革新的将来宇宙輸送システム実現に向けたロードマップ検討会(第16回) 議事録

1.日時

令和4年5月26日(木曜日) 15時30分~17時30分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 前回の議論の整理について
  2. 取りまとめ骨子案について

4.出席者

委員

遠藤 守 【主査】
渥美 正博
石田 真康
稲谷 芳文
大貫 美鈴
鬼塚 慎一郎
新谷 美保子
竹森 祐樹
中須賀 真一
永田 晴紀
牧野 隆

文部科学省

研究開発局長  真先 正人
大臣官房審議官  原 克彦
宇宙開発利用課課長  福井 俊英
宇宙開発利用課企画官  笠谷 圭吾
宇宙開発利用課課長補佐  横井 奈央
宇宙開発利用課課長補佐  木元 健一

(説明者)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
 研究開発部門 第四研究ユニット ユニット長  沖田 耕一

5.議事録

【遠藤主査】皆さんこんにちは。時間になりましたので、ただいまから文部科学省研究開発局主催の革新的将来宇宙輸送システム実現に向けたロードマップ検討会第16回会合を開催させていただきます。
 本日もまたオンラインということでございますが、皆様には御多忙のところお集まりいただきました。ありがとうございます。
 それでは、まず事務局から本日の会議に関する連絡をお願いいたします。
 
【笠谷企画官(事務局)】文部科学省事務局です。
 本日は12名の委員に御出席いただいております。
 次に、本日の資料ですが、お手元の議事次第4ポツのとおりですので御確認ください。
 また、オンライン状況について、音声がつながらない等の問題がございましたら、事務局へメール、電話等で御連絡ください。
 事務連絡は以上です。
 
【遠藤主査】はい、ありがとうございます。
 それでは、議事に入りたいと思います。
 一つ目の議題は、議事次第にもありますように、前回の議論の整理ということでございます。
 前回事務局から、高頻度往還飛行型の段階的な事業化及び研究開発を支える環境整備、さらに、これまでの議論の整理等について説明がございました。これに関して委員の皆様から御意見を頂いております。その中で主な意見を事務局サイドで整理をしていただきましたので、まずこれを聞いていただいた上で議論を進めたいと思います。
 それでは、事務局、説明をお願いいたします。
 
【笠谷企画官(事務局)】御説明いたします。
 それでは、資料16-1を御覧ください。
 前回の検討会で各委員から頂きました主な御意見を列記させていただきました。検討会後に個別に頂いた御意見も含めておりますので、今回の議論の前に整理しておきたいと思います。
 また、この後、今日の議題としては、中間取りまとめ以降の検討結果案ということで取りまとめの骨子というものを提示させていただきますが、基本的にこれまで15回の議論とかも含めて、そちらの方に記載としては反映しております。
 以上でございます。
 それでは、まず意見といたしましては、10年後20年後を想定するのは難しいが、想定される用途を踏まえたときに、どれぐらいのレベル感の能力が必要なのか、技術水準感の一定の定量化が必要なのではないか。
 2026年のところは、時間的にいうともう三、四年で差し迫っているが、ハードルが高いと既存のプレーヤーしか参加できなくなって、新しい人が参加できなくなるというふうなお話。また、そのため2026年の位置づけを見直した方がいい。
 また、国の関与として「技術実証のステージゲート」が上げられているが、「事業化のステージゲートは語られておらず、技術実証に縛りが出てくる半面、ビジネス振興策になっていないという御意見を頂きました。
 まず高頻度往還型の飛行形態は民間事業者が決めるため、民間事業者によって、技術パスや段階的な事業計画が異なってきます。そのため、各ステージゲートの技術実証レベルをどう設定するのかというのは、どのような民間事業者がどのような飛行形態で手を挙げてくるのかが見えてこなければ、詳細の設定は難しいと考えております。後ほどの骨子でも説明させていただきますが、正にそこの民間事業者の対話、RFIが非常に重要になってくるのかなと思っております。
 また、ビジネスのステージゲートのことですが、事業成立性が成り立つものを考えるというのは、民間事業者というか、参入を考える方の大前提と考えております。また、さらに技術ステージゲートでそれぞれ達成すれば、それを使って民間は例えば小型衛星を打ち上げていくとか、宇宙旅行をするとか、民間で事業をするということも考えられますので、そのビジネスのステージゲートというところは事業者が当然事業化、もうかるということを大前提で考えてくるものであると考えております。
 次に、サイズの小さなもので成功したからといって、ある程度大きくすること自体がものづくりのところから技術的なレベルのハードルの高さに一気に変わってくると。そのあたりのリアリティーを持たせる必要があるということ。また、サイズ感いついても、民間事業者が手を挙げたときにですが、サイズ感につきましては、民間事業者が手を挙げてきたときに、民間事業者のどのような事業を考えるかということで子細相談することになると思います。最初の段階で民間事業者にお示しいただければと考えております。
 次に、開発する側が苦労しているのは飛行試験場の確保だと思われると。いろいろステークホルダーが多岐にわたり、調整するのが大変で、実際に飛行環境試験をやりたいと思っている民間にとって非常に高いハードルになっておるということですとか、日本の宇宙開発においてこれまで未経験である再使用型の開発のため、実際に飛ばすデモンストレータで知見を集める環境が最初に来なければならないという御意見です。
 基幹ロケット発展型、官の方が主導的に開発する基幹ロケット発展型におきましても、今のところ再使用に伴ったサブスケール飛行実証を2020年代には行うということを考えておりますので、いずれにしても飛行試験場の整備は必要だと思っております。
 一方で、御指摘のとおり、多くのステークホルダーと調整を要する話でありますので、具体的にどういう形になるかは現時点で必ずしも詳細は見通せませんが、飛行試験場の在り方をJAXA、国の方で検討いたしまして、また、そちらを民間にも使っていただくというようなことを考えております。
 次に、国がJAXAを通じた要素技術開発を行って、それを使って実用機を作るのは、民間が主体というのは正しくそのとおりであると。そのコンテクストの中で、例えば超音速で飛ぶためのエアブリージングの試験をしたいとなると、エンジンの要素試験をするための飛行実験をやらなくてはならない。要素技術だから国の支援の下で事業を試みる人たちが開発するというのが大事なことで、飛ばさないとできないことがあり、お金とリスクがかかる典型的な技術開発項目になると。
 飛んで人を運ぶという技術は、単に部品ができればいいわけではないと。システムとして機能が満足できるものにするところが技術的に重要であると。実証機もある程度の規模のものでやらないと駄目であるということ。
 また、宇宙機にとって最も重要な技術としてシステムインテグレーションを挙げながら、デモンストレートに関する国の関与が希薄ならば、民間ファンドを集めるのは困難という御意見です。
 まずロードマップの考え方として、JAXAにおいては、要素技術の獲得を行って、民間と対話して要素技術の獲得を行って、それを民間事業者に使っていただくということを考えてはおり、これも再三再四申し上げておりますが、JAXAは要素技術の獲得だけやって、それで終わるということではありません。例えば試験場ですね。燃焼試験場ですとか、先ほど少し飛行試験場についても在り方を考えると申し上げましたが、そういう環境整備も行いますし、また、少しどこまで支援かというのはありますが、正に皆さんのようなCOTS的支援ではありませんが、技術実証ステージゲートを設けて、その開発段階においても支援を行うということができればと考えております。
 次に、基幹ロケットでは、国として明らかにコミットしてプログラムを成功に持っていくということをやってきているわけであって、高頻度往還飛行型に関して民主体というのは従来と大きな違いという御意見を頂きました。
 文科省の獲得したい目的といたしましては、この宇宙アクセスの自立性、そのために抜本的低コスト化を図るというところであり、今までの基幹ロケット開発の延長線ではそれは難しいと考えております。そのため、将来の市場を見込んで民間主導で開発する高頻度往還飛行型において必要な要素技術の提供や試験環境整備をしっかり行って、基幹ロケット発展型との二本立ての研究開発を推進していきたいと考えております。
 次に、法律とか条約に関して、5年ごとの開発進捗に応じたものとなっているが、2020年代の後半にも有人での打ち上げで国内に戻ってくることが始まるとすると、その前に整備が必要であると。
 毎回新しい立法というわけにいかないので、その先を見据えた20年後も耐え得るものを少しずつマイナーチェンジしてつくっていかなくてはならないですとか、また、最後に、トライアルの実験用飛翔体を飛ばすことさえ民間事業者にとってはハードルが高いと。事業見通しを出すには初めの数年の初期活動が重要となるが、法整備に時間がかかる以上、トライアルさえ難しく、ファウンダーからはその実現性を疑問視されるという御意見を頂きました。
 正に文部科学省がこの将来宇宙輸送の研究開発ということを昨年、一昨年来のこの検討会でやって、昨年まとめて、今年度予算も本格的について始めております。その一方、正に再使用ですとか、P2Pの場合は人が乗るとか、やはりこれまでにないところに組み込むところでございまして、正にこういう法律的な対応というところは非常に重要だというふうに考えております。
 こちら正にそういう重要事項もありますので、この間、内閣府の宇宙政策委員会、また、政策の宇宙開発戦略本部の方におきまして宇宙基本計画工程表の改定に向けた重点事項というものが議論されておりまして、この環境整備について記載されました。関係機関と連携し、実現に必要な環境の検討整備を進めるというふうに盛り込まれております。
 こちらもありますので、こちら、研究開発をまず推進していく、文部科学省が関係機関としっかり連携してこちらの方に取り組んでいきたいと思っております。
 事務局からはまずは以上でございます。
 
