革新的将来宇宙輸送システム実現に向けたロードマップ検討会(第13回) 議事録

1.日時

令和4年2月8日(火曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 前回の議論の整理について
  2. 商業軌道輸送サービス(COTS)プログラムについて
  3. 「高頻度往還飛行型」の段階的な事業化及び研究開発を支える環境整備について
  4. 「高頻度往還飛行型」を開発する民間事業者等の確認について

4.出席者

委員

遠藤 守 【主査】
渥美 正博
石田 真康
稲谷 芳文
大貫 美鈴
鬼塚 慎一郎
重枝 和冨
竹森 祐樹
永井 敬彦
中須賀 真一
永田 晴紀
牧野 隆

文部科学省

研究開発局長  真先 正人
大臣官房審議官  原 克彦
宇宙開発利用課課長  福井 俊英
宇宙開発利用課企画官  笠谷 圭吾
宇宙開発利用課課長補佐  横井 奈央
宇宙開発利用課課長補佐  木元 健一

(説明者)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
 研究開発部門 第四研究ユニット ユニット長  沖田 耕一

5.議事録

【遠藤主査】皆さん、こんにちは。定刻になりましたので、ただいまから文部科学省研究開発局主催の革新的将来宇宙輸送システム実現に向けたロードマップ検討会の13回会合を開催させていただきます。本年、初の会合でございます。昨年に引き続き、本年もよろしくお願いをいたします。
 皆様御存じのとおりの状況でございますので、引き続き、このようにオンラインでの開催にしております。
 皆さん、御多忙にもかかわらずお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 まずは、事務局から本日の会議に関する事務連絡、それと、文部科学省さんにおかれては人事異動がございましたようですので、その御紹介もお願いをいたします。
 
【笠谷企画官(事務局)】文部科学省事務局でございます。
 最初に1月1日付で、生川に代わりまして真先が研究開発局長に着任いたしましたので、御紹介いたします。局長、一言御挨拶をお願いいたします。
 
【真先局長】1月1日付で、前任の生川の後を受けまして研究開発局長を拝命しました真先でございます。このような状況でございますので、ウェブ参加でございます。また、機会を捉えまして先生方に御挨拶をさせていただければと思います。本日は顔だけで恐縮でございます。
 この革新的将来宇宙輸送システム実現に向けまして、先生方におかれましては、今後も引き続き、幅広い闊達(かったつ)な御意見を頂ければ有り難いと思ってございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 
【笠谷企画官(事務局)】局長、ありがとうございました。
 事務局でございます。
 本日は、革新的将来宇宙輸送システム実現に向けたロードマップ検討会に御所属いただいている委員のうち、11名の委員に御出席いただく予定でございます。
 次に、本日の資料ですが、お手元の議事次第4ポツのとおりですので、御確認ください。
 オンライン状況について、音声がつながらない等の問題がございましたら事務局へメール、電話等で御連絡ください。
 事務連絡は以上です。
 
【遠藤主査】ありがとうございます。
 真先局長、よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入りたいと思います。
 一つ目の議題は、前回の議論の整理についてということで、前回、事務局から、官民の協議体制や官による支援方策等の説明がありました。それに関して皆様から御意見を頂いております。その主な意見を事務局側で整理をしていただいておりますので、まず、今日の議論の冒頭にその整理の説明をお願いいたします。
 
【笠谷企画官(事務局)】文部科学省事務局でございます。
 それでは、資料の13-1を御覧ください。
 前回の検討会で各委員の皆様から頂いた主な意見を列記させていただきましたので、今回の議論の前に整理しておきたいと思います。
 まず、再使用の技術は専ら高頻度往還飛行型であるが、将来の技術を考えると基幹ロケット発展型にも波及していくものであると。技術としては国として共通のものをきっちりやりますよというメッセージが必要という御意見です。
 御意見を頂きましたとおり、高頻度往還飛行型として開発した技術であっても、基幹ロケット発展型に逆に還元できるものがあると考えております。また、高頻度往還飛行型が成功しなければ、将来輸送機への目標としての抜本的な低コスト化を実現できません。基幹ロケット発展型と高頻度往還飛行型の二つでもって2本立ての将来宇宙輸送システムロードマップと位置づけておりまして、両輪の相乗効果で研究開発を推進していく必要があると思っております。
 続きまして、技術項目としましては、基幹ロケット発展型と高頻度往還飛行型で共有化したいものはあると思うが、その技術を実際プログラムに落とし込んでいくときに、技術ロードマップとその機能要求をどこまで政府側として全てを踏まえないといけないのかと。そこにプライオリティーをどうつけていくのかということでございます。
 また、飽くまで基礎研究から始めないといけないので、ある程度技術の方向性を知見のある国が示していくのは必要なことではないかと。技術の方向性ではなくミッション要求を示していくことが大事なものになっていく。
 続きまして、技術ロードマップに個別の技術について記載はあるが、技術を大ぐくりしたシステム技術の成熟度を上げるレベルになってくる。そういうところをどう考えるか検討していただきたい。
 また、技術開発を急速に進めていかないといけないのであれば、どういうやり方がよいのか、ミッション要求も含めて、トータルで練り込んでいった方がいいという御意見を頂いております。
 JAXAの方で、前回御紹介いたしましたとおり、技術ロードマップを作成しておりますが、また、前回もそうでしたが、今から数年先までのもので、飽くまで現状のロードマップと考えておりまして、実際に民間事業者等が立ち上がってきて、どの飛行形態や要素技術を選んでいくかというのは、民間事業者と決めていくことになります。
 そのため、民間事業者が技術ロードマップに沿って順番どおり開発していくというよりかは、逆に民間事業者が必要とする技術、最低限の要素技術はJAXAがしっかり用意していくということを考えております。
 政府としましては、今後、どのようなアンカーテナンシーを考えていって、それに必要な技術レベルはどの程度かを提示することになります。具体的な支援内容や支援を受ける民間事業者の要件は、本検討会における議論等を踏まえて検討したいと考えております。
 次に、2040年代の宇宙輸送系がどうなっているのかという絵を明確化して描いていくことが大事という御意見でございます。もっともな御意見でございます。
 こちらの方は、我々の方も昨年の6月までにまとめました中間取りまとめの方で、2040年代前半の社会ビジョンですとか、また、そのときに予想される需要がどれぐらいあるという議論はしていたかと思います。
 ただ、これも、年代の進捗等によって、また大きくこのロードマップの途中で変わる可能性もありますので、最新の知見を生かして検討していきたいと思っております。
 次に、技術ができたということと、その技術でマーケットがこれだけあって、マーケットから求められている技術の要請に応えられるかという観点が技術開発に必要と。そこの接点の議論を十分にやらないといけないと。
 次に、段階的にどういう法整備が求められるのかとか、予想される事業における市場規模に対してどれくらいのマーケットシェアを狙っていくのかと。そのブレークダウンを見ていくことで事業化の検証がより進んでいく。
 また、どの技術レベルまでを、どのタイミングまでに上げておくことが重要で、特にTRL4から6の実験機でどの程度まで実証ができるか、その大きなファンドを呼び込むことは極めて重要。
 技術要素レベル4から6は大がかりな試験が必要になってくるので、国としてどういうサポートができるのかということが重要。
 また、どこまで事業を書き切った方がよいのかについて、余り狭いことだけを書かない方がいいと。仮に書くとしても随時見直していくと書いた方がいいというコメントを頂いております。
 こちらは、前回、文部科学省事務局の方から、例えば、2040年前半ということを今から見越すと20年あって長いという御意見もあったところ、まず5年刻みで技術目標というものを掲げてやっていってはどうかということを提示させていただきました。それに基づいて、このような意見を頂いたと思っております。
 今回は、本日の後の議題の方で、5年刻みの支援、考えられる段階的な事業化ですとか技術レベル、研究開発を進める上での課題について、事務局の方で一案を作成しております。それについて御議論を頂きたいというふうに思っております。
 他方、作成したものは飽くまで現時点での一案でございますので、本日の議論ですとか、将来、民間事業者が、検討する方が現れた場合というのは、そこはまた変わり得るというふうに思ってはおります。
 次に、2020年代の後半には、2地点間の輸送が始まる可能性があるスピード感で動いているので、26年頃に予想される事業とすると外国勢が日本に来ることを受け入れられないといけないし、そのための有人飛行に対しての離着陸を受け入れるという立法はもっと早く必要であると。
 国際的にいろいろなビジネスを進めていこうとすると、どうしても協調的な動きが重要になるので、そのときにどう動くかは注視しておくことが必要ということでございます。
 こちらの方は、正に外国勢の動きというところもありますし、また、我々というかこの日本で将来輸送の検討を行うに当たって、正に競合となりますので、そこの動向をしっかり探ることは重要でございます。
 JAXAの予算においても、このロードマップ、将来輸送の予算の一部に海外動向等を調査する費用等も含んでおりますので、そのようなものも使って、しっかり海外の動向というか、そこは把握しておきたいと思いますし、逆に、海外から日本に来るとなったときに、例えば、日本が、要は日本の港というか空港というかスペースポートというか、それだけを開くということにならないように、だからこそ日本もしっかり技術を持って、外国勢が日本に来るならば、逆に当然日本から外国に行く港を開いてもらうとか、当然ギブ・アンド・テークといいますか、双方向ということになり得ますので、そういうふうな海外勢の動向はしっかり把握しておきたいと思っております。
 最後に、法的な話、ビジネスの話を考えたときに安全保障上の観点からどう考えていくのか整理はやっておかないといけないという意見でございます。
 御意見を頂きましたとおり、技術によっては安全保障に関係するものもあると承知しておりますが、まずは民間事業者が市場に適応した宇宙機を技術的に造れるかだというふうに考えております。
 全体的に国がどのように関わっていくかということもありますので、本検討会の成果物となるロードマップにも、そもそも安全保障の観点について落とし込む必要があるのかどうか、落とし込むのであれば留意すべきはどこかということについて、今後の御議論で御意見を頂ければと考えております。
 前回の御意見についての取りまとめは、事務局からは以上でございます。
 
