部門ご出身の遠藤主査を筆頭に、宇宙輸送サービスメーカー、衛星利用企業、モビリティメーカー、防衛省、金融業、法律家の皆さん、それから総合商社、アカデミア、と本当に幅広い領域の方々の先生方にお集まりをいただきました。ぜひ多角的な観点からご議論いただきまして、日本の宇宙輸送技術の向上、新たな産業市場の創出、安全保障に資するロードマップにしてまいりたいと思います。委員の先生方の活発なご議論を何とぞよろしくお願い申し上げます。
 簡単ではございますが、私からのごあいさつとさせていただきます。

【事務局(笠谷企画官)】 ありがとうございます。
 それでは、以降の議事進行を遠藤主査にお渡しさせていただきたいと思います。それでは、遠藤主査、よろしくお願いいたします。

【遠藤主査】 ありがとうございます。
 改めまして、主査の、ご指名いただきました遠藤です。どうぞよろしくお願いいたします。
 私、先ほど自己紹介で、ロケットの研究開発に長く携わってきたと申し上げましたが、ちょうど45年になります。この検討会においては、私は私のこの45年を全て忘れて取り組もうかと思っておりますので、よろしくお願いします。
 この会、ロードマップについて、本年5月に、私も務めております将来宇宙輸送システム調査検討小委員会におきまして、中間取りまとめとして、革新的将来宇宙輸送システム実現に向けたわが国の取組み強化に向けてという提言をまとめました。この間には、先ほども委員の先生方からご発言ありましたように、今回の委員の先生方も何人かご一緒にまとめさせていただいております。この中で、文科省が中心となってトップレベルの研究開発ロードマップを策定することが重要であるということを提案しておりまして、それを受けて、この会が設置されたと認識しております。
 この内容につきましては、後ほど事務局からご説明をいたします。この会はこれからしばらく数回にわたって情報共有のために報告が続きますが、その会議、皆さまとこの会の検討の視点、それから進め方を含めて、ご意見を賜りながら進めていきたいと思っております。
 また、せっかくの機会ですので、少し漠然としておりますが、この会の主査を務めるにあたって、私の思いを一言申し上げたいと思います。
 陸・海・空に続く、宇宙を第4の活動領域として考えて、その基盤となる宇宙交通システムの概念はどうあるべきか。また、それを実現するためのステップはどうあるべきかを考えていきたいと思っております。ここであえて「宇宙交通システム」という言葉を申し上げたのは、単に地上から宇宙に行くということのみならず、地上から宇宙を経由して、また地球へ、あるいは他の天体へと、宇宙の輸送全体を地上の交通システムとシームレス、また、地上の経済活動と一体として捉えるような時代が来たのではないかと私は認識しており、今後20年という時代を考えると、このような概念をわれわれでつくり上げて、新しい研究開発の道筋を示したいと思います。皆さまのご協力を経て検討会を進めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 それでは、早速議事に入りたいと思います。
 1つ目の議題は、革新的将来宇宙輸送システム実現に向けたロードマップ検討会についてです。事務局からお願いします。