【遠藤主査】はい、ありがとうございます。委員の皆様の御意見をまとめていただきました。あわせて、文科省としてのその意見に対する認識を補足しながら御説明を頂いたと思いますので、今の御説明について、委員の皆さんの御意見、御質問等があればお願いしたいと思います。例によって挙手でお願いをいたします。
 よろしいですか。それでは、そういう皆様の御意見を踏まえて、事務局において取りまとめの骨子案というものを作成していただいておりますので、これを説明していただいた上で、また改めてディスカッションさせていただければと思います。
 それでは、事務局、お願いをいたします。
 
【笠谷企画官(事務局)】それでは、資料の16-2を御覧ください。
 こちらの方は、まずこれをどのようにつくったかと申し上げますと、昨年の6月にこのロードマップの中間取りまとめというものを皆様の方で、この委員会の方でまとめていただきました。その際、基本的には二本立てでやるとか、いろいろ書いたのですが、最後、6章の方において、本検討会での引き続きの検討事項ということで、官民の役割分担等、今後の検討課題という課題を書きました。それを踏まえて、基本的には昨年12月以来のいわゆる後半戦をやってきていたところでございます。
 でありますので、基本的にはその第6章の官民の役割分担がどうだというふうにそれぞれ課題を書いたところに対して、この案の検討状況、今後どのようにやっていくべきなのかというふうなところを皆様のこのロードマップ検討会での議論を踏まえて、事務局の方でまとめさせていただいております。そういう全体の構造ということになっております。
 まず、この1ページ目の(1)官民の役割分担について、高頻度往還飛行型宇宙輸送システムの開発を官民共同で推進していくための官民の協議体制、官の支援方策等というところでございます。こちらの方は、実際に民間事業者が現れた場合の民間とJAXA、国との協議をどのようにやっていくのか、また、その飛行の飛行形態ですとか、飛行規模、宇宙港の規模をどのようにすり合わせていくのか、そのようなことを記載しております。
 まず、この間、ロードマップの中間取りまとめ、昨年の6月にまとまりましたが、昨年5月に、このような動きも踏まえて、一般社団法人の宇宙旅客輸送推進協議会が発足されました。そちらの方は、民間においてこういう環境醸成ですとか、こういうふうな担い手を現れるようなところを探されたり、正に声をかけたりするというふうなところでやられております。このようなSLAさんの動きとかもありまして、こういうふうに実際の高頻度往還飛行型を考えておられる方ですとか、そういう担い手が現れるという環境醸成が進んできているというふうな状況でございます。
 そのような中で、まずは高頻度往還飛行型の宇宙輸送システムの開発・事業を行う者が、こちら、なぜこの開発・事業を行う者というふうな言い方をしているかといいますと、もちろん基本的には恐らく企業さんがやられるとは思うので、民間事業者と言いたいところなのですが、どのような形態になるのか分かりません。技術組合みたいな形もあるかもしれませんし、そういう何か連合体を組んで社団法人的にやれるかというのが分かりませんし、もちろんそういう研究機関がやるということもあり得ますので、あえて開発・事業を行う者というふうな書き方を取りあえずこの中間取りまとめ、今回のこのまとめでは書いております。
 その開発・事業を行う者がJAXAの支援を受けて、まずはどのような飛行形態ですとか、どのような規模があるのかというふうな解析的モデルの検討ということをされると考えております。どのような飛行形態を選ぶのか、どのような大きさなのかというふうな解析モデルの検討をします。その上で、事業成立性を前提とした飛行形態ですとか機体の規模等を検討されて、さらに民間事業者だけでは足りない、今後更に必要となる技術はこういうものだということを整理されると考えております。
 それを受けまして、JAXAにおいては、その開発・事業を行う者と対話を行います。そちらの考えておられることは、技術成立性の観点からどうなのかということを主に言いたいと思います。少し子細はどういう話になるのかというのは分かりませんが、私の考えている極端な例としては、民間事業者さんとしてはもちろん事業成立性というのは大事なので、例えばの話なのですけれど、すごく大きい、例えば1回当たり100人ぐらい運べるような宇宙機みたいなものを構想されたとしても、JAXAが技術成立性の観点からなかなかそこまでのエンジンはないのではないかとか、例えばスペースプレーン型でやる場合、この主翼の大きさはなかなかどうなのだというふうなところで、事業者さんの事業を大きくやりたいというところと、技術的にはまるのかどうかというところの議論、やり取りというところになるのかなと思います。
 ただ、少しやり方は難しいのですが、今2022年でございます。最終的に、できれば2040年ということもあるのですが、その技術成立性を評価するに当たっては、現時点からの技術獲得の見込みだけではなくて、将来の技術的ブレークスルーの可能性というのも見込んで対話を行うということが大事だと思います。なかなかこのブレークスルーをどこまで見込むかというのは少し難しいところがあるので一概には言えませんが、現時点から見て全てこれは難しい、駄目ですねということだけでは何も進みませんので、これらのJAXAとの対話を通じて、開発・事業を行う者は事業成立性を前提とした範囲内で技術的に成立する飛行形態ですとか規模に収れんさせていくということを考えております。
 ここで私の考えといたしましては、これまでの議論もそうですが、基本的にはこちらの開発の最終的な主体は民間が行うということでございますので、仮にJAXAが、例えば民間さんの求める技術が10だとして、JAXAとしては8ぐらいまでしか難しいのではないかと。これは別に要素技術のレベルとかではなくて、仮に定量的に技術の獲得レベルを10とか8とか言っているのですが、仮に民間さんの求めるのが高かったとして、JAXAは少し技術成立性が難しいのではないかといったところで、次、2ページでございますが、それは直ちにJAXAが少し難しいからといって、それを民間ができないということにはならないと考えます。JAXAがこの基幹ロケット発展型の宇宙輸送システムとの共通技術も踏まえて、ここまでは何とか要素技術、ここぐらいまで、こういう技術ならできますよという中で、仮にもし超える部分があるのでしたら、そこの開発・事業を行う者の投資でその差を埋めて進めるという考え方も考えられます。そこは少しどこまでJAXAの力を民間事業者さんが借りるというか、借りられるかというところの御判断かなと思います。
 また、開発が始まった後も、開発・事業を行う者の取組状況ですとか、開発状況等は、専門家等も含めて、また国に報告をしてもらうと。また、それを受けて、必要に応じてこのロードマップのレビューなり見直しということもあるのかなと思っております。
 続きまして、国と民間の研究開発の分担(知財の持ち方に関わるもの含む)ということで、こちらの方は主に今JAXAが例えば先ほど申し上げた今年度既に20億円予算がついていて、要素技術に関しては、民間からも公募して、民間が市場で使える技術、JAXAにおいてはそれを宇宙で使える要素技術の獲得を官民共同で行っているのですが、それの進め方でございます。
 JAXAにおいては、個別の要素技術についてオープンイノベーションの競争体制によってRFIを行って、それによって要素技術の研究開発を進めていきます。また、JAXAが策定し、このロードマップ検討会の第13回ぐらいにJAXAの方から報告させていただきましたが、ここ数年先の技術の獲得を予測した技術ロードマップ、そのようなものを提示させていただいて、その実現に向けた要素技術を獲得していくとともに、また、JAXAの既存技術の活用ですとか、既存技術を踏まえた民間企業等からの技術提案の対話を通じて、宇宙輸送業界関係者、宇宙輸送事業者らの意見を集約・確認した上で、官民共同研究による必要な要素技術を獲得していきます。
 こちらの高頻度往還飛行型宇宙輸送システムの開発・事業を行う者が更に必要とする要素技術については、この将来宇宙輸送システムのロードマップを踏まえつつ対話を行い、関係者等の意見集約をした上で、更に技術ロードマップに反映して、こちらについても獲得していくということを考えております。
 開発・事業を行う者は、このように主体的な技術開発を進めていく上で、JAXAが実施するオープンイノベーション共創体制で得られました要素技術ですとか、あと、今2024年実施めどで、CALLISTOという日本・フランス・ドイツで南米のギアナの方で行っております再使用の実験の方で得られた技術の提供を受けることができます。それらを踏まえまして、開発・事業を行う者は、実証機等の開発、試験、機体のインテグレーション、地上系も含めた再使用を伴うシステムの運用方法を開発するということを考えております。
 こちらの要素技術で得られた研究開発の知財というのは、基本的には民間企業側さんは自らの製品を地上分野でそれを適用するということなのですが、宇宙分野では、もちろんこれは最終的に将来宇宙輸送システムの基幹ロケット発展型ですとか、高頻度往還飛行型に使いたいということでございますので、こちらの宇宙分野への適用は非独占という形にして、一定のフィーをお支払する形で使えるという形で考えております。
 ですから、JAXAがA社さんと共同で開発した技術は、A社さんだけが使えるということではなくて、この高頻度往還飛行型に挑戦されるB社さん、C社さん、複数あるとすごくうれしいのですが、B社さん、C社さんとかが希望すれば、このA社さんとここで得た要素技術は使えるというふうな形を考えております。
 次、3ページでございます。これまでの我が国の宇宙開発でJAXAや民間の培われた技術や知見などの効率的活用のための仕組みづくりということでございまして、こちらの方、主にJAXAで今まで話してきたのは、今後のこのプログラムで新しく未来に向けて獲得していく技術ということなのですが、これまでJAXAは再使用等の実験も一部、昔行ってきたものもあります。それら今持っているJAXAの技術とかをどのように活用できるかということでございますが、開発・事業を行う者が飛行形態や規模等を検討するに際しては、JAXAで今保有している、また、実施している要素技術研究の状況把握が必要となるということで、これに対応する国、JAXA側の窓口を整備すると。
 そこで開発・事業を行う者と意見交換を行って、その方たちがこういう技術が欲しいということを対話の中で絞り込んで、JAXAはそれでしたらということで、JAXAで過去に開発したこういう技術はありますがどうでしょうかというふうな形になるかと思います。ここは少しJAXA側の保有しているものが非常に多うございますので、ここは対話の中で必要なものをまず絞り込んでいくという作業をしっかり行う必要があると考えております。
 次に、開発を担う民間事業者の選定方法ということで、こちらの方は正にこのロードマップ検討会の後半戦でも示させていただきましたステージゲート方式によって段階的に開発をやっていきましょうというふうなところの話でございます。
 高頻度往還飛行型の事業者が出てきて、国、JAXAと対話を行って、このような飛行形態で考えていると。これこれのときには飛ばしたいというふうなお話がまとまりましたと。それを国、JAXAとその開発を行う方が議論を行って、段階的に技術実証ステージゲートを設ける開発支援について協議を行うということになります。
 ですから、国としては、まず事業者さんが現れて、事業者さんがある程度JAXAとの技術成立性を確認して、こういう飛行形態、こういう規模でやりたいというふうなプランを持ってきていただいて、それを踏まえてステージゲートを最終的に詳細に固めていくという形になっていきます。
 2040年代前半というのを今から見た場合というのは、20年ぐらいありますので、民間にとっては非常に長い期間であって、事業の予見性が非常に見通しにくく、民間でのファンドレイズを処置することが難しいということが想定されます。段階的にこの20年を何段階かに区切ることによって、もう少し短い期間になりますので、事業の予見性も得られて、段階的に将来宇宙輸送システムに向けて必要な技術を獲得していくということになります。技術も段階的に獲得することができると考えております。
 開発・事業を行う者が段階的な技術実証を行うことによって、もちろん民間事業者さんも2040年代前半まで何も収入がないので、期限を区切って技術実証を行うということでもって、市場等からもこの会社は能力があるということで信頼を得て、更に民間においてのファンドレイズが進むということが期待されます。
 段階的な技術実証のステージゲートの設定は、最終的に高頻度往還飛行型の開発・事業を行う者が出そろって、各社の飛行形態ですとかが出そろった上で国が設定すると考えております。
 本ロードマップ検討会の後半戦で、先般一例としてお示しいたしました。それは4段階で示しております。そこでお示ししたものが、まずは再使用技術を盛り込んだ小規模な機体を開発すると。次は、実際人が乗るかどうかというのはまた別として、有人の飛行能力、人が乗れる能力を持った機体を開発すると。次に大型化を行って、最終段階、2040年代の前半の第4段階において、いわゆる高頻度化ということで実用化につなげると考えております。これは現段階での文部科学省、国としてのステージゲートを設けるとしたらの一例ということで考えております。