【遠藤主査】ありがとうございます。
 ただいまの事務局に整理いただいた内容について、委員の皆さんからコメントがあればお願いをしたいと思います。コメントのある方、例によって挙手のサインをお願いします。よろしいでしょうか。
 それでは、2番目の議題に移りたいと思います。
 民間事業者等に事業予見性を与えるため国の支援が必要であるということは、これまでも議論をしていたところでございますけれども、今回は、具体的な支援方策、アンカーテナンシーといいますか、これを議論する上で、参考情報として、米国における実例ということでございますが、米国のCOTSプログラムについて、JAXAより説明をしていただきたいと予定をしております。
 それでは、JAXAの沖田ユニット長、お願いいたします。
 
【沖田ユニット長(JAXA)】JAXAの沖田です。説明させていただきます。
 米国で実施されたCOTSプログラムの概要について、まとめたものでございます。
 NASAのCommercial Crew and Cargo Program Office、いわゆるC3POは、安全で信頼性が高く、費用対効果の高い宇宙輸送機能を開発及び実証するための民間事業者の取組を刺激するために、財政的及び技術的リソースを投資したもの。
 C3POにおいて、COTSプログラムはいわゆる商業軌道輸送サービスというプログラムで、補給サービスを行うシステムや機体などの開発を行うCOTS、それから、CRS(Commercial Resupply Services)という商業補給サービスで、これは義務的な契約となるために契約者は計画の失敗時に責任を有するもので、COTSで開発した宇宙機を使って補給サービスを行うCRSがあります。このCRSという、大体11億ドル、日本円でいうと1兆2,000億円以上という多大な利用サービスがある中でCOTSの開発が行われたものです。さらにCCDev、これは商業乗員輸送開発ということで、国際宇宙ステーションのクルー交代サービスを行うために商業有人宇宙機だけの開発を行ったというもので、この3つの計画をCOTSプログラムの中でC3POが管理してございました。
 この2006年から2013年までの間、COTSプログラムの下で、NASAは宇宙輸送業界の3つの企業とともに、投資家、アドバイザーの役割を務め、人類探査のフロンティアにおける米国の宇宙輸送能力の開発を促進したと書かれてございます。
 総額8億ドルであり、当初計画5億ドル、追加資金3億ドルというプログラムであり、本契約を通じてSpaceX社のドラゴン宇宙船、それからOrbital Sciences社のシグナス宇宙船が開発され、民間企業によるISSへの輸送サービスが実現されていくことになりました。
 次のページ、お願いします。
 COTSの結果と成果です。そのサマリーをつけてございます。
 COTSにおけるSpaceXとOrbital Sciences社の投資金額の内訳というのはここにあるとおり、総額の45%が政府支出と。残りが民間企業による自社投資となっています。NASAによると、Falcon9を従来どおり開発した際には、約4.4から40億ドル程度要すると見込まれておりましたが、実際の政府支出というのは予測値を大幅に下回り、かつ、COTSを通して官民合計で10億ドル以上の投資がなされたということで、米国の航空宇宙業界における雇用創出にも貢献したとされてございます。
 COTSは、当初より商業打ち上げ市場環境の構築も視野に入れており、結果的にCOTSを通して構築した輸送能力において、SpaceX等は商業打ち上げ市場で大きなシェアを獲得したということになってございます。
 次のページ、お願いします。
 冒頭、サマリーをまとめましたが、COTSは国際宇宙ステーションへの民間企業による輸送サービスプログラムとして、3つの計画から成り立っているものでございます。
 2004年にコロンビアの事故の直後、ブッシュ大統領の宇宙探査ビジョンにおいて、民間事業者はスペースシャトル退役後のLEOの輸送、低軌道の輸送を担い、NASAは深宇宙への輸送機を開発するとされてございます。
 その後のスピードをもって、2004年の12月には議会でCommercial Space Launch Amendments Actが制定されて、実際にプログラムとしてスタートしてございます。
 NASAが公募した内容というのは、ここにあるとおり、AからDの4つです。民間事業者との対話を通じて、このような内容を設定したとなってございます。
 商業軌道輸送サービスは、二つに大別されています。一つはCOTS。これは、民間事業者による研究開発・能力の獲得、いわゆるサービスが提供できるように、輸送システムをつくるというのがCOTSです。
 それから、そのCOTSで構築されたシステムを使って、CRSという実証されたシステムによる民間輸送サービスの調達。これが先ほども御説明したとおり、11億ドルという大規模な計画になってございまして、民間事業者はここに向けて、自ら自己投資、若しくはマーケットからファンディングを集めるなりして開発していくといったということになってございます。
 次のページをお願いします。
 COTSの主要概念です。全部で五つございます。
 一つは、地球周回低軌道(LEO)の運用は、民間事業者に委ねる方針。NASAは探査、科学研究、それから技術開発に特化していくと取り決めています。
 二つ目は、政府の投資を限定的にするとしております。政府の補助は必要だけれども、政府の投資は限定し、民間の投資を含めた開発・運用を行うこととしており、これを前提にしてございます。そのため、民間事業者は全体資金の半分以上を負担したということになってございます。
 それから、三つ目ですけれども、宇宙機ではなく、サービスを購入するものです。従来のような宇宙機の納入ではなく、サービスを購入するということで、これは1998年の商業宇宙法でNASAはサービスを購入するとなってございます。これによって、民間事業者の裁量を拡大し、民間事業者が自らコストをどんどん下げていくという、独自性を尊重したということになってございます。
 それから、四つ目として、成果重視の確定契約です。計画遅延の追加経費を払う方式から、追加業務は民間責とすることで企業側のインセンティブを引き出すものです。
 それから、五つ目として、「調達契約」ではない、パートナーとしてのアプローチをとっています。連邦調達規則に則った厳密なNASAの監督を要する手続を適用しないということとして、民間、それからベンチャー企業も参加しやすく、イノベーションを起こしやすい環境を整えたものです。
 この五つの主要概念でスタートしております。
 次のページ、お願いします。
 民間事業者の選定ですが、これは五つのステップになっています。
 一つは公募条件。これは、米国資本50%以上の民間事業者などでございます。
 それから、二つ目は評価体制です。意外と大きな評価体制ではなく、技術が6人、事業6人、資金3人というバランスの取れた評価パネルを設置しています。
 三つ目が提案というプロセスです。いわゆるEstablished SpaceからNew Spaceまで、20社・21提案の中で、18提案を通過させたということで、過去の実績は問わず、事業計画、マネジメントを含むリーダーの実績を評価したということになってございます。
 それから、四つ目がファイナリストの選定です。これは、内外関係者、ビジネスコンサルの意見を取り入れて、費用総額、能力、事業・技術リスク、それから潜在市場、こういったものを考慮して、選定しているということになってございます。
 最終決定という最後のプロセスですけれども、技術的な実現可能性と固い資金調達、事業計画、という観点でSpaceXなど、企業が選定されてございます。
 次のページ、お願いします。
 先ほども、連邦規則に沿わないというCOTS契約条件というのがございました。
 大企業だけでなく、中小企業にも機会を提供できるよう商業的に親和性のある契約の設計を行ったものです。NASAからの要求は最低限として、企業側の独創的な提案を促進したとしてございます。
 契約の目的物というのは、何度か出てきますが、宇宙機の納入ではなく、飛行実証による能力を示すことになっています。ステージゲート方式で、能力を示すことによって次のステップに進むといった方法を採られています。