【事務局(笠谷企画官)】 文部科学省宇宙開発利用課企画官、笠谷でございます。
 それでは、議題1の、まず説明をさせていただきます。資料は、資料1-1-1から1-1-4まで、文部科学省笠谷から説明させていただきます。
 少し順序が入れ替わって恐縮ですが、まず、資料1-1-4をご覧ください。こちらは、先ほど来、委員の皆さまのご挨拶等でもご紹介されておりますが、文部科学省宇宙開発利用部会の下に将来宇宙輸送システム調査検討小委員会というものを置き、本年5月に、革新的将来宇宙輸送システムについて、提言として取りまとめたものでございます。
 簡単に紹介させていただきますと、まず、1のほうで、宇宙輸送システムについて、インフラとして自立性確保がわが国の宇宙政策の基本であるということと、そして、将来にわたり宇宙輸送システムの能力を維持・強化し、安全保障、経済成長や科学技術イノベーションにつなげるため、再使用型宇宙輸送システムを含めて、将来宇宙輸送システムの発展等により、革新的な将来宇宙輸送システムの実現が必要ということを緒言でまとめております。
 その後、2.のほうでは現状について確認を行い、そして、また次のページ、3.のほうでは今後の課題等ということで6回にわたって検討しましたが、最終的には4.の今後の取り組み方策ということで、この5月の時点で今後やっていくことということで取りまとめております。
4.(1)基幹ロケットの維持・強化ということで、現行の基幹ロケットHⅡ-A/B、来年度にはH3もでき、そしてイプシロン等、それらについて当面の間、唯一の宇宙空間にアクセスできる手段として、技術の高度化、各種基盤・関連インフラの着実な維持により継承・強化していくということを確認しています。そして(2)、革新的将来宇宙輸送システムの実現として、これらの観点でやっていきましょうということで、まず、丸1については、研究開発課題の設定と進捗管理をしっかり行うということで、複数の研究開発課題を設定し、それぞれの技術的成立性、コスト見通し、わが国としての優位性、将来の拡張性等の観点に基づき、選択と集中を図りつつ進捗管理を行っていくとしております。また、研究開発課題については、将来のイノベーションを生み出す難易度の高い挑戦的なものを含めて技術候補を明確化するとし、考えられる個別技術の例ということで、エアブリージングやLNGが掲げられております。また、丸2について、ロードマップの策定ということで、まさに今、検討会を始めていますが、文部科学省が中心となって策定していくということが謳われ、さらに、このプログラムをどのように進めていくかという点で、丸3共創体制として、オープンイノベーションの構築ということで、ユーザー・他業種を含む幅広い産学官の主体の参画によるオープンイノベーションの共創体制を構築していくとしております。加えて、丸4研究開発マネジメントの推進ということで、JAXAが中心となってベンチマーキングを定めて、そして、評価を行って、変化の激しい内外動向に迅速に対応できるように進めていくと記載しております。
 そのようなことで、まず、本年5月にこの提言をまとめさせていただいたところでございます。
 引き続きまして、資料1-1-1をご覧ください。これはまさに本会議の設置の趣旨等が書いてありますが、今ほど私が申し上げましたとおり、提言において、文部科学省は中間取りまとめを行い、また、この成果は、先ほど中須賀委員もおっしゃられましたが、宇宙基本計画及び工程表に盛り込まれております。それらを受け、今ほど掲げられた留意事項等を踏まえて、研究開発の状況だけでなく、政策ニーズ、市場動向を踏まえながら内外の調査分析を着実に行い、適宜必要な見直しを図りながら、また、これに協力して、各種方針策定と研究開発活動の実施のため、必要な調査分析・研究開発等の事業計画や組織機構の立案を別途JAXAにおいて技術ロードマップ検討として進めるということで、文部科学省においてロードマップを進めるとともに、JAXAにおいては、より詳細な技術ロードマップについても検討を行うということになっております。
 また、2.ロードマップ検討会での検討事項ということで、遅くとも2040年代前半までに抜本的低コスト化等も含めて、革新的技術による革新的将来宇宙輸送システムを実現することを目標として、次の事項を検討するとしております。(1)将来宇宙輸送システム実現の意義・価値の明確化、(2)将来の国としてのビジョン、政策動向、市場動向に対応して、事業化等を含む実用システムの在り方、(3)イノベーションを生み出す挑戦的なものを含む研究開発課題の洗い出しと研究開発対象とする技術の方向性の3点について、検討を行う予定でございます。
 続いて、資料1-1-2をご覧ください。こちらは、本検討会でどのような検討項目等があるかと、具体的なものを例示として挙げさせていただいております。1ロードマップの目標として、2040年代前半までに継続的にわが国の宇宙輸送システムの自立性確保及び抜本的低コスト化等も含めて、革新的技術による革新的将来宇宙輸送システムを実現するということ。また、この間、宇宙の分野を飛躍的に増大させるということで、宇宙輸送をはじめとする宇宙産業をわが国の経済社会を支える主要産業の一つとするということを考えております。
 2.はロードマップの位置付けでございまして、2040年代前半の革新的将来宇宙輸送システムの実現のために、2030年ごろの技術実証と、その後の実用システム開発と事業化に向けて、今後10年から20年にわたって可能な限り目指すべき形態と時期を明確化して、研究開発から実用化までの道筋とその実現方法を示したものとするということを考えております。
 続きまして、3.主な検討事項として、2040年代前半は今から20年先ということでありますが、そのような中で、まず、2040年代の社会はどのような様相であるべきか、また、その社会における宇宙輸送システムへのニーズはどうなっているかということで、2040年代の社会からバックキャストで導かれるニーズから宇宙輸送システムに求められているものは何なのかということや、また、2040年代の宇宙ユーザーのニーズというのはどのようなものがあるか、輸送能力や頻度、そして、先ほど委員のご挨拶の中にもありました安全保障の話等もありますので、そのようなものを満たすための宇宙輸送システムの形態や打上げ頻度、機体システム、これは再使用等もあるのかもしれませんが、そのようなものや射場に求められるものは何かということです。
 次は、打上げ費用の徹底的なコストダウンを図るため、どのような手法が取れるかということです。勿論打上げ需要を拡大していくということは当然あるでしょうが、その他に、機体システムや機体の製造方法、また、国際分業体制を組むことによるコストダウンの方法、射場・地上追跡系等をどのように設置か、また、これはまだ少し具体的ではないですが、制度的な障壁撤廃による時間短縮ということで、何か制度的な障壁等があり、それがうまく解消できれば何か時間が短縮できる、効率化できるというものがあるのかどうかというようなことをご議論いただければと思います。
 また、当然、革新的な将来宇宙輸送システム実現のために、研究開発・事業化に際しての優先度、順序の設定や評価の視点等についてご議論いただければと思います。適切なマイルストーンを設定して、ステージゲート方式で絞り込んでいくとしたときに、どのようにマイルストーンを設定するのか。ステージゲートをどのような段階で、いつまで、どのような技術を実現していくのかということをご議論、検討いただければと思います。
 さらに、現時点においても、当然JAXA及び各メーカーさまは研究開発を実施しおのおの要素技術を保有しておられます。そのような中で、産学官のあるべき研究体制はどのようなものがあるのか、ということ議論する必要があると考えております。JAXAと各メーカーさまはどのように研究開発を連合して進めていくのかということや、また、宇宙分野はもちろん、そこに現在の非宇宙分野も含めた民間企業の参入を促すために、企業にとって宇宙分野が事業予見性を与えるものがあるのか、宇宙分野に非宇宙分野の企業さんが参入できるように、どのような観点がはっきりしていれば宇宙分野に参画したい、参画できると思わせられるのかというようなこともご議論いただければと思います。
 そして、将来宇宙輸送システムについて、現在はもちろんこれまでの基幹ロケットメインで、今わが国の宇宙輸送系の技術はございますが、それをベースに将来宇宙輸送システムの今後20年先を見据えた開発のコスト的な見通しや成立性についてご議論いただければと思います。
 主な検討事項は、あくまで主なものとして、事務局より現時点で提出させていただいたものでありますが、今後また議論を進めていくに従い、適宜検討事項や検討の視点等は提示させていただき、議論していきたいと思っております。
 資料1-1-3は、先ほど紹介させていただきました委員の方々の名簿でございます。
 文部科学省からの説明はひとまずこちらで終わります。

【遠藤主査】:ありがとうございました。
 それでは続きまして、今事務局からの説明がありました、宇宙開発利用部会で革新的将来宇宙輸送システム実現に向けたわが国の取組強化に関してJAXAから報告がされております。それについてJAXAから説明をお願いいたします。