 また、もう一つ、後でも詳しく補足いたしますが、現下の国際情勢等を踏まえまして、現下の国際情勢というのは、ロシア、ウクライナでの戦争が開始されたことによって、端的に言いますとソユーズロケットとかが使えなくなって、なかなか日本での民間衛星の打ち上げとかにも影響が出得るという状況になっております。それもあって、是非第1段階のこの技術実証ステージゲートで開発される宇宙機というのは、こちらも2040年代前半を待たずに、早期の実装につなげるということが大事かと考えております。
 技術実証ステージゲートの具体的な進め方につきましては、国が決めると申し上げましたが、さらに外部専門家からのコメント等も踏まえた上でこのステージゲートを示して、そしてRFPを行うということを考えております。公募を行います。
 これを見てといいますか、見てもそうだし、その前に国とは対話は行っているのですが、開発・事業を行う者はこの提案に応じこのようにやっていくというふうな飛行形態、規模を示すと。国は、示された飛行形態、規模、また、今後必要となる技術を確認して、このステージゲートに参加できるかどうかということを選定すると考えております。つまり手を挙げた人が誰でも参加するというわけではないということです。一定の能力、特に技術的な能力ですとか、そうですね、また、それを継続して技術を獲得できるであろう能力というふうなところを見させていただいて、そこは少し確認させていただくということでございます。
 その後、その民間事業者と契約を締結して、その事業者に対してJAXAが保有する技術ですとか、また、オープンイノベーションで得られる要素技術について提供するとともに、マイルストンペイメント方式による支援を行うことが考えられます。マイルストンペイメント方式での支払というのは、例えば今文部科学省においては、CRD2というデブリの除去を実証するプログラムでもやっておりますが、何段階かに分けてお金を払うということで、最後一括して払うのではなくて、途中段階でも払えるということがメリットでございます。例えば基本設計、詳細設計、技術実証等の段階で支払えないかということを想定しております。
 技術実証ステージゲートの技術実証を確認できる手段として、最後これが目標達成できたかどうかということといたしましては、これもRFPの際に明記はするのでしょうが、例えば現実に考えているのは、デモンストレーション飛行等を行うなど、明々白々な形でできたという形を示すことが大事かと思っております。
 技術実証を成功した際には、一定の打ち上げ枠の買取りであるアンカーテナンシー等ができないか検討したいと思います。そのアンカーテナンシーを得られることによって、民間事業者にとっても一番大変な初期運用段階の宇宙機の実績づくりを行うことができるということで、早期の先ほど申しました実装化を図ることができるということでございます。
 そしてまた、さらに民間事業者さんにとっては、初期運用がそれでできますので、その宇宙機を使って、例えば衛星への輸送ですとか、宇宙旅行ですとか、自らビジネス展開を図ることが期待されて、そこでちゃんと自ら稼いでいただくということが考えられます。
 次でございますが、我が国の宇宙輸送システムの自立性を確保するために、国が責任を負うべきキー技術の維持方策ということでございまして、こちらキー技術の方は、H2Aロケットですとか、イプシロンロケットですとか、我が国の基幹ロケットにおいては非常に必要となる技術については、キー技術ということで、国も支援を行って、しっかり維持をしております。
 将来宇宙輸送システムとかについても、最終的にはどういうものがなるかというのは今後の進展を待たなければいけませんが、再使用とかを行うのでしたら、もちろん再使用に関わる技術とか、何かしらが恐らくキー技術になるということは考えられますので、こちらについては、ロケットに関する基幹技術におきましては、国が責任を負うべき分野の技術として、官民の役割分担を明確にした上で、しっかり国も支援を行った形でキー技術の確保に努めるということを考えております。
 5ページでございます。機体以外のシステム(地上施設設備、打ち上げ安全監理)の開発、運用主体と役割分担というわけで、機体以外においても整備するものですとか役割分担を整理することがあります。
 民間主導の開発体制を支えるために、民間も利用できる燃焼試験場を開発段階に合わせてJAXAにおいて整備を行います。こちらの方は、今年度から既に予算がついておりまして、まず燃焼試験場の整備ということをJAXAにおいて既に今年度より開始しております。燃焼試験でございます。官民共創推進系開発センターの整備が始まっております。
 また、開発・事業を行う者が自ら活用できるよう、システム検討ツールの整備、一種のシミュレーターというか、システム検討を行って、例えば部品をこういうふうに入れ替えることによって、例えば強度がどうとか、コストがどうとか、あと、再使用の運用性とか、そういうようなものをシミュレートできるシステム検討ツール、こちらの方もJAXAの基幹ロケット発展型の方においてこれを使用いたしますので、こちらもこれに関する予算を今年度より計上して準備を始めておりまして、こちらについても民間にも利用してもらって、自らの検討にも役立たせていただければと思っております。
 また、打ち上げ安全監理につきましては、既にニュースペースの事業者におきましては、安全監理ですとか宇宙活動法対応を自ら実施されているというところから、今後、高頻度往還飛行型宇宙輸送システムの事業化等を見据えると、開発・事業を行う者が安全監理を担っていくことが考えられます。
 次、(2)でございますが、射場・スペースポートでございます。
 射場・スペースポートは、先ほどの前回までの意見でも述べましたが、現在、基幹ロケット発展型、高頻度往還宇宙飛行型、いずれにおきましても再使用の機体を使うことによって打ち上げコストを抜本的に低下させることを想定しておりますが、現在JAXAが打ち上げを行っております種子島、内之浦のどちらの射場におきましても、機体の再使用によって、要は機械の再使用というのは、端的に言うと、最初の段階では1段目が帰ってくるということでございます。H2Aロケットは最初ではありませんが、H2Aロケットでいいますと、今1段目を切り離しておりますが、それがどこかに戻ってくるということでございますが、今機体が射場に戻って運用するような仕様とはなっておりませんので、再使用を伴う飛行試験を行う試験場のスペックですとか、再使用機の回収方策、整備方策について検討を開始しようと思っております。その飛行試験場につきましては、高頻度往還型宇宙輸送システム開発に取り組む方も活用することが想定されます。
 制度的課題(法律・条約事項等)でございますが、一定期間ごとの技術実証ステージゲート等の開発進捗に伴いまして想定される開発の技術パスが、例えば技術実証ステージゲートで、先ほど文科省が一例として示させていただきましたように、まず再使用に伴う小型ロケットを造って、その後有人対応して大型化して高頻度化ということが想定されます。
 こちら、想定されますということなので、実際のステージゲートですとか、開発段階の進捗というのは、実際にこの開発を行う方が来ないとそこは分かりませんが、そのような開発ペースを踏まえた上で、機体への対応ですとか、人への対応、商業化の認定ですとか、段階的に明確な期限を区切って、関係機関と連携し、実現に必要な環境の検討・整備を進めたいと考えております。
 現段階で考えられる制度的課題例として、再使用技術の獲得ですとか機体等への対応、有人飛行への対応、商業化への対応ということが書かれております。
 こちらの方は、正に開発を行う民間事業者の方と、先ほど技術的な成立性についても国、JAXAと対話をするということを行いましたが、正にこういう話も民間事業者様若しくは今環境整備を行っているSLA様から、こういうのをいつ頃までにやる必要があるという話が国の方にというか、国もそれを聞き取って、それもてこに関係機関とも連携して進めていかなければいけないのかなと思っております。正にこれは研究開発を文部科学省の方でやりましょうということで行っておりますので、そこは非常に力を入れてやっていく必要があると認識しております。
 (4)国際協業の在り方ということでございますが、まず国際協業といいますか、まず一つは、先ほども言いましたCALLISTOの実験を日・仏・独で行っております。これは24年度にCALLISTOは試験フライトを行って、そこで成果が出る予定でございますので、まずそのCALLISTOの成果を技術実証の第一ゲートですとか基幹ロケット発展型にまず活用するということを考えております。
 この国際協業をやるかどうかという、国際協業というか、CALLISTOは当然国としてはやるのですけれど、その後、個別の民間事業者というか、この開発を行う方が国際協業をやるかどうかというのはその御判断ということにはなるかと思うのですが、一般的に国際協業を行うことによって、材料、機器等の宇宙輸送システムに使用される共通的な製品に関して、国際企業間で製品の共同調達ですとか技術協力を推進して、個別発生費用の削減を図ることができ、宇宙輸送システムの大幅な低コスト化を実現することも想定されますということがあります。ただ、そうですね、国際協業の在り方というところで民間事業者様のお考えがあるかと思います。
 5ポツでございますが、利用ミッション動向を含む将来市場環境及び宇宙輸送事業者に関する継続的な分析・評価ということで、こちらはロードマップ検討会の委員の方のコメントでもあったのですけれど、やはりこれは日本だけの研究開発ということではなくて、正に海外競合がいる話でもあるので、当然海外競合の動向というものを常に探って、それによっては更にてこ入れとかも必要なのではないかというふうなお話があったかと思います。
 この海外事業者の動向等は、JAXA等において調査の費用がありますので、そういうものも使って引き続き調査を行って、専門家等の方にも加わってもらって、文科省によってこのロードマップのレビューを行って、官民の役割分担等の見直しとか必要に応じて考えていきたいと思っております。
 将来輸送系に関わるロードマップは、単に研究開発プロジェクトということにとどまらず、我が国が要は自立的に宇宙活動を展開する上で必須のインフラということで考えておりますので、引き続き宇宙利用の拡大ですとか、宇宙産業の発展にもつながることから、関係機関と連携して分析・評価を行っていくということを考えております。
 あと、それと、最後の戦略本部の資料をお願いします。ここまでが取りあえず取りまとめなのですが、トピックといいますか、この間の少し動きを皆様にお伝えしたいと思いまして、先ほど少し私も言いました宇宙開発戦略本部というものがありまして、こちらは内閣府の方に宇宙政策委員会、宇宙政策委員会事務局がありまして、我が国の宇宙政策は関係機関、関係省庁と一緒にやっているということなのですが、宇宙基本計画というおおもとのものがあるのですが、宇宙基本計画工程表改定に向けた重点事項ということで、毎年この5月とか6月の時期に重点事項をまとめて発表しております。また、それをオーソライズするために、それを最後政府としてまとめるために、宇宙開発戦略本部という会議を開きまして、総理も出席されてそういう会議をやっているのですが、この間、先ほど申したロシアとウクライナとの戦争が始まったことによって、やはり輸送能力というか、海外の特にソユーズロケット等を使っていた衛星事業者等にも影響があって、なかなか日本の衛星が上がりにくいという状況になっているということもあります。
 それもあって、一番上の我が国の宇宙活動を支える総合的基盤の強化というところで、H3ロケットの更なる競争力強化というのは我々がずっとやってきているところではありますが、これだけではなくて、政府による活用等を通じた民間小型ロケットの事業化を促進するということですとか、また、もちろん我々の将来宇宙輸送システムを研究開発するというのも書かれておりますが、そういうふうな直近の打ち上げ能力を向上することの必要性もうたわれております。
 また、この際、総理もプレスの前で御発言された事項として、我が国のロケットの打ち上げ能力を抜本的に強化しますということですとか、また、政府による活用を通じて民間小型ロケットの事業化を促進するなど、必要な人工衛星を国内から打ち上げられる体制を整えますということで、やはり我が国から衛星をちゃんと打ち上げられるようにしようということの総理からの発言があった次第でございます。
 それらも踏まえて、皆様に御検討いただいているこのロードマップの方は、例えばその2040年に高頻度往還飛行型の飛行をやる、また、2030年頃には基幹ロケット発展型を使用して抜本的低コスト化を得て、宇宙の自立性を高めていくということがまずあるのですが、そういう少し先の話だけではなくて、直近のこの先数年ぐらいでも、今のこの政策課題に応えられるものがないかということもありまして、この技術実証のステージゲートというところで、最初に小型ロケット、小規模な小型ロケットを使って、それを技術実証でやっていくということで、それは最初の数年間やれることだと思います。
 それがなった際には、それも実際の輸送能力、日本から打ち上げる輸送能力の向上ということにつながると思っておりますので、そういうふうに直近の政策課題にも活用するというふうな観点もこのロードマップの検討にはあると考えております。
 その具体的な表現といたしましては、2040年代前半を待たずに、こちらの小型ロケットとか、こういうのをちゃんと実装していくというふうなところで、この中間取りまとめの検討結果の方に書いてはございます。
 すみません、少し長くなりましたが、取りあえず事務局からの説明は以上でございます。
 