 それからFirm Fixed Price契約を実施し、原価計算方式を不適用にしているものです。伝統的な実費精算方式ではなく、成果報酬型・追加経費を含めない確定契約ということで、NASAの資金リスクを大幅に低減し、事業者のコスト意識を高めたというものです。
 免責事項として、NASAは事業者に対して損害賠償義務等は要求しないとしてございます。
 四つ目、知的財産です。従来の政府の調達では、知財は政府保有です。いわゆる投資しているわけですから、政府が保有するということでしたが、COTSではほぼ事業者帰属として管理されてございまして、NASAは事業者に対して秘密保持義務を負っていたということございます。
 それから、パートナーシップの保証ということで、NASA側は自由に契約を解除できる要件に制約をかけまして、企業が安心して参加できる環境を構築したというものになってございます。
 次のページ、お願いします。
 NASAの要求と達成状況の確認です。
 NASAは方法論を指定しないよう、マイルストーン審査を実施しているものです。いわゆるマイルストーンでステージゲートを設けながら、次のステップ、次の契約に投資していくというふうになってございます。
 マイルストーン達成基準は、民間事業者の独自性を重視しているわけなので、直前まで決められないということまで想定し、RFP時にはマイルストーン審査の評価項目等は契約書上、記載はしていません。当初、故意にあやふやな項目を設け、事業者選定時の事業者との対応を通じて、マイルストーンを詳細化しています。エンジン燃焼試験などはかなり簡単に確認できる項目を設けたというやり方で進めていました。
 マイルストーン審査ですが、基本はシステム要求、それから基本設計、詳細設計、飛行実証等の主な審査会に則って実施されていまして、NASAの標準的な手続であるシステムエンジニアリングプロセスがテーラリングされたものを適用されております。これは大幅に内容を削減したというものだと思います。
 典型的なマイルストーン審査では、二、三週間かけてC3POとアドバイザーがRIDを提出し、外部コンサルも入れて、二、三日かけて600以下に絞り込むものとなっています。このRIDは、ソートしやすく、効果的に優先度合いを把握しやすいように整理されたということになってございます。
 次のページ、お願いします。
 具体的に、このマイルストーンスケジュール、マイルストーン審査等、どのようにやられたかということで、NASAのCOTSのマイルストーンスケジュールといったものが示されてございます。これは追加契約する前の段階です。
 次のページ、お願いします。
 これは追加資金後ということで、2年間の追加資金分のマイルストーン審査といったところで、結構細かくいろいろ実施しているというものでございます。
 次のページ、お願いします。
 このCOTSプログラムを運営していくに当たっての組織、運営といったものをサマライズしてございます。
 組織概要ですが、先ほど来、出ているC3POがCOTSを担っています。C3POは最大14名で、COTS Advisory Teamと呼ばれる、必要に応じて随時NASA内から必要な人材を集めて組織するチームを活用することで、無駄のない組織運営を実施したとなってございます。
 このCOTS Advisory Team(CAT)ですけれども、役割はNASAの技術を民間事業者に伝えるものです。いわゆるNASAが持っている知財を有形、無形のものを上手に民間事業者に伝えていくものです。
 民間事業者がNASAの要求を達成したか、マイルストーンごとの審査・検証作業も担ってございます。
 これらのメンバーは、技術エキスパートが必要になったときは分野ごとにNASAの専門家が選出され、COTSのサポートのためにNASAの内部で仕事の時間が与えられたというふうになってございます。
 ここのメンバーの選出は、COTSに面白みを感じる人物を優先的に当たり、各センターに求人窓口を設けて募集し、結局、30以上のサブシステム領域、100名以上のエンジニアが協力し、その中にOB、OGもいたということでございます。
 広報ですが、COTSが従来の調達アプローチと異なるということを広く産業界と一般に認知されるよう、初期段階でも広報といったものにも十分力を入れたとされてございます。
 次のページ、お願いします。
 一方、NASAでこのプログラムをスタートする際の内部の反応とそれに対するこのC3POにおけるリスク対応といったものが、この報告書の中にも書かれてございました。
 NASAの内部では誰も成功するとは考えていなかったということをマネジャーが言っていまして、例えば、Gerstenmaier、当時、NASA宇宙運用ミッション局副局長だったわけですけれども、ハイリスクといったところで「こんなもの」という感じだったようです。
 それから、JSCの多くのエンジニアは、side betとかback burner、いわゆる不利な賭けであるとか、二の次の話でしょうという捉え方をされていました。
 こういった反応があることから、このC3POにおけるリスク対応として、NASAが宇宙機開発に関与しないということで、民間事業者は2者選定するものです。両方とも駄目ということはないようにしたい。また、2者とも失敗した場合には、NASAが開発中のOrionを利用するとしております。これによって、民間事業者の開発に対して、個別確認を最低限にすることと、リスクをヘッジすることのバランスと取ったとされてございます。
 次のページ、お願いします。
 最後に、COTS Lessons Learnedです。これは、これまで2014年のCOTSのレポートからの引用でしたが、2017年にCOTS Lessons Learned for Commercial Capability Development PartnershipsといったものがNASAより発行されており、その中で、Lessons Learnedの部分を抜粋してございます。
 資金調達の課題ということが、まず挙げられています。
 NASAは、企業のサービスを調達することを約束しない限り、企業が金融市場から資金を調達することを期待するべきではない。NASAは、選定企業が能力実証に成功した場合、継続するサービス調達契約が提供されることを保証する必要がある。CRSという補給サービスが、11億ドルと。1兆2,000億円という規模がございますが、こういったものを保証するべきではないかということがLessons Learnedに挙げられています。
 二つ目として、ハードウェア及びソフトウエアの成果物転用への対応です。このCOTSプログラムでは、基本的にこの知財は民間企業が全て保持するということで、NASAはむしろ秘密保持契約をして外に出さないというようなことをやっていました。そうした中で、SpaceXが開発した通信ユニットが、オリオンプロジェクトや恐らくほかの宇宙船に活用できた可能性があったということから、ハードウェア及びソフトウエアの成果物を初期に明確に識別し、COTSの宇宙活動協定の下で、成果物の転用に対応するための適切な法的な対処を実施する必要があるとされてございます。そういったことができれば、より効率的な民間企業の協力が構築できたのではないかということだと類推します。
 それから、三つ目は、COTSでのサービス予測価格から、最終的な調達サービスで、価格が大幅に上昇したことでございます。上昇は、追加要求が原因である可能性や最初の提案以来、実際のコストを予想コストへ正確に反映されたということがございます。実績価格といったものが本質的には反映されたものです。
 このCOTSでの提案の予測価格は拘束力を持たないということで、評価チームは、選択基準の一部として使用される場合、これらの価格の大きな不確実性の範囲といったものをあらかじめ考慮する必要があるとされてございます。
 Lessons Learnedとして大きくこの三つが挙げられてございまして、それをサマライズしたものでございます。
 COTSの説明については、以上です。
 
【遠藤主査】沖田ユニット長、ありがとうございます。
 それでは、委員の皆様には、このCOTSの内容を既によく御存じの方もいらっしゃると思います。なかなか、これはそのとおりに日本のケースに適用はできないとは思いますが、これを参考にしながら議論を進めてまいりたいと思います。何かこれに関する追加のコメント等、あるいは質問等ございましたら、お願いをいたします。
 渥美さん、お願いします。
 