【JAXA沖田ユニット長】 JAXAの沖田と申します。
 文科省さんの宇宙開発利用課の下でいろいろと検討作業を実施しております。資料1-1-5は利用部会において補足として説明した資料でございます。革新的将来宇宙輸送システム研究開発に向けてと、取組方策についてご説明してございます。
 次のページお願いします。こちらは本報告の資料の位置付けとして、どのような経緯で説明しているかを示してございます。
 次ページについては、この後の資料でももっと細かく説明する内容でございますが、宇宙輸送に係るJAXAにおける取組ということで、基幹ロケット、研究開発、それから民間事業者との共創プログラムとしてのJ-SPARCという枠組みで、ベンチャーさんとさまざまな事業化支援を実施しているという取組をご説明しております。
 次、お願いします。宇宙輸送に係る国外の主要動向です。こちらもこの後詳細に説明しますが、基本的に政策的に支援している部分、それから小型ロケットベンチャー企業、宇宙輸送システムの新規参入者に対する支援等について、各国施策の下、将来宇宙輸送システムに向けた中長期の戦略的研究開発に取り組んでございます。
 ここからが、今後の取組の具体的な方策になってございます。丸1から丸6ございます。まず、各国における自立的な宇宙輸送システムの確保、それから、宇宙輸送産業基盤の保持といったものを実施していると。民間事業者による宇宙輸送事業の立ち上がりが今日本でもどんどん行われており、海外も同様な状況です。3番目としまして、月探査を第一ステップとした宇宙探査活動の構想実現化の動きといったところで、現実にゲートウェイ、アルテミス計画等、具体的に進んでございます。さらに、4番目として、宇宙利用活動の広がり及び宇宙領域の戦略的重要性の高まりといったところで、これまで静止軌道が主体でしたが、今後、いわゆる低軌道、それからさらに中軌道といった領域について、安全保障も含めて益々重要性が高まっています。加えて、5番目として、国の施策の下、将来輸送系研究開発に取り組んでいく必要があり、併せて人的基盤の維持、拡大の必要性といったものが重要であるということが小委員会等で議論されてございます。
 これらを踏まえて、基本的な対応の考え方として、3つ挙げてございます。1つは、わが国の宇宙政策の実現、市場形成・獲得を目指した宇宙輸送産業の競争力確保といったところで、基幹ロケットの維持・発展もさることながら、活発化する民間による活動・挑戦の支援、それから、将来の宇宙輸送市場を創造・獲得する民間事業活動への協力といったものを今後進めてまいりたいと考えます。
 2つ目、革新的将来輸送システムの研究開発として、これまで、長期ビジョンにおいてマルチパスアプローチといったものを基本としてございました。これを引き続き柱として推進しつつ、時間軸を意識しながら選択と集中を図ります。当然リソースが限られており、それから、スピードも大事だと思っています。そういう意味で、選択と集中を図っていく必要があります。将来の選択肢となる複数の有望技術の発展する研究開発、抜本的輸送コスト低減に資する異業種、さらに異分野と連携したイノベーション活動・挑戦的な研究開発を推進してまいりたいと考えております。
 3つ目としまして、研究開発の進め方という取組の考え方を示してございます。1つは本ロードマップ検討委員会でございますが、ロードマップの検討委員会の下、JAXAとしてはその実現方法を示す個別・技術ロードマップを策定してまいりたいと考えております。さらに、JAXAが中心となって異業種、異分野、産学官の共創体制の構築を図っていくといったところを取組として考えてございます。
 次のページお願いします。この共創体制について、この委員会の中でも第6回以降でご説明し、ご意見を伺うことになるかと思いますが、共創体制の狙いとして3つ挙げております。1つは、オープンイノベーションによるSEEDS作りということで、これはいわゆる「共に創る」という意味の協調領域での研究開発活動を推進してまいりたいというものです。狙いとしては、これまで実現できなかった抜本的な低コスト輸送システムの実用化や上段再使用技術のような技術のブレークスルーに向けたSEEDS作りというものを考えてございます。実施方法としては、宇宙探査イノベーションハブの枠組みを活用した新しいプレーヤーの発掘や、安くしていくために必要な宇宙と地上のDual Utilizationも試行してまいりたいと考えてございます。
 2つ目としまして、連携パートナーの明確化による研究開発の加速、これは、競うほうの領域での研究開発活動になります。競争体制というで、オープンにするところとクローズにするところを識別し、各企業さんの狙いに合わせてオープン/クローズの仕組みを構築してまいりたいと思います。SEEDSから効率的かつスピード感を持って、技術の実証、事業の掘り起こし、拡大に向けたシームレスな体制を早い段階で構築していきたいと考えてございます。
 それから3つ目として、出口戦略の明確化及び官民協働開発による実用成果の獲得として、こちらは競うほうの領域での研究開発活動として、実証された技術についてスピード感を持って、さまざまな事業者の活動へ実装する仕組みといったところで、機材、知的資産といったものの扱い等、工夫して、2つの効果を狙っています。1つは、社会実装による国際競争力の強化であり、2つめは、実用成果の獲得により技術成熟度を早期かつ各段に向上させていくことになります。部品レベルからシステムレベルまで各事業計画に応じた出口戦略とセットで連携パートナーのコミットメントを明確化していくこととなり、官民協働がポイントになります。このような取組の下、人材育成の拡大、それから産業基盤の維持・拡大に資してまいりたいと考えてございます。
 次のページお願いします。こちらは全体の共創体制のマッピングになります。文部科学省さんの設定するロードマップの策定・見直しに応じて、個別・技術ロードマップを構築していきます。この個別・技術ロードマップを基に、研究計画の設定、推進・実施を行い、また、技術の実証をオープンイノベーションの枠組みを活用しながら実施していきます。オープンイノベーションの枠組みの中には企業及び大学の問題解決に必要な技術があり、いわゆるイノベーションをよりスピード感を持って行っていきたいという意図でございます。そうした中、J-SPARCの取組、それから基幹ロケット事業者の取組をできるだけシームレスに共有しながら進めてまいりたいと考えてございます。
 次のページ、お願いします。ロードマップの目的・位置付けです。先ほど文科省のほうから説明がございましたので割愛したいと思います。
 次のページ、お願いします。個別・技術ロードマップ構築の考え方です。2040年代の革新的宇宙輸送システムの実現を最終目標としています。輸送コストの抜本的低減、それから高頻度対大量輸送、航空機的な繰り返し運航などなど、宇宙輸送システムに改めて設定していくことを考えております。もちろんこのロードマップ検討委員会に基づくニーズに対してどう答えていくのかという点がわれわれの命題だと考えてございます。
 それから、最終目標達成に向けた研究開発の考え方について、ロードマップに従い、個別・技術ロードマップに反映していくとしております。マルチパスアプローチから選択と集中へというのを第一に考え、当面、マルチパスアプローチとして共通的な技術及び「選択と集中」の判断に必要な技術の調査研究・研究開発を推進していきます。
 2つ目としまして、4つの技術分野(価値)を設定してございます。低コスト化、多機能化、デブリ化防止、共通基盤といった分野を設定し、このような価値に向けて必要な研究開発課題を設定していくという進め方を考えてございます。
 次のページ、お願いします。3番目として、わが国の宇宙輸送系の国際競争力強化等のための研究開発成果の適用といったところで、研究開発の段階的な成果をわが国の宇宙輸送系の国際競争力強化に適宜反映することを明確に意図してまいりたいと思います。
 その際、飛行を模擬した高度な地上実証や早期・段階的な飛行実験、飛行実証といった実証機の開発・実証・実績に基づくベストプラクティスを社会に早期に示しながら、迅速な社会実装を図ってまいりたいということで、基幹ロケット等の短・中期的なニーズへの対応・課題解決、民間事業者の事業化支援、国際競争力の強化、宇宙輸送産業に対する新たな民間事業者、投資家等の新規参入の促進、エンジニア育成・確保、最後に一番大事なこととして、宇宙利用市場の形成及び継続的拡大への貢献をしてまいりたいと思います。
 最後に、有人輸送については、有人化に資する信頼性・安全性等、継続的に向上しつつ、宇宙市場形成状況、それから国際動向を踏まえて、有人輸送に関わるわが国の方向性を検討してまいりたいと考えてございます。
 ページのほう、お願いします。取組方策です。革新的宇宙輸送技術の共創体制の構築準備といったところで、JAXA内の体制の整備を進めてまいっております。
 2つ目としまして、徹底的な調査分析、ベンチマーキング・戦略立案として、このロードマップの検討委員会でも、現状、残念ながら海外に行って調べるという状況にはないですが、可能な限り調査を進めてまいってございます。それから、制度や基準など社会的課題の洗い出し、というようなことも並行して進めてございます。
 それから、2つ目として、オープンイノベーションによるSEEDS作りへの着手ということで、民間企業や大学関係者の参画主体の多様化を促すインセンティブを検討しているところです。共創体制を活かした革新的将来輸送系の企画・アイデア募集として、パブリックに対してアイデアを募集していきたいということも考えてございます。また、宇宙探査イノベーションハブの枠組みを活用した共同研究の推進を実施してまいってございます。
 次のページ、お願いします。これが取組方策(案)です。あくまで案なので、今後、このロードマップの検討委員会を受けて見直しする可能性は十分ございます。ロードマップを受けて調査分析、事業者の声、それから一般コンテストというのも計画してまいりたいと思います。内容等についても、この委員会を基に設定してまいりたいと思います。
 これを受けて、基幹ロケット戦略、J-SPARC関連、それから革新的宇宙輸送システムの候補として、Aシステム構想、Bシステム構想、Cシステム構想、大体3つぐらいのシステム構想を技術ブレークダウンして技術ロードマップに提示してまいりたいと考えております。
 その際には、安全保障技術及び知財情報については配慮しながら進めてまいりたいと考えております。これを受けてRFI、それからRFPに向けて、公募課題の練上げを実施して、オープン/クローズの区分の下、共同研究計画を実施してまいりたい次第です。これについては、飛行実証、地上実証等を活用しながら研究開発の成果を確実に獲得し、このような「サイクルを回しながら、確実に進めてまいりたいと考えてございます。
 次のページ、お願いします。これは技術戦略の一例です。本来、このロードマップ検討委員会で検討される内容でございますので、一例ということで、われわれとしては10年後ぐらいを一つの目安に選択と集中を図ってまいりたいと考えてございます。
右のところに試算等もございますが、これもロケットタイプの試算を実施したものでございます。あくまで精度が良くないものなので、参考としてお読み取りください。
 次のページ、お願いします。個別・技術ロードマップ(素案)です。これも個別・技術ロードマップってどういうものなのかというのを参考に示してございます。こちら非常にラフなものでございまして、さらに、この下に細かいものが入ってきます。
 次のページも同様に、個別・技術ロードマップの素案でございます。
 説明は以上です。