【遠藤主査】事務局の説明ありがとうございます。
 それでは、この事務局の説明に対して、委員の皆様の御意見を頂きたいと思いますが、どうぞ順を追って御意見いただきたいと思いますので、まず官民の役割分担のあたり、ここのところが一番議論のあるところかと思いますので、ここについてまず意見のおありの方は挙手をしていただいて御発言をしていただきたいと思います。では、よろしくお願いします。
 
【遠藤主査】牧野委員お願いします。
 
【牧野委員】はい、遠藤さん、ありがとうございます。笠谷さん、丁寧な説明ありがとうございます。
 このまとめ案の2ページ目の中頃ですかね、「JAXAの既存技術の活用や既存技術を踏まえた民間企業等からの技術提案の対話を通じて、宇宙輸送業界関係者、宇宙輸送事業者らの意見を集約・確認した上で、官民共同研究による必要な要素技術を獲得していく」と書かれておりまして、これは多分この委員会のとても大事な点かなと思っています。民間事業者の意見を聞きつつ、国の研究開発を立案して、その結果を民間事業者にフィードバックして事業として大きくしていく、これが多分この議論のキーの一つになっているのだと思うのですが、笠谷さん、これ、具体的なその仕組みみたいなことを少しイメージされていますか。されているのであったら、少しこの辺に書き込んでいった方が、このロードマップ委員会のセカンドクールの何か成果になったような気がするのですが、いかがでしょうか。
 