【渥美委員】渥美です。本年もよろしくお願いいたします。
 今、説明いただいたものの中に知的財産の扱いの話があって、前回の会議の中では、基本的に知的財産は国に属するという話があったようにも覚えているのですが、その話というのは、今こういうプログラムの進め方のなかでどのように考えていくのか。何か御意見というのか、COTSに対して、日本の中で適用できるものとできないものとがあるとおっしゃっていましたが、その辺りの考え方、少し何かお示しいただけると有り難いのですが。
 以上です。
 
【遠藤主査】これはこれからの議論にもなるとは思うのですけれども、前回、文科省から少しコメントが、この件についてはありましたよね。
 
【笠谷企画官(事務局)】はい。将来輸送系での知的財産ということの扱いは、今後の民間事業者の立ち上がりとか、そういうところで非常に大事になってくるかと思うのですが、現状考えておりますのは、今ロードマップでは要素技術の研究開発というのはJAXAで行うと。JAXAは、今、単にJAXAだけではなくて、課題によっては民間企業、これは開発のプライムがやるところではなくて、個別に要素技術をやる民間企業と公募して、声をかけて、一緒にやろうとしているものもあります。それらはJAXAも持ちますし、その個別の民間事業者も持つと。
 ただ、これは基本的には、何といいますか、JAXAが管理して、基幹ロケット発展型もそうですし、将来の高頻度往還飛行型もそうですし、そこの民間事業者が開発プライムの段階でこの技術を使うとなれば、その技術は基本的には開発事業者に国が提供するということでございます。
 高頻度往還飛行型の開発事業者は、開発プライムの段階で培った特許ですね。開発プライムが、自分たちが自ら開発費も出して、そこで培った、何かインテグレーションの知的財産、それは開発事業者、高頻度往還飛行型の民間事業者の方に帰属するというふうに考えます。
 知財の設計というのは、どういう共同研究をするかとかと非常に密接に関わってくることだとは思います。
 
【遠藤主査】ありがとうございます。
 
【渥美委員】ありがとうございました。
 
【遠藤主査】沖田さん、今の渥美さんの質問に対して、追加の説明とか何かございますか。
 
【沖田ユニット長(JAXA)】いいえ。渥美委員ほか民間事業者の方々は、やはり知財の扱いについては非常に気を遣われているのだと思います。我々JAXAにおいても、原則、非独占ということで、できるだけ国で獲得したものはできるだけ多くの利用をしてもらいたいという思いで進めてまいってございますが、民間事業者の意見も聞きながら、いろいろ相談して進めていきたいという基本概念は変わってございませんので、今後、事業者が決まっていく中で、どういうふうに扱うのかといったところは、引き続き相談するものと考えてございます。
 
【遠藤主査】私から関連の質問を沖田さんにお願いしたいのですが、このCOTSの説明、Lessons Learnedも含めて、非常に分かりやすくまとめいただいてありがとうございます。
 この中でも、知財の帰属については、民間側に渡すのだと言ってスタートしたけれど、結果論として、ほかにも使えた方がもっと効率的だったねというLessons Learnedが出ているところで、何かその辺りは、NASAはいろいろな形でこのCOTSと似たようなものを宇宙ステーションでもやろうとしていますけれども、更に御存じのことはございますか。
 
【沖田ユニット長(JAXA)】残念ながら、まだそこまで調査が及んでございません。引き続き調査させていただきます。
 
【遠藤主査】結局、ここの問題は、米国でもやはりいろいろ議論があるところではないかと思うのですね。もう少し、その後の何というか、米国における方針、考え方がどういう推移をしているのか、調べていただけると有り難いと思います。
 
【沖田ユニット長(JAXA)】承知いたしました。
 
【遠藤主査】石田さん、お願いします。
 
【石田委員】ありがとうございます。
 沖田さん、包括的な御説明、ありがとうございます。よく分かりました。
 私の方で一つ加えられるとすると、このCOTS、CRSにもろもろ参加した民間企業側がこのプログラムをどう思っていたのかというのを、前、実際やっていらっしゃった方に聞いたことがあったので、民間から見たときに、このプログラムあるいは政府系プログラムがどう見えたのかというのをせっかくなので御共有できればと思いました。
 民間サイドからすると、無人のものに関してはSpaceXとOrbital、ATK、有人がSpaceXとBoeingが参加をしていたと思うのですけれども、民間企業がこの政府プログラムに参加することのメリットというのは大きく三つあると。
 一つは資金だというふうにおっしゃっていました。有人飛行が絡むプログラム、クルードラゴンとか、そういうのがありましたけれども、有人の軌道までの飛行をやろうとすると開発費が50億ドルとか60億ドル最低でもかかる、5,000億円、6,000億円の世界ですね。これを民間企業が株式市場とかベンチャーキャピタルから投資を受けるというのは結構大変で、非常にリスクが高い領域なのでベンチャーキャピタルとかが成功しない確率もあると思ってなかなか投資してくれないというのもあるので、軌道到達を狙って有人飛行機を造ろうとすると、数千億円かかるものに対して、どうしても政府資金がないとなかなか事業として回らないと。
 サブオービタルのケースは、Blue OriginとかVirginは、ほぼ全部自己資金とか民間のリスクマネーでやっているので、これは民間でもできると思うけれど、やはり軌道まで考えると、一つは資金というのが政府プログラムに参加するメリットだというふうに言っていました。
 2点目が、専門家へのアクセスということで、これはJAXAの皆さんとか気を悪くされてほしくないのですけれど、聞いたことなので、ぶっちゃけ、余り有用でない知識を振りかざされて開発スピードが遅れることもあるというふうには率直に言っていたのですけれど、ただ、長い目で見ると、政府の宇宙機関の方が持っている知見というのは、開発期間とかコストの制約に貢献できるものが多いということで、やはり専門家へのアクセス等は2点目と言っていました。
 3点目がクレディビリティーという話で、自分の企業としての正当性、信頼性を与えてくれるということで、政府との契約が獲得できると、それをベースとしてほかの需要というものを獲得することができるので、大きく言うと、その三つが政府系プログラムに参加することのメリットと言っていた一方で、デメリットは何ですかということに関して聞くと、一番大きいのは、政府からの要求事項に関する話合いに相当数時間を費やすということになると。
 プログラムが走り出した当初は、NASAサイドも要求事項というものが、初めての取組でもあったので、そんなクリアでないこともあったので、とにかくそれを合意したことにものすごい工数がかかると。
 あと、政府側の要求というのが、民間企業からすると、コスト的に絶対それは成立しませんというのもあったりするので、その政府からの要求を民間企業側が、ある種、ポリシーを持ってコントロールしてやっていくぐらいの強いものがないと、結構プログラムがぐちゃぐちゃになっていくところがあるということなので、民間企業側にも、自分たちが目指すものは何で、許容できるコストはどこで、したがって、このプログラムではこういったことを実現していくということをある種プッシュバックしていくようなことも含めてうまくやっていかないと時間だけかかっていくと。
 けれど、時間がかかっても、Firm Fixed Priceなので、かかった時間は政府に請求することができないので、民間企業側が実はこの開発プログラムのスケジュール管理というものをかなりやっていかないと、コストがオーバーランして、その分、自己投資になると。結果的には資金がバーンアウトして続かなくなるということになってくるので、そういう政府からの要求事項というのを、コストも見越した上で、どう、ある種プッシュバックをしていくのか、スケジュールをどう管理していくのかというところは、民間企業側にむしろ強く求められると。ここは非常に難しいマネジメントを問われると。
 そういうことをおっしゃっていたので、そのようなことが、民間企業からすると、このプログラムの中では感じたメリットとデメリットということだったようです。
 少し情報共有ということで発言させていただきました。以上でございます。
 
【遠藤主査】石田さん、ありがとうございます。非常に貴重な情報だと思います。
 こういう石田さんの情報も含めて、今後の議論に生かしていければと思います。
 牧野さん、お願いします。
 