【遠藤主査】 沖田さん、ありがとうございました。
 途中ですが、先ほど委員の先生で、お1人通信状況が良くなかった本田技研の小川さんが参加できるようになりましたので、事務局でご紹介いただけますか。

【事務局(笠谷企画官)】 事務局からまず、小川委員を紹介させていただきます。
 株式会社本田技術研究所執行役員兼先進技術研究所所長の小川委員でございます。小川委員、ご挨拶をお願いいたします。

【小川委員】 皆さま、こんにちは。遅れましてすみません。簡単に自己紹介させていただきます。
 私は本田に入所以来、ホンダZをはじめ、F1の空力開発を長くやってきました。現在は先進技術研究所の所長として、車にとらわれず、2030年以降の様相、技術仕込み等々をやっております。
 弊社の宇宙の関わりとして考えられることとして2つ挙げられると思いますが、まず1点目はユーザーとしての宇宙利用。具体的には自動運転やインフォテイメントなどにおける、いわゆるつながる車の具現化、そういうところが考えられると思います。
 もう1点の技術構築の観点でも、多少関連が今後できる可能性があるかなと思っておりますが、例えば各種燃焼技術や、ASIMOを代表するロボティクスの制御技術というのを我が社は保有していますので、もしかしたら技術的に何かお手伝いさせていただけることがあるかなと思います。今後ともよろしくお願いいたします。
 以上です。

【遠藤主査】 よろしくお願いします。
 それでは、ご質問もあるかと思いますが、2番目の議題の説明を受けてからまとめて質疑の時間を取りたいと思いますので、2番目の議題に入りたいと思います。
 2番目は、わが国の宇宙輸送に関わる国内の主要動向についてということで、将来宇宙輸送システムについての議論を行うに当たっての前提として、1つ目は、平成26年内閣府によって検討されました宇宙輸送システム長期ビジョンについて、内閣府の中里参事官から説明をお願いします。2つ目は、JAXAから、JAXAにおける宇宙輸送に係る取組について説明をお願いいたします。
 最初に、内閣府の中里参事官、よろしくお願いいたします。