【笠谷企画官(事務局)】はい。こちらの方は、少し今現在、JAXAの方に、アナウンス・オブ・オポチュニティということで、AOという対話の形態を今詳細の検討中なのですが、そういうことを考えております。そういう場をつくって、民間事業者、この開発を考えている方との意見交換というか、どういう技術を考えているのかということを頂いて、かつ、もちろんその民間事業者さんが別にそんな変な話をされるとは我々も思っていないのですが、一民間事業者さんの話というだけではなくて、それがちゃんと、要は更にJAXAも公費を使って共に研究開発していくということで、宇宙開発のトレンドというか、そういうことにもちゃんと沿っているということを確認しなきゃいけないので、宇宙輸送関係者とか、宇宙輸送事業者とか、そういう方々からも、何というか、この方向性で間違っていないよねというふうなところの確認をした上でやっていくというところでございます。
 まだAOということで少し考えてはおるのですが、ここに書けるかというのは考えてみます。基本的に我々、JAXAにおいても技術ロードマップというものを出して、JAXA、今の状況でこういうものが必要で、こういうふうにやっていくというのは出しているのですが、正にこの民間事業者がどういうものが必要かというところで、そこはもちろんできる限界はありますが、ビジネス的にも予算的にも残念ながらありますが、そこは最大限酌んでやっていきたいと思っております。
 
【牧野委員】その下の文章にもありますけれども、JAXAの技術ロードマップに反映しみたいなところがきっと大事だと思うので、この辺の組織設計みたいな話を少し進めていただくと非常にいいかなと思いました。ありがとうございました。
 
【遠藤主査】はい、ありがとうございます。大変貴重な意見いただきました。
 それでは、新谷さんお願いします。
 
【新谷委員】はい、ありがとうございました。笠谷さん、御説明ありがとうございました。
 今牧野さんがおっしゃった同じ2ページの下のところですが、個別の要素技術の研究開発というところで、知財の取扱いがすごく重要になってくると思うのですが、民間企業とJAXAが共同で行った場合に、保有割合を貢献に応じて設定するということですよね。そうしますと共有になる場合も多く考えられるわけですけれども、共有になった場合、もしこの民間事業者、A社としますと、A社とJAXAは知財を共有するわけで、A社とすれば、自分の知財を自己実施するのは自由ということになると思います。この後なのですが、「将来宇宙輸送に係る分野の適用を非独占とし」とあるのですが、先ほどの例えですと、B社、C社というのが出るといいというお話で、例えばではB社が出ましたというときに、A社とJAXAでつくり上げた共有知財を、JAXAがB社にもライセンスアウトしていけるということになるという御趣旨でしょうか。その場合は、本来であれば共有者であるA社の承諾がないとライセンスアウトできないというのが原則的な考え方で、もちろんA社があらかじめ承諾をしておくなど契約上の手当てはできますが、どのようにお考えなのかなというところがお伺いしたいです。
 最初からB社、C社へのライセンスアウトというのをA社が承諾しておかなければならないということになると、A社としては自分たちの労力、資源等もかけて行うことだと思うので、そのあたりの整理を資料のこの米印のところはどのようにされているか教えてください。
 
【笠谷企画官(事務局)】まず文科省からお答えいたします。
 基本的に、何ていうか、要素技術の、これ、個別の要素技術ですね。個別の要素技術の研究開発は、基本的にJAXAは地上で物を作っておる企業と共同で行います。これは、デュアルユースを考えております。
 企業側さんから見たら、JAXAと共同研究して今その会社さんが使っている地上での技術を能力アップする、若しくはJAXAも使っているということで、少しそのブランディングを高めるというメリットがあります。JAXAとしては、地上で使っているA社さんの技術が宇宙でも使える形で出口としてはまず持ちます。
 そのA社さんというのは、基本的には、もちろんそのA社さんが最終的に民間高頻度開発を行う会社になる可能性はゼロとは言いませんが、そういうことは考えていなくて、基本的にA社さんはその成果を自分たちの地上の市場、地上の分野で使っていくと。それでさらに、何というか、シェアを取って稼いでいくというところですので、特にそこの、何というか、この技術を、B社、C社というのは宇宙機を作る会社ですが、そこに使われることは基本的には何かとA社にとって競争上の障害になるということは考えてはおりません。
 沖田さん、すみません、何かそこ、今新谷先生が言われたように、例えばそれを契約で最初の段階から縛っているとか、何かそういう契約上で補足することがあったら言っていただけませんか。
 
【沖田ユニット長(JAXA)】沖田の方から補足させていただきます。
 現在我々、オープンイノベーションの共創体制の中で、RFI、RFPで技術の共同研究の実施でございますけれど、この新谷先生のおっしゃる点について、我々、募集要項にあらかじめ非独占といったところをうたった上で、何かそれに対して問題があれば事前にお知らせくださいということで実施してございます。
 今までのところでは、まだそうした新谷先生のおっしゃっているような具体的な問題というのは出てきてございません。今後出てきたところで、さらに契約条項上どういう扱いにするのか、いわゆる自動車業界のように、この知財が獲得できて2年間はいわゆるA社、先ほど言ったA社に優先使用して、2年後はライセンスアウトするとか、様々なやり方があろうかと思います。その点については、今後引き続き、できるだけ我が国の宇宙輸送が健全な競争原理が働くよう進めてまいりたいと考えてございます。
 
【新谷委員】御説明ありがとうございます。A社が、今御説明があったように地上の業務しかされない会社だったらいいのですが、そうでない場合というのは多々出てくるのかなと思いますので、バリエーション等、契約条件等を御検討いただければと思います。ありがとうございました。
 
【遠藤主査】はい、ありがとうございました。
 それでは、永田先生からアカデミアからの御意見を集約してまとめていただいているようでございますので、永田先生にアカデミアからの本件に関する御意見ということで御発言をお願いいたします。
 
【永田委員】はい、ありがとうございます。今正にそれを申し上げようと思って手を挙げていたところです。
 今議論になっている官民の役割分担のところで、研究者コミュニティの役割が全然言及されていないというところが一部研究者コミュニティの間で議論になっておりまして、それで航空宇宙学会と、それから日本ロケット協会の名前で提言を出させていただきました。僕はどちらの学会でも理事という立場ですので、日本ロケット協会と航空宇宙学会両方を代表した立場として紹介させていただきます。
 要望の内容は1ポツから3ポツまで三つに分かれておりまして、1ポツ目は、国の研究開発戦略について話し合われる場に関与したいという内容で、2ポツは、どういう研究分野をやるのかとか、研究課題にどのようなものを設定するのかとかいった話合いの場にも関与したい。3ポツ目は、実際の研究の場にも関与したいという分け方をしております。
 これ、今日まとめていただいた提言を見ると、全然検討されていないというわけでは決してなくて、それぞれの場で今までも関与をさせていただいていますし、この提言の中でも関与することは期待されているのだと理解しております。
 例えば専門家の意見を踏まえてとか、専門家も交えてという文言も入れていただいておりますし、今日のような国の政策を議論する場にも永田も参加させていただいていますし、中須賀先生もアカデミアの立場で参加されていますので、決して盛り込まれていないわけではないというふうに私は理解していますけれども、ただ、メインに書かれていないので、もう少しメインにアカデミアの役割も分かるように是非書き込んでいただきたいということでございます。
 例えばチャレンジングな技術課題の引き受け手としての貢献というところについて申し上げると、今は民間に実際研究開発をやっていただいて、それを国が支援してというような書きぶりになっておりますけれども、この引き受け手の中にはアカデミアも恐らく入ってくるのだと思いますし、研究開発を行う民間も、大学との共同研究という枠組みを使って、大学研究者からの参加というのも多分入ってくるのだろうなと思うのですけれども、ここのところで、例えば大学研究者とのチーム構成を想定したような制度設計にするとか、あるいは、そういうチーム構成を推奨するとかいうような配慮をしていただけると、より大学研究者からこういう研究開発の現場に参加しやすくなるとか、具体的に言うとそういうことでございまして、決して検討されていないわけではないのだけれども、もう少しメインにアカデミアの役割を是非期待していただきたいということでございます。
 あと、それから、大学研究者というのは結構ばらばらに活動しているところがあって、まとまりがないと言えばそうだし、だからロバストなのだといえばそうなのですけれども、全体を取りまとめる役割として航空宇宙学会とか日本ロケット協会とかもございますので、そういったアカデミアの立場を代表して取りまとめるようなところへの期待も是非入れていただけると有り難いという内容の提言でございます。
 以上です。よろしくお願いします。
 