【牧野委員】ありがとうございます。
 沖田さん、COTSの説明、ありがとうございました。
 多分、COTSはアメリカにおいて、この民間主導で開発して、その後もベストプラクティスのようにも見えているので、沖田さん、知っていたら教えてほしいのですけれども、事業性を検討するという意味で、例えば、この沖田さんの資料に出てきますけれども、民間も10億ドルぐらい投資するのですよね。
 そういう中で、多分、5年とか、10年では長いかな、5年とかで累積黒字ということが、何となくいい感じに聞こえる投資判断になったりしそうなのですけれども、こういったときにその段階でも、CRS相当といいますか、1回のサービスを買うときのプライシング等、回数の頻度のつくり方というか、どういう考えでそういうプライシングと回数、頻度ですね。何年、5年で何回とか、そういった設定の仕方というのは、すごくノウハウが要ると思うのですけれども、何か御存じだったら教えていただきたいのですが、いかがでしょうか。
 
【沖田ユニット長(JAXA)】沖田です。私の方にも、なかなかそういった情報は捉えることはできませんでした。非常に興味のあるところです。
 
【牧野委員】興味あるよね。多分、これからアンカーテナンシーの話、今日の後半も出てくると思うのだけれども、結局、そのプライシングが、回数みたいなのが、どういう定義をするかはきっと大事なので、是非分かるところは、COTSから学んだりすると同時に、我々の中でも議論しないといけないかなと思います。
 遠藤さん、ありがとうございました。
 
【遠藤主査】牧野さん、ありがとうございます。正しく御意見のとおりだと思いますので、皆さんからも、いろいろな立場での情報が集まってきますとここの議論も非常に盛り上がっていくというか、具体的にできるようになってくると思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
 次は、前回、2040年代前半の事業化だけではなくて、段階的な事業化に向けて、具体的にどの段階でどの程度の技術レベル、あるいは民間事業が想定されるかというようなこと。こういう研究開発体制を支える周辺の環境整備に関して、技術レベルごとにどのような課題が想定されるかという皆さんの御意見を頂きました。
 本日は、さらに事務局側で一案をまとめるとともに、5年区切りでどんなアンカーテナンシーを2040年までの間の想定を考えていただきましたので、説明をしていただきます。これを議論のスタートにして、更に深めてまいりたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、事務局から説明をお願いいたします。
 
【笠谷企画官(事務局)】文部科学省事務局でございます。資料の13-3を御覧ください。
 前回も、文科省から、5年刻みで段階的な技術実証とかそういうアンカーテナンシーの刻みをつくっていくということをお出しして、それについて御意見をもらいました。本日は、それの少し具体的な方向性というのを書かせていただきました。そこを説明させていただきたいと思います。
 基本的には、また5年前ということなので、頃という書き方をしていますが、26年、30年、35年、40年ということでございます。これら5年ごとに対して、例えば2026年頃は、政府として必要な技術レベルというのを、例えば、こういう打ち上げ能力が何キログラムぐらいのものを高度何キロメートルぐらいまでに投入できる、かつ、部分再使用を技術として盛り込んでいる。そういうものを、例えば、2026年までにステージゲートとして設けて、できないかと。それがかなった暁には、これに相当するアンカーテナンシーですから、この高度何百キロメートルぐらいとかに上げるような、例えば政府のミッションの一部をこちらのこのステージゲートを突破した者、会社に対して、政府として発注していくということが考えられます。
 並行して予想される事業例といいますのは、こちらは民間事業者がやられる部分的な事業化としては、小型コンステの打ち上げですとか、微少重力環境実験とか軌道上サービスの実証の機会提供ということが考えられます。
 同様に、2030年頃にまたステージゲートの技術実証のレベルを設けたいと思います。
 これの考え方は、2026年頃までには、まずは小型、ある程度小さいロケットだけれど再使用化の技術を盛り込むということをやると。
 次の段階では、P2Pということは当然有人旅客ということで、人が乗っているということでございますので、2030年頃には人が乗れる規模の能力のものを造るということでございます。この必要な技術レベルということで、宇宙船何名規模と書いていますが、実際に人が乗れる能力のものを造ると。この段階では、全機再使用の技術ということを考えております。
 この段階では、民間事業者がこれらの技術を使って自社の独自事業として、例えば宇宙旅行ですとか、サブオービタルの低軌道での弾道宇宙旅行とか、そのようなものが考えられます。
 続きまして、35年の段階の必要な技術レベルというのは、これは30年とかで何が変わるかというと、恐らくこの宇宙船(何名規模)というところの何名規模が大きくなります。つまり、大型化、ステップ・バイ・ステップになると思います。そこで大型化してやるというということでございます。大型化して、かつ、頻度がもう少したくさん打てるようなものというふうに考えております。
 2040年頃には、一応2040年代前半にはP2Pを行うというロードマップの目標でございますので、最終的には、こちらの段階では高頻度で打ち上げられるような宇宙機になっているという考えでございます。
 基本的には、5年ごとに政府の方から技術実証レベル、ステージゲートを設定して、それに向かって御努力いただいて、それが達成した暁には、それに相当するアンカーテナンシーを受けないかということを考えております。
 引き続きまして、13-4でございますが、先ほど、5年刻みということで技術実証レベルを段階的に求めていくとなったときに、それと並行して、射場の整備とか法令とか技術認証とか、どういうものが必要になってくるのかというのは、おぼろげながら見えてくると思いますので、現時点で想定され得るものとか、想定され得る時期というものをまとめたものでございます。
 まず、一番下の射場・スペースポート等ですと、2026年頃には、先ほど、技術実証レベルで部分的再使用を伴うものをステージゲートとして考えるということを申し上げました。あと、ロードマップにおいても、基幹ロケット発展型のサブスケールの飛行実証というのは2026年頃と書いてありまして、いずれにしても、2026年頃には、再使用を行う宇宙機の実験場というか飛行試験場というのが必要になっております。
 そういうような観点もありますので、2026年頃までには、再使用を行える飛行試験場の整備が必要になってきます。同様に、2030年頃には実際に人が乗れるような宇宙機の飛行実証ということになりますので、法令的な事項といたしましては、実際の宇宙機の安全性を担保するようなものの法令等が必要になってくるのではないかということを考えております。
 また、2030年頃には、実際の打ち上げにも近づいてきて、人の数も増やしていくということを考えますと、単純に宇宙機だけではなくて、その中に乗っている人間の、要は乗り心地とかの観点もそうですし、医学的な問題とかもありますし、正に宇宙機だけではなくて、実際の人間の健康とか医療の関係とか、そういうところの観点、また、実際にこの時期になると本当に将来、商業飛行というのも見据えてということになりますので、安全運行管理の資格とか、そういう話も入ってくるかと思います。
 そして、2040年頃の実際のP2Pが行われるという時代になりますと、正にこれは国際的なルールというところで、他国、外国とのそういう国際的なルールというものがここまでには必要になってくるのではないかと考えております。
 同様に、射場・スペースポートも、先ほどの2026年頃までに宇宙機の部分帰還に十分な試験場が必要ということを書きましたが、2040年頃、2030年頃のある程度の大きさで、民間事業者が民間事業を行うという段階になりましたら、実際そのP2Pで使う宇宙港、スペースポート、射場というものが必要になってくると考えております。
 まず、文科省としては、5年刻みで技術実証、ステージゲートを設けてはどうかと。そのステージゲートの大きい考え方としては、まずは小さい規模のロケットで再使用の技術を盛り込む。それを有人化して、次にそれを更に大型化して、P2Pにつなげていくという技術パスというのはどうかということを考えてはおります。
 ただ、繰り返しになりますが、現時点でこれを実際にやる民間事業者という方は、まだ表明はされておりませんので、実際その方々が現れて、その方々の考える飛行形態とか、技術パスとかの考え方によっては、この技術実証の、例えばこのタイミングとか目標が適切かどうかというところはまた議論があるかとは思いますが、文部科学省としては、一案として、5年刻みで技術のステージゲートを設けて段階的に進んでいくという、こういう大きい方向性ですね。これについてはどうなのかということで、御意見を賜ればというふうに思っております。
 ですので、先ほどの必要な技術レベルのところは、高度何キロメートルというのが全部丸字になっておりますのは、恐らく今の段階でこれをここまでは決められないと思っているからでございます。
 続きまして、13-5でございます。
 先ほどのCOTSの話でもありましたが、民間事業者との対話というか民間事業者とのやり取りというのが非常に大事になってくるのではないかというふうに思っております。
 こちらの方は、仮に、先ほどの5年前の、5年ごとの技術実証というものをやるとなったときに、どういうふうに、国/JAXAと民間事業者とのやり取りというのが行われ得るかということを少しシミュレートしてみたものでございます。こういう官民の対話があるのではないかということでございます。
 上から申し上げますと、まず2022年度でございますが、こちらの方は、今JAXAの方でも計画中なのですが、広くこのような御関心のある民間事業者を対象にJAXAがフォーラムを開催すると。こちらの方で、要はJAXAが持っている技術をこういうものがありますよという御紹介をして、そのフォーラム等の終わった後に更に関心がある者には個別にも面談といいますか、商談を行いまして、こういうものがありますと。我々、例えば航空の技術もこういうものがありますよとか、過去JAXAが行った研究とかでこういうのは使えますよ、こういうエンジンとかを持っていますよというふうな、民間事業者に対して我々が、国が持っている技術を開示とか情報発信する機会を考えております。
 そのような中で、逆に、こういうことに関心のある民間事業者は、我々はこういう要素技術が欲しいとかという話がもしかしたらあるかもしれません。
 同様に、例えば2023年度頃には、全体の2040年頃までの政府によるサービス調達計画を提示することによって、民間事業者に事業予見性というものを検討させることはできないかということを考えております。
 そこで、例えば、これは一案なのですが、先ほどの26年頃に技術実証ということを考えたときに、それの数年前、3年ぐらい前には、例えば27年度からのこのアンカーテナンシーというのはこういうものを考えているということを公告すると。恐らく、先ほどのNASAの1.2兆円というのがありましたけれど、こんなことは難しいと思うのですが、年間何機の衛星があるかとか、そういうふうな、政府として、こういう、例えばアンカーテナンシーを考えているということを公告すると。
 その上で、民間事業者はそれを見て、やれるとなった人は、実際手を挙げてもらうのですが、我々としては、民間事業者に、最初、アンカーテナンシーだけで終わってもらっては困りますので、2040年のP2Pを目指してやっていただきたいと思っておりますので、実際の2040年までの事業計画、そういうようなものも提示してもらって、こういう飛行形態を考えてとか、そういうものでこういう要素技術が必要であるということを入れてもらいます。手を挙げてもらいます。
 それらを国/JAXAの方で何かしら評価なりして、それでこの会社だったらいいですねということで、逆に今度は、国/JAXAが持っている技術成果をこちらの事業者に渡すということを考えております。
 このときには、今、JAXAは個別要素技術のオープンイノベーションでの共同研究を始めておりますし、また、ここのCALLISTOという日独仏の再使用の共同研究も今年度から始めております。これは24年度に終わる計画でございますが、そのCALLISTOの成果等もありましょう。
 そのような再使用に関わる技術ですとか軽量化、エンジンの強化に関わる技術を民間事業者に渡すということでございます。
 それらを踏まえまして、例えば、その26年度末までに、民間事業者はこの実際の能力があるということを何かしらのことで証明してもらおうと思っておりますが、例えば、デモンストレーションのフライトを行うとか、何かしら実機を飛ばす必要があると思っておりますが、デモフライトを行うことによって、ソリューションを見せてもらうと。それらを確認して、できましたというところがあれば、マイルストーンをクリアしたということであらかじめ定められた金額を支払うというふうなことを考えております。
 これは1例でこういうふうな5年後までです。実際、ステージゲートを設けたとして、どういう官民の対話があり得るかということでございます。
 また、国は並行して、これらに関わる環境整備を行うということを考えておりまして、エンジン試験設備ですね。これは、第11回に来年度の予算に関して、私の方から申し上げましたが、官民でエンジン燃焼試験を行う場所の整備を来年度から行う予定でございます。
 あと、飛行試験の設備ですね。2026年頃にこれらをやるとなれば、再使用に対応した飛行試験場が必要になってくるということでございます。
 文科省としては、5年刻みの案と、あと官民の対話の1例を示させていただきました。
 ただ文部科学省といたしましては、実際のどういうアンカーテナンシーがあり得るかとか、この技術パスというのは、最終的には、本当につくろうとしている民間事業者様が立ち上がって、そちらの考えている飛行形態とかを踏まえないと、最終的には決められないと思います。
 ですから、現段階のロードマップ検討会の議論では、詳細なところを決めるというよりかは、こういう5年刻みでそもそもいいのかとか、再度、先ほど私の方は、小型のものを造って、有人化を図って大型化をしてというふうな大きい流れをしゃべらせていただきましたが、そういう技術パスが適切なのかどうかとか、そのようなところで御意見賜ればと思っております。
 文部科学省からは以上でございます。
 