【内閣府宇宙事務局 中里参事官】 内閣府宇宙事務局、中里です。よろしくお願いいたします。
 時間も押しているようですので、ごく簡単に宇宙輸送システム長期ビジョンを資料1-2-1にてご紹介いたします。
 これ自体は平成26年4月と日付がありますとおり、6年半以上前にできたものでございますが、まだ、このビジョンに基づいているということでございます。
 また、本年6月30日に宇宙基本計画の改定が行われました。その中でも、先ほど来話題に出てきておりますが、宇宙活動における自立性ということがキーワードになっており、宇宙輸送システムにつきましても、わが国自身が自立的に開発運用できる能力を継続的に強化する必要があるという問題意識がされているところでございます。
 また、この長期ビジョンにつきましても、6年半前よりも海外を中心にかなり状況が変わってきておりますので、そのような国内外の動向を踏まえて、ビジョンを見直すということまで基本計画に書かれております。
 ただ、このロードマップ検討会と重複する部分もあると思いますので、個々に検討するというよりは、ロードマップ検討会のアウトプットを受け、宇宙政策委員会としてのビジョンというようにまとめていきたいと考えておりますので、こちらの検討のほうを大変期待しております。重複するメンバーもいらっしゃるかとは思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
 雑駁ではございますが、内閣府の説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

【遠藤主査】 ありがとうございます。
 それでは続いて、JAXAの沖田さん、お願いいたします。

【JAXA 沖田ユニット長】 JAXAの沖田です。
 JAXAにおける宇宙輸送に関わる取組について資料1-2-2にて説明

【遠藤主査】 ありがとうございました。
 それでは、これまでのご説明に対して、委員の皆さま、ご質問がありましたらお願いします。ご発言されるときには私に声を掛けてから、私が指名したらご発言をお願いいたします。牧野さん、お願いします。

【牧野委員】 すみません。笠谷さんへの質問です。将来の世界をイメージして、バックキャストで考えるときには、考える時間設定が結構大事になりますが、2040年前半というのは、設定するに当たってどのような議論がされたのか、この2040年前半にどのような意味があるか、少し説明してもらえませんか。お願いします。

【事務局(笠谷企画官)】 文部科学省、笠谷でございます。申し上げます。
 この2040年代前半というのは、先ほども申し上げ通り、5月まで行いました文部科学省の輸送システム検討小委員会において設定しました。
 20年先というところで、結構先があるように思えるかもしれませんが、議論したときも、正直、新技術の開発は相当時間がかかるので、当初この議論の中では2040年代というところで当初は目標を置こうとしたものの、やはりより早く作る必要があるということもあって、2040年代前半ということになりました。
 20年間あるといっても、時間的な制約というべきか、それほど時間はなく、Space X等々の民間企業も出てきて、世界との競争もある中、大体20年後ということで幅も取って2040年代前半ということで、検討小委員会では議論されておるということでございます。

【牧野委員】:何となく分かります。逆に言うと、20年後ぐらいだと、何となく社会の姿が予測できるということも含めてなんですよね、きっと。

【事務局(笠谷企画官)】 そうですね。

【牧野委員】 予測というか、想像ができるぐらいかな。だとすると、その20年後の社会の姿と宇宙輸送ロケット、言葉も気に入ったので拝借すると、宇宙交通システムの関与の仕方みたいな議論が皆さんでできるということと理解してよろしいですかね。

【事務局(笠谷企画官)】 そうですね。われわれ事務局のほうも2040年代前半の社会がどのようなものになっているかということを、文部科学省科学技術・学術研究所のほうで未来予測をやっており、その他、民間企業さまによっても、個別にではありますが、それぞれ20年先の予測のようなことをやっておられるところもありますので、そういう情報もまた集め、ご提示させていただいて、こういうものもあるのでは、とご議論いただければと思っております。

【牧野委員】 分かりました。楽しみにしております。ありがとうございました。

【遠藤主査】 今の牧野委員からのご質問に対して、私は小委員会でも主査も務めておりますので、私のほうから若干補足をさせていただくと、20年間というのは期間としては、おっしゃるようにある程度予測可能でしょう、という一方、やはりある程度、たがを目標にはめないと、40年代といっても限りなく50年に近い40年代なのか、それではまたずるずると先に行ってしまうのではないかという意見もあり、なるべく目標を明確化しようという中で、なかなかはっきり2040年とも言い難いということで、それなら妥協の産物で、前半というようなところで落ち着いたということもあったということでございます。
 それでは、他に何かございませんか。

【牧野委員】 何となく20年という期間が人生の一巡のようでいい感じだと思いますので、楽しみにしております。

【遠藤主査】 その他、ございますか。

【永田委員】 すみません。永田ですが、よろしいですか。

【遠藤主査】 はい。お願いします。

【永田委員】 今の話に関連して、多分目標としている辺りというのは、地球・月圏の物流が増えていくような頃になっているのかなと思っており、そのような物流を支える輸送システムはどういうものがあるべきか、というような議論をする必要があるだろうなと思っています。
そのときに、今みたいに地球の表面から行先までダイレクトに行くのではなく、例えば地球から地球周回軌道のLEO(Low Earth Orbit)に行くところはどうやって空気の層を抜けていくのかというところと、それから、地球周回軌道からどうやって月に行くのかというところは、やはり分けて考える必要があるのではないか、と、個人的には思っています。そういうところを考えると、やはり空気吸い込み式の輸送系というのは、かなり昔から検討されており、検討される度に「やはりなかなか使いにくいね」ということがあって、なかなかものになっていませんが、空気の層をどうやって抜けていくのかという議論をそろそろ本気でやる必要があるのではないかと思っています。むしろ、今沖田さんからJAXAの取組として説明していただいた中でも、エアブリージングエンジンの取組については非常に興味深く伺わせていただきました。
 その中で、入っていなかった話として、宇宙研がずっと研究されていたエアターボラムエンジンについてはかなりいい成果が昔得られているので、これも重要なヘリテージではないのかと思います。それを成果の一部として活かして、再使用観測ロケットに使えないかという検討もJAXAの宇宙研の中で一部されているはずですので、ぜひそのような話も盛り込んで、今後の検討の中で活かしていただければと思いました。
 質問というか、コメントに近いですが、以上です。