【遠藤主査】はい、ありがとうございました。事務局、この提言を受けて御配慮をお願いしたいと思います。
 そのほか全体を通じて、第1項のところだけ、役割分担だけではなくて、全体を通じてで結構でございます。
 
【遠藤主査】渥美さんお願いします。
 
【渥美委員】渥美です。丁寧な御説明ありがとうございました。
 まず、今回の資料の、いろいろな意味で事業の予見性を与えながら事業を回しましょうというのがこの活動の一番大きなところで、その予見性を与えるために、技術的な面、それからインフラの関係、法的な関係、それからあと、安全監理が重要な話になると思うのですけれど、少し書かれている文章の量からいって、インフラと法的な話が余りに少な過ぎないかなと。技術的な話が書かれているところの割合に比べてですね。このあたりもう少し考える必要があるかなと。技術の方をもう少し少なくするか、スペースポートだとかというのは結構重要な話になるし、サイズによってビジネスの規模って決まってしまうところもやはりあります。射場の大きさに比べ、考えている機体が、小さなものだったら打てるかもしれないけれど、更に大きなものを飛ばしましょうというときには、(2)で検討するその大きさは結構重要な話になるので、このあたりとの関係をもう少し丁寧に書かれた方がいいかなという気がいたします。法的な話も同じです。
 それが、最初に前半まとめた、例えば今回のこの活動の中で、二地点間飛行の将来的な話の事業予測を5.2兆円と書いている以上、その規模と余りバランスが取れていないような形の具体的な施策というのかな、役割分担の話で書かれている中身が、その前半のところと後半のところの話のバランスが取れないのではないかなという気がしますので、そのあたりどういうような形でイメージされているのか、もし考えているところがあれば教えていただきたいなと思います。
 それから、最後にもう1点だけ、安全監理に関するところ、これ、開発・事業を行う者が担っていくと書かれていますけれど、これは今内閣府に申請して出しているものですが、これは民間事業者の方が自らそこのところに申請の書類を出して審査を受けて許可をもらうということをイメージされているのかどうか、そこも教えていただければと思います。
 以上です。
 
【笠谷企画官(事務局)】はい、笠谷です。渥美委員ありがとうございます。
 我々、要は、P2Pとかは相当の市場規模があると思っているからこそ、民間の方もこれに参画するというか、ペイするという可能性が高い。ですから、国もしっかりこれを支えるというか、一緒にやれる体制を整えるというところで考えております。
 それを考えると、正に今飛行試験場の話については、この基幹ロケット発展型においても飛行試験場は何かしら必要ではございますので、再使用を行いますので、そこについてはどのような在り方があるのかを考えて、そこは民間の方が使われるというのはあるのですが、実際民間の方が事業で行う射場というか、スペースポート、民間のP2Pのフライトで行う、それについてはどういうふうに整備していくかというのは、まだこの検討結果というところではそこはまだ詳細に書けてはいないです。つまりそれは民間が御自身の負担というか、御自身の好きな場所でつくるという話になるかもしれませんし、それは国家事業としてやるのかということもありますので、そこはまだそこまでスペースポートとか射場をどういうふうに造るかと、実際使う民間のP2Pでというところまでは見えておりません。
 見えておりませんので、まず、速やかに使うであろう飛行試験場については、ちゃんとJAXAの方で在り方を考えて、そこはちゃんとまずは民間も使えるように、最初の試験とか、先ほどのデモンストレーションフライトで使えるということは処置したいとは考えております。最終的には民間の事業で使うやり方については、あそこはまだここでは書けていないというところが正直なところでございます。
 安全監理の方につきましては、安全監理の方は民間事業者自らが行くというふうな、先ほど渥美委員の言われたようなことを今のところ考えているところであります。
 
【遠藤主査】はい、渥美委員、よろしいですかね。
 
【渥美委員】もしそうだとすると、民間事業者の方が、例えば地上のインフラまでスキームの中に入れなきゃいけないというのと入れないというのとでは、採算的には全然違ったような話になってくるだろうと思うのですよね。
 だから、予見性を高めて回していきましょうというようなとき、そういう政策の話としてやはりまとめるという以上は、ある程度ポジティブに書かれないと、地上インフラを造っていくだけでも多大な金が出てくるような話になるとすると、幾ら投資を集めて回していこうとしても、それは回っていかないような話になったりしますから、そこはもう少し書き方の工夫が必要じゃないかなという気がいたします。
 以上です。
 
【笠谷企画官(事務局)】分かりましたなのですが、2020年のこの段階でどうこうというのは難しいのかなと思いますが、ただ、もちろん必要なものというところは、正に官民で共通で使うようなものとかというのは、試験場もそうですし、燃焼試験場もそうですけれど、官の方でも整備して、要は民でも使ってもらうということは基本では考えておりますので、それは少しポジティブな要素ですね。ただ、現時点で何かこれは、ですから逆にこれは絶対民間がつくってくださいとか、そこは多分どちらもはっきりとは書けないと思います。ただ、ポジティブな要素というのは考えたいと思います。
 
【遠藤主査】なかなか役所としても言い切るのは難しい問題だとは思うのですが、渥美委員の御指摘もうなずけるところもございますので、もう少し課題として残すというところもあるかもしれませんが、書き方は是非工夫していただきたいと思います。
 
【渥美委員】議論できるような場が必要になってくるかなという気がいたします。
 
【遠藤主査】それでは、石田委員お願いします。
 
【石田委員】ありがとうございます。笠谷さん、御説明ありがとうございます。
 これを政策的に進めていくという観点で幾つか思ったことがあるのですけれど、民主体でやっていく事業である。それを国がサポートするという、これがこの政策の一番重要なところなのかなということと、かなりの長期プランであるという二つがやはり大きいかなと思いましたと。
 民主体な開発事業に対して、JAXAさんとして、あるいは政府としてどう支援していくかというものに関していくと、前も少し委員会で発言させていただいたかもしれないですけれど、商業デブリの実証事業のやり方というのは私非常に参考になるかなと思っていて、ミッション自体はどちらかというとJAXAさん側で定義しているので、そこは少し違うかなとは思いますけれども、民主体の開発に対して政府がどう支援するかという意味では、本当に国内の中では非常にエポックメイキングなアプローチで、当然御苦労もありながらやっていると思うので、是非実証事業の中で培われてきた知見とかはこういったプログラムにも適用されていくといいのかなと思ったのが1点でございますと。
 あと、やはりこれは長期で新しい技術の開発なので、常に全てがうまくいくというのは相当難しいと思っていて、いろいろな意味での失敗というものが起きるとは思うのですけれども、やはり大事なのが、適切な競争環境をつくり続けるというのが、ある意味技術進化のためにも一番大事かなと思っていて、余り数が多過ぎても過当競争になるし、絞り過ぎても技術進化が遅くなるしというところもあるとは思うので、何かアメリカのCOTS、CRSとかを見ていて、ある種一番秀逸だなというのは、常に2社が競争環境にあって、二つのプログラムをうまくマネージしながら、どちらかがちゃんとフライしていくみたいな形かなと思ったので、今の日本の状況を踏まえたときに、どの段階でどう絞り込むかというのを今日この段階とかで決める話ではないとは思うのですけれども、適切な競争環境をやはり長い目でうまくつくりながら技術革新を加速させていくというのは、この政策を進める上では結構大切だと思うので、是非そういった観点は持ち続けていただければなと思いました。
 あと、最後は、やはり民主体というところを踏まえて、官民の責任分界点ということもある種考えておくことが大事なのかなとは思っていて、どこまで突っ込んでいくのか、どこまで支援するのかというところが当然プログラムとしては成功できることがいいのですけれども、民主体ゆえの責任の分界点というのをどこに設けるかといったところは、具体的な開発していく上で大事かなと思うので、すみません、抽象的なコメントにはなってしまうのですけれども、その適切な競争環境と責任分界点の設計と、このあたりは従来にはないやり方ではあると思うので、そのあたりをうまく設定いただければと思いますし、商業デブリの実証事業の知見とかも御活用いただければというふうに思いました。
 以上でございます。
 