【遠藤主査】ありがとうございます。
 今、御説明いただいたように、これはステージゲートの考え方、文部科学省での案について、御説明を頂いたということでございます。これを手始めに議論をもう少し深めてまいりたいと思いますが、まずは皆さんの御意見、それから御質問、お願いしたいと思います。
 永田先生、お願いします。
 
【永田委員】ありがとうございます。
 技術開発のステップとしては、大体妥当な案を御提示いただいていると思います。ありがとうございました。
 それと並行して、法整備とか射場とかの環境を整えていくという手順になっているのですけれども、自国で技術開発するという以外に、海外から宇宙機を持って、ここで商売をしたいとか、あるいは海外のそういうところを誘致したいという動きが出てくるとか、そういうことで法整備とか射場とかの整備を先行して進めなければならないということも非常にあり得るかなと思っていまして、これは、技術開発に先んじて環境が整っていくという面で企業にとってもウェルカムなことですので、是非そういうことも想定いただいた方がいいかなと思います。
 以上です。
 
【遠藤主査】はい、ありがとうございます。
 そのほか、ございますか。
 渥美さん、お願いします。
 
【渥美委員】どうも御説明ありがとうございました。大体考え方はよく理解できました。
 一つ、再使用でいろいろなビジネスをしていこうとすると、再整備のところの話が、今までの宇宙開発の中では、打ち上げ1回で使い切ってしまっているので、整備だとか補修だとかというような概念がなかったというか、ある意味、米国や何かの方の経験から比べると、日本の中での知見というのは少しまだ少ないところがあるのかなと思います。
 一つだけ、少し画面を共有させていただきたいのですけれど、よろしいでしょうか。
 
【遠藤主査】事務局、大丈夫ですよね。
 
【笠谷企画官(事務局)】渥美さん、お願いします。
 
【渥美委員】スペースシャトルが、どうしてうまくいかなかったのか、この整備のところですね。再整備のところの話がやはりあったと理解していまして、これが、当初スペースシャトルが計画していたトータル160時間で、荷物の積み下ろしのところ、それから再利用のところをひっくるめて、それが96時間ですかね。全部ひっくるめて大体160時間。フル24時間で割ると6.6日となりますけれど、フルで働けば1週間で再使用できるという初期の計画で、実際にこのとき計画していたものが写真でいうところの左の方の図になりますけれども、実際のアクトの方が右のような形になったと。
 運用費がもともと計画では20億円だったものが、最終的には1,200億円までかかってしまったという点。それから、事故率が10万分の1だというふうに想定していたものが135分の3というのが実際で、シャトルを、これ以上運航を続けていくということ自体が問題であるといって、なくなったと。
 これから目指そうとしている高頻度往還宇宙飛行機のタイプのものが、同じようなこの有翼タイプになるのかどうなのかというところ、それから、再整備にどの程度費用が抑えられますかというところがキーファクターだというのが、スペースシャトルの方のLessons Learnedだと思います。
 これを宇宙の中では、今まで余り考えてこなかったメンテナンスだとか機体のクリーニングだとか、場合によっては補修だとかいうような概念を入れた技術開発の計画というものも少し重要視しておかないといけないのではないかと思います。
 その意味で、一度この会議の中で、スペースシャトルのLessons Learnedが本当にどうだったのか評価し、その結果、今、運用されているSpaceXにしても、シエラネバダは少し違いますけれど、カプセルの形にして輸送するというようなことをアメリカの民間企業や何かは選択していますし、シエラネバダにしても小型の機体にして飛ばすということを今のところは選択していると見ていまして、大型のもので、大型の市場を取ってきましょうという大きな目標に対して、かなり技術的なハードルとしては、幾つかのステップが必要になるのかなと思います。
 特に、再使用、再整備という概念ですね。再整備という概念も、オーバーホールのような形の再整備をやってしまうと、いわゆる飛行機でいうところのDチェックというような形の概念を入れたりすると、かなり費用としては、かかってしまう話になって、それは採算性が出ないような話になってくる。その辺りの話を一度整理しておいてはどうかと思います。
 そういう意味で、スペースシャトルの方のLessons Learned、航空機の運用から見たときの整備性というようなことも、一度議論してはどうかと思います。
 以上です。
 