【遠藤主査】 ありがとうございました。
 それから、石田さんから何かございますか。

【石田委員】 ありがとうございます。
 1個お願いと、1個質問です。
 お願いは、本日自己紹介されたときに、遠藤主査や稲谷先生、牧野さんや渥美さん等、輸送システムを20年、30年、40年やってこられた皆さんから、これまでの中でできたこと、できなかったことがやはりいろいろあるという話があり、また、先ほど、5~6年前にもロードマップを作ったという話があったと思っています。これから20年、30年先の議論する上で、個人として歴史を正しく理解しておきたいと思ったときに、これまで日本の輸送システムの中でどのような議論があって、その歴史の中で今回の検討会はどのような位置にあるのかということを、別に今日でなくていいので、平場で話せる範囲でいいと思いますが、どこかでこの検討会メンバーの中で歴史に対する理解はある一定程度そろえたほうが、むしろ将来に向けて革新的な議論がやりやすいのではないかと思ったのが1つです。
 質問については、JAXAさんへの質問かもしれませんが、10年から20年先を見据えたときには、技術の変化点は技術の最先端を見ている方からすると、ある程度読めるところはあると思います。この10年、20年ぐらいのスパンで見たときに、輸送系システムで変化点として起こり得る技術変化というのを挙げるとすると、どの辺りを踏まえた上で今回の議論をするというのか、前提として捉えるべき技術の変化点というものに関して、見立てを教えていただければ、と思います。例えば、この辺りの技術の変化が起きると革新的なものができる、というようなものが、輸送系の制御や構造等で幾つかあるのだろうと思いました。本日お分かりになる範囲でいいので、10年、20年先を見据えた技術の不連続変化に関し、どのような点を見ておくといいのかというのをご教授いただければと思いました。

【遠藤主査】 1番目の点については、今後の委員会で何か考えたいと思います。
 2番目については、沖田さんから、個人的見解でいいので、何かお答えができますか。

【JAXA沖田ユニット長】 沖田です。
 輸送系は主に3つのシステムで構成されています。1つは「推進」、2つ目は「構造」、3つ目は「電気系・アビオニクスシステム」となっており、点検・整備関係、加えて、やはり宇宙は放射線の問題があり、その環境下で、どのように、安く長寿命化できるかというところが、基本的に製品はどのように進化していくかというのがポイントになります。
 「推進」については、推進系も含めてどのような軌道上の推進薬貯蔵のようなものがやはりキーポイントになっていくのではないか、「構造」については、軽量構造をいかに安くできるかといったところがポイントになっていくのではないかと思っております。
 そのような意図で合っているでしょうか。

【石田委員】 はい。まずは理解しました。
 先程、例えば永田さんがおっしゃっていたエアブリージングの議論は、技術研究開発としては10年前、20年前から多分されているのかと思うものの、実際技術としてどのレベルに今あって、今回の議論を検討するときに、このような技術の変化点は起こり得るものとして議論するのか、起こり得ないとして議論するのかによって違うのだろうと思いますので、特に大きなトピックに関しては、私自身も技術の専門家ではないので、逆に、技術の専門家の皆さんの見立てを踏まえた上で意見ができるといいと思ったので、もし、次回以降でも、その辺りに関して、踏まえるべきものという点があればぜひ教えていただければ幸いです。本日は大丈夫です。ありがとうございます。

【JAXA沖田ユニット長】 承知しました。

【石田委員】 遠藤さん、以上です。ありがとうございました。

【遠藤主査】 石田委員の最初のご要望については、稲谷先生が適役ではないかと思いますが、稲谷先生から何かご発言があるようなので、稲谷先生、お願いします。

【稲谷委員】 違うことを話そうと思っていたのですが……。

【遠藤主査】 どうぞ。

【稲谷委員】 先に言いたいことを言うと、技術から詰め寄って議論することは大事ではありますが、僕は実はここでやる議論等ではないと思っており、何をするのかということを先に決めて、そこから必要な技術の話は後でやるべきではないかと考えております。何をやるのか、ということが正当化され、合意されれば、必要な投資は行われ、必要な投資が行われれば、原理的に不可能なもの以外については、技術はできる、というスタンスで、この会合では、将来の議論はするのかと思っております。
 一方で、技術の話については、自分は当然のことですが、技術屋がこの技術をやりたいと言って、将来のことを議論しだすと、本来やるべきことの議論がぐしゃぐしゃになってしますので、その点はきちんと整備したほうがいいと。こちらは石田さんのご質問に対しての答えです。
 加えて、少し申し上げたいと思ったことは、そのようなことにも関係しますが、ある未来予測があって、世の中がこうなるだろうから、われわれもこうしましょうというようなことで、未来予測をこれからする議論にスロープするのか、あるいは、アラン・ケイという人が「未来を予測する一番いい方法は自分でつくってしまうことだ」と言いましたが、結局、その強い意志を持ってこれをやる、と言うことが今、最も大事なことであります。今はこうなるからという予測を客観的にすることに終始してしまうとシャープなことができないと思うので、ビジネスとは本来そういうものだろうと私は思っていますが、この検討会でも議論をするうえで、どこかの研究所でされた予測を集めてきて、だから「私たちもこうしましょう」という議論の進め方は適当かどうかということはよく考えたらいいという意味で、少し申し上げておこうと思いました。
 以上です。

【遠藤主査】 貴重なご意見ありがとうございます。
 時間も押していますが、本日は初回ということで、若干時間をオーバーしても、発言の機会を皆さんに持っていただくほうがいいと思いますので、それでは、新谷さん、お願いできますか。

【新谷委員】 ありがとうございます。
 先ほど沖田さんからご発表がありましたエアブリージングの件で、先ほどから少し取り上げてくださっている方がいらっしゃいますが、最後の資料46ページのところに、20年後、30年後の絵を描いてくださっております。こちらについて、極超音速機というのをJAXAが開発されているのは知っていて、今まで模型を見させていただいたこと等あるのですが、この絵を見ると、20年後、30年後のところでは、上にロケットのようなものが乗っています。これは空中発射をするということを考えられているものなのか、ということをお伺いしたいです。というのも、先ほどANAから話がありましたが、今、Virgin Orbitとの提携という話も出ており、最初は米国のものが来るのかもしれませんが、日本でも同様のことをやるのか、またやらないという選択をするのか、日本の航空機からの打上げもしたいというようなお話を省庁から伺ったこともありますので、お伺いしたい次第です。