【遠藤主査】ありがとうございます。
 
【笠谷企画官(事務局)】ありがとうございます。
 まずCRD2、デブリ除去ミッションCRD2なのですが、こちらは正に、はい、このJAXAの中でもやはりマイルストンペイメント方式ということで、サービス調達ということで新しいやり方で、こちらの方はすごくJAXAの方も苦労してやっているのですが、正にこのマイルストンペイメントの支払のやり方とか、あと石田委員の三つ目に言われた官民の責任分界点の参考にもなるかと思っていて、なかなかこちらも、20年のロードマップに比べれば短いのですが、これもやはり数年がかりの事業で、他方はJAXAが単年度で予算を取っていかなきゃいけないこともあって、ちゃんと頑張って文科省も取っているのですけれど、絶対取れるという保証もない中でこういうふうに約束してやっていくというところで、ある種の責任とか、そういうところもありますので、我々もこのCRD2のやつを非常に参考にして、今後の具体の正に技術実証ステージゲートが始まったときの契約という一言で、漢字にすると2文字なのですけれど、非常に何か大変なことになるのではないかなと思いまして、正にそこに官民の役割とか責任というところが文字としてはっきり出てくるのはそこでもあります。
 あと、競争していくというところで、はい、私としても、少なくても最初の段階では2社以上が出てきてほしいなとは思っていて、そこは、はい、2社以上の状況はもちろんこれは取れる予算とかそういう部分もあるのでしょうけれど、最後は恐らく1社にはなるのかとは思うのですが、極力その2社での競争という期間は長くできればいいと思っております。やはり民間が切磋琢磨(せっさたくま)するというところのメリット、そういうことも我々自身もう少し整理して、そういう競争状態が続くということが国のこのプログラムを推し進める我々にとってもこういうメリットがあるいうところを整理していく必要があるのかなと聞いていて思いました。ありがとうございます。
 
【石田委員】ありがとうございました。
 
【遠藤主査】はい、ありがとうございます。
 それでは、鬼塚さん、お待たせしました。よろしくお願いします。
 
【鬼塚委員】ANAホールディングスの鬼塚です。笠谷さん、御説明ありがとうございました。
 航空会社の立場から一つだけ、本日の中でどうこうという話では全くないと思っておりますが、今後課題感を強く持っていただきたいなと考えておりますのが、6ページ目中段の制度的課題にある商業化への対応ですね。機体を操縦する資格、整備する資格、安全運行を管理する資格、加えまして、運送事業の許認可、国際的なルールということでございますけれど、正にこのとおりかなと思っておりまして、翻って現在の航空業界を見ますと、なかなか国際的なところとの整合性を取るのに苦労してきたという歴史がございます。
 いわゆる日本独自のルール化みたいなところが、これは私どもに責任の一端があるのかもしれませんけれども、そういうところで進んできている。グローバルに競争をしていく相手がいるわけですので、その競争に勝っていけるような資格・許認可の体制、もちろん1丁目1番地は安全を担保するということが大事なのですけれども、そういった点も踏まえて制度設計を今後考えていけるといいのかなと思っております。
 はい、私からは以上です。
 
【遠藤主査】はい、ありがとうございます。
 それでは、大貫さん、お願いします。
 
【大貫委員】はい、御説明ありがとうございました。
 先ほどの渥美委員からのお話にも少し関係する、安全監理に関係するところなのですけれども、官民の役割分担というところではあるのですけれど、官民の融合性というような面も必要になってくるところが安全基準みたいなところには出てくるのかなと思います。信頼性、安全性の部分なのですけれども、今後JAXAが民間で開発したフライトサービスを購入するということも今後出てくることを想定しますと、JAXAでの安全基準と民間の安全基準、特に有人レーティングに関係するところというのが、基準の考え方等を融合させるというようなところも、考え方も持たれる段階が来るのかなと感じました。
 アメリカの場合は、NASAはヒューマンレーティングを持っていて、民間の開発したものに関しましては、FAAの商業宇宙輸送局の輸送部門で民間の安全基準というのを整理していますけれども、民間が開発した輸送機をNASAがフライトサービスを購入するということにおいては、NASAとFAAが提携した上で、それを融合といいますか、一本化させるような考え方の上で、NASAも民間機が使えるような形にしていったというような経緯があったと思います。
 そういったことからも、日本ではFAAみたいなところで一本化しない、民間の安全基準においてFAAみたいなところで一本化するうんぬんというのはまだ決まっていないところかもしれないのですけれども、ある段階でそういったような視点というのも出てくるのかなと思いました。
 以上です。
 
【遠藤主査】はい、ありがとうございます。
 そのほかの方、稲谷さんお願いします。
 
【稲谷委員】はい、今回のまとめありがとうございます。いろいろな視点で考えられていて、大変有り難いと思いました。
 この話は、将来において、有人輸送も含めた将来の大きな輸送マーケットをイメージして、それに如何に近づくように、ことを進めて行くのかの話であると私たちは理解しています。
 今、安全の基準という話がありましたけれども、結局人を乗せるという話はまだ宇宙への輸送という意味では直面したことのない課題であります。これを危ないからといって、前に進めないというのは簡単なのですが、それを如何に乗り越えて人が乗っても大丈夫だという仕掛けをつくるのか、という意味で、ある種の覚悟とか、ある種の論理や説明責任とか、そういうものが必要になってくると思います。その中で、民間が独りで責任を持ってやるというのもなかなか難しいことだと思うので、是非実行する人が萎縮しないように、国が有人の飛行を許可するのか、認めるのかのスキームやルールづくりが大事だと思います。そこにおいてものごとを前に進めるには、安全確実がもちろん最優先ではあるが、さりとて大胆に決心する、というような場面が必ずやってくると思います。それを先送りしていると前へは進めないので、先ほどの笠谷さんのお話で、段階的にものごとを進めるときにどこかの段階で、そういう人を乗せる話に踏み込む時点が本当にやってきます。そのときに是非確実かつ安全ではあるが、実行者が萎縮しないで大胆に実行できる仕掛けや合意形成をどうやってつくるか、あるいはそこで皆さんで前に是非進めましょう、というふうになっていくロジックを用意することを期待します。そのような期待というか覚悟を、この報告書の文面にどう書くかというのはなかなか難しいところではありますが、是非そういう仕掛けやマインドが必要だということを、追加で書き込んでいただきたいと思いコメントとします。以上です。
 
【遠藤主査】はい、ありがとうございます。
 
【笠谷企画官(事務局)】稲谷委員、ありがとうございます。
 今日のまずこの検討会としては、この16回、17回か分かりませんけれども、この提言というか、取りまとめということではやるのですが、文部科学省においては、宇宙開発利用部会も持っていますし、また、このロードマップ検討会みたいに局長の私的諮問会議という形でも専門家の検討会というのを持っています。先ほど来、専門家と言いますけれど、それを持っていますので、このロードマップの検討というか、今言った稲谷委員の有人をやる意義というか、有人飛行をやる政策的意義みたいな、そういうところを何か国というか、何かそういうところでもやはり検討していくという、それがあるからこそ有人飛行をやるというところの、もしそういう整理というのが必要なときは必要になってくるのかなというふうにも聞いていて思いました。
 ちなみに、この何かしらの専門家の皆様にも引き続き何かしらお力をお借りして、何かしら検討会というか、そういう形というのは引き続き何かの場では必要なのかとも思っています。そういう有人をやる意義なり、そういうものも必要に応じて整理していく必要があるのかなというふうにも思いました。ありがとうございます。
 
【遠藤主査】はい、ありがとうございます。私も一言、稲谷さんの意見を感想というか申し上げると、この稲谷委員の心意気たるや、私も同感なのですが、安全というのが何かの足かせになるというのではなくて、推進力になれるような安全の評価のプロセスというようなものが今後議論する必要があるのではないか。そういう観点で、この場では何かそういうことが盛り込まれればいいのかなというような気がいたします。
 それでは、渥美委員、お願いします。
 
【渥美委員】すみません、もう、一つだけ、今の安全のところの話が結局内閣府との関わりの話になるのかなというので、少し考えるべき話かなという気がいたします。
 少し言いたかったのは、3ページ目ですね。3ページ目の下から二つ目の段落のところの文章で、今の時点で「再使用技術を盛り込んだ小規模な機体を開発し」というような文言というのは、どっかの委員からの指摘もあったと思うのですけれど、サイズの小さなもので成功したからといって、ある程度大きくすること自体がというようなところで指摘出されていますので、ここはどちらかというと「トライアル機体を開発し」というぐらいの文書にすべきじゃないかなということと、「次いで有人飛行技術」というふうに行くと、いきなりハードルが高くなったような形のステージゲートにやはり見えるので、ここは文章をいろいろともう少し精査された方がいいかなと思います。
 以上です。
 
【笠谷企画官(事務局)】ありがとうございます。渥美委員、あえて小規模と書かなくてもということですが、トライアル機体というのはどういうイメージでしょうか。
 
【渥美委員】結局技術的なレベルの話が分からないから、再使用化させるというふうに言っても、何回かトライアルで飛行させないと、次のステップにいきなり本機の開発に行きますという状態ではないですよね。なので、そういうトライアルの機体をともかく飛ばしてというぐらいの、そういう意味でのステージゲートかなという気がするのですけれど、そこはそういう考え方ではないですかね。
 
【笠谷企画官(事務局)】あえてサイズというところにどうこうというところではないということです。
 
【渥美委員】だから、サイズをわざわざ書く必要はないのではないかということです。結局小さなものを、例えば三、四メートルぐらいのもので飛ばしたからといって、本機でビジネスに役に立つようなところまで行けます、人が乗れますというようなところまで行きませんよね。
 