【遠藤主査】ありがとうございます。
 石田さん、お願いします。
 
【石田委員】御説明ありがとうございます。笠谷さん、ありがとうございました。
 2点ですね。一つは、今回、高頻度往還飛行型に関しては、ロケット型のケースとスペースプレーン型のケースと二つ、中間取りまとめの段階で大きな方向性あるという話があったと思うのですが、今日、お話しいただいたのは、比較的ロケットを前提とした場合には、小型ロケットを造って大型化して、有人化してというのは、歴史的にも結構プルーブンなステップなのかなと思ったのですけれど、スペースプレーン型を想定した場合の技術のクリティカルパスというのは、ややそれとは違うような気がしています。特に2026年までの足元の設計が結構変わるかなと思ったので、そこは、そちらに御専門の知識がある方も交えて、その技術のクリティカルパスというものの想定を置いた方がいいのではないのかなという気がしたというのが1点目でございます。
 2点目は、最後の有人化をさせるというところのアプローチをどう組むのかというのを、COTS、CRSの枠組みでできることとできないことがあるかなと思って。アメリカと二つ大きな違いがあるのは、一つは、有人ミッションのアンカーテナントを日本ができますかというところだと思っていて、アメリカの場合は、ISSへの宇宙飛行士の輸送というものでアンカーテナントをしてきたわけだと思うのですけれど、2030年以降の宇宙ステーションの姿がどうなるのかとか、商業宇宙ステーションがどうなるのか、そのときの低軌道の有人活動がどうなるのかというのは、これは日本としてもこれからの議論だと思うので、有人化をさせるタイムフレームと先ほどの5年刻みのタイミングはちょうどそのタイミングと重なると思うのですよね。となったときに、政府として有人のアンカーテナントができるのかできないのかというのは、多分現時点で決め打ちすることが難しいかなと思ったのが1点と、あと、有人飛行に必要なプルーブンな技術というものを、NASAの場合は先ほど渥美さんがおっしゃったような、例えばスペースシャトルとかで実証してきたものがあったわけだと思うのですけれど、日本の場合は、官と民も含めても、有人飛行というものをプルーブしたものというのが、何というのですかね、ないと言えばないというのが現実だと思うのですよね。
 なので、技術の要素を組み合わせればできていくというのは当然あるのかなとは思うのですけれども、そこもやはりNASAとSpaceXの関係性とは大分状況が違うかなと思ったので、そう見ると、有人化をさせるところの政府プログラムをどう組むかというのは、答えが今、別に私も何かありますというわけではないのですけれど、COTS、CRSは参考にはなるのだけれども、前提条件が大きく二つ違うことも踏まえた上で、やはり日本独自としてのプログラムを考えなければいけないのではないのかなと思いました。
 以上、2点でございます。
 
【遠藤主査】ありがとうございます。
 続いて、少し御意見を伺います。竹森さん、お願いします。
 
【竹森委員】竹森です。御説明ありがとうございます。
 金融機関なのですけれども、今、石田さんがおっしゃったのとほぼ似ているのですけれど、少し不規則な意見、質問なのですが、我々が見て、金融機関からいくと、この数年、宇宙投資している立場で、リスクをミニマイズしながらでもチャレンジしたいということで、小さいものからスタートしていくと。ロケットとか探査とか衛星とか、比較的リスクが見やすくて、小さいところから入っていって、徐々に数を増やすとか質を高めるということでやっていく。このいわゆる5年ごととかで、小さいところから進めていくというのは、金融機関としては、そうだよなと思うのですけれど、最近思うのですけれど、小さいものを造って、それをやるとどんどん大きくなるのかというか、例えば、バイクを作れれば大型バスを作れるかというと、何か全然違う感じがあって、技術、マイルストーンとして、小さいものから入っていって、リユーザブルとかの往還機とか大きいものに本当にできるのかなというのが少し。
 先ほど、石田さんがプルーブンだと、そういうのはよくあるというお話だったのですけれど、本当にそれができるのかなというのは、何となく探査とかロケットを見ていて、小さいのを一生懸命造って、うまいことできているのですけれど、それを今度大型にするとなると全然別の技術のような気がするので、何が言いたいかというと、マイルストーンを組みながらやっていくというのは正しいと思うのですけれど、いきなり、その規模も含めて、大きな本番を造り始めないと、小さいところから入って、5年ごとにマイルストーンで大型化していく。何か、ここって本当にできるのかなという、すみません、少し素人意見というか質問でした。
 以上です。
 
【遠藤主査】ありがとうございます。
 稲谷さん、お願いします。
 
【稲谷委員】ありがとうございます。
 少しCOTSの話に戻るかもしれませんが、COTSの背景として、一つ認識しておいた方がよいと思うことと、今、我々がこれから何を根拠にことを起こすのかというようなこととの関係を少し申し上げたいと思います。COTSの背景にあったのは、先ほどの渥美さんの話にもありましたけれども、2010年頃シャトルが退役した後にアメリカが自前の有人輸送系がなくなって、ソユーズに依存しないといけなくなったという状況があって、そこからのリカバリーをどうするかというような、何でもアメリカがナンバー1というのが崩されているというような非常に切迫した状況からのリカバリーというような動機で、民間にも有人輸送を開放し、有人輸送を民間が頑張るような仕掛けをつくる、というような考えが強くあったのではないかと私は思うところです。
 翻って、先ほど石田さんもおっしゃいましたけれども、日本でそういう動機があるのかというと、当時のアメリカとは状況は全く違っていて、現在の時点では実績は何もないところでどうやってそういうことを立ち上げていくかというような議論になってしまいます。COTSそのものを表面的に捉えるとこれはある種の支援だと思うのですけれども、背景にある動機みたいなところは両者の間には随分違うことがあると思い発言しました。
 そのときに、では何を動機としてどういうふうにしてやるかというようなことを考えると、そこは、シャトル後のアメリカとは違う状況において、どういうことを目的にしているかというと、一つは将来人を輸送するとか乗ると言うことで大きなマーケットがある、というような、正に大きな投資をどう呼び出せるかと言うような産業化の話と、もう一つは、安全保障の議論で、これはここでやるべきかどうかの議論も以前あったと思います。そのような、上流での動機のところをよく議論しておかないと、一過性のものに終わってしまう気もするので、大きな話しを動かすための、とか長期の活動を支える様なバックボーンとしての考えの意味で、如何なる考えで有人に取り組むのかという上流の考え方を、民間の動機に委ねる部分と、あるいは国の意思や論理としてやっていくための動機の両者を、よく考えておく必要があると思って発言させていただきました。
 以上です。
 
【遠藤主査】ありがとうございます。
 たくさんの方から意見を頂きましたが、このアンカーテナンシー、ステージゲートの考え方については、この検討会の大きな重要なポイントだと思いますので、本日、時間の関係もありますので、ここの議論はこれで打ち切って、次に移らせていただきますが、是非、委員の皆さんから、御意見、メモでも何でもよろしいので、まだ更にこれは次回も議論はさせていただこうと思いますけれども、事務局の方に御意見を寄せていただけると、また次回、盛り上がるのでは、活発な議論ができるのではないかと思いますので、是非よろしくお願いいたします。
 それでは、次は、このアンカーテナンシーに関して、民間事業者に関する確認といいますか、どのような民間事業者が対象になるのかというような点につきまして、また事務局の方で一案を用意していただいておりますので、それをまずお聞きいただいて、議論をさせていただこうと思います。よろしくお願いします。
 