【JAXA沖田ユニット長】 おっしゃるとおり、衛星を低軌道に打ち上げようとすると、空気がないということもございまして、小型のロケットを背中に負わせて打ち上げるというような利用も含めて検討しているところでございます。

【新谷委員】 ありがとうございます。
 それでは、この方式も検討されて、JAXAでご研究中ということですね。ありがとうございました。

【遠藤主査】 ありがとうございました。
 それでは、最後にさせていただきたいと思いますが、中須賀先生、お願いします。

【中須賀委員】 すみません。中須賀です。
 さきほどの石田さんの質問の答えになるかもしれませんが、私も稲谷先生がおっしゃったように、もちろん技術は最低限、必要条件として必要になりますが、それでは全然十分条件にならず、今、本当に必要なのは、やはり市場ではないかと考えています。これまでの輸送系がどちらかというと、宇宙への輸送系を中心に考えてきたものであり、その範囲で考えると、打ち上げるべき人工衛星や、先ほど出ました月へのニーズ等々を全部合わせても、あるクリティカルマスをやはり超えないのではないか、と思われます。あるクリティカルマスを超えるような市場があってはじめて、それに向けて投資が進み、ビジネスとして発展するということが考えられるわけで、そのクリティカルマスを超えるための市場をどこに持っていくかということを考えることが今本当に大事なのではないかと思います。
 そこを超えたら、民間の投資が進み、国だけの予算では開発できない部分を含めて開発が進むということになるので、そのような点も含めて、今、本当に考えなければいけないことは、どのような市場を取っていくのか、目指すのか、あるいは、そのような市場をクリエートするのかということではないかと考えております。これまでは技術主導でやってきたので、そのような意味での議論が十分できなかったことから、技術がある程度できてもその先続かなかったということの繰り返しだったのではないかと思うので、この検討会ではそのような新しい観点でぜひ議論ができればいい、と個人的には思っております。
 以上です。

【遠藤主査】 ありがとうございました。この会での議論のポイントについては、今後も、委員の先生方の御意見を伺いながら絞っていきたいと思いますので、他の委員の皆さんも今後もご意見よろしくお願いします。

【遠藤主査】 渥美委員、お願いします。

【渥美委員】 はい。

【遠藤主査】 渥美委員の端末の調子が悪いようですので、後でまた発言をしていただきます。先に行きます。
 それでは、時間も少し押してきましたが、3番目の議題の国外の主要動向ということで、JAXAからご報告をお願いします。時間がないので、沖田さん、ポイントだけお願いいたします。申し訳ありません。

【JAXA沖田ユニット長】 承知しました。
 資料1-3「宇宙輸送に関わる国外の主要動向について」にて説明  

【遠藤主査】 ありがとうございました。 次に渥美さん、聞こえますか。よろしくお願いします。

【渥美委員】 先ほど少し議論がありました技術的な観点につて、一つの提案として、ロケットの形態にせよ、P2Pのような形のものにせよ、2段タイプのものにしても、1段タイプのものにしても、基本的に構造効率とisp(比推力)という2つのパラメーターに基本的には整理がされますよね。技術的な観点の話を整理する際に、一度その2つのパラメーターにおいて、それぞれの技術がどのレベルにあるのかということを整理し、この中でどれぐらいの位置付けにあるのかというところを定量化させてはどうか、という点が1点目です。
 それから2点目ですが、ビジネスの関係で、マーケットとして考えるときに、有人にするか無人で行くのかという点でやはり大きな違いがあると思いますが、今までの委員会の中で、その辺りの議論がされているものがあれば、一度ご紹介をいただきたいと思っております。
 一つ懸念している点、こちらはANAさんのほうがお詳しいと思いますが、今のSpace Xはじめ米国の民間輸送業者が打上げを行うための許可というのはFAAが基本的に認可を出して飛ばすという形になっており、そのためFAAのレギュレーションに基づいて宇宙機を造るというような形で動いています。航空機のほうはICAO、FAA(アメリカ連邦航空局)もしくはEASA(欧州航空安全局)のレギュレーションで動く形になっており、その上でビジネスとして成立しているわけですが、宇宙機に対してこのような動きがある以上、この点についてもきちんと議論をしておかないと、国際的にどの位置付けで、どういうような形でビジネスを考えるのかということはしっかりと考えておく必要があるだろうと思います。
 最後になりますが、XASM-3のラムジェットの飛行実証についても防衛省で実際に行っていますが、防衛省の福島委員でもし可能であれば、こちらについて可能な範囲で一度お話を聞くのが、このエアブリージングに関するところとしてはいいのではないかと思います。
以上です。

【遠藤主査】 ありがとうございました。

【事務局(笠谷企画官)】 文部科学省の笠谷でございます。よろしいでしょうか。
 今の渥美委員の発言に対して、少し補足させていただきます。
 最後のラムジェットの話についてですが、まだ調整中ではありますが、安全保障関係についても需要があるということで、議論に入れさせていただくという話もしております。実は防衛省のほうに、防衛関係のプレゼンということをお願いしているところですので、今いただいたラムジェットの話がどこまでできるかという点はありますが、防衛省のプレゼンの際に、防衛省の政策当局から可能な範囲で説明いただけないか、事務局から防衛省にお願いしたいと思っております。

【遠藤主査】 では、よろしくお願いします。
 時間もおしておりますが、最後にこの国外の動向など、全体で今後の進め方も含めてご意見があれば伺いたいと思います。よろしくお願いします。