【笠谷企画官(事務局)】だから、そこは最終的なP2Pに使えるところから逆算して、ある程度の大きさが必要になってきたときのトライアルをつくっていくとかそういうことですかね。
 何か実際のを無理してつくりなさいということではないのですけれど、何か仮に5年刻みとかでここまでに必要な技術を取るとなったときに、まず何か再使用の技術を何かしらの他のサイズではつくってほしいとは思っていて、それが少し小規模というところで、そこは限定しないのでしょうけれどということですか。
 
【渥美委員】いや、ただ、小規模で行って、いきなり今度は、だから、何だろうな、小さな機体から有人技術が次のところに来て、さらに大型に来てというと、その技術的なハードルが、物すごくぼーんぼーんと高くなっているようなことが続いていくようにやはり見えてしまうというか、そういうふうに感じられるような文章になっているので、ええ、あえてだから小規模なというような言葉を入れる必要はないのではないかということを申し上げました。
 
【笠谷企画官(事務局)】はい、分かりました。
 
【渥美委員】それから、次いで有人技術という言葉なのかどうかは、また、結局それは無人ですということを最初に言っているような話になるので、少しここは文章の書き方は少し工夫された方がいいかなというふうに思います。
 以上です。
 
【笠谷企画官(事務局)】はい、分かりました。
 
【遠藤主査】牧野さんお願いします。
 
【牧野委員】はい、ありがとうございます。
 今何となくぼーっと全体を見ていてふと思ったのですけれども、この有人宇宙輸送、先ほどの稲谷さんと笠谷さん、遠藤さんの会話も聞いていて思ったのですけれども、有人宇宙輸送システムを実現する民間事業者が出てきていろいろ活動してくれることを期待するというコンテクストでずっと書かれていますけれども、もっと冷静になると、一般の皆さんが有人宇宙旅行なり宇宙飛行は誰でもできるのだよね、僕も行きたいなみたいな、そういう雰囲気をつくっていく活動というのをやらなきゃいけないような気がするのですが、そういうことってこういう提言に書いたりしないのですかということなのですけれど、余り議論もできていないから書きようがないかもしれないけれど、それも実は大事なアクションかなと思いました。笠谷さん、難題をしゃべってしまいましたが、どう思われますか。
 
【笠谷企画官(事務局)】その醸成というところは、何といいますか、一般的にその雰囲気をつくるということもそうですし、正に政府が、特に要は制度のところでの有人に向けた課題を突っ込んでやっていくというところと、世間一般に対してもそういう、それにもっと雰囲気が伝わるというところが両輪なのかなと思いますので、少しその制度とか何か。
 
【牧野委員】例えば、YACとかいろいろな活動もあったりするので、そういったところも含めて日本全体の雰囲気をそういうふうな醸成していくという活動もやった方がいいなと自分で自分に思ったというところなのですけれどね。まあ、書きようがないなら気になさらなくていいです。
 
【笠谷企画官(事務局)】まあ、少し研究させていただきます。ありがとうございます。
 
【牧野委員】大事な活動のような気がして、実は僕たちは議論できてなかったなと自己反省しているわけでございます。
 はい、以上です。すみません。
 
【遠藤主査】はい、ありがとうございます。いや、御指摘のところは、そうかなというところもありますので、そういうところも是非まとめの中で入れていけたらと思います。
 稲谷さん、お願いします。
 
【稲谷委員】今の牧野さんの話で昔のことを思い出したのですが、もう20年近く前になるかもしれませんが、当時まだ宇宙開発委員会があった時代、どなたが委員長だったかもう忘れましたけれども、中国が有人宇宙飛行をやるというときのことです。そのとき日本はどういう対応の仕方があるのだというので結構シリアスな議論をしました。
 結果として、そのとき中国は人を飛ばしましたけれど、日本の中では何も起こらなかったし、日本もやれという声はそれほどには大きくはならなかったという経験を我々はしました。つまり、やはり外圧や人頼みでやっていたら駄目ということが、反省としてあって、今回この有人輸送の議論をする中で先ほどの人を運ぶ動機は何かといったら、私たちが考えるべきは、やはりそこに大きなマーケットがあって、お金を払って行きたい人がいて、宇宙輸送が格段に拡大するだろう、それに向けて国の論理でなく民間主導で頑張ろうというのが今回のインセンティブというか、動機かなと私は考えています。
 なので、雰囲気醸成、先ほどの牧野さんのお話で、みんなが行きたくなるようなということはもちろんそうですけれど、一方で、ビジネスといいますか、巨大なマーケットが期待できる、あるいはP2Pも含めて、何十兆円と言う規模の、今の輸送に比べたらけた違いの世界がつくり得る、だから頑張ろう。というふうに私はそんな循環でやるのかなと考えています。以上です。
 
【遠藤主査】はい、ありがとうございます。そういう視点も含めた雰囲気醸成というようなことではないでしょうかね。
 
【笠谷企画官(事務局)】だから、有人をやる意義というのをやはり精査というか整理する必要があるのかなと思います。そういうものもやりつつ、世間一般に対して雰囲気をつくっていくというか、そういうのを確実にいつまでやりますとか言える立場ではないので言いませんが、そういうこともやっていく必要があるのかなと思います。
 
【遠藤主査】はい、そのほか御意見、この骨子案のみならず、これまでの議論を通じて御意見あれば伺いたいと思います。これからまとめに入ってまいりますので、これまでの委員会を踏まえて、幅広く御意見をお願いしたいと思いますが。はい、新谷さんお願いします。
 
【新谷委員】今の笠谷さんの御発言に関連するところなので、少しだけコメントさせていただきたいのですが、おっしゃるとおりだと思っていまして、有人宇宙飛行を日本が行う意義について正面から議論する場というのがなくて、民間の動きがあれば国としてはやる方向にしていただけるのではないかというような形でずっと動いているだけだったのですが、スペースポートの整備の場合も有人宇宙飛行が日本で行われるということを前提にしていいのかというのは、よく分からないという感じでやっているところがあるので、もしもそれを話す場を設けていただけるのであれば非常に有益だと思ったので、笠谷さんの御意見にコメントさせていただきたいと思いました。
 最後につけていただいている工程表の重点事項のところでも、やはり有人やサブオビが正面から言及されているわけではなく、やはりこの検討会について関係省庁で協力していくとか、研究開発をするとか、そういったところの文言はもちろん入れていただいていて、今日御発表いただいたとおりなのですが、きちんとどこかで議論する場があってもいいのかなと思っています。
 世間の人の関心ですけれど、宇宙村にいるとみんな関心があるわけですが、前に広告代理店が調べた資料を見たりすると、宇宙に行きたくない人の方が多い場合もあったりするので、有人宇宙飛行をやると決めるのであれば、情勢づくりという話が重要になると思っております。
 以上、コメントです。ありがとうございます。
 
【遠藤主査】はい、ありがとうございます。
重枝委員、お願いします。
 
【重枝委員】ありがとうございます。先ほどから出ておりますが、そういった将来に向けての雰囲気づくりに関しては、もちろんピアトゥピアであればいいと思うのですが、有人の宇宙旅行になると、どうしても富裕層だけがアクセスできる旅行ということになってしまいますので、そこをいかに一般の方々にまで落とし込めるかというところで世論を形成していく必要があるのかなとお話を伺っていて感じました。
 私自身は、今回の検討結果に関して異論は特にないのですが、以前から申し上げておりますとおり、事業性ですね、ビジネスプランといいますか、そこがどこまで成立するかというところを見極めていくことが非常に肝要かと思っておりますが、こういった研究や開発を進めていく方がそこに注力していくに当たって、事業面の検証に関しては、そういったものを得意とする民間企業を含め、そういった開発を進める方を支援するような枠組みというか仕組みづくりがあれば、一層こういった動きが加速していくのかなと感じた次第です。
 以上です。
 
【遠藤主査】はい、ありがとうございます。どうでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、ほぼ御意見も頂戴したと思いますので、この取りまとめの骨子案に皆様の御意見を踏まえて見直しを事務局にて反映して、また次回御議論を頂こうと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。本日の議論はここまでということにさせていただきたいと思います。
 それでは、事務局から、終了に当たって連絡事項があればお願いいたします。
 
【笠谷企画官(事務局)】皆さんどうも御議論ありがとうございました。本当にありがとうございます。本日頂きましたコメント等も踏まえまして、リバイス等いたしまして、また今度の会議の前に、それまでに時間というか、また見ていただいて、やり取りとかさせていただいて固めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の会議資料と議事録の公開について申し上げます。
 会議資料は公開となりますので、既に文科省をホームページに掲載させていただいております。また、議事録についても公開となりますので、委員の皆様に御確認いただいた後、文科省のホームページに掲載させていただきます。よろしくお願いいたします。
 以上となります。
 
【遠藤主査】はい、ありがとうございます。
 それでは、本日の議事はこれで終了とさせていただきます。どうも長時間にわたってありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします。
 

―― 了 ――

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