【笠谷企画官(事務局)】文部科学省事務局です。
 こちらの議論も、先ほどの議論の続きになるところもあるのですが、先ほど文部科学省の方から、仮に2026年までで最初の技術ステージゲートの目標を設けてやるとなったときに、民間事業者と対話して、民間事業者から提案ももらって、民間事業者に技術を渡すというふうなことを言っていたのですが、論点としては、そもそも、この民間事業者が必要な技術を持っていて、お金があるのかどうかということを確認する必要があるのかということでございます。
 つまり、手を挙げたところにみんな技術を提供してもいいかという議論も、もしかしたらあるのかなと思っております。開発を考える全ての民間事業者等に培った技術を提供するということもあるのではないかと思っております。
 ただ、今後のアクションとしては、事業者のある程度の技術力とか2040年までP2Pを見通してとか、そういう事業性とかも見て、最低限の何かしらの評価というのはやはり必要ではないかなと思っておりまして、評価するとすれば、少なくても以下が必要になると思うが、確認方法としてどのようなものがあるかということで、何らかの方法、条件で技術力を有していることを実証してもらうと。先ほど申し上げました、例えば、デモンストレーションフライト等を行うということを考えております。
 また、ステージゲートは取りあえず、5年前ということもありましたが、先ほどの竹森委員とかの発言もそうなのですが、いきなり大きいもの、最後のものを造った方がいいのではないかという。そうなると5年刻みではないのかなというのもあるのですが、では、もしかしたら、もう少し先の方がいいのかということがあり得るのかと思います。
 また、我々としては、最初の段階で、単にその最初のステージゲートを突破するということだけではなくて、2040年代までのP2Pのプランを提示してほしいということは思っているのですが、それは評価する必要はあるのですが、現実問題として今の段階で、今というか2022年、23年、ここ二、三年で、2040年までのP2Pの事業プランを提示することは可能なのかということは、少し悩んでおります。
 かつ、それが出てきて、文科省とJAXA、もちろんこれは文科省とJAXAだけではなくて、恐らく、何かしら金融に詳しい方とか、また専門家等の方も交えて、検討会みたいなものを文科省は設けようと思っておりますが、なかなかそこでも評価し切れるのかなというところが少し悩ましいところだと思っております。
 すみません、論点といたしましては、手を挙げてきた民間事業者に対して、全て支援するのか、何かしら技術能力とか事業性とかを評価して行った方がいいのか、その場合、どのような方法で評価したらよろしいのかということを御助言いただければと思っております。
 
【遠藤主査】ありがとうございます。
 皆さん、御意見があればお願いいたします。
 よろしいですか。この前の議論に何か追加があったら、それも含めてお願いします。
 石田さん、お願いします。
 
【石田委員】どなたも発言されないので、議論のための議論になってしまうかもしれないですけれど。
 これは多分、笠谷さんが先ほどお話しされた最初の2026年度までのところを意識されてのまずお話という前提でいくと、技術のパスとして、最初、その小型ロケット的なものからのスタートでいいのか云々(うんぬん)というのは、少し、先ほどの竹森さんのお話は、論点としてあるのかなとは思ってはいるのですけれど、どう言えばいいのでしょうか、私なりの理解でいくと、最終的に高頻度往還飛行型をやろうとしたときというのは、有人技術が必要になってくる。それを、仮にロケット型でやろうとすると、軌道到達して戻してくるぐらいまでの技術力がないとできないと。これは多分、技術の観点で正しいのかなと思ったときに、アメリカの専門家とかに前、聞いたときには、サブオービタルまでの有人技術と軌道到達の有人技術は極めて違う技術であると。そこは技術の連続性というのは、余りない世界なので、ある種、サブオビの有人飛行で結構アメリカで盛り上がってやっている会社があると思いますけれど、あれができたら、ISSまで人を運ぶ技術が身につきますかというとそうではないというのを、ISSまで人を運んでいる技術の会社の方は言っていたのですね。
 なので、無人だろうと有人だろうと、やはり軌道までちゃんと到達させていくというところは非常に大事であるということをおっしゃっていたので、その観点からすると、小型のロケットでも軌道到達をして衛星投入したものをベースに大型化をしていく、有人化をしていくというのは、一つの技術の確からしいパスなのかなと個人的には思っていますと。
 その前提でこのプログラムを見たときに、さはさりながら、小型のロケットとかで衛星とかのアンカーテナンシーをするステージというのは、何というのでしょうか、高頻度往還飛行型のものを造っていこうとしたときに、何か、それはもう、ある種あって当然というか、むしろそこからがスタートラインぐらいの議論なのかなという気も少ししたのですよね。
 そうしたときに、これをステージ1だとした場合に、ステージ1をどこまで政府として技術支援も含めてやるのか、そういったロケットができたら、政府としてアンカーテナンシーはしますよという、ある種ライトな関わりにするのかというのは、実は2パターンあるのかなと私は思いまして、アメリカがCOTSとは別にやっていたベンチャークラスローンチビークルというアンカーテナンシーの仕組みは、技術提供とかはほぼ何もせずに、民間小型ロケットがいいものできたら、NASAとして買いますよと。何なら、そのプログラムを失敗したところでNASAは何も影響も受けませんよというアンカーテナンシーのされ方もしていたのですね。
 ひょっとしたら何かそういうアンカーテナンシーの仕方というのも、このステージ1というのはあるのかなと。ある程度、小型ロケットというものが、プルーブンに民間事業者さんができてきたら、その中で、より野心的なプレイヤーと、より本格的な高頻度往還飛行型システムを目指した、JAXAさんが持っている技術供与とかも含めた、より本格的なコラボレーションプログラムというのを、ステージ2以降、それは大型化とか有人化といったところをやっていくという、そういう何かスタンスの持ち方というのも一案なのかなという気はしました。
 今書いてくださっているのは、どちらかというとステージ1から、結構国としての技術移転とかも含めてやっていかれるという想定なのかなとも、少し読み解いたのですけれど、ステージ1の考え方というのは、もう少しライトな、アンカーテナンシーだけというやり方もあるのかなとも少し思ったので、すみません、何か結論があるわけではないのですけれど、そういう考え方もあるかなと思った次第です。
 以上です。
 
【遠藤主査】ありがとうございます。
 もう少し我々も頭を柔軟にして考える必要があるという御意見を頂いたと思います。ありがとうございます。
 稲谷さん、お願いします。
 
【稲谷委員】今の石田さんのお話とも関係しますが、今日の議論のアンカーテナンシーとかCOTSでは、できたら使いますよ、と言う形で開発支援しますというような論理が中心と思うのですけれども、一方で、先ほど来議論している将来のゴールというのは、今はない極めて先端的な技術がないとできない、という部分が大きいという意味から、あるいはそういう高度なものを造るからこそ競争力も出てくるという意味でいうと、先端的な研究開発を誰がどうリードしてやっていくかというようなことを、大事な議論の一つとして含めるべきと思います。それは結果としてCOTSの枠組みの中でやるのか、別の技術開発プログラムとしてやるのかという立て付けの問題はあるかもしれませんが、この先端技術で差別化する議論、あるいは先ほど来、出てきているTRLの低い分野をどう見定めてこれらを如何に高くするか、というようなレベルの研究投資ですね。そのあたりをどうやって進めるのか、というところも含めた議論にして行くことが極めて大事か、と思いつつ今日の議論を聞いていました。
 以上です。
 
【遠藤主査】ありがとうございます。
 次回以降の議論によくよく、今の御意見等も踏まえて議論が必要だと思います。
 それでは、時間になりましたので、先ほども申し上げましたけれども、ここは大変重要なポイントになっていると思いますので、是非御意見がありましたら、メモ等でも事務局に出していただけると大変有り難いと思います。
 本日の議論を踏まえまして、また、事務局にて整理をお願いして、次回、また更に議論を深めてまいりたいと思いますので、皆様、よろしくお願いをいたします。
 それでは、事務局から連絡事項等あれば、お願いいたします。
 
【笠谷企画官(事務局)】文科省事務局でございます。本日の御議論もありがとうございました。
 会議資料と議事録の公開について申し上げます。本日の会議資料は公開となりますので、既に文科省のホームページに掲載させていただいております。また、議事録につきましても公開となりますので、委員の皆様に御確認いただいた後、文科省のホームページに掲載させていただきます。よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
 
【遠藤主査】ありがとうございます。
 それでは、引き続き活発な議論を是非お願いしたいと思います。長時間にわたってありがとうございました。
 本日はこれで終了とさせていただきます。

―― 了 ――

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課