【津田委員】 すみません。ANAホールディングスの津田ですが、よろしいでしょうか。

【遠藤主査】 お願いします。

【津田委員】 民間事業者の立場で本日聞いた感想と意見を3つ述べさせていただきたいです。まず、感想です。宇宙に対する知見がなさ過ぎるという私自身の個人的な問題かもしれませんが、資料を見て、どこがポイントなのかというところがなかなか分かりにくかったので、石田さんからあったように、本当にポイントとなる、ここだけは押さえておくべきというような歴史認識みたいなものが事前にあると、議論に入りやすいかと思います。逆にその点を知らないことがある意味参入障壁的にも映ってしまって、私たちは議論に加われないかのように思ってしまう、と感想として思いました。
 また、意見としては、2040年の宇宙への社会ニーズをどう見ていくかが非常にポイントになると思いますが、中須賀先生がおっしゃっていたように、どの市場に2040年の需要があるのか、これを見たいです。需給バランスがあってやはり市場が成り立ち、そうすると、どれだけ投資対効果があるか、投資価値があるか、どれだけ投資を突っ込めるのか、というようなことが民間企業ではどうしても必要になってきますので、2040年については正確には分かりませんし、誰も当てることはできませんが、それでも、確からしい、あるいは信じたくなるような予測が必ず必要になってくるかと思います。
 その上で、2040年の社会前提は、この宇宙ニーズに限らず全体でどうなっているのかという点が大事だと思います。課題解決みたいなものを宇宙で実現する必要が必ずしもあるのかどうか、という点も検討が必要なので、社会前提として、例えば身近なところでモビリティがどうなっているか、通信環境やデバイス、あるいはエネルギーがどうなっているのか、さらに言えば、人間の豊かさみたいなところがどういうところを求めているのか、等というような社会前提についても一緒に議論していかなければ、なかなかニーズにたどり着かない、という点は意見として述べさせていただきます。
 以上です。

【遠藤主査】 ありがとうございます。
 その他、ございますか。

【武者委員】 よろしいでしょうか。三井物産の武者です。

【遠藤主査】 武者さん、お願いします。

【武者委員】 本日はいろいろとありがとうございました。いろいろな情報を頂いて、どの点が重要なのか、非常に分かりにくいところだったため、さっきの津田さんと全く同じことを申し上げようと思ったので、その点は割愛させていただきます。
 加えて、どのように進むかということに関して、稲谷先生や中須賀先生からおっしゃっていただいたように、将来のある姿や、どのようなことをやっていったほうがいいのかということをわれわれで考えて、そこからバックキャストでやっていくというやり方がいいということを言っていただいたので、そこに商社としてどのように絡むのか、を皆さんの話をお伺いしながら悩んでおりました。そういう面でビジネス上の実現性も踏まえて、われわれがやりたいことを考えて、技術面はプロの方がたくさんいらっしゃるので、「これはできる」「これはできない」ということを教えていただければ、われわれがどのように絡んでいくかということが見えてくるような気がしますので、次回以降、その辺りを踏まえて参加していきたいと思っています。
 すみません。コメントと感想でございます。
 以上です。

【遠藤主査】 ありがとうございます。ぜひ期待しております。この世界はきっと新しいニーズ、新しいマーケットをつくるという観点も非常に重要だと思います。ぜひよろしくお願いいたします。
 青木委員、ご発言をお願いいたします。

【青木委員】 ありがとうございます。
 2040年という年次は、ビジネスとしてはもう十分視野に入れなければいけない年次ですので、私もスカパーJSAT社として、宇宙ビジネスの利用サイドの視点で、技術開発よりは、どのような宇宙ビジネスをしたいかという側面で発言していきたいと思っています。
 1点、コメントというか、質問にもなるかもしれませんが、基本的には、日本として基幹ロケットというものを、今後も維持し、強化していく、という方針が根本的な考え方としてあると思っています。これはイプシロンにしろ、H3にしろ、今後も含めてということで。
 今回、将来の革新的な宇宙システムということで、遠藤さんが宇宙交通システムと冒頭におっしゃっておりましたが、まさにそのようなことを検討するに当たっては、日本としてどこか焦点を絞ったほうがいいのではないでしょうか。基幹ロケットでできることは基幹ロケットがまずあると思いますが、その他に、地球周回軌道からさまざまな高度の軌道への往還、往復、交通というようなところに、例えば焦点を絞って開発していく、あるいはビジネスを考えていくことの方が、その他の各国がさまざまな開発をしている中で、日本としての独自性というのを出しやすいのではないか、と思います。日本としての独自性が出てくれば、そこにビジネスとしての勝機も出てくるのではないかと思っていますので、スカパーJSATとしてやりたいことはあるとしても、せっかくのこの場では、皆さんと日本国としてどこに独自性とユニークさを求めて、いわゆる宇宙交通システムをつくっていくかという点を議論できたらいい、と思いました。そのようなプロセスで進めていただけたら、というのも希望としてはございます。
 以上です。

【遠藤主査】 ありがとうございます。
 時間も過ぎておりますが、あとお1人、何か発言があればお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。

【稲谷委員】 稲谷です。先ほどらい、何人かの方がご質問になっていたどういうマーケットというような話は、自己紹介のところで、この1年半ぐらいやっていた勉強会でそのような議論をしましたという話もしましたので、委員としてではなく、報告者としてでも結構ですが、この検討会でお時間いただければ、ご紹介させていただきたいと思っています。よろしくお願いします。

【遠藤主査】 ぜひ事務局のほうでそういう時間をつくっていただきたいと思いますので、その折にはよろしくお願いいたします。
 それでは、時間も過ぎておりますので、本日は初回ということで皆さんに発言をお願いいたしましたが、この辺りできょうは締めとしたいと思います。事務局から連絡事項があればお願いできますか。

【事務局(笠谷企画官)】 文部科学省でございます。
 本日、委員の皆さま、ご議論のほうありがとうございました。本日頂きました意見等を基に、また次回以降等、ご要望のありました資料等についても対応させていただきたいと思います。
 続きまして、今回の会議資料と議事録の公開について申し上げます。
 本日の会議資料は公開となりますので、会議資料については既に文科省のホームページに掲載させていただいております。また、本日のこの議事録につきましても、今後公開となりますので、まず事務局のほうからまた委員の皆さまに事前にご確認いただきますので、ご確認後にホームページに載ることになります。また、事務局のほうから確認のメール等行きました場合は、確認をよろしくお願いいたします。
 今、日程調整も並行してやらせていただきますが、次回は12月2日を軸に検討したいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。

【遠藤主査】 ありがとうございます。
 それでは、本日は時間を若干超過いたしましたが、本日の議事は全て終了とさせていただきます。次回もまた活発なご議論をぜひお願いしたいと思います。本日のご審議誠にありがとうございました。これで終わらせていただきます。

(説明者敬称略)


―― 了 ――

 

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